デート・ア・ライブ 指輪の魔法使いと精霊の恋愛譚   作:BREAKERZ

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幕間3
手を組む者達


ーエレンsideー

 

或美島から本国に戻ってきたエレンは、上司であるアイザック・ウェスコットに連れられて、あるホテルのスウィートルームにやって来た。

 

「っっっ!!!」

 

スウィートルームに入ってきたエレンは、一瞬で戦闘モードになって、ウェスコットを守るように前に出た。

何故ならーーーー。

豪奢なスウィートルームの椅子に、『伝承の魔獣<ファントム>』が座っていたからだ。

それも3体。

一体は椅子に座り、堂々とした態度で佇む白い魔獣。

一体はその椅子の右後ろに控えた髪の毛が蛇となっている魔獣。

最後の一体は椅子の左後ろに控えた緑色の魔獣。

 

「やぁ、はじめまして。こんな形で君達と出会えるとは思わなかったよ。『伝承の魔獣 ファントム』の頭目、『ワイズマン』」

 

『こちらとしても、よもやお前達と交渉する日が来るとは思わなかった』

 

「・・・・アイク、どういう事ですか?」

 

目の前にいる魔獣達、それも“頭目と呼称した『ワイズマン』”に、気軽に挨拶するウェスコットにエレンは訝しそうに声を発し、ウェスコットは面白そうに、そうまるで楽しい話をするかのように口を開き、『ワイズマン』と向かい合うように椅子に座った。

 

「なに簡単な話だよ。我々『DEMインダストリー』は、『魔獣<ファントム>』と同盟を組む事になったのさ」

 

「っっっ!!!???」

 

『っ・・・・!』

 

『♪~♪~♪~♪~』

 

エレンだけでなく、蛇の魔獣メデューサも驚いたように肩を震わせ、緑色の魔獣グレムリンは鼻歌を歌っているような声を上げた。

 

「本気、なのですかアイク?」

 

『ワイズマン、これは一体・・・・?』

 

エレンとメデューサが同時に尋ね、一瞬殺意と敵意を込めてお互いを睨むが、まず『ワイズマン』が声を発した。

 

『簡単だメデューサ。『DEMインダストリー』は人間社会最大の軍需企業。そろそろ本格的に目障りになってきた指輪の魔法使い、そして精霊も〈ラタトスク機関〉と呼ばれる組織と手を組んでいるらしいからな。我々も〈ラタトスク機関〉の敵であり、指輪の魔法使い嫌、〈仮面ライダー〉や精霊を始末したいと考える『DEMインダストリー』と手を組むのは至極当然の事ではないかね?』

 

『し、しかし・・・・!』

 

『我々の陣営も同胞のファントムの数も減っている。今のままの戦力では心許ないのだよ』

 

『・・・・・・・・了解しました』

 

ワイズマンの言葉に、メデューサは渋々と引き下がるが、今度はエレンにウェスコットが説明を始める。

 

「エレン。正直こちらとしても『伝承の魔法使い』いや、〈仮面ライダー〉と〈ラタトスク機関〉に出し抜かれているのも否定できない。何より、『DEM』所属の魔術師<ウィザード>でも、精霊と対等に渡り合えるのは、エレン一人だけだからね。真那もいてくれればいいのだが、彼女は今行方知れずだ。こちらとしても戦力が手に入るのは悪い話では無いだろう?」

 

「・・・・しかし、この魔獣たちが簡単に協力するとは思えませんが?」

 

「そこは問題無いよ」

 

ウェスコットは懐からUSBメモリを緑色の魔獣、グレムリンに投げ渡した。

 

「それに“君達の望む人材”をリストアップしている。確認してくれたまえ、グレムリン、いや、Mr.ソラ」

 

グレムリンはくつくつと笑うように肩を揺らすと、姿が魔獣から、緑色の羽の付いた帽子を被り、肩にストールを羽織り、左側をたくし上げたズボンをした独特のファッションをした青年へと変貌した。

その青年は、以前水着選びを終えた士道と『5年前の天宮大火災』の話をした青年だった。

 

「ありがとうMr.ウェスコット♪ 僕の事をソラって呼んでくれる人っていないからね☆」

 

チャラついて軽薄そうな態度と雰囲気のグレムリン、ソラに、エレンとメデューサは不快そうに一瞥するが、ソラはその視線を受け流しながら、部屋に備えられていたPCで、メモリの中を確認した。

 

「うん、確かに」

 

ソラはメモリを外すとグレムリンに戻り、『ワイズマン』にメモリを手渡した。

 

『フフフ。約束の物であるようだな?』

 

「当然さ。取り引きで偽物を使うなど、経営者としてそんな不躾な真似はしないさ。それで、そちらからは何を差し出してくれるのかな?」

 

『まあ良いだろう。コレだ』

 

『ワイズマン』が手のひらに小さな魔法陣を展開させると、ソコから『中に黒い塊が入った小瓶』が出現させ、テーブルに置いた。

 

『コレは私が再生させた、“指輪の魔法使いに倒された同胞達の肉体組織から再生させたファントムの卵”だ。この小瓶から出せばすぐに孵り成長し、君達の命令を聞く従順な人形になる。まぁサンプルとして貰っていると良い』

 

「感謝しよう。コレで“ビーストキマイラの代わり”は見つかった。それで次の会合はいつにする?」

 

『君達が我々の主な活動拠点である天宮市に来てくれれば、こちらからコンタクトをしよう。その時は・・・・』

 

「フフフ・・・・期待させてもらうよ。『ワイズマン』」

 

『ワイズマン』は立ち上がると、ソファから離れ、メデューサとグレムリンを連れて、黒い魔法陣を虚空に展開させると、魔法陣をくぐり、部屋から消えた。

 

「よろしかったのですか、アイク? 彼らが裏切る可能性も有りますが・・・・?」

 

「構わないよ。その方がより刺激的で楽しめそうだ。しかし・・・・。“かつては魔獣を討伐していた一族の生き残りが、魔獣と手を組み世界に仇なす”。中々ドラマチックな展開だと思わないかい?」

 

「またそのような・・・・それで、あのメモリには一体何を?」

 

「ああ。あのメモリにはね、“エレンを除いた『DEMインダストリー』所属の魔術師<ウィザード>の中で、魔力の高い人間達のリストだよ”」

 

「っ! なるほど、そうですか」

 

そのリストが何を意味するのかを理解したエレンは少し驚くが、それで戦力が増強するなら、安い出費だとも思った。

 

 

 

ーメデューサsideー

 

「やぁやぁ、どうしたのメデューサちゃん☆」

 

天宮市郊外にある洞窟のアジトに戻ってきたメデューサ達。

『ワイズマン』が洞窟の奥へと去っていくと、ミサとなったメデューサに、グレムリンことソラが軽薄な態度で迫ると、ミサは不愉快そうに口を開く。

 

「グレムリン・・・・」

 

「もうソラって呼んで欲しいな~」

 

「そんな事どうでも良い。貴様、なんの目論見があって『ワイズマン』に取り入って『DEMインダストリー』との橋渡しをやった?」

 

「目論見なんて無いよ☆ ただ、『ワイズマン』の側に居れば、それなりに良い待遇が期待できると思っただけだよ~♪ さぁ~て、フェニックスの様子でも見に行こうかなぁ~」

 

ソラはひょうきんな態度でフェニックスのいる場所に向かっていった。

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

『やれやれ。汚らわしく愚かな男なんぞに好きにさせるとこうなる』

 

「・・・・『ヴァンパイア』」

 

ソラの去っていく背中を睨んでいたミサに近づくファントムが1体。

頭と腰から蝙蝠の羽を生やし、身体付きは女性のようなコウモリの怪人、『ヴァンパイア』だった。

ヴァンパイアはゆっくりとミサに近づくと、片方の手をミサの肩に置いて撫で回すように動かし、もう片方の手でミサの髪を撫でた。

が、ミサはメデューサに変貌して、その手を払った。

 

『馴れ馴れしいぞ』

 

『メデューサ。君もいつまでも連れないなぁ。いい加減私と愛を育まないかい?』

 

『ふん。貴様のような、人間の女と見れば見境なくなぶっている下品者が何を言っているのだ?』

 

『それは勘違いだよ。私は男なんて愚かで、汚く、醜い生物に惑わされている見目麗しい女性達の目を覚まさせているだけさ』

 

『ほざけ』

 

そう言ってメデューサはヴァンパイアは去っていった。

 

『ふぅ、メデューサも本当に連れない・・・・。やはり邪魔だなぁ、『ワイズマン』』

 

 

 

ーフェニックスsideー

 

大西洋から戻ってきたフェニックスは、洞窟奥に開けた場所で、さらに高まった業火を燃やしていた。

 

『クククククク・・・・!!!』

 

再生する度に強くなるフェニックスはすでに二回も士道こと、ウィザードに敗北している。その屈辱と怒りをすべて、己のさらなる強化に繋げていた。

 

『フフフ・・・・!』

 

物陰に隠れてそれを見ていたグレムリンが不気味に笑うフェニックスを見ながら含み笑みを浮かべていた。

 

 

 

 

ー真那sideー

 

真那は『警視庁国家安全局0課』こと『国安0課』の課長である女性と話をしていた。

見た感じ年齢は20代後半。群青色の髪の毛をショートカットにし、黒いスーツを着こなす身体付きはスレンダーだが胸元は結構押し上げられ、まるで猫のようなしなやかさを思わせる、クールな大人の女性だった。

この若さで『公安』の課長職を務めているのだから、かなり優秀な人物なのだろう。

 

「それで、こちらの提案を飲んでくれるだろうか?」

 

「少し、考えさせてくれねーですか?」

 

「構わないよ」

 

女性が冷静かつ涼やかな声でそう言うと、真那は頭の中でキマイラ達と脳内会議を始め、ほんの数分で話を終えると、女性に向きに直った。

 

「そちらの提案。了解したでやがります。こちらとしてもメリットがあるでやがりますからね」

 

「感謝する」

 

「一つ聞きたいでやがりますが、貴女と『白い魔法使い』の関係は?」

 

「それについてはまだ話す訳にはいかないが。一つだけ確かなのは、『白い魔法使い』と我々は協力関係にある。決して君の不利益となることはないと保証しよう」

 

「・・・・一応、信用しておきましょう」

 

「助かる。それと、君には“パートナー”を付けさせて貰うよ。主に君のサポートと我々との連絡要員としてね」

 

「要らねぇですよ」

 

「そう言わないでくれ。上の連中はそうでもしないと納得できないからな。入ってきてくれ」

 

女性が扉に向けてそう言うと、ガチャッと扉が開き、向こう側から、褐色の肌に黒い髪をした怜悧な美丈夫な男性が入室してきた。

 

「彼は『仁藤攻平<ニトウ・コウヘイ>』。若いが『国安』の優秀な人物だ。君の手助けになってくれるはずだ」

 

「よろしくお願いします。崇宮真那さん」

 

「・・・・まぁ、よろしくお願いするでやがります」

 

真那に近づいた手を差し出した仁藤に、真那もソファから立ち上がってその手を握った。




『国安0課』の課長のキャラデザは、『サクラクエスト』の『緑川真希』がモチーフです。

さて、ついに手を組んだファントムサイドと『DEM』サイド、次回から始まる『美九リリィ』にどう絡むのでしょうか?
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