デート・ア・ライブ 指輪の魔法使いと精霊の恋愛譚   作:BREAKERZ

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明けましておめでとうございます。今年も『デート・ア・ライブ 指輪の魔法使いと精霊の恋愛譚』をよろしくお願いします。

そして、新たな魔法使いが登場。


嫌悪・〈ディーヴァ〉

ー折紙sideー

 

士道が新たに現れた精霊に嫌悪感を抱かれる少し前に時間は遡りーーーー陸上自衛隊天宮駐屯地。

 

「ーーーー鳶一折紙一等陸曹。今日付で君に課せられていた謹慎は解除となる。ASTの一般任務、及び訓練に復帰してもらうよ」

 

「は」

 

基地の一室で上官に告げられた言葉に、折紙は敬礼を以て返した。

6月の致命的な不祥事を起こしてから、ずっと顕現装置<リアライザ>の使用及び陸自での活動を禁止され、今日でようやく解除となったのである。

無論ストイックな折紙は、その間も基礎トレーニングを欠かすことは無かったが、顕現装置<リアライザ>が無いのでは精霊に対する訓練などしようがない。この2ヶ月以上もの間、折紙は〈仮面ライダー〉へと変身可能となり、魔獣・ファントムと互角に戦えるようになった精霊達、段々と強くなっていった士道に対して、言い知れぬ焦燥感と無力感に苛まれながら過ごしてきたのである。

とはいえ、本来であれば懲戒免職の上に刑事罰が適用されてもおかしくなかった状況を考えれば、こうして復帰できるだけでも奇跡のようなものだろう。

 

「次は無いぞ。もしまた同じことがあれば、二度と復帰はないと肝に銘じたまえ」

 

「承知しています」

 

と、折紙(内心守る気無し)が短く答えたところで、部屋の扉がノックもなく開かれた。

 

「・・・・・・・・日下部一尉?」

 

折紙がその犯人の姿は、予算&礼儀にうるさいASTの隊長、日下部燎子の姿を認めると、怪訝そうに眉をひそめた。

やたらと苛立たしげにのしのしと歩を進めると、上官の机に手にしていた書類束を叩きつけた。

 

「どういう事ですか、これは!」

 

「な、なんだね、一体・・・・」

 

上官である塚本三佐も剣幕に押され、非礼を注意することもせずに身を逸らした。

 

「どうかしたの?」

 

問うと、燎子はようやく折紙の存在に気付いたらしかった。

 

「ああ・・・・折紙。そういえば今日で復隊か。ーーーー丁度いいわ。これ、どう思う?」

 

言って、今し方机に叩きつけた書類束を放ってくる。折紙は紙面に視線を落とした。

 

「これは・・・・」

 

そこに記されていた信じ難い内容に、眉根を寄せた。

 

「こんな編成、無茶苦茶過ぎます! 外国籍隊員を10名・・・・しかもその独立分隊に非常時における特別裁量権を付与・・・・!? 一体上層部は何を考えているんですか!」

 

言って再び燎子が机をバン! と叩き、塚本三佐がビクッと肩を震わせた。

その書類に書かれていたのは、“ASTへの補充要員の情報”だった。

それ自体には、別にそこまで問題がある訳ではない。

が、問題は、その補充要員が10名にも渡りーーーー剰えその全てが“DEMインダストリー社の出向社員”。

しかも全員が外国人であると言うことだった。こうなると話は別だ。

その上、必要に応じて隊長の指揮下から自由に外れることが出来る権限を有するというのである。こんなもの、株を買い占められて、会社が乗っ取られるのと同じ、非常にふざけた内容だった。

 

「ASTは野球チームじゃないんですよ!? 外国籍の人間が入隊できるはずがないでしょう!? その上こんなふざけた権限を与えるなんてどうかしているとしか思えません!」

 

「そ、それは・・・・」

 

内心同意なのか、塚本が口籠もってしまい。燎子は焦れたように頭を掻くと、話にならないとばかりに踵を返そうとした。

するとそこで再び、部屋の扉がゆっくりと開かれる。

そしてーーーー10名程の外国人が次々と部屋の中に入ってきた。

 

「あラ?」

 

と、先頭にいた赤毛の女が燎子と折紙の姿を見て、唇を歪めてくる。歳は燎子と同じくらいだろうか。釣り目の双眸が、どことなく狐を思い起こさせた。

 

「資料で見た顔ネ。ASTの隊長さんにーーーーそう、トビイチオリガミだったかしラ?」

 

独特のイントネーションでそう言い、さらに笑みを濃くする。

 

「・・・・あんたは?」

 

「今日付でASTに配属になった『ジェシカ・ベイリー』でス。以後よろしク」

 

「・・・・ふん」

 

大仰に頷いて右手を差し出すが、燎子は不快そうに顔を歪めると、手を弾くように押し付け、握手を交わした。

 

「一体あんたらがここに何しに来たのか知らないけど、ここで好き勝手な真似はさせないわよ。ASTに所属する以上、私の命令に従ってもらうワ」

 

言うとジェシカは目を丸くし、背後の部下達と目を見合わせてから肩を竦めた。

 

「あなたの命令に従えば、精霊は倒せるのかしラ?」

 

「なんですって?」

 

「AST<あなたたち>の事は色々聞いてるワ。ここ数年、空間震が最も多い地域の精霊の対精霊部隊でありながら、未だに1体の精霊も狩れてない処か、ウワサに聞いた〈仮面ライダー〉なんて言うコスプレイヤーに出し抜かれている不甲斐ないオママゴトチームってネ」

 

「なーーーー」

 

ジェシカが眉を歪める燎子から、折紙の方に視線を移してくる。

 

「アナタのことも聞いてるわヨ? 何でも勝手に精霊を殺しに行って、謹慎を食らったそうじゃなイ、あはは、アナタは少しだけ私達に近いかもネ」

 

折紙が無言でいると、ジェシカがズイッと顔を寄せてくる。

 

「でも、駄目ヨ。お話にならないわ。〈ホワイト・リコリス〉なんて欠陥品を無理に使って、結局何の成果も上げられなかったんでしょウ? ふふ、無様ねェ」

 

ジェシカが明らかに嘲笑的にニヤニヤしながら言うと、後方の隊員達が含み笑いを漏らし始めた。

 

「隊長、いくらなんでも可哀想ですよォ」

 

「極東の木っ端隊員を、私達の基準で測っちゃいけませんってばァ」

 

「そうですよ。彼女だって好きで弱いわけじゃないんですから」

 

ソバカス顔の女、唇の厚い女、眼の細い女の隊員が、順に嘲るように言う。折紙は表情を変えぬままギリと奥歯を噛み締めた。

 

「あら、怒っちゃっタ? きゃはは、怒ったらどうするノ? 精霊すらまともに倒せないアナタ達が、私達DEMのアダプタス・ナンバーに敵うとでも思ってるノ?」

 

「・・・・ちょっと、あんた大概にーーーー」

 

と、燎子がジェシカを止めようとしたところで。

辺りに、甲高い警報が鳴り響いた。

 

「・・・・! 折紙、久々に出動準備よ! 腕は鈍ってないでしょうね!?」

 

「当然」

 

折紙が答えて駆け出そうとすると、またもジェシカ達が笑みを浮かべてきた。

 

「鈍っていようがいまいが、精霊を殺せないのであれば同じ事なんじゃないノ?」

 

「・・・・・・・・」

 

「やめなさい折紙。今はそんな場合じゃないでしょ。私達は出動するわ。この街を守らなきゃいけないものでね。・・・・あんた達は一体どうするのよ」

 

ジェシカを睨み付ける折紙を止めるように間に入った燎子がジェシカ達を睨みながら口を開いた。

 

「ああ、私たチ?そうねェ・・・・いいわ、丁度いいタイミングだし、私達も出撃しましョ。戦い方を、教えてあげるワ。ただシーーーー」

 

ジェシカが指を1本立ててから、言葉を続けてくる。

 

「私達は“特別な任務”を帯びてるノ。場合によってはそちらを優先させてもらうワ」

 

「・・・・特別、任務? っっ」

 

折紙は言いながら眉を歪めて、目を僅かに見開いた。何故だろうか、ジェシカの言葉から、不穏な響きを感じ取ってしまったからだけではない。

ジェシカ達の腰に着けたバックルに目を向けたからだ。何故なら、“士道が付けているバックルと同じ物を、10名全員が付けていたからだ”。

 

 

 

 

 

 

 

ー士道sideー

 

「一体どうなってんだよドラゴン!?」

 

≪この様子・・・・この精霊はどうやら貴様の事をかなり嫌っているな。まさに蛇蠍の如くだ≫

 

『ディフェンド』で『音の壁』による攻撃を防いでいる士道。もしも魔法が無かったら、存外高い位置にあったステージから落下し、複雑骨折になっていた。いくら琴里の加護があっても、痛いものは痛いから助かったと思う。

だが、士道の目の前に、ユラリとした歩調で〈ディーヴァ〉が近づき、すぐ前に来るとーーーー。

 

「え、何で防いでいるんですかぁ? 何で吹き飛んでないんですかぁ? 何で落ちてないんですかぁ? 何で死んでないんですかぁ? 可及的速やかにこのステージからこの世界からこの確率時空から消え去ってくださいよぉ」

 

「へ・・・・?」

 

女神のように穏やかな微笑みを浮かべながらの物言いのギャップに、士道は思わず目を丸くする。こんな酷い罵倒はドラゴンか琴里(司令官モード)以外で初めてだ。

 

「え、えと・・・・今なんて?」

 

「何喋りかけてるんですかぁ?やめて下さいよ気持ち悪いですねぇ。声を発さないでくださいよぉ。唾液を飛ばさないでください。息をしないでください。あなたがいるだけで周囲の大気が汚染されてるのがわからないんですかぁ? 分からないんですねぇ?」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

≪なんと・・・・この廃棄物に対してなんと的確過ぎる表現を言うのだろうか、感動した・・・・!≫

 

「(すんなっ!!)」

 

ドラゴンですら感動する程の罵詈雑言。これが無声映画ならどれほど良かっただろう。などと馬鹿げたことを考えるくらいに、凄まじい違和感を放つ少女。

士道はとりあえずドラゴンへの文句を言うと、改めて話しかける。

 

「え、えっと、君は・・・・」

 

≪塵屑。火に油を注ぐな≫

 

 

「人の言う事を聞かない人ですねー。一刻も早く消えてくれませんかぁ?あなたの存在が不快なんですぅ。何故私があなたを蹴り押してステージから落とさないか分かりますかぁ? たとえ靴底であろうとあなたに触れたくないからですよー?」

 

優しい表情と雰囲気。美しい声音と歌のような語調。しかしその眼には一切の光がなく、まるでドラゴンが神無月に向ける視線だ。言葉の内容も『マンゴパニッシャー』だった。普段からドラゴンのこれよりもえげつない罵詈雑言を受けていた士道でなければ、とうに心が折れていただろう。

とーーーーその時。

 

≪っ! 小僧! ファントムだっ!!≫

 

「なにっ!?」

 

「何口を開いてるんですかぁ? 気持ち悪いですねー」

 

『まったくだね』

 

と、少女の言葉が出た後に声が響き、ステージの端から黒い影が2体現れた。

 

1体は頭と腰に蝙蝠のような翼を生やし、女性のような体つきをした黒い異形の怪物。

もう1体も、女性のような体つきに頭に大きな蝶の羽を垂らした異形。

魔獣・ファントムだった。

 

「ファントムっ!?」

 

「きゃああああああああああああああ!!」

 

2体のファントムを見て、士道は身体を強ばらせ、少女の方も悲鳴を上げた。

がーーーー。

 

「なんですかぁ!? このセクシーな女の人(?)達はぁ!? あ! 『メデューサさん』のお友達ですかぁ?!」

 

《「えっ!?」》

 

≪は?≫

 

士道と通信機越しの琴里が同時に間の抜けた声を漏らし、ドラゴンもワケわからんと言わんばかりの声を上げたが、仕方ない。

何故ならこの少女は、異形の怪物達を見て歓喜したような黄色い悲鳴を上げ、さらに、“『メデューサ』の事も知っている様子だったからだ”。

 

『やぁ、初めましてだね〈ディーヴァ〉。私は“『メデューサ』の恋人”の『ヴァンパイア』。そして彼女は私の恋人の『パピヨン』だ。君のような見目麗しい精霊と出会えて嬉しい限りだよ♪』

 

『・・・・・・・・・・・・』

 

『ヴァンパイア』は〈ディーヴァ〉に対して、まるで友人に話すように気安く声を発し、『パピヨン』は黙って『ヴァンパイア』の後方に控えていた。

 

「えぇ~。アナタは『メデューサさん』の恋人なんですかぁ? 私初めて『メデューサさん』に会ってお近づきになろうとしたら頭の蛇さんで攻撃されたんですよぉ?」

 

『フフフ・・・・メデューサは気難しいからね。で・も、それがまた魅力的なんだよねぇ』

 

「ええとっても魅力的ですよぉ」

 

『メデューサも来ないかと誘ったんだが、顕現したのが君だと知ると断られてしまったんだ』

 

「えぇー。メデューサさん連れないですぅ」

 

「お、おい!」

 

士道が逃げるように〈ディーヴァ〉に話しかけるが、〈ディーヴァ〉と『ヴァンパイア』は士道を見ると、さっきまで談笑していた雰囲気がまるで無くなっていた。

 

「なに見てるんですかぁ? こっちを見ないでくださいよぉ。せっかくヴァンパイアさんと楽しく会話しているのに、耳に気持ち悪い声を入れないでくださいぃ」

 

『彼女との楽しい一時を邪魔するだなんて、これだから男と言う生物は下品で下劣なんだ。お前達のようなゲス共は、この世界全体から永久的に消滅する方が全宇宙、全銀河、全次元世界の安寧になると言う物だ』

 

「あらぁ♪ ヴァンパイアさんは素晴らしい事を考えますねぇ。こんなのが存在するだけで害悪ですよねぇ?」

 

『まさしく。このようないるのだけで有害な存在がいるだけで、この時空間にどれだけの厄災をもたらすか、考えただけでも身の毛がよだつよ』

 

「本当ですよねぇー」

 

士道の事など完全に眼中に無い、寧ろ五感に入れるだけでもおぞましいと言わんばかりの二人に、士道は思わず愕然となる。

まさか、魔獣・ファントムよりも自分に敵意を向けられるとは思わなかったからだ。

 

『もう良いね。・・・・パピヨン、あれ、消してくれ』

 

『・・・・・・・・(コクリ)』

 

パピヨンは小さく頷くと、頭の羽が動きだし、美しい色とりどりな蝶の羽が広がった。

 

「っ・・・・(バシン)いで!」

 

≪呆けてないでさっさと変身しろ愚図≫

 

「あぁ・・・・!」

 

パピヨンの羽の美しさに見惚れそうになる士道を、ドラゴンがド突きで正気に戻し、『ドライバーオンリング』を翳す。

 

[ドライバーオン プリーズ シャバドゥビタッチヘンシン~♪ シャバドゥビタッチヘンシン~♪ シャバドゥビタッチヘンシン~♪]

 

「変身!」

 

ウィザードライバーを召喚して、リングを翳した。

 

[フレイム プリーズ ヒー! ヒー! ヒーヒーヒー!!]

 

「フッ!」

 

[コネクト プリーズ]

 

フレイムスタイルに変身したウィザード<士道>は、ソードガンを取り出しすと、パピヨンは大きな蝶の羽をはためかすと、キラキラとした鱗粉がウィザード<士道>に近づく。

 

≪避けろ≫

 

「っ!」

 

バンバンバンバンバンバンバンバン!!

 

ウィザード<士道>が避けると、鱗粉がステージの床に落ちると、弾けるような爆裂が炸裂した。

ウィザード<士道>は鱗粉に警戒しながら、パピヨンに斬り込んだ。

 

「なんですかぁ? 変な姿になりましたよぉ?」

 

『あれはね、私やパピヨンを殺す能力なんだよ』

 

「えぇ~!? ヴァンパイアさんやパピヨンさんのような魅力的な女の人を殺すだなんて、なんて酷い事を! あの汚物こそ死ぬべきですよぉ!!」

 

すると、〈ディーヴァ〉までも音の壁でウィザード<士道>を攻撃した。

 

「どぅわっ!? な、何するんだ!? ソイツらがどれだけ危険かーーーー」

 

「黙って死んでくださいよぉ。アナタなんて存在する価値の無いのが、ヴァンパイアさん達を殺そうとするアナタが害悪なんですからぁ!」

 

ウィザード<士道>の言葉なんて聞く価値無しと言わんばかりに攻撃する〈ディーヴァ〉。

次の瞬間、アリーナの天井が一瞬ベコッとうねったかと思うと、凄まじい炸裂音と衝撃を伴って爆発し、天井の照明装置が、バラバラと崩落した。

 

「な、なんだぁ!?」

 

≪分からんかド低能。パチもん共<AST>だ!≫

 

『おやおや』

 

『・・・・・・・・』

 

「あらー?」

 

ステージにいる全員が上を見ると、天井を無くなり、月明かりと雲が彩る夜空に、CR-ユニットを纏うAST隊員、なぜか見知らぬ欧米人が多数いた。

 

《士道! ASTまで現れたら混戦になるわ! 一旦離脱よ!》

 

インカムから琴里の声が響くが、先ほどから聞こえた緊急事態通告が鳴り止んだ事に不審に思ったウィザード<士道>は、〈ディーヴァ〉を見やるとーーーー。

 

「まぁ、まぁっ!」

 

先ほどとは打って変わり、手を組みながら目を輝かせる〈ディーヴァ〉の姿があった。

 

「いいじゃないですかー。素晴らしいじゃないですかー。そうですよぉ、お客様といったらこうじゃないとぉ! ああ、そうですねー、特にーーーー」

 

と、耳鳴りのような音を残して、〈ディーヴァ〉の姿がそこから消える。

次の瞬間、〈ディーヴァ〉はAST隊員の1人ーーーー折紙の背後に出現し、まるで仲睦まじい恋人のように馴れ馴れしく肩に手を置き、耳元で囁いた。

 

「ああ・・・・いい、いいですー。ねえあなた、私の歌を聞きたくないですかー?」

 

「・・・・ッ!」

 

折紙がハッと肩を揺らし、レイザーブレイドを振るう。

 

「ああん、いけずぅ」

 

「ッッ!!」

 

ディーヴァが折紙の一撃を避けながら、甘ったるい声を発する。

そのリアクションが折紙の気分を害したのか、追撃をかけるように斬り付ける。だが、それらの攻撃は全て〈ディーヴァ〉に届く前に見えない壁のようなものに阻まれていた。

 

「埒が明きませン。退いてーーーー」

 

『連れないなぁ? せっかく会えたんだから、愛を囁こうよ?』

 

「っ!!」

 

ステージを隔てた反対側に浮遊していた赤毛の女性の背後に、ヴァンパイアが両肩に両手を置いて女性の頬を舌で舐めようとした。

 

「この、化け物めガ・・・・!」

 

しかし女性、ジェシカ・ベイリーは振りほどいて、レイザーブレイドでヴァンパイアの舌を斬ろうとするが、ヴァンパイアは素早く飛翔して回避し、離れた位置で〈ディーヴァ〉と交戦する折紙を一瞥すると、ジェシカを含めた欧米人達の身体をねぶるように見定めた。

 

『(ん~。〈ディーヴァ〉の相手をしているスレンダーなお嬢さんも良いけど、こっちの成熟した女性の魅力が出てる欧米レディ達も実に美味しそうだ)』

 

ヴァンパイアは上唇を舌で湿らせ、ジェシカはヴァンパイアから目を少し外すと、パピヨンと交戦しているウィザード<士道>を見据える。

 

「あれハーーーー」

 

そして通信越しに仲間と会話した後、ウィザード<士道>を睨んで、懐から“ある物”を取り出した。

 

「なっ!?」

 

≪むっ!?≫

 

《あれは・・・・!?》

 

ジェシカ達が懐から取り出した物を見て、士道達は驚きの声を上げた。

何故ならそれは、“士道と同じウィザードライバーだったからだ”。

 

「でハ、お披露目ヨ!!」

 

ジェシカ達はドライバーを腰に巻き付けると、既に嵌めていた『黒いドライバーオンリング』を翳した。

 

[ドライバーオン ナウ! シャバドゥビタッチヘンシン~♪ シャバドゥビタッチヘンシン~♪ シャバドゥビタッチヘンシン~♪]

 

士道のと違って、重く低い声の起動音が響くと、次に赤や青や黄色に緑のリングを翳した。

 

[チェンジ ナウ!]

 

ジェシカ達がそれぞれのリングを頭上や左右に振り上げると、そこから小さな魔法陣が展開し、ジェシカ達の身体を通過すると、ジェシカ達の姿が変わった。

宝石を思わせる造形だが、表面部分は研磨されていない原石を思わせる造形となったフェイス。

肩から突き出た大きな角と左腕が巨大な鉤爪を携えた。

10人中、ジェシカの色が赤。他の隊員はそれぞれ黄色が3人、青が3人、緑が3人ずつ並び、右手には箒のような槍を持って、矛先をウィザード<士道>に向け突撃してきた。

 

「な、なんだよお前達はっ!!? ぐあぁっ!!」

 

ウィザード<士道>はソードガンを構えるが、一瞬早くジェシカの変身した魔法使いの槍がウィザード<士道>の身体を斬り、ウィザード<士道>は転がる。

 

「フフフフ、ミッションスタートヨ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー仁藤攻平sideー

 

士道達が交戦するアリーナから離れた東京都千代田区にある警視庁の『国安0課』の応接室。

仁藤攻平と協力者であり相棒となった崇宮真那は、0課の課長と共に、突如現れた白い魔法使いが水晶を取り出し、そこから士道の現状が映し出され、ジェシカ達が変身した魔法使いの姿を見て、課長が白い魔法使いに向けて口を開く。

 

「これは、一体?」

 

『・・・・『メイジ』。おそらく真那くんのビーストをモデルに作り出した量産型の魔法使いだ。まさか完成していたとは・・・・』

 

「ふん。真那やキマイラ達のビーストを真似てあんな物を作るだなんて、しかも使っているのはジェシカじゃねぇですか?!」

 

「知っているのですか真那さん?」

 

憤慨する真那に攻平が尋ねると、真那が口をへの字にして答える。

 

「何かにつけて自分よりもランクが上の真那に突っかかて来てた高飛車女でやがりますよ。真那がビーストドライバーの保有者になってから、さらに絡んでくる非常にウザったい女でやがります!」

 

『本当に鬱陶しかったのぅ』

 

『身の程知らずな女だったぜ』

 

『高慢ちきで嫁の貰い手の無さそうだったわね』

 

『自分が自惚れているほどの才能がないヤツだった』

 

『うんうん』

 

真那の意見に、思念体のビーストキマイラ達も同意と頷く。

 

「なるほど。所謂自分の優秀性をひけらかしたいタイプですか・・・・。五河士道くんもいざとなれば〈フラクシナス〉が回収するでしょうが、本格的にDEM社が動きましたね」

 

「仁藤。崇宮さん。すぐに天宮市に向かってくれ。もしかしたら我々<警察>が追っている『殺人犯』の情報も手に入るかもしれない」

 

課長の言葉に頷いた二人は、すぐに天宮市に向かおうと応接室を出る。

 

『・・・・・・・・遂に動いたか、“アイザック・レイ・ぺラム・ウェスコット”・・・・!!』

 

白い魔法使いは、DEMの最高責任者を名前を憎々しげに呟くと、水晶に映る『メイジ』達を仮面越しで睨んだ。

 

 




仮面ライダーウィザードの量産型ライダー・仮面ライダーメイジ。DEM所属の魔術師<ウィザード>が変身します。原作ウィザードでは赤いメイジが現れなかったので、色的にもジェシカが赤<火>になり、他の9名は3等分で青<水>、緑<風>、黄<土>になって貰いました。
何故ジェシカ達が変身できたのか、それはいずれ分かります。
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