デート・ア・ライブ 指輪の魔法使いと精霊の恋愛譚   作:BREAKERZ

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宣戦布告の魔法使い

ー士道sideー

 

士道は愕然となった。自らの意思で何人もの人の命を奪ってきた狂三も恐ろしかった。その悪意と殺意が、士道の心臓をどうしようもなくざわつかせた。

だがーーーーこの少々は。目の前の誘宵美九は、明らかに『異質』という思考の一歩前にいた。

その行動に、言葉に、悪意も、殺意もない。人間の暮らしにここまで適応していながら。価値観と死生観と概念が、士道達のそれと乖離し過ぎている。

 

《これは・・・・予想外ね》

 

琴里の声に返答できる余裕のない士道は口を開く。

 

「お、まえ・・・・はーーーー悲しく、ないのかよ? あれだけ自分を慕ってくれる友達が・・・・自分のせいで死んでしまっても」

 

「いえ、悲しいですよー? あの子は私のお気に入りの1人ですしー。でもーーーー」

 

美九は人差し指を顎に当てながら続ける。

 

「ほら、彼女、私の事大好きですしー、“私の為に死ねるなら本望じゃないですかー?”」

 

【貴様の最大の欠点は、『直ぐに感情に流される事』だ】

 

【『感情を押さえられないお子様の性質』があることをを記憶しておけ。我が助言など滅多にしないのだから、“ちゃんと聞いて記憶し、己を律するのだ”】

 

ドラゴンに言われた助言の数々が頭に過るがーーーー駄目だった。限界だった。

血が出んばかりに握りしめた拳をテーブルに叩きつけ、その場に立ち上がる。

琴里の制止の声が響くが、自分を抑えられない。鋭い視線で美九を睨み付け、呻くように言葉を発する。

 

「自分の事を・・・・好きだから・・・・?」

 

「はいー。彼女だけじゃありませんよー? 皆、私の事が大好きなんですよー。私の言う事はなんでも聞いてくれるんですー」

 

「そうか・・・・」

 

士道はユラリと頭を上げた。

 

「ーーーー“俺は、お前、嫌いだけどな”」

 

「・・・・・・・・・・・・・あらー?」

 

美九がピクリと眉を動かす。

 

「傲慢で、不遜で、鼻持ちならない。皆がお前を好き? はッ」

 

右手を持ち上げて、士道は美九をビッと指を突き付け。

 

「世界の誰もがそんなお前を肯定しかしないなら・・・・俺がそれの何倍もーーーー“お前を、お前の行為を、否定する”・・・・ッ!」

 

美九は士道の言葉に数秒間面食らったように目を白黒させてたが、やがて顎に手を当て目を細めて薄く笑みを浮かべたーーーー。

 

 

 

 

 

 

『それで、現役人気歌手に、『天央祭の1日目で多くの人気を取った方が勝ち』と言う、無謀極まりない勝負を受けたと?』

 

「は、はい・・・・」

 

夜。美九の自宅から出た瞬間、転送装置に拾われ、すぐさまブリーフィングルームに通された士織ちゃんモードの士道を待っていたのは、いつも以上に高圧的な妹様の不機嫌そうな顔だった。

そのままブリーフィングルームに設置された円卓の真ん中の床に正座し、周囲のクルー達から視線を浴び、被告として法廷に立っている気分だったが。令音が連れてきた思念体のドラゴン(大きさは士道の半身位の大きさ)を見た瞬間、気分は一気にーーーー。

“断頭台に首を差し出す死刑囚の気持ち”となった。

もはや何時首を斬り落とされるか分からず、顔処か全身から脂汗を流し、喉はガラガラに渇き、恐怖に身体が小刻みに震え、胃がキリキリと痛み出し、心臓は早鐘のように鼓動を早め、思考は恐怖に支配された。

そんな士道の生きた心地ゼロの心境を意に介さず、ドラゴンは士道を見下ろす。

 

『・・・・・・・・・・・・・・・・』

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

ドラゴンは士道は冷徹に見据え、士道はいっそ一思いに殺して、と泣きそうになるのを必死に堪える。

 

『我は言わなかったか小僧? 貴様の砂漠に拡がる砂粒の数ほどある欠点の数々を? それともその低能でトンマで迂闊で愚劣で愚図で無能な脳ミソでは記憶できず忘れてしまったか?』

 

「い、いいえ・・・・」

 

『では、我が言った欠点を全て言ってみろ』

 

絶対零度な上に鋭い氷柱のような雹が吹きすさぶドラゴンの視線と声に、士道は息苦しさを感じながら口を開く。

 

「す、『すぐに感情に流されてしまう所』・・・・。『善意優勢で相手を判断するお花畑脳ミソ』・・・・。『自分で自分を抑えられないお子様の性質』、です・・・・」

 

『ほぅ、一応覚えていたか。・・・・それで、その助言を何で生かせなかったのだ? 口説きに行ったのではなく喧嘩を売りに行ったのか?』

 

「だ、だって・・・・お、おかしいだろ! あいつ、人の命を何とも思ってないんだぞ!? いや・・・・って言うより、あの『声』で皆美九の事が好きになるから、美九の周りには、きっと悪い事を悪いって言ってくれるような人がいなかったんだ・・・・!」

 

『だから貴様がその人間になろうとしたのか? しかしあのタイミングで言う必要は無かったな』

 

「うぐ・・・・」

 

キッパリと言われ口ごもる士道。

 

『〈ナイトメア<時崎狂三>〉も価値観が貴様ら人間とは乖離していただろう。そんなのは封印後にでも矯正できる物だ。重要なのは、あの小娘はなぜ、“男嫌いになり、そんな価値観を持つようになってしまったのか”、だ』

 

「え?」

 

『〈プリンセス<十香>〉達がそうであるように、ヤツも何かしらの理由があって、あのような価値観を持ち、かつ男嫌いになったのではないか? そして、ヤツは〈イフリート〉のように、“人間から精霊になったのか”?』

 

言われて、士道も漸く思案した。

確かに十香も最初に会ったときは周りを敵視し、警戒していた。四糸乃も周りに恐がり、心を閉ざしていた。

よく考えてみれば、美九も精霊になったからそんな価値観を持ったのか、精霊になる前にそんな価値観を持ったのか、確かに考えれば考えるほど、色々な疑問が浮かび上がった。

そんな士道の思考を見通しているのか、ドラゴンは視線を令音に向けた。

 

『解析女。〈ディーヴァ〉の機嫌と好感度はどんな数値だった?』

 

「かなり高い数値だったよ。うまくすれば彼女の身の上話を聞けたかもしれないね」

 

『これらの疑問の糸口や、あの小娘が人間の時のプロフィールを見つけられたかも知れぬのに、この人の助言を直ぐに忘却する『鶏並の記憶力』しかない、頭に血が昇ると目の前の事しか見えなくなって暴走する『猪のような単細胞思考』も、少しは成長したと思って放っておいた我の失敗だな。こんなのに少しの期待を持った我の落ち度だ』

 

どうやらドラゴンは士織と一緒にいたくなかったのは、士道がどれほど成長したかを見定めるためだったようだ。

燦々たる結果だっだが。

 

「そ、そこまで言うのかよ!? お、俺だって少しは成長して・・・・!」

 

『それがこの状況なのか? 圧倒的に不利な状況を作っておきながらまるで反省がないな? 鶏や猪のほうが食料になる分、貴様などよりは遥かにマシな存在だな。貴様は畜生以下と言う事だな』

 

「う、うぅぅぅぅぅ~~~!」

 

何を言っても、どんな言い訳を言っても全否定するようなドラゴンの態度に遂に唸る事しかできなくなった士道であった。

 

『さて、〈イフリート〉よ。この愚図は〈ディーヴァ〉と勝負する事を勝手に決めてしまったが?』

 

「分かっているわよ。愚か者の兄を持つと、妹は尻拭いをやらさせるのよね。本当に、勘弁して欲しいわよ」

 

「・・・・・・・・ぎゃふん」

 

不機嫌な妹に止めを刺され、再びカクンと首を前に倒した。

 

「ーーーー兎に角。受けてしまったものは仕方ないわ。実行委員の雑務はこっちで何とかするから、士道は明日にでもステージに立てるように、出演者と交渉してきなさい」

 

「は、はい・・・・」

 

「ま、士道が美九に啖呵切ったとき、・・・・ちょっとだけ、気持ち良かったしね」

 

琴里が少し呟いた言葉に士道が首を傾げるが、1日目で行われるのは『バンド演奏』だと知り、士道の墓場にまで持っていきたい『黒歴史』を暴露されーーーー。

 

『貴様の人生は本当に恥にまみれているな』

 

「いゃぁあああああああああああああ!! やめてくれぇええええええ!! もういっそ一思いに殺してくれぇええええええええええええええっっ!!!」

 

汚い悲鳴を上げながら床に転がり悶絶する士道を無視したドラゴンが、クルーの1人に近づく。

 

『おい、そこの『二次元好き』』

 

「は、はい! ぼ、僕ですか!?」

 

〈次元を越える者<ディメンション・ブレイカー>〉中津川だった。主に令音くらいとしか会話している姿しか見せないドラゴンに話しかけられ、若干緊張する。

 

『少し、頼みたいことがある』

 

「へ?」

 

ドラゴンの意外な言葉に、中津川は間の抜けた声をもらす。

 

 

 

 

ー燎子sideー

 

「・・・・あんたら、本気?」

 

低く響くような声を発して、燎子が目の前に居並んだ一団を睨め付ける。

陸自天宮駐屯地のブリーフィングルームには今、20名ほどの人間がいた。

燎子の側に座っているのは既存のAST隊員たち。そして対面に並んでいるのは、DEMインダストリーの出向社員たちである。

社員達の真ん中に立ったジェシカが、ニィ、と唇の端を上げてくる。

 

「もちろン。信じられないのなら、署名付きの書類をご用意しましょうカ?」

 

「聞き直すわ。ーーーー正気?」

 

無礼とも取れる燎子の問いに、しかしジェシカは心底愉快そうに笑みを濃くした。

燎子は憮然とした様子で顔を歪めると、手元に置かれた命令書に視線を落とす

そこに書かれていたのは、にわかには信じられない作戦内容だった。

 

ーーーー精霊〈プリンセス〉及び、〈仮面ライダー〉の捕獲作戦。

 

現在、都立来禅高校に通っている少女・夜刀神十香が精霊。そして同校に通う少年、五河士道が、識別名称〈仮面ライダー〉であるという事が確認されたため、これを捕獲対象となっているのである。

とはいえ、ここまでは分からない話ではない。確かに夜刀神十香という少女が精霊〈プリンセス〉に酷似しているという話は前々から聞いていたし、もし霊波反応が確認されたのであれば放っておくこともできない。

〈仮面ライダー〉に関しても、今のところその行動目的や魔法とも言える得たいの知れない力を持ち、なぜ〈アンノウン<ファントム>〉と敵対しているのか等、殆どが謎に包まれている。

前回の〈ディーヴァ〉との戦闘でジェシカ達が使用した〈メイジ〉と同じ魔法を使う事と、精霊を守るべく行動し、〈アンノウン〉と敵対しているのが、現在ASTが知る情報だ。もし彼を捕獲することが出来たなら、聞き出せる情報もある。

 

「百歩譲ってここまではいいとしましょう。私たちとしても、精霊が学校に通ってるだなんて危険な状況を見逃すわけにはいかない。その五河士道が〈仮面ライダー〉ならば、知りたいことは山ほどあるしね」

 

言ってから、書類にダンと手を突く。

 

「でも、これは何?」

 

「これ、というト?」

 

「すっとぼけんじゃないわよ。ーーーー作戦決行日、9月23日土曜日。場所が天宮スクエア天央祭会場・・・・!? 一体何考えてんのよこれは! 顕現装置<リアライザ>は秘匿技術の筈でしょ!? こんな衆目にーーーーいえ、それ以前に、こんなに人の集まる場所で精霊とドンパチするつもり!? あんたら、自分がどんだけ滅茶苦茶なこと言ってるか分かってんの!?」

 

燎子は悲鳴じみた声で叫んだ。

恐らく、その日最も人間が集まるであろう天央祭の会場。そこに押し入り、衆目の前で夜刀神十香と〈仮面ライダー〉を捕獲せよというのである。

しかもその実行部隊はDEM出向社員達のみで構成され、燎子ら既存のAST隊員は周辺の警戒や情報統制なぞと裏方に配置され、現場にすら近づけないのである。これでは彼女らの暴走を止める事もできはしない。

 

「意味が分からないわ!ここまでのことして、一体何のつもりよ!」

 

しかしジェシカは燎子とは対照的に静かに息を吐いてきた。

 

「これはセレモニーなのよ。我々から、親愛なる怨敵への挨拶なノ。ーーーーだから、多少のリスクを負っても、盛大にしないといけないのよ」

 

「は・・・・? 敵? 挨拶? 何を言って・・・・」

 

ジェシカは燎子の言葉を最後まで聞かず、ニヤついた顔のまま席を立った。

 

「別に、納得してもらわなくても構わないワ。作戦に依存があるのであれば上へ訴えテ。もし撤回されたのであれば、我々もそれに従うワ」

 

「あ、ちょっと待ちなさい!」

 

燎子が制止すると、ジェシカは不意に足を止めた。ーーーーが、すぐにその行動が燎子の言葉を受けてのものでないと分かった。ジェシカが、何かを思い出すようにこちらに首を回してきたからだ。

 

「ーーーーそうそう、言い忘れてたワ。今回の作戦、鳶一折紙一曹にはしらせないようにネ」

 

「折紙? 一体なんでよ。あの子はASTの重要戦力よ?わざわざ外す必要はーーーー」

 

「今回の件においてはそれが邪魔になる可能性があるって言ってるのヨ。それに、どうせ既存の部隊の皆さんは実戦に参加しないワ。そう大した影響はないでしょウ?」

 

「っ、こっちの編成にまで口出される覚えは無いわよ」

 

「勘違いしないデ。これは私の一存ではなく上からの命令ヨ。ーーーーではでハ。ご機嫌よウ」

 

言って、ジェシカが部屋を出て行き、他のDEM社員達もそれに続いていった。

 

「ぐ・・・・ッ! 何なのよ、一体・・・・!」

 

燎子は悔しさと無力感を拳に込めると、一気にテーブルに叩き付けた。正直あの高慢ちきなジェシカの横っ面にこの拳を叩き込みたいのを必死に堪えたのだ。相当の胆力を使ったとも言える。

その際、そこに置かれていた書類がひらひらとその場に舞い、うち数枚が床に落ちる。

とーーーーそこで。

 

「・・・・ん?」

 

『五河士道』と名の記された書類に視線を落とした燎子は眉根を寄せた。

 

「・・・・そういえば、士道って、どこかで・・・・」

 

『士道』なんて割りと見ない名前を呟いたところで、先ほどのジェシカの言葉が思い出される。

 

「折紙が・・・・参加禁止ーーーーって、あ」

 

燎子は目を見開いた。

五河士道。それは、折紙が言っていた『恋人』の名前だった。

 

 

 

ー真那sideー

 

「ハァッ!? 兄様がDEMの捕獲対象にされた!? どういう事でやがりますか仁藤さん!!」

 

「どういう事と言われましても、ASTから掴んだ情報だとそうなのですよ」

 

真那は仁藤から聞かされた事に驚くと、仁藤の胸ぐらを掴んでグワングワンと揺すったが、当の仁藤は揺すられながらも冷淡に真那に告げると、真那は仁藤の胸ぐらを離して、ある場所に向かおうとするがーーーー。

 

「ちょっとお待ちを真那さん」

 

「はぐッ!」

 

真那のポニーテールを掴んだ仁藤が引くと、真那の首がカクンっと上に向き、首の関節がグギッと、嫌な音を響かせるが、真那はストップした。

 

「まさかこれからASTに殴り込みかけて、DEMの連中を始末しようと思ったんですか?」

 

「あたたたた・・・・。よく解ったでやがりますね・・・・」

 

首をさする真那に、仁藤は、はぁッとため息を漏らした。

 

「今貴女がASTに行ってしまったら、DEMは貴女をも狙って来ます。唯でさえ貴女はウェスコットにとっては“貴重な存在”なので、状況がややこしくなります。迂闊に行動するのは逆に危険です」

 

「そんなみみっちいことを・・・・!」

 

「貴女の行動1つで、国安0課とDEMが戦争する可能性だってあります。貴女1人ならともかく、国安の皆やその周りの人間にも危害が及ぶ事はしないでください。DEM社がどんな非合法で卑劣な手段を用いてくるのか、わからない貴女ではないでしょう?」

 

「ぐぅ~・・・・」

 

唸る真那を宥めるように、仁藤は真那の頭を優しく撫でる。

 

「こっちは幸いにも、ヤツらが動き出すのは天央祭1日目の天宮スクエアだと分かっているのですから、後手に回ることはありません。室長に連絡し、作戦を練りましょう。大丈夫です」

 

「・・・・分かりました」

 

色々納得できないが、世話になっている0課の皆に危険が及ぶのは容認できないので、渋々であるが納得するのであった。

 

 

 

 

 

 

ー士道sideー

 

美九との勝負の約束から一晩が過ぎた放課後。

女装士道の士織ちゃんを殿町が『運命の出会い』と称したり、士織に変身するために女子トイレに行くと、亜衣麻衣美衣トリオに見つかったりしたが、〈フラクシナス〉で士織ちゃんモードに着替えた士道は、1日目のステージふの出演交渉するために、4階の音楽室前にやって来たが、どうやって『バンド演奏』に参加するか悩んでいると、背後から両肩をガッと捕まれた。

 

「漸く見つけたぞ、シドー。一体どこに行っていたのだ」

 

「もう離さない」

 

「十香に・・・・折紙? な、何でこんなところに・・・・」

 

「ウム。突然シドーが消えたので『良き友人(ドラゴン)』に聞いてみたら、ここにいることを教えられてな。手助けしてやれと言われたのだ!」

 

「えっ? アイツ(ドラゴン)が・・・・?」

 

折紙のいる手前、ドラゴンの名前を迂闊に出すわけにはいかないので、精霊達にはドラゴンの事は『良き友人』と呼称するようにドラゴン自身から伝えられている。

 

「(アイツ、なんやかんやで手助けを・・・・)」

 

「シドー1人にするとロクでもない事しかしないしできないから、私が手助けするのだぞ、と言われたのだ!」

 

「あ、そう・・・・」

 

一瞬だけドラゴンに対して感動しそうになった感情が、一気に氷点下にまで下がった。

 

「私は夜刀神十香に拐われたのではないかと思った。無事で良かった」

 

二人は互いに視線を合わせ、フン、とそっぽを向く。

すると、音楽室の扉が開き、見知らぬ女子生徒二人が怒った様子で出ていき、音楽室を覗くと。

 

「けッ、ベーケヤロィやる気の無い奴ァこっちから願い下げだってんでぃ!」

 

様子から察するに、積極性の違いからバンドを組んでいた友達と仲違いしてしまったらしい。

 

「もう、亜衣ったら・・・・どうすんのよ、もう私達3人しかいなくなっちゃったじゃない」

 

「マジ引くわー。楽器は兎も角、ボーカル不在は深刻ね。ーーーーと、ん?」

 

美衣が音楽室の前にいた士道と十香と折紙の姿を目にし、眉を上げると、次の瞬間には、その情報は亜衣、麻衣にも伝播しーーーー。

 

「確保ォ!」

 

叫んで、3人が士道達に襲い掛かってきた。

 

「うぎゅっ!!」

 

が、亜衣は折紙の華麗な関節技で首の関節が横になってしまったが。

 

 

 

ー四糸乃sideー

 

≪すまんな〈ハーミット〉。我は小僧の身体からそんなに長い距離を離れられんのだ≫

 

「い、いえ、気にしないで下さい、ドラゴンさん」

 

『そうそう♪ よしのん達も音楽が聞けて楽し~いし♪』

 

その頃ドラゴンは、士道の体内から四糸乃を通して、中津川に用意してもらった、『誘宵美九のCD』や、年末に行われる『赤白歌決戦』や『日本レコード大戦』に出場した歌手達のCDを聴いていた。

J-POP、演歌、ヒップホップ、邦楽ロック、アニソン、若手歌手やベテラン歌手、アイドルグループ等の歌を聴いていると、四糸乃とよしのん、プラモンスター達(ゴーレムも来ていた)は歌や音楽を楽しみ。

 

≪・・・・・・・・・・・・・・・・≫

 

ドラゴンは真剣に静聴していた。

まるで、これらの音楽を脳内に溶け込ませるように。

そして最後に『誘宵美九のCD』を聴くと、四糸乃達は楽しそうに聴いていたが、ドラゴンはーーーー。

 

≪(・・・・・・・・こんな物か)≫

 

“聴く価値ナシ”と言わんばかり、鼻で息を吐くと。

 

≪(“こんなくだらん音を、素晴らしいとほざくのか、人間は?”)≫

 

四糸乃達に聴かれないように、内心吐き捨てるのであった。

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