デート・ア・ライブ 指輪の魔法使いと精霊の恋愛譚 作:BREAKERZ
暗い会場の中で、唯一光が溢れるステージ。埋め尽くされた観客席。注がれる視線。それら全てが一体となって、士道の手足に絡み付いてきた。
「・・・・成る程、こりゃあ、すげえな」
唇をぺろりと湿らせる。この日の為の訓練は積んできた。
だがーーーー違う。明らかに、違う。本番の空気。本物の緊迫感。その威圧感が、容赦なく士道の精神に刃を突き立てる。
ーーーーしかし。
「・・・・はは」
士道は小さく笑った。
≪なんだミジンコ生命体。あまりに場違い過ぎる場所に立って遂に狂ったか?≫
「(違ぇよドラゴン。確かにこんな大舞台に立ったのは生まれて始めてだけどさ。この極限状態の感覚と空気。初めて『あの悪魔達』と戦った時の事を思い出してさ)」
初めて『魔法使い<ウィザード>』として戦い始めた士道は、『三人のファントム』と戦った。その時もこんな風に本物の緊迫感と威圧感、そして殺気に満ちた戦場の雰囲気を肌で感じた。
そして、十香達精霊との命賭けのデート。幾度となくくり返してきたそれが、いつの間にか士道の心臓を鍛え上げていたようだ。
≪ふん。ノミの心臓がネズミ並に成長したようだな。やってみせろ≫
「(ああ!)」
ドラゴンに応えた士道は、ギターを提げたままステージ中央のマイクスタンドの前に立ち、所定の位置にいる仲間に視線をやると、十香と夕弦と耶俱矢が返すように頷く。
「くく・・・・よし、では奏でようか、冥府へと誘う死の旋律を!」
耶俱矢がドラゴン曰く、V系ロックバンドなら通じるセリフを言いながら、カッ、カッ、とスティックを打ち鳴らす。
それに合わせて士道がギターを弾き、夕弦がベースを、十香がタンバリン、シャンシャン♪と鳴らし始める。
軽快な伴奏。ピックが練習通りに動き、踊るように弦を走り曲調が奏でられ、緊張感が徐々に高揚感に変化していく。
だがーーーー異常が起こった。
「・・・・え?」
演奏中、士道は眉をひそめる。
伴奏を終えたのにーーーー歌が流れてこないのだ。
士道がそれを感じると同時に、インカムから琴里の焦った声が響いてくる。
《士道! 緊急事態よ! 天宮スクエアの電子配線が『何者』かの攻撃によって一部破損、用意していた音源が使えないわ!》
「なーーーーそ、それじゃ、一体」
≪(ちっ、あの無表情娘。やるならこっちの迷惑にならないようにやれ!)≫
《とりあえず生で歌うしかないわ! 今マイクのスイッチを入れるから!》
「は・・・・そ、≪余計な事をくっちゃべるな! マイクに拾われるぞ!≫っ!」
ドラゴンに言われ、声を抑えるが、演奏は進む。
反復練習を繰り返してきた甲斐があったのか、演奏は何とかできるが、歌詞の方が全くでてこない。
前列の客が訝しげに首を傾げる。
「ぁーーーーぅ、あ・・・・」
今までとは比較にならない緊張に縛られ、歯が鳴り、足が震え、視界がボヤキ始める。
このままでは美九に敗北してしまう。が、その思考が更に焦りを加速させ、歌が、声がでてこない。段々と呼吸すらおぼつかなくなった
その時ーーーー。
「ーーーーまるで月と太陽♪ 重なる時の衝撃!♪ 誰だって奇跡信じてみたい♪」
何処からかーーーー歌が聞こえてきた。
「え・・・・? 十・・・・香?」
顔の位置を動かさないまま、視線を声がする方に向けると、マイクに拾われない位の声色でその名を呼んだ。
士道の右手に立った十香が、タンバリンをリズミカルに振りながら歌っていた。
しかも驚くべき事にーーーーその歌は。
「時のまま流れる♪ 手も足も出ないルーティン♪ ねぇそれじゃ息も詰まっちゃうから♪」
「凄・・・・ぇ」
思わず聞き惚れてしまうくらいに、いや、技術的な『上手い』でも旋律に忠実にでもない。アレンジを加えた歌い方だが、その声は、歌は、聞いている者の心を不思議と高揚させる。
「きっと必要~不可欠の♪ Energy~♪ 心の為♪」
その十香の顔には、大舞台の気負いも、美九への敵愾心も、大仕事を背負わされた義務感も、何も感じなかった。
ただ、楽しそうに。
仲間達と一緒に演奏できる事が、嬉しくて楽しくてたまらない様子で。
≪『音』を『楽』しむと書いて『音楽』。それを〈プリンセス〉は自然体で表現している。練習中、ずっとあんな顔だったな≫
そうだった。士道はずっと、上手く演奏を、美九に勝つ等と、自分を追い込む事しかできなかった士道と違って、十香はずっとあんな顔だった。
音楽を楽しんでいる内に覚えたのだ。
≪見事だ。〈プリンセス〉!≫
「・・・・は、は、は」
ドラゴンと士道は自然と笑う。
士道の身体から重圧が消え、指の動きが驚くほど軽い。それを意識した瞬間、士道は弦を今までで1番掻き鳴らす。
「(こんな教科書通りの演奏じゃ、十香に見合わねぇ!)」
単純にそう思った。
曲調も滅茶苦茶だろう。
だが、今ならば、違う。
なぜなら今、士道は1人ではないから。
「「っ!」」
士道の暴走を即座にくみとった耶俱矢と夕弦が、見事にフォローし、曲調の変化を感じたのか、十香がチラっと士道達を一瞥し、輝くような笑顔を向ける。
「夢と予想いい意味で裏切ってくれるもの~♪」
瞬間ーーーードクン、と心臓が跳ね、士道の頭の中に、密かな欲求が現れた。それは単純な欲求。
「(なぁドラゴン・・・・)」
≪ん?≫
「(ーーーー十香と、歌いたい!)」
≪フッ、ならば・・・・この舞台で歌え! 小僧!!≫
「(おう!)」
「「理想は常に高く♪ 目の前で届かない♪ だけどショーは待ってくれない♪ 幕が上がれば演り切る終わりまでーーーー♪」」
士道が十香と声を合わせて歌い始め、十香は歌い続けながら驚いたように士道達を見るが、それも一瞬で、先ほどよりも、もっともっと嬉しそうに声を弾ませる。
≪〈ベルセルク〉達!!≫
ドラゴンの一声に、耶俱矢と夕弦も頷く。
「「3,2,1 SHOW TIME!」」
「「MAGIC TIME♪ トリックじゃない♪ 魔法を披露ハンパないぞ!」」
八舞姉妹の合いの手に続いて、十香と士道の歌声がさらに弾んでいく。
「「Mahaluto Hallelujah!♪」」
「「記憶のルーツ♪ 潜り込んで♪」」
十香に置いていかれないように喉を震わせると、先ほどまるで出てこなかった歌詞が唇から紡がれる。
「「希望救い出そう♪」」
「「Show Time♪」」
歌っている間、美九との勝負の事なんて全く忘れ、ただ単純な1つの感情に満たされる。
≪♪~♪~♪~♪≫
ドラゴンですら、身小刻みに揺らしてハミングしていた。
「「Life is ショータイムとびきりの♪ 運命♪ ドライヴ♪ ムチャしても♪」」
「「Mahaluto Hallelujah!♪」」
「「昨日今日明日未来♪ 全ての涙をーーーー♪」」
楽しい!
ーー楽しい!
ーーーー楽しいッ!!
「「Show Time♪」」
「「宝石に変えてやるぞ♪」」
「「「「本気<マジック>か!?♪ 本気<マジ>で!?♪ 本気<マジ>だ!!!!♪ ShowTime♪」」」」
四人の歌が重なり、会場の観客達もテンションフォルテッシモのフルスロットルとなった。
「「「「本気<マジック>か!?♪ 本気<マジ>で!?♪ 本気<マジ>だ!!!!♪ ShowTime♪」」」」
・・・・気づいた時には、もう曲が終わり、士道達の身体には爽やかな汗で濡れていた。
「シドー!」
と、十香が目映い笑顔で走りより。
「手!」
「お・・・・?」
≪ハイタッチだ馬鹿者≫
「おう!」
十香とハイタッチしたその瞬間ーーーー。
士道の耳に会場の拍手と大歓声が震えた。
ー折紙sideー
士道達が熱唱をしている天宮スクエア上空では、〈ホワイト・リコリス〉を纏った折紙が単身、〈メイジ〉を6人、〈バンダースナッチ〉を5機撃墜していた。
「・・・・・・・・」
折紙は前回の或美島で遭遇した人形が、今さっき撃墜したDEMインダストリーの〈バンダースナッチ〉と同類機である事を見抜き、修学旅行でこの人形達が現れた事も、それを上に報告しても黙殺されたのも頷ける。
「・・・・士道には、指1本触れさせない」
ギリと奥歯を噛みしめ、脳内で〈ホワイト・リコリス〉に指令し、さらに2機の〈バンダースナッチ〉を撃墜した。
「クソッ、クソッ、一体なんのよあなたハ!」
メイジ<ジェシカ>がヒステリックに喚き散らすが、折紙はそんな様子に欠片も興味なく、〈メイジ〉と〈バンダースナッチ〉を次々と撃墜し、このまま一気に全滅にまで行きそうなった。
だがーーーー。
「・・・・っ!? くーーーー」
勝利の女神は、最後の最後に折紙に微笑んでくれなかった。〈ホワイト・リコリス〉使用の活動限界が来てしまったのだ。
「・・・・ン? ーーーーはハ。はははハっ! なるほど、そういうことカ。そろそろタイムリミットみたいネ。“優秀な魔術師<ウィザード>さン”」
折紙はジェシカの言葉です目を細めるが、鼻から流れる血と強烈な頭痛と目眩に襲われる。
「ふ・・・・ははハ! 惜しかったネェ。実に惜しかっタ。でも、そうなったらもうお終いヨ」
メイジ<ジェシカ>が笑うと同時に、その後方の空から、おそらく増援であろう新たな〈バンダースナッチ〉が現れ、ジェシカは仮面越しでも分かるほど、勝ち誇った声を発する。
「ふフ。さぁ形勢逆転ヨ。よくもやってくれたわネ。ーーーーただで済むと思うなヨ」
「・・・・く」
折紙は激しい頭痛と段々と霞んでいく視界の中、ギリと歯をかち合わせた。
ー士道sideー
天宮スクエアセントラルステージでは、1日目の出演者達が勢揃いし、投票が終わり上位校が発表されていた。
そしてーーーー。
『第2位!ーーーー1歩及ばず! 来禅高校!』
「・・・・!」
降り響く拍手と歓声の中、ニイと唇を歪める美九の姿を、士道は視界に入れた。
士道達が2位ならばーーーー。
『そして、ステージ部門第1位を栄冠を手にしたのは・・・・やはり強かった! 王者・竜胆寺学院ッ!!』
『おおおおおおおおおおおおおおおおーーーーッ!!』
天央祭、一日目結果発表。
天央セントラルステージは、大歓声に包まれた。
それもそのはずだ。今、全てのステージ、および投票の結果が発表されたのである。
そして結果としてーーーー士道達は、ステージ部門で敗れた。
「し、シドー・・・・」
士道が放心していると、十香がモニタに表示された順位に視線をやりながら声を発してきた。その表情は不安の色に染まり、僅かに指先も震えている。
「ま、負けてしまった・・・・のか・・・・? わ、私が、歌ったから・・・・」
「!ち、違う!十香のせいなんかじゃない!」
士道が首を横に振るも、十香の今にも泣いてしまいそうな表情は晴れなかった。まるで士道の言葉が聞こえていないかのようである。
「ふふ、ふふふふー・・・・ほうら、ね。私の言った通りでしょう? 仲間なんかにからこんな事になるんですよー」
「美九・・・・」
未だ続く司会者のアナウンスをBGMに、美九が含み笑いで近づいてくる。
「何にせよー、約束は約束ですよー。士織さんと、士織さんが封印してという精霊さん5人、全員私の物です」
「くーーーー」
≪・・・・オイ小僧。少し我にその口を貸せ≫
「(ドラゴン? どういう事だ?)」
≪良いから少し貸せ。今まで黙っていたが、この愚かで不快な小娘に言っておきたい事がある≫
「(・・・・分かった)」
すると今まで黙っていたドラゴンが士道の口を借りて、美九に話しかける。
「うふふー。そう怖がらないで下さいよう。ちゃぁんと可愛がってあげ「≪勝ち誇るのは早いぞ。このマヌケな小娘≫」ーーーーえ?」
士道の以外な言葉に、美九は訝しそうな眉をひそめる。
「≪何も分かっていない。お前は何も分かっていないな。これぞ『管中窺天』。『木を見て森を見ず』。お前は目先のステージの事に捕らわれ、本質をまるで理解していないなぁ? 歌姫様≫」
「え?」
と。
ドラゴン(With士道)がそう言った瞬間、司会者が今までで一番大きな声を張り上げた。
『ーーーーと、いうわけで!天央祭一日目の総合一位は、来禅高校に決定いたしましたぁぁぁぁぁぁッ!!』
「・・・・・・・・へ?」
美九が間の抜けた声を漏らし、呆然と目を丸くするが、それは士道達も同じだった。ドラゴンだけは当然と言わんばかりに鼻息を吹いており、司会者がその疑問に答えるように言葉を続ける。
《なんとも意外な結果になりました。ステージ部門では他を寄せ付けない圧倒的なパフォーマンスで1位を掻っ攫った竜胆寺ですが、どうやら今年は展示部門や模擬店部門が振るわなかったようですね》
「え・・・・? え・・・・?」
美九が、意味不明と言った様子で顔を左右に振る。
《その隙を、ステージ部門2位に付けた来禅が衝いたという訳ですね。特に模擬店部門のメイドカフェの得票数が凄まじい! 審査の際に物議を醸したという話ですが、実行委員の熱心なプッシュが功を奏した形になりますね!》
≪あの三馬鹿娘共、とんだジョーカーだったな≫
「は、は・・・・」
士道は力無く笑った。
まさか、こんな場面で亜衣麻衣美衣トリオに助けられるだなんて、思いもしなかった。
「シドー!」
十香が表情をガラリと変えて飛び付いてきた。それから一拍遅れて耶倶矢と夕弦も左右から同じように首に手を回してきた。
「かかか! 当然だな! 我らの手にかかればその程度容易いものよ!」
「同調。その通りです。夕弦達に敵はありません。ハイパームテキです」
そうしてもみくちゃにされる内、士道はようやく実感が胸に広がっていくのを感じた。
ーーーー勝った。
勝った、のだ。
美九に。竜胆寺に。
《ーーーーそれでは、今から表彰を行います。代表者は前に出てきて下さい》
司会者がそう言い、三組の出演者を前方に促す。
がーーーー。
「・・・・ふざけないでください。何です、これーーーー」
背後から、震えた美九の震えた声が聞こえた。
《あ、あの、誘宵さん?》
司会者の呼び掛けにも答えず、美九はフラフラとした足取りで前方へ歩く。
「可笑しいでしょう・・・・? 私が負ける訳ないじゃないですかー・・・・」
美九はフラフラと放心した足取りで、前方へと歩いて行った。
「私はーーーー誘宵美九なんですよ?私は・・・・私は・・・・ッ」
「・・・・美九」
士道は心拍を押さえて、静かな声で呼びかけ、歩いて行った。
が、そこで美九がビクッと身体を震わせ、往生際悪く声を発する。
「やめてよ・・・・わ、私は勝ったもん・・・・ちゃんとかったもん! あの子達が・・・・あの子達がちゃんとしてないから!」
「・・・・そんなこと言うもんじゃないぞ。竜胆寺の生徒だって、一生懸命やったはずだ」
「し、知らない!そんなの知らないです!私は・・・・私は、勝ったのに・・・・!」
≪小僧。口を貸せ≫
「(ああ)」
士道は再びドラゴンの言葉を代弁する。
「≪確かに貴様は、“歌では勝った”。だが貴様は“自分1人が活躍すれば全てに勝てるだ”のと思い上がっていた。その自惚れとチャチな慢心と驕りが敗因となった。だが、コイツらは『個人』ではなく、『チーム』。つまり『仲間』で挑んだのが勝因となったのだ≫」
「・・・・な、かま・・・・」
美九が忌々しげに呟き渋面を作り、ドラゴンの言葉に続けるように士道が口を開く。
「ああ。俺たちは確かに、歌でお前に敵わなかった。・・・・でも、カフェや、他の出展物を用意してくれた生徒たちが、俺たちに足りない部分を埋めてくれたんだよ」
「な、何よ・・・・それ。仲間・・・・? ははっ、人間風情が、そんな事、出来る訳・・・・?」
「出来たんだよ。そんな人間風情の小さい力でも、共に創った絆で一つに繋がれば、大きな力になる」
≪っ、おいカマドウマ。それ以上は・・・・!≫
ドラゴンが段々と美九に不穏な気配を感じて士道を止めようとするが、士道は停まらず声を発する。
「な? 人間って・・・・面白いだろ」
士道がそう言って笑う。
すると美九は、俯かせていた顔をゆっくりと上げる。
「仲間? 絆? 教えてあげます。そんなもの、私の前じゃ無意味だって・・・・ッ!」
そして顔をバッと上げると、両手を大きく上げた。
「ーーーー〈破軍歌姫<ガブリエル>〉!!」
美九が会場全体に響き渡るような絶叫を上げたかと思うと、次の瞬間、美九の足元の空間に放射状の波紋が広がっていった。
その声に呼応するように、まるで聖堂に設えられているかのような、巨大なパイプオルガンが顕現した。
≪〈天使〉を出しおったか!?≫
周りもそれが演出の類でない事に気付いたらしく、辺りをどよめきが包んでいく。
だが美九はそれらを意に介する事なく、光り輝く鍵盤を手元に顕現させた。
その〈天使〉が一体どのような意図で呼び出されたのかは分からない。だがそれが、その場にいる人間にとって破滅的な状況を作り出すであろう事は容易に想像が付いた。
≪どうやら、このガキの地雷を踏んだようだな!≫
「美九! 待て! 話を聞いてくれっ! 俺はーーーー」
「歌え! 詠え! 謳え! ーーーー〈破軍歌姫<ガブリエエエエエエル>〉ッ!!!」
士道が止めようと声をあげるが、美九は聞く耳を持たず、両手の指を広げると、自分の周囲に広がる光の鍵盤にその指を叩きつけた。
ーーーーヴォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオーーーーーーーーッ!!
ーフェニックスsideー
「ハハハハハハ! 始まるぜ! おいグレムリン!」
「もう、『ソラ』って呼んでよぉ。あ~ぁ、お祭りもここまでかぁ」
天宮スクエアから離れたビルの屋上にいるユウゴとソラは、メイジ達と交戦する折紙の様子の眺めながら、スクエア内から感じる〈天使〉の気配を感じて、ユウゴははしゃいだように騒ぎ、それなりに天宮祭を楽しんでいたソラは祭りの終了を名残惜しそうに呟いた。
ユウゴの身体から赤い魔力が、ソラの身体から緑色の魔力が溢れ出て、フェニックスとグレムリンに変貌した。
ーパピヨンsideー
「・・・・・・・・」
人間体のパピヨンは〈天使〉を顕現させた美九の様子を見据えていると、その肩に指を這うように触ってきた者が現れた。
パピヨンが振り向くとソコには、ヴァンパイアの人間体がにやけ笑みを浮かべて現れた。
「フフフ。待たせたねパピヨン。鬱陶しい羽虫の駆除に思いの外手間取ってね。さて、そろそろ始まるよ、次のステージが! 君達も、私の為に戦ってね『恋人達』」
『はい。ヴァンパイア様・・・・』
まるで美九に操られた人間達のように、意思の無い無機質な瞳で頷いた。
思ったんですが、美九って実は精神年齢が精霊達の中で一番幼いのでは?
そして次回、美九とフェニックスの暴走と、ヴァンパイアの特殊能力と、上手くすれば地龍が登場するかも知れません。