デート・ア・ライブ 指輪の魔法使いと精霊の恋愛譚   作:BREAKERZ

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今回で、遂に四大ドラゴンが降臨!


四竜・降臨

ー士道sideー

 

士道は声を発するのを忘れ、業火を纏った大剣を振り回すフェニックスの猛攻と、それを正確に捉え、捌く十香?。

人ならざる者達の凄まじい殺気と敵意と闘気のぶつかり合いに押し潰されそうだった。

 

『ヒャッハァアっ!!』

 

フェニックスが叫ぶと、紅蓮の翼を広げ、ソコから羽根が散り、散った羽根が炎の矢のように十香?を突き刺そうと迫った。

 

「む・・・・」

 

十香は何十とある炎の矢に襲われ、爆炎に呑まれていった。爆炎が収まると、ビルの壁と天井が上層階ごと抉られ、ジリリリと警報が鳴り、スプリンクラーが始動した。

 

「十香・・・・十香!?」

 

スプリンクラーの水に濡れながら名を呼び、辺りを見回すも、十香?の姿は見えなかった。

 

≪何処を見ているド阿呆、上だ≫

 

ドラゴンの言葉に目を向けると、見晴らしの良くなったビルの上空。月を背にしながら、ボンヤリと輝くスカートを靡かせた十香?が、悠然とこちらを見下ろしていた。恐らく剣で防いだのだろうが、その身体には傷らしきモノは見受けられない。

 

「・・・・なるほど、口だけではないようだ」

 

十香?は静かに目を細めると、そのまま剣を握った右手をゆっくりと持ち上げた。

 

『面白ぇっ!』

 

が、フェニックスも黙って見ていない。再び紅蓮の翼を広げると、瞬きの間に十香?に肉薄し、胴を横薙ぎに斬りつけようとする。

 

「ふん」

 

十香?は微かに眉をひそめると、何も持っていない左手でその一撃を止めるが、その手にフェニックスの炎が焼き付き、ジュワ~、と焼ける音が鳴り響くと、手を覆っていた長手袋が燃えて、その細い腕を炎が包もうとしてしていた。

だが。

 

「ーーーー〈暴虐公<ナヘマー>〉」

 

自らの左手が燃えているにも構わず、十香?が冷徹な声でそう言うと、高々と月に掲げた剣ーーーー〈暴虐公<ナヘマー>〉を振り下ろした。

フェニックスではなくその後ろーーーー未だビルの上にいた、アイザック・ウェスコットを目掛けて。

ブン、と言う風を切る音がが鳴り、それに続いて、ミシ、と言う空間が軋むような音が響く。

が、ウェスコットの前に白銀の影が現れる。

次の瞬間、十香?の振るった剣の延長線上に、凄まじい衝撃波が走った。

 

「う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!?」

 

「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーっ!」

 

その余波に煽られる士道と美九が悲鳴を上げるが、その美九の悲鳴に霊力が込められていたのか、音の障壁となって衝撃波から守ってくれたようだ。

 

「だ、大丈夫か、美九・・・・!」

 

「え、ええ・・・・、って、別に私、あなたを助けた訳じゃありませんからねー! 偶然ですからねー!」

 

美九は不本意極まると言った顔で目を背けた。

ビルの床に深々と刻まれたクレバスを見て、士道は顔を青くする。

 

「これが・・・・『反転』した・・・・精霊ーーーー」

 

士道は空に浮かぶ黒いシルエットを見上げながら戦慄する。

と、ガラッと何かが崩れる音がして、ウェスコットとメデューサとグレムリン、そして彼らを守るように瓦礫の影から、エレン・メイザースが現れた。どうやら、十香?の一撃がウェスコットを消す前に、駆けつけて随意領域<テリトリー>で防いだようだ。

 

「すまない。助かったよ、エレン」

 

「いえ。今あなたに死なれる訳にはいきません」

 

『あれ? でもエレンちゃんって、他の精霊ちゃん達と戦ってたんじゃないの?』

 

「・・・・何やら異形の怪物となったベイリーと、ASTが討ち漏らしたインプ達と交戦に入り、隙が生まれたのでこちらに来たのです」

 

グレムリンに冷酷な視線による応対をした後、交戦しているフェニックスと十香?に視線を向ける。

 

「どうかね、〈プリンセス〉は?」

 

「ええ、途中から拝見していましたが、以前戦った時とは比べ物になりません。あの時は少々拍子抜けしましたが、これならばAAAランクと言うのも納得です」

 

「ほう。それでーーーー勝てるのかね?」

 

「無論です。私に勝てる生物など、この世界に存在しません。アイク。貴方は安全な場所に・・・・」

 

微塵も逡巡もなく返すエレンは、レイザーブレイドを携え、スラスターを駆動させて剣撃を繰り広げる十香?とフェニックスに向かっていった。

 

『あん? テメェは、あの時の羽虫か?』

 

「ええ。前回の続きと行きましょう」

 

「また目障りな・・・・!」

 

フェニックスと十香?も、エレンと交戦を始めた。

それを眺めるウェスコットとグレムリンとメデューサ。ウェスコットは顎に手を当てると、フウと息を吐いた。

 

『それでどうするんだいMr.ウェスコット?』

 

「そうだねえ。〈プリンセス〉を反転させる事ができただけでも上々だ。それにーーーー予想外の顔にも会えたしね」

 

言って、ウェスコットが士道の方に視線を寄越してくる。士道はピクリと肩を揺らした。

 

「ーーーー名残惜しいが、我々はここで失礼させて貰うとするよ。生き延びたならばまた会おう。『古の魔法使い』、タカミヤーーーーいや、イツカシドウ」

 

「え・・・・?」

 

≪っっ・・・・!≫

 

ウェスコットが発した言葉に眉をひそめる。

タカミヤーーーー嵩宮。“それは士道の実妹を自称する真那の姓であった”。

 

「ちょっと待てアンタ、俺の事を知ってるのか・・・・!?」

 

「いいや、知らないさ。ーーーー“イツカシドウの事はね”」

 

言い終わると、ウェスコットはメデューサに視線を向けると、メデューサはフンっと息を吐き、魔法陣を展開させると、ウェスコットはその中をくぐり、続いてグレムリンとメデューサが入っていくと、魔法陣は消えてしまった。

 

「あ・・・・っ、お、おい!」

 

叫ぶも、その声が届く筈もなく、空しく響くだけだった。

上空の戦闘を見上げながら、美九が小さい声で問うてくる。

 

「・・・・ちょっと、あなたの知り合いのあの子、助けに行く必要も無いくらい激強じゃないですかぁ。一体何がどうなってるんですー?」

 

「そう言われても・・・・俺もまだ頭が追いつかねぇんだよ」

 

「・・・・それ以前に、あなた胸を貫かれましたよねぇ? なんで生きてるんですー?」

 

「それは・・・・まあ、特異体質でな。後で説明する・・・・さてと」

 

士道は『フレイムドラゴンウィザードリング』を指が嵌めて、バックルに翳した。

 

[フレイム! ドラゴン! ボゥー!ボゥー!ボゥーボゥーボォー!!]

 

フレイムドラゴンへとチェンジし、仮面を展開したウィザード<士道>は、背後にいるヴァンパイアとパピヨンに視線を向ける。

 

「メデューサ達も消えたんだから、お前達も退散してくれると助かるんだけど・・・・」

 

『はっ! 何故私がゴミの助けにならねばならない? それに、あの〈プリンセス〉も好ましいねぇ。身持ちの固そうな女性が屈服する姿は、実にそそるんだよ』

 

十香?を見上げ、舌舐めずりするヴァンパイアに、士道は嫌悪感を抱き、美九ですら貌を歪める。

 

『さて、邪魔はさっさと・・・・っ!』

 

『・・・・・・・・』

 

ヴァンパイアとパピヨンが後方に下がると、2体のいた地点の上空から焔と2つの竜巻が襲った。

 

「士道!」

 

「フン! 何やら佳境のようだな!」

 

「参上。クライマックスです」

 

「琴里! 耶倶矢! 夕弦!」

 

「えっ? えっ?」

 

ウィザード<士道>と美九の前に着地したイフリート<琴里>とベルセルク<八舞姉妹>に、ウィザード<士道>は安堵したような声を、美九は仮面ライダーに変身した八舞姉妹に戸惑いの声を漏らした。

 

「大体の状況はドラゴンが教えてくれたわ。まったく、DEMの責任者は一体何を考えてんのよ。世界を滅ぼしたい破滅願望主義者なわけ?」

 

「しかし、あれが誠に十香とは、我が魔眼に映してもなお信じられんわ」

 

「困惑。あんな冷たい目をした少女が十香だとはとても信じられません・・・・」

 

「耶倶矢、夕弦・・・・。お前達、正気に戻ったのか?」

 

「ふっ、どうやらその女の魔性の歌声が我らの心を縛っていたようだが、颶風の鎧を纏いし我らはそのような妖術に操られはせん!」

 

「解説。本当はドラゴンの口車にのせられる形で変身してみたら正気に戻ったのです。四糸乃も真那と一緒に間もなく来ます・・・・」

 

「ドラゴンが・・・・!?」

 

「・・・・・・・・」

 

美九が不安そうな顔をする。自分に操られていた事を知ったら、目の前の少女達は自分をーーーー。

 

「耶倶矢、夕弦。今は・・・・」

 

「みなまで言うでない」

 

「承諾。今はこの状況の打破を優先しましょう」

 

「え?」

 

と、思っていたが、どうやら優先順位は違うようだ。

ウィザード<士道>は十香?を、イフリート<琴里>とベルセルク<八舞姉妹>がヴァンパイアとパピヨンを見据える。

 

「琴里。あの十香も、霊力を封印できるのか?」

 

「・・・・分からないわ。例が無いもの。でもそれ以前に、今の十香の士道に対する好感度じゃ不可能よ。十香の意識をこっちに引き戻すしかないわ。可能性が有るとすれば・・・・!」

 

琴里がその『可能性』を述べると、士道はピクリと眉を動かした。

 

「なるほど・・・・結局、やる事は変わらないって事か」

 

『何をごちゃごちゃ言っているのかな?』

 

と、ウィザード<士道>とイフリート<琴里>の会話を遮るように、ヴァンパイアが声を発した。

 

「琴里、耶倶矢、夕弦。あの2体の相手を任せて良いか?」

 

「どうするのよ・・・・?」

 

「『奥の手』を使う・・・・!」

 

『ハァッ!!』

 

ヴァンパイアとパピヨンが、蝙蝠と鱗粉を放ち、攻撃したーーーー。

 

「ああああああああああああああああああッ!」

 

が、美九が大声を発し、不可視の壁を構築し、蝙蝠と鱗粉からウィザード<士道>達を守った。

 

「美九・・・・!」

 

「勘違いしないで下さいよー。私は可愛い可愛い精霊さん達を守っただけですー。それに言ったでしょう? 私は『好き』とか『大切』とか『死んでも』って言葉を軽々しく使って、簡単に翻すような男が1番大っ嫌いなんですー」

 

「え・・・・?」

 

「あなた、言いましたよねー? 命に懸けてでも十香さんを助けるって。なら、最後まで責任持ってください。私を・・・・失望させないでください。私は・・・・それを見るためにここまで来たんですから」

 

「美九ーーーー」

 

「ねえ、なんか急にしおらしくなってないあの子?」

 

「同意。士道は一体どんな手管を使ったのでしょうか?」

 

ヒソヒソと会話する八舞姉妹を見て、美九はまたフンっも顔を背けた。

 

「ああ・・・・そうだな」

 

[コネクト プリーズ]

 

ウィザード<士道>は床に落ちたウィザーソードガンを拾い、横に魔法陣を展開すると、手を突っ込み、『ドラゴタイマー』を取りだし、ドラゴタイマーを右腕に巻き付けると、手の甲の部分のドラゴンの彫刻が赤く光った。

 

[ドラゴタイム!]

 

「ドラゴン、飛べるか?」

 

≪今の貴様ならば、ドラゴンスタイルの状態であれば、我が魔力を調整して、それぞれのエレメントで貴様を宙に浮かせるようにする≫

 

「おう。琴里、耶倶矢、夕弦、頼むぜ」

 

「ええ」

 

「ふっ。任せよ!」

 

「了解」

 

イフリート<琴里>達がヴァンパイアとパピヨンに向かうと、ウィザード<士道>は足元に赤い魔法陣が展開されると、足元にジェット機のエンジンのように火を噴き、ウィザード<士道>は空を飛びながら、十香?達の元へ飛び、美九もその後に続いた。

 

 

 

 

 

ー琴里sideー

 

『フン。ようやく汚ならしいゴミが消えたが、〈ディーヴァ〉も一緒に行ってしまうとは・・・・。やはり彼女には私が必要のようだ』

 

「生憎だけど、あなたの出る幕は無いのよ!」

 

イフリート<琴里>とベルセルク<八舞姉妹>が武器を構えたその時ーーーー。

 

「うわぁっ!」

 

「わわわわ!」

 

「「「っ!」」」

 

『っ』

 

『・・・・・・・・』

 

なんと、ビースト<真那>とハーミット<よしのん>が琴里達の隣に吹き飛んできた。

 

「真那! よしのん!」

 

「あたたた、み、皆さん、どうも・・・・」

 

「ゴメン琴里ちゃん、なんかヤバめな奴も連れて来ちゃった・・・・」

 

2人の言葉に首を傾げそうになったイフリート<琴里>だが、下の階から這い上がってきた異形の怪物が現れた。

 

マァァァァナァァァァッ!!

 

「な、何よあの怪物!? ファントムっ?!」

 

「い、いえちげーです。あの怪物は、ジェシカが体内に宿していたファントムの因子が暴走してしまった末路でやがります・・・・! どうやらジェシカ達が、変身できたのも、その因子を体内に宿していたからでやがりますよ・・・・!」

 

「なんですって!」

 

“ファントムの因子を体内に入れた”。これは士道と真那とはまるで違った物だ。士道と真那は精神世界〈アンダーワールド〉にいるウィザードラゴンとビーストキマイラから魔力を貰っているから魔法を使えるが、ジェシカのソレは肉体の改造とも言えるモノだ。

 

「でも、おかしいのでやがります。カメレオンの見立てでは、ファントムの魔力を注入されて暴走しているって見立てでやがりました・・・・」

 

「魔力を注入・・・・。っ! まさかっ!」

 

イフリート<琴里>は、天宮スクエアでの戦闘映像を見た魔力を注入する能力を持ったファントム、ヴァンパイアを睨んだ。

 

「ヴァンパイア・・・・あなたが・・・・!」

 

『あぁ彼女か・・・・。折角〈プリンセス〉との逢瀬を邪魔したゴミ共に腹を立てていた時に、気晴らしに“愛し合った相手”だよ。怪我を治してあげようと私の魔力を与えたのだが、随分と醜い姿になったモノだ』

 

悪びれる様子もなくそう言ったヴァンパイア。ジェシカだった怪物はヴァンパイアに見向きもしないでビースト<真那>を睨み、ビースト<真那>もジェシカをこんな風にしたヴァンパイアを睨んだ。

 

「そうですか、貴女がジェシカを・・・・!」

 

『ウフフ。結構美味しかったよ、彼女。だがもう、用済みだね』

 

マァァァァナァァァァッ!!

 

怪物はビースト<真那>に向かって走りだし、ハーミット<よしのん>が氷の障壁を作って行く手を遮るが、前足と角を使って砕こうとしていた。

 

「真那。あの不愉快な魔獣は私がやるわ。貴女は出来る限り時間を・・・・」

 

「無理でやがりますよ。ジェシカはもう、“死んでやがります”」

 

「「「「っ!」」」」

 

「今あそこで暴れているのは、ファントムの因子が暴走し、ジェシカの怨念が入り込んだ別の生物でやがります。私が、終わらせてやがりますよ」

 

「そう。分かったわ。・・・・耶倶矢、夕弦。貴女達はヴァンパイアをお願い。奴を倒したらすぐに真那の援護に回って、よしのんは真那のフォローを」

 

「「「了解!」」」

 

「行くでやがりますよ!」

 

少女達の戦いも、佳境に入った。

 

 

 

ー士道sideー

 

「はぁあああっ!!」

 

[フレイムドラゴン・スラッシュストライク! ボゥー!ボゥー!ボゥーボゥーボォー!!]

 

紅蓮の斬撃を放ったウィザード<士道>。十香?とエレンとフェニックスはそれに気づくと、三方に離れた。

 

「・・・・・・・・」

 

「・・・・貴様、一体何だ?」

 

『指輪の魔法使い・・・・!』

 

「・・・・・・・・」

 

十香?はギロリと視線を鋭くし、 フェニックスは大剣を肩に担いで苛立たし気な声を発っし、エレンは警戒したような顔となる。

 

≪良いか小僧。彼女はいつもの〈プリンセス〉ではない、まったく別の人格だ。甘さや下手な手加減なんぞでどうにかなる相手ではないぞ≫

 

「(ああ、分かっている・・・・!)」

 

ウィザード<士道>はウィザーソードガンをベルトの後ろにしまい、十香?を仮面越しに見据える。

 

「さあ十香。時期に朝だ。家に帰って飯にしよう。今ごめんなさいって言えば、今日は朝昼晩、お前の好きなメニューで統一してやる」

 

≪きな粉パンとはんぐり~のドーナッツも食べ放題にしてやるぞ≫

 

「・・・・何を言っている?」

 

十香?が怪訝そうに眉根を寄せる。ウィザード<士道>は細く息を吐くと、十香?に向かって飛んで行った。

 

「・・・・・・・・」

 

だがその瞬間、十香?が剣を振ってきて、ウィザーソードガン・ソードモードでその斬撃を受け流す。

 

「やっぱ、上手く行かねえか・・・・!」

 

「何やってるんですー?」

 

「まずはアイツの近くに行かないとどうにもならないんだよ・・・・!」

 

ウィザード<士道>が言うと、美九はフウンと眉の端を動かした。

 

「十香さんの近くに行ければ、何か方法があるって言うんですねー?」

 

「・・・・ああ。成功するかどうかは、やってみないと分からないがな」

 

「ふーん・・・・そうですか」

 

美九は気のない返事をすると、その場でクルリと身体を回転させ、タップダンスでもするかのように宙で踊ると。

 

「〈破軍歌姫<ガブリエル>〉ーーーー【輪舞曲<ロンド>】」

 

すると、美九を囲うように、何本もの銀筒が現れ、その先端をマイクのように美九に向けた。さらにパイプオルガンの金属音が現れ、十香?に向けてその先端を可変させる。

 

「・・・・良いですよー。特別です。十香さんの為に単身ここまで乗り込んだ、果てしなく馬鹿で愚直なあなたに、1度だけチャンスをあげます」

 

「え・・・・?」

 

「防御の声を全方位から十香さんにぶつけます。彼女相手では何秒保つか分かりませんが、少しの間であれば動きを止められるはずです。その間に、その方法とやらを試して下さい!」

 

「美九、お前・・・・」

 

「ですが、後ろの麗しい魔術師<ウィザード>さんと、野蛮な鳥はどうするですー? 放っておいてくれる筈がありませんよー?」

 

「ああ。それなら、俺“達”に秘策がある・・・・!」

 

ウィザード<士道>は、右腕に巻き付けた持ち上げると、『ドラゴタイマー』を起動させ、手の甲に装飾がされたドラゴンの装飾が赤く光る。

 

「ぶっ飛ばして行くぜドラゴン!」

 

≪ぶっ飛ばされるでないぞ!≫

 

ウィザード<士道>は黒い掌の中にある赤、青、緑、黄の文字盤の針を赤にして、親指のレバーを押したーーーー。

 

[ドラゴタイム セットアップ!]

 

「さぁ、ショータイムだ!」

 

[スタート!]

 

ウィザード<士道>は、そのまま動かず、その場にいた者達も、何が起こると警戒していると、針が青についた瞬間、ウィザード<士道>はレバーを押した。

 

[ウォータードラゴン!]

 

すると、フェニックスの近くに青い水の魔法が展開するとソコからーーーーウォータードラゴンスタイルが現れた。

 

「はっ!!」

 

『なにっ!?』

 

「っ!」

 

「なっ・・・・!」

 

「えぇっ!? 二人っ!?」

 

足元に魔法陣を展開させ、ソコから吹雪を噴射させて飛ぶウォータードラゴンは、流れるような動きでソードガンを振るい、フェニックスと刃を交える。

 

「まだまだぁ!」

 

[ハリケーンドラゴン!]

 

今度は緑色の風の魔法陣が展開されーーーー風を纏ったハリケーンドラゴンスタイルがガンモードでフェニックスを撃ち抜く。

 

「はぁっ!」

 

『ぬぅぉぉぉっ!!』

 

「3人目っ!?」

 

「これは、少々厄介になりそうです・・・・!」

 

エレンがウィザード<士道>の方を先に始末しようとレイザーブレイドを構えて向かうと、針が黄色に到達し、ウィザード<士道>はレバーを押した。

 

[ランドドラゴン!]

 

今度は土石が集まり黄色の魔法陣となり、ソコからランドドラゴンスタイルのウィザード<士道>が、エレンに剣を振りかぶる。

 

「はぁっ!」

 

「っ! 四人目とはっ!?」

 

エレンがそれに気づいて刃を交え、火花を散らせながら後方に距離を取る。

 

「ふっ!」

 

[チョーイイネ! グラビティ! サイコー!]

 

「はぁあっ!!」

 

「なっ! ぐぁあああああああああああああああああああああああああっっ!!!!! ギャフンっ!」

 

『グラビティ』の魔法をかけられ、強力な重力波に、エレンは地面にまっ逆さまに落ちていき、土煙を上げて、珍妙な悲鳴をあげて目を回していた。

 

「ど、どうなってるんです?」

 

美九が呆然となりながら言うが仕方ない。4人のドラゴンスタイルが現れ、内3人がフェニックスと交戦を開始した。

 

「俺達! フェニックスは任せたぞ!」

 

「任せろ俺!」

 

「コイツは俺達で足止めする!」

 

「十香を頼む!」

 

[[[コピー プリーズ]]]

 

ウォータードラゴン、ハリケーンドラゴン、ランドドラゴンはウィザーソードガンを二刀流にすると、フェニックスと交戦した。

 

「美九、頼む」

 

「えっ、ええ、では、行きますよーーーー」

 

呆けていた美九も正気に戻ると、身を反らしながら息を大きく吸いーーーー。

 

「ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!」

 

耳の奥に響くような高音の声を、自分の周囲に立つ〈破軍歌姫<ガブリエル>〉の銀筒目掛けて発し、銀筒は声を幾重にも反響させ、目に見えない手で締め付けるように十香?を拘束した。十香?の両腕が不自然に歪み、まるでロープで縛り付けられるかのようにググッと身体に密着した。

 

「むーーーーなんだ、これは」

 

十香?が不快そうに顔を歪め、拘束を剥がそうと腕に力を入れるが、美九の声がその度に苦しそうに上擦った。

 

≪〈ディーヴァ〉の稼いでいる時間を無駄にするな≫

 

「応っ!」

 

ウィザード<士道>は十香?に向かって飛んで行く。

 

「ふん・・・・」

 

十香?も近づいてくるウィザード<士道>に気づいたのか、周囲に霊力の衝撃波を放ち、ウィザード<士道>の行く手を阻む。

 

「くーーーーっ」

 

まるで八舞姉妹の起こす暴風のような衝撃に押し飛ばされそうになるが、ウィザード<士道>は十香?に向かって猛進する。

と、十香?が、チッ、と苛立たしげに舌打ちを雫した。

 

「ーーーー鬱陶しいぞ」

 

言って大きく息を吸い、身体を軽く前傾させ、音の拘束を引きちぎるようにメリメリと両腕を開いていく。

 

「ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!?」

 

そうはさせまいと、美九が音の拘束をより強くしようと声を張り上げるが、段々と声が掠れていきーーーーそして。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーーーーーーーー」

 

声が、出なくなった・・・・。




全ドラゴンスタイル登場! 十香を取り戻せるのかっ!? そして美九の運命は如何にっ!?
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