超時空要塞マクロス ガールズ&ヴァルキリー そのニ 作:ノザ鬼
残された四人。
部室の格納庫を満たす静寂…。
否!
外で震わされた大気は、振動となり格納庫内へと伝わる。
怒号。
「飛行機道部に関係のない人は速やかに帰って下さい。」
「そこ! 窓に貼り付かない!」
「離れなさい!」
お付の集団…。生徒会長執行部の面々が動いていた。
生徒会長が、権限で何とかしているようだった。
公約…。
ではなく、口約束。
それでも守る。
流石、この学園の政治家。
そう、思うカケル、リクノ、ヒョウカの三人。
ちなみに、ヒビキの表情からは何も読み取れない。
尚も、聞こえる怒号。
外では、取り締まる執行部と野次馬の群れのいたちごっこに発展していた。
執行部が
「コラぁぁぁぁぁ!」
怒れば、
「わーっ!」
野次馬の群れが逃げる。
その間に、違う群れが窓へと貼り付く。
肩幅に開いた両足。
右の爪先が刻む二拍子。
[踏む]と[上げる]を繰り返し、
『コツ』
靴と地面の共演で、
『コツ』
音を出す。
加え、腕組み。
右の指が左肘の辺りを足のニ拍子に合わせ、
『コン。』
軽く、
『コン。』
叩いていた。
苛立ち。
そのポーズから読み取れる感情。
そう、生徒会長は執行部の面々を見据えながら、不機嫌なオーラを立ち上らせる。
突破。
加え、左の目尻が、
『ピクピク』
震える生徒会長。
忍耐の…。
いえ、我慢の限界を超えた。
ちなみに、我慢の慢は、慢心でも使われる良い意味の言葉ではないそうです。
だから[忍耐力]はあっても、[我慢]に力の付く言葉はないとか。
生徒会長の切り出しは、
「あなたたち…。」
低く、
「何をもたもたしているのですか…。」
ゆっくり。
それが自分たちに向けられ、
『ビクッ!』
頭からトゲトゲの反応を出す執行部の面々。
無言。
それの反応が、執行部の面々の全てを表した言葉だった。
「私を待たせると…。」
間をはさみ、
「あなたたちも。」
[も]にアクセントを付け、その前の単語を強調し、
「反省文を書かせるわよ!」
早い、
「直ちに!」
反応で返した執行部の誰からだが、全員から発せられ伝わって来るのは…。
恐怖。
【本気】が【超本気】になる。
こちらも、
「悪質な生徒は捕まえて…。」
本気の、
「反省文を書かせない!」
生徒会長。
反省文。
それは、この学園に伝わる伝説の一つ。
内容が生徒会長独自の審査基準を満たすまで、書かされる。
そんな事が、生徒達の間にまことしやかに囁かれている。
勿論、噂であった。
そう、今までは[噂であった]。
が!
それが[現実]となり、対象者を恐怖させた。
総合すると、
「わーっ!」
その声と共に野次馬が全力疾走で逃走。
後に、静寂を残して…。
執行部の面々を、
「まあ…。」
一瞥し、
「あなた達の努力だと…。」
口元は不満げな、
「して、おきましょうか…。」
生徒会長。
項垂れ、
「はい…。」
声を重ねる執行部の面々。
腕組みを外し、
「では。」
右手で髪をかき上げ、
「帰りますよ。」
右足から踏み出す生徒会長。
返事の、
「はい。」
そこには感情はなく忠実であるとの意志を乗せる執行部の面々。
そして…。
収まった喧騒。
帰ってきた静寂。
その中でカケル、リクノ、ヒョウカの三人は、自分たちの間違いを知った。
生徒会長は、この学園の【政治家】ではなく…。
【独裁者】だったと…。
この事を裏付けるかのように、後日出されたのは…。
お願い。
飛行機道部へのヒビキさん目当ての見学は控えてください。
部活動の迷惑になります。
お願いしますね。
生徒会長
当然、あの時の野次馬が[反省文]の事を周囲に漏らしている事を計算済みの文書であった。
生徒達には、怪文書であったかもしれない…。