超時空要塞マクロス ガールズ&ヴァルキリー そのニ 作:ノザ鬼
収まった喧騒。
帰って来た静けさ。
暫時。
そして…。
その間に耐えられず、
「ハハハハ…。」
カケルの乾いた笑い。
続き右手で、
「生徒会長…。」
頭を掻き、
「有言実行したな…。」
苦笑いのリクノ。
ため息で、
『はぁっ…。』
自分を落ち着かせ、
「これで野次馬の心配は無さそうですね。」
微妙な笑顔のヒョウカ。
思い出し、
「オス!」
軽く右手を上げ、
「俺は、リクノな。」
挨拶にする。
続き、
「私はカケル。」
頭を、
「同じクラスのね。」
軽く下げる。
間。
それもゆっくりとした。
先に挨拶した側の方へ、
「リクノさん。」
視線を送り、
「よろしくお願いします。」
頭を下げるヒビキ。
次は、少し驚きの、
「カケルさん。」
表情から、
「同じクラスなんですね。」
笑顔で、
「よろしくお願いします。」
返すヒビキ。
思い出し、
「まあ、あれだけ…。」
複雑な表情の、
「人だかりできてれば、私見えないよね…。」
カケル。
暫時。
何か、
「あっ。」
思い付き、
「これからは…。」
首を、
「クラスでも…。」
傾げ、
「よろしくです。」
笑みを向けるヒビキ。
返すは、
「よろしくね。」
勿論、笑顔のカケル。
決意。
いえ、それ程では無いので…。
思い切って。
切り出しは、
「ねえ…。」
普通に、
「ヒビキちゃんは…。」
疑問を、
「何で、この飛行機道部に入ろうと思ったの?」
ぶつけるカケル。
リクノが、
「それ。俺も聞きたい。」
続き、
「私も、是非。」
ヒョウカも乗った。
いつもの間。
そろそろ慣れたとばかりに気にしなくなっていた三人。
考え、
「えっとですね…。」
首を、
「人は…。」
軽く、
「陸を走る、海を泳ぐ…。」
傾げ、
「でも、空を飛ぶ…。」
更に頬を、
「それは、唯一生身でできない事…。」
右の人差し指で、
「だから、惹かれ…。」
挿しながら、
「憧れるからです。」
笑顔で答えたヒビキ。
返すは、
「生身でできない事への憧れですか…。」
笑顔のヒョウカ。
左の目尻と口元を、
「カッケー答えだ。」
上げ『ニヤリ』と返すリクノ。
目と頬が作る、
『おーっ』
表情は驚き、
「私、そんな風に考えた事無かった…。」
そして、目から鱗を落とすカケル。
それは、
「って…。」
ヒビキの発言が、まだ途中だと言う台詞。
三人同時に、
「?」
疑問の表情を投げかける。
その通り続け、
「私の公式プロフィールに書いてありました。」
『ニコリ』とするヒビキ。
『ガクッ!』
カケルは首。
『ズルッ!』
リクノは足。
『カクッ!』
ヒョウカは肩。
それぞれが違う形で、同じコケを表現する。
追い打ち。
今度は首を、
「後…。」
反対に傾げ、
「マネージャーさんが…。」
思い出し、
「マクロス船団時代のアイドルは…。」
目を瞑り、
「ヴァルキリーとセットだから飛行機道部に入っておいて損はない。」
ゆっくり開き、
「って言ってました。」
やはり、しめは『ニコリ』のヒビキ。
衝撃波。
今のヒビキの発言をまともに食らい、
『ドテッ!』
派手な音を出し、コケた三人。
暫時。
探る。
無意識に、手が掴まる場所を求め宙を泳ぐ。
掴むは、
「ヒ…。」
机、
「ヒビキちゃん…。」
抜けた力を支えながら立ち上がるカケル。
掴むは、
「ヒ…。」
棚、
「ヒビキよう…。」
抜けた力を支えながら立ち上がるリクノ。
掴むは、
「ヒ…。」
ロッカー、
「ヒビキさん…。」
抜けた力を支えながら立ち上がるヒョウカ。
その様子を見た者がいたら…。
出産直後に立ち上がる子牛を想像させるだろう。
それ程に両の脚は『ぷるぷる』していた。
気付き、
「あら…。」
三人を、
「どうかしましたか?」
心配するヒビキ。
支え。
掴んだ手に更に加えた力で、次の衝撃に耐えた三人。
まだ震える脚を、
「そ…。」
踏ん張り、
「そういう事だったのね…。」
ゆっくりと、
「ヒビキちゃん。」
顔を上げ視線を送るカケル。
体重を棚に、
「やるのは…。」
預け、
「本人か…。」
両足に、
「マネージャーか…。」
力を入れるリクノ。
手のひらと、
「アイドルは…。」
ロッカーの摩擦で、
「イメージが大切って…。」
体を引き上げ、
「言いますからね…。」
立て直すヒョウカ。
肩で息をし、ダメージから回復する三人。
暫時。
支えた手を、
「と、とりあえず…。」
離し、
「部員が増えるのは嬉しいね。」
喜ぶカケル。
重心を、
「そうだな…。」
体へ戻し、
「増えるのは、いいことだ。」
複雑な表情だが、喜ぶリクノ。
離した手は、
「喜びましょう…。」
自らの脚に、
「生徒会執行部に貸しもできた事ですし。」
体重を戻し、微笑むヒョウカ。
少し、
「よく…。」
困った顔から、
「解りませんが…。」
変わり、
「部員として、頑張ります。」
『ニコリ』の表情を浮かべるヒビキ。
耐えた。
三度目の衝撃は堪えた三人。
心の中で、
〘ふーっ。〙
深い深呼吸し、
「じゃあ…。」
ヒビキへ視線を送り、
「今日は…。」
ゆっくりと助けを求める様にヒョウカを向くカケル。
釣られ、ヒョウカへ視線を送るリクノ。
気付き、
「そうですねぇ…。」
腕組みから、
「今日は…。」
右腕を立て、曲げた人差し指で唇を触るヒョウカ。
静寂。
それは、ヒョウカの考える時間が作り出した。
そこに、注がれるカケルの期待の眼差し。
それは、突如。
唐突に。
『〜♫』
響き渡る音。
それを、
「これって…。」
知っていたカケル。
それは、
「こりゃあ…。」
リクノも知っていた。
当然、
「これは…。」
ヒョウカも。
同時に、
「【私の彼はパイロット】」
それは音ではなく音楽。
ポケットを、
「あっ…。」
探り、
「私です。」
携帯端末を取り出したヒビキ。
そう、音楽の正体はヒビキの携帯端末の着信曲。
画面を操作し、
「はい…。」
三人に背を向け、
「何でしょう?」
出るヒビキ。
やり取り。
「そんな…。」
「はい。」
「はい…。」
そんな背中を見つめる三人は、邪魔しないように無言である。
そして通話を切り、
「解りました。」
振り向くヒビキ。
気が付く三人。
ヒビキが浮かべる、その表情の意味に。
裏切らない、
「ごめんなさい…。」
その顔で、
「今日は、オフの予定だったから…。」
皆を見回し、
「皆と過ごせると…。」
肩を落とし、
「思ったのに…。」
全身で残念だと語るヒビキ。
一番に、
「し、仕方ないよ。」
口を開き、
「ヒビキちゃんは人気のアイドルなんだから!」
フォローするカケル。
腕を後頭部で、
「仕事じゃあ…。」
組み、
「仕方ねぇな…。」
残念そうなリクノ。
少し首を傾げ、
「それは残念…。」
直に戻し、
「でも!」
握る、
「学業とアイドル家業の二足の草鞋(わらじ)…。」
右の拳は、
「ヒビキさんなら両立出来ます!」
ヒョウカの応援の現れ。
いつもの時間の後、
「あ…。」
反応し、
「ありがとう。」
頭を下げ、
「では…。」
左足は振り、
「また…。」
向く準備のヒビキ。
意識せず、
「行ってらっしゃい。」
その言葉が、
「ヒビキちゃん。」
口を突くカケル。
見開かれた目。
連動し上がる眉。
それは、驚きの表情。
右手を、
「おう。」
軽く上げ、
「ヒビキ、行ってきな。」
挨拶にするリクノ。
肩の高さに、
「ヒビキさん。」
振る右手で、
「行ってらっしゃいませ。」
別れを惜しむヒョウカ。
その言葉の意味に、
「はい。」
気付き、
「行ってきます。」
今日、一番の微笑みで答えるヒビキ。
その後。
振り向いたヒビキに浮かんだ表情は、こみ上げる何かが嬉しくてたまらないと語っていた。
これが、飛行機道部とヒビキのファーストコンタクトである。