超時空要塞マクロス ガールズ&ヴァルキリー そのニ 作:ノザ鬼
現在。
長かった回想シーンを終え戻る。
カケルは考えている…。
首を捻り唸るカケルへ、
「授業には出てるんだろう?」
リクノが問いかける。
複雑な表情で、
「はい…。」
答えるカケル。
そして、思い出す教室での事を…。
今だ、休憩時間になると形成させるヒビキを中心とした人垣。
あの堅く守られたヒビキという、天守閣へ近付くのは容易ではないと。
表情を、
「何か…。」
読み取り、
「問題でも?」
推察するヒョウカ。
その言葉に、
「教室じゃぁ…。」
素直に、
「ヒビキちゃんに近寄れない…。」
右手で頭を掻き、
「なって…。」
話すカケル。
納得し、
「なるほど…。」
少し呆れ気味な、
「今だ、人気者ってか…。」
リクノ。
読み取れない、
「ヒビキさんなら…。」
表情の、
「当然でしょうね…。」
ヒョウカだが、その声は推しヒビキの人気が嬉しそうだった。
腕組みを解き、
「よし!」
顔の高さで、
「明日…。」
握った拳は、
「頑張って聞いてみよう!」
カケルの決意の現れ。
リクノは少し、
「お、おぅ…。」
驚き、
「まあ…。」
戸惑い、
「無責任に、頑張れとは言えないが…。」
両手を後頭部で、
「無理はするなよ。カケル。」
組みながら。
「まだ、先の事ですから…。」
微笑み、
「折を見てでも…。」
無理はするなとヒョウカの表情。
「やっぱり…。」
揺るがぬ、
「早い方がヒビキちゃんも予定し易いかなって…。」
気持ちのカケル。
開いた口は、
「……。」
出かかった声を止め、温かい目でカケルを見るリクノ。
上がった口角は笑みを湛え、瞳の奥は暖かさを映すヒョウカ。
そう、カケルの決意を二人は見守る。
翌日。
教室にて…。
授業の終わりを告げるチャイム。
同時。
カケルの、
〘今だ!〙
心の叫び。
それは、作戦開始の合図。
昨夜、ベットの中で考えていた作戦。
心の中で反復される作戦。
☆作戦その一。
[午前中の休み時間を狙うべし!]
昼休みは他からも人が来るので、ごった返す。だから、人が少ない時間を選ぶ。
立ち上がり、
「ヒビキちゃん!!!」
大声で叫ぶ。
牽制(けんせい)の意味を込め。
集まる視線。
その場の全員が、一瞬にしてカケルに注目する。
☆作戦そのニ。
[部活動を強調するべし!]
生徒会執行部から…。いえ、絶対に生徒会長個人からの通達で、飛行機道部のヒビキちゃんには絡み難いはず。
歩き、
「部活動の事で話があるの!」
ヒビキの方へ。
ヒビキの所へ行こうとしていた全員が、
『ピタリ!』
効果音を出し動きを止めた。
心の中での、
〘やったー!〙
叫びは、
〘作戦成功!〙
同じく心の中で、握った拳と共にガッツポーズとなった。
独り占め。
この休み時間をヒビキと二人で使える。
陣取る。
当然、ヒビキの正面。
顔を見ながら、
「ねえ…。」
切り出す、
「ヒビキちゃん。」
カケル。
ゆっくりと目へ視線を声の主へ移し、
「あっ…。」
気付き、
「カケルさん。」
口角を上げ、
「何か?」
笑顔を作るヒビキ。
最近、飛行機道部で仲良くなったおかげなのか、ヒビキのカケル達への反応速度が早くなっていた。
時間にして、約二秒程短くなっていた。
聞こえる。
『チラチラ』
音を出し、周囲からの断続的な視線。
見える。
峙(そばだ)て、こちらの会話に注意する周囲の人達の巨大化する耳。
そんな周囲の注目を浴びながら、
「えっとね…。」
少し緊張しつつ、
「今度ね。」
普通を心がけ、
「部活動での対戦試合があるの…。」
話始めるカケル。
見開いた目は、
「お…っ。」
驚きと喜び、
「やった…!」
しかし、話す速度は、
「初対戦だ…!」
ゆっくりのヒビキ。
反応に、
「でね…。」
こちらも嬉しくなり、
「一緒に行けないか…。」
緩む、
「なって…。」
口元のカケル。
驚き、上がる瞼(まぶた)は、
「あ…っ。」
見開く目と、
「皆と一緒に…。」
連動し、
「行きたい…。」
笑顔になるヒビキ。
答えるカケルの
「うん!」
表情は、
「一緒に行こう。」
嬉しいと語る。
何かに、
「あ…っ。」
気付く、
「それって…。」
表情で、
「いつですか?」
聞くヒビキ。
カケルに浮かぶは、
「えっとね…。」
本題を、
「この船団の時間で、○月✕日からだよ…。」
忘れていた表情。
傍らの鞄から、
「確認…。」
携帯端末を取りだし、
「してみます…。」
操作するヒビキ。
パネルを、
『ピッ…。』
タッチし、
『ピッピ…。』
流れる電子音。
聞くカケルの、
〘どうか…。〙
心の中では、
〘空いてますように…。〙
祈る言葉が繰り返され、期待と不安が、時間を引き伸ばす。
同じ言葉だが、
「あーっ。」
発音が違い、
「その日は…。」
落ちた肩と表情が、
「……。」
口を噤(つぐ)ませたヒビキに表示された結果を語らせた。
フル回転。
カケルの思考の、
〘えっと…。〙
回路が、
〘こんな時は…。〙
必死で、
〘どう言えば…。〙
考える。
体ばかりか、
「その日からは…。」
声も、
「お仕事が…。」
落ち込むヒビキ。
意識して、
「そ、そうなんだ…。」
明るく、
「お仕事は大切だよね。」
元気に心がけるカケル。
携帯端末の画面を、
「あ…っ。」
見詰めたまま、
「イベントのお仕事みたいです…。」
表示の内容を口にするヒビキ。
その声には、
「ヒ、ヒビキちゃんは…。」
残念な気持ちを、
「皆のヒビキちゃんだから…。」
隠す明るさを持たせるカケル。
続け、
「えっと…。」
目は画面を追い、
「リゾート惑星の…。」
思考が要約し、
「大きなイベントにゲスト参加…。」
口に語らせるヒビキ。
隠しきれない感情で、
「そっか…。」
ヒビキの話を、
「リゾート惑星のイベントか…。」
反復するカケル。
そして、生まれる何か。
それは…。
カケルに脳裏に、浮かぶ小さな何か。
それは昇華され、
「ん?」
疑問となり、
「リゾート惑星で大きなイベント?」
質問となる。
ゆっくりと、
「あ…っ。」
疑問を投げ掛けたカケルへ、
「そうです…。」
視線を、
「それが、何か?」
移すヒビキ。
カケルが胸の前で、
「それって…。」
組んだ腕と、
「何処かで…。」
瞑った目は、
「聞いたような…。」
記憶検索の始まり。
その姿を首を傾げ見詰めるヒビキ。
カケルの唸る、
「うーん…。」
声は、
「うーん…。」
苦悩の証。
暫時。
開くは口、
「あぁぁぁぁぁ!」
開けるは目、
「思い出したぁぁぁぁぁ!」
それらが作る表情は明るい、
「それって!」
笑顔で伸ばしたカケルの両手がヒビキの右手を、
『ガシッ!』
効果音を出し掴む。
カケルの豹変に、
「あ…っ。」
驚き、
「えっと…。」
戸惑うヒビキ。
上下。
握った手と握られた手が、残像を残しながら動く。
正確には、握った側のカケルが動かしている。
満面の、
「ヒビキちゃん!」
笑顔で、
「やったね!」
喜びを伝えるカケル。
頭の上から出た、
『?』
マークがヒビキの今の状況を表していた。
気付き、
「ごめん…。」
手を止め、
「えっとね…。」
話の持って行き方を考えるカケル。
カケルに浮かぶ表情から、
「あ…っ。」
推察し、
「大丈夫…。」
笑顔で返すヒビキ。
多少の不安が滲む表情で、
「イベントの行われるリゾート惑星って…。」
恐る恐る、
「モンティカだよね…。」
聞くカケル。
ヒビキに浮かぶは、
「そうです。」
何故の表情。
一気にテンションが、
「やっぱり!」
上がるカケル。
その圧に少し、知らず知らず体を引いていたヒビキ。その距離約2センチメートル。
続け、
「で…。」
前のめりに、
「イベントは【船団対抗!空中大決戦!】じゃない?」
聞くカケル。
高まる圧に、
「そ、そうです…。」
更に2センチメートル下がるヒビキ。
【船団対抗!空中大決戦!】
それは、カケル達が参加するヴァルキリーの試合に付けられた名前だった。
思い出すリクノが言った事…、
「確か、初代マクロス艦が落ちて来た少し前の時代の怪獣映画みたいな題名だな…。」
言われれば、そんなタイトルを見たような気もする。
頭の片隅に記憶が再生が行われていたカケル。
満面の笑み、
「それって…。」
それどころか、普通では見えないはずのオーラまで、
「私達の出場する大会だよ!」
全身全霊で喜びを表現するカケル。
ゆっくりと、
「あ…っ。」
口角が上がり、
「それって…。」
瞳が喜びを湛えるヒビキ。
自然と音量が、
「そうだよ!」
上がり、
「一緒には、行けないけど…。」
握った拳は、
「一緒に、同じ場所へ行くんだよ」
嬉しさを離さないカケル。
ヒビキの目一杯の、
「やったー。」
喜びはゆっくりと発せられる。
二人の喜びは、笑顔の花をさかせる。
そして…。
チャイムが、二人の会話と休憩時間を終わられる。
慌て、
「詳しい事は…。」
早口に、
「後でね。」
伝え、席に戻るカケル。
早口に、
「あ…っ。」
慌て、
「はい。」
返すヒビキは、離れるカケルを見送った。