超時空要塞マクロス ガールズ&ヴァルキリー そのニ 作:ノザ鬼
リクノの結んだ口が、
「アレは…。」
ゆっくりと、
「多分…。」
開かれ、
「【デストロイド・ヴァルキリー】だ…。」
その正体を語った。
前半を、
「デストロイド…。」
カケルが担当。
後半を、
「ヴァルキリー…。」
ヒョウカが引き継ぐ。
浮かぶカケルとヒョウカの表情は、興味と疑問が入り混じる少し複雑なものだった。
アレから目を、
「ああ。【デストロイド・ヴァルキリー】だ…。」
離さず、
「俺の気が確からだけどな。」
念押ししたリクノ。
そのまま、【デストロイド・ヴァルキリー】から目が離せなく三人。
それは、
「ほほぉ…。」
称賛を、
「まさか…。」
含む、
「【デストロイド・ヴァルキリー】を知っている者と出会うとはな。」
感嘆の言葉。
それが、背後から投げかけられた。
驚きの、
「はっ!」
カケル。
驚く、
「おぉ!」
リクノ。
驚いた、
「えっ!」
ヒョウカ。
同時に三人が頭の上から驚きのトゲトゲを出す。
カケルは右。
リクノは右。
ヒョウカは左。
それぞれの振り向き回転方向。
三人は、声の出処へ振り向き見たものは…。
最初は、
「誰も…。」
カケル。
続き、
「居ない…。」
リクノ。
締めは、
「ですね…。」
ヒョウカ。
込もるは、
「おい!」
怒り、
「貴様ら!」
声に十字路の様な怒りマークが見える程に…。
三人の、
『キョロキョロ』
首が音を出す行為。
それは、辺りを探す。
怒りは、
「下だ!」
更に強く、
「し!」
アクセント、
「た!」
アクセント、
「だ!」
アクセント。
一文字ずつ、区切りながら強調した。
誘導。
その言葉と通りに、ゆっくりと視線を落とす三人。
そして…。
見上げた人を見付けたリクノ。
見上げた人を認識したヒョウカ。
見上げた人と目が合うカケル。
リクノの、
「おっ!」
ヒョウカの、
「えっ!」
カケルの、
「わっ!」
そして、無意識に…。
見た出立ちを、
「軍服?」
リクノが。
見た感想を、
「制服?」
ヒョウカが。
見た姿を、
「子供?」
カケルが。
では、ここで…。
それぞれの口から出た単語を纏め、その人物をモンタージュ合成してみよう。
先ずは、リクノの見た出立ちの【軍服】から…。
全体が濃い緑…。俗に言うネイビーグリーンの上下。上はシャツ、下はズボンに膝下までの黒のブーツ。
目深に被った、黒のつばの制帽も全体は濃い緑。はみ出た金色の髪は、軽いウェブを描く。
次に、ヒョウカの見た感想の【制服】。
リクノの言った【軍服】も、イメージしたのだが…。
細部を飾るものが、【制服】に感じるものをシフトさせていた。
先ずは、制帽に付けられているのは、どう見ても学校章。
肩口に付けられた刺繍(ししゅう)のワッペンは、デフォルメされた可愛い《うさぎ》であった。
更に、シャツの細部にさり気なく付けられた縁取りが見た印象を柔らかくしていた。
最後に、カケルが見た姿の【子供】。
これについては、カケルの言った事が全てである。
身長は百四十センチメートルは無いぐらいの[少女]よりも[幼女]と呼ぶ方が正しいと思える。
そこに付いた顔は幼く。目の大きな可愛さが見て取れた。
しかし、その表情は怒りに満ち、滲み出る雰囲気は軍人そのものであった。
これが、三人が見たものを総合した姿である。
その舌打ちは、
「ちぃ!」
明らかに、
「どいつもこいつも…。」
苛立ちの現れ、
「同じ反応をしおって…。」
それを右の顔だけが上がる表情で後押ししていた。
右手にしていた棒状の短い鞭を、
『バシッ!』
左の手の平へ打ち付け、握り込む。
そして、
「特に…。」
共に、
『ビシッ!』
鞭で、
「貴様!」
カケルを指す。
体が、
『ビクリ!』
音を出し、
「えっ!」
反応するカケル。
指していた鞭で、
「私は子供ではなく!」
また、左の手の平を、
「18歳のレディだ!」
打ち、
『バシッ!』
音で強調した。
その圧に、
「ご、ご、ご…。」
押され、
「ごめんなさい。」
慌てるカケル。
少し、
「私だってな…。」
横を向き、
「元のサイズに戻れば…。」
視線を外し、
「[ボン・キュ・ボン]なのだぞ!」
悔しそうに、言葉を噛みしめる。
二つのレンズが、
『キラーン!』
音を出し、
『クイッ』
メガネのブリッジ(レンズの間のフレーム)を左中指で上げる仕草。それは、ヒョウカの推理の始まり。
ゆっくりと、
「失礼しました。」
頭を下げた、
「その身体的特徴は、ゼントラーディの方でしたか…。」
後に、[幼女]を見据えるヒョウカ。
〘言われれば…。〙
納得が、カケルとリクノを[幼女]から余計に目を離せなくさせる。
右人差し指で、
「確か…。」
こめかみに、
『トントン』
音を出させ、
「フロンティア船団に…。」
記憶を、
「同じ様な【不器用なDNA】を持った女性がいたはずですよね。」
再生させたヒョウカ。
無表情。
それは、通過点。
怒りを驚きが上塗りし生まれた表情。
そして、
『ニィッ!』
左の口元が起源の表情へ。
更なる、
「まさか…。」
驚嘆は、
「【デストロイド・ヴァルキリー】に続いて…。」
昇華され、
「【不器用なDNA】まで知っているとは…。」
愉快の高みに[幼女]を登り詰めさせる。
右手の鞭を、体に沿わせた左腕の脇に挟むと、
『ビシッ!』
同時に、
「こちらこそ。」
決める正式な《空軍式敬礼》に、
「後ろから、声を掛けるなど…。」
謝罪の言葉だが、
「大変、失礼をした。」
その目は愉しさを湛え笑っていた[幼女]。
突如の、
「あの。」
事に、
「あの…。」
慌て、
「あの…。」
ふためき、
「こちらこそ…。」
頭を、
「ごめんなさい。」
下げるカケル。
続き、
「俺達も…。」
頭を、
「悪かった。」
下げるリクノ。
伸ばした背筋から、
「大変…。」
丁寧な、
「失礼しました。」
礼を行うヒョウカ。
三人が頭を上げるのを、
「では…。」
待ち、
「チャラって事だな…。」
笑う[幼女]。
笑みで、
「はい。」
返すカケル。
笑いで、
「おう。」
返すリクノ。
微笑みで、
「えぇ。」
返すヒョウカ。
真顔。
『バシッ!』
右足を地面で鳴らし、
「自己紹介させてもらう。」
敬礼の右手を体に添わせ、
「私は!」
気を付けの姿勢に、
「挺黒(テイコク)学園の飛行機道部所属の軍人。」
少し顎を、
「名前は[タニヤ(峪矢)・アオイ]。」
引き、
「階級は[部長]であります!」
決め、
「以降は、【タニヤ】とお呼びください。」。
名乗った。
唖然は、
「はぁ…。」
カケル。
呆然は、
「おぅ…。」
リクノ。
茫然は、
「はぃ…。」
ヒョウカ。
暫時。
わざと、
「で…。」
切り、
「そちらは?」
ゆっくりと問うタニヤ。
我に、
「あっ!」
返り、
「ごめんなさい。」
慌て、
「私達は…。」
気を付けの姿勢を取り、
「BW学園の飛行機道部で…。」
自己紹介を、
「名前はアマノ・カケルです。【カケル】って呼ばれます…。」
始めた。
同じく、
「俺は…。」
気を付けを、
「ダイチ・リクノ。【リクノ】で良いぜ。」
しながらの自己紹介。
締めに、
「私(わたくし)は…。」
背筋を伸ばし、
「ウミノ・ヒョウカと申します。【ヒョウカ】とお呼びくださいね。」
姿勢を正しながら自己紹介。
丸くした目は驚いの表情。
軽く俯き、
「いやはや…。」
左右に、
「対戦相手だとは…。」
振る首は、
「神は悪戯が過ぎるようだな。」
呆れたと言うタニヤ。
賛成する、
「本当…。」
カケル。
同意する、
「だな…。」
リクノ。
賛同する、
「ですね…。」
ヒョウカ。
四人の間に流れる静寂。
直後。
タニヤの少し上げた顎が、
「ゥハハハ。」
天へ声を放つ。
カケルの少し下げた顎が、
「ゥプププ。」
地へ声を放つ。
リクノの押さえた腹が、
「ゥガガガ。」
宙へ声を放つ。
ヒョウカの口元へ上げた左手が、
「ゥホホホ。」
空へ声を放つ。
そして、四人の笑い声が、暫くの間辺りを埋め尽くす。