超時空要塞マクロス ガールズ&ヴァルキリー そのニ 作:ノザ鬼
生まれた静寂。
暫時。
顎に付けた右手を離し、
「おそらくは…。」
目線を上げ、
「私達はリゾート惑星を楽しむ側ではなく…。」
ひと呼吸、
「楽しませる側になる…。」
纏めた考えを口にするヒョウカ。
二人の半開きの口から、
「あっ…。」
納得の声が漏れた。
右の人差し指が画面を上へスクロールさせ、
「多分、間違ってないと思います。」
今度は下へスクロールさせ、
「この惑星に進出している全ての企業が協力会社として名前を連ねてますから…。」
確かめたヒョウカ。
右の人差し指をコメカミへ、
「そう言う事か…。」
目を瞑り、
「見世物になれってか…。」
愚痴ぽく言い放つリクノ。
傾げる首、
「見世物ですか…。」
腕組み、
「でも…。」
明るく、
「リゾート惑星へ行けるなら我慢です!」
笑顔になりながら、言い放ったカケル。
その明るさに、
「そ…。」
少し引き気味に、
「そうだな。」
賛同するリクノ。
増す笑顔で、
「リゾート惑星と言ったら!」
力強く、
「ランカ・リーの出世作【BIRD HUMAN −鳥の人−】!」
夢見る少女の顔になるカケル。
その勢いに、更に更に少し引くリクノ。
カケルの心は体を抜け出し、大空へ舞い上がる。
暫時。
その夢に浸る。
「カケルさん。」
にこやかに、
「映画みたいな事は起きませんよ。」
否定したヒョウカ。
図星。
「えっ!」
同時に制服の襟元から首へと桜色が駆け上がり、
「そ、そんな事。」
顔を染め、
「考えてないです。」
頭頂部が、
『ポン』
音を出し小さく噴火したカケル。
その時、両手の平をヒョウカに向け左右に高速で振っていたのは言うまでもなく。
ヒョウカの、
「それに…。」
その単語は前触れ、
「リゾートを楽しむ時間は無いはずです。」
カケルの希望を追い打ちし砕いた。
カケルの両肩と首が、
『ガクン!』
激しい効果音を出し落ちる。
そんな音など聞いてないと、
「私達は本当の空を飛んだ事がないので…。」
一応、カケルの反応を見ながら、
「慣れる時間が必要と思います。」
説明したヒョウカ。
落ち込む肩に、
「カケル。」
そっと、
「俺達の青春はヴァルキリーで大空を翔ける飛行機道だ。」
左手を掛けるリクノ。
落ちた首をゆっくりと、
「はい…。」
上げリクノへと向けるカケル。
掲げる。
リクノの右の人差し指が、
「あの一際輝く星が何か知っているか?」
部室の天井へ向けられた。
首と共に視線が、
「コーチ…。」
人差し指の指す方向へ、
「あれは【飛行機道の星】です。」
向くカケル。
人差し指は天井を指したまま、
「そうだ。」
顔をカケルへ落しながら、
「あれは【飛行機道の星】だ!」
頷き、
「あの星が輝く限り、俺達の青春も輝き続ける!」
背後に燃え盛る炎の演出を出すリクノ。
天井から、
「はい!」
リクノへと首を巡らせ、
「コーチ!」
強く頷き、瞳の奥に燃え盛る炎の演出を出すカケル。
「カケル…。」
間を取り、
「お前は、あの【飛行機道の星】になるんだ!」
また、天井へ向くリクノ。
タイミングを合わせ、
「はい。コーチ!」
天井へと向くカケル。
二人は、一気に燃え上がる炎の演出を出した。
しばらく、そのままのポーズ。
天井から、
「って!」
視線を移し、
「何やらせるんですか!」
突っ込んだカケル。
掲げていた右手を、
「いやぁー。」
後頭部に移し、
「ちょっと前に、昔のスポ根ドラマ見ちゃってさ。」
左手も添えて、
「やってみたかったんだ。」
組みながら笑うリクノ。
返しは、
「アハハハ。」
笑い声のカケル。
「にしてもよ。」
笑いながら、
「カケルもノリ良かったじゃん。」
肩に乗せたままの左手で、
『ポンポン』
音を出すリクノ。
同じく、
「ほら、こういう時は…。」
右手を後頭部に移し、
「やっぱり、ノルでしょう。」
掻くカケル。
そんな二人のやり取りを、楽しげに見詰めるヒョウカの左手の甲は口元へ。
いつしか部室に、
「アハハハ。」
谺(こだま)する笑い声は、三人が上げていた。
そして、それは…。
これまでの話の流れの終わりを告げる合図。