ブラックブレットの世界を使って。   作:とくめいん

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なんというか、遅いと思った。



では、どうぞ。


夏世のライバルはこんなところで勝手に現れたりするんだ。初めて知った。

タイトルの通り、俺、今牢屋のなかなんだ。

理由は傷害罪。3人の若者の両手両足を折って、大事なところを攻撃して再起不能にしたからアウトらしい。

 

身体をぶっ壊したから傷害罪だけで済めばいいと思っている。殺してないし、情状酌量はあるだろ。

 

夏世は一命をとりとめ、傷の修復をガストレア因子に頼らずに治ったらしい。

7日後には退院できるとかなんとか。

 

牢屋のなかにいるから夏世に会いに行けないのが残念だと思った。

 

ここにはベッドと椅子、机にトイレがある。

片付けもしなくてもいいし、動かなくてもいい。

3食つきだし今はまだ裁判どころか起訴すらされてない。

 

めっちゃ居心地がいい。

 

 

そういえば蓮太郎が教師やってた所の子供達が爆弾を見つけて持ってきていたな。

ご丁寧に信管は抜いてあって、もう爆発しないようになっていたのでお土産だといって貰った。

 

『どこに爆弾をお土産にする女子小学生がいるんだよッ!』

 

という突っ込みはしておいた。

きっと俺がしなくても蓮太郎がやっていたんだと思うと、可哀想な気がしてきた。

爆弾を解体してたら中からバラニウム片がたくさん出てきたのでアメリカ式のものだと伝えたら「勉強になりました!」と言って出ていった。

爆弾はもちろん警察に無事回収されました。

 

 

天童さんは手ぶらだった。

 

しかも罵倒された。いやいや、知らんがな。

 

蓮太郎はお土産といって延珠から貰ったであろうCDを持ってきた。

 

どうやって視聴すればいいの?

 

それを聞いたらしまった!みたいな顔になってた。

しっかりしてくれよ、蓮太郎。

 

あれ?また誰か来たみたいだ。看守がやって来た。

 

「でてもらっていいっすか?面会っす。」

 

軽いノリで言われてもなぁ。

次は誰だよ。全く。

 

 

来たのは、思いもよらなかった人間だった。

 

目の前にある一メートルほどの机からひょっこりと顔をだす人物。

とても可愛らしい女の子だ。

物凄くうざい喋り方に反して、肌も髪も病的なまでに白く、それでいて輝いていた。

花柄のワンピースを着ていた彼女。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

元相棒の『彼女』だった。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

色々と『彼女』を通して聞いた話だとモノリスが崩壊したらしい。

 

 

戦争だよッ(*^▽^)/★*☆♪

 

だそうです。

 

それに伴って、俺も軍事裁判にかけられて、とある任務と引き換えに無罪とするらしい。

 

 

任務名、『プレアデス駆除作戦』

 

 

 

プレアデスはどんなやつかは分からない。全長数十メートル、身体能力は皆無。

攻撃は鉄砲みたいなもの。

 

オーケー。わからんがわかった。

 

 

 

さて、いきますか。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

戦闘が始まって1時間、自衛隊は全滅、民警も敗走寸前。そんな光景が目の前に広がる。

 

解放されて30分。アジュバントたちが戦う平野にやって来た。

酷い光景。酷い惨状。

そんな中で元の俺たちのアジュバントの姿を探すと、1100メートルくらい先、そこで半円形を保ってヒットアンドプロテクトを繰り返していて、互いの死角を互いに守りあっていた。

 

いつの間に加わったのか合計5組のペアによるアジュバントとなっていて、こちらの心配は要らないみたいだ。

夏世が要らないみたいで、ちょっと悲しい。

 

そんな心は押し込めて、戦場の中央を歩いていく。堂々と、突っ込むのは仲間に覇気をもってもらうため。というのはうそ。強要されたからだ。

 

腰のナイフは鞘の中に、拳銃は全てホルスターの中に。

 

手に持っている鉄パイプはバラニウム製のもの。

俺は鉄パイプとかそういうのは趣味じゃないけどしょうがない。

鉄パイプにはなんかキラキラした装飾がついていて、ふざけてるとしか言いようがない。

 

まあ、やるしかないか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その夜、光の槍すらを弾く一人の人間は、戦場を一人で蹂躙し、民警の士気をとてつもなく高くなった。

お陰で自衛隊、民警の死者数も当初予定されていた最悪数100をはるかに上回り、1250ほどとなった。だが、ほとんどの死者は最初の接敵時に殺され、彼が現れてからは死者数はほぼゼロとなった。

これは奇跡的なことであり、本来、このまま戦っていたのなら100人中90人は死んでいたはずだからだ。

 

 

神々しい武器を振るって敵を屠る彼の姿は、そこにいた民警たちの憧れとなった。

五体満足の者も、四肢がもげている者も、その姿は確かに彼らの目に焼き付いただろう。

 

これが、後に英雄の物語として語られたとか。

 

 

残念ながら戦場に立っていた本人の名前が分からず、一位のプロモーターじゃないかという憶測によって創られたらしく、その本人は彼自身が師匠と呼ぶ人に「お前は俺の数百分の一の強さもない!」と怒られたとかなんとか。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

プレアデスを撃破するために用いるのは己の肉体。

戦場を駆け、目の前にいたアルデバランを無視して高速で後方のプレアデスに向かう。

そこに奴はいた。

首をもたげ、5キロ先の陣地に向け無差別攻撃を繰り返し行っていた。

 

周囲にはプレアデスを守るようにステージⅣからステージⅡのガストレアたちがいた。

 

これは無理だ。

 

そう判断したので奴等の隙をつこうと尾行することにした。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

ミスった。

 

 

見つかった。

 

数十体ほどのガストレアはなんら恐くないが数百体となると話は別だ。

 

攻撃してくる知能をもった三次元行動可能な車が百台、二百台、三百台。しかも隠れても臭いでアウト。

そう考えてほしい。

 

勝てねえよな?

 

余力は残しながら逃げる。

 

罠を仕掛けながら東京とは真逆、山梨県の方に一直線に走り抜ける。

 

罠に引っかかるおとが聞こえるがあまり効果はないようだと思う。

 

とりあえず走る。

 

 

朝日が出てきたようで曇っている空が少し明るくなる。そろそろ大丈夫だと思って力をぬく。

そうしたら突如視界が開けて平原に出た。ここは盆地のようだな。そう気づいたとき、もう手遅れだった。

 

 

そこに赤い目が数百、いや、数千は浮かんでいた。

 

 

 

 

俺は夜目が効く。だからあえて言おう。

 

 

詰んだ。

 

 

左右に展開される様は軍隊よりも洗練され、ガストレアに知能がないという言葉を真っ向から否定されているようだ。

正面に見えるガストレアたちはきっとタウルス戦で生き残った残党。目が違う。

 

彼らは対人、それも多数対一の戦闘のノウハウを持っている。

 

 

 

とすると厄介だとおもう。

俺の師匠は一対多数の戦闘特化で生きてきた。

俺もまたしかり。

 

一度タウルスと戦ったイニシエーターは個が強かったらしい。

 

だからこそ、これはガストレアたちにとって戦いやすいだろう。

 

なんせ一度戦ったのは俺の師匠のイニシエーターだから。

 

 

 

俺より強いやつがいたなかで生き残っているのは敬服に値するな。

 

どんなふうに動くんだっけ?

 

そんな風に脳内の思考をフル回転させて必要な情報をしぼりだす。

 

そんな間にも奴等は距離を詰めてくる。

 

そして

 

 

突如響いた爆発音によって戦闘開始の合図は切って

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー落とされなかった。

 

 

 

何故なら、『彼女』がいたから。

 

 

 

『彼女』はガストレアの包囲を抜けてここに来た。

包囲を包囲としない一歩の跳躍。

おおよそ500メートル先から一歩で飛んできた。

その証拠に跳んだであろう箇所は地盤が変化し、いつの間にか出てきた朝日に照らされて高層ビル並みの高さまで土煙が上がっていた。

それでいて着地は音がしなかった。砂がふわっと浮いたのが精々だったのだろう。跳ぶより降りるときの力の制御の方が格段に難しいが、それをなんなくやりとげる様はまさに天使。

人間には勿論、イニシエーターのなかでもあり得ない力を持つ『彼女』は僕の隣でこう語る。

 

『じゃーあー、殺っちゃおっか♪』

 

 

戦場に似合わない表情で喋る彼女は、そう言うと目の前から消えた。

遅れて物凄く大きな破裂音と土の塊が跳んでくるので身体をひねって寸前で回避する。発生した衝撃波は地上を伝い周囲の生き物をただの肉の塊にする。

 

数十秒で目の前の平原は荒れ野となった。

後ろにいた奴等は『彼女』の『ゾーン』に怯えて動きを止めていたが、どんどんと撤退している。追おうとしている『彼女』を止める。

 

 

 

 

彼女はイニシエーターでイニシエーターでなかった。

 

世界で2番目の『ゾーン』到達者にして超々高位序列ペアの中で唯一誰にも縛られていない自由な人間。

 

否、人間ですらない正真正銘『化け物』。

 

 

いつの間にか目標であったプレアデスははるか後ろで塵になっていた。そこら辺の雑魚と化していた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「はい、どーもー♪」

 

笑顔で血の付いたレイピアを振り回す。

身体中に超小型ナイフを装着してあり、確実に超々接近戦闘主体だと分かる。

服装は昨日と違い、対ガストレア用に作られた迷彩色の布をまとっている。

 

「なにしにきた、ナステャ。」

 

「えー♪そんなこといっちゃう?いっちゃうの?」

 

「なにしにきたんだよ。」

 

「あいぼーの危機にくるのはふつーだよー♪」キャハッ

 

「おまえは幽閉されてたんじゃないのか?」

 

「僕がそんなものに縛られると思う?思う?」

 

マジで思わない。こいつ専用の牢屋とか数百メートルくらいの厚みのバラニウムの板すら物足りないからりモノリスより建造費がかかるとおもう。

 

だからこんなところにいるんだとおもう。

 

「なあ、ナステャ。お前今アフリカじゃなかったっけ?」

 

「ふふふー♪僕は空を駆けてあなたの元へ来たのです☆これもナステャたちの絆?愛ですよー♪」

 

「本音は?」

 

「なんか新しいイニシエーターを契約したとかでムカついたのでー、与えられたお仕事を頑張って終わらせてきました。お陰で数万人は巻き添えになっちゃったんだ。だけど僕のために我慢してもらいました!」

 

「なあ、ナステャ。」

 

「だー?なーにー?」

 

「人を殺すのはもうやめないか?」

 

「きゃはっ!変なことを言うようになったの?なったね?げいいんはあの子?」

 

「じゃーあー」

 

そう続けて、彼女は言った。

 

 

 

 

 

 

 

あなたのイニシエーターを殺してくるね。」

 

 

そういって彼女は駆け出した。

 

 

東京エリアへと進みだした。

 

 

 

 

 

数百キロの道のりを彼女なら60分もかからないだろう。

 

夏世のいる病院は都市部の最深部だ。被害はとてつもないだろうし、確実に夏世は死ぬ。

 

俺も持てる限り最速の距離で駆け出した。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー夏世!!

 

 

 

 

 

 

 

そう思ったのがそもそもまちがっていたらしい。

 

 

 

 




次、夏世死亡説



では。また。
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