ブラックブレットの世界を使って。   作:とくめいん

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どうも。
今回は戦闘中の東京から離れた所にいるある人間のお話です。



ではどうぞ


お薬を処方したセンセー

2027年

茱の木研究所

 

ここでは、対ガストレアウイルス用のワクチンを製造している。

 

ガストレアウイルスを保持している人間、保菌者。

彼等は後天的ガストレアウイルス感染者だった。

 

ガストレアウイルスを生まれつき保菌している人間、通称、呪われた子供たち。

先天的に産まれ持つ世界のシステムは、彼女らにも運命として受け入れさせていた。

 

この枷は外れない。

 

彼らに対して効果のあるワクチンを造るのは我々の使命だ。そう考えて、数年前から発足した機関の一つ。

我々の願いは一つ。もう愛する人を奪われないこと。

 

それがこの茱の木研究所の立ち位置だ。

 

 

対して。四賢人が一人、

アルブレヒト・グリューネワルトという人間は

 

 

ガストレアになった人間をもとに戻すこと

 

を基本コンセプトとして活動していた。

 

 

そんな彼が今、目の前にいる。

どんな冗談だよ。彼は世界の科学者の頂点の人間。僕らの憧れなのだ。

 

いやいやいや、おかしすぎるだろ?ここジャパン。ここ仙台だよ?

しかも俺は学会から追い出された身。

彼と関わることなんておそれ多いどころかできない。筈だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

めっちゃ胃が痛い。

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

薬には、いくつかの効果がある。良いこともあれば悪いことは必然的にくっついてくる。

 

悪いことの例を挙げれば、眠くなったり、怠くなったり、めまいがしたり。

 

この薬の悪いことは、【死】が付与されていることだ。

 

身体には神経が張り巡らせてある。

ガストレアにも同じように神経があり、痛みが感じられるそうだ。苦しんだり、怒ったりするのは神経があるからだから。

呪われた子供たちにも神経があり、交感神経、副交感神経、運動神経、感覚神経、中枢神経系の脳。

そして、ガストレアウイルスに侵食されるのはガンの病巣のようなものからだと思われている。

神経は全てを司る司令塔。だからこそここに糸口があるのではないかと思ったのだ。

理由は長くなるので話さないが、形象崩壊するとき、痛み、聴覚、視覚、触覚などが無くなっていくのは神経に何らかの作用を行っているからだと調べがついている。

 

だからこそ、その症状が発生するものを最初から取り除けば、ガストレアウイルスに侵食されても拒めるのではないか。むしろ促進作用がガストレア因子を使うことならむしろガストレア因子に直接命令できるこの神経を飛ばせばいいのではないだろうか?

 

その理論を元に、神経に作用し体内に対ガストレアウイルス用のホルモンを造り出してもらえばあとは完璧に作用して、ガストレアウイルスに太刀打ちして、因子を抑え、減らし、そして普通の人間にできるという理論を成立させた。

 

もちろん学会に発表した。

 

だが賞を貰えた訳ではない。

 

理論は理論で、裏付けがとれていないから。

実験はモルモットだけ、ガストレアウイルスを無理に投与した擬似保菌者では結果が正しいことにはならないと。

それどころか、批判に加えて学会を追い出された。

 

『役に立たない結果を発表しやがって。』

 

と。

 

だが、今考えると、実験さえ出来れば認められたということだ。

だけど、学会の規定では、人体実験は認められていない。

 

『学会から追い出された身としては、規定を守らなくていいということだ。

 

これは、世界のためだ。』

 

そう彼は言った。人間に詳しい蛭子影胤というイカれた殺人者、いや、殺戮者を呼んで、いい方法を模索したし、ガストレアを捕まえてもらって殺しまくった。

解剖もしたし、【殺された】呪われた子供たちをわざわざ世界中から取り寄せて解剖し、薬の投与も行ったし。

安全性の確認できていた範囲で臨床試験すら行った。

 

ただ。足りなかった。

 

理論と結果には、足りないものがあった。

 

血清。

 

ガストレアウイルスにたいして血清などないと言われてきたが、有ることを証明した人がいた。

 

IP序列一位。一人で軍を滅ぼせるくらいの精神力と戦闘力、そして、知識。

 

人外の風貌を醸し出していた【あれ】は『有る』といった。

 

 

 

だがそれは嘘だろうと、そう思っていたのだ。

 

これを見るまでは。

 

 

僕の、僕らの頑張りは、無駄でなかったと、そうわかったときから目標を確実に捉えていた。

彼の血を手に入れてから数ヶ月。僕らは予想していた進捗を遥かに上回る結果を叩きだし、臨床までありつけた。

最も確実で安全性の高い薬を目指して。

 

だが時間が立つにつれ、彼にたいしての疑問は募るばかり。

医療に従事してもう十一年。ベテランではなく、まだ新米ともいえるこの立ち位置では見える世界が決して広いとは言えない。

 

だが、そんな僕からみても彼は異常だ。血清といっても未知のウイルスであり、神為的に作られたようなDNA配置をしているこのウイルスを、たかが人間が乗り越えることができるはずないのだ。

 

彼は人でないのかもしれない。

 

 

次に出会えるのなら、薬ができたときがいい。

 

即ち『薬ができるまで会いたくない。』

 

そんな考えの裏を読んだかのように彼等は現れた。

 

 

ーーーこう言うしかないじゃないか。

 

 

 

 

「やあやあ、久しぶり♪元気だった?」

 

ってね。当たり障りないこと以外は言えない。 これ以上に言う事があるなら、それは懺悔位さ。だって、医者は人間を生かすと共に殺す役割があるのだから。

 

「ああ、あんたも元気だったみたいだな。で?」

 

彼はそういった。僕は話をそらす。 

 

「なんでここにイルカって?イルカだけに?笑えないよ~♪」

 

 

 

「おい。」

 

まだ足りないのだろうか? 

 

「ごめんね~千寿夏世君。最近プロモーターを失ったばっかりなんだって?そんな子を連れるとか、、、、、、、幼女趣味?」

 

「うっせえ。」

 

 

 

「え?そうなんですか?襲いますか?」

 

 

 

「いや、キャラ崩壊してない?ねえ!?」

 

 

 

「まあ、たのしそうで何よりだよ~♪」

 

 

 

「本題に入ろう。出来たものはどれだ?」

 

 

 

「せっかちな男は嫌われるぞ~?」

 

 

 

「貴方のような人間も嫌われますよ。」

 

 

 

「千寿君、そういうのいっちゃあいけないぞ☆」

 

 

会話をしていて、感じたことがある。

 

彼はパートナーに生かされていることを

 

会話する前から感じることがある。

 

『千寿夏世』の体内細胞のガストレアウイルス侵食率が、かなりの域に到達していることを。

 

 

 

ガストレアを解体して数年。

 

僕は彼を捨てたくはなかった。

人柄に、いや、その化け物の人間性に引かれたからかな?

 

 

だからだ。

 

人間として最低な。

やってはいけない行為を僕はやった。

僕は嘘つきだ。

偽りの説明は医療に従事している者として絶対やってはいけない禁忌。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれは神経を一本一本ちぎっていって、身体をガストレアウイルスに使わせないためだけの欠陥品。

分泌されるホルモンを生命維持以外に使わせないように縛る鎖。

身体中のあらゆる事柄を代償に、身体中のあらゆる細胞の陳謝代謝を活性化させて身体を焼き、ガストレアウイルスを殺す悪魔の所業。

 

 

身体を植物人間状態まで仮死化して身体中の細胞を人間のまま、今の状態を維持するためだけの、人間を人間ならざるものに変える、最悪の薬なのだから。

 

 

 

 

 




次も頑張る。。。。かも


一応伏線みたいなの拾ったよね?
→空白の時間first
の最後の方にある医者の表情。うん。いいよね?

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