ブラックブレットの世界を使って。 作:とくめいん
どうぞ。
午後9時
ジガバチのようなうなりを上げるローターの羽音を聞きながら、俺は、右隣に座って、眼下に広がる暗い森を睥睨している里見蓮太郎を見やる。一瞬彼の視線の先にある森に目を向ける。
聖天子直々に行われたブリーフィングを聞きそびれたのは、目の前のコイツも一緒だ。だが、ヘリの向かう方向によると元千葉県房総半島あたりだな。
あそこは、ステージⅡまでしか見かけないくらいつまらないところだったはずだが、罠が少なく、ガストレアの数も少ないため、潜伏。休憩。とするなら、いい場所のはずだ。
流石だな。いまは違うかもしれないが。
パトロン(後援者)とされる人間がいない俺に武器調達ルートは存在しないので、里見のパトロンを使ったルートで俺は武器を手に入れた。
対ガストレア用コンバットナイフ40センチモデル
Px-4 Strom 40口径モデル
マカロフ PM
司波重工2029年モデルサイレンサー付フルオートショットガン
SV-98(狙撃銃)
BDU-野戦服
ヘッドギア
抗弾ベスト
上の防御機構の装備はすべて司波重工のものだ。
彼のパトロンが司波なのはビックリしたが、それ以上にマカロフ、SV-98にあう口径の弾が日本に売ってないのにかなりの量貰えた。
マカロフは9×18ミリ マカロフ弾だし
それをバラニウムとかヤバイでしょ?
勿論その働きに見合う代金を支払ったのだが、それでも凄い。
そもそもロシアの武器がもらえるのは凄いことだと思う。
司波重工の力を見た。
とにかく、いいとこ見せればもっとあげる
らしいから、がんばろ。やることないけど。
「どうしたんだ。考え事か蓮太郎」
緑のフライトジャケットを着た彼のイニシエーター、延珠が彼の袖を引っ張っている。
「いや.......」
「そういや、お前未踏査領域に行くのはじめてか。」
延珠はうなずく
ふむ、こっちの蓮太郎は出たことがあるのか。じゃあ、本格的にやることないな。
「あんたは?」うん?
「あんたは未踏査領域に入ったことはあるのか?」
「ああ。ある。」
「そうか。」
納得したようだが、なにかあったっけ?
「作戦前だが、なにか聞きたいことあるか?」
「このヘリコプターの名前はなんて言うのだ?」
そう延珠に聞かれた蓮太郎は機内を見渡す。
「少し各部が改良してあるけど多分ブラックホークの日本版ってとこだな。」
「知ってるぞ!菫に借りたレトロ映画で2機も撃墜されていた弱っちい奴だな。蓮太郎、これもまっ逆さまに落ちるんじゃないか」
操縦士の顔が.......
蓮太郎が目でごめんなさいと言ってる。
もう考えるだけ無駄だな。そう思って、
「着いたら教えてくれ」
寝た。
今でも夢を見る。大切なものを喪うんだ。それも2回。
もういやだ。だれか助けてくれ。なんで目の前から皆消えるんだ。お願いだからーーーーーーー
ー生きて。
「おい、おーい?もう着いたぞ!おーい」
もう着いたらしい。
「ああ、ありがとう」
お礼をいって立ち上がる。
操縦手にもお礼をいって降りる。
次にヘリに乗るのは、屍と言う冷たい荷物となってか、作戦が無事に終わったときだろう。
作戦を終え、帰投の途につくヘリコプターをみて、思うところはない。死ねれば楽になるかもな。夢を肯定できないのは、今も昔も変わらない。要するに俺はガキなんだ。
彼等はどう思っているのだろう。
我々が降りたのは広範な森の中だった。
鬱蒼としげる常緑樹によって視界は薄暗く、そして狭い。
先日の豪雨のせいでか、森全体が湿り、湿気とガストレアの濃圧な香りが俺の神経を逆撫でする。身体から汗が出そうになるのを耐えて、回りを見る。
ここのやつらのステージにⅣを越えている奴がいる。
狩場だな。
蓮太郎がブッシュナイフで道を作ってくれるので、その後に続く。
ああ、こいつに、ブッシュナイフより鉈の方がいいよって伝えるの忘れてた。
あと地図も役に立たないってことも。
音がなく、鬱蒼と茂る森に怯えたのか、延珠は蓮太郎の方へ寄り添っていく。
ガストレアの支配を受ける地域は、動植物の分布が滅茶苦茶になる。蓮太郎は知識だけで外を知っているようだった。
「延珠、ここを抜けて近場の町までいくぞ。」
「この周囲を探せって言われているんじゃないのか?」
「街まで行こう。こんなところに長居したいとは普通の人間は思わない。」
といって、延珠と向かおうとするのをしり目に、
「ここら辺もうちょっと探すわ。」
といった。ただ単に獲物を刈りたいのだが、何を勘違いしたのか
「そっちの方が効率良さそうだもんな。わかった。」
といいやがった。まあ、嬉しいんだが、
個人情報が漏れたな。
わかっちゃったよ、俺。
まっったく、うちの民警は情報統制がばがばだな。
だけど、納得する材料ともなったので、そこからは別に行動した。
16体屠ったところで、5時の方向から爆発音が聞こえた。
音に寄る習性のガストレアはおおいのだ。そっちに流れると困る。
そう思って、音源辺りへ向かうーー途中にバキバキと木が折れる音がした。そっちに目を向けると、延珠に担がれた蓮太郎がいた。と
その後ろに ドラゴン?と見間違うようなステージⅣガストレアがいた。
助けて殺るか。
ここから50メートル位の距離にある敵をターゲットに、SV-98を構えて一発。
サイレンサーによって減音された7.62×56mmNATO弾は寸分たがわず目に命中。薬室内の薬莢を排出し、次弾を装填する。この
ボルトアクション式は扱いが難しいが、今までの戦いで、"慣れている"。
こっちを向いた瞬間2発目をもう片方の目に撃ち込んで、木の間をぬうように接近して、木の弾性力をバネにジャンプして口から一発。ショットガンに持ち替え、落下しながら腹に一発。そしてもう一度宙に飛んで心臓部に一発。
その時にナイフも一緒に差し込む。敵の体を再生させないダブルアタックというこの技術は、叩き込まれてから一度も忘れたことがない。
これでコイツは絶命したはずだ。ステージⅣだろうが、
弱点は存在するのだ。ここまでに掛けた一連の時間はおよそ5秒。
油断大敵という言葉があるので、振りかえって睨んでいると10メートルを超えるような巨体が倒れた。これでコンプリート。
あいつらを探そうと後ろを見ると崖だった。
落ちたか?目を凝らし、100メートルはある崖を覗く。
足跡があって、木が折れているのが判る。わかったので100メートル以上ある絶壁を飛び降りて、彼らを追跡する。着地前に銃ーショットガンを使い、反動によって威力を幾らか打ち消す。
3発撃ってから銃を地面に投げ捨て、体を丸める。8点着地といって、ビルから落ちたときでも使える技だ。ただし痛い。
骨を一度任意で外し、身体をバネに変えて丸いボールのように着地する。そうして位置エネルギーを運動エネルギーに換えようとコロコロと地面を転がっていくようにして着地。
受け身をとって落としていた武器を回収する。ショットガンの弾がもうないことに気付き、ショットガンを捨てる。
SV-98を背負って、右手にマカロフを持ち、警戒しながら蓮太郎と延珠の足跡を辿る。
そのまま歩いていると突然声がした。
「動くな。」
その声と、2つの銃口が一斉にこちらを向いた。
もし投稿してないなら、疲れて寝てるのでよろしく。