東方黒狩録   作:じゃがですよ

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はいはい東方オリジナル要素ぶっ込みます。え?東方異形境をパクってるだろだって?
安心しろ、その作品は見ていない。


序章

────ある夜の森の中、それは突然の起きた出来事であった。

 青々と生い茂った森の中を駆け回り、ガサガサッ、と草木を無理矢理掻き分けては動く乱れた音。

はぁ、はぁ、ぜぇ、ぜぇ、と草木の音の間から微かに震える声が聞こえる。呼吸の律動(りつどう)が崩れ、乱れきった呼吸音。

 そして錆びたような、鉄臭い異臭─────()()()()()

 

「はぁ………はぁっ………っあぁ…………はぁ………!!」

 

 今にも泣きそうな、恐怖で心を塗りつぶされたような呼吸で死に物狂いで走っているその姿は、まるで何かに終われてるような、数十の狼に追われる鹿のような姿そのもの。涙と腕から血を流しながらも、必死に走り続けている。

 まるで何か幽霊(ゆうれい)でも見たように、この世のものとも思えないほどに恐ろしく、(みにく)い化物に出くわしたかのように………。

 逃げ続ける音は力尽きたのか。はたまた、天が見限ったのか。不運なことにも張り巡らされた太い根に足を引っ掻け、勢いよく転倒し、拍子に転げ回って泥と擦り傷塗れ(まみれ)になる。

 

「はぁ……、はぁ………っ……ぃゃ…………ゃだ………いやだ…………よぉ……っ…………!」

 

 

逃げなければ、逃げなければ不味い。足の裏が捲れたように痛い。死んじゃいたいくらい痛い。でも逃げないと。逃げないと───

 

────殺されちゃう。

 衣類は擦りきれボロボロ。身体中には転んだ後の擦り傷と、右腕にはまるで()()()()()()()()()()()()()の痕があり、朱色に輝く血を流し、恐怖のあまり傷を抑えずに逃げようと必死に地面を這いずる。

 

 走れ。身体中が痛い。でも()()から逃げないと。あれにだけは捕まりたくない。だから逃げないと。今も体を動かして、()()に捕まらないように、少しでも遠くに─────

 

 

 

 

─────ミシッ………ミシッ………ガサガサ………

 

 

 ゆっくりと、確実に迫り来る足音にびくんと身を跳ねさせ、心臓の鼓動が早くなり、血液の流れる速度が上がる。

歯をカチカチ鳴らしてボロボロ涙を流し、顔を青ざめさせる。

 振り返ってはいけない。頭では理解していても、恐怖のあまりの奇行だったのか。それとも余計な好奇心によるものなのか。

 冷えきった重い唸り声が頭に響き、生暖かくも気色悪いあの異臭(血の臭い)に、体ごと後ろを振り向かせる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「────ぅぁぁぁあああああああぁぁあああああああああああああぁぁぁぁぁああああああああああああああ────────!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌日。人里の少し離れた森の奥にて、少年の遺体()()()物が発見された。

 血は地面や木々に染み付き、赤黒く変色。肉片や内蔵の一部が飛び散り、草木のように夥しくも散らばっていた。

 四肢は強引にもがれた痕があり、指もちらほら捨てられ、子供が着ていたとされる青色の布も、血が滲んで酷く変色をして残されているという、酷い有り様に発見した人は嘔吐した。

 享年9歳。死亡するに一桁という余りにも残酷で、惨たらしい最期に親は哀しみに明け暮れたが、それは筆舌に及ぶものではなかった。

 

 

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「………………………」

 

 真っ暗で無数の眼球が覗く異空間《すきま》にて、ある一人の中華風の服の少女がその様子を空間内で見つめていた。

 

(らん)

 その少女が名前のような単語を告げる。すると何処からか、この異空間にいきなり現れる。

 古代法師のような服装を着こなす、九つの尾を持った少女───八雲(やくも)(らん)。は人里の様子を眺めてる少女に視線を向ける。

 

「はい、紫様。これは恐らく………」

「《異変》と言いたいのでしょう?」

 

 何か言おうとした口を閉じ、顔を強張らせる。それもそうであろう。

 目の前にいる少女()の目が、いつになく真剣であったからだ。

 

「では、直ぐ様霊夢に知らせて解決させては……」

「えぇ、勿論そうするつもりだわ。先に藍は一応()()に厳重な警戒をしておいて。万が一の場合は…………分かるわね?」

御意(ぎょい)に」

 

意味深に目を向けると藍は頭を下げて了承。すぐさま両端をリボンで結ばれた真っ暗な空間へと入り消えてしまう。

 

「……………………。今回の異変、何か嫌な予感がするわ。考えたくはないけど…………」

 

────一筋縄では行くと思えない。

スキマ越しとはいえ、()()から感じられた殺気は低級妖怪よりもずっと濃く強い。まさか、狂暴化したと言うの?いや、それはそうだとしても…………。

 

 あれこれ考えながら少女────八雲(やくも)(ゆかり)は自分のやるべきことに備え、スキマに入り準備を始めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 




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