「ふぃ〜遊んだ遊んだ」
「疲れた〜」
「ふふっ、まだ初日だよ」
あの後、拓海のラッキースケベの後、拓海は千紗からの説教を数分受けた。別に拓海に非があるわけではないのだが
そして拓海の説教が終わると今度はなぜか砂浜に頭から突き刺さっていた伊織と耕平を総出で引っ張り出した。2人はこの数十分の記憶がないとのこと。一体何でだろう(棒読み)
さて、一通り遊び終わって夕方にもなったので家に戻ってきたわけであるが、伊織と耕平は床に寝そべり愛菜もソファでぐったりしている。よほど遊び疲れたのだろう
「2人とも。明日からはライセンス講習だからね」
「寝る前に教本の復習もしておいてね」
「「ウーッス」」
「そういえばお前らの寝床なんだが」
「そうでした!」
「どっちが勝っていましたか!?」
「波の差で耕平だったな」
「しゃぁぁぁ!」
「そんなぁぁぁ!波の差なんて誤差だろ!」
「どしたの?」
「あぁ実はな」
時田は梓に事情を話した
「あ〜部屋に人数分の布団が敷けないのか」
「それは困ったわね」
「そんなんじゃちゃんと寝れないんじゃない?」
「寝不足でライセンス講習は危ないし」
「じゃあこうしましょっか!」
「「ん?」」
奈々華が打開策を思いつきそれを梓にも伝える。それを聞いた千紗は猛反対したが奈々華と梓が気にしないと言うのでその場は退いた。どうせなにかしてたら明日伊織を海に沈めればいいだけのことだし
そして夜
「こっちの部屋なら手足も伸ばせるでしょ」
「ライセンス講習のためにもきっちり寝ないとね」
「じゃあおやすみ」
「おやすみなさい」
奈々華の打開策とはつまり!奈々華と梓の部屋で一緒に伊織も寝ることだ。なんだここに来て伊織までそういうムフフンな展開になるのか?
しかし伊織に寝ている2人に手を出すだけの度胸はなかった。にもかかわらず奈々華も梓も寝返りをうつ度に肌やその豊満な胸の谷間が目に入る。そのため伊織は一向に寝れないでいた
一方拓海はというと...
「えへへ...にぃに...」
拓海の隣には響が気持ちよさそうに眠っていた。ま、まぁここまでならまだセーフだろう。久々に再開した妹が兄に甘えたいのはあることだ。しかし問題は...
『エミリズルい!そこ代わってよ!』
『うるさいわよクレア!第一ジャンケンで決めるって言ったのはあなたでしょ!』
『さっきは私のこと注意してたくせに!』
『それとこれとは別よ!』
静かにケンカしてるね、偉い!...ってちがーう!そういう問題じゃないでしょ!ダメだよ!年頃の女の子が男の布団で一緒に寝ようとしちゃ!
『うるさい!!!』
アッ...スイマセン...
『もういいもん。兄さんの上で寝るもん!』
『ちょっ!それは兄さんに迷惑でしょ!』
『昔はこれで寝てたんだから大丈夫。ね、兄さん♪』
『(´Д`)』
『ねぇ兄さん。やっぱり私...』
『...』
昼間同様声を発しようとしない拓海に対して泣きそうになるエミリ。しかし今回もそんなエミリの頭を優しく撫でる拓海
『泣き虫は治ったのか?』
『っ!わ、私は泣き虫なんかじゃありません!』
『( ˙-˙ )』
『ふふっ♪おやすみなさい兄さん♪』
(あぁやっぱり私って、兄さん好きなんだ)
エミリは自分の頭から兄さんの手を取りその手を握ったまま眠りに就いた
『む〜、エミリのことばっかり』
『( ̄▽ ̄;)』
『はぁ〜。ねぇ兄さん。もういいんじゃないかな』
『(´・_・`)』
『兄さんがエミリのことを考えてそうしてくれてるのはわかるけど。でもこのままだとエミリもずっとそのこと抱えちゃうよ』
『...そうか』
『うん。だからさ、もう普通に喋ってよ』
『...クレアもお姉さんなんだな』
『当然じゃん!』
『普段はエミリの方がお姉さんっぽいのにな』
『あー兄さんもそんなこと言う。私の方がお姉さんなんですぅ!』
『わかったわかった。ありがとな、クレア』
『うん。私の方こそ今までありがとね、兄さん』
『あぁ。これから普通に話していくよ。エミリとも、みんなとも』
『うん!今日のことちゃんと覚えててよ?この可憐で凛々しい兄さん思いのクレアちゃんが兄さんを変えてあげたんだから!』
『まったく。お前はすぐに調子乗るのな。でも...』
拓海は自分の額とクレアの額を合わせる
『覚えておくよ。カワイイ妹に変えてもらった今日のことをな。いつまでも』
『当然っしょ♪忘れたりしたら兄さんの昔の恥ずかしいエピソード千紗さん達に話すからね♪』
『それは勘弁してほしいな...』
『ははっ♪じゃあおやすみ兄さん♪』
『あぁおやすみ』
(好きだよ、兄さん)
クレアは拓海の胸を枕がわりに眠りに就いた
次の日の朝、拓海は伊織達のライセンス講習のため一足早く起床した。とりあえず上で寝ているクレアを下ろし、3人を起こさないようにそっと部屋を出てみんなの元へ向かった
「よう」
「早いな拓海」
時田と寿、それに耕平は既に起床していた。そして数秒しないうちに千紗と愛菜も部屋から出てきた
「おはようございます」
「おう」
「おはよ」
「どうしたの?」
「昨夜寝ているうちにメッセージが」
起きたての愛菜に耕平が携帯の画面を見せた。そこには伊織からの助けを求めるようなメッセージが連なっていた
「っ!」
「何やってんだか...」
「ま、あの2人に伊織が何かできるとは思わんがな」
「寝不足になってる可能性はあるな」
「それで試験も散々な結果になるとか」
「ありそう」
「いやいや大丈夫ですよ。あいつは寝不足関係なく頭が悪いですから」
「「「「あ〜」」」」
「誰か少しは反論しろよ...」
「おう伊織」
「おはようございます」
耕平が言っていることにダメも反論しないばかりか納得さえしている面々の場に本人の伊織が教本片手に登場した
「言っておくが、俺はお前より高得点を取る自信があるぞ」
「ふん!バカがよく言うぜ」
「あ“ん”?ドイツ語17点がよく言うぜ!」
「たまたまの20点が偉そうにしてんじゃねぇよ!」
「20点満点...?」
「100点満点...」
なんとも低レベルな争いである
「これは確かに心配になってきたな」
「少し試してみるか」
「おーい2人とも。問題だ」
「「ん?」」
「長距離の水面移動派どっちが疲れない?A.顔を見ずにつけてうつ伏せ。B.仰向け」
「「B」」
ピンポーン
「正解。オープンウォーターダイバーが潜れる最大深度は?」
「「18m」」
ピンポーン
「常識問題だな」
「あ、じゃあ私からも常識問題を。着替えるときは更衣室を...」
「「「「使わない!」」」」
「...まだ問題言い切ってないんですけど!」
「なら難しい問題もいってみるか」
「保温しないと手が動かなくなる水温は?」
「え、それは...」
「18度ですね」
ピンポーン
「なっ!」
「やるじゃないか伊織」
「よく勉強しているな」
「バカな...!」
「ふっ。耕平、お前は知るまい。昨夜あの部屋で俺がどれだけ教本を読み込んでいたのかを!」
「なるほどな」
「怪我の功名ってやつか」
「脇目も振らずに勉強した成果ですよ!」
「くっ...おのれ!」
自分よりもバカだと思っていた伊織の正解に悔しさを隠せない耕平は教本を取ってパラパラとページをめくる
「安全停止する深度は!」
「3〜6m」
ピンポーン
「おぉ」
「正解だ」
「じゃあ釣り糸や網を切る専用の刃がついたフックは!」
「ゼットナイフ」
ピンポーン
「うんうん」
「大したもんだ」
「このハンドシグナルは!」
「おっぱい」
「おい待て」
「突然何を言ってる」
「あ、違った...こちらを見てくださいだ」
「ふむ。ならこれは」
「うなじを見てください...いやそうじゃない!そっちを見ちゃダメだ...集中しないと...教本に...」
「「...」」
「そのときの状況が眼に浮かぶな」
「脇目振りまくりじゃないか」
「やれやれ、その程度で集中を乱すなど情けない」
伊織が一緒に寝ていた奈々華と梓の寝姿をバッチリ見ていたことが露見したところでその2人もようやく起きてきた
「なっ!」
「っ!」
寝起きの2人の格好は乱れており、いろいろ危ない
「おはよ〜...」
「おはようございます...」
「どう思う?」
「見てないよナナコたん...」
その姿を見た耕平は興奮からか鼻血が出ている
「拓海も見ちゃダメ!」
千紗の指摘で拓海も即座に目をそらす
「んじゃ結局一晩寝なかったのか?」
「その割には顔色はいいが」
「いえ無理矢理寝ました」
「どうやって?」
「自分で自分を絞め落として」
「力技だな」
「それは寝たって言えるのか...?」
確かに伊織の首には圧迫痕が残っている(※彼は特別な訓練を受けています。絶対に真似しないでください。危険です)
「まぁなんにせよ問題なさそうで何よりだ」
「朝飯は俺達が作るから復習してるといい」
「「うぃ〜す」」
時田と寿が作った朝食を食べた一行はライセンス取得のための筆記試験会場に移動した
「ここで筆記をやるんですか?てっきりもっとお堅い場所でやるのかと」
「試験自体はかなり緩い感じだぞ」
「問題は大体4択だしな」
「え、そうなんですか?」
「なら俺達の努力は一体...」
「何を言う。いいか?安全に関する知識だぞ」
「いくら勉強しても損などあるものか」
「......」
「「気持ちはわかる」」
いつになく真剣な時田と寿にいつもとのギャップに声を失う愛菜。それほんの数ヶ月前伊織と耕平も経験済み
「試験始めるよ〜」
午前8時。伊織達のライセンス取得:筆記試験開始
「大丈夫かな」
「ん?伊織が心配?」
「まぁ大丈夫だろ」
「でもさっき...」
「選択問題だぞ?」
「余計なこと書く欄などない」
「心配なら見てきたらどうだ?」
「え、あぁいや...」
口ごもりはしたもののやはり心配なのか伊織の側に近づいていく千紗
「ちーちゃんってば本当カワイイよね〜」
「( ・᷄ὢ・᷅ )」
「どうしたの?」
「...なんでもないです」
「その顔なんでもない訳ないでしょ」
・・・
「ん?ちょっと待って」
「どうしました?」
「これって夢とかじゃないよね」
「梓さんがそんなメルヘンみたいなこと考えるとは驚きです。しかし残念ながら現実ですね。必要ならほっぺでも抓りましょうか?」
・・・
「い、いやいやいや!拓海だよね!?」
「?はい。我那覇拓海ですが?」
「拓海ってこんな普通に会話するやつだったっけ!?」
「あぁ。それに関してはあいつらが終わってから説明しますね」
「え、あ、うん...」
いきなりのことに驚愕する梓。側にいる時田と寿も瞬きを忘れるほど固まっている
試験は無事に終了。奈々華と拓海の採点の元全員が合格した
「ふ〜」
「なんでお前は顔が腫れてるんだ?」
「一夜漬けの弊害だ」
いや、1人だけ無事じゃなかったみたい
場所を移動して今度は実技試験。全員ダイビングスーツを着用して潜る準備に取り掛かっている
「みんな初期残圧はいくつ?」
「200です」
「200です」
「えっと、200です」
「残圧が60になったら教えてね」
「「はい」」
「60になると何かあるんですか?」
「浮上するタイミングなの」
今回は奈々華が3人の試験官となった。他はサポートに回っている
STEP1:BCDの浮力調整
BCDにあるパワーインフレーターのボタンを押すとベストにエアが入って浮かぶ。上に向けてボタンを押すとエアが抜けて沈む。このときエアが抜け切らなかったりタンクの重さに負けてバランスを崩してしまうことがあるので注意
STEP2:レギュの再装填
全員が沈み切ったところで次はレギュを一度話して再装着する行為。その際にレギュに入った水を出す方法は基本的に息を吹きかける方法とパージボタンを押す2つがある。このときに注意なのがレギュを見失わないこと。レギュを見失うことは息ができなくなることと同義。特に初心者はこれだけでパニックになる可能性が高い
(一度レギュを離して...っ!)
(ゆっくり落ち着いて)
案の定伊織がレギュを見失いパニクって助けられていた
ーカワイイ千紗ちゃんからのワンポイントアドバイスー
レギュを見失った場合は右肩を腕を下から回すように持ってくると、ホースが引っかかります
(よし!私はパージボタンで!)
と愛菜はパージボタンを押すと思ったより勢いがよかったのか普通に息を吹きかける方に切り替えた
STEP3:マスククリア
一度マスク内に水を入れる。マスク上部を抑えながら鼻から息を吐くと水が押し出されて下から抜ける。これが結構難しい。上部を十分に抑えられないと水が出る分だけ侵入するのでループし続ける。また抜け切らないうちに目を開けてしまいパニックになることも多々ある。今の伊織みたいに...
(残圧は?)
(80です)
(60です)
(60です)
(浮上します)
((OK)))
伊織と愛菜の残圧が60になったところで一旦切り上げとなった
「やっぱり沖縄の海は違うな!」
「ずーっと潜っていたくなるよね!」
「天候にも恵まれたしな」
「ふん、残圧60共が」
「あ”ぁ”ん”!俺は最初が180だったんだよ!」
「潜る前思いっきり200って言ってたよね!」
「なんの話?」
「最終的な残圧の話みたい」
「浮上時の数値か」
「なんでも争いの種にするなあいつら」
「はぁ...」
「ちなみに先輩達はいくつぐらいだったんですか?」
「ん?110だな」
「同じく」
「120だね」
「130」
「奈々華さんは?」
「私も千紗ちゃんと一緒」
「我那覇は?」
「( ˙-˙ )つ140」
「そんなに」
「桁が違う」
「ならまだ潜れたんですよね?」
「まぁな」
「俺達だけ先に上げて潜ってたらよかったんじゃないですか?」
「あはは、そうはいかないよ」
「ダイビングは団体行動だからな」
「1人が上がるとみんなで上がるんだ」
「インストラクターが何人もいるなら話は別だけどね」
「なるほど。ってことだ。足を引っ張るなよ?劣等生」
「だからなんで上から目線なんだゴラ!」
「団体行動って言った直後からもう輪を乱してるし」
耕平と伊織のケンカがなくならないことには団体行動などムリなのでは?
「愛菜?」
「え、なに?」
「ぼーっとしてたけど大丈夫?」
「なんだもう疲れたのか?」
「気合いが足らんぞケバ子」
「だからケバ子って呼ぶな!大丈夫!気合いも全然問題ないから!」
「それならいいけど」
「少しでも不調を感じたらすぐに言ってね」
「せっかくだから、なんて思っちゃダメだよ?」
「海の中の嘘は危険だからね」
「わかりました!」
そしてタンクにエアを再充填してから試験再開
STEP4:オクトパスのやり取り
バディがエア切れになってしまった場合に自分のオクトパス(予備のレギュ)を渡す。自分と相手、しっかりエアが行き届いているか確認し相手の腕をホールドして浮上する。非常事態のときこそ冷静に対処しなければならない
伊織と耕平が胸ぐらを掴み合ってる横で愛菜は海中の景色に目を奪われていた
(きれい...みんなずっと潜っていたいって思うよね)
きれいな景色と共にまるで宙に寝そべるかのような体勢で浮遊している時田と寿。魚にカメラを向ける千紗とそれに付き添う拓海と梓。そんな光景を見て愛菜は思いふける
(残圧は?)
(あ...)
(90です)
(80です)
(2人ともまだ余裕が。ということは私のせいで終わり...さっきも残圧60で余裕あったし少しくらいなら...)
愛菜は他の人を思ってのことなのだろう。しかしとっさに伊織と目があってしまう
(60です...)
(OK)
海から上がった愛菜はため息を1つついた
「なぁケバ子」
「なに...」
「なにじゃないだろ。お前さっき残圧誤魔化そうとしたろ」
「うっ...」
「海の中で嘘はよくないって言われたばっかりじゃないか。いくら自分が残圧ビリだって言ってもなー」
「だって!」
「え?」
「だって、私のせいでみんなが早く上がることになっちゃうって思って...」
「え、残圧勝負で負けたくないから嘘つこうとしたんじゃないのか!?」
「そんなことしないわよ!その...先輩達の迷惑にならないように...」
「う〜ん」
「どうしたの?」
「いや、なんていうかさ。お前人を見る目ないって思ってさ」
「はぁ?わけわかんないんだけど」
「わけわかんないのはお前だろ?あの人達がそんなこと気にすると思うか?」
伊織は愛菜の手を引いてその先輩達の方へ向かった
「すいませーん!」
「え、ちょっと!?」
そして状況を説明した
「...ってことらしくて」
「なるほどな」
「んなこと気にしてたのか」
「あのね愛菜」
「あ、はい...」
「愛菜達が私らに敬語を使ってるのはどうして?」
「それは先輩だから当然のことで...」
「うんうん。愛菜にとって先輩に敬意を示すのは当然のことなんだね」
「それがなにか...」
「だったらさ。尊敬される先輩が寛大なのは当然だとは思わない?いいじゃない!初心者のエアの消費が早いくらい」
「まったくだ!」
「そんなもん当たり前じゃないか!」
「コツくらい俺達がいくらでも教えてやるぞ」
「で、次から改善したらいい」
「そうそう!」
「ただし!こういった嘘は2度とつくなよ?」
「安全に関することは絶対にな」
「人間正直が1番だからね」
「ってこった」
「あ...」
「ここの先輩は一味違うだろ!」
「...うん!」
ここの先輩達は一味違う。それはいろんな意味で一味も二味も違うだろうさ
「それにしてもここに拓海いなくてよかったね」
「まったくだ」
「なんでですか?」
「あいつはこの手のことにすごく厳しいからな」
「もし聞かれてたりしたら長い説教もんだったぞ」
「そ、それほどですか...」
「あれはね、凄まじいよ...」
「その口ぶりからすると梓さんは受けたことあるんですか?」
「あぁ。というかこいつが原因とも言えるな」
「原因?」
「あははは〜。あのころは私も若かったからね〜」
「「はぁ...」」
先輩達の話が全くわからない伊織と愛菜は?を何個も浮かべる
「話は聞かせてもらいました」
『っ!』
全員が、あの時田と寿でさえもその声を聞いた瞬間怯えた表情で声のする方を向く。そこには今の話の内容に出ていた拓海が腕を組んで立っていた
「拓海!これは違うんだ!」
「ごめんなさい!反省してます!」
「...」
拓海の無言の圧力が伊織と愛菜にのしかかる
「拓海、愛菜も反省してると思うからさ。ね?」
「....はぁ。まぁ初心者にはよくあることですし、先輩方が話を聞いたならもう大丈夫でしょ。でも次やったらガチで説教だからな。安全という概念を1〜億まで脳髄に叩き込んでやるからそのつもりで」
「「ひっ!!!」」
このとき、伊織も愛菜も絶対に拓海を怒らせてはならないと脳髄に叩き込まれた
「それで、拓海はこっちになにか用だったのか?」
「はいまぁ。みなさん不審に思ってると思うのでお話ししようと思いまして。千紗達ももうすぐ来ます」
程なくしてメンバーが全員揃った
「一応皆さんにお伝えします。昨晩、ちょっとした機会でこれまでの習慣を捨てることにしました」
「習慣?」
「あぁ。まぁ今も絶賛崩壊中なんだけどな」
「ということは?」
「つまり?」
「「「どういうこと?」」」
梓や千紗はなんとなく思いついているが伊織や耕平、愛菜といった事情を知らない者は状況を把握できていないようだ
「これからは普通に会話してくれるってことだよね?」
「はい。これまでご迷惑をおかけしました」
「別に迷惑じゃないかったけど、ちょっと寂しくはあったかな」
「すまなかった」
「あ、ごめん。責めてるわけじゃないんだ。事情は昨日大体聞いたし」
「やっぱり聞いてたか」
「うん。ごめん」
「謝らなくていい。いつかは話さないといけないことだったし」
「拓海...」
「千紗...」
話の途中で急に見つめ合う拓海と千紗
「は〜い、2人の世界に入らないでね〜」
梓に注意されてハッとする2人。慌てて顔を背ける
「まぁなんにせよ、これからは普通に接してくれるんだろ?」
「あぁ」
「なら問題ないんじゃね?」
「伊織...」
「ふん。こいつと同じってところに腹が立つが、まぁそういうことだ」
「んだとゴラァ!どういう意味だ!」
「そういう意味に決まってんだろぉがやんのかテメェ!」
いいことを言ったように思ったのにまたケンカを始めてしまった伊織と耕平。そんな2人にため息をつく面々
「なんでこんなすぐケンカに発展するんだ?」
「さぁな」
「そんなことよりも、拓海も愛菜もこれまでより親密になるってことで」
「はい!」
「はい」
「でもあれだねぇ。拓海はともかく愛菜がまだ気を使っちゃうのってさぁ?私らにまだ身も心もさらけ出せてないからじゃない?」
「えっ...」
「ふむ!」
「一理あるな!」
「水着くらいなら大丈夫!」
「どれ!手本を見せてやろう!」
「これも先輩の務めだー!!!」
「いやぁぁぁぁぁぁ!!!!」
身も心もさらけ出せる方法を教えるべく時田先輩と寿先輩がウェットスーツを脱ぎ捨てる。なんか意味合いが違う気がする
「これでよしっと」
「伊織くん。それがよくもないの...」
「他に何か問題が?」
「あ、言い忘れていたがこのままだと伊織だけ不合格だぞ?」
「.............マジで?」
「マジだ」
次回!伊織の運命やいかに!