ぐらんぶるろまんす   作:てこの原理こそ最強

3 / 13


 

大学入学2日目にして気分は最悪の北原伊織。童貞20歳。今日の講義は全て耕平と2人終始机に伏していた

 

「ただいま」

 

「「「おかえり」」」

 

「ウ″ーッ!」

 

「お、今日は拓海も来たのか!」

 

「(〃..)) 」

 

店に入ると店長、時田、寿が裸エプロンのように見える格好といつも通りの風景があった。伊織はその光景に吐き気がし拓海は店長に軽く会釈して挨拶した

 

「なんだ伊織、二日酔いか?」

 

「吐くならトイレだ」

 

「その格好のせいですよ!」

 

「「「ん?はっははははは!!!!」」」

 

「あー、この格好か」

 

「この後潜るのに準備しててな」

 

「下にはちゃんと水着つけてるから」

 

「なんだ、そうだったんですか」

 

伊織は水着を着ている発言に安心しているが決して全員そうだとは一言も言っていない。しかしそれもいつものこと。拓海と千紗は平然とその場から離れた

 

『3人とも〜。ちょっといい?』

 

「「はい」」

 

「ウソつきー!!」

 

奈々華に呼ばれて後ろを向いた3人の内時田と寿は案の定なにも履いていなかった

 

「今日のお客さんなんだけど、あらおかえりなさい」

 

「奈々華さんは服着てるんですね...」

 

「ん?」

 

「どうした?」

 

「急用ができちゃって延期してほしいみたい」

 

「そりゃ残念だな」

 

「ってことは今日は中止か」

 

「仕方がない、たまには服でも着るか」

 

「普通は常に着ているもんですけどね...」

 

 

 

 

 

「はいそれじゃ」

 

『いただきます』

 

今日も大学は午前中で終わったためみんなでお昼である

 

「さて、飲み会まで空いちまったな」

 

「あぁ、そうだな」

 

「「伊織、夜までどうする?」」

 

「なぜそこで俺にフルんですか...」

 

「他になにか用事でもあるのか?」

 

「今日は飲み会に参加しないって言ってるんです」

 

「お前はなんのサークルに入ったつもりだ!」

 

「えっ!ダイビングじゃないの!?」

 

「拓海、これ美味しい」

 

「(´ー`)」

 

伊織と時田のやりとりには目もくれず拓海と千紗は会話(千紗しか言葉は発していない)を挟みながらお昼を食べている

 

「伊織くん!」

 

「はい?」

 

「伊織くんがウチに来て3日目だけど知ってる?」

 

「えっと、なんでしょうか?」

 

「自分の部屋がどこにあるのかを」

 

「っ!言われてみれば...」

 

「でしょう?大学生になってはしゃぐ気持ちもわかるけど、3日連続で夜遊びなんてダーメ」

 

「そうですね。奈々華さんの言う通りです。というわけで今晩は不参加です!」

 

「ま、仕方がない」

 

「伊織は不参加か」

 

「いや〜、ホントすいませんね〜」

 

こんなすいませんとも思っていないすいませんは滅多に聞けるもんじゃないだろう。時田と寿はまだ昼途中というのに席を立って出口に向かっていく

 

「なぁにいいさ」

 

「どうせ人数は足りるだろう。今日の飲み会は青海女子大との交流会だしな」

 

「...」

 

「これって拓海の地元の調味料だっけ?」

 

「(。'-')(。._.)」

 

寿が最後に残した言葉に伊織は固まる

 

「女子大...だと!?」

 

そして時田と寿が今日使うはずだった機材を倉庫に置いて戻ってくると伊織が床に正座して奈々華に頭を下げていた。パンイチで

 

「ここまでしても許してもらえませんか!?」

 

「おい伊織、なにがあった?」

 

「俺思い出しました!自分がどんなサークルに入ったのかを!」

 

「ダイビングだろ?」

 

「いいえ!そんなものに入った覚えはありません!」

 

「素晴らしい手のひら返しだな」

 

「手首がねじ切れんばかりだ」

 

「お願いします!奈々華さん!」

 

「えっとね、とりあえず顔を上げて服を着よ?」

 

「だいたい、どうして服脱ぐのよ」

 

「表裏のない誠意を示すため!」

 

「遊びたいのはわかるけど...」

 

「ですが大将!」

 

「ダメです!」

 

「そこをなんとか!」

 

「ダメなものはダメ!」

 

「はぁ...」

 

女子大との飲み会と聞いて明らかに態度が変わる伊織。どれだけ女に飢えているのだろうか。その懇願の姿に呆れてため息が出る千紗。拓海はというと食器の後片付けをしている

 

そして拓海が後片付けを終えて戻ると伊織と時田、寿の3人の姿はなかった

 

「あ、拓海。おかえり」

 

「あら拓海くん。片付けしてくれてありがとう」

 

普段の奈々華は千紗と交際しているからといって拓海にひどい態度をとったりしない。逆に昔から店を手伝ってくれている拓海に対して感謝すらしているのだ。しかしその拓海への態度は拓海が千紗から1m以上離れているときに限ってだが...

 

「奈々華さん!荷解き終わりました!」

 

「えっホント!?」

 

「えぇ!」

 

「じゃあ確認しに行くわね」

 

そのまま奈々華は伊織と共に部屋を確認しに行った

 

「拓海」

 

「(・・。)?」

 

「ん」

 

「(*゚・゚)?」

 

「ん!」

 

奈々華が去ったことによりその空間には千紗と拓海の2人きりになったところで千紗が周りを見渡して本当に他に誰もいないことを確認して自分が座っているソファの隣をトントンと叩いて拓海に隣に座るように伝える。拓海は一度は何をしているのか理解できなかったが2度目にして理解し腰を下ろす。一回でわかれよ!それでも彼氏か!おっと失礼...

 

「えっと、うんと...」

 

「...」

 

いざ隣に座ってもらってもその後のことを考えていなかった千紗はテンパって早話す内容を考えるのに焦ってしまっている。それを見過ごす拓海ではなかった(そこは察するんかい!)。カバンから履修用の授業一覧を取り出してテーブルに置いた

 

「...どれ取る?

 

「えっ?あ、そうだね。拓海はなにか取りたいのあるの?」

 

「...千紗に合わせる

 

「っ!そ、そっか...」

 

拓海の声を聞けたのと拓海の声から自分の名前を聞けたの、また拓海が自分のことを気遣ってくれたのといろんなことからの嬉しさに今にも爆発しそうなぐらい心臓がドキドキしていることがわかる千紗だった

 

それから数分して奈々華が帰ってきた。なぜか顔を赤くして何度も頭をブンブン振っていた

 

「お姉ちゃん?」

 

「な、なんでもないのよ!?うん!」

 

「そっか。あ、伊織に渡そうと思ってたものがあったんだ。ちょっと行ってくるね」

 

「(-_-)/」

 

そう言って席を立った千紗にいってらっしゃいの意味を込めて手を少しだけ上げる拓海。手持ち無沙汰になった拓海は千紗がいなくなってから奥からモップを持ってきて床の清掃をしだした

 

少しして千紗が怒りをあらわにして戻ってきた

 

「ホント最低!」

 

「( ゚д゚)」

 

千紗の言葉に今にもカチコミに行きそうな雰囲気で拓海が首や肩を鳴らしている

 

「拓海。ちょっと散歩行かない?」

 

「( ・∀・)b」

 

千紗の誘いに脳よりも早く体が動いた拓海は既に玄関の前にいた

 

「あ、拓海くんちょっと」

 

「...(・・。)?」

 

「友達が拓海くんに変わりたいって」

 

「???」

 

全くもって意味がわからないまま奈々華から携帯を渡された拓海はそっと耳にやる

 

『あ、拓海ー?』

 

「( ̄Д ̄)」

 

その相手は浜岡梓(はまおかあずさ)、青海女子大学の3年で”Peek a Boo”のメンバーでもある

 

『ちょっとー、愛しの梓お姉さんを無視ー?』

 

「( ' -' )」

 

『はぁ、まぁ拓海と電話で会話なんてムリなのは知ってたんだけどさー。これでも悲しいのよ?んじゃ要件だけ伝えちゃうわ。今日の飲み会悪いんだけどこっちの都合で延期になったから。とっきーとぶっきーにも連絡はしてるけど、2人が携帯見てなかったら伝えてくれる?じゃあまたねー。愛してるぞ?”たっくん”』

 

「!Σ( ̄□ ̄;)」

 

『つーつー』

 

最後にとんでもない呼び方をされた拓海は驚きを隠せないまま電話を切って奈々華さんに返した

 

「今の誰?」

 

「ん?梓だよ」

 

「梓さん...」

 

千紗はジト目で拓海を見ている。千紗は梓が拓海のことを相当気に入っているのは知っている。でもそれは千紗にとってあまりよろしくないわけで、拓海はというと直立のまま汗をダラダラかいている

 

「拓海」

 

「( ゚д゚)!」

 

千紗が名前を呼んだだけで拓海を体をビクンとさせる

 

「もう!」

 

「っ!」

 

千紗が拓海の腕に抱きつく。それほど大きくもないが小さくもない。言うなればちょうどいいサイズに成長した千紗の胸に腕が囚われる。千紗は拓海を落ち着かせようと行動に移したのだろうが拓海の汗は止むどころか更に出てきていた。いつもなら地球一周できるくらい嬉しいことのはずが、今は千紗には見えていないだろうが奈々華が目の光を失い持っている携帯を握りつぶすほどに力が入っているため喜ぶことができない

 

「千紗ちゃん...ちょっと拓海くんと話したいことがあるから、ちょっとだけ貸してもらえないかしら...」

 

「え...うん、わかった」

 

「ごめんね。あ、さっき耕平くんが来たみたいだから伊織くんのお部屋にお茶持っていってもらってもいいかな?」

 

「ん」

 

いくら姉とはいえど拓海を渡したくはない千紗であるが話があるというなら仕方ないと思って奈々華の言う通りにお茶を持っていった

 

「拓海くん...」

 

「(;:´°;Д;°`:;)」

 

千紗がいなくなった途端、奈々華の威圧が強くなった

 

「拓海くん。別に千紗ちゃんと付き合うことに文句はないわ。だってそれは千紗ちゃんが決めたことですもん」

 

「...」

 

「でも節操は守ってね?まだあなた達は学生。前にも話したと思うけど学生のウチにそういうことがあったら...ワタシ、ナニスルカワカラナイカラ...」

 

「Σ(っ゚Д゚;)っ」

 

その日の夜、拓海の夢にはずっと包丁を持った奈々華が出てきたとかなんとか...南無...

 

 

 

 

 

次の日、なぜか拓海には昨日の記憶がなかった。思い出そうとすると鳥肌がたったため思い出そうとする行為そのものをやめた。そして携帯を確認すると新入生は”Grand Blue”に集合というメッセージを時田から受けた拓海はせっせと支度をすませ千紗に会いに...店に向かった

 

「お、来たな」

 

「おはよ、拓海」

 

「( ´ ▽ ` )ノ」

 

「っ!もう...」

 

拓海が店に着くと千紗が小走りで出迎えてくれた。それに挨拶と感謝を込めて頭を撫でる。千紗はいつも子供扱いみたいで恥ずかしくはあるがイヤではないので抵抗はしない

 

「拓海も来たってことはサークル活動か」

 

「はい」

 

「新入生を交えて何かやろうかと」

 

「新入生って何人入ったの?」

 

「今のところ4人っす」

 

「新入生諸君。今日はよく集まってくれた」

 

「4人てこのメンツかよ。てか耕平はなんで真面目に参加してるんだ?」

 

「先輩から緊急招集がかかったからな!」

 

携帯の画面を見せる耕平。そこには『”Grand Blue”に声優の水樹カヤさんが来る』と書かれていた

 

「んなのウソに決まってるだろ」

 

「りありー!?」

 

「うむウソだ」

 

「おいおい、いくらなんでもこんなウソに騙されるなよ」

 

「うぅぅぅ......」

 

「えっ、マジ泣き!その年で!?」

 

「カヤちゃん、最近忙しいみたいだから当分来れないだろ」

 

「その言い方だと前はよく来てたみたいですね」

 

「うん、来てたわよ」

 

「りありー!?」

 

「うん、リアリィ」

 

「芸能人もよく来るぞ?」

 

「そう言ってまた騙すに違いない」

 

「うふふ、ウソなんて言わないわよ〜」

 

「証拠がなければ信じられません」

 

声優の水樹カヤが来ていたことを信じようとしない耕平は証拠を求めてきた。すると拓海は耕平の肩を叩き自分の携帯の画面を見せた。そこにはメッセージが写っておりこう書かれていた

 

Peek a Booに新メンバーが入ってカヤさんに会いたがってるやつがいますよ?

 

ホントに!?嬉しいなぁ!また時間が空いたら行くからその時まで待っててって伝えておいてー!☆

 

「うぉぉぉ!我那覇!お前ホントはいいやつだったんだな!ん?」

 

本物の水樹カヤとのやりとりを見せられてようやく信用した耕平は拓海の手を取って喜んだが、ふとメッセージの続きに目が行った

 

『あ、もし今度潜るときは拓海くんにインストラクター頼もうかなぁ?

 

時間があれば喜んで

 

ホントー!?絶対に時間作って行くね!

 

えぇ、お待ちしてます。みんなで待ってますね』

 

「お前ぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」

 

耕平はそのメッセージに我を忘れた。しかしその理由がまったくわからない拓海は1人ポカンとしている

 

「なんなら彼女のウェットスーツも向こうにあるぞ?」

 

「ふむ、ウェットスーツですか。ではテイスティングよろしいか?」

 

「すげぇ...躊躇のない変態宣言...」

 

その宣言に拓海と千紗はちょっと引いている

 

「俺やる気が出てきました!ダイビングのこと教えてください!」

 

「任せとけ!」

 

「私達も参加しないといけませんか?」

 

『んぁ?』

 

「経験者の千紗ちゃんと拓海は必要ないか」

 

「それなら私達は不参加で」

 

「千紗も参加しなさい。もちろん拓海もな。初心者の挙動を勉強するのも大事だぞ?」

 

「えぇ〜...」

 

明らかにイヤそうな顔をする千紗。そんな顔も可愛いと思ってしまっている拓海はアホである

 

「あの、俺は見学でもいいですか?」

 

「なんだ、体調不調か?」

 

「いえ...」

 

「あぁ、あのことか」

 

「ん?」

 

「俺泳げないんですよ。だから...」

 

「そんなこと気にするな!」

 

「気にしますって!」

 

「泳げないダイバーだっているんだぞ?」

 

「でも...」

 

「やって見る前からそんな否定するな」

 

「もったいないぞ」

 

「そこまで言うなら...」

 

拓海はそこでわかったことが一つあった。千紗がほんの少し伊織の注意を向けていたことが

 

そして新入生4人と時田、寿の先輩コンビは近くの屋内プールに移動した

 

「今日は水泳の練習を行う」

 

「え、さっきは泳げなくてもいいって言ったのに」

 

「泳ぎの技術はさして重要じゃない。見ずに慣れておくことが重要なんだ」

 

「「はぁ...」」

 

「それじゃあ、さっさと水着に着替えんぞ!」

 

「私も着替えるんですか?」

 

「そりゃあそうだろ」

 

更衣室に移動した伊織達は着くなり服を全て脱ぎ捨てた先輩2人の前に座らされていた

 

「要するだ。泳げないやつは水に恐怖心を抱いている」

 

「ダイビングではそれはマズいことなんだ」

 

「話が頭に入らないので下を履いてもらえませんか!」

 

「水に恐怖心があるとトラブルに対してパニックになりやすい」

 

「すると効率のいい呼吸が保てずエアーの消費が早くなるんだ」

 

「これは安全にも関わることからちゃんと練習してもらうぞ!」

 

「驚いた...ダイビングには真面目なんですね」

 

「わかったならさっさと着替えろ」

 

「あぁ」

 

話が終わってまだ着替えていないのは伊織だけっだった。そして伊織が着替え終わると伊織&寿、耕平&時田のペアで練習することとなった。拓海はというと自分のジャージの上着を持って女子更衣室に向かった

 

「たたたた拓海!?」

 

「ヾ(・ω・`;))ノ三ヾ((;´・ω・)ノ」

 

拓海が女子更衣室に着いたと同時に更衣室のドアが開き水着姿の千紗が出てきた。しかし水着姿の千紗のどこを見ていいかわからない拓海といきなり目の前に拓海がいて自分は水着姿で恥ずかしく思う千紗はお互いに後ろを向いた。そして拓海はそのままジャージを後ろに差し出した

 

「あ、ありがと...」

 

ジーっとジャージのチャックが上がる音が終わってから千紗が声をかけた

 

「もう、いいよ」

 

「...」

 

「ごめんね、変なもの見せちゃって」

 

「っ!」

 

千紗は昔から自分の体に自信がなかった。なんせ姉がボンキュッボンの美人であるからしてその妹の千紗にはたまったもじゃない

 

「そんなことない」

 

「っ!た、拓海...?」

 

...カワイかった......

 

「〜っ!」

 

千紗は俯く。拓海が褒めてくれたこと。拓海のまっすぐな目。ちょっと照れて赤くなってる顔。千紗は改めて感じた。拓海のことが好きだと

 

千紗が俯いてなにも話さないことに拓海はアワアワと最善の解を導き出そうと模索しているがなにも思いつかなかった。しかしそれは杞憂に終わった。なぜなら千紗が拓海の手を取って歩き出したからだ。その顔は少し頰が赤いが笑顔だった

 

そのままプールに出るとプールサイドに海パンが落ちていた。海パンが落ちている?

 

「ふぅ〜」

 

「どうだ伊織?」

 

「ん〜、これならなんとか...はっ!」

 

「「...」」

 

頭にタオルを置いてまるで風呂に浸かっているような体勢を取っている伊織。しかしその姿は裸であった

 

「違うんだ!これは訓練で!そうですよね先輩!?」

 

「しかしなんだな。伊織は脱ぐのが好きだな」

 

「先輩!?」

 

「変態...」

 

「うっ!」

 

そしてその変態はそのままの姿でプールからあがりやがった

 

「違うんだ!俺は露出の趣味はない!」

 

「で?なにやってたんですか?」

 

「伊織を水に慣れさせる特訓だ」

 

「俺の話は聞いてくれないのか...」

 

「じゃあ私達は向こうで見学してます」

 

「俺は変態じゃないのに...」

 

そのまま膝から崩れ落ちる伊織

 

「さ、伊織。続きを始めるぞ」

 

「水の中を楽しむために頑張ろう」

 

「いえ、もう水の中なんてどうでもよくなったといいますか...」

 

その言葉に千紗が反応したことに拓海は気づかないはずがなかった

 

訓練が終わって店に戻ると伊織と菜々華が一緒に水族館へ遊びに行った。しかしそれを提案したのは千紗であった。どうやら水の中の良さを少しでも知ってほしいとのことらしい

 

「千紗!」

 

「なに?」

 

「ほい、これお土産」

 

「私がどれだけあの水族館に通ってきたと思ってるの?」

 

「まぁ、感謝の気持ちだよ」

 

「感謝?」

 

「俺をあそこに連れて行くよう奈々華さんに頼んでくれたんだろ?」

 

「...ダイビングバカにされたままなのは癪だから」

 

「そっか、とにかくやるよ」

 

「ん」

 

なんやかんや伊織が買ってきたお土産を受け取る千紗

 

「じゃ」

 

「...ちょっと待って」

 

「ん?」

 

「それで、どうだったの?」

 

「なにが?」

 

「水の中」

 

「う〜ん...どうだな、苦手意識は変わらないけど次はもっと近くで見てみたいかな」

 

「あっそ...」

 

「だからそれプレゼント。ありがとうな、千紗」

 

「あ、ちょっと...」

 

千紗が声をかけるが既に伊織の姿はなかった

 

「それならもう少しカワイイものよこしなさいよ。バカ...」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。