『新人の伊織ちゃんでーす』
『いらっしゃいませー。本日はご指名ありがとう...っ!』
『ぎゃぁぁぁぁぁぁ!!!!!』
ピンク色の世界。女子高生の制服に身を包んだ伊織がベッドで女の子座りをしている。そんな伊織の前に時田と寿。そんな悪夢から目覚めた伊織はすごい汗をかいていた
「まったくヒドい夢だ。俺が女子高生の服を着るなんて...おはようございます。っ!」
朝からヒドい夢を見てしまったことに頭を抱えつつ廊下を進み目的地のドアを開けた。中には女子高生の制服を持った時田と寿がいた。まさか正夢か
「「おはよう」」
「い”ぃ”ぃ”ぃ”ぃ”ぃ”ぃ”や”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”!!!!!!!!」
夢のこともあり伊織は恐怖と驚愕で尻餅をついた
「まさか、先輩達にこんな趣味があったなんて...」
「は?何を言ってるんだ伊織」
「だってその制服!」
「制服は好きですがなんで男子高校生ようなんですか!?」
「今日は真面目にサークル活動をしようと思ってな」
「「?」」
いつの間にかいる耕平。そしていつもは真面目じゃないのかと言いたくなるようなセリフ。どこからツッコんでいいのかわからない
「おはよう...」
そこへ千紗が登場し女子高生の制服を持ってブツブツ言っている伊織と耕平に一言
「変態...」
「違うんぞ千紗!」
「これをダイビングに使うと渡されて!」
「ダイビング?あぁ、もうそんな時期ですか」
「そういうことだ」
「なっ!千紗が平然と受入れているだと...!」
「本当に制服が必要だとは...」
「しかし、これをどうやって使うんだ...?」
「こうするとサメよけになるとか...」
「あの2人なんの話をしてるんです?」
「「さぁ〜」」
その後、2人はダイビングにはたくさんの機材があるためそれらを揃えるためには金がかかることを教えられ、金を稼ぐために制服を使うと聞かされた
「2人共、伊豆春祭は知ってるか?」
「「?」」
「5月にやるウチの大学で開催される祭のことだ」
「サークル対抗ミスターコンテストってイベントがあってだな」
「優勝サークルには賞金が出るんだよ」
「「ふ〜ん、そうですか。まさか俺達に出ろと?」」
「「正解」」
「「イヤじゃぁぁぁぁぁ!!!!」」
「これは男子コンテストとも言ってな。男コンと略している」
「「最悪だ!」」
「はっ!千紗は知ってたのか!?」
「一応...去年とかも見てたから」
「俺はごめんです。そんなものを着て笑い者になるなんて冗談じゃない」
アニメキャラのティーシャツ着て大学行ってるお前がなにを言うか、的なことを伊織と千紗は言いたそうだ
「なぁ耕平。お前は美系だ」
「なにを...」
「お前が出ればきっと勝てる。サークルのためにお前の魅力を貸してくれないか」
「そう言われても...」
「じゃあ俺は必要ないですよね」
「なぜだ?」
「だって耕平がいるじゃないですか」
「なぁ、伊織」
「なんですか...?」
時田は耕平のときと同様伊織の肩をガッチリ掴む
「お前はネタ枠だ」
「ブチ殺しますよ」
「ちょっと待ってください。なら我那覇はどうなるんですか?」
「あぁ、一応拓海にも聞いてみるつもりだ」
「だがあいつはな~...」
「なにか問題でもあるんですか?」
「「正直圧勝過ぎてつまらん」」
「「なんだそれはぁぁ!!」」
「拓海のことは帰ってきてから決めるとして、二人はそいつを着てくれ」
「え?」
「今日は実際に海に出る」
伊織と耕平用にウェットスーツが用意されており二人はそれに着替える
「サイズはどうだ?」
「ちょっと苦しい程度ですね」
「隙間ができてなければOKだ」
「じゃあ行くぞ」
「うーっす」
「はぁ、海か...千紗は行かないのか?」
「店番」
「そっか。じゃ」
「あのさ、伊織」
「ん?」
「大学生活が始まるとき、ワクワクした?」
「え?」
「どう?」
「う~ん...そういえばワクワク...してたな...」
伊織はここに来たときのことを思い出す
「それならきっと、楽しめると思う」
「ん~?」
伊織には千紗の言っていることがイマイチ理解できなかった
伊織と耕平が実際の海で練習していると店から急いで車に乗り込むスーツ姿の男性が2人見えた
『ありがとうございました』
「あの人達は?」
「あぁ、出張前に潜りに来たらしい」
「なんか大変そうですね。忙しそうなのにスーツまで持ってきて」
「頼もしいだろ?」
「頼もしい?」
「だってそうだろ?あの人達は貴重な金や時間を使って来ている。それってつまり、ここにはそれだけの魅力がつまってる証拠じゃないか」
伊織はそこで奈々華と行った水族館の神秘的な光景を思い出す
「さっき水の中が怖いと言ったな」
「すいません」
「謝ることはないさ。水中で空気がなくなったらと思ったら俺だって怖い。これなんだかわかるか?」
「えっと...」
「こいつはオクトパスといって予備のレギュレーターだ。水中で仲間が空気切れを起こしたときに渡してやるんだ」
「ウェイトのつける向きは決まっているが、これにも理由がある。なにかあったとき手早くはずしてやるためだ。自分の安全だけじゃなく、一緒に潜っている仲間を助けられるように」
寿がダイビングに大切なもののほんの一部分を伊織に伝える
「安全確認はやった。ここにはお前だけじゃなく俺もいる。だから根性入れて潜ってこい。なにがあろうと助けてやる!」
「...よし!行ってきます!」
「おう!」
伊織は再びマスクをつけレギュをくわえる。そして潜った。岩の上に正座をするように静止する。体をリラックスさせゆっくりとレギュから肺に空気を送り込む
(あれ?できた!苦しくない全然!やった!)
息ができ目を開けられた伊織の目の前には今まで体感したことのない幻想的な世界が広がっていた。水族館のときはただ見るだけだったが今はそれを直に体験している
(これが、水の中...!俺の、知らなかった世界...!)
「ぷはっ!」
「どうだ?海の中の感想は?」
「最高です!」
「そうだろ!」
「もう一回!」
「おう!でもちょっと待て。一旦エアーの残量を確認する」
「あ、はい」
伊織はすぐさまもう一度先ほどの世界に飛び込もうとまるでこどものようにはしゃいでいる。すると店から再びお客さんと思われる人達が出てきた。今度は女性3人組みだ。それと拓海の姿もあった
『拓海くん、今回もありがとう!』
『すっごく楽しかったよ!』
『でも今回も拓海くんの声は聞けずじまいなのはちょっと残念...』
『( ̄▽ ̄;)』
「...先輩。あれは?」
「ん?あぁ、あの人達も店の常連さんだ」
「お客さんなのはわかってます。俺が聞きたいのはお姉さん達にチヤホヤされてる拓海についてです」
「あいつはインストラクターの手伝いをやっていてな。いつもではないがお客さんからの指名だったり奈々華さん達の手が空いてないときに手伝っている」
「それがあのチヤホヤとなんの関係が?あいつあんましゃべらないですよね?」
「あいつの女性人気はすごいぞ?確かにあまり言葉を発しないがそれがまたクールでいいっていう人や逆にいつか拓海の声を聞くために何回も来る人だっているくらいだ」
「なん...だと...もしや、ダイビングはモテる!?」
「そいつはわからん。だがインストラクターはお客さんをしっかりリードしなければならない。危険がないようにな。その点でいうと頼りになるって認識されるかもな」
「うぉぉぉぉぉ!!!!!先輩!俺、絶対にダイビングできるようになりたいです!!!」
「そ、そうか。ならひたすら特訓あるのみだな!」
「はい!」
それからの伊織の特訓に対する熱はすごかった。しかし一朝一夕でダイビングができるわけもなく今回は新しい世界が見れたってことで打ち切りになった
「千紗!」
「伊織!?」
「わかったよお前が言ってたこと!海の中で息ができるってすごいな!俺全然泳げないのに!」
「そ、そう...」
「これが新しい世界に触れるってことなんだな!これってあれか!?宇宙に行って無重力を体験するよなものなのか!?」
特訓を終えた伊織はウェットスーツを着たまま店に駆け込み千紗の手を取り興奮のありのままを伝えた。その興奮具合にダイビングに対しての思いが少しは変わったことに千紗は笑顔を向けるのであった
「伊織。わかったからとりあえず着替えて」
「浮遊感とかすごかった!」
その光景を奈々華は微笑みながら、そして拓海は伊織のせいで濡れた床をモップがけしている。それはもう明らかにイラついている表情で。ムリもない、自分の彼女が他の男子に手を握られているのだから。無意識のうちにモップがけに入れる力が強くなっていく
拓海がこんな気持ちになっているのは伊織が千紗の手を握っているだけではなかった。それは千紗が伊織に向けた笑顔だ。これまで千紗が拓海以外であの笑顔を異性に向けるところを拓海自身知らなかったのだ。まぁ伊織と千紗が幼馴染である時点で拓海の知らない千紗を伊織は知ってるかもしれないわけで...それを考えると拓海は悔しくてしかたなかった
拓海は掃除を終えるといい時間になっていたのでそろそろ帰ろうと店長や奈々華に挨拶をした
「ちょっとそこまで送ってくる」
千紗が見送りをしてくれるようだ。しかし今の拓海には複雑である。今のだらしない姿を見てほしくないという気持ちが嬉しさを上回っていたのだ
店を出てから数秒無言が続いた。拓海はその時間がすっごく悲しく感じていた。すると唐突に右手が温かいなにかに握られた。見ずともわかる、千紗の手だ
「はい、これで上書き」
「(゜_゜)」
「...伊織に手を握られたときに、その嫉妬してたって...お姉ちゃんが...」
拓海は顔を空に向けその顔を手で覆った
「違っ、た...?」
「...」
恥ずかしそうに上目遣いで聞いてくる千紗に拓海は首を振る
「そっか。でも!私の方がいつもそうなんだからね!」
「...?」
「今日だって女の人達と一緒に潜って、いつも拓海を指名する人は若い女の人ばっかりで...梓さんだっているのに...」
千紗の発言に目を見開いて驚いている拓海
「みんな拓海との距離近いんだよ。その度に私不安で...でも次の日の朝には迎えに来てくれるからそんな不安吹っ飛ぶんだけどね」
いつもと違ってコロコロと表情を変える千紗。怒った顔から不安な顔、そして最後には嬉しそうに笑顔になる
「だから!今日のはいつも私を不安にさせてる拓海への罰。じゃあね」
千紗は最後に下をベーっと出してきた道を戻っていく。拓海は再び顔を誰にも見られないように片手で覆い千紗のかわいさに悶えるのだった
次の日、伊織は昨晩時田や寿、耕平と飲み明かしたため懲りもせず二日酔いとともに目を覚ました
「またしても飲みすぎた...水...ウプッ!」
水を欲し起き上がろうとするも誰かに頭を押さえつけられた
「なにすんですか!え...?」
「...もうちょい寝ようよ」
驚きうべきことに伊織の隣で綺麗なお姉さんが半裸状態で寝ていた
(いやいやありえないだろ...酔って起きたら隣で半裸の人が寝てるなんて...いつものことだな)
そっちは半裸ではなく全裸だけどな
「というか、この人は一体!?」
「おぉ、お前らは初対面か」
「おぉ!」
「ウチがインカレサークルなのは知ってるよなぁ?」
一緒に寝ていた時田達も起き始めた。ちなみにインカレサークルとは複数の大学の学生が所属するサークルのことである
「ってことは他の学校の人なんですか?」
「こいつは青海女子大の浜岡梓って女でな」
「で、なんでそんな人がここで寝てるんですか?」
「布団があったからじゃないか?」
「その布団、先に俺が寝ていたんですが...」
「そういうことを気にする女じゃない」
時田が指差す方には乱雑に脱がれた服が転がっていた
「わっ...」
「普通裸で寝ている男がいる部屋で服脱いで寝るか!?」
「そういうこった」
「こいつを女扱いしてるとバカを見るぞ。それに裸になってないだけまだマシだ」
「どう意味です...?」
「まるでこの人が裸で寝ることを知ってるかのようですが...?」
「知ってるもなにも事実だからな」
「まぁ本人曰くある男以外にはしないらしいが」
「ある男?」
「そいつは一体?」
「「拓海だ」」
「「あんのクソ野郎がぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」」
「...!」
伊織と耕平が妬みとそこからくる怒りで発狂したところへ拓海がやってきた
「お、早いな」
「俺達もすぐ行く。悪いがこのぐーたら女を頼んだ」
「( ・᷄ὢ・᷅)」
「その顔やめろ」
時田の提案に明らかにイヤそうな顔をする拓海。しかし今にも拓海に襲いかかっていきそうな伊織と耕平を脇に抱えながら時田と寿は去っていった
「(o´Д`)=з」
仕方ないとため息をついて梓を起こそうと体を揺らす
「Zzz...」
「...」
「...うへへ、たっくん......」
「...!」
「...お姉さんは〜、たっくんの目覚めのキッスをご所望する......」
「(゜Д゜)」
拓海はそこで梓がもう既に起きていることを確信する。その上でからかってきたダメなお姉さんにはお仕置きが必要と思い、一旦その場を離れコップに水を入れて戻ってきた。しかし梓はまだ起きてはいない。拓海はコップを梓の顔の上まで持っていきゆっくりと傾ける。地球には重力というものがあり、物体は地球の引力に引かれ落ちる。よって水もそのまま真っ直ぐと落ち梓の顔を濡らすのであった
「ぷはっ!もう〜、起こすにしたってもう少し優しくしてよ」
「∥Д・)」
「あーあ、濡れちゃった」
「Σ( ゜Д゜)!」
「しかたない。着替え...あぶっ!」
水にびっくりして勢いよく上体を起こした梓は水で濡れた下着に手をかけ、拓海がいるにも関わらずに脱ごうとしたので拓海がそこに落ちていた梓の着替えを投げつけて部屋を去った
「はいお待ち」
「「おぉ!」」
「相変わらず上手ですね」
「それほどでも」
「伊豆春祭でお好み焼きを売るんですか」
「普通に上手い」
「上手くなきゃ困る」
「売り上げをサークル予算にするからな」
所変わって店の裏。海に面した磯上に作られたデッキでちゃんと服を着た梓が新入生の前でお好み焼き作りを披露した
「というわけで、今日は1年生にこれを作れるようになってもらう」
「とっきーとぶっきーは?」
「あぁ、俺達は...」
『時田!寿!行くぞー!』
「おう!ってなわけで機材の準備に行ってくる」
「終わったらみんなでくるから、たくさん焼いといてくれ」
「わかった。じゃあ始めようか」
「はい」
「と言っても、拓海いるんなら私そこまで必要ない気もするんだけど」
「...」
拓海は料理ができる。なんならそこら辺の女子よりも。そんな中ある2人はアイコンタクトで何やら企んでいた
(やるぞ!耕平!)
(任せろ!北原!)
伊織と耕平はここに集まる前に時田と寿から伊豆春祭のことについて聞かされていた。なんでも千紗をミスコンに出るよう説得するのが今回の2人の役目らしい。最初は2人ともムリだと言っていたが千紗がミスコンに出て賞金をもらえば2人が男コンに出なくて済むということでやる気が出たらしい。浅はかなり...
そして梓(+拓海補助)の指導のもとお好み焼き作りが開始された。それとともに伊織&耕平の作戦も開始される
(普通なら千紗は絶対にミスコン出場なんて承諾しないだろう...)
(ならば普通じゃない状態にしてしまえばいいだけのこと...)
(千紗を酔わせて判断力をなくす!)
(そしてミスコン参加の現地を取る!)
「いやぁー暑いなー耕平!」
「そうだなー北原!こう暑いと熱中症が怖いなー!」
「きちんと水分補給をしないとな!」
「なら俺が飲み物を取ってきてやるよ!」
そして耕平は片方は普通のウーロン茶、もう片方はウォッカ+ウィスキーのウーロン茶色の飲み物を持ってきた
「はいウーロン茶!」
「おう!サンキュー!」
(北原、わかってるな?右手が酒だ!)
(右手が千紗、左手が俺だな!)
「ほら千紗!飲み物ー!」
「今手が離せないから後で!拓海、こんな感じ?」
「(o´・ω-)b」
「じゃあ私がもらっちゃうね〜」
「えっ...」
梓が耕平が持っている本物のウーロン茶を取ったため、2人の元には酒が残った
「ん、飲まないの?」
「いや...えっと...その...」
「なに〜?なにか変なものでも入ってるの?」
「ひゃっ!」
「あ、あはは〜まさかそんな。ほら飲めよ北原!」
「...おう!そうだな!」
伊織はコップの中身を飲み干しその強烈さに口を押さえてうずくまる
「ん?どうしたの伊織」
「な、なんでも...」
(てめぇ!なにしやがる!)
(今のは不可抗力だ!)
(交代だ)
さっきからこいつらアイコンタクトだけで会話してやがる。はっ!まさかニュータイ...
「今度は俺がやろう」
「なら俺が飲み物持ってきてやるよ!」
選手交代し今度は伊織が最低な飲み物を作りにいく
「ふふふ...」
「なに作ってるの?」
「ひっ!」
なんとも詰めの甘い。酒を作っているところを千紗に見られてしまった
「ふ〜ん」
「ちちちち千紗!これは...!」
「まったく2人ともよくやるわ」
「へっ?」
「それ、今村くんに飲ませようとしてるんでしょ?」
「...」
「ん?それとも拓海?もし拓海にだったら...ユルサナイヨ...?」
「...耕平、お茶だ」
「おぉ悪いな。ブゥゥーーー!!!!」
千紗の威圧に負けた伊織は作った酒を耕平にお茶と言って渡す。耕平はそれを信じ飲んでしまうがすぐに吹き出す
(すまん。不可抗力なんだ...)
(どうなったらこれが不可抗力になるんだ!)
それからお好み焼き作りは続き、伊織と耕平による工作も進んだ
「ん〜、上出来上出来」
「梓さんや拓海みたいに上手く作れませんけど」
「いいのいいの。大学祭の出店なんだから。それに拓海は例外だしね」
「...」
その後一旦休憩に入り味見も兼ねてお好み焼きでお昼となった
「いや〜こういうロケーションだとあれだな千紗」
「なに?」
「ビールが欲しくなるよな」
「そういうと思って用意しておいたぜ!」
「私はいらないけど」
「あ、私もらってもいいかな?」
千紗に飲ませようと企んだビールは梓に飲まれてしまった
「かぁ〜!君達気がきくね!」
「それはそれは...」
「お褒めに預かり恐悦至極です...」
「うんうん。奈々華から聞いてた通りいい子達じゃない」
「奈々華さんから?」
「仲いいんですか?」
「ちょくちょく電話するくらいにはね。だから君のことよーく知ってるよ?伊織くん」
「はぁ...」
「聞かせてもらったから、いろいろと...」
(奈々華さんから...)
梓が奈々華に伊織のことをいろいろ聞いていると聞いて伊織はなにかを思い出したのか含んだビールを垂れ流した
「伊織汚い」
「あーもうなにしてるのさ」
伊織がズボンに垂らしたビールを梓はそっとふく
(あの!AVとか男同士のとかは誤解で!)
(あはっ、大丈夫大丈夫)
(いや全然大丈夫じゃ...)
(実は私も、どっちもイケる口なんだ)
「いやー同じ趣味の人がいるっていいよね!今度いろいろ語り明かそう!」
「同じ趣味?」
「ダイビングのことでしょ?」
「...」
梓と伊織がこそこそなにか話したと思いきや伊織が突然慌てふためく。そして梓の口から出た同じ趣味という言葉に疑問を抱く耕平と千紗、そしてそんなやりとり全く気にせず黙々とお好み焼きを食べる拓海であった
(おい北原!どうでもいい話をしている場合じゃないだろ!)
(いや、結構大事なんだが...)
「2人ともどうかした?」
「いやいや!」
「ちょっと飲み物取ってくる!」
そしてまた伊織と耕平は千紗を酔わせるべく行動に移した
(この手だけは使いたくなかったが!)
(全員の飲み物をこれにするしか!)
2人は5つ用意された紙コップ全部ににウイスキーを入れる
「はい!ウーロン茶!」
「どうぞ!」
「まだあるからいいよ」
「私も」
「...」
拓海も中身の入っている自分のコップを持ち上げていらないアピール。最終的に作った酒は伊織と耕平2人で飲むことになった
((まだまだ!!!))
「夏といえばかき氷!」
「シロップは特製だぜ!」
「もうお腹いっぱいだから」
「2人で食べなよ?あ、拓海は?」
「((-ω-。)(。-ω-))」
梓の提案に拓海は首を振る。2人の作ったかき氷(酒シロップ)はまたも2人で消費することになった
「2人ともさっきからなにしてるの」
「あのさ、ちょっといい?ちーちゃん酔わせてなにしようとしてるの?」
「なななななんのことだかさっぱり!」
「誤解にも甚だしいよな!」
梓の言葉に2人は慌て、千紗は梓の背後に隠れ、拓海はイスが倒れるほど勢いよく立ち上がる
「潰してなにかしようってんなら拓海が黙ってないよ?」
「(^_^ꐦ)」
伊織の目には手をポキポキならして迫ってくる拓海の姿が入る
「そ、そういうんじゃないです!」
「なら、なにしようとしてたの?」
(こうなったら仕方がない!)
(もう小細工はなしだ!)
「「ミスコンに出てくれ!!!」」
「イヤ」
2人は覚悟を決めて千紗の前で腰から90度、いや90度以上曲げて頼み込んだ。即答で断られたが
「全裸で土下座するから頼む!」
「上から踏めばいいの?」
「せめて出る出ないで返事を!とにかく頼む!」
「この通りだ!」
「イヤったらイヤ!」
「ダメだよ、頼みごとするのにそんなんじゃ。頼む理由もちゃんと言わないとね」
「「...」」
「理由、ないの...?」
「いやーまぁ、千紗が出れば優勝商品ゲットできるじゃないですか...」
「そうすると俺らが男コンに出なくてすむんですよ..」
「ふ〜んそっか。なるほどね。どう?ちーちゃん」
「絶対にイヤです!」
「予想はしていたが...」
「じゃあ最初から聞かないで!」
こうして伊織と耕平の作戦は失敗に終わった
「なんだ、ダメだったのか」
「取りつく島もないって感じで...」
「これで俺らは男コン出場確定か」
「ま、仕方ないな」
時田達が戻ってきて結果を伝える伊織と耕平
「そういえば、先輩達のときは誰が出たんですか?」
「ミスコンなら梓が出たな」
「確かに美人ですもんね」
「予選落ちだったけどな」
「え?」
「なんで?」
「水着を忘れて下着で出て失格になった」
「いろいろとすごいですね」
「羞恥心はないのか」
「あいつはそういう女だ」
「いやいやそんな」
「ま、いつも通りにしていればわかるさ」
寿の言う通りその後はいつも通り服を脱ぎ始めた
「よし!ちょっと混ぜてもらってくる」
「いってらっしゃい」
「ホント梓はあぁいうの好きよね」
女性3人で飲んでいた中で半裸の男どもの中に梓が混ざりに行くという普通なら考えられないことが起きていた
「拓海くんは行かなくていいの?」
「(ヾノ・ω・`)」
「たまには参加してみたら?」
「(´Д` )」
「そういえば拓海ってあぁいうの参加しないよね」
「( ̄^ ̄)」
「拓海!あんたもくる!」
「(´・Д・`)?」
拓海は生まれてこの方酔ったことがない。ということは酔っているやつのノリについていけないのだ。だからいつも時田や寿達がやっているゲームには参加しない。自分が入って冷めさせないために。しかし梓は積極的に拓海を参加させようとする。いつもは断っているが今回は...
「こないならちーちゃんの初めて、私がもらっちゃうよ?」
「...」
梓の挑発とも取れるそれを聞いて拓海自身黙ってはおれず驚いている千紗の横を通って戦場へ赴いた
「そうこなくっちゃ」
「拓海が参加するなんて珍しいな」
「まぁあんなこと言われちゃな」
「ゲームはそうだな〜。ポッチーゲームにしよっか」
「ちょっ!梓さん!?」
ゲーム内容を聞いて身を乗り出す千紗。しかし時すでに遅し。梓と拓海は既にポッチーの両端を咥えていた。いつもの拓海なら絶対やらないことなのだが、今の拓海の頭の中は“千紗を守る”の言葉しかないため正常な判断ができていなかった
「では、スタートだ!」
時田の合図で両者ゆっくりと食べていく。そしてあと数センチで唇同士がくっつくところで千紗が飛び入りで参加。拓海の体を思いっきり引いた
「ありゃ〜。もう少しだったのに」
「いくら梓さんでも怒りますよ!?拓海もどうして素直にやるかな!」
「...( ゚д゚)!」
千紗の声を聞いて正気に戻った拓海は自分のやったことを思い出した
「ま、拓海とキスできなかったことは残念として。一応拓海の方が先に離したから拓海の負けだよね」
「...」
「1枚、脱いでもらおうか!」
手を腰に置いて勝ち誇る梓を前に拓海は仕方ないとため息を一つついてシャツを脱ぐ
「〜っ!」
程よく割れた腹筋。細いが筋肉質な腕。引き締まった腰。千紗が顔を赤くするには十分であった。いつもダイビングで見ているときとは違う状況。千紗の目はとろ〜んとなってすうふんかん拓海から目が離せなかった