ぐらんぶるろまんす   作:てこの原理こそ最強

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『伊豆春祭じゃ!イェーイ!!!』

 

ついに来た伊豆春祭。天気は最高。まさに祭り日和となった。梓のお好み焼き作り特訓(&伊織と耕平による千紗酔わせる大作戦)の後、伊織と耕平が男コンに出るという条件の下千紗がミスコンに出るのが決定した

 

そして今は新入生4人で店番をしている

 

「喜んだはいいものの」

 

「俺達は店番か」

 

「お待たせしました」

 

まだ売り上げはそこそこではあるがまだ伊豆春祭は始まったばかり、これからお昼時になればお好み焼きなんだから売れるだろう

 

「お疲れさん」

 

店の様子を見にきた寿が伊織と耕平にビールを渡す。当然寿の上半身は裸だ。ズボンを脱いでないだけまだマシだが

 

「調子はどうだ?」

 

「ぼちぼちですね」

 

「商売敵がいるみたいで」

 

全員の視線の先には女性で埋め尽くされた店があった

 

「あぁ、”ティンカーベル“か」

 

「ティンカーベルって?」

 

「美男揃いで女性集約率ナンバーワンのテニサーだ」

 

「へぇ〜」

 

「生ゴミがいいか?」

 

「ブタの血だろ」

 

「真顔でなに投げ込むか話し合うのやめて」

 

「おーっす!いやー暑いね!」

 

「「ブゥー!!!」」

 

そこへ梓がやってきた。着ていたと思われるシャツを片手に上が下着姿で

 

「歩きで来たのか?」

 

「いんや?途中まではバス」

 

「いや、普通に会話始められても...!」

 

「とりあえず着てください」

 

「別にいいよ」

 

「ダメです!」

 

「その格好どうしたんです?」

 

「さっきそこで引っかけられちゃってね」

 

千紗に替えを着させられながらシミのついたシャツを見せる梓

 

「洗った方がいいんじゃないですか?」

 

「どうせ夜には君らが吐いたもので汚れるし」

 

「夜にどんなことが待ってるんだ...」

 

「まさに悪魔の祭典だな」

 

そうこう話している最中千紗はずっとパーカーを着せようと試みたがどうもサイズが合っていない。主に胸が。入ったはいいもののチャックは上まで上がらず梓のその豊満な胸の谷間が露わになったままだった

 

「Tシャツでも探してきたらどうだ?」

 

「私はこのままでもいいんだけど」

 

「さすがにこれはちょっと...」

 

そう言う伊織の目は梓の胸に釘付けである。このスケベボーイが

 

「仕方ないな。拓海ーシャツ貸してー」

 

「(´・ω・)つ」

 

名指しされた拓海はため息をついて自分のバックから替え用に持ってきていたTシャツを梓に投げ渡す

 

「ありがと。はぁ〜拓海の匂い...ごめんねちーちゃん」

 

「な、なにを言ってるのかわからないです...」

 

「ふふっ、そうやって嫉妬してるのを必死に隠そうとしてるちーちゃんカワイイ!」

 

「なっ!もう!早く違う服借りてきてください!」

 

「えー、もうこれでいいよー」

 

「ダメです!絶対にダメです!」

 

「ちぇーわかったよぅ。んじゃ伊織も一緒に行くよー」

 

「えっ!なんで俺も!」

 

なんやかんやで伊織を連れて服を探しに行く梓であった

 

 

 

 

 

「んー!学園祭は賑やかでいいねー!」

 

「梓さん、祭り好きっぽいですからね」

 

「まぁね。あ、好きと言えばさ」

 

「はい?」

 

「伊織はどんな男がタイプなの?」

 

「ぶふっ!なにをいきなり!」

 

「いやぁ、ほらさ同じ趣味を持つ人間としてね」

 

(そういえば...)

 

そこで伊織は伊織自身男も女もどっちもイケると誤解されたままだったのに気づく

 

「私は男なら拓海、女なら奈々華がいいなぁ〜」

 

「な、奈々華さんですか」

 

「それで伊織は?」

 

「へっ!なにがです!?」

 

「好きなタイプ!」

 

目をキラキラさせながら伊織の返答を待つ梓。そんな梓の姿を見て伊織は今葛藤している

 

(誤解を解け!バイじゃないと言うのはここしかない!)

 

「じ、実はですね...」

 

「はぁ、でもよかった。仲間がいて」

 

「え?」

 

「いくら私でも他の人に絶対こんなこと話せないもの」

 

(助けて神様!)

 

「それで伊織の好みは!?」

 

それに対して伊織がどう答えたのかは皆様のご想像にお任せしよう

 

 

 

 

 

「なぁ北原」

 

「なんだ...?」

 

「なぜ梓さんは急に俺と店番を変わると言い出したんだ?」

 

「なんでだろうな...」

 

耕平と一緒にスーパーボールすくいをしている伊織の顔は彫刻のように彫りが深くなっていた

 

「ただあれだ、お前にはすまないことをしたと思ってる」

 

「貴様!俺をなにに巻き込みやがった!」

 

耕平がお目当てのスーパーボール(アニメキャラデザイン入り)を取ったのでその店を出た2人。歩いている最中伊織は器用にスーパーボールをお手玉のようにして遊んでいる

 

「いや〜、しかし平和だな」

 

「先輩達がいないからな」

 

「たまにはこんな平和もいいもんだな」

 

あ、知ってる。これフラグってやつだ...

 

「伊織に耕平じゃないか」

 

「いいところに来たな」

 

案の定時田と寿に見つかり捕まる2人

 

「なんですか!」

 

「交流のあるサークルと今晩飲もうって話になってな」

 

「へぇ〜、まさに合同コンパってやつですね」

 

「ならカワイイ女子も!」

 

「ははっ、それはあいつらに確認してみてくれ」

 

時田の指差す先にはラグビー部と書かれた出店があった

 

(絶対女子いねぇ...)

 

伊織は現実に血の涙を流す

 

 

 

 

 

「あ、お帰り〜」

 

「戻りました。千紗、どうした...?」

 

「あ〜」

 

伊織と耕平がなんでかしらんがパンイチ状態で戻ってきた。そんなことより気になるのが千紗の機嫌がすっごく悪くなっているのが顔からしてわかってしまうことだ

 

「さっきティンカーベルのやつらがナンパにきてさ〜」

 

「えっ!」

 

「大丈夫だったんですか!?」

 

「拓海いたから大丈夫。でもそのときに拓海のことを目つき悪いとか後輩のくせに態度がなってないとかいろいろ悪口言われちゃって。それでちーちゃんが不機嫌にね」

 

「だって...」

 

「...」

 

「拓海もさっきから気にするなって言ってるんだけどね」

 

「そんな!」

 

「我那覇が声を出したんですか!?」

 

「驚くとこそこなんだ。いや、声は出してないよ?」

 

「なんと!まさか梓さんもエスパーか...」

 

「まぁこれはもう慣れだけどね。直にわかるようになるよ」

 

伊織と耕平が茶番劇を見せてチラッと千紗の顔を伺うがまだ千紗の眉間にはシワがよったままだった

 

「...」

 

「なに、たくm...っ!」

 

「「なっ!」」

 

「わぉ」

 

拓海は千紗の方をトントンと叩いて千紗が顔を向けると千紗の額にキスをした

 

「ななななな!!!!!」

 

いきなりのことに気が動転している千紗。そしてリア充の光景を見させられた伊織と耕平は牙を剥き出しにしている

 

「もう!いきなりなにを!それもみんなの前なんて!!!」

 

「ひゅーひゅー!見せつけてくれるね、このこの!」

 

「梓さんもからかうのやめてください!」

 

千紗にさっきまでの怖い顔はなくなり拓海はホッとする

 

それからは店番の交代になるも梓と2人きりになるのを避けたい伊織が開始からずっと店番をし続けた千紗に頼み込み、しかし千紗と伊織を2人きりにさせたくない拓海も合わさって3人で店番をすることとなった

 

そして夕方

 

「そろそろ準備した方がいいんじゃ?」

 

「私はこのまま出るつもりだけど」

 

「ダメよ、ちーちゃん」

 

「カワイイ千紗ちゃんをたくさんの人に見てもらわなきゃね」

 

「えっ!」

 

「せっかくのチャンスだものね、それに...」

 

『カワイイ格好すれば拓海くんにアピールできるかもよ?』

 

「っ!」

 

「じゃ、そういうことで〜」

 

「頑張ってな〜」

 

千紗は2人の悪魔に捕らえられ連行されていった

 

「古手川はどこへ?」

 

「ミスコンのための化粧だとさ」

 

「その次はお前もやってもらうのか」

 

「お前はどこまで俺を辱める気なんだ!髪長いんだからお前が女装しろよ!」

 

「イヤだ!|おふぁこひょねひゃわひゅがふしゃわしぃ(お前こそネタ枠がふさわしい)!」

 

「( ¯ω¯ )」

 

いつものように頬を引っ張りあって仲良くじゃれあい出す2人。本当に仲が良い。そう思いながら手を組んで頷いている拓海

 

「おーい、一旦店閉めて応援行くぞー」

 

 

 

 

 

寿に連れられてミスコン会場へと赴いた一行。そこには結構な数の人が集まっていた

 

「結構人いますね」

 

「そりゃこれと男コンがステージの目玉だからな」

 

「こんな大勢の前に出るのか」

 

「お前はいいだろ、男の格好なんだから」

 

「ネタ枠が不満なのか?」

 

「というか出る必要が感じないというか...」

 

「なにを言う。見てみろ伊織」

 

ステージには顔を化粧で塗りたくった上、テニスウェアに翼をはやした女子が観客に向かって手を振っていた

 

((け、ケバい...))

 

「他のサークルだってネタ枠を用意してあるだろ?」

 

そしてその女子はこっちを見て投げキッスを送ってきた。それは伊織達にとって違う意味で効果は抜群だった

 

『おー!』

 

次に出てきたのが千紗だった。ロングドレスに身を包み腕部分にはレースをあしらっている。スタイルのいい千紗だからこそ似合う服装だとも言える。ミスコンとしては完璧なできだろう。表情以外は...

 

「なんか刺々しい感じだな」

 

「あれは怒ってるのか?我那覇」

 

「((-ω-。)(。-ω-))」

 

耕平の質問に対して拓海は首を振る

 

『所属サークルとお名前をどうぞ』

 

『Peek a Booの古手川千紗です』

 

「あれ緊張してるだけか?」

 

「(´-ω-)」

 

伊織の言葉に拓海は頷く

 

「不器用だな、古手川」

 

「しかしまずいな...」

 

「このままだと負ける可能性もあるぞ」

 

『ご趣味は?』

 

『ダイビングです』

 

「耕平、何か手はないか?その手のゲームに詳しいだろ」

 

「まぁ確かにその手のゲームには詳しいですが、あぁいう無口な彼女が輝くとしたら滅多には見せない笑顔ですかね」

 

「笑顔か〜」

 

「千紗を笑わすのは至難の技だぞ」

 

「こっちも笑って見せたらつられて笑うんじゃないか?」

 

「それでいこう!」

 

『千紗ー!』

 

「...」

 

拓海以外の4人で千紗に向かって笑顔(到底笑顔には思えない顔)を向けるが千紗は激しく顔を歪める

 

「いかん!逆効果だった」

 

「あれは客前ではやっちゃダメな顔ですね」

 

作戦その1ーこっちも笑ってつられて笑顔にさせるー失敗

 

「他にはなにかないか?」

 

「あとはまぁ、恥じらいですかね」

 

「恥じらいか〜」

 

「そんなんどうやればいいんだ」

 

「俺の知ってる展開では...」

 

耕平の次の作戦を聞いた男達は一斉に服を脱ぎ各々ポージングを決める

 

『ではサークル紹介を...』

 

「千紗ー!!!」

 

「...」

 

「...恥じらわないな」

 

「おかしいですね」

 

千紗にとって時田達の裸姿は不本意ながら見慣れているということを耕平は念頭から外してしまっている

 

「あれはゴミを見る目だ」

 

「失敗だな」

 

作戦2ー裸見せて恥ずかしがらせるー失敗

 

「...」

 

拓海はなにバカなことをやっているんだと思いながらも千紗のカワイイ姿から目が離せなかった。誰にも知られていないが千紗が出てきた瞬間あまりのかわいさに数秒意識がなくなったほどだ。親バカならぬ彼バカとは彼のことだろう

 

千紗が男どもをゴミの見る目で見渡していると拓海と目が合い見る目が変わる。拓海もそれに気づいて小さく手を振ってみる

 

「っ!〜...」

 

千紗は目線をそらし右手で髪をクルクルと弄りだした。これは古手川姉妹に共通する癖である。困ったり照れたりするとこのクセがよく出る。実際に手を振る拓海の姿を見た千紗の口角は少し上がり、頬も少し赤くなっていた

 

『おー!』

 

千紗のちょっとした照れ顔に気づいた観客は大きな歓声を上げた

 

「お、なんかよくわからんが効いたらしいぞ」

 

「しかしこれだとまだ足りんな」

 

「となるとあとは、今日の服装」

 

「わかった、スカートめくりだな」

 

「言うまでもなかったな」

 

「なぜ伝わるんだ...」

 

「お前らの発想はおかしい...」

 

伊織はそこではっと気づいた。今の会話、拓海に聞かれていたらヤバいと。恐る恐る拓海の方に頭を向けると拓海の意識は完全にステージ上の千紗に向いているため聞かれた素振りはなかった

 

「ふぅ...問題はどうやって拓海に気付かれずにいかに千紗のスカートをめくるかだが...」

 

「これを見ろ」

 

「スーパーボール?」

 

「千紗の足元に投げるのか」

 

「なるほど、小学生のいたずらであるやつだな」

 

「だがこれは相当千紗の怒りを買うんじゃ。拓海にだって絶対バレる」

 

「そうだな。実行犯の伊織が殺されかねん」

 

「なんで俺がやることが確定してるんですかね」

 

「そりゃそうだろ」

 

「せめてじゃんけんで決めましょうよ」

 

「もっといい方法がある」

 

「というと?」

 

「全員で投げて実行犯を特定させないというのはどうだろ」

 

「お前にしてはいい考えじゃないか!」

 

「じゃあそれでいくか!」

 

「いくぞ!いっせーの!せっ!」

 

「うぉーりゃー!」

 

伊織の投げたスーパーボールは千紗の足元でバウンドしその勢いのまま千紗のスカート内へ侵入、スカートをめくる

 

「よし、いい感じだ!」

 

「たたみかけろ!」

 

「うらっしゃー!」

 

伊織の投げた次弾は系3つ。どれも初弾と同じように千紗のスカートをめくった

 

「よし!いいコントロールだ伊織!」

 

「やはりこんなことできるのはお前しかいない!」

 

「任せてくださ、へぶっ!!!」

 

拓海の回し蹴りを腹にくらった伊織は後方へ吹き飛んで泡を吹きながら気絶した。その後拓海は階段を駆け下りステージに上がって千紗をお姫様抱っこして裏へ駆けて行った

 

「うぅぅ...」

 

「(´・ω・)ノ?」

 

「見られたかな...」

 

「...」

 

「拓海は、見た...?」

 

「...すまん

 

「っ!ちょっと伊織殺してくる...」

 

千紗はどこからともなく金属バットを取り出して伊織を探しに行った

 

 

 

 

 

『かんぱーい!』

 

伊豆春祭1日目が終了してPeek a Booメンバーはとある教室で酒盛りを始めていた。そんな中千紗が伊織の肩に手を置いた

 

「...人違いです」

 

「まだなにも言ってないんだけど」

 

「違うんだ千紗!あれはお前の魅力を引き出すためで!つまりカワイイ千紗を見せたいという...」

 

「はぁ〜、もういいわ」

 

「えっ...許して、くれるのか...」

 

「貸しにしとく」

 

「マジか!ありがとう千紗!お詫びに今度もうちょい色気のある下着買ってやるからな!んぁ?いたたたたた!!!!」

 

千紗がせっかく貸しを作るという慈悲を与えたにも関わらずまた粗相な発言をした伊織の頭を拓海は力強く握る

 

「せっかく許してもらえるところだったのに」

 

「というかあの状況で見るところはしっかり見てたんだなこの助平め!」

 

千紗が拓海をトントンとしたので拓海は伊織を離した。しかしその伊織の目の前に千紗はバカでかい焼酎のボトルを置いた。そこには“現役 徳用!焼酎 4L”と書かれていた

 

「千紗...もしかしてすげぇ怒ってます...?」

 

千紗は無言のまま伊織を見る

 

「...いただきます」

 

千紗による無言の圧に負け伊織は目の前のボトルに手を出した

 

「ごちそうさまでした...」

 

「2Lぐらいいきやがった!」

 

「根性見せたな」

 

「さすが伊織だ」

 

「ただいま〜」

 

そこへ梓が帰ってきた。伊織はそんな梓の背後に隠れる

 

「遅かったな」

 

「なにかあったのか?」

 

「しつこいナンパに会っちゃってね」

 

「大丈夫だったんですか?」

 

「あぁ、まぁね」

 

梓曰く、昼間にナンパにあったティンカーベルのやつにまたナンパされ、しつこかったから男コンに参加を勧めその受付の間に逃げてきたらしい

 

「応援すんのか?」

 

「するわけないじゃん」

 

「ひで〜」

 

「ま、無事でなによりだ」

 

「集合にも間に合ったしな」

 

「そだね〜」

 

「え、集合?」

 

「よっ!約束通り遊びにきたぞ!」

 

「「ヒャァァァァァ!!!!」」

 

ドアを壊して入ってきたのは時田達と交流のある他のサークルの仲間だった

 

伊織と耕平が捕らえられた中、千紗は拓海の三角座りしている足の間に座ってチョビチョビ飲んでいた

 

「拓海の飲んでるのって何味?」

 

「(・ω・)つ」

 

千紗の問いに自分の飲んでいる缶を見せる拓海

 

「ライムか。拓海って酸っぱいとか苦い系好きだよね」

 

「(。-`ω´-)」

 

「逆に甘い系あんまり飲まないよね」

 

「(*・・)σ?」

 

「私?私はラムネ。一口飲む?」

 

拓海は千紗の飲みかけの、もう一回言おう、千紗の飲みかけの缶チューハイに口をつけた

 

「どう?」

 

「...うまい

 

「ふふっ、だよね〜」

 

少し酔ってるのか拓海の胸で頬をスリスリする千紗。羨ましいぞこんチクショーが!ん“ん“っ!失礼...

 

「ねぇ拓海〜」

 

「(・・。)?」

 

「拓海はさ?もっと色気のある下着の方がいい〜?」

 

「Σ( * ゜Д゜*)!」

 

「その方が拓海は好き〜?」

 

「...オレは、千紗自身が好きだ。下着は関係ない

 

「っ!えへへ〜。嬉しい〜」

 

大分酔ってしまっている千紗の介抱をしつつ酔った千紗もカワイイと思っている拓海であった

 

 

 

 

 

さて始まりました”伊豆大学春祭ミスターコンテスト“。夕方になり暗くなってきた屋外でミスコンをした会場がド派手にライトアップされている

 

今は時田達と親交の深いラグビー部の人が自慢の筋肉をまるでボディービルダーのようにアピールしている。そして次に出てきたのがティンカーベルの会長だった

 

『テニスサークル”ティンカーベル“の部長、工藤です。よろしく』

 

『キャァァァ!!!!』

 

ただの挨拶だけなのに女子からの黄色い声。人気の高さが現れている

 

『では勝手にPRをどうぞ』

 

『適当だな』

 

『男相手っすから』

 

女子からの熱い声援。同じサークルの仲間から今年も確実などの声をもらいイキがるテニサー部長...けっ!

 

『さて次の方どうぞ』

 

次に登場したのが”Peek a Boo“のイケメン担当の耕平だった。一部の女子からは美系などと言われている...けっ!

 

『”Peek a Boo”の今村耕平です。よろしくお願いします』

 

『じゃあPRをーお?』

 

司会の進行も聞かずに耕平は観客席の最前列に向かって歩き出した

 

「浜岡梓さん!ティンベルの工藤会長じゃなく、俺と付き合ってください!」

 

『おーっと!これは今村さん!突然の告白です!』

 

「いや、俺の方にお願いします」

 

『なーんと!工藤会長も続けて告白だ!』

 

お目当の女性に向けて手を差し伸ばした耕平と同じように工藤も手を差し出す。その顔は勝ちを確信しているかの如く笑っていた

 

『さぁどちらの手を取るのか!』

 

2人から同時に告白を受けた女性はそっと工藤の手を取った

 

『おーっと!工藤会長だー!!』

 

「悪いねこんなことになっちゃって。でもさ人にはそれぞれレベルがあるわけだし、君には君なりにお似合いの人がいるんじゃないかな?」

 

「...お似合いの人、ねぇ...」

 

「えっ?」

 

「ふふふふふ...」

 

手を取ってもらえなかった耕平は、いや()()()()()()()()()()()()()()()()()()()耕平はそのままの体勢のまま体を震わせていた。同じように工藤の手を取った梓()の人も体を震わせる

 

「「だははははは!!!!」」

 

「残念でしたー!男ですぅー!!!」

 

「え“っ!」

 

「いやーそうですか!まさかこんな僕が天下のティンベル会長さんとお似合いだなんて!」

 

「よかったな北原!お前の女装はこの人の魅力と同格らしいぞ!」

 

「というわけで”Peek a Boo“北原伊織!男コン飛び入り参加します!」

 

なんたる笑い劇。そこら辺のコンビ漫才、いやトリオ漫才よりもウケが高い。会場が一気に笑いの渦に巻き込まれた

 

「おいちょっと待て!」

 

「いやーんどうしよー。わたしかいちょうさんにこくはくされちゃったー」

 

「悔しいけど俺は身を退くさ。会長さん、末永くお付き合いしてくださいね」

 

茶番劇は続き工藤は女性陣からブーイングをくらう

 

「ちょっと工藤さんどういうこと!?」

 

「ち、違うんだこれは!」

 

「あーそうそう会長。もう十分笑ったんで」

 

「「帰っていいですよ」」

 

最後までコケにされた工藤はイケメンとは程遠い表情で舞台袖へ消えて行った

 

『いやー最高ですね!みなさんもそう思いませんか!?』

 

『イェーイ!!!』

 

『しかしながらまだあとお一人エントリー者がおりますのでもう少しお付き合いを...』

 

『えー!!!』

 

『で、では次の方どうぞ〜』

 

伊織と耕平が作り出した笑いの旋風。完全にこれで閉幕と誰もが思ったところでまだ残りがあると言い渡されちょっと気が落ちる観衆。しかしそんな観衆は度肝を抜かれる。なぜなら次に出てきたのはタキシードに身を包んだ1人の好青年だったからだ。髪はワックスで整えられ目つきの悪いのは逆にキリッとした凛々しさを醸し出している。よく見るとそれは拓海だった

 

「なに、あの人」

 

「めっちゃイケメ〜ン」

 

「ヤバッ...」

 

『お〜...』

 

男女共々語彙力をなくし視線は全て会場に釘付けとなっていた

 

『え、え〜では自己紹介を...』

 

「...」

 

拓海は観客席の最上段を見上げ梓達と一緒にいた千紗を見つけて降りてくるようにジェスチャーした

 

「わ、私!?」

 

「ほらちーちゃん。行ってきな」

 

「は、はい...」

 

なにがなんだかわからない千紗は梓にも声をかけられて階段を降りていき恐る恐る舞台に上がった。そして拓海の前に向かい合うように立った。拓海はおもむろにポケットから小さな箱を出してそれを千紗に渡した

 

『おぉぉーーー!!!』

 

『なんとサプライズプレゼントだぁー!』

 

『キャァァァーーー!!!!』

 

「え、えっと...」

 

「今日でちょうど4年だけど、これからもよろしくな」

 

「っ!」

 

このところ伊織がやってきたりお店の手伝いだったり伊豆春祭のことだったり忙しくて千紗はそのことが頭からすっかりなくなっていた。拓海と千紗の交際4年の記念日。千紗は拓海が覚えててくれたこととプレゼントをくれたことへの嬉しさ反面そんな大事なことを忘れていた自分に嫌気がさした。しかしそれを察したのか拓海はそっと千紗を抱きしめる

 

「...」

 

「拓海...拓海!」

 

拓海の腕の中から拓海の顔を見上げた千紗の目にはにっこりと笑う拓海の笑顔が入った。それを見て嬉しさ100%で泣き出してしまった。そしていつの間にか設置されていた巨大クラッカーが爆発し、“Peek a Boo”メンバーもそれぞれ持っていたクラッカーを鳴らし2人の記念日を祝った

 

「え、あいつらってもう4年も付き合ってんの...?」

 

「それであの初々しさ。というかこんな催し...」

 

「「聞いてねぇー!!!」」

 

おっと。同じサークルでも知らされていなかった者がここに若干2名いるみたいだ

 

祝して”Peek a Boo”はミスコン、男コン二冠という最高の結果に終わった。2日目に表彰式となり千紗、拓海の2人は特に嬉しくもない大きな肩掛けをもらった。こうして伊豆春祭は終了...

 

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