六等分の花嫁   作:先導

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1話目の六海ちゃんの紹介に本を読むならを追加しました。

五月「まぁ、よく読む本なんて、目に浮かびますがね」

そうですね。それから、本日からこの小説のイラストを募集したいと思います。

三玖「かなり唐突・・・」

具体的には六海ちゃんの制服(ブレザーver)、私服、花嫁衣裳、そして印象に残ったシーンなど、何でもOKです。ただし、入浴シーンはNGでお願いします。

四葉「も、もちろん皆さんがよろしければのお話です!皆さん、忙しいでしょうし!」

場面シーンは気に入ったものがあれば載せる予定です。まぁ、MB使用量の確保とかで全部とまではいきませんが、よろしければぜひにと。

二乃「本当なら作者が書きたいって思ってるみたいなんだけど・・・」

六海「六海と違って絵の才能がないーって、みんなが言ってたよ?」

ぐはっ・・・

一花「六海、それは言わないの。ほら、作者さん、傷ついちゃったじゃん」

風太郎「イラストなんてどうせ1枚もこねーだろーさ」

ショック・・・

一花「六つ子裁判開廷ーー!!」


結びの伝説2日目

四葉SIDE

 

いよいよ始まりました!林間学校の2日目イベント!オリエンテーリング後の飯盒炊飯!班の皆さんと協力してのカレー作り!ちなみに私は料理作りはてんてダメなので少しでも役に立てるように、火つけるために必要な薪を割っている最中です!

 

「あはは!これ楽しいですねー!」

 

「も、もう薪割らなくていいから!」

 

私の班の男子からストップがかかりました。あれ?いつの間に私、こんなに薪を割ってたんだろう?不思議なものですねー。

 

うーん、これをやり終えると一気に暇を持て余してしまいました。他にやるべきことはないかな・・・。そうだ!今日の夜には肝試しがあるんでした!きっと上杉さん1人だけではいろいろ限界があるでしょう。よーし、ここは私が一肌脱ぎましょう!これで上杉さんや他の姉妹の様子を見ることもできるだろうし!そうと決まれば肝試しの道具を取りに行かなきゃ!

 

「これ、もう使った?片付けておくね」

 

「は、はい♡」

 

あっちの方では一花が片づけをしている⁉ほぇ~・・・珍しいものを見ちゃった・・・。それにしてもやっぱり一花はモテるんだね。男子のほっぺが赤くなってるのがわかります。

 

「そろそろ煮込めてきたかな?」

 

「待ってください!後3秒で15分です!」

 

「細かすぎない?」

 

こっちの方では五月が細かく時間を調整してます。普段もそうだけど、食事のことになると本当にさらに細かすぎですよね。

 

「三玖ちゃん何入れようとしてるの⁉」

 

「お味噌。隠し味」

 

「自分のだけにして!」

 

向こうの方では三玖がカレーにお味噌を入れようとしてます。なんで料理が上達しないのか、少しわかったような気がする。

 

「真鍋さん、ご飯炊けたかな?」

 

「さっき火つけたばっかでしょ?全然まだよ」

 

「そっかー。お焦げ、できてるといいなー」

 

「そうね。できてるといいわね」

 

釜戸の方では六海とソフトボール部員の真鍋さんがご飯の炊き具合を見ています。他より遅れてるってことはちょっと手こずっちゃったのかな?と、それより肝試しの道具って確かこの先にあったような・・・。・・・あ、あったあった!とりあえずこれを持って向こうに運んで行かなきゃ!と、その前に上杉さんに一声かけなければ・・・えっと、上杉さんは・・・

 

「なんでごはん焦がしてんのよ!どーせほったらかしにして遊んでたんでしょ!」

 

「ち、ちげーよ!少し焦げたけど食えるだろ!」

 

「こっちは最高のカレー作ったのに!」

 

「やったことねーんだから誰だってこうなるんだよ!」

 

上杉さんを探していたら別の釜戸の方で女子グループと男子グループとでけんかしてます。あの人たちって、確か二乃のグループの・・・

 

「二乃、どうする?」

 

「じゃあアタシたちだけでやってみるから・・・カレーの様子、見てて?

 

あっちゃー、あれ完全に怒ってますね・・・。男子の方々、ご愁傷様です・・・。まぁ、あっちは二乃がいれば問題なさそうですね・・・。上杉さんは・・・あ、いました!他の班の男子と話しながらご飯を炊いていますね。

 

「上杉さん、肝試しの道具運んじゃいますねー」

 

「四葉?お前確か、キャンプファイヤーの係だろ?」

 

「はい!でも上杉さん1人じゃ大変だと思ってクラスの友達にも声をかけました!」

 

それに私、とっても嬉しいんです!勉強以外無関心の上杉さんが林間学校に来てくれたのが!私はそんな上杉さんのお手伝いがしたいんです!

 

「勉強星人の上杉さんがせっかく林間学校に来てくれたんです!私も全力でサポートします!」

 

「・・・そうか」

 

上杉さんはすっと立ち上がって私の持っている肝試しの道具の1番大きい方を持ってくれました。

 

「よし前田。俺の班の飯も見ててくれ」

 

「あ?命令してんじゃねーよ!つーか、俺の話は・・・」

 

「肝試しは自由参加だ。クラスの女子でも誘って来てみろ。ただし、こっちも本気でいくからビビんじゃねーぞ?」

 

♡♡♡♡♡♡

 

そして待ちに待った肝試しのお時間・・・

 

このように!!!!

 

うおおおおおおお!!!

 

「うわあああああああああああ!!?」

 

「いやあああああああああああ!!?」

 

私と上杉さんはゾンビ役となって昼間の男子、前田さんとそのクラスメイトの女子をビビらせてやりました!いやー、これで何人驚いてくれたか!数えきれないですよー。

 

「絶好調ですね!」

 

「ふははは・・・」

 

「私うれしいです!いつも死んだ目をした上杉さんの目に生気を感じます!」

 

「そうか・・・甦れて何よりだ・・・むははは・・・」

 

上杉さんもまんざらじゃないって感じにピエロの仮面越しに楽しそうに笑っています。本当に・・・よかったです・・・。

 

「・・・もしかしたら・・・来てくれないと・・・思っちゃったから・・・」

 

「・・・・・・」

 

「後悔のない林間学校にしましょうね!ししし!」

 

そのためにも私が全力で上杉さんをサポートしないと!そのためにこの役を買って出たんですし!

 

「・・・あ!次の人来ましたよー」

 

「よ、よし・・・」

 

次のペアの方々がやってきましたので私たちはスタンバイして、近くまでやってきたところを・・・

 

やってやらああ!!!

 

食べちゃうぞおおお!!

 

全身全霊を込めてゾンビになり切って怖がらせちゃいますよ!

 

「!フータロー」

 

「四葉もいるじゃん!」

 

「!一花に三玖!」

 

と、驚かせたと思ったら相手はすでにネタがばれてる一花と三玖でした。

 

「なんだ、ネタがばれてるお前らか。驚かして損したぜ」

 

「あ、ごめん・・・」

 

「わぁ、びっくりー!予想外だー」

 

一花はわざとらしく驚いたふりをしていますね。

 

「嘘つけ」

 

「本当だよー。あ、その金髪どうしたの?染めたの?」

 

「鬘だ。それより、この先は崖で危ないから、看板通りに・・・?三玖、聞いてるか?」

 

「・・・えっ?何?」

 

「だから、この先は崖で危ない。看板通り進めよ」

 

「・・・わかってる。一花、行こう」

 

「え?う、うん・・・」

 

何やら素っ気ない態度の三玖は一花を連れて看板通りの道のりを歩いていきました。

 

「なんだ?やけに素っ気ないな」

 

「そうですか?三玖はいつもあんな感じですよ?」

 

上杉さんは三玖の態度に少し違和感があったみたいですけど・・・きっと気のせいですよね。

 

「それより上杉さん!脅かし方にまだ迷いがあります!もっと凝った登場をしないと!」

 

「はあ?凝った登場?そいつは具体的に・・・」

 

「私に任せてください!確かかばんにロープがあったはず・・・」

 

私は近くにある自分のかばんの中からロープを探します。確かこのあたりに・・・あ、あったあった!

 

「上杉さーん!ロープありましたー!」

 

「・・・四葉、一応聞くが、そのロープを何に使う気だ?」

 

「まずこのロープで上杉さんの足を結びます!その次にあの木の枝に地面にぶつからない程度に結びます!そして、次のペアが近づいたところに・・・バァッ!!・・・という感じです」

 

「・・・ふははは・・・面白い・・・やってやろうじゃねぇか・・・」

 

上杉さんはピエロの仮面越しに乗り気な笑いを浮かべています。

 

「じゃあロープ結んじゃないますねー」

 

「ああ。きっちり頼む」

 

次の脅かしのための準備のために上杉さんの足にロープを巻き付けて、さらに上杉さんが木の枝に上ったところで枝にもロープを巻き付けて準備完了!

 

「ロープは元から短かったので頭を打つ心配はありませんのでご安心を!」

 

「じゃないと痛いどころの話じゃねぇからな」

 

それは確かにそうですね。下手をすれば大怪我ものですから。・・・と、準備をしていましたら次のペアがやってきましたね。今木の上にいますから誰が来たのかがすぐにわかりました。あれは・・・

 

「二乃と五月ですね」

 

「ほぅ・・・ちょうどいい・・・あいつら・・・特に二乃には手ひどくやられたからな・・・日頃の鬱憤を晴らしてやるぜ・・・」

 

か、仮面越しでも伝わってきました!上杉さんのものすごい黒いオーラを纏った笑みを!私はとりあえず木から降りて、その木の後ろに隠れて様子を伺います。そして、二乃と五月が近づいたところで・・・

 

勉強しろ~~~!!!

 

上杉さんが渾身の脅かしを二乃と五月に披露しました。お、二乃も五月も顔を青ざめていますね。ししし・・・

 

ひゃああああああ!!!!もう嫌ですーーーーー!!!!

 

「ちょ、ちょっと五月!待ちなさい!」

 

青ざめた直後、五月はものすごいスピードでゾンビ上杉さんから逃げていきました。二乃も五月を追いかけていってしまいました。

 

「・・・あいつ、本当に怖いの苦手だったのか・・・」

 

「あちゃー、やりすぎちゃいましたねー」

 

これは派手すぎましたか・・・五月の過剰な反応が何よりの証拠です。

 

「・・・あれ?あいつら・・・どっち行った?」

 

え?五月たちがどっちに行ったか?私は木に隠れていたので前が見えませんでしたのでわからないです。

 

「き、きっと大丈夫ですよ!看板通りに行ったはずです!」

 

「うーむ、俺の目には別ルートに行ってしまったように見えたが・・・」

 

うっ・・・そういわれると自信がなくなってきました・・・。でも、2人を探すためにここを離れるわけには・・・かといって2人を放っておくわけにもいかない・・・どうしましょう・・・。

 

「・・・四葉、すまんがこの場は任せた。少し様子を見てくる」

 

「え⁉上杉さん⁉」

 

木から降ろされた上杉さんは看板の印とは違うルートへ向かっていきました。い、行ってしまいました・・・。ど、どうしましょう・・・。・・・て!そんなこと考えてるうちに別のペアの方々が!と、とにかく今は私1人だけでもここを切り抜けなくては!

 

♡♡♡♡♡♡

 

あれから少し時間がたち、もうすぐで肝試しの時間が終わるころでしょう。終わった後は肝試しの道具の片づけがありますからおそらく次に来るペアがラスト・・・気が抜けませんね。

 

「・・・上杉さん・・・どこ行っちゃったんだろ・・・」

 

あれからまだ上杉さんは帰ってきていません・・・。本当に大丈夫ですよね・・・?心配になってきました。

 

ザッザッザッ

 

あっと、いけないいけない・・・今はラストのペアを驚かせることに専念しなくては。念には念を入れて・・・もう少し包帯を巻きつけて・・・近づいてきたペアを・・・

 

ぎゃおおおおおお!!!

 

精いっぱい驚かせます!

 

「「ひぃ・・・っ!!」」

 

あれ?この2人・・・六海と真鍋さんだ。

 

「「わあああああああああ!!!!」」

 

私の姿に青ざめた六海と真鍋さんは一目散にと逃げていきました。いやー、私のお化け役も捨てたものじゃないですねー。

 

「・・・て!あれ⁉あの2人、看板と違うルートを⁉」

 

こ、今回は私はバッチリと見てしまいました・・・あの2人が看板と違うルートに行ってしまったのを・・・。ど、どうしましょう・・・。スマホの時計を見てみますと・・・肝試し終了の時間となっていました。この後は追片づけをやらなければいけないのですが・・・。・・・ううん、お片づけは後回し!今は2人を連れ戻す方が先です!

 

私はすぐに看板とは別ルートを通り、真鍋さんと六海の捜索を開始します。まだ近くにいるといいんだけど・・・。

 

ガサッガサッ

 

森の奥まで進んでいくと、草の茂みからガサガサ音が聞こえてきました。私が恐る恐るとそのを見てみますと・・・

 

「むつ・・・じゃない!中野さん⁉」

 

茂みから出てきたのは私の探し人の真鍋さんがいました。よかったー・・・いましたー・・・。それにしても中野さんって・・・うーん、ややこしい!

 

「六海見なかった⁉」

 

「え?一緒じゃないんですか?」

 

「お化けから逃げてる途中ではぐれちゃった!どうしよう・・・私のせいだわ・・・」

 

責任感が強い真鍋さんは六海とはぐれたことに自責の念を抱いています。この反応から察するに、六海を誘ったのは真鍋さんだというのがわかります。

 

「お、落ち着いてください!六海は大丈夫ですから!とにかく、一緒に探しに行きましょう!ね?」

 

「そ、そうよね・・・こんなことしてる場合じゃないわよね・・・うん・・・」

 

私たちははぐれてしまった六海の捜索のために森の奥へとさらに進んでいきました。

 

SIDEOUT

 

♡♡♡♡♡♡

 

二乃SIDE

 

「五月ー。どこ行ったのよー?」

 

アタシはあのピエロゾンビから逃げてはぐれてしまった五月を探して森の中を歩いている。もう辺りは暗いからこの中で頼りなのはスマホのライトだけだわ。

 

「こっちで合ってんのかな・・・?一旦戻ろうかしら・・・」

 

アタシが一回道のりを引き返そうと思った瞬間・・・スマホのライトが・・・消えた⁉

 

「え⁉嘘⁉もう⁉・・・充電するの忘れたかも・・・」

 

あーもう!何でこんな時にスマホの充電を忘れんのよー!アタシのバカ!

 

「・・・何なのよもう・・・せっかくの林間学校なのに・・・あんな奴と同じ部屋に泊まらされるし、班の男子はいうこと聞かないし、しまいにはこんな所に1人で・・・」

 

ザアアアァァ・・・

 

草木がざわついた音を聞いて、アタシは五月が言っていたことを思い出した。確かあの子・・・

 

ーこの森には出るらしいのです・・・森に入った切り行方知れずになった人が何人もいるのだとか・・・ーby五月

 

・・・う、嘘よね?あんな話デマに決まってるじゃない・・・どうせ・・・

 

ザッ

 

「!!?いやああああ!!」

 

もう本当に怖い!!なんなのこの森⁉五月、本当にどこ行ったのよ!早く出てきてちょうだい!

 

「・・・もう最悪・・・」

 

もう最初っから躓きっぱなしじゃない・・・こんなことなら肝試しに参加しなければよかった・・・。

 

「大丈夫か?」

 

「!」

 

1人で心細い思いをしていると、誰かの声が聞こえてきた。アタシが前を向いて・・・え?

 

「見つけたぞ、二・・・」

 

「嘘・・・君・・・写真の・・・」

 

「え?」

 

アタシの目の前に現れた人は黒いコートを羽織って金髪の髪をした男の子・・・そして何より印象に残っているのが・・・

 

「やっぱり・・・写真・・・あの写真の顔だ・・・!」

 

前にピアッサーで上杉に耳に穴を開けさせてやろうとした時に偶然あいつの生徒手帳に入ってあった写真の子とそっくりだった。

 

「何のことだ?さあ、とにかくこっちに来るんだ」

 

「え?そんな強引な・・・」

 

彼はアタシの手を強引に手を引いたその時・・・

 

ビリィ

 

「!!」

 

アタシのスカートの裾が木の枝に引っかかって引っ張られた衝撃で少しだけ破れてしまった。

 

「わ、悪い!」

 

これ、お気に入りのスカートだったんだけど・・・この程度の破れ具合なら大丈夫・・・なんだけど・・・今アタシは彼の顔をまとも見れない。

 

「ほ、本当にすまない・・・」

 

やばい、本当にマジで好みのタイプなんだけど。こんなかっこいい人があいつの親戚だなんて未だに信じられない。・・・そうだ・・・アタシ、この人の名前知らない・・・。

 

「・・・ねぇ、君の名前教えて!」

 

「え?」

 

「あ、ごめんね。前に君の写真見たことがあって・・・かっこいいなぁって、思ってたんだ」

 

「写真・・・?」

 

「ここのコテージ、他の学校の生徒も来てるのは知ってたけど・・・まさかあいつの親戚に会うなんて・・・」

 

「・・・あっ」

 

改めてみてみると、やっぱりというか、何となく上杉と雰囲気は似てるわね。どうしてこうもあいつと全然違うのかしら?あ、彼がこっち見た!やばい!すごいドキドキする!

 

「・・・あ、ここをまっすぐ行けば広い道に出られるから。じゃ」

 

え⁉もう行っちゃうの⁉も、もう少し彼と一緒にいたい・・・だってもろタイプの男の子は目の前にいるのよ!一緒にいたいに決まってるじゃない!

 

「ま、待って!」

 

「!」

 

「妹とはぐれちゃったの・・・一緒に探してくれないかな?」

 

嘘は言ってない。これなら少しは怖さを紛らわせるし、それに・・・もうちょっと一緒にいられるし・・・///

 

「そ・・・そうか・・・わかった・・・手伝うぜ・・・」

 

「本当に⁉ありがとう!」

 

やばい!彼めっちゃ優しいんですけど!

 

「あ・・・それで・・・君の名前は・・・?」

 

「お、俺の・・・名前は・・・き、金太郎だ」

 

「そっか。金太郎君っていうんだ・・・」

 

金太郎君・・・それが、彼の名前・・・。なんだかありふれた名前だけど、合ってると思うわ。あ、今キンタロー君がこっち見た!本当にやばい・・・緊張する・・・!

 

「・・・あ・・・あー!お酒飲みてー!」

 

「え?」

 

「未成年だけど、お酒飲みてぇ!法律犯してぇ!」

 

そ、そんな・・・なんて・・・なんて・・・

 

「ワイルドで素敵♡」

 

(ええ!!?逆効果!!?)

 

もう本当に男らしくてかっこいい!もういっそこのままキンタロー君と付き合いたい!!

 

「いつ・・・お前の妹、宿に向かったのかもな」

 

アタシがうきうきしている間にキンタロー君は空を見上げて六海がよくやる姿勢を見せている。

 

「何してるの?」

 

「星から方角を割り出してる。あの北斗七星の星間を5倍にした先が北極星。つまり北だ。これで方角を割り出せるんだ」

 

「へぇ~、物知り~」

 

もう男らしいだけじゃなくて頭もいいだなんて・・・本当に素敵すぎる・・・♡

 

「頭のいい人って憧れちゃうなー。それも自分の成績をこれ見よがしにひけらかす奴とは違うわー」

 

「そ・・・そんなひどい野郎がいるのか・・・」

 

「知ってるでしょ?君の親戚の・・・あれ?」

 

アタシがふと金太郎君の顔を見てみると彼の顔に少し違和感を覚えた。

 

「君・・・顔見せて」

 

「えっ・・・なっ・・・まさか・・・」

 

アタシは違和感の正体を探るために顔を近づてみる。・・・あー、やっぱり。

 

「ほら!おでこ、傷ついてる!」

 

「え?あ・・・ああ、かすり傷だろ?ほっとけば治る」

 

「そんなわけにはいかないわ。うちにもすぐ怪我して帰ってくる子がいてさー」

 

アタシは自分のポケットの中から絆創膏を探す。えっと確か、このあたりに・・・。あったあった。ちょっとかわいらしい絆創膏をキンタロー君のおでこの怪我に貼ってっと・・・。

 

「・・・うん!これでよし!」

 

これでキンタロー君の怪我も治るはず・・・?

 

「・・・ねぇ、何か声みたいなの聞こえない?」

 

ま、まさか・・・五月の言っていてお化けが・・・?

 

「そ、そいうのやめろよ・・・。そ、そうだ!俺にはこのお守りがある!」

 

そう言って彼はアタシに腕につけてあるミサンガを見せてきた。

 

「どんな魔も払いのけるお守りだ!」

 

へぇ~、そんなお守りが・・・

 

ぁぁぁぁ・・・

 

「「!!??」」

 

き、聞こえちゃった!本物の・・・お化けの声・・・!!声を聞いた途端キンタロー君は一目散に逃げだそうとして・・・て・・・

 

「ええええ⁉ちょ、ちょっと置いてかないで!1人は怖いわ!」

 

「は?お、お、俺は怖がってないけど?」

 

いや思いっきり怖がってるじゃない。なーんだ・・・怖いの苦手って・・・男らしくないなぁ・・・。かっこいいけど・・・ちょっと幻滅。

 

「・・・あ!こっちにも道が!」

 

「え?」

 

「こっちから行こうよ!ほら、森もすぐ抜ける!」

 

アタシは近道になりそうな場所を発見してその場所へと走っていく。やっと暗い森から解放される・・・。

 

「おいバカ!!そっちは確か・・・!!」

 

キンタロー君が荒げた声が聞こえてきたけど・・・何かしら・・・?それよりやっと森から出られ・・・

 

「え・・・?」

 

確かに森から出られた・・・けど・・・その先は崖・・・。アタシがそれに気づくころには足はすでに崖に・・・お、落ちる・・・!

 

「くっ・・・!」

 

崖に落ちそうになった時、キンタロー君はアタシの袖を引っ張って崖から引き戻してくれた。でも、その反動で金太郎君はバランスを崩し、落ちかけていく。

 

「やべ・・・!」

 

た、大変!すぐに引き戻さないと!!

 

「手!」

 

アタシは急いで手を伸ばした。あまりに急だったゆえに、アタシの手は彼には届かなかった。でも・・・掴み上げたのは彼の魔よけのお守りミサンガ。これなら引き戻せる・・・!アタシはすぐに力を込めて彼を引き戻した。その際にバランスを崩して倒れこんでしまう。落ちなくてよかった・・・

 

「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」

 

キンタロー君は落ちそうになった緊張感からか息が乱れ・・・て!え、ちょ・・・今アタシのこの状況・・・彼に覆い被さるような体勢になってる⁉

 

「た、助かった・・・」

 

「こ、こちらこそ・・・ありがとう・・・」

 

ドクンッ

 

今、アタシの胸の内が高鳴ってる・・・。さっきまでの緊張感からじゃない・・・彼を見ているとそうなってる。アタシは・・・彼、キンタロー君が・・・

 

「しかし、見つからないな。やっぱりもう帰ったんじゃないか?」

 

「・・・・・・」

 

「?どうした?」

 

「ごめん・・・ちょっと動けないかも・・・」

 

さっき崖に落ちそうになったからかちょっと腰を抜かしてしまった・・・お、思うように起きれない・・・。

 

「・・・怖いから・・・手、握って・・・?」

 

「・・・は?」

 

「ほ、ほら!こんな所じゃまた怖い目に合うかも・・・」

 

「あ、あぁ・・・」

 

「・・・て!初対面の男の子に何言ってんだろ!今のなし!」

 

や、やっぱり、図々しいわよね。初対面の男の子に・・・手、握ってもらうのって・・・。

 

「・・・わかった」

 

「え?」

 

キンタロー君はアタシの手に自分が身に着けていたミサンガを渡して・・・え?

 

「それは徳の高ーいお守りだ。持ってるだけで旅行安全、身体健康、厄除開運安産間違いなし!願いだって叶うともっぱらの噂だぞ。貸してやる。特別だぞ?」

 

キンタロー君・・・アタシを思ってくれて・・・。うれしい・・・!手の震えもどこかへ飛んでいったわ。

 

「キンタロー君、君は明日もここにいるのかな?」

 

「え?あ、ああ・・・」

 

「私たちの学校、明日キャンプファイヤーがあるんだ。その時にやるフォークダンスに伝説があって・・・フィナーレの瞬間に手を繋いでいたペアは結ばれるらしいの」

 

「へ、へぇー・・・そうなのか・・・初めて知ったぜ・・・」

 

「手を繋いでいるだけで叶うって話もあって、人目を気にする生徒たちは脇でこっそりやってるみたい」

 

「それでいいのか・・・」

 

「ほんと大げさで子供じみてるわ」

 

子供じみたくだらない噂だけど・・・もし、もし彼と生涯を結ばれるのなら・・・

 

「キンタロー君。アタシと、踊ってくれませんか?」

 

どんな噂だって信じてやるわ。

 

「えっと・・・」

 

「待ってるから」

 

ガサッ!

 

ぁぁぁぁ・・・

 

ひぃ!!こ、この声、さっきの・・・お化け・・・!

 

「さ、さっきの・・・」

 

「来るぞ・・・」

 

だんだんと声はこっちに近づいてきて・・・出てきたのは・・・

 

「わあぁぁぁん・・・二乃ぉ~・・・どこ行ったんですかぁ~・・・」

 

「い、五月⁉」

 

お化けじゃなくて、めそめそと泣いている五月だった。ま、紛らわしいったらありゃしない!

 

「うえぇぇん・・・」

 

「ちょっと五月!」

 

「ふぇ・・・?」

 

五月がアタシに気付くと勢いよく抱き着いてきた。

 

「二乃~!よかったぁ~~!!すごく心細かったですぅ~!!」

 

「あんた紛らわしいのよ!ほら、帰るわよ!」

 

「は、はい・・・。でも、二乃はよく1人で平気でしたね・・・」

 

「違うわ。アタシは・・・あれ?」

 

アタシが後ろを振り向くとすでにキンタロー君の姿はなかった。普通なら夢とでも疑うかもしれないけど、これは紛れもない現実。だって、アタシの手にはお守りのミサンガがあるから。

 

・・・キャンプファイヤー、待ってるから。

 

SIDEOUT

 

♡♡♡♡♡♡

 

風太郎SIDE

 

ど、どうしよう・・・。俺は今かつてないほどの危機感を抱いている。それはさっきまでの俺と二乃のやり取りだ。

 

俺は今の俺を過去の俺、金太郎だと思い込んでいる二乃からフォークダンスの誘いを受けたまではいい。だがその前に元の俺、風太郎としてですでに一花から約束がある。いや正確には三玖が勝手に一花としてそう約束したんだが。両方は無理だ・・・。この場合はどうすればいい?

 

あいつらはコテージに戻ったか。なら俺も早くコテージに戻って二乃に真実を・・・

 

ぁぁぁぁ・・・

 

げっ!こ、この声・・・嘘だろ⁉二乃から聞いたお化けの噂、デマじゃなかったのか⁉こ、こっちに近づいてくる・・・!この茂みから俺の目の前に出てきたのは・・・

 

「ふえぇぇぇん・・・真鍋さ~ん・・・どこぉ~・・・」

 

てっ!六海かよ!驚いて損しちまったぜ・・・。六海はめそめそした状態で俺が目の前にいることに気が付いた。

 

「・・・ふぇ・・・?・・・あ、あなた・・・昨日の写真の・・・」

 

・・・え?・・・あ!そういえば六海の奴、昨日勝手に俺の生徒手帳の中にある写真を見たんだった!・・・てことは・・・まさか・・・

 

「う~ん・・・確かに風太郎君と面影がある・・・でも不良さんかもしれないし・・・」

 

やっぱりか・・・。間違いない・・・二乃と同じく、あの頃の俺だと思ってない六海は俺をあの頃の俺だと思ってやがる・・・。わかりづれぇ・・・。仕方ねぇよな・・・今金髪の鬘かぶってるし。でもこいつは確か二乃と違って・・・

 

「あ、あのー・・・」

 

「!・・・」ムスッ

 

俺が声をかけた瞬間六海はムスッとした表情に変わった。なんか3か月前の俺を嫌っていた頃のこいつを思い出す顔だな。だが今は何かと都合がいい。変に好意を抱かれても面倒だしな。

 

「ま、迷子かな?それならここからあそこへまっすぐ行けばコテージにつくよ?俺がいても嫌だろうし、俺はこの辺で・・・」

 

「!!!ま、待ってよー!」

 

コテージの場所を教えてその場に去ろうとするお六海が止めてきた。な、なんだぁ⁉

 

「友達とはぐれちゃったの!あなたが今離れると・・・六海、1人になっちゃう・・・。だから、お願いだよぅ・・・友達が見つかるまで・・・1人にしないで・・・」ウルウル・・・

 

嘘だろおい。さっき二乃と一緒に五月を探したのに、今度はこいつの友達を探さなきゃいけねぇのかよ。でもほっとくわけにもいかねぇし・・・つーか泣きかけてるじゃねぇか。

 

「はぁ・・・わかったわかった。探してやるから、もう泣くな」

 

「・・・本当?」

 

「嘘なんかついてどうすんだよ」

 

俺の言葉でようやく六海は泣くのをやめて涙を拭いてる。

 

「それで?その友達の特徴は?」

 

「えっと・・・髪の毛は茶髪のポニーテールで、左目の下にほくろがついてたよ」

 

ふむ、ポニーテールにほくろか。そいつの顔は知らねぇからそれ頼りか・・・。

 

「とりあえず、看板のところに行こうぜ。もしかしたらそこにいるかもしれねぇ」

 

「う、うん」

 

とりあえずまずは看板があった場所まで行って確認してみるか。もしかしたら、四葉と合流できるかもしれねぇし。まずはそこを目指して移動を始める俺と六海。・・・それにしても・・・。

 

「・・・」ムスッ

 

さっきから俺を見るこいつの目が少し鋭いんだが・・・。そんなに不良が嫌なら1人で行動・・・は無理か。泣きつくレベルだったもんな。てか俺、もとい金太郎は不良じゃねぇし。こいつの鋭い視線を浴びながらようやく看板の前までたどり着いた。

 

「・・・誰もいないな」

 

「・・・うぅ・・・」

 

「だから泣くな」

 

だがたどり着いてもそこには友達どころか四葉の姿も見当たらねぇ。

 

「もう帰ったんじゃないか?」

 

「真鍋さんはそんなことしないもん!!だって、六海が先生の用事で遅くなっても、真鍋さん、ずっと待っててくれたんだよ・・・ありえないよ・・・」

 

「わ、わかったから、怒るなって・・・」

 

うーむ、こいつが言うには自分を置いて帰るような性格じゃないってのはよくわかった。てことは、まだあの森の中にいる可能性があるってわけか。本当勘弁してくれ・・・いつになったら帰れるんだよ・・・。

 

ぐうぅ~・・・

 

むっ・・・俺の腹の音がなってしまった。腹減ったな・・・。

 

「?お腹すいてるの?」

 

「あ、ああ・・・」

 

やべ、今の聞かれたか。テストの点数を見られるくらい恥ずかしんだが。

 

「じゃあ・・・友達捜索を手伝ってくれてるお礼に・・・はい」

 

六海は持ってきた子袋から何かを取り出して俺に渡してきた。これは・・・チョコバーか?

 

「いいのか?」

 

俺の問いに六海はコクリと首を縦に頷かせた。

 

「じゃあ・・・いただきます」

 

六海の厚意に甘えて俺は受け取ったチョコバーの袋を開けて、一口かじる。おぉ・・・この味は・・・

 

「普通にうまい・・・」

 

「でしょ?それ、六海のお気に入りのお菓子なんだー。口に入れた瞬間、サクサクとした食感に口に広がるチョコの甘さ・・・そしてそれ食べてると、程よい満腹感が得られんだー」

 

ふむ、確かに六海の言うとおりだな。一口食った瞬間に満腹感を得られてる。まぁ、一種の錯覚だろうが、これなら腹は持つだろう。俺はチョコバーのうまさに感服しながら全部平らげた。

 

「ふぅ、ごちそうさん。ありがとな」

 

「・・・どういたしまして」ムスッ

 

あれー?おっかしいなぁ?さっきまで普通に話してたのに、食い終わったら不愛想が元通りになっちまったぞー?まぁいい。それもこいつの友人を見つけるまでの辛抱だ。

 

ポタッポタッ

 

ん?何やら鼻に冷たい感覚が伝わってきた。空を見上げてみると雨が降ってきていた。

 

「わぁ!雨だ!なんでー?今日は1日中晴れだって言ってたのにー!」

 

「とにかくどっかで雨宿りするぞ」

 

俺は六海を連れて看板外のルートを進み、雨がかからない木の葉の下で雨宿りをする。全く災難だぜ。

 

「幸い雨は小ぶりだ。ここなら雨に濡れる心配はないぞ」

 

「うん・・・」

 

六海の顔を見てみると、不安に満ちている顔をしてる。そりゃそうだよな・・・こんな森の中で友人とはぐれて1人になるわ、俺、もとい金太郎と出くわしてしまうわ、挙句の果てにこの雨だもんな。今の俺で和らげるかどうかはわからんが、少し励ましてやるか。

 

「心配すんな。お前の友達はちゃんと見つけてやるから」

 

「・・・・・・」

 

俺が六海の頭を優しく撫でてやってると、六海は本当に意外そうな顔でこっちに視線を向けてる。

 

「なんか・・・意外・・・。不良さんなのに六海のわがままに付き合ってくれたり、こんな優しくしてくれるなんて・・・」

 

マジで意外に思ってたのかよ。

 

「あのな、不良全員が悪い奴らとは限らねぇだろ?つーか、俺は不良じゃねぇ」

 

「え?そんな金髪なのに?」

 

「これは地毛だ」

 

まぁ、地毛ってのは嘘だけどな。

 

「金髪が地毛って・・・はっ!確か勇也さんも金髪だった・・・てことは・・・。・・・ごめんね、勝手に誤解しちゃって・・・地元じゃ辛かったんだね・・・」

 

「おい、何か勘違いしてないか?」

 

こいつが何を想像したか知らんが、壮大な勘違いをありがとう。俺はそんな皮肉が心の中で思い浮かんだ。だがそのおかげで、やっと笑うようになった。

 

「そうだ。・・・えっと、名前は?」

 

「え?あ・・・お、俺は・・・金太郎だ」

 

「金太郎君かぁ・・・キンちゃんって呼んでもいい?」

 

おい、なんだそのニックネームは。

 

「まぁ、別にいいが・・・」

 

「じゃあ、キンちゃん!さっきまでの態度のお詫びとしてキンちゃんの絵を描いてあげる!」

 

「お、おい、お前の友達・・・」

 

「ちょっとだけ。すぐ済むから大丈夫だよー」

 

六海は小袋の中からペンとお絵描きノートを取り出した。そしてすぐ真剣みな顔になって以前に見せた絵描きモードになった。やっぱり絵のことになると人が変わるな。まぁ、どっちみちまだ雨降ってるし、少しくらいならいいか。

 

4分か5分くらい経ち・・・

 

「キンちゃん、できたよー!はい!」

 

六海は出来上がった絵のページを破り、絵を俺に渡してくれた。今回は色は塗られてないが・・・やっぱりうまいな。

 

「すげぇな・・・これはプロレベルじゃないか?」

 

「ありがと♪でもまだまだだよー。これよりうまい人はたくさんいるんだし」

 

「まぁ、そうかもしれんが・・・」

 

「わぁ、雨あがってるー」

 

話をしている間に雨はすっかり止んでいる。というか、絵を描き始めて1分後に止んだんだけどな。ただの通り雨でよかったぜ。

 

「さて、じゃあ雨が上がったことだし・・・」

 

「・・・⁉ま、待って!今、何か聞こえなかった?」

 

「ちょ、や、やめろよ・・・」

 

こ、こんな時にお化けとかシャレになってねぇぞ・・・。らいはからもらったミサンガだって二乃に貸しちまったのに・・・。

 

ぅぅぅぅ・・・

 

ひぃ⁉ま、マジかよ!今度こそお化け⁉

 

「ぴゃああああああ!!!」

 

だが俺以上に怖がっているのは隣にいる六海だ。まるでこの世の終わりみたいな感じだ。

 

「お、お、お、おい!そんなとこで縮こまるな!」

 

「見えない聞こえない見えない聞こえない見えない聞こえない・・・」ガクガクガク

 

やめろー!その言葉を出すなー!マジで出てきたらどうする気だ⁉

 

「うっく・・・ひっく・・・もうやだぁ・・・お姉ちゃあ~ん・・・」

 

ここまで我慢してた不安が爆発してついに泣き出してしまった。もう本当に勘弁してくれよ・・・。マジもんのお化けが出たかもって時に・・・。

 

「ああ!くそ!」

 

「わっ・・・」

 

俺は縮こまる六海の手を引いて無理やり起こし、そのまま六海をおんぶする。

 

「キンちゃん・・・?」

 

「とっととお前の友達見つけ出して帰るぞ。もうこんなとこうんざりだ」

 

「・・・うん・・・」

 

六海は安心して俺に身をゆだねている。・・・なんつーか・・・重てぇ・・・。でもそれ言ったら怒られるだろうなぁ・・・。

 

「キンちゃんの背中、暖かい・・・」

 

むにゅっ

 

う、うおおぉ・・・この背中に伝わってくる感触・・・六海のあれが、当たってやがる・・・。身をゆだねすぎだ・・・マジで気がどうにかなっちまいそうだ・・・。

 

「・・・ねぇ、キンちゃん。明日もここにいるの?そっちも林間学校なんでしょ?」

 

「え?あ、ああ・・・」

 

「うちの学校、明日キャンプファイヤーするんだ。それでそのフォークダンスには伝説があるんだよ。そのフィナーレの瞬間に踊っていたペアは、生涯結ばれるって」

 

「そ、そうなのか・・・初めて知ったぜ・・・」

 

あれ?これデジャヴじゃね?いやいや・・・そんなまさかな・・・。

 

「実際本当に結ばれたかどうかは六海にはわかんない。だって遊び半分でデマを流したのか、はたまた真実となったかは、誰にもわかんないし」

 

「そりゃ、そうだな・・・」

 

頼む、俺の思い過ごしで合ってくれ!じゃないと・・・。

 

「・・・ねぇ?本当かどうか・・・試してみない?」

 

六海は俺の耳元でそんなことを囁いている。試す?試すって何をだ・・・⁉六海は俺の背中から降りて左手を自分の胸に当て、右手を俺に差し出してきた。

 

「キンちゃん・・・明日のフォークダンス、六海と踊ってくれませんか?」

 

な・・・なにいぃぃぃぃ!!?

 

「キンちゃんになら・・・添い遂げられても・・・いいよ・・・///」

 

六海は頬を赤くしてそんなことを言ってきた。や、やばい・・・これは非常に・・・。

 

ぅぅぅぅ・・・

 

「「!!?」」

 

す、すっかり忘れてた!そういやまだお化けが近くにいるんだった!

 

「こ、こっちに来てる・・・」

 

茂みの中からガサガサと音が聞こえてきた。身構えている俺たちの前に現れたのは・・・

 

「うぅ・・・六海ぃ・・・ぐすっ・・・」

 

「だ、大丈夫ですから!気をしっかり持ってください、真鍋さん!」

 

「四葉ちゃん!真鍋さん!」

 

四葉と・・・ポニーテールに左目下のほくろ・・・てことはこいつが六海の友達か。

 

「四葉ちゃーん!真鍋さーん!」

 

「「!六海-!」」

 

四葉たちを確認した六海はすぐに2人に駆け付けた。この隙に金太郎である俺はおさらばするぜ・・・。俺はあいつらに気付かれないように茂みの中に入っていく。

 

「六海!無事でよかった・・本当にごめん!私が・・・」

 

「いいんだよ真鍋さん。ありがとうね。四葉ちゃんも」

 

「本当によかったよ・・・ししし。でも、1人でよく平気だったね」

 

「ううん、実は・・・あれ?いない・・・」

 

茂みの奥からそんな会話が聞こえてきた。覗いてみると、コテージに向かって帰っていく姿が見える。ふと六海がボソッと口にした言葉が聞こえてきた。

 

待ってるから。

 

・・・やばい。どうしよう・・・。

 

♡♡♡♡♡♡

 

鬘を外して私服に着替え、コテージに戻った俺は二乃と六海を探している。金太郎の正体を明かしたら弱みを握られそうで嫌だが、もう四の五の言ってられん。

 

「あーん♡林間学校がいつまでも続けばいいのにー♡」

 

お、いたいた・・・て、めっちゃ浮かれてんじゃねぇか・・・。

 

「ご、ご機嫌だな、二乃。何かいいことでもあったか?」

 

「教えなーい。明日驚かせてやるわ」

 

いやもう十分に今日は驚いたから。

 

「気になるなー。教えてくれよー」

 

「・・・」

 

無視を決め込みやがった!くっ・・・ただでさえ一花との約束があるのに、そこに二乃と六海にまで加わるとは!と、いうより、今の二乃を六海と鉢合わせるわけにはいかん!早いとこ真実を明かさないと・・・!

 

「・・・あれ?二乃は?」

 

俺が考え事してる間に二乃を見失っちまった。リビングの方に向かったはずだからそこにいると思うが・・・。リビングへ向かうと、他の奴らもここに集まってやがる。もう二乃でも六海でもいい。どっちか片方を・・・。

 

「ふざけんじゃないわよ!!」

 

!今の怒鳴り声、二乃か⁉気になって俺は奥の方へ見てみるとそこにはやっぱり二乃がいた。・・・ついでに六海まで・・・。1番恐れていた事態が起こってしまった。早すぎだろ・・・。

 

「なんであんたがキンタロー君と踊ることになってるわけ⁉」

 

「いや・・・だって・・・キャンプファイヤーの噂、半信半疑だったし・・・確かめたくて、つい・・・」

 

「つい、じゃないわよ!それでキンタロー君とあんたが結ばれたりしたらどうする気⁉」

 

「き、キンちゃんになら別にいいし・・・。ていうか、二乃ちゃん噂信じてないでしょ?なんでそんなこと言われなくちゃいけないの⁉」

 

ふ、普段姉妹と喧嘩するはずのない六海がよりによって二乃と喧嘩してるだと⁉珍しいもんだ・・・て違う!!

 

「馴れ馴れしくキンちゃんって呼ばないでくれる?噂なんて関係ないわよ!キンタロー君はアタシが先に踊る約束したのよ!横取りするんじゃないわよ泥棒猫!!」

 

プッチーン!!!

 

あ、何かキレる音が聞こえてきた。

 

「だ、誰が泥棒猫だって!!?泥棒猫なのは二乃ちゃんの方でしょ!!」

 

「なんですってー⁉言っておくけどね、アタシはキンタロー君の怪我を治療してあげたんだからね!」

 

「六海はお腹すいてるキンちゃんにお気に入りのお菓子あげたし!」

 

「アタシは危ないところをキンタロー君に助けてもらったのよ!」

 

「怖がってた六海にキンちゃんはずっと寄り添ってくれたもん!」

 

「何よ⁉」

 

「何⁉」

 

け、喧嘩がどんどんエスカレートしていく・・・止めなくては・・・。

 

「お、おい・・・もうその辺で・・・」

 

風太郎君は黙ってて

 

てかあんたには関係ないでしょ

 

怖!こいつら迫力ありすぎだろ!!

 

「こーなったら明日ハッキリさせましょう!キンタロー君はアタシかあんた、どっちを選ぶのか!」

 

「いいよ?どうせ六海の方に来るのわかってるし!」

 

「アタシよ!」

 

「六海だよ!」

 

け、喧嘩したままリビングを出ていった・・・。やばい、これは確実にやばい。早いとこあいつらに真実を明かさなければ・・・。俺は二乃と六海を追ってリビングから出るが・・・もうあいつらを見失っちまった。くそ、どこいった?

 

「今のって二乃と六海?あの2人が喧嘩なんて珍しいね」

 

「!一花!三玖!」

 

俺があの2人を探していると、ちょうどそこに一花と三玖が通りかかった。

 

「ちょ、ちょうどよかった。ちょうどお前らに・・・」

 

「あー!思い出した!私、仕事あるんだった!後は若いお2人でごゆっくり~♪」

 

一花は何かわざとらしくそんなことを言ってこの場を俺と三玖の2人だけにさせてどっかいった。

 

「なんだあいつ・・・まぁ、お前が残ってくれてよかった」

 

「え?」

 

「二乃と六海がどっち行ったか知らない?」

 

「・・・知らない」

 

俺が三玖に二乃たちのことを聞いたらそっぽを向いてどっか行っちまった。ふむ・・・これは・・・

 

「もしかして、俺って思ったより好感度低い?」

 

「今更気が付いたんですか」

 

俺の疑問に答えたのはなぜか俺から隠れてる五月だった。

 

「忠告します。今より下げたくなければ、これ以上不審なことはしないことです」

 

「・・・心当たりがないんだが・・・」

 

本当に身に覚えがないんだが・・・。と思っていたら五月はせっせと俺から離れていった。・・・これはまずい・・・!早急に手を打つ必要がありそうだ・・・。

 

♡♡♡♡♡♡

 

「上杉さんが手伝ってくれて助かります!」

 

事の深刻さを感じた俺は信頼回復のために四葉の係であるキャンプファイヤーの準備を手伝うことにした。

 

「これを運べばいいんだな?」

 

「はい!昨日の雪と今日の通り雨で一時的によけていたらしいです!明日のキャンプファイヤーのために係の人たち総出で頑張ってます!」

 

「よし・・・ふん・・・!」

 

俺はキャンプファイヤーで使うでかい丸太を持ち上げようとする。お、重てぇ・・・!俺の力が弱いからか、それともこれが重いのか全然持ち上がらねぇ!

 

「・・・上杉さん、本当に男の子ですか?」

 

「・・・・・・」

 

その一言がめっちゃへこむんだけど・・・。

 

「で、でも!人手が多いに越したことはないですからね!」

 

「そ、そうか・・・肝試しの時のお礼だと思ってくれ」

 

「あ!そうですよ!上杉さんがいない間1人で脅かし役やったんですからねー!」

 

それは悪いことをしちまった。ていうか、どうやら俺は知らぬ間に顰蹙を買ってしまったようだ。早急に信頼回復しなければ、二乃たちに真実を明かすどころか、今後の家庭教師に影響が出かねない・・・。と、そうしてるうちに持っていく場所にたどり着いて丸太を設置する。やっと1本目か・・・。

 

「次行きまーす!運動にもなって一石二鳥ですねー!」

 

「ああ・・・い、いい汗・・・かけるぜ・・・」

 

し、しんどい・・・俺ってこんなに体力なかったっけ・・・?まぁ、それはともかくとして、2本目・・・重いが、やるしかねぇ!

 

「せぇー・・・の!ふん!」

 

俺が持ち上げようとしても全く持ち上がらねぇ。どうなってんだ?

 

「わっ!重!」

 

 

俺が持ち上げようとした丸太はもう片方に持ち上がった。もちろんこれは俺じゃない。もう片方の方を見てみると、一花が持ってくれたようだ。

 

「おや!よく見たらフータロー君じゃん!この係じゃなかったよね?」

 

ちょっと待て、四葉は・・・いや、待てよ?四葉のみならず、一花までいるとは!これは好感度を上げるチャンス!

 

「うぅ・・・寒・・・上着持って来ればよかった・・・」

 

持ってくれ俺の体!コミュニケーション能力MAXだ!!

 

「四葉を手伝ってたんだ!さあ、運ぼうぜ!はは☆」

 

どうだ俺のコミュ能力は!なかなかのものだろう!

 

「肝試しは楽しんでもらえたかな?」

 

「え⁉う、うん、ドキドキしたよ?」

 

「それは上々!実行委員として、うれしい限りです!」

 

「フータロー君が実行委員をしっかりこなせるかは、別の意味でドキドキしたけどね」

 

「ははは☆これは1本取られましたな!はははは☆」

 

よしよし、うまく話せてるじゃないか!上々だぜ!

 

「・・・いや、やっぱり待って。何そのしゃべり方?変」

 

「ええ!!?」

 

なん・・・だと・・・うまくやれてたはずなのに・・・あれ?普段俺、どんな風にしゃべってたっけ?

 

「フータロー君、勉強以外じゃ積極的に交流しないもんね。何を気にしてるのか教えてごらん?」

 

く・・・やっぱり1人で信頼回復は難しいか・・・。仕方ない、一花には話しておくか。

 

「・・・つまり、みんなに嫌われたくないってわけだね」

 

「いや、そういうわけでは・・・」

 

事情を説明し、理解した一花は当たり前のようなことを言ってきた。別に仲良くなりたいってわけではないのだが・・・。

 

「ふふふ、あのフータロー君がねぇ~」

 

「だから違うって!」

 

「じゃあお姉さんが練習相手になってあげる」

 

は?練習相手?

 

「練習って、どうやって・・・」

 

「私は三玖ほどうまくないんだけど・・・こほんっ」

 

一花はいったん咳払いして・・・何する気だ?

 

「君!しっかり持つ気ある?アタシが重いじゃない!」

 

「二乃!」

 

「何ぼーっとしてるんですか?与えられた仕事をこなしてください!」

 

「五月!」

 

「意地悪な人!何力緩めてるの?重いんだからしっかり持ってよ!」

 

「六海!」

 

練習相手になるって、自分の妹になりきることかよ!マジで似てるからびっくりだぜ!てか最後の六海ってまだ俺の名前を呼ばなかった頃のあれじゃねぇか!それを選ぶあたり一花も腹黒いと思ってしまったぜ。

 

「ほら、ちゃんと返事して?」

 

「お、おう・・・」

 

返事って言うと・・・こうか?

 

「六海に見惚れて、集中できなかったぜ☆」

 

「え~・・・なんかやだ・・・」

 

くっ!これもダメかよ!自信がなくなってきたぜ・・・。と、そう言ってる間に到着っと。この丸太を設置してっと。もう完成したんじゃないか、これ?

 

「もっと自然に言えばいいんだよ。それでもコツはいるんだけどね。二乃には負けないくらい強く、六海には楽しく、五月ちゃんには優しさを。自分の言葉でね。あ、私にも優しくしてくれてオッケーだよ?」

 

「や・・・優しく・・・ね。覚えてはおく」

 

まぁしかし・・・先に一花に話せてよかった。やはり長女だけあって、俺や六つ子にたいしても分け隔てなく冷静な目を持っている。

 

「じゃあ、次は三・・・・・・」

 

?急に黙り込んだ?

 

「どうした?」

 

「ううん、なんでもない。それより見て、もうなくなりそうだよ」

 

俺たちが丸太の倉庫へ行ってみると、残ってる丸太はこれ1本だけだった。

 

「最後の1本だな」

 

「これで明日キャンプファイヤーができるね」

 

「・・・明日か・・・」

 

明日っていえば・・・俺はキャンプファイヤーで一花と踊ることになってるんだったな。

 

「三玖から話し、聞いてるよな?」

 

「うん・・・なんか踊るみたいだね、私たち」

 

「なんでこんなことになったんだか・・・」

 

ただでさえ金太郎として二乃と六海から誘いを受けたってのに、頭が痛くなる話だぜ。

 

「あはは・・・恥ずかしいよね。どうする?練習でもしとく?」

 

明日のキャンプファイヤーで一花か二乃、六海からどちらか選ばなければならないのなら・・・1つの可能性は少なくとも消した方がいいのなら・・・

 

「やめるか?」

 

この方が1番の最善なのかもしれん。それに、一花自身も俺相手じゃ困るだろうしな。

 

「言った通り、その場の成り行きで決まった約束だ。伝説だなんだってのも、乗り切れないしな。前田には疑われるだろうが、俺がいなければ誤魔化せるだろうしな。それに、俺と踊ってるとこなんて、他の奴らに見られたら、お前も・・・」

 

ふと俺が一花の方に視線を向けると・・・な、泣いてる・・・?

 

「い、一花・・・?」

 

「・・・あれ・・・なんでだろ・・・違うの・・・ごめん、一旦おいていいかな?」

 

な、ななな、何で泣いてるんだよ?も、もしかして俺、またやらかした系?気付かないでやらかしたのか?

 

「さー、早く終わらせて帰ろー」

 

なっ!他の連中がこっちに来る⁉どう考えたってこの状況、俺が泣かしたみたいな感じだ!こんなの見られるわけには!

 

「い、一花!こっちに!」

 

「え?フータロー君?」

 

俺はすぐに一花と共に入れ口近くの隅に移動して、持っていた丸太で俺たちの姿を隠す。

 

「あれ?もう残ってないじゃん」

 

「本当だ。意外と早かったね」

 

「すみませーん!上杉さん見ませんでしたか?」

 

「上杉って、あいつ?」

 

「見てないけど・・・」

 

・・・ば、バレてない・・・よかった・・・何とか隠れられたぜ。

 

「ははは、前にもこういうことあったね」

 

ああ、花火大会のあの日か。前とは立場が逆だな・・・。

 

「というか、隠れる必要ある?」

 

こういう時、どうすればいいんだ?・・・一花の言ったことを思い出せ・・・優しく・・・だったな。俺はすぐに着ているジャケットを一花に羽織らせる。

 

「!」

 

「・・・誰も見てないから」

 

「・・・っ」

 

「・・・あ!また俺、変な感じに・・・」

 

ちくしょう・・・俺って本当にコミュニケーション能力ねーな・・・。

 

ガシャンッ!

 

ガチャッ

 

「・・・ガシャン?」

 

「ガチャ?」

 

えっと、今の音は入り口で聞こえたような・・・って、ドアが閉まってる・・・。

 

「ま、待て・・・もしかして・・・まさか・・・」

 

「え?ここにかけてあった鍵は?」

 

いやな予感がして俺はドアを開けようと力を入れてみたがびくともしない。ドアをたたいても反応なし・・・。

 

「「・・・あはははは・・・」」

 

「・・・1本取られたね」

 

俺と一花はこの倉庫の中に閉じ込められてしまった。係の奴ら、閉めやがったな・・・あはは、覚えてろよこの野郎め。

 

12「結びの伝説2日目」

 

つづく




六つ子豆知識

『金髪』

四葉「二乃はあの金髪の人がタイプなんだー」

五月「金髪は校則違反です!」

六海「キンちゃん以外不良の象徴だよー!」

三玖「なんかチャラそう」

一花「働かずに遊びまわりそうだよねー」

二乃「そうなの!アタシが支えてあげないといけないわよね・・・」

一、三、四、五、六「ああ・・・」

六つ子豆知識 終わり

次回一花、三玖視点
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