六等分の花嫁   作:先導

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結びの伝説3日目

一花SIDE

 

「・・・参ったね・・・」

 

「・・・ああ・・・」

 

「閉じ込められちゃったね・・・」

 

「ああ・・・」

 

林間学校の3日目に行われるキャンプファイヤーの準備をフータロー君と一緒に行ったまではいいよ?でも問題はその後、私がなぜか泣いちゃってたせいでフータロー君を困らせちゃって、それを見られないように他の係の子たちから隠れてたら、係の子たちが私たちがいることに気付かないまま倉庫の扉に鍵かけて閉めちゃった。内側に鍵はないから、簡単に言うと閉じ込められちゃった。

 

「・・・よし。ドアを壊して外に出る。少し離れてろ」

 

フータロー君がドアを壊そうとドアから離れて構えようとしてる。そして私はドアの間近にあるものがあるのに気が付いた。

 

「あ、待って。あれ防犯センサーじゃない?ドアを壊したら警備員が飛んでくるやつ」

 

そう、あれは防犯センサーである。ドアを壊したら真っ先に警備員が駆けつけてくるもの。そんなのが起動したら林間学校どころじゃなくなっちゃう・・・。

 

「見つけてもらえるなら願ったり叶ったりだ!」

 

フータロー君は構わずにドアを壊そうと試みてる。

 

「ちょっとちょっとダメだって!そんなことしたら林間学校が台無しだよー」

 

「ぐっ・・・」

 

私がそんな説明をして止めたらフータロー君は思いとどまってくれた。よかった。林間学校が台無しになるのは本意じゃないし・・・それに・・・こんなこと、三玖に知られたら・・・きっとあの子はまた悲しむ・・・。だって三玖はフータロー君のことが・・・

 

「・・・わかった。解除できるかどうか見てくれ」

 

「え?」

 

防犯センサーを解除って言われても・・・あれは結構高い位置にあって私たちの身長じゃ全く届かないだけど・・・。

 

「あはは・・・身長が2メートルあったらなー」

 

「なんだそれ?肩車だ。早く俺の肩に乗れ」

 

へ?肩車・・・あ、あー、そういうことか、なるほどね。それでフータロー君はしゃがみこんでたわけだ。

 

トクンッ トクンッ

 

大丈夫・・・平常心・・・平常心でいかなきゃ・・・。防犯センサーもだけど、私の胸のセンサーも反応させちゃダメだから・・・。

 

・・・たとえフータロー君が、"あの時の彼"だと気づいた後だとしても。

 

「お・・・重いとか言わないでよー?」

 

「なめるなよ。俺は六海をおんぶしてそれを耐えた男だぜ」

 

え?フータロー君、六海をおんぶしたんだ。いつの間に・・・。・・・て、耐えたって、重いって感じたのは事実じゃん・・・何か不安だなぁ・・・。まぁ、やらないと始まらないし、フータロー君の肩に遠慮なく乗っかろっと。

 

「大丈夫?」

 

「ああ。いくぞ」

 

フータロー君は肩車で私を持ち上げようとする・・・。

 

「・・・ん?」

 

「どうしたの?」

 

「この感触・・・なぜだか懐かしい・・・」

 

!!??た、確かに私の太ももはフータロー君の頬に当たってるけど・・・懐かしいっていうのは・・・いったい・・・。て、そんなことより・・・

 

「こ、こら!太もも堪能するの禁止!!」

 

「後重くて持ち上がらない・・・!」

 

「あああ!!やっぱ言ったーー!!」

 

いや、言うと思ったけどね!おんぶを耐えたって時点でダメだって思ってたけどね!わかってたけどね!直で言われるとすっごいショック受けるんだけどーー!!

 

♡♡♡♡♡♡

 

『六海ご立腹or一花と風太郎はいずこへ?』

 

「む~・・・」

 

「えっと・・・大丈夫?」

 

四葉たちがキャンプファイヤーの準備に勤しんでる中、三玖はご立腹な様子の六海を自分なりに慰めている。

 

「・・・抹茶ソーダ、飲んでみる?」

 

「え⁉️いいの⁉️わーい、ありがとう!ずっと味は気になってたんだけど、買う気になれなくて・・・」

 

三玖が抹茶ソーダを渡すと六海はさっきとはうって変わって元気になった。

 

「じゃ、いっただっきまーす!」

 

六海はもらった抹茶ソーダをぐびっと飲んだ。

 

「・・・て、まずーーーー!!!」

 

だが口に合わなかったのか六海は飲んだ抹茶ソーダをすぐに吹き出す。

 

「そう?おいしいけど」

 

「ゴホッ、ゴホッ!こう言っちゃなんだけど三玖ちゃん、味のセンスないよ?」

 

「むぅ・・・」

 

六海の率直な感想に三玖は頬を膨らませ、しかめ顔になる。

 

「・・・二乃と何かあったの?六海が姉妹と喧嘩なんて珍しい・・・」

 

三玖の問いかけに六海は頬を膨らませ、怒りをあらわにする。

 

「・・・言いたくない!先に言いがかりをつけてきたのは二乃ちゃんだもん!六海、何にも悪くないもん!」

 

事情を聞こうにも六海がご覧のありさまで一向に話そうとしないので三玖も困り果てている。下手に話題を出すと逆ギレしそうな雰囲気でたじたじである。

 

「三玖、六海」

 

そんな状況の中、五月が2人に声をかけてきた。

 

「五月?どうしたの?」

 

「・・・何か用?」

 

「なんで六海は怒ってるんですか・・・?」

 

「さあ・・・教えてくれなくて・・・」

 

怒ってる様子の六海を見て五月は少し困惑しているが、すぐに本題へと入る。

 

「・・・まぁ、今は置いといて・・・一花見かけませんでした?」

 

「?一花?」

 

「部屋にいるんじゃないの?ちょうど終わったころでしょ?キャンプファイヤー係」

 

「それが、まだ帰ってきていないみたいなんです。キャンプファイヤー係の仕事があると外に出た切り・・・」

 

一花がまだ帰ってきていないと聞いて三玖も、怒っていたはずの六海も不安そうに心配になり始めた。

 

「六海ー!三玖ー!五月ー!」

 

そんな不安を漂わせていると、今度は四葉が慌てて駆け付けてこんなことを尋ねてきた。

 

「3人とも!上杉さん見なかった⁉」

 

「え?」

 

「風太郎君?見てないけど・・・」

 

「上杉さんったら、キャンプファイヤー係の手伝いでどこかにいなくなっちゃったんだよー!食堂にもいないし!部屋にも戻ってないしー!」

 

一花のみならず、風太郎までいないことに対し、五月と六海は互いに顔を見合わせる。三玖は少し不安そうな顔で昨日の旅館での一花との会話を思い出していた。

 

『三玖。昨日言ってたキャンプファイヤーの話、本当に私でいいの?』

 

『うん。その場しのぎで私が決めちゃったことだから』

 

『・・・そっか。じゃあ、ボッチのフータロー君の相手をお姉さんがしてあげよっか』

 

そんなことを思い浮かべていたら、三玖の不安がだんだんと強くなっていった。

 

「私・・・探してくる!」

 

「「え?」」

 

「三玖⁉」

 

不安がたまった三玖は一花たちを探しに外へ向かっていった。その様子に戸惑う四葉たち。すると、五月は四葉が持っていた鍵の存在に気付く。

 

「四葉、その鍵は?」

 

「え?これ?キャンプファイヤーで使う道具の倉庫の鍵だけど・・・」

 

「・・・まさかとは思うけど・・・それで風太郎君たちを閉じ込めたり・・・?」

 

「え⁉」

 

「ふぁっ!!?」

 

六海の言葉に五月は驚き、四葉は過剰な反応をしている。四葉自身、まさかそんなことはと思っていたのでこの発言で四葉は最悪のケースを考え、冷や汗が大量に出始める。

 

「・・・なーんてね!そんなことあるはずないよねー、ははは!」

 

「そ、そうだよね!もしそうだったら大変だもんね!あははは!」

 

どうやら六海は冗談で言っていたようだが、五月はそれがだんだんと冗談ではないのではないかと思い始めている。それもそのはず、五月は昨日の宿で彼女の姉妹の誰かが寝ている風太郎に寄り添っているのを見ていたからだ。もしかしたらと考えだしたら、五月は居ても立ってもいられなかった。

 

「・・・私も探してきます!四葉、鍵をお借りします!」

 

「え⁉五月⁉」

 

「ちょ・・・五月ちゃーん⁉」

 

五月は四葉から無理やり鍵を奪い取り、外へ出ていってしまった。残された四葉と六海を何事かという顔をしてぽつんと立っていた。

 

「・・・えっと・・・どうしよう・・・?」

 

「・・・四葉ちゃん、オセロでもする?」

 

どうすればいいのかわからず、四葉と六海はそんな問答をしあっている。

 

♡♡♡♡♡♡

 

とりあえず肩車の案は却下して、フータロー君が台となって私が彼の背中に乗って防犯センサーを見るという形で納得した。そのおかげで防犯センサーの解除の仕方も分かった・・・ついでに、現時点で防犯センサーは解除不可能だということもね。というのも・・・

 

「センサーの解除には鍵が必要・・・やはり誰かを待つしかないか・・・」

 

センサーの解除にも倉庫の鍵が必要らしく、当然ながら私たちはそれを持っていない。結局は誰かが探しに来るのを待つしか選択権がない。それより・・・

 

「あのー、フータロー君先生?それは何をしているんですかー?」

 

今フータロー君は原始的な方法で火をつけようと弓式の棒で板を削っている最中だ。いや本当にこんな時に何してるわけ?

 

「見ての通り火を熾す。風邪でも引いたら最終日がパーだ」

 

「フータロー君は頭がいいけどおバカだよね」

 

いや、本当に彼の気遣いはありがたいんだけど・・・今この場で火を熾す必要ってあるのかなー?

 

「それより暇だし、楽しい話でもしない?」

 

「集中してるから後にしてくれ。気が散る」

 

むっ・・・そんな反応されると・・・なんかムカッてなるなー。なんか意地でもフータロー君とお話がしたくなってきちゃった。

 

「・・・あー、この前六海が絵の解説をしてくれたんだけどー・・・」

 

とにかく反応してもらえるようありとあらゆる話題をフータロー君に吹っ掛けていくとしますか。1個くらいは乗っかってくれるでしょ。

 

「・・・というわけ。それで・・・」

 

「・・・・・・」

 

「この前五月ちゃんがさー・・・」

 

「・・・・・・」

 

「で、二乃が大変で・・・」

 

「・・・・・・」

 

「そのコロッケ見てなんて言ったと・・・思う・・・?」

 

「・・・・・・」

 

これだけ話題を彫り上げていっているのにも関わらずフータロー君は話を全部スルーしてきた。

 

「全部無視・・・お姉さんまた泣いちゃいそうだよー・・・」

 

私がそんなことを言っても、フータロー君はお構いなしに火を熾そうと奮闘してる。・・・何で泣いたか聞かないでくれるんだ・・・。興味ないだけかなー?・・・本当、何で泣いちゃったかなー、私。自分でも見当つかないよ・・・。・・・・・・。

 

「・・・私、学校辞めるかも」

 

「・・・え?」

 

ぽつりと言った私の言葉にようやくフータロー君は反応してくれた。

 

「はは・・・やっと興味持ってくれた・・・」

 

「それより、やめるって、どういうことだ?」

 

「まぁ、休学って形だけど・・・」

 

そもそも私がどうして学校を休学しないといけないのかっていう理由は、今朝に送られてきた事務所からメールと、先日、社長から言われた一言だ。

 

『一花ちゃん、女優を続けていくなら、休学って形も視野に入れておいた方がいいよ』

 

女優の仕事は楽しいし、続けていきたいから即答で学校辞めるってのも考えたけど・・・やっぱり妹たちのことを考えると、すぐには、ね。

 

「ほら、前に花火大会の時のオーディション、合格したって言ったじゃん?」

 

「あ、ああ・・・」

 

「おかげさまで映画の撮影してるんだけど、新しい仕事の話も少しずつもらえるようになってきたの。そういうこともあって、もう何度か学校を休んで仕事に行ってるんだ。他の生徒役の子たちも留年覚悟で休んでたり、融通の利く学校に転校したりしてるみたい。私は知っての通り学業は絶望的だからさ・・・高校に未練はないかなーって・・・」

 

高校は義務教育ってわけじゃないし、だったらそこまでこだわる必要なんてないわけだからね・・・。それに・・・私がいなければ、三玖は・・・変に悩まずに済むだろうしね。

 

「・・・・・・」

 

「・・・あっ・・・とか思ったり・・・思わなかったり・・・」

 

やば・・・しゃべりすぎたかな・・・?怒られる・・・

 

「・・・お前といい六海といい・・・いいな。夢があったり、やりたいことが見つかって」

 

「・・・あれ?」

 

フータロー君、怒らない?それどころか、私のやることに口出ししてない?

 

「・・・待てよ?お前がいなくなったら給料はどうなる⁉まさか2割減⁉」

 

わー・・・いつものフータロー君だ・・・。

 

「な、何か、意外だね。人間失格!!!って、これくらい怒られると思ってたよ」

 

「俺のことそんな目で見てたのか?」

 

あ・・・あはは・・・言葉のあやだよー。

 

「・・・選択肢のあるお前が羨ましいよ」

 

「え?」

 

「ま、9割9分失敗するだろうがな」

 

「もー、またそんなこと言うー!」

 

「それも糧になるさ。うまくいけば儲けもの。何事も・・・挑戦だ!」

 

!!フータロー君・・・私の進む道を応援してくれている・・・?

 

「木屑!」

 

「え⁉どこ⁉」

 

「ほらここだ!息を吹け!消えるぞ!」

 

「う、うん!ふーっ、ふーっ」

 

木の板にできた木屑に息を吹きかけることで板に火がついた。さらに燃えやすい木を火に出して簡易的な暖炉の出来上がり。いやー、やるもんだなぁ。

 

「暖かいね・・・」

 

「ああ・・・」

 

これのおかげでちょっと冷えてきた体が温まった気がするよ。

 

「・・・いいよ」

 

「・・・え?」

 

「キャンプファイヤーのダンス、私たちの約束はなかったってことで・・・」

 

きっとこの方がよかったんだよ・・・これでフータロー君にも迷惑は掛からないし、三玖もきっと、元気を取り戻すはず・・・。

 

「ああ・・・」

 

「その代わり!今踊ろう?今夜は2人だけのキャンプファイヤーだよ」

 

こうやって倉庫に閉じ込められちゃったけど・・・これでいい。これで、三玖の望む平等になる。

 

「・・・ま、誰も見てないしな」

 

「やったぁ♪ふふふ、やっぱ恥ずかしかったんだぁ♪」

 

「あ、当たり前だろ・・・」

 

「かわいいとこあるじゃーん♪」

 

フータロー君が少し照れてる間に、私は胸に手を当て、センサーの反応を確認する。

 

・・・センサーに反応なし・・・これなら大丈夫・・・。

 

「ただでさえ伝説なんてものが流布されてるんだ。その気がなくてもそう見られちまう」

 

え?伝説?何それ?そういえば昨日旅館で四葉が伝説がどうとかって言ってたみたいだけど・・・

 

「・・・その伝説って・・・何・・・?」

 

「知らないのか?四葉から聞いたくだらない話だ。キャンプファイヤーで踊っていた2人は生涯結ばれるって・・・」

 

!!!!生涯が・・・結ばれるって・・・それって・・・

 

「・・・そ・・・それ・・・三玖は知ってるの・・・?」

 

「ああ。その場にいたな」

 

そ・・・そんな・・・これじゃあ私は・・・

 

「・・・そ・・・そんなつもりじゃ・・・」

 

「一花・・・?」

 

「三玖にとって・・・キャンプファイヤーは・・・それなのに私は・・・」

 

私は誰よりも三玖の気持ちを知っていたはずなのに・・・なのにこんなことって・・・。私って・・・最低だよ・・・。

 

「・・・フータロー君!さっきの話・・・!」

 

ゴッ

 

「!!一花!!」

 

「え?」

 

フータロー君が慌てたように声を荒げように私は何事かと思って後ろを振り返ると・・・立てておいた丸太が私に向かって倒れて・・・そういえば足に何かぶつかったような・・・

 

あ・・・ダメ・・・ぶつか・・・

 

「あぶねぇ!!!」

 

グイっ!

 

ドシイイイィィィン!!!

 

いったい何が起きたのか今の私の脳では整理が追い付かなかった。私は今、フータロー君に抱かれそうになる態勢で身を引き寄せられて・・・倒れた丸太から・・・守った・・・?

 

「・・・はぁ~~~・・・セーフ・・・お前さぁ・・・意外とドジだな」

 

!!!私を助けた後でその優しい笑み・・・ダメ・・・そんなことされたら、私のセンサーは・・・

 

ビーッ!!ビーッ!!ビーッ!!

 

もうダメ!!限界!!こんなの、私の理性が持たない!センサーが反応しまくってる!

 

「ちょ!は、放してぇ!!」

 

「お、おま!暴れんな!!」

 

照れと恥ずかしさのあまり、フータロー君を引きはがそうとしたけど、その勢いで2人揃って倒れてしまった。うぅ・・・いったぁ・・・フータロー君の顔も近いし、ハズイ・・・///

 

ビーッ!!ビーッ!!ビーッ!!

 

「というか、なんだこの音・・・」

 

!この音、防犯センサーからなってる・・・まさか・・・

 

『衝撃を感知しました。直ちにアンロックしてください。解除しない場合、直ちに警備員が駆け付けます』

 

やっぱり!さっきの扉に当たった丸太の衝撃で防犯センサーが起動しちゃったんだ!

 

「まずい!!誰か来る前に逃げるぞ!!」

 

「う、うん!」

 

て、逃げるって言っても扉は閉まってるし、逃げられないんじゃあ・・・本当にヤバイ・・・!

 

シュワアアアアア!!

 

危機感を感じていると天井のスプリンクラーが反応して水が出てる!そ、そうか、焚火の火に反応して・・・!

 

「うわっ!なんだこれ!」

 

「スプリンクラー⁉火を消さないと・・・」

 

「ひとまずセンサーを何とかしよう!」

 

「なんとかって・・・だから、鍵がないと・・・」

 

「鍵・・・?くそ、どうすりゃ・・・」

 

私もフータロー君も絶体絶命と思い始めたその時・・・

 

ガチャッ

 

「「・・・え?」」

 

扉の鍵が開く音と同時に、防犯センサーもスプリンクラーも止まった・・・。わ、私たち・・・助かったの・・・?

 

「鍵ならここにありますよ」

 

そんな声が聞こえたと同時に、倉庫の扉が開き、出てきたのは・・・

 

「一花・・・2人してこんなところで、何をしていたんですか?」

 

明らかに冷めたような眼をした三玖と、怒っている様子の五月ちゃんだった。一難去ってまた一難とはまさにこのことを指すんだね・・・。

 

あの後私たちは三玖と五月ちゃんだけでなく、先生に事情を説明するわで怒られるわで、もう本当にえらい目にあったよ。

 

そしてその翌日、私は風邪を引いてしまいました。とほほ・・・

 

SIDEOUT

 

♡♡♡♡♡♡

 

三玖SIDE

 

林間学校最終日の3日目、目が覚めた私は眠気交じりのあくびをした後、外をぼんやりと見つめる。・・・昨日のフータローと一花の件・・・2人から事情を聞いたけど、今も半信半疑の状態。でもそれ以上に・・・頭の中がもうごちゃごちゃでわけわかんない。

 

私たちは平等・・・でも昨日の一花とフータローの件は明らかに度が過ぎていた・・・。私たちは平等・・・だとしたら、私はどうすれば・・・。もうわけがわからない。私は何がしたいのかもわからなくなってきた・・・。

 

「ほーら!一緒にスキーに行くよー!」

 

「やだやだ!絶対に行きたくない!」

 

ぼんやりと考え事をしていたら四葉の元気な声と何か拒み続けてる六海の声が聞こえてきた。そして数秒も立たないうちに私の部屋に四葉が嫌がる六海を引っ張って入ってきた。

 

「三玖ー!まだ寝てるのー?早く起きて準備してー!」

 

「三玖ちゃん!助けて!このままじゃスキーに連れてかれる!」

 

何が何だかわからないでいると四葉は私の手をつかんできて部屋の外に連れ出される。

 

「え?え?よ、四葉・・・?」

 

「自由参加だからって寝るのはもったいない!いい思い出とするためにも、滑り倒しちゃおー!」

 

「やだー!!スポーツは嫌だーーー!!!」

 

私はわけもわからずに、六海は悲痛の叫びを上げながら四葉にスキー会場へと向かうゴンドラに強制連行された。

 

♡♡♡♡♡♡

 

結局四葉に成す術もなく半場強制的にスキー会場へ向かうゴンドラに乗せられた私と六海。四葉はフータローを呼んでくると言ってコテージへと戻っていった。・・・今だけはフータローとはあまり顔を合わせたくなかったんだけど・・・。て、それは六海と二乃も同じか。今喧嘩中みたいだから顔を合わせたくないと言ってたし。

 

「あーあ、やだやだ・・・スキーだってスポーツの一種なのにさー・・・四葉ちゃんに無理やりここに乗せられるし・・・」

 

「六海、諦めて。こうなったらスキーを楽しむしかない」

 

「でもー、六海のスポーツ嫌いは三玖ちゃんも知ってるでしょ?絶対恥をさらすだけになっちゃうじゃん」

 

「それでよくソフトボール部員と仲良くなれたね」

 

確か苗字は・・・真鍋さんっていったっけ・・・。

 

「いやー、真鍋さんって意外に気さくな子でさー、転校のしたての時、最初に声をかけてきたのだって真鍋さんだったりするんだよねー。それに優しいし」

 

なるほど、納得だ。気軽に声をかけて、なおかつ優しい子なら六海は基本的に誰でも仲良くできる。ただし、印象最悪の場合だとそれなりに時間がかかるかもだけど。と、話してる間にもうスキー会場についた。

 

「ほら六海、ここまで来たんだから、いい加減腹をくくって」

 

「はーい・・・あーあ、二乃ちゃんもいるだろうし、鉢合わせしたくないなー・・・はぁ~・・・」

 

どうやら二乃は先に来ているみたいでそれと合わせて六海は深くため息を吐いてる。よっぽどなんだ・・・。

 

♡♡♡♡♡♡

 

スキー会場について、私たちはスキー用の服に着替えてスキーを楽しむ・・・どころの問題じゃなかった。いかんせんスキーなんてやらなかったからまともに滑ることができなくてころんでばっかり。特に六海はひどかった。滑ったかと思いきやすぐにバランスを崩して転んでしまったり、ブレーキができず木にぶつかったり、しまいには雪の中に埋もれてしまうとかなんてシュールすぎる光景も見られる。

 

「大丈夫?」

 

「もう!だからスキーは嫌だって言ったんだよ!」

 

「私もここまでひどいとは思ってなかった」

 

「雪でメガネまで曇るし最悪~・・・」

 

明らかに不機嫌な状態になった六海はハンカチでメガネを拭いてかけ直した。

 

「・・・あーー!!風太郎君に四葉ちゃん!!」

 

!!四葉、もうフータローを連れてきたんだ・・・。昨日の一花の件もあるし、顔を合わせづらいな・・・。

 

「ちょっと四葉ちゃんに文句言ってくる!三久ちゃんもき・・・」

 

ツルッ

 

「て、あらーーー!!?」

 

六海は文句を言おうと四葉のところまで滑ろうとした時、四葉のところめがけて派手に転がっていった。大丈夫かなぁ・・・。仕方ない、私も行こう。まだちょっと滑るのに慣れないけど、これくらいの距離ならいけるはずだから。

 

「四葉、ちゃんと確認してから鍵かけろよ」

 

「え?もしかして、本当に閉じ込められてたの?」

 

「ふぇっ!!?」

 

「ああ、ものの見事にな」

 

「四葉ちゃーん?」

 

「ご、ごめんなさいー!でも鍵をかけたのは私じゃないんですってばー!」

 

・・・昨日のこと話してる・・・気まずい・・・。

 

「あ、やっと来たー」

 

「・・・どーも」

 

「誰だ!!?」

 

あ、そういえばゴーグルつけっぱなしだった。

 

「三玖」

 

「なんだ、三玖か・・・顔だけだと本当にわからないな・・・」

 

!!フータロー・・・顔が近い・・・

 

ヅルッ

 

「あっ・・・!」

 

なんか後ろに移動されたと思ったら足元のバランスが崩れて転んでしまった。

 

「「あはははは!」」

 

「派手に転んだな。平気か、三玖?」

 

フータローは私に手を差し伸べてきた。気遣いはうれしいけど・・・私の今の心境は複雑で素直に手に取ることができない。

 

「うん・・・大丈夫・・・」

 

「・・・・・・」

 

「よーし!普段教わってばかりの私ですが、今日は3人に教えまくりますよー!」

 

「・・・よろしくお願いします・・・」

 

私たちは四葉にスキーの基礎を教わりながらスキーを満喫する。・・・今は余計なこと考えるのはやめよう。私情は持ち込まず、スキーを楽しむ。それでいいはずだから。

 

♡♡♡♡♡♡

 

数分が立ち、私は四葉に教わった甲斐もあって人並みには滑れるようになった。六海もフータローもまだまだぎこちないところが目立つけど、何とか滑られるようになった。それでも覚えきれてないものがたくさんあるけど。

 

「わー、ぎこちなー」

 

ぎこちなく滑ってるフータローにゴーグルとマスクをつけた女性が話しかけてきた。

 

「ハロー。やっぱ寒いねー」

 

「てか本当に誰だ!!?」

 

「あはは・・・ほら、一花だよ」

 

!マスクとゴーグルを外してようやく一花だとわかった。でも、風邪ひいてるのによくスキーに来れたものだ。

 

「お前か・・・」

 

「一花ちゃーん!来てたんだー!」

 

「お前大丈夫なのかよ?」

 

「ゴホッ、ゴホッ・・・まだ万全じゃないけど心配しないで」

 

「無理しないでねー。あ、そうだ。五月ちゃんは?一花ちゃんの看病してたんだよね?」

 

「五月ちゃんは顔を合わせづらいから1人で滑ってるってさ」

 

「そっかー。五月ちゃんに成長した六海を見てもらいたかったんだけどなー・・・」

 

五月の言い分はよくわかる。フータローと会ってるけど、こうして顔を合わせるのは気まずい。

 

「一花ー!この3人言ったこと全然覚えてくれなーい!」

 

「それは俺がお前に1番思ってることだよ!」

 

「あはははは!1本取られましたー!」

 

四葉、それは笑い事じゃないと思う。

 

「じゃあ楽しく覚えようよ」

 

「え?」

 

「追いかけっこ!上手な四葉が鬼ねー!」

 

そう言って一花はいち早く滑っていく。これって体で覚えろってこと?

 

「わー!一花ちゃん待ってー!スパルタレッスン反対ー!」

 

六海は一花を追いかけてぎこちない動きで滑っていく。あ、そういえばおいかけっこで気になったことがあるけど・・・。

 

「二乃と五月はどうするの?おいかけっこのこと知らないでしょ?」

 

「当然捕まえるよー!」

 

何とまぁ容赦のないことで。

 

「いーち!にーぃ!」

 

四葉が数え始めた。数字を数え終えたらおいかけっこスタートだからその前に四葉から逃げないと。私はすぐに四葉から引き離しながら滑っていく。

 

「三玖、一緒に・・・て、おい!待ってくれ三玖!」

 

さっきフータローとすれ違ったけど・・・気にしてる間に四葉に捕まったら元の子もない。それに・・・今フータローと話す気になれないからフータローとも離れていく。・・・意外と進むのが早くなってる・・・なんかうれしい。あ、そうしてる間に六海に追い付いた。まだぎこちないけどよく滑れてる。

 

「よかった。ちゃんと滑れてる」

 

「これも四葉ちゃんのおかげだね!強引だったけど意外。でも意外にスキーは楽しいよ」

 

六海、スキーを楽しく感じてくれたんだ。少しはスポーツ嫌いは解消されたのかな?・・・そうだ、六海に聞きたいことがあった。

 

「・・・二乃と仲直りできそう?」

 

「・・・無理!六海、何にも悪くないのになんで謝らなくちゃいけないの?」

 

そうとう怒ってるみたい・・・何も悪くないの一点張りだし・・・。事情はよく知らないけど。

 

「話したくないならこれ以上聞かないけど・・・なるべく早く仲直りして」

 

「その言葉、そっくりそのまま三玖ちゃんに返すよ」

 

ごもっとも・・・。私と二乃は何にたいしてもすぐ喧嘩するから説得力のかけらもない。

 

「それはそうと三玖ちゃん・・・これ、どうやって止めるの・・・?」

 

え?どうやって・・・止める?疑問を抱いている間に六海は勢いが止められず、さらに滑るスピードが上がった。

 

「む、六海-⁉」

 

「わ、わ、わ・・・」

 

ツルッ

 

「あ!あーーれーーー!!!」

 

今度は足元のバランスが崩れて下りながら転んでいった。

 

「ぷぎゃっ!」ゴチーンッ

 

て、今度はその先にあった木にぶつかった。あれは痛そう・・・

 

ボフッ

 

「わーーーー!!?」

 

さらに追い打ちをかけるように木に積もってた雪が落ちてきて全部六海に覆いかぶさった。これはひどい・・・痛いどころの話じゃない。

 

「だ、大丈夫・・・?」

 

「大丈夫じゃない・・・体中痛い~・・・あ、でも雪はひんやり気持ちぃ~・・・」

 

六海は雪に埋もれている状態で唯一出てる足をパタパタ動かしながらしゃべってる。シュールすぎる・・・。

 

「出してあげようか・・・?」

 

「んーん、しばらくこれでいるー。四葉ちゃんに隠れられるかもだし」

 

確かに隠れられるかもだけど・・・他の人もいるし目立つんじゃあ・・・。

 

「あー!三玖みーっけ!」

 

や、やばい・・・もう四葉に見つかった・・・。私は埋まってる六海を置いて四葉から逃げる。

 

「あははは!逃がさないよー!」

 

六海の存在は雪で気づいてない・・・こっちに来る・・・!ていうか早すぎ・・・このままじゃ捕まる・・・どうしよう・・・。そう考えてキョロキョロしてると、かまくらを見つけた。これ・・・誰が作ったんだろう・・・?

 

「もう逃げられないぞ~?」

 

よ、四葉が近づいてくる!ええい、この際誰が作ったかなんて気にしてられない。私はすぐにかまくらの中に入り、スキー道具で入り口をふさいで見えなくさせる。こ、これでどうかな・・・?

 

「あれー?どこ行ったんだろー?」

 

た、助かった・・・おいかけっことはいえ・・・やっぱりしんどい・・・。まだうろついてるだろうし・・・しばらくこのかまくらに身を寄せとこ・・・。

 

♡♡♡♡♡♡

 

『風太郎、危機一髪』

 

「四葉・・・教える時はもっとしっかり教えてくれ・・・」

 

一花の提案した追いかけっこで四葉から逃げることになったわけだが、風太郎は滑るには滑ることはできるが、スピードを止める方法がわからず、近くで話していた一花と離れ、木にぶつかって倒れている。

 

「あのー、大丈夫ですかー?」

 

「生きてるかー?」

 

「だ、大丈夫です。お構いなく」

 

この騒動で周りにいた他の人たちに注目を集めてしまい、いたたまれない風太郎。

 

(注目集めちまった・・・早く三玖を探そう・・・。らいはのお守り、返してもらいそびれたせいか、昨日から不運続きだ)

 

風太郎は昨日からの不運続きで少し憂鬱でおでこに冷や汗が出ている。その汗を拭いた際、金太郎として二乃に貼ってもらった絆創膏がはがれてしまった。そしてその絆創膏を1人の女性が見つけ出した。

 

「!この絆創膏・・・もしかしてキンタロー君?」

 

「!!」

 

そしてその女性がよりによって張った張本人である二乃だから風太郎にとっては都合が悪かった。

 

「キンタロー君でしょ!」

 

「・・・エ?違イマスヨ?ナンデスカソノ変ナ名前?」

 

「嘘!だってこれ君にしかあげてないもん!」

 

幸いフードをかぶっているおかげで二乃には自分が金太郎であるということはばれてないが非常に危機感を感じた風太郎はすぐさま逃げ出した。

 

「ちょ!何で逃げるの⁉待ってよキンタロー君!」

 

「え⁉キンちゃんいるの!!?」

 

(む、六海---!!!)

 

風太郎が逃げた先には雪で埋もれていた六海がいた。二乃の言葉に反応した六海は雪から起き上がった。それにたいして風太郎はさらに危機に陥った。すぐさま六海とは別の方向に逃げる風太郎。

 

「キンちゃんー!六海だよー!おーい!」

 

顔が見えてなかったのか六海は二乃の追いかけてる姿を見て風太郎のことを金太郎と思い込んでる。

 

「ちょっと六海!こんな時に邪魔しないでよ!!」

 

「邪魔してるのは二乃ちゃんのほうでしょ!!」

 

金太郎と思い込んでる2人はいがみ合いが発生しながら風太郎を追いかけている。

 

(まずい・・・どうする・・・?ここで打ち明けるか・・・?肝試しの時、騙していたと・・・。なんとか穏便に済ませる方法は・・・)

 

風太郎はそれに構わず対処法を考えながら逃げていく。が、その先には四葉がいた。

 

(まずい、四葉!!!)

 

「あー、上杉さんみーっけ!」

 

「げっ!」

 

風太郎はすぐに来た方向を引き返そうとするが、その先には二乃と六海がいるから立ち往生だ。

 

「キンタローくーん!」

 

「キンちゃーん!」

 

「うーえすーぎさーん!」

 

風太郎はもうどうしたらいいかわからず、頭が混乱し、くらくらし始める。もはや万事休と思われた時・・・

 

「フータロー!こっち!」

 

「えっ?うわっ⁉」

 

近くにあったかまくらから三玖が出てきて風太郎をかまくらにいれる。かまくらに入れた後はすぐにスキー道具で入り口をふさぐ。

 

「キンタロー君!」

 

「キンちゃん!」

 

「上杉さん!」

 

小屋の曲がり角から二乃と六海、四葉が出てきた。

 

「え?四葉じゃない」

 

「二乃、六海、見っけ」

 

「ねぇ四葉ちゃん。そっちに金髪の男の子見なかった?」

 

「2人こそ上杉さん見なかった?」

 

「見てないけど・・・」

 

かまくらの存在に気付いてない四葉は風太郎、二乃と六海は金太郎を見失ってしまい、落胆する。

 

「もう!二乃ちゃんが邪魔するからキンちゃん見失ったじゃん!!」

 

「はあ~?アタシのせいにしないでくれます~?途中割り込みのくせに」

 

「ちょ、ちょっと2人とも・・・」

 

いがみ合いがエスカレートする六海と二乃を四葉が止めようとするが止まらない。

 

「そんなんだからキンちゃんに見向きもされないんじゃないの~?かわいそ~」

 

「見向きされてないのはあんたでしょ!!猫被ってんじゃないわよ!!」

 

「かぶってませんし~、かぶってるのはそっちでしょ~?」

 

「・・・あー、なーるほど。そーんなぶりっ子だから嫌われちゃったんだ~」

 

「何さ!!」

 

「何よ!!」

 

「上杉さーん!!三玖ー!!早く出てきてー!!この空気が辛いよー!!」

 

止まらない喧嘩のパレードに四葉は頭を抱え、そう叫ぶ四葉であった。

 

♡♡♡♡♡♡

 

「三玖・・・」

 

「危ない・・・捕まるところだった」

 

かまくらの入り口にフータローが立ち往生してたからこのかまくらにいれたのはいいけど・・・フータローと顔合わせづらい・・・

 

「ここ、かまくらか?まさか、お前が作ったのか?」

 

「ううん、元からあった」

 

「そうか・・・はは、中は暖かいな」

 

中が暖かいからかフータローは感心しながら少し動いてる。でも・・・動いてる際、ひじが胸に当たってる・・・。

 

「フータロー・・・狭いから・・・あんまり動いちゃダメ・・・」

 

「!あ、ああ・・・悪い。じゃ、じゃあ・・・俺は出るから・・・」

 

!出る・・・?せっかくフータローがここに入ってきてるのに?

 

「い、行かないで・・・」

 

「!三玖?」

 

「で、出るのも・・・ダメ・・・」

 

・・・て、何やってるんだろう、私・・・私たちは平等なはずなのに・・・これじゃあまるで・・・。でも・・・こうしていたい・・・でも・・・

 

「・・・もう、よく・・・わかんない・・・」

 

「お、おい?」

 

「ほ、ほら・・・まだ四葉がいるかも・・・」

 

「確かに・・・また追いかけられるのはごめんだな。もう少しだけ邪魔させてくれ」

 

「う、うん・・・それがいいよ・・・」

 

フータローはもう少しいてくれるようになったけど・・・本当にこれでいいのかな・・・?

 

「そもそもあの無尽蔵なスタミナはなんだ?お前たちと同じ六つ子とは思えん」

 

「私も、ここがなかったら捕まってた・・・」

 

「途中からスキー関係なくなったしな」

 

そもそも私・・・なんでこんなことやってるんだろう・・・?

 

「さてと・・・どうやって逃げ切ろうか・・・」

 

「・・・それなら・・・」

 

本当にどうやって逃げ切ろう・・・。あ、いいこと思いついた。

 

「そうだ。四葉にはハンデをもらおうよ」

 

「ハンデ?」

 

「うん。何か荷物を持ってもらって、足の速さを平等に!」

 

これなら私たち姉妹一緒だし、誰も傷つかない。いいアイデア。

 

「ま、その方が盛り上がるな」

 

「うん。じゃあ・・・」

 

「だが、俺はあまり好きじゃないな」

 

「・・・え?」

 

ど、どうしてそんなこと言うの?何が不満なの・・・?

 

「お前たち6人はおそらく元は同じ身体能力だったろ?六つ子だし」

 

「う、うん・・・」

 

「だったらあの運動能力は、四葉が後天的に身に着けたものだ」

 

「そうだけど・・・」

 

「・・・遊びで何言ってんだって話だけど・・・俺はその努力を否定したくない」

 

!!努力を否定させないため・・・じゃあ、私の言っていた平等って言っていたのは・・・本当は、その人の努力を否定してるってこと・・・?私はフータローの言葉で今まで平等だって思っていた時の自分の言葉やいろんな人の言葉が振り返ってきた。

 

「全員平等もいいが、そこに至るまでを否定しちゃいけない。

 

 

 

平等じゃなく、公平にいこうぜ」

 

!!!平等じゃなくて・・・公平に・・・。フータローの言葉に、私の凍ってしまった複雑な感情が氷解し、衝撃が走った。そう思った瞬間、私は立ち上がった。

 

ゴチンッ!!

 

「お、お前・・・」

 

「・・・ううぅ・・・痛い・・・」

 

「ははは、何やってんだよ」

 

うぅ・・・そういえばここ、かまくらだったの・・・すっかり忘れてた・・・。

 

「・・・公平にいこうぜ」

 

でもこれのおかげで・・・私の気持ちは明るくなった気がする。

 

「・・・はは、俺も本格的に何言ってんだ・・・。熱くて変なこと言っちまった・・・。外の空気を吸ってくる」

 

フータロー・・・ありがとう・・・。これで、私のやることは決まった。そうと決まれば有言実行。私は自分のスマホを取り出して通話をかける。電話する相手は一花。

 

≪何、三玖?どうしたの?≫

 

「一花・・・あのね・・・話したいことがある」

 

まずは自分の気持ちを、一花にちゃんと伝えないと。

 

13「結びの伝説3日目」

 

つづく




一花「フータロー君」

二乃「上杉!起きなさいよ!」

三玖「フータロー」

四葉「うーえすーぎさーん!」

五月「上杉君、起きて」

六海「風太郎君、目を開けて」

風太郎「はっ・・・!そうか!六つ子と会ったのは全部夢!」

六つ子「それはない(です)!!!」
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