六等分の花嫁   作:先導

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今回はちょっとしたアンケートを行いますので、後書き欄は最後まで見てくださいね


第2章
探偵風太郎と6人の容疑者


『今日の最下位はごめんなさ~い、牡羊座のあなた。友達と会うと運気アップ!風邪が流行っています。人と会う際はしっかり対策を!』

 

「・・・確かに・・・最下位で異論はないな」

 

林間学校の3日目で高熱を出して倒れてしまった俺、上杉風太郎は林間学校終了後、町で1番でかい総合病院で入院することになった。総合病院ゆえか、病室が妙に広い。おまけに1人でいるもんだから全然落ち着かん・・・。入院するにしても普通の病院でもいいだろうに・・・これはやりすぎだ。1日でも早く学校へ行って勉強がしたいぜ・・・。

 

診察の際に先生の1人が彼女にお見舞いだとか言っていたが・・・俺に彼女なんていないし、そもそも恋愛なんてくだらん。そういえば・・・林間学校の3日目、俺が風邪で寝てた時、ぼんやりとだが・・・あの時、あの六つ子の姉妹がいたような・・・。あれは夢だったのだろうか・・・?だとしたら、俺のために来たってか?・・・そんなことあるわけないか。

 

「・・・お見舞いか・・・」

 

だが、それとは裏腹に、ふとあの六つ子の姉妹のことを思い浮かべてしまう。こう考えちまうのは、あいつらに毒れたのかねぇ。

 

ガララッ!

 

俺がそう考えてると、病室のドアが開かれた。なんだ?午後の診察はまだじゃあ・・・って・・・

 

「に、二乃・・・?」

 

「はぁ、はぁ・・・誰もいないわね?」

 

俺の病室に入ってきたのは結構長い髪を蝶みたいなリボンでツインテをしてる女だ。こいつが俺が噂にしていた六つ子の姉妹の次女の中野二乃だ。こいつが・・・俺の病室に来ただと?

 

「な、なんだ⁉俺の部屋だぞ⁉」

 

「いいでしょ。誰がお金払ってると思ってるの?」

 

「だからって、これは大げさだろ・・・看護師の間では医院長の隠し子じゃないかとの噂で持ち切りだ」

 

「仕方ないでしょ?あの子たち、あんたが死ぬんじゃないかってくらい心配してたんだから。アタシはそうでもないけど」

 

え、マジか。あいつらが俺のことをそこまで心配していたとは。まぁ、あいつらがいようがいまいが俺には関係ないが。

 

「入院費を払ってくれたのもどうせお前たちの親父だろ?」

 

「そうよ!つまりアタシ達が払ったも同然よ!」

 

「うわー・・・お嬢様っているんだ・・・」

 

つーか、そんなこと威張って言うことじゃねぇだろ、このブルジョワ娘め。

 

「・・・いや、しかし、よりにもよって俺の言うことを聞かないお前が見舞いに来てくれるとは思わなかったぜ」

 

「え・・・え、ええ、そうね・・・。アタシもそう思うわ・・・」

 

?なんだ?二乃の奴、歯切れが悪いな。

 

「・・・て、こんなことしてる場合じゃなかった!」

 

?本当になんなんだ?今度は窓際のカーテンまで向かって、自分の身を隠し始めたぞ?

 

「・・・いい?アタシのことは黙ってなさい」

 

???一体全体なんだっていうんだ?それになんで二乃だけなんだ?他の姉妹は一緒じゃないのか?

 

ガララッ!!

 

「上杉さん!ここに二乃が来ませんでしたか⁉」

 

うおっ⁉びっくりした・・・。勢いよく俺の病室に入ってきたのは短めの髪でデカリボンが目立つ六つ子の姉妹の四女の四葉だ。しかし、入ってきたのは四葉だけじゃなかった。入ってきたのは四葉の姉2人と妹1人だった。

 

「やっほー、林間学校ぶりだね」

 

他の姉妹より髪が短く、左耳にピアスをつけてるやつが長女の一花だ。

 

「体調はどう?」

 

髪は中間くらいの長さで首元にヘッドフォンをつけてるやつが三女の三玖だ。

 

「見た感じ元気そうだねー」

 

髪は四葉とよく似た感じで黒縁メガネをかけてるやつが六女の末っ子の六海だ。こいつらにはもう1人姉妹がいるんだが、来てないみたいだな。

 

と、ここまで髪の長さや身に着けているものでなんとか特定しているが、いかんせん顔が同じだから髪の長さで見ても誰が誰だか見当もつかん。それぞれ見分けがつけられてるアクセサリーに感謝だな。

 

「よかった!生きてて一安心です!」

 

「お前らまで・・・。たく・・・誰が来いって言ったよ・・・」

 

だが、こいつらのこの気遣いには言葉とは裏腹に結構ありがたかった。絶対に口に出して言わんが。

 

「・・・ん?やはり二乃のにおいがします」

 

いや、四葉よ。二乃のにおいがするって、お前は犬か。・・・と、いいたいところだが、確かに二乃が来てから、妙なにおいがするな。

 

「あいつそんなに体臭ひどいのか・・・かわいそうにな・・・」

 

「香水って道具知ってるー?後風太郎君、女の子に体臭って失礼すぎるよ」

 

そんなもん知らん。俺は思ったことを言っただけだ。つーか六海よ、俺を軽蔑するような顔はやめろ。

 

「このにおいからして・・・近くにいますね。くんくん、くんくん・・・」

 

「四葉ちゃん、本当にワンちゃんみたいだからやめて。見てる方が恥ずかしいよ」

 

四葉はにおいを頼りに二乃を探し始めた。こいつもし転生したら犬にでもなるんじゃねーか?

 

「ほんと、一時はどうなるかと思ったんだよ?体温が真夏の最高気温くらいになってたからね」

 

マジか。どうりで林間学校の日、記憶がぼんやりとしてると思ったぜ。

 

「回復してよかった。寂しくなったら呼んで。いつでも看病するから」

 

三玖は俺に向かって優しく微笑んでいる。

 

「サンキュー。でも1人の方が楽だから見舞いはいらね・・・」

 

バシンッ!!

 

いって!俺が見舞いはいらないって言い終える前に六海に頭を叩かれた。こいつ、体力ないくせに意外と力、強いな・・・思わずくらっとなっちまったぞ。

 

「いってぇ・・・ねぇ六海?知ってる?俺一応病人なんだけど・・・」

 

「今のは風太郎君が悪い!反省しなさい!」

 

理不尽すぎる・・・本当のことを言おうとしただけなのにこの仕打ちとは・・・。

 

「まぁ、今回はお姉さんも同意かなー」

 

一花まで・・・俺に味方はいねぇのか・・・。

 

「あ、そうだこれ・・・フータロー君が休んでる間のプリントね。五月ちゃんから預かっちゃったけど・・・渡せてよかったよ」

 

「ふーん・・・」

 

一花が俺に渡してきたのは俺が学校を休んでる間の宿題やらなにやらのプリントだ。そういえば・・・一花の奴がプリントを持ってきてなお、制服姿のまま、ということは・・・。

 

「学校、行ってるんだな」

 

「・・・・・・うん」

 

やはりか。林間学校の2日目で学校を休学すると言っていたが、まだ通っていたとはな。女優業を優先するとばかり思ってたぜ。

 

「ふっ、所詮その程度の覚悟か」

 

「もー、また意地悪言うんだからー」

 

「?」

 

「一花ちゃんも風太郎君も、何の話してるの?」

 

「なーんでもないよ。ね、フータロー君?」

 

「ああ。お前らじゃ理解できねぇ話だ」

 

「「なんかバカにされたような気がする・・・」」

 

と、近くにこいつらもいるんだった。一応はこいつらには伏せておいた方がいいよな。休学については一花が決めることだから俺からは何も言うことはない。うまくいけば儲けもの、何事も挑戦だからな。ただ、その場合一花がいなくなることで給料が2割減になることは恐ろしいがな。ま、学校に行ってるからその心配もなくなったが。

 

「・・・なんで、君なんだろうね・・・

 

「ん?なんか言ったか?」

 

「あ、ううん、何でもないよ?」

 

?なんだ?一花の奴、急にしおらしいな。

 

「あー!風太郎君、今日のご飯いっぱい残してるー!ダメだよー、好き嫌いしちゃあ」

 

「あ、本当だ。ごはん・・・嫌いなものあった?」

 

「いや、好き嫌いとかじゃなくてだな・・・単純にちょっと食欲がないだけだ」

 

まだだるけが残っているのか今日は何かと食欲がねぇ。唯一口にしたのはサラダとヨーグルトだけだ。パン2個と牛乳はまるまる残ってる。

 

「そっか・・・言ってくれたら私がご飯作ってあげたのに・・・」

 

「「・・・・・・っ!!」」ぐぎゅるるるる・・・

 

み、三玖の料理かぁ・・・いや、三玖の作ったあのオムライスやコロッケは普通にうまかったんだが・・・コロッケは腹壊すまで食わされたからなぁ・・・。思い出し腹痛しちまってるぜ・・・て、六海も思い出し腹痛してやがる・・・気持ちはわからんでもない。

 

「2人とも大丈夫?」

 

「あー、大丈夫・・・ノープロブレムだよ・・・ね、風太郎君・・・」

 

「あ、ああ・・・ちょっと思い出し腹痛をしただけだ・・・ちゃんと食べるから・・・」

 

「そっか・・・なら安心」

 

俺たちの思い出し腹痛で顔色が変わったことに気付いた三玖は俺たちを心配してくれている。いや、こうなったのは三玖のコロッケが原因があるんだがな・・・。

 

「そ・・・それより風太郎君。牛乳一口も飲んでないけど、いらないなら六海にちょーだい!」

 

六海は牛乳が好きなのか俺に向かって牛乳を求めてきた。

 

「こーら、六海。フータロー君のものでしょ?」

 

「いや、構わん。水分を取るなら水でいいしな。欲しければやるよ」

 

「わーい、ありがとー!」

 

六海は俺の許可をもらったら牛乳を取り上げ、ストローを取り出して音を立てずにちゅーちゅーと牛乳を飲んでいく。どっかの小動物かっての。

 

「ねぇ・・・フータロー」

 

今度は三玖に声をかけられたと思ったら今日の飯のパンを持って俺の口にいれようとしてる。

 

「はい、あーん」

 

「・・・いや、自分で食えるから・・・」

 

俺は三玖からの気遣いを丁重に断ろうとすると今度は反対側から一花がもう1個のパンをもって俺に食わそうとしてる。

 

「ほーら、ちゃんと食べないとダメだぞ?」

 

右に三玖、左に一花といったように俺は2人からパンを口に入れられそうになってる。そんなまるまる1個を2個も一気に口に入るわけねぇだろ。

 

「あのー・・・俺の口は1つなんだけど・・・」

 

俺の言い分は無視するかのように三玖と一花は俺の口にパンを食べさせた。1個ずつではなく、今の俺はパンの先っちょを2個とも銜えてる感じになってる。

 

「・・・・・・なんだこれ・・・」

 

「「・・・ぷっ、クスクス・・・」」

 

一花と三玖はそんな俺の様子をみて笑い出した。こうなったのはお前らが俺にパンを口に入れたからだからな?

 

「はー・・・おいしかった!どうもありがとね、風太郎君!」

 

「お、おう・・・それは何よりだ」

 

六海は牛乳を飲み終えて俺に礼を言ってきた。そんなことよりパン取ってくれねぇかなぁ・・・あ、自分でも取れるか。

 

「あ!二乃みーっけ!こんなところに隠れてたんだー!」

 

「犬かあんたは!」

 

四葉はカーテンに隠れてた二乃を発見したようだ。

 

「ほらほら、早く行くよー」

 

「や、やめなさいってば・・・!」

 

「じゃあ、二乃も見つかったし、私たちは行くね?」

 

「フータローも早く治るといいね」

 

「じゃあ、体調に気を付けてねー。お大事にー」

 

二乃を見つけ出したら姉妹たちは二乃を連れて病室から去っていった。まったく、どこまで行っても騒がしい奴らめ。・・・あれ?なんだ・・・?あいつらが来る前まであっただるさがいつの間にかなくなってる・・・。少し楽になった・・・?なんでだ・・・?

 

「上杉君、午後の診察の時間です。診察室までどうぞ」

 

「あ、はい」

 

考えてるうちに午後の診察の時間か。ま、考えるのはいつでもできるしな。今は体を治す方が最優先、だな。

 

♡♡♡♡♡♡

 

午後の診察の時間、俺は診察室で診察を受けている。それよりもいつになったら学校に行けるのかっていうのが気になるところだ。

 

「・・・うん。朝よりよくなってるね。これなら明日にでも退院できそうだ」

 

「学校も明日には行けるな!」

 

「そうですか・・・よかった」

 

ようやく明日には退院か。この時俺の頭に浮かび上がったのは、病室のテレビで見た星座占いの運勢だ。12星座中最下位だったが、悪いことばかりもなかったな。友達に会えば運勢アップ、か・・・。俺たちはあくまでパートナー同士であり、友達かどうかは微妙なところだが、悪い気分ではないな。

 

「勉強が遅れて不安かな?聞けば君は学年1位の秀才らしいじゃないか。遅れなんてすぐに取り戻せるさ。少しなんてわけないだろう?」

 

「・・・そうですね・・・俺はいいんですが・・・俺が教えてやらないといけないバカたちがいるんです。俺が、手本になってやらないと」

 

少しくらい・・・か。その少しでも俺は1分1秒でも無駄にしたくない。なにせ、容量の悪いバカ6人を抱えてるしな。

 

「・・・そうかい。じゃあ診察はこれで・・・」

 

「お、押さないでよ!!」

 

ん?なんだ?この声・・・二乃か?いったいなにやってんだ?

 

「二乃、病院では静かに。他の患者さんに迷惑」

 

「し、仕方ないでしょ!怖いものは怖いわ!」

 

気になって廊下を覗いてみたら、案の定あいつらが何か言い合いをしてる。つーかあいつらまでいたんだな・・・。ま、見舞いは来てくれたし、一応礼は言っとくか。

 

「二乃ちゃん、いい加減覚悟決めてよー。六海は覚悟できたしさー」

 

「ぐぬぬ・・・あんたはこっち側だったのに・・・この"凶鳥"六海め」

 

「む、昔の黒歴史を掘り起こさないでよー!」

 

「もう、注射で怖がってたらいつまでたってもピアス開けられないよ?」

 

「うっ・・・」

 

・・・うん?注射?今こいつら注射って言ったか?

 

「あ、上杉さん!診察お疲れ様ですー!」

 

「なぁ・・・お前ら・・・ここに何しに来たんだ?」

 

「何って・・・予防接種だけど?」

 

は?

 

「ほら、この時期ってインフルエンザとか流行ってるじゃん?」

 

「だからそうならないように毎年この時期には受けてるんだよねー」

 

「それなのに五月と二乃が逃げちゃって。今年は六海が逃げなかったのは奇跡」

 

「痛いのは嫌よ!六海!あんたはこっち側でしょ!戻ってきなさい!」

 

「確かに嫌だけど、ついでに上杉さんのお見舞いもできてよかったね!」

 

・・・ほー、なるほどなるほど・・・お前らの本来の目的は予防注射で俺はそのついでだったと・・・。ははは、それならしょうがないなー、ははは・・・。

 

「・・・お前ら!!!ふっざけんなあ!!!」

 

「「「「「!!!???」」」」」

 

なんて言うと思ったら大間違いだ!!くそ!せっかく礼を言ってやろうと思ったのに台無しじゃねぇか!!あまりの裏切りに俺ははらわたが煮えくり返ってるぜ!!

 

「せっっっかく礼を言ってやろうと思ったのに、お前らの目的は予防注射かよ!!!」

 

「いいじゃん。来たんだから」

 

「ついでだったんだろーが!!!」

 

「も、もちろんフータロー君のことも心配だったよね」

 

「そうです!病院に来てから思い出した、なーんてことは絶対ないです!!」

 

「四葉、バレバレ」

 

「だ、大丈夫だよ!六海はちゃんと覚えてたから!」

 

「嘘つけ!!くっそ!お前ら俺をバカにしやがって!!この裏切り者があ!!!」

 

「君の方が裏切り者だああああああ!!!」

 

「「「「「「!!!???」」」」」」

 

びっくりしたぁ・・・!俺がこいつらに文句を言おうとしたらもう1人の先生からそんな叫び声が上がった。なんだ?先生の俺を見る顔・・・妬んでるのか?なんでだ・・・?

 

「ほら!!病人は大人しく寝るんだ!!」

 

「え?はぁ・・・」

 

俺は先生に促されるまま、病室へと戻されていく。あいつらに文句言おうとしたが、その気も冷めちまったよ。

 

「・・・上杉君。これからも励みたまえよ」

 

「・・・?」

 

病室に戻されていく際、診察の先生が俺に向かってそう言ったのが聞こえた。あの人・・・どこかで見たことがあるような・・・。・・・まぁ、考えてたって仕方ねぇな。早いとこ病室に戻って寝よ。

 

♡♡♡♡♡♡

 

夢を見ていた・・・

 

君と初めて出会ったあの日の夢を・・・

 

遠い昔の出来事・・・だけど強く記憶に刻まれている景色・・・。

 

『私がみんなのお手本になるんだ』

 

そう、あれは・・・

 

『上杉風太郎君・・・バイバイ』

 

♡♡♡♡♡♡

 

「!!!」

 

病室で寝てた時、あの日の出来事の夢を見ていた。俺が初めて"あの子"と出会った頃の夢を・・・。

 

「・・・なんであの時のことを・・・」

 

なぜに今になってあの時の夢を見たのかわからないまま、俺はふと周りを見回す。すると俺の視線には・・・あの時の女の子、長い髪で、白いワンピースを着こんだ子がいた。

 

「あっ・・・」

 

なぜ彼女がここにいるんだ?俺はまだ夢を・・・?

 

「な、なんですか、上杉君⁉」

 

・・・どうやら俺は少し寝ぼけていたらしいな。今俺の目の前にいるのはあの時の女の子ではなく、六つ子の姉妹の五女だった。そう、この二乃に負けないくらいの髪の長さで両サイドに星のヘアアクセをつけている奴が六つ子の姉妹の五女の五月だ。

 

「・・・なんだ五月か。驚かすなよ・・・」

 

「そ、それはこちらのセリフです。急に起き上がるからびっくりしましたよ」

 

ふぅ、やれやれ・・・どうせこいつも予防注射ついでの見舞いだろ?あ、予防注射といえば・・・。

 

「四葉たちが探してたぞ」

 

「あ・・・アハハ・・・何ノコトデショウ?」

 

こいつしらを切りやがった。おい、五月。ちゃんとこっちを見ろ。

 

「・・・ここには・・・あなたにお尋ねするために来ました。どうしても聞きたいことがあったので」

 

?五月が俺に聞きたいこと?いったいなんだ・・・?

 

「教えてください・・・あなたが勉強する理由を」

 

!!!俺が・・・勉強する理由・・・。なんでこいつがそんなことを知りたがるんだ?まったくもって意味がわからん。

 

「嫌だね。話す気はない」

 

「なっ!!」

 

「ほら、予防注射があるだろ?とっとと出てった出てった」

 

こう言っとけば自分から出ていくだろ。

 

「むむむ・・・」

 

・・・と思っていたら五月の奴はここから出ていこうとはせず、ずっと俺を睨み続けていた。

 

「・・・何してんの?」

 

「ですから、あなたが勉強する理由を教えてくださいよ。教えてくれるまで睨み続けますよ」

 

「・・・あっそ。なら俺はお前が諦めるまで睨み続けようか」

 

「!!・・・い、いいでしょう。どちらが先に音を上げるか勝負です」

 

マジかよおい。なんでこういう時に限って意地になるんだよこいつ。

 

「お熱いね~♡」

 

「か~わい~♡」

 

「「!!」」

 

病室のドアが半開きになってたせいか今の光景を看護師に見られてしまった。気まずくて俺たちは思わず目を逸らしてしまう。は、ハズイ・・・!ていうか五月、ドアくらいちゃんと最後まで閉めろよ。

 

「お・・・教えてくださるまで離れませんから」

 

「勘弁してくれ・・・」

 

こう意地になった五月はおそらく絶対に離れようとしないだろう。てゆーかここに居続けたら他の姉妹たちも来るんじゃねーか?だが五月の話を聞いて他の姉妹も食いつくのだけは避けたい。・・・仕方ねぇ。ちょっとだけなら話してやるか・・・。

 

♡♡♡♡♡♡

 

俺は五月に過去の俺について話してやった。かつて俺は今のように勉強ができるような奴でなく、お嬢様の言うところの品性に欠けるような非行少年だった。そんな俺でも昔は友人もそれなりにいた。

 

そんな俺が今のようになったのは全て、5年前の京都の修学旅行から始まったんだ。あの時は確か・・・友人と一緒に七並べをしてた時だな。車内でうるさくして同じく友人である竹林に注意されたっけか。で、俺が七並べを誘ってやったら竹林の幼馴染の真田を誘ってあげてって言われたっけ。当時は勉強をバカにしていた俺は真田の持ってた算数のプリントを不要なものだと言って車内にバラまいたんだったな。竹林と真田が幼馴染と知ったのがこん時だな。あの2人がバラまいた算数のプリントを拾っている様子を見て、友人が幼馴染だって言ったのをよく覚えてる。

 

それで、気づいちまったんだよな。5人のメンバーの中で不要なのは俺だってさ。当時はショックを受けたものだ。

 

京都に到着して、あいつらに腹痛って言って嘘ついて1人になって落ち込んでた時に、変なばあさんにからまれたのも覚えてる。変にいちゃもんつけられて挙句の果てに近くにいた警察にも変なばあさんのせいで絡まれてしまって、危機感を覚えていた時、出会ったんだ。今の俺の始まりとする・・・長い髪で、白いワンピースを着こんだ女の子と。

 

♡♡♡♡♡♡

 

・・・・・・その直後だった。京都の建物の巨大モニターで緊急ニュースが報道されたんだ。未確認飛行物体、将棋星人のUFOが現れて国会が占拠されちまったんだ。将棋星人のせいで地球にいるみんなは毎日覚えた生活を強いられるようになったのだ。

 

「・・・こうして俺の修学旅行は終わったんだ」

 

・・・・・・・・・。

 

「なんですかそれ!!?そこから聞きたいのにすごい雑に終わりましたよ!!?地球はどうなったのですか!!?」

 

俺の話を聞いた五月は続きが気になっているようだな。ま、最後の方は俺の作り話であり、嘘なわけなんだがな。だって、最後まで話してやるなんて一言も言ってねーし。

 

「・・・別に話すとは言ってねー。というか話したくない。少しだけお前の言うことを聞いてやったのは・・・この間の礼だ」

 

林間学校で五月が高熱でぶっ倒れた俺を運んでなかったら死んでたかもしれねぇからな。五月には本当に、感謝してる。

 

「・・・いまいち伝わりませんでしたが・・・昔のあなたと今のあなたが大きく違うことがわかります。そのことの出会いが、あなたを変えたんですね」

 

まぁ、な。きっと、あの子と出会えてなければ、俺は思い悩んだまま、無駄な人生を浪費していたかもしれんしな。

 

「・・・私も、変われるでしょうか。もし・・・もしもできるなら・・・上杉君。あなたに変われる手伝いをしてほしい。あなたは・・・

 

 

私たちに必要です」

 

 

 

!!!この言葉・・・覚えがあるぞ・・・。そうだ・・・。これも、5年前の修学旅行の時に・・・

 

♡♡♡♡♡♡

 

『わーっ!お守りだって!ねぇねぇ、買っていこうよ!』

 

『なんでついてくるんだよ!さっさとどっか行け!』

 

『人を探してるんでしょ?私もなんだー』

 

『1人でできる!他を当たってくれ!』

 

『他じゃダメだよ』

 

『は?』

 

『お互い1人で寂しい者同士、仲良くしようよ。私には・・・

 

 

 

君が必要だもん!』

 

 

 

『・・・・・・』

 

『ねぇ、写真、撮ってもらおうよ』

 

『おい!勝手にさわんな!』

 

♡♡♡♡♡♡

 

似てる・・・あの時のあの子と五月の言葉が似ている・・・。もしやと思って俺は五月に顔を見合わせる。

 

「・・・あ、あの・・・こっち見ないでください・・・」

 

・・・うん、やっぱねーわ。絶対あの子じゃねぇな。

 

「・・・俺に教わってどうにかなるのか?平均28.9点」

 

「どうにかします!!」

 

いや、どうにかって・・・どうする気だよ・・・。

 

「やれることは何でもしますよ!ほら、見てください!昔持ってたお守りを引っ張り出してきました!」

 

「神頼みかよ・・・」

 

五月が取り出したのはめちゃくちゃちっせぇ巻物みたいな学業お守りだった。そういえばあの子も似たようなものを買ってたな。アホみたいにたくさん・・・それも・・・6つも。

 

・・・・・・うん?6つ?ちょっと待て・・・そういやあの子って兄妹とかいるのか?つーかあのお守り・・・まさかあの時のものじゃねーだろーな?

 

「なぁ、五月。それ・・・どこで買ったんだ?」

 

「?これですか?買ったのか・・・もらったのか・・・よく覚えていませんが、確か・・・京都で5年前」

 

何だと?こいつらも・・・5年前に京都に?さっきは否定してしまったがまさか・・・本当に・・・?いや、しかし・・・。

 

「・・・それって・・・」

 

五月も何か感づいたように口を開こうとした時・・・

 

「あ!五月!」

 

「ひぇっ⁉」

 

五月を探しに来ていた姉4人と妹1人が俺の病室に入ってきた。

 

「なんだー、ここにいたんだー」

 

「余計なところ探しちゃったね」

 

「6人揃ったから、今度こそ行くよ」

 

「うぅ・・・わかったわよ・・・」

 

「お休みのとこごめんねー。ほら五月ちゃん!行くよ!」

 

六海は五月の服の首根っこを掴んでずるずると引きずっていった。

 

「ま、待ってくださーい!」

 

「嫌です!待ちません!」

 

「五月!アタシは覚悟したわ!あんたも道連れよ!」

 

六つ子の姉妹たちは五月を引きずりながら今度こそ俺の病室から去っていった。

 

しかし・・・5年前・・・京都・・・学業のお守り・・・六つ子・・・条件がぴったり合いすぎている。もしかしてまさか・・・。

 

・・・いや、偶然・・・だよな?

 

♡♡♡♡♡♡

 

病院から退院してからの土曜日。俺は今日も家庭教師として六つ子の姉妹が住んでいるマンションへと向かっている。先日はあいつらに逃げられて、結局勉強できなかったが・・・あいつらの部屋なら逃げ場はない。初日みたいにはならないだろう。しっかし、俺もオートロックには使いこなせてきたぜ。そう考えると俺も成長したなって、思わず笑みを浮かべてしまうぜ。そうしてる間に目的のマンションの30階までつき、あいつらの部屋までやってきた。そして、リビングに入った瞬間・・・

 

「あ・・・ああ・・・///」

 

バスローブ姿の六つ子の姉妹の誰かがいた。おい・・・またこのパターンかよ・・・。

 

「変態!!」

 

「ピンポン押しただろ!!」

 

六つ子の姉妹の誰かは持ってた紙袋を俺に向けて投げつけてきた。着替えならリビングじゃなくて浴場近くでしろよ!

 

バサッ

 

ん?なんだこれ?紙袋から出てきた紙を見てみると、それはとんでもないようなものだった。俺はすぐに六つ子の姉妹の誰かを見るが、すでに奴の姿はなかった。まさか・・・これを捨てようとしてやがったのか?いい度胸してるじゃねぇか・・・!

 

ちょうどいい・・・全員部屋にいるはずだからここに集めるとするか。ついでに・・・確かめておきたいこともあるし・・・ちょっとした注文もつけるか。

 

♡♡♡♡♡♡

 

10分後、俺の呼びかけに応じてくれた六つ子の姉妹は全員揃っている。俺が出した注文も聞き入れている。俺が出した注文は・・・全員同じ髪型、わかりやすいようにポニーテールにしろっていう内容だ。全員違う形のポニーテールだが、顔が見やすくなったからこれはこれで別にいい。

 

「・・・急にどうしたの?」

 

「同じ髪型にしろって・・・」

 

「六海にいたってはメガネ外せって言われたー。外したけど」

 

「今日は家庭教師の日じゃなかったの?」

 

ふむ・・・改めてみてみると・・・本当にそっくりだな。六つ子ってここまで顔が似るものなのか?

 

「なんだ二乃。らしくもなく前のめりじゃないか」

 

「私、二乃違う」

 

「その子は三玖ですよー!」

 

「二乃はアタシよ」

 

あれ?違うのか?てっきりこいつが二乃だと思ったんだが・・・。

 

「あのー・・・」

 

「待て!今、俺がお前たちが誰なのか、左から順に当ててやる」

 

落ち着け・・・こいつらの顔をよく見て・・・よしわかったぞ!!

 

「左から三玖!五月!一花!六海!二乃!四葉!どうだ!正解だろ!」

 

「左から六海、四葉、二乃、五月、一花、三玖よ!髪でわかるでしょ!」

 

「全部不正解」

 

「四葉ちゃんにいたっては服でわかるでしょ⁉ほら、428(よつば)って!」

 

おう・・・なんてこった。1人なら絶対当たると思ってたのに、全滅とは・・・。

 

「・・・と、このようになんのヒントもなければ誰が誰かもわからない。最近のアイドル、○○48のようにな」

 

「あ、風太郎君○○48は知ってるんだ・・・」

 

「いやいや、それはフータロー君が無関心なだけでしょ・・・」

 

「・・・まぁ、それはいい。まずはこれを見てくれ」

 

「「「「「「?」」」」」」

 

俺が六つ子の姉妹に見せた紙は・・・6教科それぞれの0点の答案用紙だ。

 

「全教科0点・・・」

 

「奇跡だ。ご丁寧に名前は破られてる」

 

俺が休んでる間にこんな風になるなんてな・・・。先生として、俺はこいつらが情けなくて涙が出てくるぞ。

 

「バスタオル姿でわからなかったが、犯人はこの中にいる!私が犯人だよっていう人ー?今ならデコピンだけで許してやる」

 

「「「「「「・・・・・・」」」」」」

 

誰も名乗ろうとしない・・・そうかそうか。穏便に済ませてやろうというのに、スパルタレッスンがお望みのようだな。と、いうわけで・・・

 

「四葉、白状しろ」

 

「当然のように疑われてる!!私じゃないですよー!」

 

「いや、真っ先に疑われて当然だと思うよ。ちなみに六海も違うよ」

 

くっ・・・こいつら、白を切る気か。まぁ、いい。それなら俺自身が見つけてやるまでだ。

 

「それでこの髪だったんだ」

 

「顔さえ見分けられるようになれば今回のこともスキーでの五月遭難事件も起きないだろうからな」

 

「うっ・・・反省してます・・・ごめんなさい・・・」

 

五月遭難事件の1件に五月は本当に申し訳なさそうな顔をしてる。反省してるならいい。

 

「あの五月はマスクさえなければアタシ達でもわかったんだけど・・・」

 

「うん。それに、フードも被ってたし、余計に」

 

ん?ちょっと待てよ?こいつら、顔を見ただけで誰が誰だか判別できてる?

 

「なぁ、お前らはなんで顔を見ただけで判別がつくんだ?」

 

「は?」

 

「なんでって・・・」

 

俺の問いかけに二乃と三玖は顔を見合わせる。

 

「こんな薄い顔、三玖しかいないわ」

「こんなうるさい顔、二乃しかいない」

 

いや、わからんわ。

 

「・・・薄いって何?」

 

「うるさいこそ何よ!」

 

言い方が気に入らなかったのか二乃と三玖はいつもの喧嘩を始めやがった。

 

「上杉さん、いいこと教えてあげます。私たちの見分け方はお母さんが昔言ってました。さえあれば自然とわかるって」

 

なんだそのトンデモ理論は。

 

「・・・道理でわからないはずだ・・・」

 

・・・ん?ちょっと待てよ・・・?やっぱその理屈はおかしいわ。

 

「四葉、だったら何であの時の六海が三玖だって気づかなかったんだ?」

 

「え⁉あれ⁉お、おかしいなぁ・・・」

 

前に三玖が六海に変装してたからなぁ。その時は四葉もいたし。俺の発言に戸惑ってる四葉に六海が手助けを入れる。

 

「風太郎君だって知ってるでしょ?六海たちは六つ子だから変装ができる。特に三玖ちゃんは六つ子の中で1番変装が得意だから、六海たちのがあっても見分けられないの」

 

「そ・・・そうです!そうなんですよ!」

 

いや愛は強調しなくてよくね?というか四葉、妹に助けられてそれでいいのか?

 

「・・・やはり同じ顔だ・・・」

 

「ねぇ、もう髪戻していいかなー?」

 

「それよりメガネもうかけていい?」

 

「ん?ああ、もういいぞ。無駄だったことなのはわかった」

 

くそぅ・・・誰が誰だかわからない以上、あの子かどうかもわからねぇじゃねぇか。

 

「なんで今日はそんなに真剣になってるんだろう?」

 

「!」

 

一花がなんか言ったような気がするが気にしてられるか。ん?ていうか・・・今思ったんだがこのにおい・・・。

 

「シャンプーのにおい・・・」

 

「え・・・?え・・・?」

 

「え、やだやだ。におい嗅がないで」

 

「なんかキモ・・・」

 

そういえば・・・俺が来た時こいつらのうち誰かはふろ上がりだったな。・・・そうだこれだ!!

 

「お前たちに頼みがある!!」

 

「「「「「「?」」」」」」

 

「俺を、変態と罵ってくれ!!」

 

「「「「「「・・・・・・」」」」」」

 

こいつらの声の口調やイントネーションとかを聞けばすぐに見分けられるはずだ!

 

まずは一花・・・

 

「もう、フータロー君ってば、そんなこと言ってほしいだなんて・・・この変態さんめ♪」

 

「違う。そういう小悪魔的な言い方じゃなくて」

 

次、二乃・・・

 

「あんた・・・手の施しようがない変態だわ・・・」

 

「違う。そういう心にくる言い方じゃなくて」

 

次、三玖・・・

 

「急にどうしたの、フータロー。変態なの?」

 

「違う。そういう初めて出会った時の言い方じゃなくて」

 

次、四葉・・・

 

「上杉さん!変態です!」

 

「違う。そういう愛らしい言い方じゃなくて」

 

次、五月・・・

 

「まったく・・・そんなこと言われたいだなんて・・・あなたは間違いなく変態です」

 

「違う。そういうあきれるような言い方じゃなくて」

 

最後、六海・・・

 

「前から変態さんだとは思ってたけど・・・やっぱり風太郎君は変態さんなんだね」

 

「違う。そういう2回連続で使う言い方じゃなくて」

 

もういいわかった・・・。口調やイントネーションだけじゃわからねぇわ・・・つーか、俺の心がもう悲鳴を上げてるんだが・・・。

 

「・・・ぐすん・・・」

 

「泣かないでよー。私たちもちょっと・・・ね?」

 

「あ、ちょっと待って・・・おトイレ行ってくるー!」

 

いいんだ一花よ。言い出した俺が悪い・・・つか六海よ、授業の前にちゃんと済ませとけよ・・・。

 

「ほくろで見分けることもできるけど・・・」

 

「お手軽ぅ!三玖ナイスだ!」

 

その手があったか!確かにほくろでなら俺でも見分けられる!」

 

「どこにあるんだ?見せてくれ!」

 

「え・・・?」

 

ん?急にどうしたんだ三玖?そんな倒れるような動作をして・・・。

 

「え・・・えっと・・・フータローになら・・・見せても・・・いいよ・・・///」

 

ダメです!!!!

 

????いったい何だっていうんだ、五月のやつ?俺はただほくろがどこにあるのか見たいだけだ。

 

「そもそも犯人のほくろを見てないと意味がないでしょう!」

 

「む・・・それもそうか・・・」

 

「・・・五月のバカ」

 

盲点だった・・・確かに俺は犯人のほくろを見ていない。これじゃあ見分けがつけられない。てか三玖よ。ほくろを見られたいのか?

 

「しかし・・・どうしたことか・・・」

 

「フータロー君・・・もしかしたらこの中にいるかもしれないよ?」

 

ん?急にどうした一花の奴?この中にいるって・・・

 

「どういうことだ?」

 

「あのね、落ち着いて聞いてね。私たちには隠された7人目の姉妹・・・

七恵(ななえ)がいるんだよ!」

 

「!!」

 

「な、なんだってー!!?」

 

今一花の奴なんて言った?7人目の・・・姉妹?七恵だと?

 

「な・・・七恵は今どこに・・・?」

 

「ふふふ・・・あの子がいるのはこの家の誰も知らない秘密の部屋・・・」

 

「勝手にやってろ」

 

こんな時に一花の嘘なんかに付き合ってられるか。四葉も騙されるなよな。

 

「もう、ノリ悪いなぁ、フータロー君。七恵だよ?7人目の姉妹だよ?」

 

「うっせ。お前の嘘に付き合ってられっか」

 

「え⁉今の嘘だったんですか⁉」

 

四葉、本気で信じてたのかよ。

 

「嘘じゃないって。ほら、証拠の写真だってあるんだから」

 

「何?証拠だと?」

 

「あ!一花!その写真はダメです!」

 

一花は証拠という名の写真を俺に渡してきた。五月がなんか止めてきたが・・・何が写って・・・

 

「!!??!!??」

 

渡された写真に写っていたのは・・・いかにもザ・不良と言っても過言でもない姿の女だった。この制服からして中学くらいだな。見た目は制服を着崩しており、竹刀を持ち、長い髪をなびかせて凶と書かれたマスクを外してガムを食ってる様子だ。ちょっと待て・・・この女の顔・・・間違いない。六つ子の姉妹と同じ顔だ。

 

「な・・・なんだこいつは・・・⁉まさか本当に七恵が存在してるのか?六つ子ではなく七つ子ってことなのか・・・?だがこいつは中学だし・・・」

 

「あー、フータロー君。そろそろその写真を返して・・・」

 

「ふー、スッキリしたぁ~」

 

「!!」ビクッ!

 

俺が戸惑っていると、六海がトイレから戻ってきた。ちょうどいい。六女のこいつに聞いてみるか。

 

「おお、六海。ちょうどいいところに。六女のお前に聞きたいことがある」

 

「んー?なにー?」

 

「ちょー!!フータロー君!!?」

 

「一花が七恵とかいう妹がいるって聞いたんだが本当か?これが証拠の写真らしいんだが・・・」

 

「・・・・・・」じーっ

 

俺は一花から渡された写真を六海に見せた。一花はなんか慌ててるがどうした?て、よく見たら他の姉妹も怯えてるじゃねぇか。

 

「・・・・・・」フッ(目のハイライトが消える音)

 

!!?なんだ⁉写真を見た瞬間六海の瞳から光が消えた⁉

 

へぇ~・・・おもしろ~い写真を見つけたんだねぇ~・・・。ねぇ、風太郎君・・・O☆HA☆NA☆SI、しようか?

 

ひいぃ⁉なんだ!なんか今日のこいつめちゃくちゃ怖いぞ⁉何をやっても怖くないと思ってたのに⁉なんだか知らんが、このままだと俺の命が危ない⁉

 

「お、俺が見つけたんじゃねぇ!一花だ!一花がこの写真を持ってたんだ!」

 

ふぅ~ん・・・?」ギョロリッ

 

「!!」ビクッ!

 

俺の説明に六海はすぐに一花に視線を向ける。あ!一花のやつ!こっそりと逃げようとしてやがった!

 

いけないんだぁ~。一花ちゃ~ん。こ~んなおいたしちゃあ・・・。ちょっと六海の部屋で、O☆HA☆NA☆SI、しよっか♡

 

「い、嫌だ!私、死にたくなーい!!」

 

なんで怖がるの?O☆HA☆NA☆SIするだけなのに♡

 

六海は抵抗する一花を引きずって六海の部屋に入り込んだ。

 

ねぇ、なんでこの写真がここにあるの?さては一花ちゃん、嘘ついたね?まったく、ひどいなぁ~もう。そんなおいたをする困ったちゃんは・・・こうします♡

 

「あ、あははー、目が笑ってないよ・・・いつもの笑顔は・・・あ、ダメ・・・その関節はそんなに曲がらなあああああああああ!!!」

 

ひ、ひえええぇぇ・・・!中で何が起きてるんだ?想像するだけで恐ろしい・・・!他の姉妹たちが怯えてた理由もわかる・・・!一花の断末魔の後、六海が伸びてる一花を引きずって部屋から出てきた・・・。

 

・・・風太郎君。さっきの女の子、見なかったことにしてね♡

 

「あ・・・あぁ・・・ていうかもう記憶からなくなったわ・・・」

 

普段キレても怖くない奴だが・・・あれはガチギレレベルだったぞ・・・。六海は本気でガチギレさせてはいけないということはよくわかった・・・。

 

♡♡♡♡♡♡

 

「・・・七恵の可能性が消えたとなると・・・残された手掛かりはこの答案用紙だけか・・・」

 

一花が気絶から回復した後、俺はこの6教科0点の答案用紙を見て、犯人を特定することにする。ふむ・・・とりあえず1枚ずつ見ていったい誰のものなのかを見極めなければ・・・。

 

五月の場合しっかりと消しゴムを使うはず・・・。

 

三玖よりは字がうまくもなく・・・。

 

悲しいことに四葉より漢字が書けてる・・・。

 

六海はファイルやノートにプリントを挟むから2つ折りはない・・・。

 

二乃はより丁寧にファイリングするから四つ折りは不自然で・・・。

 

雑な一花ならもっと紙がよれているはず・・・。

 

・・・うーん・・・一貫性が全くねぇ・・・。しかし、こうよく見てみれば・・・六つ子って意外と違うもんだな・・・。外見ばかり気にしてたから気が付かなかったぜ。

 

「・・・ええい!!お前らややこしい顔しやがって!!もうわからん!!」

 

「「「「「「わっ!」」」」」」

 

しかたねぇ・・・もうこうなったら・・・とっておきの手段を使うか。俺はこいつらに1枚ずつ、今日配る用紙を机に置いた。

 

「最終手段だ。これはそのテストの問題を集めた問題集。これが解けなかった奴が犯人だ」

 

「そんな無茶な⁉」

 

「私もわからない自信があります!」

 

「1番最後の奴を犯人と認定しまーす。はーい、スタートー」

 

「「「「「「わー!!」」」」」」

 

俺の言葉と合図でこいつらは俺が作った問題集を解き始めた。よし・・・ここまでは想定内。後は完成を待つだけだ。

 

「なんでこんなことになるのよ・・・」

 

「あう~・・・目が回る~・・・」

 

「うぅ・・・まだ体の節々が痛いよ~・・・」

 

「一花の自業自得です」

 

「今日のフータロー、なんか強引」

 

「だよねー。急にどうしたんだろうね?」

 

各各々ぶつぶつとなんか言ってるようだが気にしてられるか。ちなみに言っとくが、最後までできなかった奴が犯人だとは俺は思ってない。犯人特定の唯一の手掛かりは、達筆だ。文字に関しては誰よりも見分けられる自信がある。さあ、最初は誰が完成するか・・・。

 

「はーい、出来上がったよー」

 

1番最初に用紙が出来上がったのは六海だった。なんか一花が驚いたような顔をしたが後回しだ。さて、六海の答案用紙は・・・。・・・ふむ、なるほどな・・・。よくわかった。

 

「お前が犯人だな」

 

「!!?」

 

もう間違いねぇ。6教科0点を取りやがった犯人は六海だ。

 

「な、なんで六海なの⁉違うって言ったじゃん!何を証拠にそんな・・・」

 

「証拠ならある」

 

悪いな。俺はお前が犯人だという証拠はもうすでに全部持ってるんだ。お前が書いた答案のおかげでな。

 

「証拠は・・・お前の答案用紙にある」

 

「ふぇ?」

 

「お前の答案用紙には消しゴムを使った形跡が極端に少ない。それがお前が1番乗りだった理由であり、証拠にもなるんだ」

 

「何を・・・」

 

「お前はわからない問題を前にすると何かしらの答えを書く。それが正解だと信じての行為。だからこそ、この答案用紙にも、テストの方でも消しゴムを使う形跡が異常に少ない。そして・・・決定的となった証拠がまだ残っている」

 

「そ、それは・・・」

 

「それが、部首の『肉月』だ。六海、お前は無意識かもしれんが、肉月の跳ねを長くしている。このテスト用紙にも同じものが発見された。どうだ?反論する材料はあるか?」

 

「う・・・ううぅぅ・・・!」

 

「俺はお前たちの顔を見分けられるほど知らないが、お前たちの文字は嫌というほど見てるからな」

 

と、ここまでが俺が述べた証拠だ。六海は俺が突きつけた証拠に目に涙をにじませる。

 

「わーーん!!ごめんなさーい!!六海が犯人ですーーー!!」

 

「フハハハハハ!!」

 

やったぜ!犯人の六海に一泡吹かせてやったぜ!これほど気持ちがいい気分になったのはいつ以来だろうか。

 

「あのー・・・一応私たちも終わったよー」

 

「ご苦労」

 

俺が犯人を当てている間にこいつらも終わったようだな。ひとまず採点を・・・ん?ちょっと待て・・・こいつらが書いた文字・・・なんかテスト用紙にもあったな・・・。

 

一花の筆記体・・・『b』の書き方・・・犯人の書き方と同じだ・・・。

 

いや、よく見たら五月の『そ』・・・

 

二乃の『門構え』・・・

 

三玖の『4』・・・

 

四葉の・・・『著しい』の送り仮名・・・

 

全部・・・全部犯人と同じ書き方・・・。どうやら俺は大きな勘違いをしたようだ・・・。

 

「お前ら・・・1人ずつ0点の犯人じゃねぇか!!!

 

「・・・バレた・・・」

 

よくよく考えてみりゃ、こいつらは得意科目に関しては0点を取ったことなんてこれまでの結果を見て1度もなかったんだった・・・。盲点だったぜ・・・。

 

「何してんのよ一花。こいつが来る前に隠す約束だったでしょ?」

 

「ごめーん。まさかフータロー君がお風呂上りに来るとは思わなくって・・・」

 

俺がここに来た時に見たバスタオルの奴は一花だったのか・・・。

 

「俺が入院した途端これか・・・。やっぱりお前ら・・・」

 

「上杉君」

 

俺がこいつらの成績にひどく落胆していると、五月が真剣みな様子で声をかけてきた。

 

「今日あなたが顔の判別にこだわったのは・・・先日話してくれた女の子と関係あるのでしょう?」

 

「・・・・・・」

 

「その女の子が私たちの誰かだと思ったんですね?」

 

ふむ・・・五月はやはり感づいていたか・・・。

 

「・・・そうだ」

 

5年前の修学旅行先の京都、六つ子の姉妹、そしてあの子が買った学業のお守りの数・・・条件がぴったり合いすぎていて、気にはなっていたんだ。

 

♡♡♡♡♡♡

 

『お前・・・6つとも全部学業守りって・・・そんなに買っても意味ねーだろ』

 

『うん?これはね・・・うーんとね・・・

 

6倍頑張ろうってこと!私はみんなのお手本になるんだ!』

 

♡♡♡♡♡♡

 

「・・・と・・・思ったんだが・・・」

 

もうこの際回りくどいやり方はめんどうだ。真実を知るために、真っ向勝負だ!

 

「この中で昔俺と会ったことあるよって人ー?」

 

「「!」」

 

「「「?」」」

 

・・・誰も手を上げようとしねぇ・・・。・・・そうだよな。こいつらのわけないよな。ただたまたまあの子と重なっただけだ。

 

「何よ急に?」

 

「どういうこと?」

 

「・・・そりゃそうだ。そんなに都合よく近くにいるわけがねぇ。それに・・・お前らみたいなバカがあの子のはずねーわ」

 

俺の想像だと今のあの子はもっとより清楚な雰囲気を出した感じになってるはずだ。それがこいつらには全く感じられねぇしな。

 

「ば・・・バカとはなんですか!!」

 

俺の言葉に異を唱えてきた。お前そんなこと言えるような成績かよ。

 

「間違ってねーだろ、五月。よくも0点のテストを隠してたな。今日はみっちり復習だ」

 

「・・・・・・」

 

・・・うん?この五月、なんの反応もしねぇな。いったいどういうことだ?

 

「あの・・・上杉君。私は・・・ここですよ?」

 

・・・ん?俺の視線の先には五月がいる?じゃあ俺が肩を掴んだこの五月は・・・?

 

「その子は五月じゃないわよー」

 

「フータロー君。よーく見て?その子は六海だよ?」

 

・・・・・・え?

 

「風太郎君・・・もしかして、わざと間違えてる?」

 

俺がもう1度肩を掴んでる奴を確認してみると・・・六海が怒ったように頬を膨らませ、こちらを睨んでる姿があった。あれれー?おっかしーなぁ・・・?

 

「す・・・すまん!!メガネをかけてる時の五月と間違えた!!」

 

「風太郎君のバカ!!罰として今日は勉強会なし!!」

 

な、なにーーー!!?これから復習やろうとした矢先にこれかーーー!!?

 

「フータロー、まだまだ勉強不足」

 

「あはは・・・まずは上杉さんが勉強しないといけませんね」

 

返す言葉もねぇ・・・。・・・こいつらの顔を見分けるのは、今は諦めよう・・・。

 

15「探偵風太郎と6人の容疑者たち」

 

つづく




おまけ

風太郎の気になったワード

風太郎「上杉風太郎だ。今回は俺が今気になったワードを六つ子の姉妹のうちの誰かと解説しようと思う。今回のゲストは・・・」

一花「長女の一花お姉さんだぞ♪」

風太郎「・・・じゃあさっそくやるか」

一花「あれ?無視?」

風太郎「今回気になったワードは2つだ。最初はこれ」

凶鳥

風太郎「俺が病院に入院してた時、予防注射に来ていた二乃が六海にたいして言った言葉だ。これできょうちょうと読むらしい。
実を言うとこの凶鳥、俺が中学の時にもクラスの連中が噂してたみたいなんだが・・・。姉の一花よ、何かわかることはないか?」

一花「んー・・・私の口からいうのは、ちょっと・・・ね?というかみんな話したくないと思うよ?」

風太郎「むぅ・・・そうなのか・・・」

一花「ただ1つだけ言えるのは・・・六海が不良が好きじゃない理由はこれに関係してるんだよね」

風太郎「そういえばそんなこと言ってたな。まぁ、まだそれを知るには早いってことか・・・。まぁいい。じゃあ2つ目だ」

七恵?の写真

風太郎「結局あの写真はなんだったんだ?七恵がいるっていうのはやっぱ嘘だったわけだし・・・そして何より六海のあの恐ろしい形相・・・」

一花「ははは・・・あれは本当にトラウマものだよ・・・。うぅ・・・思い出したら体中痛くなってきた・・・」

風太郎「お前が冗談半分であの写真を出したのが原因だろ。つーかあの女の写真、あれってお前らの・・・」

一花「はーいストップー!これ以上のこと言ったら本気で六海に痛い目を合わされかねないよ?だからこの話は終わり」

風太郎「お、おう。俺もあれを見てしまったらなぁ・・・。つーか肝心のあの写真はどうなった?」

一花「六海が回収して・・・ほら、あそこに・・・」

六海「・・・・・・」

風太郎「うおっ、あんなところで写真を燃やしてるのか⁉どうりで妙に焦げ臭いと思ったぜ・・・」

六海「・・・あ、まだ灰が残ってる・・・。これが2度と現れないように・・・念入りを込めて・・・燃やし尽くさなきゃ・・・」

風・一「ひ・・・ひえぇぇぇ・・・」

風太郎の気になったワード  終わり

次回、四葉視点

番外編を読むならどっち?

  • それぞれの季節に合わせたひと時の安らぎ
  • BanG Dream!とのクロスオーバー
  • 花嫁として選ばれた六つ子の姉妹の未来の話
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