六等分の花嫁   作:先導

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六海ちゃんのイラストをまたいただきました。これはお宅訪問に載せてますので、ぜひ見てくださいな。

それから、アンケートの結果は下にあります。この結果が1番多かった方を番外編で載せますよ。今は本編を進めますから・・・そうですね・・・来年の正月には載せようかなって思ってます。

ちなみに番外編では、一花の場合や二乃の場合などといった感じに進めようと思っています。


勤労感謝ツアー

「お願います!!私に、絵を教えてください!!」

 

「・・・はえ?」

 

私は今六海の部屋で六海に向けて精いっぱいの土下座をして絵を教えてもらうように頼み込んでいます。土下座で顔はよく見えませんが、今絵を描いてる最中の六海の顔は目が点になっているでしょう。

 

「私に!!絵を!!教えて!!ください!!」

 

「いや、もうわかったから!何でそんな1つ1つ区切り区切りに言うの、四葉ちゃん⁉」

 

六海の声からして困惑が入り混じっていることでしょう。実の姉が妹に向けて急に土下座をしたんだからそうなるのは無理もないと思います。そ、それくらいの常識は私にもあります!

 

「と、とりあえずいったん顔を上げて!これじゃ六海が四葉ちゃんに怒ってるように見えるじゃん!」

 

六海に言われた通り、私はすぐに顔を上げて六海の顔を見ます。ああ、やっぱり困惑してるような顔をしてる・・・。

 

「え、絵を教えることに関してはいいよ?ただなんで六海なの?六海よりうまい人って絵の教室に行けばいくらでもいるじゃん」

 

「いやぁ・・・そうなんだけど・・・そんな毎日絵を描くようなことはしないし・・・」

 

私は六海にそもそもどうして絵を教わりたいのかっていう理由を語ります。

 

「・・・私のクラス、今日美術の授業があって・・・何を描くのかっていうテーマを決めないといけないんだけど・・・私だけそのテーマがなかなか決まらなくて・・・」

 

「あー・・・そういえば・・・昨日六海たちのクラスも似たような授業やったっけ。・・・あ、そっか。だからこの前一花ちゃんも絵を教えてって言ってたんだ・・・」

 

私の理由を聞くと、六海の顔は思い出したかのような察した顔になりました。あ、というか一花も絵を教えにもらいに行ってたんだ・・・。

 

「なるほどねー・・・そのテーマを探すために・・・」

 

「うん。私たちの中で1番絵に詳しい六海から絵を教われば、何かわかるかなーって・・・」

 

「うーん・・・そんなこと言われてもねー・・・テーマでしょ?」

 

事情を全て理解した六海は何か渋ったような顔になってます。ちょ・・・ここで断られたら一生この課題が終わらない気がする!何とか説得しないと!

 

「お願いします!!もう六海だけが頼りなんだよー!!」

 

「だから土下座やめてってばー!」

 

「お、教えてくれたら前に欲しがってたマジカルナナカの等身大フィギュア買ってあげるからー!!」

 

「え⁉それ本当⁉教える教える!!喜んで教えちゃうよ!!」

 

「やったー!!ありがとう、六海!!」

 

私の土下座と欲しいものを提供が功を制して六海は絵を教えてくれることになりました!やった、これで先生に怒られずに済むかも♪

 

「それじゃあさっそく今の四葉ちゃんの絵がどんな出来なのか見せてもらおっかな。紙は・・・1枚渡すから・・・とりあえずトラさんを描いてみて」

 

「わかった!」

 

六海はスケッチブックの紙を1枚破って私に渡してきました。こうやって授業以外で描くのって小学生以来かも。トラはどう描くんだっけ・・・?私の思うように描けばいいのかな?

 

♡♡♡♡♡♡

 

「・・・ねぇ四葉ちゃん。これ何?」

 

「えっと・・・トラです・・・」

 

「トラ⁉これが⁉もうトラっていうより化け猫じゃないこれ⁉」

 

だいぶ時間がたってようやく完成した・・・んですけど・・・なんていうか、これはトラじゃないような気がしてましたが・・・六海は私の絵を見て非常にドン引きをした顔になってます。やっぱりこうじゃなかったかぁ・・・。

 

「もうまずね、線がぐにゃぐにゃになってて顔が怖いよ!それから両手両足も短すぎるし、首も長いし・・・もう、さっき化け猫って言ったけど、完全に化け物だよこれは!!」

 

六海は私の描いた絵のダメなところを1つ1つ容赦なく口にしていきました。なんか上杉さんと錯覚してしまいそうな指摘だよぉ・・・。

 

「はぁ・・・なんか六海たちの勉強を見てくれてる風太郎君の気持ちがわかったような気分だよ・・・」

 

「ごめーん・・・」

 

「これ・・・もうテーマを探すどころの問題じゃないよ・・・下手すると補修行きだよ・・・」

 

「ええええ!!?」

 

「いや、これ本当の話だから」

 

た、確かに自分で見ても下手だなーって思ったけど・・・そ、そんなに私の絵って絶望的なの⁉もしこれで補修行きになったら・・・上杉さんにいろいろと言われてしまう!!

 

「こうなったら・・・徹底的に絵の心得を叩きこむしかないね・・・四葉ちゃんの補修回避のために!!」

 

六海は筆やらペンやらを手に握って目をギラリとしてます・・・。な、なんか・・・怖い・・・!

 

バタッ×2

 

「?」

 

「⁉ビックリしたぁ・・・今の一花ちゃんと三玖ちゃんの部屋から・・・だよね・・・?」

 

六海が私に迫ってきたと同時に一花と三玖の部屋から何か音が聞こえてきました。2人とも、いったいどうしたんだろう・・・?

 

「そ・ん・な・こ・と・よ・り・・・覚悟はいいね・・・四葉ちゃん・・・」

 

「ひぃぃやあああああ!!」

 

さっきの音で忘れてくれるかと思ったら、そんなことなく、結局私は私の限界が来るまで絵の勉強をさせられました。・・・もっと違う人に頼めばよかったかな・・・。

 

♡♡♡♡♡♡

 

翌日、六海のレッスンで私は疲労に近い状態でリビングの机に突っ伏してます。そのおかげで絵は少しはうまくなったって言ってたけど・・・もう疲れた・・・。こんなんでテーマを見つけられるのかなぁ・・・?

 

「だ、大丈夫ですか、四葉・・・」

 

「五月~・・・」

 

私の様子を見ておでかけの準備をしていた五月が心配そうに見つめてます。

 

「だ、大丈夫~・・・。ちょっと六海の絵の授業を受けてただけ・・・」

 

「ははは・・・あれは辛かったですね・・・」

 

て、五月も六海の地獄のレッスンを受けたことあったんだ・・・なんか死んだような目をしてるし・・・。

 

「で、その肝心の六海はどこです?」

 

「部屋でまだ寝てるよー。私も昨日遅くまでやらされたから・・・ふわぁ・・・眠いよ・・・」

 

「お、お疲れ様です・・・」

 

五月は私に向けてかなりの同情を込めた労いの言葉をかけてくれました。六海のレッスンももう少し優しくしてくれたらなぁ・・・。

 

「そういえば五月、どこか遊びに行くの?」

 

「はい。今日はちょっと約束がありまして・・・あ!かばんにまだ財布を入れてません!と、とにかく!外へ出る際は鍵を忘れないようにしてくださいよ!」

 

五月はあわただしくした様子で自分の部屋に戻っていきました。よっぽど楽しみなんだなぁ・・・。・・・今日は夜に本格的に絵のテーマを探ることになったんだけど・・・それまで何してよう・・・?

 

プルルルルッ

 

私が何しようかと悩んでた時、私のスマホに電話がかかってきました。相手は・・・え?上杉さん?自分からかけてくるなんて珍しい・・・。私はすぐに電話に出ます。

 

「もしもし上杉さん?どうしましたか?」

 

≪あー、四葉か?今お前らのマンションの入り口にいるんだが・・・ちょっと下に降りてきてくれないか?なるべく早くだ≫

 

上杉さんは伝えたいことを伝えたらすぐに電話を切りました。いったい何の用でしょう?と、とにかく待たせるわけにもいかないので、私はすぐに部屋を出てマンションの入り口まで行きます。

 

♡♡♡♡♡♡

 

エレベーターを使ってマンションの1階まで降りて、入り口まで向かうと、やっぱり上杉さんがいました。

 

「お待たせしました、上杉さん」

 

「ああ。すまんな、わざわざ呼び出して・・・」

 

「いえいえ。それで・・・私に何か御用ですか?」

 

私の話の切り出しに上杉さんは少し照れ臭そうな顔をしました。え?本当に何なのでしょう・・・?

 

「あー・・・その・・・だな・・・。四葉、何か欲しいものはないか?」

 

・・・え?私の、欲しいもの?

 

「えっと・・・それは・・・どういうことですか?」

 

「まぁ・・・贈り物ってやつだな」

 

「贈り物って・・・誰に渡すんですか?」

 

「お前」

 

・・・え?え?上杉さんが・・・私に贈り物?勉強星人のあの上杉さんが・・・?

 

「・・・あのー・・・やっぱり風邪が治ってないんじゃあ・・・今日はもう帰った方が・・・」

 

「風邪はちゃんと治ってるからぴんぴんしてる。つーかそんなことはいいから欲しいものは何だ?」

 

「そ、そんなこと言われましても・・・」

 

「何でも言ってくれ。今から買ってくる。ただし、予算は千え・・・いや千六百円までだ」

 

うーん・・・そんなこといわれましても・・・家庭教師の日でもないのに突然やってきたと思ったら・・・。

 

「でもそれを聞いちゃうあたり上杉さんですよね。サプライズとかあるでしょー?」

 

「残念ながらサプライズなどない。どうも俺はいらないものを贈る才能があるらしくてな・・・もうこれ以上いらないものを贈って拒まれるのは嫌だしな」

 

上杉さんのこの反応からして・・・本当にサプライズはないようですね。

 

「それに・・・ほら、今日は勤労感謝の日だろ?国民が互いに感謝しあう日。一応お前には・・・ほら、林間学校でいろいろ世話になったしな・・・」

 

あ・・・そういうことですか。そういえば今日でしたね、勤労感謝の日。そうは言っても・・・欲しいもの・・・ですか・・・。

 

「とりあえず少し考えますのでどうぞ上がっていってください」

 

「いや、家は困る。今日は上がれない事情があってな」

 

「?」

 

私は上杉さんを家にあげようとした時、拒まれてしまいました。家に上がれない事情・・・とは、なんでしょう・・・?

 

「ほら、何でもいいからお前の望みを言ってくれ・・・俺も早く帰りたいんだよ・・・」

 

「そうですねぇ・・・勤労感謝の日・・・なるほど・・・」

 

うーん、急に言われましても中々思いつかないんですよね・・・。あ、そうだ・・・。

 

「それならいいお出かけスポットなら知ってますよ!」

 

「え?」

 

うん!せっかくの上杉さんからうちまで来てくれたんです。上杉さんも楽しんでもらわないと!それに、お出かけすれば絵のテーマや私の欲しいものが見つかるかもしれないし!

 

「そうと決まれば、さっそく行きましょー!おー!」

 

「ちょ、ちょっと待て!どういうことだ⁉」

 

上杉さんは戸惑った様子ですが、私はすでにうきうきした気持ちでいっぱいです。いつの間にか眠気も吹き飛びましたし、今日は素敵な1日になるだろうなー♪

 

♡♡♡♡♡♡

 

と、そういうわけで私は家から財布を取った後、上杉さんと一緒にお出かけしております。うーん、いいお天気♪お日様の光が心地いいです♪

 

「あはは。楽しい1日になりそうですね♪」

 

「そうか?今のところただ歩いてるだけだが・・・」

 

「それがいいんですよ。だって・・・私と上杉さんの、デートですよ?デート」

 

「は?」

 

私のデート発言に上杉さんは何言ってんだこいつ?みたいな顔をされました。それはさすがに傷つくんですけど・・・。

 

「冗談はさておき、こんないいお天気の日に外に出ないなんて損です!めいいっぱい楽しみましょー!」

 

「んなことはいいから早くほしいものを言ってくれ。こんないい天気の日に勉強しないなんてもったいない。早く済ませて帰ろうぜ・・・」

 

うーん、いかにも私がアウトドアで上杉さんがインドアっていうのがわかりやすい会話ですね。でもそんな上杉さんの考え方を変えて見せますよ!

 

「まぁまぁ。お腹もすきましたし、とりあえずランチにしましょう!」

 

「おお、昼飯か。何が食いたいんだ?どこでもいいぞ?おごってやる」

 

「ここです!」

 

数分が立ってまず最初の目的地にたどり着きました。まず最初はここ、五月お気に入りのレストランです。うーん、いかにも高級感があふれてますね。

 

「・・・・・・おい・・・」

 

「さ、入りましょう!」

 

私は上杉さんを連れてレストランの中へと入っていきます。出迎えてくれたのはウェイターの皆さんです。

 

「中野様、ようこそいらっしゃいました」

 

「おひさでーす」

 

ウェイターさんに席をご案内され、私と上杉さんはその席すに座ります。

 

「ここは五月の御用達なんですよ。どれもおいしいですから、上杉さんも気に入ると思いますよ」

 

「・・・落ち着かねぇ・・・」

 

?何が落ち着かないのでしょう?ピアノの音楽も雰囲気にぴったりなのに。

 

「好きなものを頼んでくださいねー」

 

「ま、待ってくれ・・・俺が・・・!!?た、たけぇ・・・しかも一泊付きなのか?これ・・・?」

 

上杉さんはメニューの値段を見て目が点になってますね。あ、もしかしてお金の心配をしてるのでしょうか?

 

「お金なら大丈夫ですよー。私が全部払いますからー。あ、私、鴨肉のローストのメニューでお願いしますー」

 

「・・・じゃあ、同じ奴で・・・。ここでお前のおごりはありがたいが・・・これじゃ意味ねぇし、なんか素直に喜べねぇ・・・」

 

料理の注文をしてから数分が立ち、頼んだ料理が運ばれてきました。

 

「・・・小っさ。これじゃあ腹膨れねぇだろ」

 

「上杉さん、料理は量じゃなくて質ですよ!」

 

まぁ、といっても五月ならもっとおかわりしそうですけどね。

 

「まぁまぁ、とにかく食べましょう!」

 

「・・・」

 

言われるがまま上杉さんは料理を一口食べます。これは・・・あまりにおいしくて戸惑ってるようですね。無理もありませんね。どれ私も一口パクリッと・・・。

 

「・・・ん~・・・おいしいですね、上杉さん!ローストされた鴨肉と柑橘類を混ぜ込んだソースの相性が絶妙です!」

 

「・・・ソウデスネ、四葉サン・・・」

 

なんだか微妙そうな顔だったのが気になりますが・・・まぁおいしいから問題ありませんね。

 

♡♡♡♡♡♡

 

レストランでお食事を楽しみ、次に向かったのは、三玖が会員となっているスパです。私と上杉さんはここでそれぞれ別々のベッドの上でマッサージを行ってもらっている最中です。

 

「ここは三玖が会員になってるスパです。招待制なのでなかなか来られませんよ。ラッキーですね♪あ、上杉さん、今裸なのでこっち見ちゃダメですからね?」

 

「誰もお前の裸なんか見ねぇよ。というかその前にまずなんでスパなのか説明してくれ」

 

そう素っ気なく言ってますけど私にはわかりますよ、上杉さん。マッサージ、気持ちいいんでしょう?

 

「それにしてもお昼のコースはどれも最高でしたね。四葉チェック星3つ・・・いや、それを通り越して星6つですかね」

 

「六つ子だけにってか?笑えねぇジョークだな」

 

う、上杉さん、うまいですけど・・・そこは笑ってくださいよー・・・。

 

「うーん、今日の料理食べたら、クリスマスの料理が楽しみになってきました!今年のクリスマスにみんなでまた行こっかなー」

 

「お前ら・・・いつもあんなところで食ってるのか?」

 

「あはは・・・さすがに特別な日だけですよ。中でもクリスマスは特別です。例えば・・・去年は南に弾丸冬忘れツアー。南の島でバカンスですね」

 

「クリスマス感0だな。お前らそれでいいのか・・・?」

 

あはは、言われた通り確かにクリスマス感ないですけど・・・でも楽しかったなー。

 

「一昨日は北で超ホワイトクリスマス。猛吹雪の中でとっても寒かったです」

 

「修行かよ。お前らはいったい何を鍛えようとしてるんだよ」

 

今にして思えば・・・なんであの時ここにしよってなったんだろう・・・?永遠の謎だ・・・。

 

「・・・といっても場所なんてどこでもいいんですけどね。昔、お母さんが言ってました。大切なのはどこにいるかではじゃなく・・・6人でいることなんだって」

 

「お前たちのお母さんは本当に昔よく言っている」

 

お母さんが言った言葉の中で私はこの言葉が1番印象に残っています。この言葉があったから、今の私が・・・。

 

「つーか、そういうリッチな話はいいからもっとリーズナブルななにかないか?」

 

うーん、もっとリーズナブルですかぁ・・・高級なのは気に入らないのかな?あ、そうだ。

 

「なら美術館とかどうですか?あそこならいろんな人が来ますし、リーズナブルですよ。チケット1枚千五百円です」

 

「!!千五百円!ありがてぇ!美術館にしようぜ!」

 

上杉さんはありがたそうな声を上げて歓喜を上げています。じゃあ次のお出かけスポットは美術館に決定ー!

 

♡♡♡♡♡♡

 

上杉さんの要望通り、私たちは美術館にやってきて、展示されてある美術品を鑑賞しています。ただし、ここはただの美術館ではありませんよ。ここは六海がとっても気に入ってる美術館なんですよ。

 

「どれもいい作品ですねー。きれいです・・・。あ、ここは六海のお気に入りの美術館なんですよ」

 

「・・・・・・」

 

「いやー、ちょうどチケットがあってよかったです!」

 

「いつもなら喜べるんだが・・・もらい物のチケット使ったら結局贈り物もできずじまいじゃないか・・・」

 

まぁまぁ、細かいことは気にしない気にしない♪それにまだ欲しいものは決まりませんからねー。

 

「あ、知ってますか上杉さん。ここ、テレビで特集された美術館なんですよ」

 

「あっそ。うちにテレビないから知らんけど」

 

「その際に最優秀金賞を取って六海も1度だけテレビに出てたんですよ」

 

「え?マジか?あいつテレビに出たのか?」

 

「はい。と言っても、顔出しはNGだったんですけどね」

 

あの時は大変に驚きましたよ。名前も伏せて、顔もモザイクで隠してましたが、身近にいる家族がテレビに映っていたんですから。

 

「聞いた話だと最優秀金賞で賞金までもらったそうですよ。確か・・・五十万くらいでしたかね?」

 

「ご・・・五十万・・・だと・・・?」

 

「まぁそのお金は全部絵の画材や六海の趣味で全部なくなったんですけどね」

 

「・・・なんて計画性のない奴だ・・・」

 

最優秀賞の賞金を聞いて上杉さんは驚きましたが、お金の使い道を聞いた途端に非常にあきれ返ってしまった顔になっていました。

 

「・・・あ、この絵がそうです。タイトルは不協和音からの覚醒です」

 

「・・・やっぱりうまいな・・・」

 

通路を歩いていって最優秀金賞の絵の前まで辿り着きました。絵には不吉を呼ぶ鳥が神々しい神話の鳥へと成長図のような絵です。

 

「込められた意味は、どんなに災いを呼ぶ鳥でもきっかけさえあれば、美しい神話の鳥になることができるというものらしいですよ」

 

「ふーん、そんなことあるもんかねぇ・・・」

 

それにしても・・・よくこんな絵が描けるようになったもんだねぇ・・・昔の六海の絵のレベルは私たちと変わらなかったのになぁ。そう考えると感慨深いなぁ・・・。

 

「つーかそれはいいよ。もっと他にないか?もうちょいこう・・・なんつーんだろうなぁ・・・」

 

えー?これでも満足できませんかぁ?うーん・・・他にかぁ・・・。あ、そうだ。

 

「そういえば、一花が出てる映画が今日公開だっけなー」

 

「!!映画館での学生料金は・・・千円!!よし!そこにするぞ!」

 

私も一花の映画は気になっていましたし、ちょうどよかったです。私と上杉さんはある程度絵を鑑賞し終え、映画館へと向かっていきます。

 

♡♡♡♡♡♡

 

私と上杉さんは早速映画館に行って一花が出演している映画を見てきましたよー。映画の内容は突如として現れたゾンビが人々を襲っていき、徐々に増えていったゾンビから生き残る術を模索していく内容でした。最後まではらはらしっぱなしで面白かったです。

 

「いやー、特にラスト15分の手に汗握るあの展開!感動しました!一花は序盤ですぐに死んでしまいましたが」

 

「・・・・・・」

 

どうも一花はこういう系の映画やドラマでは序盤で死んでしまう役が多いようで・・・内心ではちょっと複雑な気分でもありますけど。

 

「一花からチケットもらっててよかったです!」

 

「また貰い物のチケットかよ・・・いい加減にしてくれ・・・」

 

上杉さんは何が面白くないのかさっきからイライラしっぱなしのようです。何か気に障るようなことしましたかね?

 

「あ、そうそう、その一花についてですが、林間学校からなぜか前よりやる気になってて、順調に仕事が増えてるみたいですよ。喜ばしいですね!」

 

「ふーん。どうせさっきの映画みたいなモブ役だろ?」

 

「一説では相当な額の貯金をため込んでるとか・・・」

 

「!金持ちの家の金持ち・・・何という格差社会だ・・・」

 

あくまで一説なので本当かどうかはわからないんですけどね。て、一説を聞いて上杉さんは手を膝につけて落ち込んでる⁉私、何かいけないことでもいいましたか⁉

 

♡♡♡♡♡♡

 

映画を見終えた後は流行りの服屋さんにやってきて、楽しくショッピングです。やっぱりお出かけにこれはかかせません。

 

「やっぱりデートといえば、ショッピングですよね!」

 

「当然のように一桁多い・・・千六百円までって言ったのに・・・」

 

上杉さんは少しぼやいてますが、私はいろんな服を見ながらお目当ての服を探しています。

 

「お客様~、そちらの服お気に召されたでしょうかぁ~?」

 

服を選んでいると、店員さんに声をかけられました。

 

「あはは、買っちゃおーかなー」

 

「メンズでも同じ柄の服をご用意しておりますよぉ~。彼氏様とペアルックなんていかがでしょう?」

 

!!?わ、私と上杉さんとで・・・ペアルック⁉いえ、それよりも・・・カップルと勘違いされてる⁉あ、あわわ・・・どう反応すれば・・・。

 

「・・・彼氏ですって!上杉さんも隅に置けないですね!このこの~!」

 

とりあえず私は何ともないようにこんな風に対応します。

 

「こいつはこういう奴ですので」

 

「た・・・大変失礼いたしました!」

 

店員さんは私たちの反応を見て慌てて別の人の対応に向かいました。ふぅ~・・・ドキドキしました。

 

「ははは、びっくりしましたね・・・。それで・・・どうします?いっそのことペアルック、やっちゃいます?」

 

「冗談じゃねぇ。同じ柄なのはお前たちの顔だけで十分だ」

 

「う、うまい!・・・じゃなくて・・・上杉さんのケチー!」

 

どこまでもドライな反応の上杉さんに舌を出してそう口にします。スパでも思いましたが、上杉さんってなかなかにうまいですよね。それはそうと・・・うーん、どこにあるんだろう?確かこのあたりに・・・。

 

「あ!やっと見つけました~。これ、欲しかったんです~」

 

いろいろと探していると、お目当ての寝巻の服を発見しました。やっと見つかったよ~。売れきれてなくてよかった~。

 

「寝巻か。じゃあそれ買ってやるよ。万ほどの値段だが、この際高くてもいい」

 

「やったー!」

 

しかも上杉さんが珍しく買ってくれるので本当にツイてますね!

 

「よかったー。これ、二乃が欲しがってたから、喜ぶだろうなぁ~」

 

「・・・ん?二乃・・・?」

 

これ渡したら二乃はどんな顔するんだろう?楽しみだなー。

 

「ちょ、ちょっと待ってくれ。やっぱさっきの買う発言はなしだ」

 

「え・・・」

 

えー・・・なんですかその手のひら返しは。

 

「四葉・・・もう1度聞くぞ。お前が本当に欲しいものはなんだ?」

 

「え?」

 

私が、欲しいもの?

 

「レストランとスパと美術館と映画館とお買い物・・・」

 

「違う。五月の気に入ってるレストランと三玖が会員のスパ。六海の絵が展示してる美術館に一花の出ている映画。そしてとどめに二乃のための買い物だ。どれも接点なし。お前じゃない」

 

「わーーっ!!本当だ!!」

 

これはうっかりしてました!そういえば私に贈り物でしたね!あまりに楽しくて忘れてました!

 

「ちょっと待ってくださいね。今考えますからね・・・」

 

私は今はない頭をフル回転させてほしいものを考えます。うーん、うーーん・・・

 

「・・・上杉さん。私の欲しいのはなんでしょうか・・・まったく思い浮かべません」

 

お恥ずかしながら何も浮かび上がりませんでした。私って、こんなに欲のない人間でしたっけ?

 

「四葉・・・お前・・・」

 

上杉さんが何かをしゃべろうとした時・・・

 

「ここらへんにあるって二乃言ってたよね」

 

何やらものすごく聞き覚えのある声が聞こえてきました。

 

「!!四葉!か、隠れろ!!」

 

「え?え?」

 

すると上杉さんはなぜか慌てた様子で私を連れて試着室まで連れてきました。すると上杉さんは隠れる事情を話し始めました。

 

「実は、昨日一花と三玖が俺にメールをしてきたんだ。今日一緒に出掛けないかってな。で、俺はそれを断っちまったんだよ。だから・・・な?今俺はお前と一緒にいる。そんな状態であの2人に会ったらなんて言われるか・・・」

 

「なるほど・・・」

 

一応事情は理解しましたが・・・

 

「これは・・・修羅場の予感です!」

 

試着室のカーテンから覗いてみれば、視線の奥にはさっき私が見つけたものと同じ寝巻を持った一花と三玖がいました。

 

「上杉さん!ここはお任せを!2人を巧みに誘導して遠ざけて見せます!」

 

「お、おい!余計なことするんじゃねぇって!」

 

「心配しないでください!上杉さんに迷惑はかけません!」

 

とりあえず私は顔だけ出して一花たちの様子を見ましたら、すでに一花と三玖は試着室の前まで来ていました。

 

「あ・・・あらあら、一花と三玖じゃありませんかー」

 

「あ、なんだ四葉も来てたんだー」

 

「ご飯食べに行くとか言ってなかった?」

 

「え、えーっと・・・もう食べ終わって暇してたから・・・ここに・・・」

 

「あ、そうなんだ」

 

うーむ・・・とりあえず一花と三玖をこの試着室から離さないと・・・

 

「あ、向こうに超面白い服があるからよかったら・・・」

 

「あ、そうだ。四葉にも聞いてみようよ」

 

「ん・・・そうだね」

 

「え」

 

な、なんか話の流れがあっち側に回ってるような・・・!

 

「ねぇ四葉・・・ハットとキャップ・・・フータローならどっちが似合うかな?」

 

ハットとキャップの帽子のどっちが・・・上杉さんに似合うか・・・?

 

「ちょっと待ってね」

 

私はすぐにカーテンを閉めて上杉さんに聞いてみることにします。

 

「あの、ハットとキャップ、どっちをかぶりますか?」

 

「俺に聞くなよ・・・。・・・基本帽子は被らん」

 

とりあえず答えはわかりましたからすぐに顔だけを出して三玖に教えてあげます。

 

「帽子は基本被らないみたい」

 

「何今の間」

 

「そっか・・・残念・・・」

 

三玖は少ししょんぼりしてましたけど、一花は間があったことに怪訝な顔をしてます。しまった・・・やってしまった・・・何とか誤魔化さないと・・・。

 

「そ、それより向こうに抱腹絶倒間違いなしの服があって・・・」

 

「うん。後で言ってみるね。それよりそこに用があるんだけど」

 

!!!???

 

「試着室、次使わせてね」

 

えーー!!?今試着室には上杉さんがいるんですけど⁉

 

「し、試着室で何するの?この中なんもないよー?」

 

「たいていの人が試着だと思うよ」

 

そ、そりゃそうですよね!試着室ですもの!何言ってるんだろ私!

 

「これ、二乃が欲しがってたルームウェア。代わりにサイズ測ってみようと思って」

 

「そ、そっか・・・でも二乃本人じゃないと・・・」

 

「もー、何言ってんの~?」

 

「私たち、みんな同じ身体」

 

「そ・・・そうだけど・・・」

 

やばいやばいやばい・・・!このままじゃ中に上杉さんがいることがばれちゃう・・・!どうしたら・・・!

 

「同じ身体なら私が着るよ」

 

!!??う、上杉さん⁉いったい何を⁉

 

「え?今の声・・・」

 

「わ、私私!私でーす!」

 

「でも今のフータローの・・・」

 

「い、今の腹話術の練習!うまかったでしょ⁉と、とにかく私が着るから!」

 

「・・・そう?ならいいけど・・・じゃあ、四葉、お願いね」

 

何とか納得した一花は私に寝巻を渡してきましたけど・・・

 

「ど・・・どどど、どうするんですか⁉」

 

「そりゃ着替えればいいだけだろ。目は瞑っててやるから安心しろ」

 

「もう!簡単に言いますけどね、上杉さん・・・忘れてませんか?私だって女の子ですよ?」

 

「あー、わかったから・・・さっさと着替えろ。前が見えないのは不便だ」

 

上杉さんは目をつぶってさっさと着替えろといってきましたが・・・うぅ・・・恥ずかしい・・・///男の子の目の前で着替えるなんて・・・///とにかく私はすぐに着替えを始めます。・・・本当に目を開けないでくださいよ、上杉さん。

 

着替え終えて数分後・・・

 

「き・・・着替えたよ・・・」

 

「うん。やっぱピッタリだ」

 

「・・・四葉、顔赤いけどどうしたの?もしかして熱?」

 

い・・・言えない・・・!上杉さんの目の前で着替えをしてたなんて絶対に!

 

「そ、そんなことないよ!私1人だったもん!」

 

「そう?まぁいいや。じゃあ次。私と六海の分のこれ、着てみてよ」

 

!!!!!?????わ、私の目の前に出されたのは・・・1つは黒、1つはピンク色でスケスケな下着みたいな服でした!!こ、これを私が着ろと!!??

 

「もう、また一花は六海にそんな・・・」

 

「いいじゃん。六海も喜んでたよ?」

 

「それは下着の時だけ。六海に変な影響与えないで。私たちにまで被害が及ぶ」

 

私は現在進行形で被害にあってるんですが!!?

 

♡♡♡♡♡♡

 

それからもう何回も試着の実験台にされて・・・一花と三玖はようやく納得がいって服の会計に向かっています。い、今がチャンス・・・!

 

「ずいぶん長いこと実験台になってたな・・・」

 

「こ、細かいことは気にせず早く行ってください!2人が会計に行ってる今がチャンスです!」

 

「だな・・・悪い」

 

長いこと目をつぶっていた上杉さんを急かして私は服屋を後にします。ふぅ・・・やっと実験台から解放された・・・。

 

「!!四葉、こっちこい」

 

「わ・・・」

 

上杉さんは私を急に引っ張り出していきました。そして店を出ると・・・

 

「あ、お兄ちゃん。ちゃんと四葉さんにお礼してたんだね。感心感心」

 

「あ・・・当たり前だろ?」

 

「わー!らいはちゃーん!!」

 

私のマイスイートエンジェルのらいはちゃんがいました!こんなところで会うなんて・・・私、感激です!!

 

「じゃあ俺たち行くから・・・もし誰かに会っても今のことは言うなよ」

 

「あーー離れたくないですーー!」

 

こんなに早くに行くなんてもったいない!もうちょっと一緒にいましょうよー!

 

「何やってんだよ!!早く行くぞ!」

 

「えー?もう行っちゃうのー?」

 

「わー!上杉サンド!」

 

痛い痛い痛い!上杉さんにらいはちゃん!私の両腕を引っ張らないでー!

 

「もうすぐ五月さんも来るんだよ?」

 

「「!!?」」

 

え・・・五月がここに来るの?てことは・・・五月が言ってた約束の相手ってらいはちゃんのこと⁉も、もし五月が私たちに会ってこのことを一花と三玖に知れたら・・・上杉さんは何されるか・・・!

 

「ら・・・らいはちゃん・・・急いでるから・・・寂しいけど・・・今日はここで・・・」

 

「た、頼むらいは・・・!マジで急いでるんだ・・・!」

 

「むー・・・わかったよぅ・・・。じゃあ四葉さん、またね。それからお兄ちゃん、最後まで四葉さんに付き合ってあげてよ?」

 

「わ、わかってる・・・!」

 

すんなりと納得してくれたらいはちゃん。あー・・・もっと触れ合いたいのに・・・泣く泣くです・・・。私たちは急いでこの場を後にして、曲がり角を曲がっていきます。

 

「らいはちゃん、お待たせしてすみません」

 

「五月さん!お久しぶりー!」

 

ああ・・・遠くから五月とらいはちゃんの会話が聞こえる・・・羨ましい・・・!

 

「四葉、行くぞ!」

 

「は、はい!」

 

私はこの場を逃げるように後にしました。

 

♡♡♡♡♡♡

 

一応は五月から振り切る?ことができた私と上杉さんは噴水広場で息を整えています。

 

「はぁ・・・はぁ・・・ようやく落ち着いたか・・・?」

 

「な、何とか・・・」

 

疲れを何とか癒そうと何かないかと考えていますと、近くにクレープを売ってる車がありました。

 

「あ!あそこにクレープが売ってますよ!息抜きに買っていきましょう!」

 

「ああ・・・そうする・・・!!?」

 

クレープを買おうとしようとすると、上杉さんは急に驚いた顔になっています。

 

「四葉!行くぞ!」

 

「え?え?」

 

上杉さんは私を引き連れて人ごみが多い方へと入っていきました。ひ・・・人の重圧でつぶれる~・・・。クレープがぁ~・・・。

 

「あ!ここだよここ!真鍋さんが言ってた場所!」

 

「ふぅーん、ここが、ねぇ」

 

!!これまた聞き覚えのある声が聞こえてきました。人ごみを分けながらそっちに視線を向けますと・・・

 

「ここのクレープ屋さんのクレープが絶品なんだって!二乃ちゃん、食べていこうよ!」

 

「わかったからそう急かさないでよ」

 

む、六海⁉それに二乃まで⁉2人もお出かけしてたなんて・・・⁉

 

「あの2人、今思ったんだが、いつの間に仲直りしたんだ⁉」

 

「よくわかりません!ただ、林間学校が終わってからなんだか一緒にいる回数が増えたような気がします!」

 

「気がするってお前・・・!って、それはいい!もう今日はなるべく誰にも会わないほうがよさそうだな!」

 

「は、はい!人ごみに紛れて逃げましょう!」

 

私たちは人ごみに紛れて二乃と六海に見えないように移動します。けど・・・ぜ、全然進まない~・・・。

 

「?」

 

「どうしたのよ?」

 

「いやさっきね、四葉ちゃんのリボンが見えたような気がするの」

 

ドキィ!!ま、まさかこれは・・・体隠してリボン隠さずって奴ですか⁉

 

「はぁ?そりゃこんな人ごみならそんな人1人や2人くらいいるでしょ?」

 

「えー?あれは確かに四葉ちゃんのリボンだってー」

 

「お待たせしましたー」

 

「ほら、クレープ来たわよ」

 

「わわ!待って待って!」

 

私たちの存在がばれそうになりましたが、クレープ屋さんのおかげで見つからずにすみました!ナイスです!

 

♡♡♡♡♡♡

 

その後はいろいろと大変でした。逃げた先で服屋さんで会計を済ませた一花と三玖が遭遇しそうになったり、さらに逃げた先でらいはちゃんと五月に遭遇しそうになったり、さらにはたまた、二乃と六海に遭遇しそうになったりともう走り回って私と上杉さんはくたくたです。

 

「はぁ・・・はぁ・・・」

 

「やっと落ち着きましたね」

 

「もう・・・疲れたぜ・・・」

 

私は体力があるのでまだまだいけますが、上杉さんはもう限界が来てますね。

 

「はぁ・・・しかし・・・よくこんなところ知ってたな」

 

「あはは・・・」

 

今私と上杉さんがいるのは子供たちがよく遊ぶ場所、公園です。そして、私のお気に入りの場所でもあるん・・・ですが・・・

 

「ここは私がよく来る公園なんです。六海と遊びたい時や、落ち込んだ時はそのブランコに乗ってみたり・・・」

 

確かにこの場所は本当にいい場所・・・何ですけど・・・

 

「で、でも、デートの締めには全然ふさわしくないというか・・・もっと素敵な場所に行きましょう!テレビでやってたプラネタリウムとか・・・」

 

「いや、ここでいい」

 

「え?」

 

「一推しの公園なんだろ?じゃあここで十分だ」

 

上杉さんは私のお気に入りということでここにしてくれましたが・・・なんだか上杉さんに申し訳ないです。だって今までが結構オシャレなデートって感じなのに最後がここって・・・。

 

「でも・・・全然オシャレじゃないし・・・デートなのに・・・いいんでしょうか・・・」

 

「俺がいいって言ってんだ。ここでいいんだよ。それに・・・はぁ・・・いい庶民感だ・・・♪」

 

上杉さんはそう言ってブランコに乗ってこぎ始めました。

 

「お、久々だがうまくこげてるな。どうだ四葉?すごいだろ?」

 

「もー・・・子供みたいに自慢しちゃって・・・それにかなり緩めで全然すごくないですよ」

 

上杉さんを見てたらなんだか私もこぎたくなってきました。それじゃあ、お手本として・・・

 

「私がお手本を見せるんでよく見ててくださいね?」

 

「は?こんにゃろう、負けるか」

 

私はブランコに乗って上杉さんより勢いよくブランコをこぎます。そうそうこれこれ・・・これがたまらなくいいんですよね。

 

「ほーら!どうです!」

 

「くっ・・・負けてたまるかぁ!うおおおおお!!」

 

上杉さんも勢いよくブランコをこぎだします。あ、上杉さんもこの景色を見えたようでこの光景に見入ってますね。今見てる光景は、いろんな人の家の明りが町を明るくしてる光景です。

 

「全力でこいだ時に見えるこの景色が好きなんです。百万ドルの夜景とはちょっと違いますが、光の1つ1つに家庭が、家族があるんだと想像しますと、ほっこりします。そして・・・とう!」

 

勢いでこいだ後にジャンプ!こうやってとんだ記録を更新できるかどうかっていうのも、楽しみでもあるんです。

 

「よっと!着地成功!そして・・・あ!この位置は最高記録更新ですね!上杉さん、ここまで来れますか?」

 

「・・・なめんな・・・よ!!」

 

上杉さんもブランコの勢いに乗ってジャンプ・・・したかと思いましたら飛んできたのは上杉さんの靴だけでした。

 

「・・・え?」

 

何が何だかわからない私はブランコを見ました・・・て、え⁉ブランコが・・・上杉さんを乗せて1回転⁉こ、こんな光景見たことないです・・・!て、それより危ないんじゃないんですかあれ⁉

 

「う・・・上杉さん・・・?」

 

「はぁ・・・はぁ・・・。・・・はっ、ははははは!」

 

何が起きたのかわからなかった上杉さんは今まさに楽しそうに笑っていました。今まで心の奥底から楽しそうに笑ったことがなかった上杉さんが・・・楽しそうに・・・。

 

「見たかよ!これが俺の実力だ!実際何が起きたかわからなかったが!」

 

・・・あぁ・・・そういうことなんだ。私が本当に欲しかったものは・・・彼が心の奥から笑えるような姿なんだ・・・。そして・・・私が絵に残してみたいと思った、光景。

 

「もう、何やってるんですか。いい時間ですし帰りましょう」

 

「え・・・ああ・・・。しかし、結局何も上げられないまま・・・何かないか・・・」

 

靴を履き終えた上杉さんはポケットを探っていますと、私に何か渡してきました。

 

「こ・・・こんなものでよければ・・・」

 

「あはは・・・上杉さんらしいプレゼントですね」

 

私に渡してきたのはテスト問題集の単語帳でした。相変わらずの上杉さんに私は思わず笑みを浮かべます。

 

「ありがたくいただきます。でも・・・欲しいものはもうもらいました」

 

「???そ、そうなのか・・・?これ以外何か上げた記憶はないが・・・」

 

「はい!もらいました!」

 

「そうか?なら・・・いいんだが・・・。・・・本当に?」

 

今日はとってもいい日になりました。今度はみんなも一緒でこういう日にできたらいいなぁ。

 

「また来ましょうね。今度はみんなで」

 

上杉さん。今日はデートに誘っていただき、ありがとうございました!

 

♡♡♡♡♡♡

 

翌日、私は昨日出来上がったテーマの下絵を先生に見せて、課題合格をいただきました。こうして合格できたのは、六海の指導と上杉さんのおかげですよ。さーってっと、早く六海に報告しないと。どこにいるかなー?

 

「えっと・・・坂本君だっけ?六海に何か御用?」

 

「用ってわけやないんやけど・・・えっと・・・」

 

あ、噂をすれば・・・って・・・他の男子生徒と話してる。

 

「用がないなら行ってもいい?四葉ちゃん探さなきゃいけないし・・・」

 

うーん・・・なんか出づらい雰囲気・・・しかたない・・・ここは離れて・・・。

 

「林間学校で一目見た時から・・・あなたのことが好きになりました!!」

 

「・・・え?」

 

!!!!????こ、これはまさか・・・まさかまさかの・・・。

 

「六海さん!俺と付き合ってください!」

 

これは・・・やっぱり・・・愛の告白・・・!!と、とんでもないことを聞いちゃった・・・!!

 

16「勤労感謝ツアー」

 

つづく




おまけ

とある六つ子のお食事光景

六つ子「・・・」もぐもぐ

テレビ『ここ△△美術館は・・・』

四葉「あ、ここ六海が気に入ってる美術館だ」

三玖「本当だ」

テレビ『えー・・・この最優秀金賞を取った黒薔薇女子学園中等部の生徒さん、いかがですか?』

五月「え?ちょっと待ってください・・・このモザイクがかかってる子、六海じゃないですか・・・?」

二乃「え⁉嘘⁉あんたテレビに出てたの⁉」

六海「あ・・・あー・・・あの時のインタビューってこれかぁ・・・」

一花「へぇー、すごいなぁ。お姉ちゃん、鼻高々だよ」

NM『こんな若輩者の私がこんな賞をいただけるなんて・・・恐れ多いですが・・・とても・・・うれしいです。この美術館に・・・』

四葉「なんだか声高いなぁ・・・」

三玖「まぁ、身分をばれないためだと思う。それにしても・・・あざとい」

二乃「あざといわね」

一花「あざといね」

五月「あざといですね」

六海「みんなしてひどくない⁉あざとくなんかないよ!!」

この後六海は姉たちにいくつか質問されたような・・・

とある六つ子のお食事光景  終わり

次回一花視点

番外編を読むならどっち?

  • それぞれの季節に合わせたひと時の安らぎ
  • BanG Dream!とのクロスオーバー
  • 花嫁として選ばれた六つ子の姉妹の未来の話
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