六等分の花嫁   作:先導

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さようならのさようなら

『期末試験結果』

 

中野一花

 

国語22点

数学49点

理科39点

歴史26点

地理22点

英語38点

総合点196点

 

中野二乃

 

国語19点

数学24点

理科38点

歴史25点

地理18点

英語49点

総合点173点

 

中野三久

 

国語37点

数学43点

理科40点

歴史72点

地理28点

英語18点

総合点238点

 

中野四葉

 

国語37点

数学13点

理科20点

歴史30点

地理18点

英語28点

総合点146点

 

中野五月

 

国語45点

数学26点

理科70点

歴史24点

地理22点

英語36点

総合点223点

 

中野六海

 

国語29点

数学27点

理科24点

歴史36点

地理68点

英語40点

総合点201点

 

♡♡♡♡♡♡

 

期末試験が終わって私たちは返却されたテストの点数を見て、結構落胆している。あんなに勉強したのにこのざまだもん。当然だと思う。

 

「ほ・・・ほとんど赤点・・・」

 

「これはひどい・・・」

 

「あんなに勉強したのにこの結果かー・・・」

 

「改めて私たちってバカなんだね・・・」

 

「二乃、元気出して」

 

「四葉、あんたは自分の心配しなさいよ」

 

フータローが用意した問題集を全部解いて、土日は勉強づけしだったのに・・・。私たちがどれくらいのバカなのかっていうのを改めてわからされる瞬間だと思う。

 

「ちょうど家庭教師の日だし、今日は期末試験の反省がメインだろうね」

 

私たちが今日の勉強内容を予想していると・・・

 

ピンポーンッ

 

「お、噂をすれば来たかなー?」

 

「私が出ますね」

 

ちょうどインターホンが鳴って、五月が出迎えに向かった。

 

「あーあ、このテスト結果見たらなんていわれるんだろうねー・・・」

 

「フータローにしこたま怒られそう」

 

「だねー」

 

怒られるのはちょっと嫌だけど、それ以上にフータローが来ることが待ち遠しいっていう気持ちが上回っていた。

 

「なんでうれしそうなのよ」

 

「あはは・・・結果は残念だったけど・・・またみんなと一緒に頑張れるのが楽しみなんだ」

 

四葉の想いには大きく賛同できる。二乃も少なくとも、同じ気持ちみたい。本当、変わったなぁ・・・。

 

「あれっ」

 

「?どうしたのー?」

 

「すみません、上杉君じゃありませんでした」

 

?フータローじゃない?じゃあいったい誰が来たんだろう?私たちがそう考えていると、インターホンを押した来訪者がリビングに入ってきた。

 

「失礼いたします、お嬢様方」

 

リビングにやってきたのは、お父さんの秘書で運転手でもある江端さんだった。

 

「なんだー、江端さんかー」

 

「今日はお父さんの運転手はお休み?」

 

「小さい頃から江端さんにはお世話になってるけど、家に上がってくるとか初だよね?」

 

「ほほほ、何を仰る。私から見たらまだまだ皆様小さなお子様ですよ」

 

「むぅー・・・江端おじちゃんまで子ども扱いするー・・・」

 

江端さんは昔からお世話にはなってるけど、家に上がってきたことは今までなく、これが初めて。だから私たちは少し驚いてる。

 

「それにしてもフータロー君、遅いねー」

 

「また遅刻って、あいつも懲りないわね」

 

確かにフータローが来るのは遅いけど、それよりも今は江端さんがここに来た理由が気になる。

 

「江端さん、本日はどうしていらしたのですか?」

 

「本日は臨時の家庭教師として参りました」

 

臨時・・・ということは、今日はフータロー、来ないんだ・・・。連絡くらい入れてくれればよかったのに・・・。

 

「そ、そうなんだ・・・」

 

「江端さん、元は学校の先生だもんね」

 

「あいつサボりか」

 

「体調でも崩したのかな?」

 

「だったら今からでもお見舞いに行く?」

 

「・・・・・・」

 

「江端さん?」

 

私たちが各々で話し合っていると、江端さんは真剣みな表情を浮かべてた。

 

「・・・お嬢様方にはお伝えせねばなりません」

 

「「「「「「?」」」」」」

 

私たちに伝えたいこと?それっていったい何だろう?

 

「上杉風太郎様は先日、家庭教師をお辞めになられました」

 

「「「「「「・・・・・・・・・・・・え?」」」」」」

 

江端さんの言ったことに私たちは理解が追い付けない。フータローが・・・家庭教師を・・・やめた・・・?

 

「そこで、新しい家庭教師が見つかるまで私が務めさせていただきます」

 

「ちょ、ちょっと江端おじちゃん。ストップストップ。え?何言ってるの?」

 

「そ、そうだよ・・・何かの間違い・・・だよね?」

 

「も・・・もー、ずれた冗談辞めてよ」

 

これは江端さんの質の悪い冗談に決まってる。いや、そうであってほしい。フータローが家庭教師を辞めるなんて、信じられない。

 

「事実でございます。旦那様から連絡がありまして、上杉様は先日の期末試験で契約が解除なされました」

 

でも、現実は非情だった。お父さんは冗談を言う人じゃないというのはここにいる誰もが知ってる。そのお父さんから江端さんに連絡したってことは・・・

 

「え・・・つまり・・・フータロー君・・・もう本当に来ないの・・・?」

 

「・・・嘘・・・・・・」

 

江端さんから突きつけられた現実に、私は目の前が真っ暗になりそうだった。

 

「なんで・・・?どうして風太郎君がやめなくちゃいけないの・・・?」

 

六海の言うとおりだ。フータローが家庭教師を辞める理由がわからない。どうして・・・?

 

「・・・やっぱり・・・赤点の条件は生きてたんだ」

 

頭がごちゃごちゃになりそうになってると、二乃がそう言った。赤点の条件?

 

「どういうこと?」

 

「試験の結果よ。パパに言われたんだわ」

 

「ちょっと待って!そもそも赤点の条件って何?どういうこと?」

 

私たちの疑問に、事情を知っているのか五月が答えた。

 

「実は中間試験にもあったんです。もし私たちが赤点を取るようなことがあれば、上杉君はクビ、と」

 

「お、お父さんがそんなことを⁉」

 

そんなの初耳だ。・・・そうか。だからあの時フータローは最後の言葉みたいなこと言ってたんだ。じゃあ・・・今回フータローが辞めたことになったのは・・・私たちのせい・・・?

 

「そうよ!だからきっと今回も・・・」

 

「それは違うと思われます」

 

フータローが辞めることになったのは赤点のせいだということを、江端さんは否定した。

 

「今回旦那様は上杉様にノルマは設けていませんでした」

 

「!それって・・・」

 

「上杉様は自分からお辞めになったと伺っております」

 

「自分からって・・・」

 

「フータロー・・・どうして・・・」

 

赤点のせいじゃなく、自分から辞めただなんて、なおさら意味がわからない。なんで自分からなんて・・・。

 

「だからって、はいそうですかって納得できるわけないじゃん!!」

 

「六海の言うとおりです。彼を呼び出して、直接話を伺います」

 

「申し訳ありませんが、それは叶いません」

 

五月がスマホでフータローに電話しようとしたら、江端さんに止められた。

 

「上杉様のこの家への侵入を一切禁ずる。旦那様よりそう承っております」

 

「パパが⁉」

 

お父さんがそんなことを言うってことは・・・本気でフータローを家に入らせない気なんだ。

 

「なぜそこまで・・・」

 

「・・・わかった。私が行く」

 

お父さんが言ったのはこの家の出入り禁止。外で会うなとは言われてない。だったら自分から行って話を聞くしかない。そう思って家を出ようとしたら、江端さんに止められた。

 

「江端さん。そこどいて」

 

「なりません。臨時とはいえ、家庭教師の任を受けております。お嬢様方が最低限の教育を受けていただかなければここを通すわけにはいきません」

 

江端さんはやるべき仕事はしっかりやる人だから、ちゃんと勉強をやらないと私たちが何を言ったところで、絶対通さないのはわかってる。だから今この時だけは憎らしく思う。

 

「ぐぐぐ・・・江端さんの頭でっかち!」

 

「江端おじちゃんの石頭ー!」

 

「ほほほ、何とでも言いなされ」

 

私と六海の文句にも江端さんはどこ吹く風という感じに軽く流してる。悔しい・・・。

 

♡♡♡♡♡♡

 

私たちは仕方なく江端さんが出した課題を黙々と解くことになった。どうあがいたって無駄なことはわかってるから、大人しく課題を受けた方が賢明。

 

「江端おじちゃん!これ終わったら本当に外に出てもいいんだよね?」

 

「ええ。お嬢様方のご自由になさってください」

 

本人もこう言ってるし、さっさと終わらせてフータローに会いに行かないと・・・。

 

「全く・・・自分から辞めるって、あいつどういうつもりよ・・・」

 

「私はまだ信じられないよ・・・」

 

「そんなの六海も同じだよぅ」

 

「みんな同じ気持ちだよ。だから本人の口からちゃんと聞かないとね。誰か終わった?」

 

「私はもうすぐです」

 

「私も」

 

江端さんが出された問題は比較的に簡単だからすらすらと解くことができる。理由は2つほどある。

 

「この問題、比較的に簡単だよ。きっと江端さんも手心を加えてくれてるんだよ」

 

「そうね。前のアタシ達なら危うかった。でも今は、自分でも不思議なほどに問題が解ける」

 

1つ目の理由は、江端さんの手心をが加わった問題の解説。もう1つは・・・フータローの存在。主にこれが1番大きい。フータローがいなかったら、とっくにこの問題は挫折してた。

 

「悔しいけど、全部あいつのおかげだわ」

 

フータローが私たちにとってどれほどかけがえのない人だというのが、改めて認識できる。だからこそ、私も、みんなも納得できない。自分から家庭教師を辞めるだなんて今も信じられない。だからこそフータローの気持ちを聞きたい。そのためにも早く課題を終わらせないと・・・いけないのに・・・

 

「後1問・・・後1問なのに・・・」

 

「私も後は最後だけです」

 

「アタシもこの1問で最後よ」

 

最後の問題がどうしてもわからない・・・1度やったというのは覚えているのに・・・その解き方が思い出せない。みんなも最後の1問で戸惑ってるみたい。

 

「ほほほ、その程度も解けないようであれば特別授業に変更いたしますよ」

 

「「「「「「わーーっ!!」」」」」」

 

じょ、冗談じゃない。今ここで特別授業なんてされたら日が暮れてしまう。早く何とかして最後の問題を解かないと・・・

 

「これ、前にやったよね」

 

「うーん・・・」

 

「なんだっけー・・・」

 

「えーん、思い出せないよー・・・」

 

「・・・あの・・・」

 

私たちが最後の問題でつまずいて困った状態になっていると、五月が口を開いた。

 

「カンニングペーパー、見ませんか?」ボソッ

 

え?カンニングペーパー?

 

「!」

 

「それって、期末の・・・?」

 

「はい。全員筆入れに隠しておいたはずです」

 

た、確かに私たちに筆記用具入れにフータローからもらったカンニングペーパーはあるけど・・・まさか五月がそんなこと言うなんて思わなかった。

 

「で、でも・・・い・・・いいのかなぁ・・・?」

 

「有事です。なりふり構ってられません」

 

五月、なんかフータローみたいな悪い顔してる・・・

 

「五月が上杉さんみたい!」

 

「あんた変わったわね・・・」

 

ちょっと驚いたけど・・・確かにこんなところで躓くわけにはいかないし・・・これを頼りにするしかない。みんなも渋々ながら決断してくれたみたい。後は・・・江端さんが席を外してるところを狙わないと・・・。

 

「あ、江端おじちゃん行ったよ」ボソッ

 

「よし、今だよ。カンニングペーパーを」ボソッ

 

「はい」ボソッ

 

江端さんが席を外したところを見計らって五月は自分の持ってるカンニングペーパーを広げた。

 

「・・・・・・」

 

「?五月ちゃん?どうしたの?」

 

「いえ・・・これは・・・どういうことでしょう・・・?」

 

五月はカンニングペーパーを見ても答えがわからないのか疑問を浮かべた表情をしてる。

 

「何というか・・・私のはミスがあったみたいです・・・」

 

「あはは・・・じゃあ私のを使お」

 

今度は一花が筆記用具からカンニングペーパーを取り出しそれを広げる。

 

「えーっと・・・安?」

 

内容が気になって私たちは一花のカンニングペーパーを確認する。そこに書かれていたのは・・・

 

『安易に答えを得ようとは愚か者め』

 

「「「「「「・・・・・・」」」」」」

 

私たちがカンニングをすることを見透かしたような言葉が書かれてた。これ、カンニングペーパーじゃなかったって事だよね。

 

「なーんだ」

 

「何よ。最初からカンニングさせるつもりなかったんじゃない」

 

「でも、フータローらしいよ」

 

「だね。ちょっと安心したよー」

 

この手紙の内容がフータローらしさがあって、思わず笑みを浮かべてる私たち。

 

「・・・って!感心してる場合じゃないよ⁉️答えわからなくなっちゃったよ⁉️」

 

「・・・はっ!そうでした!どうしましょう・・・」

 

これがカンニングペーパーじゃないとわかって私たちは少し焦りが出始める。どうしよう・・・このままじゃ特別授業・・・

 

「・・・あれ?ちょっと待って。まだ何か・・・」

 

手紙の文章に続きがあるのを気づいた一花はさらに紙を広げてみると・・・右矢印の②って書かれてる。

 

「②って・・・これ・・・」

 

「アタシのを指してるのかしら」

 

この文章の続きは二乃の持ってるものに続いてるとわかって、二乃はこれと同じ紙を取り出して広げてみる。そこに書かれていたのは・・・

 

『カンニングする生徒になんて教えられるか。➡③』

 

「自分でカンニングって言ったんじゃない・・・」

 

「繋がってる・・・てことはこれ!上杉さんの最後の手紙だよ!」

 

これがフータローが私たちにあてた最後の手紙だと知って、私たちはすぐに自分の持ってる手紙を取り出す。③だから次は私・・・

 

『これからは自分たちの手で掴み取れ。➡④』

 

これ、私たちを応援してくれてるのかな?次は④だから四葉・・・

 

『やっと地獄の激痛から解放されてせいせいするぜ。➡⑤』

 

「・・・あははは・・・やっぱりやめたかったんだ・・・。私たちが相手だもん。当然だよね・・・」

 

確かに・・・フータローには迷惑をかけてばっかりだったけど・・・何もそんなにハッキリ書かなくても・・・

 

「次、五月だったわよね」

 

「・・・・・・」

 

「?五月ちゃん?なんて書いてあるの?」

 

五月は自分の持ってるカンニングペーパーを見て、黙ってる様子を見て、私たちはその内容を確認する。そこに書かれていたのは・・・

 

『だが、そこそこ楽しい地獄だった➡⑥』

 

!これが・・・フータローの気持ち・・・辛いことがあっても・・・それも含めて・・・

 

「・・・ずるいですよ・・・こんなの・・・」

 

「・・・最後、六海だったよね」

 

「う、うん」

 

最後に六海の番が回って、六海は手紙を広げる。すると・・・手紙を読んだ六海の目からは涙があふれてた。

 

「む、六海・・・?どうしたの・・・?」

 

「こ・・・これ・・・」

 

今にも涙がこぼれそうな六海は手紙の内容を私たちに見せた。内容は・・・

 

『少しだけ、充実した時間をくれて、ありがとよ。じゃあな』

 

私たちと過ごした時間へのお礼と、最後のお別れの言葉が添えられてた。

 

「違うよ・・・お礼が言いたいのはこっちの方だよ・・・」

 

その通りだ。フータローのおかげで、私たちは大切なことをいっぱい学んだ。落ちこぼれだった私が、がんばってみようと思えたのも、全部、フータローのおかげ・・・。

 

「・・・やだぁ・・・これでお別れだなんて・・・やだよぉ・・・わあああああああん!!」

 

六海はフータローの想いを知って、自分の想いが抑えきれなくなって大声で泣きだした。そして、四葉は泣いてる六海をなだめるように抱きしめて、自分の想いを口にした。

 

「・・・私だって・・・まだ上杉さんに勉強、教えてもらいたいよ・・・」

 

そんなの・・・私だって・・・同じ思い・・・

 

「・・・私だって・・・フータローなしじゃ・・・もう・・・」

 

私、フータローにもっと勉強、見てもらいたい・・・。習ったところも、これからの問題も・・・。このままお別れだなんて嫌だ・・・!

 

「そうは言ってもあいつはここには来られない。もうどうしようもないわ」

 

「で、ですが・・・何か方法はないのでしょうか・・・?」

 

五月の言うとおり、何か別の方法があるはず・・・それさえあればきっとまたフータローと一緒にいられる。でも、何があるんだろう・・・?

 

「・・・ねぇみんな。私から1つ提案があるんだけど、いいかな?」

 

どうするか悩んでいると、一花が1つの提案を出してきた。その提案の詳細を聞いて、私たちは目を見開かせる。

 

「え・・・」

 

「それ、本気?」

 

「うん。前々から考えてたことなんだ。後はみんなの意見次第。どう?」

 

一花の出した提案なら・・・フータローの出禁指示を気にする必要はなくなる。そうなると・・・私の答えはもう決まってる。

 

「私はいいと思う。それでまた、フータローと一緒に頑張れるなら・・・」

 

私の答えは賛成にした。他のみんなの意見は・・・

 

「どこにいるかは重要じゃない!私も賛成だよ!」

 

「六海も!このまま何もしないのは嫌だもん!」

 

「上杉君の説得が難しいですが・・・私たちなら、何とかなりますよね!」

 

「・・・仕方ないわね。ま、乗り掛かった舟よ」

 

「決まりだね」

 

みんなも同じ意見で満場一致。一花の提案は採用するされた。でもこれを実行するには、私たちの力だけじゃ実現できない。大人の手も借りないと。そして、協力してくれそうな大人の人は、すぐ近くにいる。

 

「おや、どうなされましたかな?」

 

「江端さんもお願い。協力して」

 

「!」

 

私たちは江端さんに向けて、協力のお願いをする。

 

(あれほど小さかったお嬢様方が・・・こんなにも立派になられて・・・)

 

私たちが小さかったころからずっとお世話になってきた江端さんなら・・・きっと・・・協力してくれるはず・・・。

 

「・・・大きくなられましたな」

 

私たちのお願いに江端さんはにっこりと微笑んでる。ああいう微笑み方をするってことは・・・協力をしてくれることを意味してる。これで後は実行に移すだけ。待っててね、フータロー。

 

♡♡♡♡♡♡

 

学校の行き来をしながら、一花の計画の準備やら何やらをしていたら、いつの間にか日付は12月の24日のクリスマス・イヴ。学校の終業式が終わって、一通りのことを終わらせてから私たちはある場所の中にいる。

 

「ケーキ屋、Revival・・・」

 

「あいつがこんなしゃれたところでバイトしてたなんて想像してなかったわ・・・」

 

「でも、ここにいるってわかったのは、六海のおかげだよー」

 

「ううん、真鍋さんから聞いただけだから六海は何もしてないよー」

 

六海の友達の真鍋さんの話によると、真鍋さんの孤児院の同僚の子がこのケーキ屋、Revivalでアルバイトで働いてる。そしてその同僚の子が言ったんだって。ここに最近フータローがアルバイトとして入ってきたって。

 

「あはは。春ちゃんもありがとね。五月ちゃんのお世話になっただけじゃなくて、フータロー君のこと教えてくれて」

 

「ううん、気にしないで~。みんなの役にたてれば私はそれでいいから~」

 

今私たちと話しているこの人が春さん。真鍋さんの同僚の子。三つ編み髪と瞼を閉じたような目が特徴になってる。

 

「でも、いいの?こんな簡単に教えちゃって・・・」

 

「いいの~。これ、店長のお気遣いでもあるから~。ね~♪」

 

「うん。春ちゃんのお友達の頼みなら断るわけにはいかないからね」

 

私の問いかけに春さんはにこにこして、両目に隈ができてる店長さんに向けてグッドサインを送ってる。店長さんもグッドサインしてる。事情は今日ここに来た時に話したら2人とも快く承諾してくれて、フータローが今どこにいるかを教えてくれた。だから今フータローのいるところに五月が迎えに行ってる。ちなみに春さんと友達なのは以前孤児院にお世話になった六海と五月であって、私たちは今日が初めまして。

 

「みんな、上杉君を連れていきましたよ」

 

「・・・・・・」

 

春さんと話していると、五月がお客さんの呼び込みをしていたフータローを連れて戻ってきた。フータローはあまりに無表情な顔をしてるけど、私たちはまたフータローと会えてうれしい。

 

「やっほー、フータロー君。久しぶりー♪」

 

「会いたかった」

 

「たく、勝手にいなくなってんじゃないわよ」

 

「上杉さん、サンタさんの恰好、似合ってますよー♪」

 

「風太郎君、クリスマスイヴなのに働いててえらいよー」

 

フータローは私たちを無言で見つめると、今度は恨めしそうに春さんを見つめてきた。

 

「・・・おい、春・・・おま・・・」

 

「さーって、私はお仕事に戻りま~す♪フータロー君、こちらのお客様のご注文、聞いておいてね~♪じゃ、がんばってね~♪」

 

「お、おい待て!!」

 

フータローは春さんに文句を言おうとしたけど、その前に春さんは仕事に戻っていった。これで私たちの席に残ったのは、私たちとフータローだけになった。

 

「・・・・・・はぁ・・・ご注文はケーキ1ホールでしたね」

 

「あ、はい。そうです。お願いしますね」

 

「上杉さん、お仕事頑張ってくださいね!」

 

「あ、でもでも、なるべく早く戻ってきてね!」

 

「うんうん、女の子を待たせるのはよくないからね」

 

「何よりももっとフータローと話したい」

 

「・・・仕事中なんだから無理言うなっての」

 

フータローは仕事という理由を使って私たちから逃げるように他のお客さんの対応しに向かった。

 

「・・・やっぱり私たちを避けてますね・・・」

 

「もう、つれないんだから」

 

「お仕事、時間かかるかなー?」

 

「まぁ、いいわ。とりあえず待ちましょう」

 

フータローに避けられて、ちょっと悲しいけど問題ない。少なくとも店長と春さんは私たちの味方をしてくれてる。話す機会は作ってくれるって約束してくれたし。それで待つこと数分後・・・。

 

「フータロー君、このケーキをあそこのお客様に届けてあげて~」

 

「げっ・・・なんで俺なんだよ・・・」

 

向こうの方でフータローが春さんに文句を言ってる声が聞こえてきた。

 

「それはほら~、フータロー君のお友達だし~」

 

「お前が持ってんだからお前がいけよ」

 

「え~?いやだよ~。フータロー君が行って来て~」

 

「だからなんで⁉」

 

「フータロー君。年齢は同じでも、立場は私が先輩なんだよ~?先輩の言うことを聞かなかったら、お給料上がらないよ~?」

 

「き・・・汚ねぇ・・・!」

 

「じゃ、よろしくね~♪」

 

「お、おい!!」

 

春さんはフータローに無理やりケーキを押し付けた後、自分の仕事に戻っていった。そして一瞬、私たちに向けてにっこりと微笑んだ。ありがとう、春さん。観念したフータローはケーキを持って私たちのいる席までやってきた。

 

「・・・ケーキ1ホールご注文のお客様」

 

「フータロー君、待ってたよー」

 

「お仕事、お疲れ様です!」

 

「いや~、真面目に働いて感心感心♪」

 

「そんなことより、寂しい」

 

「ケーキも遅いわ」

 

私たちの言葉でフータローは眉をひくひくさせてる。

 

「・・・仕方ないだろ。今日は店は繁盛・・・」

 

「ちょっと、アタシ達お客。あんたは店員。わかるわよね?」

 

「・・・さっさと持ってお帰り下さいませ~・・・」

 

「あーら、できるじゃない」

 

二乃の指摘にフータローは目が笑ってないスマイルを見せてる。そんなフータローに二乃は皮肉で返す。

 

「すみません、ケーキの配達ってできますか?やっぱり家に届けてほしいのですが・・・」

 

「はあ?」

 

五月の言葉にフータローは何言ってんだこいつって顔をしてきた。

 

「配達なんてやってないけど」

 

「えー、それくらいいいでしょ?」

 

「雪降ってるし、落としちゃうかも」

 

「大丈夫です!すぐそこなので!」

 

「お願いだよー、三百円あげるからー」

 

「私からもお願いします」

 

「こんなにもか弱い乙女に持たせる気?」

 

「店長ーーー!!やばい客がいまーーす!!」

 

私たちからのクレームにフータローは店長に助けを呼んでる。

 

「もう店も閉める。こっちはもういいから最後に行ってあげなよ」

 

「はあ!!?店長、そんなこと・・・」

 

「まあまあ、これもお仕事だと思って、ね♪」

 

「またお前そんな・・・」

 

「上杉君」

 

「フータロー君」

 

「「メリークリスマス♪」」

 

(・・・このバイトもやめよっかな・・・)

 

店長さんと春さんの協力もあってフータローは私たちの家までケーキを配達することになった。

 

♡♡♡♡♡♡

 

お店に出た後、私たちはフータローにケーキを配達してもらいながら、私たちの家へと続く道のりを歩いてる。

 

「~♪」

 

「四葉ちゃん、雪の上は危ないよー。滑っても知らないよー」

 

「と、経験者は語るんだよねー」

 

「そそそ、そんなことないよ⁉」

 

「全く、2人ともお子様なんだから」

 

「お子様じゃないよ!」

 

「・・・・・・」

 

穏やかな会話をしているなか、フータローはかなり黙り込んでいる。距離も私たちより結構遠いし・・・。あ、この道を曲がってっと・・・

 

「!おい、お前らの家はこっちじゃないだろ」

 

「違うよー」

 

「こっちこっちー」

 

今私たちが歩いている道はあのマンションへの道のりではない。理由はすぐにわかる。

 

「・・・あのさ・・・黙って辞めたことは悪かった。だが俺はもう家庭教師には戻れねぇ」

 

フータローは重苦しい雰囲気で私たちにそう言ってきた。

 

「・・・これを見てください」

 

五月はかばんからある用紙を取り出して、それをフータローに見せる。これは新しい家庭教師の面接書。証明写真には褐色の肌にメガネをかけたかなりラフな大人。名前は阿多辺丸男さん。

 

「この人が私たちの新しい家庭教師です」

 

「!」

 

「上杉君にも見せておきたくてこうして赴いた次第です」

 

「・・・・・・そ、そうか・・・意外と早く決まったな・・・」

 

新しい家庭教師が決まったことを聞いた瞬間、フータローは一瞬複雑そうな表情をしたのを私たちは見逃さなかった。

 

「・・・東京の大学出身で元教師・・・へぇ~・・・。優秀そうな人で良かったじゃないか。見た目は結構怪しいがな。この人なら赤点回避まで導いてくれるだろう」

 

多分フータローは私たちのことを思っているんだけど・・・私たちはどうしても納得できない。

 

「・・・ねぇ、なんで?」

 

「なんでって・・・何が?」

 

「なんで他の人に任せて、六海たちを見捨てようとするの?」

 

「・・・っ」

 

私たちの想いを六海が代表してフータローに尋ねている。

 

「あの時言ったよね?自分の使命は六海たち全員卒業、1人でも欠けたら意味ない、だから見捨てないって。六海、その言葉を信じてたんだよ?なのに、なんで?あれは嘘だったの?」

 

「・・・っ!・・・嘘じゃない。だが、今更俺に何ができるって言うんだ。俺は2度のチャンスで結果を残すことができなかった。次の試験だってうまくいくとは限らない。だったら、プロに任せるのが正解だ。これ以上、俺の身勝手にお前らを巻き込めないんだ・・・」

 

フータローは、自身に重い責任を感じていたんだ・・・。それで、私たちのことを考えたうえで、家庭教師を・・・。でも・・・その身勝手さのおかげで、私たちが変わることができたのは、事実。

 

「そうね。あんたはこれまでもずっと身勝手だったわ。そのせいでしたくもない勉強をさせられて、必死に暗記して公式を覚えて・・・でも、問題を解けたら嬉しくなっちゃって・・・。悔しいけど、ここまでこれたのは、全部、あんたのせいよ」

 

「・・・っ」

 

「中途半端で終わらせてないで、最後の最後まで身勝手なままでいなさいよ!!今更謙虚なあんたなんて、気持ち悪いだけよ!!」

 

一言余計だと思うけど、二乃、珍しくいいこと言った。それでもフータローの表情は晴れない。

 

「・・・悪い。でももう戻れないんだよ」

 

「・・・どうしてかな?」

 

「俺は家庭教師を辞めた。お前らの家に入ることさえ禁止されてる。どうしようもないんだ」

 

「それが理由?」

 

「ああ。早く行こうぜ」

 

「もういいよ、ここで」

 

「・・・え?」

 

一花の言ってる意味がわからず、フータローはきょとんとしてる。ふふ、驚いてる驚いてる。

 

「はい、ケーキ配達ご苦労様♪お疲れだったでしょ」

 

「いや、まだ家についてな・・・」

 

「ここだよ」

 

「は?」

 

「あれを見てごらん」

 

一花の視線の先には、あのマンションとは比べ物にならないくらいに小さくて、少し古い雰囲気を出しているアパートだった。

 

「ここが私たちの新しい家」

 

事情を全く知らないフータローは目を見開かせてる。

 

「・・・え?どういう意味だ・・・?」

 

「このアパートの一室を借りたの。あ、お金なら心配しないで。私だってそれなりに稼いでるんだよ?」

 

「いや・・・そうじゃなく・・・」

 

「といっても私たち、未成年だから契約をしたのは別の人だけどね。あ、あと事後報告だけど、お父さんにももう言ったから大丈夫」

 

「ま、まさか・・・」

 

「うん。今日から私たち六つ子は、ここで暮らす。これであそこに入らずに済むから問題解決」

 

「なっ・・・」

 

これが一花の言っていた計画の一部。私たちの居住拠点をあのマンションからここに移し、フータローを驚かせる。私たちの狙い通り、フータローは驚いてくれてる。

 

「これで障害はなくなったね」

 

私たちがここで暮らすとわかったとたん、フータローは信じられないといった顔をしている。

 

「な・・・なんのために引っ越しなんて・・・」

 

「決まってるじゃないですか」

 

「上杉さんに、また勉強を教えてもらうためですよ!」

 

フータローの疑問に四葉があっさりと答えた。

 

「嘘だろ・・・そんなバカな・・・たったそれだけのために・・・あの家を手放したのか・・・?それも・・・6人全員で・・・?」

 

「はい!そうです!」

 

「ば・・・バカかお前ら!!いや、バカだろ!!今すぐ前の家に戻れ!!こんなの間違ってる!!このままあの家で新しい家庭教師を雇えば、うまくいくはずだ!!」

 

フータローはあのマンションに戻るように言っているけど、そんなことじゃ私たちの決意は揺らいだりはしない。

 

「上杉さん。私、以前言いましたよね。私たちにとって、大切なのはどこにいるかではなく、6人で一緒にいることなんです」

 

私たちの決意表明として、四葉はあのマンションのカードキー6人分を川に投げ捨てた。

 

「・・・っ!!マンションのカードキー・・・!本当にやりやがった・・・!!」

 

私たちの決意に驚いているフータローは足を一歩下がって・・・

 

ツルッ

 

「あ・・・」

 

「「「「「「!!!???」」」」」」

 

フータローが足を滑らせ、倒れる先には・・・冬の季節で冷えきってる川。

 

どぼんっ!!

 

フータローが川に・・・落ちちゃった⁉️

 

「フータロー!!」

 

川へと落ちていったフータローを見て私はすぐにかわに飛び込んでいく。

 

「フータロー君!!」

「上杉!!」

「上杉さん!!」

「上杉君!!」

「風太郎君!!」

 

ドボーン!!×6

 

みんなも私と同じタイミングで川へ飛び込み、フータローを引き上げていく。

 

「ぷはっ!フータロー!大丈夫⁉」

 

「ぜ、全員で飛び込んでどうするんですか⁉」

 

「「「って、冷たーーーーーー!!!」」」

 

「「寒------!!!」」

 

川はかなり冷え切って冷たいし、冬の気温でめちゃくちゃ寒いけど、そんなことより今はフータロー!

 

「お前ら・・・なんで・・・」

 

「たった2回で諦めないでほしい・・・今度こそ私たちはできる・・・フータローと一緒ならできるよ」

 

「三玖・・・」

 

「成功は失敗の先にある・・・でしょ?」

 

「!」

 

と、とにかく寒いし冷たい・・・早くフータローを引き上げないと・・・

 

「二乃ちゃん⁉どうしたの⁉」

 

「つ・・・冷たくて・・・体が・・・」バシャバシャ

 

陸に上がろうとした時、二乃が川の冷たさで体が思うように動けずにおぼれかけてる。こんな時に・・・!

 

「二乃!!」

 

フータローはおぼれかけてる二乃の腕を掴み上げて、その腕を自分の肩に乗せた。ほっ・・・よかった・・・安心した・・・。

 

「・・・はぁ、はぁ・・・上がれるか?掴んでろ」

 

「え、ええ・・・」

 

フータローと二乃と一緒に私たちが陸に上がると冬の寒い風が吹きすさぶ。うぅ・・・寒い・・・濡れた体にはかなり堪える・・・。

 

「はぁ・・・全く・・・こんなアパートに引っ越したり、川に飛び込んだり・・・あまりにも無茶苦茶だ・・・。お前ら・・・後先考えて行動しやがれ・・・」

 

・・・おっしゃる通りです・・・。

 

「これだからバカは困る。なんだか・・・お前らに配慮するのもバカバカしくなってきたぜ」

 

「!それって・・・もしかして・・・」

 

「ああ。完全に吹っ切れた。もうこうなったらお前らに遠慮なんてしねぇ。向こうの事情なんて知るか。俺もやりたいようにやらせてもらう!ここまで俺を引き留めたんだ。お前らも俺の身勝手に付き合えよな。最後の最後までな!」

 

よかった・・・いつものフータローに戻った・・・。そして、私たちの関係もいつも通りに戻った・・・。そう思ってるのは、みんなも同じだった。

 

「そうと決まれば早く家に入ろ!」

 

「このままじゃ風邪ひいちゃうよー」

 

「あ!ケーキは無事ですか?」

 

「大丈夫だけど、六海のメガネが流されたー。よく見えないよー」

 

「スペアのメガネがあるでしょ?それか、新しいメガネを買えばいい」

 

私たちはせっせと階段を上って、とっさに置いてきたケーキを手に持つ。

 

(・・・さようならだ。零奈)

 

「フータロー、早く行こ」

 

「一緒にケーキ食べようよー」

 

「おう。でも・・・いいのか?俺が入ったら・・・ケーキを6等分できないぜ?」

 

フータローのうまい発言に私たち六つ子はおかしくなって、クスリとお互いに笑いあった。やっぱりこの7人でいると、気持ちが温まる・・・。だからいつも通りに戻ってよかった。

 

「・・・つーか新しい家庭教師の人に謝んないとな・・・」

 

「ええっと・・・それはお気になさらずに・・・」

 

「ん?なんでだ?」

 

「だって謝る必要なんてないんだもーん♪」

 

「???どういうことだ・・・?」

 

フータローは新しい家庭教師に謝る必要がないことに疑問を抱いてるけど、私たちは普段通りにしてる。だってこの新しい家庭教師だって、一花の計画の一部だもん。

 

♡♡♡♡♡♡

 

『六つ子の父親』

 

一方その頃、黒いリムジン車は長い道路を走っている。リムジンには運転手の男とその主である男が乗っている。

 

「江端、今日は遅かったね」

 

「申し訳ございません、旦那様」

 

「構わないさ。・・・しかし、その恰好はいったい・・・」

 

「ほほほ、イメチェンでございます」

 

「そうか・・・まぁいい」

 

運転手、江端の姿は、六つ子が風太郎に見せた面接写真に写っていた男とそのまんまであった。つまり、阿多辺丸男の正体は、中野家の執事、江端だったのだ。

 

「やってくれたね・・・上杉君。しかし・・・君のような男に娘はやれないよ」

 

江端の主にして、総合病院の院長・・・そして、六つ子たちの父親である男、中野マルオは鉄仮面のような表情でこの場にはいない風太郎に向けてそう言い放った。

 

23「さようならのさようなら」

 

つづく




おまけ①

六つ子ちゃんはケーキを7等分できない

三玖「・・・とりあえず、ケーキは丸々無事なのはいいけど・・・」

二乃「ケーキを7個平等にって絶対無理じゃん・・・」

一花「もういっそスプーンで直で食べちゃおうよ」

二乃「行儀が悪い!」

六海「いっそのことガブリつく?」

二乃「もっと行儀が悪いわ!」

四葉「横に切れば簡単だよ!」

二乃「格差がむごいわよ!」

五月「私は1番大きいのがいいです・・・」

二乃「協調性0か!!」

三玖「イチゴはどうするの?」

一・二・四・五・六「あ・・・」

風太郎「なんだよ、まだやってんのか?」

一花「いやー、だって7等分って難しいんだもん」

風太郎「・・・たく、しょうがねぇな。いいか?とりあえず7角形があると想定して、7角形の角を真ん中までたどって切っていけば・・・」

六海「おお!きれいに7等分できた!」

五月「こ、これをいただきます!」

四葉「さすがは上杉さんです!」

風太郎「ふっ・・・」ドヤァ・・・

二乃(・・・やっぱこいつなのは間違ってるわ)

六つ子ちゃんはケーキを7等分できない  終わり

♡♡♡♡♡♡

おまけ②

四女ちゃんと末っ子ちゃんはサンタさんを信じてる

一花「ふぅ・・・ケーキおいしかったね」

五月「私としてはもっと食べたかったです・・・」

二乃「あんたはもう少し協調性を持ちなさいよ」

六海「ふぅ・・・さて、ケーキも食べたし、六海はもう寝るね」

風太郎「ん?もう寝るのか?」

六海「うん。だって、早く眠ったいい子には、サンタさんが来てくれるんだもん♪」

風太郎「・・・は?」

六海「そういうわけだから、もう寝るね!今年のプレゼントは何かなー?」

風太郎「・・・行っちまった・・・。なぁ、まさかあいつ・・・いい年してサンタなんて信じてんのか?」

四葉「は!そうだった!私も早く寝ないと!そういうわけなので上杉さん、おやすみなさい!」

風太郎「お前もか」

三玖「高校生になっても2人とも、未だにサンタがいるって信じてるみたい」

五月「毎年プレゼントをもらったーって私たちに見せてくるんですけど・・・」

二乃「実際にプレゼントを渡してるのは江端さんよ」

風太郎「そいつはまぁ・・・」

一花「まぁそういうわけだからフータロー君、協力してくれないかな?ほら、プレゼントも用意してあるよ」

風太郎「は?」

二乃「そうね。服装もちょうどサンタだし、つけ髭もつければ完璧ね」

風太郎「いや、あの・・・」

五月「・・・すみません。こればっかりはちょっと・・・」

三玖「お願い。四葉と六海の夢を壊さないであげて」

風太郎「・・・・・・」

結局風太郎は今年のサンタとなって、寝てる四葉と六海にプレゼントを置いてあげたとさ。

四女ちゃんと末っ子ちゃんはサンタさんを信じてる  終わり

次回、六つ子視点

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