六等分の花嫁   作:先導

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屋上の告白

「・・・ん・・・眠い・・・」

 

私こと、中野三玖はいつもより早い時間に起きてしまった。私の寝ぼけた視線にはいつも使ってるパソコン、本棚にきれいに整理された歴史書や戦国武将が出てくる漫画や本が映っている。ゲーム機は埃が立たないようにタオルを敷いている。

 

・・・本当に眠い。一花というわけではないが、二度寝をしたい気分になっている。

 

「・・・そういえば今日は江端さんが学校送ってくれるんだっけ・・・」

 

江端さん。医者として働いているお父さんの秘書として働いてくれる人だ。あの人はお父さんと同じく、あまりうちには来ない人だけど、今日に限って私たちを学校に送ってくれるらしい。

 

「・・・そんなことしなくてもいいのに・・・」

 

新しい学校は黒薔薇とは違ってここから歩いて十数分で着く程度で着く道のりだからそこまでしなくてもいいのに。まぁ多分新しい学校でまだ慣れてないこともあるだろうと思ってお父さんが手配してくれたんだろうと思うけど、正直言っていらない。でもまぁ、ここまで来て無下にはできないし、今日だけはお言葉に甘えるけど・・・お父さんにはちゃんとメールで伝えておかないと・・・。

 

「・・・着替えよ」

 

私はとりあえずじっとしてるわけにもいかないから学校の制服に着替えておく。それから・・・ヘッドホン。これは絶対に外せない。

 

『六海!またですか!そう何度もやられる私ではありませんよ!』

 

『むむむ・・・パターン覚えたって本当なんだ・・・なら強行突破だー!!』

 

『きゃあああ!!む、六海!あ、あははは!や、やめてくだ・・・あははは!』

 

ああ、まただ。またあの微笑ましい声が聞こえてきた。これが毎朝うちに聞こえてくる五月と六海のやりとり。もうくすぐりの心配はないって五月は言っていたけど、実際はそうはならず、いつも六海の勢いに負けてる。

 

五月は六海になんだかんだと弱いところがあって、六海が泣き寝入りして頼みごとをした際にはほぼ確実に頼みごとを聞いている。毎朝のこれだって多分六海がウソ泣きをしたら絶対に五月が負けて今のような声を微笑ましい声が聞こえる、というのが容易に想像できる。正直、このやり取りを聞くのが毎朝の密かの楽しみでもある。

 

「・・・様子見に行こう」

 

さて、じゃあ今日もいつものようにあの2人の様子を見て笑いにいきますか。

 

♡♡♡♡♡♡

 

六海と五月のやり取りを見て、その後に朝食を食べ終えたら外で待っていた江端さんのリムジンに乗って学校へと向かっていく。自分はお嬢様って柄じゃないからこういった登校はあまり好きじゃない。でもそれ以上に好きじゃないことは・・・

 

「それでねそれでね!次の展開がもーっと面白いの!江端おじちゃん、もっと聞いてー!」

 

「ほほほほ」

 

・・・う、うるさい・・・。リムジンに乗ってから六海がずっとテンション高く江端さんと話をしている。一花と四葉はこの様子を微笑ましい様子で見てるけど、私と二乃、五月はあまりいい表情をしていない。

 

六海は江端さんをやたらと気に入ってるらしく、呼び方もおじちゃんなんて呼んでる。江端さんとは会う機会も話す機会も少ないからそれを埋めるかのように六海は江端さんにマシンガントークを繰り返してる。正直このテンションの六海にはあまりついていけてない。そんな六海にたいして江端さんは嫌な顔1つせず1つ1つ丁寧に六海の話し相手になってる。すごいなぁ・・・私たちじゃとてもマネできない。

 

「お嬢様方、そろそろ学校になられます。降りる準備を」

 

「お忙しい中わざわざありがとうございます」

 

「そっかー。江端おじちゃんともっとお話ししたかったんだけど、残念」

 

「ほほほ、光栄でございます」

 

や、やっと六海のマシンガントークから解放される・・・短い道のりが案外長く感じるようになった車登校だった・・・。

 

リムジンが止まって、降りる準備をしようとしたらふと外から物珍しそうな視線を感じる。リムジンのドアを開けてみるとそこにいたのは先日、不本意ながら私たちの家庭教師となり、一昨日テストの結果に怒って私たちを追いかけまわした張本人、上杉風太郎ことフータローだった。

 

「あ、フータロー君。おはよう」

 

「おはようございます!」

 

「な、何ですか?じろじろと不躾な」

 

まぁ、物珍しそうに見ていた気持ちはわからないでもない。私たちも初めはそうだったし。

 

「・・・お前ら!一昨日はよくも逃げて・・・」

 

またいろいろといわれることを危惧した私たちはすぐさまフータローから逃げていく。

 

「ああ!またっ!・・・よく見ろ!俺は手ぶらだ!害はない!」

 

そう言ってフータローは私たちに害を与えないアピールを露骨にさらしてるけど私はとても警戒深い。だからフータローの言うことなんてとても信じられない。

 

「騙されねーぞ」

 

「参考書とか隠してない?」

 

「油断させて勉強教えてくるかも」

 

「それにさっき落としたの、絶対参考書でしょ!」

 

それは二乃と一花、六海も同じ気持ちらしく、真っ向からフータローを警戒してる。

 

「・・・私たちの力不足は認めましょう。ですが、自分の問題は自分で解決します」

 

「勉強は1人でもできる」

 

「あなたはお呼びじゃないんだよー!ベー!」

 

「そうそう。要するに余計なお世話ってこと」

 

「・・・そ、そうか・・・じゃあ一昨日のテストの復習は当然したよな?」

 

・・・・・・。全員答えようとしない。というより、テストの復習なんてこれっぽっちもしてない。

 

「問1。厳島の戦いで毛利元就が破った武将を答えよ」

 

こ、この問題は・・・!私の得意な歴史!しかも、武将関連!実をいうと、一昨日の小テスト、私はこの問題を正解してる。とても簡単だった。

 

い、今すぐにでもこの問題の答えを言いたい・・・!けど・・・。

 

「「「「「・・・・・・」」」」」

 

みんなは知らない・・・というより隠してるんだから知らなくて当然だ。私が、戦国武将好きだということを。今まで隠してきた努力を、こんなところで崩すわけにはいかない。だから私も無言で通す。

 

だって私は・・・6人の中で落ちこぼれだもん。

 

♡♡♡♡♡♡

 

も・・・もやもやする・・・!

 

フータローが出した問題を答えられなかったもどかしさと、答えたくてうずうずする気持ちがごっちゃになって私の中を駆け巡る。ああ・・・まさかこんな気持ちになるなんて思わなかった。答えたくて答えたくてしょうがない。表情こそいつもと変わらないようにしてるけど、心の中ではきっといろいろと歪んでるはず。

 

こんな気持ちのままで午前の授業が全部終わった。正直、今朝のことでほとんど内容が頭に入らなかった。こんな気持ちにさせるなんて・・・六海の言うとおり、フータローはいじわるだ。

 

・・・少し気持ちを切り替えよう。購買部で買ったサンドウィッチと自販機で買った私の好きな飲み物、抹茶ソーダで気分を落ち着けよう。そう考えていると・・・

 

「よ、よう・・・三玖」

 

朝の問題を出してきたフータローが出てきた。気分変えようと思ったのに・・・。

 

「350円のサンドウィッチに・・・なんだ?その飲み物は?」

 

「抹茶ソーダ」

 

「抹茶?ぎゃ、逆に味が気になる・・・!」

 

「いじわるをするフータローには飲ませてあげない」

 

「いじわる・・・六海と同じことを・・・!い、いらないけど・・・」

 

いらない?それはそれでなんかむかつく。

 

「・・・1つ聞いてもいいか?今朝の問題の件だが」

 

来た!い、今ならみんなはいない・・・。周りは誰も私たちを気にしてはいない。答えるなら・・・い、今しかないか・・・?よ、よし・・・答えよう・・・。

 

「三玖ちゃーん!一緒にご飯食べようー!」

 

答えようと思ったらタイミング悪く六海がやってきた。ま、また答えそびれた・・・!

 

「む、六海・・・!」

 

「・・・むっ!」

 

六海はフータローの姿を確認すると敵意をむき出しにさせる。よっぽどなんだね。

 

「そ、それで・・・」

 

「あ!ねえねえ三玖ちゃん!この前貸した戦国黙示録5巻読んだ?あれ面白かったでしょ?」

 

い・・・今はその話はやめて・・・!武将好きだってことがボロに出しちゃう・・・!

 

「み・・・」

 

「また何か借りたいものがあったら言ってね!貸してあげるから!」

 

フータローのしゃべる言葉に合わせてしゃべってる六海。よほどフータローが嫌なんだ・・・。

 

「おい六海!話の邪魔だ!」

 

「・・・べー!」

 

「こ、こいつ・・・!」

 

ああ、いったいいつになったら朝の問題を答えられるんだろう・・・。

 

「こら!上杉さんの邪魔しちゃダメでしょ、六海!」

 

「やーん!」

 

「あはは、ごめんねー、邪魔しちゃってー」

 

いつの間にか来た四葉と一花が六海をフータローから引きはがす。

 

「いや・・・別にいい。話す気も失せてきた」

 

「いやぁ、ごめんねー。六海、ごめんなさいは?」

 

「や!」

 

「うーん、困ったなぁ・・・」

 

こういう時の六海は意地でも謝らないから本当に困る。

 

「あ!そうだ!見てください上杉さん!」

 

「ん?どうした?」

 

「英語の宿題、全部間違えてましたー!あはははは!」

 

「・・・・・・」

 

四葉ぁ・・・。

 

「本当にごめんねー。2人の時間を邪魔しちゃって」

 

「はぁ・・・もういい」

 

「あ、そうだ!六海も上杉さんに勉強見てもらおうよー」

 

「やだよ!こんないかにも冴えなくて不細工なのと!」

 

「こいつついに不細工って言いやがったぞ。本人の目の前で」

 

確かに冴えないように見えるけど、別に不細工というほどでもない。ていうか本人の前で言うことじゃない。

 

「えー!じゃ、じゃあ・・・一花!」

 

「うーん・・・私もパス、かな?私たちほら、バカだし」

 

一花も一花で勉強を拒んでる。ただ六海と違って単純に勉強したくないからだと思うけど。

 

「・・・だからって勉強しない理由にはならないだろ?」

 

「さっきから勉強勉強って・・・こんなことあなたに言いたくないけどそれでいいの?もっと青春を謳歌してもいいんじゃない?」

 

「六海のいう通りだと思うよ。高校生活勉強だけじゃないよー?もっといろんな楽しみをしなきゃ。例えば・・・恋とか!」

 

「・・・恋?

 

一花の恋の発言にフータローからなんかどす黒いオーラが感じる。

 

あれは学業から最もかけ離れた愚かな行為だ。したい奴はすればいい。だがそいつの人生のピークは学生時代となるだろう

 

「この拗らせ方、手遅れだわ・・・!」

 

「六海、不覚ながら同情しちゃったよ・・・」

 

あの拗らせ方を見る限り、ここに来るまでいろいろなものを犠牲にしてきたんだね。

 

「あはは・・・恋愛したくても相手がいないんですけどね。一花と六海はいる?」

 

「んー、私もいないかなぁ」

 

「六海もいないなー。存在を抹消したい人はいるけど」

 

「おい、なぜ俺を見る」

 

なんかいつの間にか話が恋愛話になってきたんだけど・・・。

 

「三玖はどう?好きな人はできた?」

 

「えっ・・・」

 

な、なんでここで私に振るの?そんなのいるわけないのに・・・。

 

「い・・・いないよ・・・!」

 

話についていけなくて、私はついそのままみんなと離れていく。・・・これ、私が好きな人がいるって少し誤解されたかな?

 

♡♡♡♡♡♡

 

ん・・・やっぱりこれしかない。

 

四葉たちから離れた後、私はサンドウィッチを頬張りながらあるものを書いている。それはフータローを屋上に呼び出すための手紙だ。

 

やっぱり食堂とか教室にいたのでは、朝の答えをみんなに聞かれてしまう。そうしたら私が戦国武将好きだってばれちゃう。六海には何度も戦国黙示録を借りてるけど、バカなんじゃないかって思うくらいに未だに私の好みがばれてない。まぁ、こっちにとっては好都合。

 

・・・うん。内容はこんな感じでいいだろう。仕上がりはいい。後の問題は・・・どうやってこれをフータローに渡すかどうかだ。

 

姉妹たちにこれを届けてもらう?・・・それはダメ。四葉と一花はさっき色恋沙汰の関係で変に盛り上がるし、二乃と五月、六海はそもそもフータローが嫌い。それでは逆効果だ。

直接フータローに渡す?・・・これもダメ。もしその様子を誰かに見られたら変に噂されてしまう。

 

ならやることは決まった。この時間帯だとほとんどの生徒は外か食堂でご飯を食べるのが多い。今なら教室には誰もいないはず。組は五月から聞いてるからわかってる。フータローがいる教室に行ってフータローの席にこれを入れる。正直気づくかどうかはわからないけど、何もやらないよりかはマシ。

 

サンドウィッチを食べ終え、抹茶ソーダでのどを潤して、さっそく実行に移す。私は食堂から出てそのままフータローがいるである1組の教室へ向かっていく。うん、ここまではみんなにはばれてない。

 

1組にたどり着いた私はすぐに教室に入ることはせず、中に誰もいないことを確認する。

 

「・・・よし」

 

五月もフータローも、みんなもいない今がチャンス。私はフータローの席を探し、その場所まで向かう。

 

「気づきますように」

 

フータローの席までたどり着いた私はすぐにこの手紙を机の中に入れ、そのまますぐに教室から出て、自分の教室に戻っていく。

 

♡♡♡♡♡♡

 

5限目の授業を終えた後、私はすぐに教材をしまって屋上へと向かう。例の答えをフータローに伝えるために。・・・気づいてくれたかな?なんか、それを含めて私の気持ちはドキドキしている。やめようかな・・・。

 

・・・ううん、しっかりと伝えよう。それでこの気持ちを終わらせるんだ。そう考えてるうちに屋上にたどり着いた。ちゃんといるかな・・・。

 

「すぅー・・・はぁー・・・」

 

とりあえず落ち着くように深呼吸をして、意を決してドアを開ける。その先には・・・

 

「み・・・三玖・・・!!イタズラじゃないのか・・・?」

 

私が呼び出した本人であるフータローがいる。

 

「よかった。手紙見てくれたんだ。食堂で言えたらいいんだけど・・・誰にも聞かれたくなかったから」

 

なんかフータローから汗が出てるような気がするけど、それどころじゃない。

 

「フータロー、あのね・・・ずっと言いたかったの・・・」

 

もうこの気持ちは誰にも止められない。

 

「す・・・す・・・」

 

今ここで言うんだ!

 

「陶晴賢!」

 

「陶・・・晴賢・・・?」

 

・・・・・・・・・。

 

「よし。言えた。すっきり」

 

ようやく言えた。気分すっきり。ああ、ようやく気持ちが楽になった。

 

「ちょ、ちょっと待って!!ひねった告白・・・じゃないよな⁉何の話だ⁉」

 

せっかく気分が晴れたっていうのに、フータローが呼び止めてきた。

 

「うるさいなぁ・・・問題の答えだけど」

 

「!!」

 

フータローが出した問題なのに、忘れたの?

 

「待てって!なぜそれを今このタイミングで⁉」

 

なんかフータローが納得いってないのか私の肩をつかんで止めてきた。その際に持っていたスマホを落としてしまう。

 

「あっ」

 

「わー!す、すまん!」

 

それは別にいい。私がスマホを拾うとすると・・・。

 

「武田菱・・・武田信玄の・・・」

 

え・・・もしかして・・・フータロー・・・私のホーム画面・・・

 

「見た?」

 

「え・・・?あ、ああ・・・」

 

・・・み、見られた!!姉妹たちにも見せたことないのに・・・は、恥ずかしい!!今の私の顔はゆでだこ状態になってると思う。

 

「・・・だ、誰にも言わないで・・・戦国武将・・・好きなの・・・」

 

「・・・あ、あー・・・なるほどねー。なんで好きなの?」

 

理由まで聞くの⁉まぁ・・・ここまでばれたら仕方ない・・・。

 

「きっかけは六海から借りた漫画。野心溢れる武将たちに惹かれて本をもっと読んだ。ゲームも戦国系をいっぱい集めた。でもクラスのみんなが好きなのはイケメン俳優や美人なモデル。それに比べて私は・・・髭のおじさん・・・。変だよ・・・」

 

本当に変だよ。周りのみんなと違って私だけがそんな趣味を持ってるなんて・・・。こんなの聞かれたら笑われるに決まってる。現にフータローだって・・・。

 

「変じゃない!」

 

・・・え?今、フータローはなんて・・・?

 

「好きなものを好きというのに理由がいるのか?いや、むしろ好きだからこそ追求すべきだ!自分が好きになったものを信じろよ!」

 

そ、そんなこと言われたの・・・初めて・・・。

 

「俺は武将にも造詣が深い方だ。そういえば、前回の歴史は満点だったな」

 

「本当⁉」

 

私ですら歴史は満点取ったことがないからすごい・・・!

 

「これが学年1位の力だ!俺の授業を受ければ三玖の知らない武将の話もしてやれるぜ!」

 

え・・・それって・・・

 

「・・・私より詳しいってこと?」

 

「え?」

 

私より武将のことが詳しいなんて聞き捨てならない。武将のことなら私の方が1番詳しい。

 

「問題ね。信長が秀吉を猿って呼んでたのは有名な話だよね。でもこの逸話は間違いだって知ってた?本当はなんてあだ名で呼ばれていたか知ってる?」

 

これは知る人ぞ知る逸話。本当に武将に詳しいっていうならこれくらい簡単なはず。さあ、どうなの?フータロー。

 

「・・・ハゲ・・・ネズミ・・・」

 

「・・・正解」

 

なんかちょっと間があったのが気になったけど・・・本当に知ってたんだ。なんか悔しい・・・。

 

「それにしてもハゲネズミはひどいな」

 

「うん。かわいそう。知ってるとは思うけど私の知ってる逸話は・・・」

 

少し悔しいけど、フータローならこの話とかついていけるはず。あ、あとこれも・・・ついでにこれも・・・それと裏目をかいてこれも・・・。

 

あの後の私はもうどのくらいの逸話を話したかわかんない。とにかく語りところまで延々と語っていく。

 

キーンコーンカーンコーン

 

・・・あ、もう予鈴・・・そろそろ教室に戻らないと。

 

「な、なんか話足りないな。うーん、この話、三玖は聞きたいだろうなー」

 

なんかフータローがそんなことを言っている。私が聞きたい話?何それ?

 

「そうだ。次の家庭教師の内容は歴史を中心にしよう。三玖、受けてくれるか?」

 

次の内容が歴史中心?それは、武将好きの私にとって願ったり叶ったりのものだけど・・・なんか裏がありそう・・・。・・・そうだ。せっかくだからあれを試してみよう。

 

「・・・そういうことなら・・・いいよ・・・」

 

ひとまずここはフータローの話に合わせておこう。とりあえずいったんフータローから離れて近くの自販機に向かう。選ぶのは当然抹茶ソーダ。これを買って・・・後はフータローに渡す。

 

「フータロー」

 

「ん?なんだ?」

 

「これ、友好の証。あげるから飲んでみて」

 

「えぇ~・・・」

 

なんかあからさまに嫌そうな顔してる。むかつくけど我慢・・・。

 

「気になるって言ってたじゃん。大丈夫だって」

 

フータロー、武将のことについて詳しいならこの逸話はわかるでしょ?

 

「鼻水なんて入ってないよ。なんちゃって」

 

「!!?・・・???」

 

私のこの話題にフータローはなんだか思考停止に似たような状況になってる。ああ、やっぱり・・・。

 

「あれ?もしかして、この逸話知らないの?」

 

フータローはこの逸話を知らない。でないと、この反応はどう考えてもおかしい。

 

「そっか。頭いいって言ってたけど、こんなもんなんだ。やっぱり教わることはなさそう・・・バイバイ」

 

私はフータローに渡す抹茶ソーダを引っ込めて、そのまま自分の教室に戻る。この時私の中にある感情はきっと、一瞬でもフータローに期待した自分への怒りも含まれてると思う。

 

♡♡♡♡♡♡

 

あれから数日後のある日、私が机に着席した時、中に手紙が入っていた。差出人には名前が書いてある。えっと、上杉風太郎・・・フータロー?少し内容が気になったから手紙の内容を開けて確認してみる。内容は・・・

 

放課後、校門の前にて待つ。

 

たったそれだけだった。校門って校舎を出てすぐじゃん。付き合ってあげる義理はこっちにはないんだけど・・・校門を出ないと家に帰れないし、どっちみちフータローと鉢合わせになる、か。仕方ない、放課後、フータローの用を済ませて早く帰ろうか。

 

そして時間がたち放課後、校門まで行くとそこにはやっぱりフータローがいた。

 

「三玖!お前が来るのを待っていたぞ!」

 

「何か用?フータロー」

 

「俺と勝負だ。お前の得意な戦国クイズ、今度こそ全て答えてやる」

 

なんだ・・・何を言い出すかと思えば・・・。私の答えはすでに決まっている。

 

「・・・やだよ。懲りないんだね」

 

こんなわかりやすいフータローの嘘になんか付き合ってられない。私の言葉にフータローは不敵に笑う。

 

「くくく、この前の俺と一緒にしてもらっては困る。それとも、唯一の特技で負けるのが怖いか?」

 

む・・・なんか自信満々・・・でも・・・

 

「武田信玄の風林火山。その風の意味することとは?」

 

「そんな簡単な・・・」

 

「正解は疾きこと風の如く」

 

私は問題の答えを言いながら階段の手すりを使って下に降りる。私が下に降りるとフータローは私を追いかけてきた。なんでついてくるの?と、とにかく今は逃げてるけど、このままじゃまずい。私はクラスの中でも1番足が遅い。すぐに追いつかれるかも。

 

・・・よし。とりあえずここの曲がり角を曲がって・・・少し髪を整えて・・・リボンをウサギのようにぴょこッと見せれば・・・

 

「これで・・・」

 

中野四葉の出来上がりだ。これでフータローをあえて待ち構えて・・・

 

ぽふっ

 

「わお!上杉さん!」

 

「よ、四葉⁉」

 

なんかフータローの顔が私の胸に直撃したみたいだけど、今それは目をつむっておこう。

 

「ちゃんと前向いてなきゃダメですよー」

 

「ここに三玖が通らなかったか?」

 

「さっきすれ違いましたよ!あっちに走っていきました!」

 

「サンキュー!」

 

フータローは私が指した方向、学校へ戻る道のりを走っていった。私がいるはずもない学校に。だって私は今ここにいるのだもの。

 

「・・・知りがたく陰の如く・・・」

 

フータローの姿が見えなくなって私は髪をもとに戻し、リボンをはずす。さてこのまま家に・・・

 

「・・・あ、かばん忘れた・・・」

 

フータローの用件が気になって、うっかりしてしまった。・・・仕方ない。さっきのフータローとは別の道を使って学校に戻ってかばんをとりに行こう。

 

♡♡♡♡♡♡

 

い、今の状況はまずい・・・!

 

私がフータローにばれず教室に戻ってかばんをとったところまではいい。だけど・・・

 

「三玖!どこにいきやがった!」

 

まだフータローが私を探してる。しかもフータローは今私がいる教室の近くまでいる。今ここでうかつに出たらフータローに見つかってしまう。それは避けたい。・・・ならもう1度四葉に変身して・・・

 

「わお!上杉さん!」

 

「四葉!」

 

だ、ダメだ!ここで本人が登場するなんて・・・!今ここで変装して出てきても、すぐにばれてしまう・・・!

 

「こんなところで会うなんて奇遇ですね!」

 

「いやさっき校門で会っただろ?」

 

「え?私、先生のお手伝いでずっと学校にいましたよ?」

 

「は?てことはさっきの四葉は・・・?」

 

ま、まずい・・・なんか感づき始めてる・・・!あの四葉が私だったとわかれば、後でなんて言われるか・・・!どうしよう・・・他の姉妹に変装しようとしても、今日に限って鬘がないし・・・あるといえば昔視力がよかったころの六海が使ってた伊達メガネだけだし・・・。

 

・・・伊達メガネ?

 

もしかしたらこれは使えるかも。髪もちょっと工夫すればなんとか・・・。まずは六海の髪のようにセットして、この伊達メガネをかければ、中野六海の完成。・・・なんかちょっとだけ度が入ってる・・・。でも・・・そうも言ってられない。

 

「あ!四葉ちゃん!」

 

「わー!六海-!」

 

「げっ・・・む、六海!」

 

「・・・む!」

 

よしよし、フータローにも四葉にもばれてない。このままいけば・・・。

 

「もしかして先生の手伝い?偉いねー」

 

「そんなことないよ。人として当然のことだよ」

 

「こ、この際六海でもいい。三玖がどこに・・・」

 

「あ、意地悪な人(風太郎)、まだいたんだ」

 

「くっ、やっぱこいつ苦手だ・・・!」

 

確か六海は極端までにフータローを嫌っていたからこんな感じだと思う。後はちょっと強引さを出せば・・・。

 

「ほら!今日は家庭教師の日じゃないでしょ!さっさと帰った帰った!」

 

「ちょ!待て!俺は三玖に用が・・・!」

 

「六海、いくら上杉さんが嫌でもそんな強引に・・・」

 

よし・・・このまま通せば・・・フータローを追い出せる・・・。

 

「ふー、危ない危ない。秘密のノートを忘れちゃうなんてー」

 

「あれ⁉六海⁉」

 

「は?」

 

「あ!四葉ちゃん!・・・と、意地悪な人(風太郎)・・・」

 

こ、ここで本物の登場⁉なんで⁉今日は先に家に帰ったんじゃ・・・

 

「え?え?どういうこと?なんで・・・?」

 

「四葉ちゃん、どうしたの・・・てっ、あれ⁉六海がもう1人いる⁉なんで⁉」

 

や、やばい・・・こっちに気付いた・・・。

 

「・・・六海。あれはドッペルゲンガーといって、こうして会っちまったら・・・お前死ぬぞ」

 

「「ええええええ!!?」」

 

「む、六海が死ぬ⁉」

 

「やだー!!死にたくないよー!四葉ちゃーん!うえ~~ん!!」

 

フータローの説明に泣き出し始めた六海は四葉に抱き着いてきた。

 

「・・・ん?なんかあの六海、おかしくないか?どこかはわからんが・・・」

 

「ぐすん、おかしい・・・?あ、そういえばあのメガネ、昔使ってたメガネのような・・・」

 

「・・・あ!本当だ!六海が昔使ってたメガネだ!」

 

「・・・なぁ。そのメガネ、誰かにあげたりはしてなかったか?」

 

あ、これは確実にばれる・・・。逃げないと・・・。

 

「えーと、確か・・・三玖ちゃんにあげたような・・・」

 

「お前三玖だろ!!」

 

ばれた!!私はすぐさま元の姿に戻しながら走る。やっぱりフータローも追いかけてきた。

 

「・・・は!ちょ、ちょっとー!!三玖ちゃんになんのようなわけ⁉それに、どうして三玖ちゃんは六海に化けてたわけ⁉2人とも許さないんだからー!!」

 

なんかすごい遠くから六海から追いかけられてるような気がする!て、今はフータローから逃げないと・・・!

 

「三玖!この間は騙して悪かった!俺はこの二日間で図書室にある戦国関連の本全てに目を通した!今ならお前とも対等に会話できる自信がある!」

 

「・・・嘘ばっかり!」

 

もうフータローの嘘はもうこりごり!

 

「嘘だと思うなら問題を出してくれ!1つでも答えられなかったら金輪際近づかない!だから頼む!俺にもう1度チャンスをくれ!」

 

・・・・・・。

 

「武将しりとり。龍造寺隆信」

 

「!・・・ぶ・・・ふもあり・・・だよな?福島正則!賤ヶ岳の七本槍の1番槍として名高い武将だ!」

 

・・・フータローが答えたからしりとりを走りながら続けなきゃ・・・。

 

「龍造寺正家」

 

「え・・・ええ・・・江戸重道!」

 

「長曾我部元親・・・」

 

「か・・・金森長近・・・」

 

「か・・・はぁ・・・川尻秀隆・・・!」

 

「ま、また、か・・・か・・・片倉小十郎・・・!」

 

「はぁ・・・上杉け・・・はぁ・・・上杉・・・景勝・・・はぁ・・・!」

 

「はぁ、はぁ・・・くそっ・・・津田信澄・・・!」

 

「三好・・・はぁ・・・長慶・・・はぁ、もうダメ・・・!」

 

「はぁ・・・し、しま・・・はぁ・・・島津・・・豊久・・・」

 

「・・・・・・真田幸村・・・」

 

も、もう体力が限界・・・!というより・・・。

 

「なんでそんなに必死なの・・・?」

 

体力の限界がきて私は芝生に倒れた。それはフータローも同じだった。

 

「・・・はぁ、俺の、スピードと、張り合えるなんて・・・やるじゃん・・・はぁ・・・」

 

「私・・・クラスで1番足が遅かったんだけど・・・はぁ・・・」

 

というかフータローも体力なかったんだね。ふぅ・・・それにしても暑い・・・スパッツでも脱ご・・・。

 

「・・・喉乾いたな。飲み物買ってくるぜ」

 

フータローは飲み物を買いに自販機まで向かっていった。ふぅ・・・ベンチに座ろ。

 

「・・・そういえば六海、私たちを追いかけてたみたいだけど・・・どこ行ったんだろ・・・?」

 

多分帰ったらこってり問い詰められそう・・・。

 

ぴとっ

 

「ひゃっ⁉」

 

つ、冷た!何⁉

 

「わ!すまん!」

 

さっきのはフータローがやったんだ。手には買ってきたであろう抹茶ソーダがある。

 

「これ好きなんだろ?110円は手痛い出費だが・・・」

 

それで手痛いって・・・どれだけお小遣いピンチなんだろう・・・。

 

「もちろん、鼻水は入ってない」

 

あ!これは・・・前に私がやった・・・。

 

「石田三成が大谷吉継の鼻水の入った茶を飲んだエピソードから取ったんだろ?」

 

「・・・ふーん、ちゃんと調べてはいるんだね」

 

それなのに私はフータローを疑ってばっかりで・・・ちょっと悪いことしちゃった。

 

「最後は偶然居合わせた四葉にスマホで調べてもらったんだがな」

 

ふーん、四葉に・・・四葉?

 

「私が武将好きって四葉に話したの?」

 

これだけははっきりさせておきたい。

 

「いや、話してはないが・・・」

 

ならよかった・・・。

 

「姉妹にも秘密にすることなのか?むしろ誇るべき特技だ」

 

「姉妹だから言えないんだよ・・・6人の中で私が1番落ちこぼれだから」

 

これは紛れもない事実・・・どうせ私なんか・・・。

 

「あいつらの中じゃお前は優秀だ。ほら、この前のテストだって1番上だったろ?」

 

ああ、あの28点のテストのこと?

 

「フータローは優しいね。・・・でも、なんとなくわかるんだよ。私程度にできることは、他の5人もできるに決まってる・・・六つ子だもん」

 

能力が一緒でも私には他の姉妹と比べて何の個性もない・・・ただ武将が好きなちょっと変わった子と言うだけ・・・だから私は6人の中で落ちこぼれ・・・。

 

「だからフータローも私なんか諦めて・・・」

 

「それはできない」

 

だからなんで?

 

「俺は6人の家庭教師だ。あいつらも、そしてお前も勉強させる。それが俺の仕事だ。お前たちには6人揃って卒業してもらう!」

 

・・・フータローってものすごい勝手だよね。

 

「・・・無理だよ。この前のテストでわかったでしょ?6人合わせて100点だよ?できっこない・・・」

 

「そうだな。あの時はビビったぜ。まさか6人とも問題児とは思わなかったぜ。こんな奴らに教えなきゃいけなのかって思ってたぜ。絶対無理だって思ってた・・・今日までは」

 

今日までは?

 

「三玖の言葉を聞いて自信がついたぜ。六つ子だから三玖にできることは他の5人でもできる。言い換えれば、他の5人ができることは三玖にもできるということだ」

 

!そんな考え方、今まで1度もしたことなかったけど・・・

 

「見てくれ」

 

フータローは1枚の用紙を取り出し私に見せた。何これ?バツばっかあるけど・・・

 

「この前のテスト結果だ。何か気づくことはないか?」

 

気づく・・・?・・・あ、もしかして・・・

 

「正解した問題が1問も被ってない・・・」

 

「そう、確かに全員この学校の合格ライン30点以下の問題児。だが俺はここに可能性を見た!1人ができることは、全員できる!一花も、二乃も、四葉も、五月も、六海も・・・そして三玖、お前も。全員が100点の潜在能力を持っていると俺は信じている!」

 

・・・・・・!!

 

「・・・何それ、屁理屈。・・・本当に、六つ子過信しすぎ」

 

私の中で1番抱いている気持ちはまさにそれだと思う。でも・・・フータローのおかげで・・・胸のつっかえが軽くなったような気がした。

 

♡♡♡♡♡♡

 

『一方その頃の六海。そして初めまして』

 

「はぁ・・・はぁ・・・も、もうダメ・・・!」

 

風太郎と三玖を追いかけていた六海は体力の限界が来て、公園の入り口前で倒れてしまう。六海の体力は元気がある割に三玖と同レベルなのである。

 

「はぁ・・・はぁ・・・よく考えたら帰って三玖ちゃんに問い詰めた方がよかったかも・・・はぁ~・・・六海のバカぁ~・・・」

 

もう立つ気力もない六海は息を整えるので精いっぱいだ。

 

「あの・・・大丈夫ですか?」

 

そんな時、長髪でポニーテールをした小学生の女の子が声をかけてきた。

 

「だ、大丈夫じゃない・・・水・・・」

 

「あの良ければお茶・・・」

 

「!!」

 

六海は女の子が差し出したお茶を素早く受け取り、すごいスピードで飲んでいく。

 

「ぷはー!!生き返ったー!ありがとう!」

 

「・・・・・・」

 

お礼を言う六海とは対照的に、女の子は疑問を浮かべた表情をしている。

 

「・・・どこかでお会いしましたか?」

 

「?いや?今日が初めましてだけど?」

 

「・・・ちょっとメガネをはずしてみてください」

 

「?こ、こう?」

 

六海は言われた通りメガネをはずし、素顔を見せると、女の子はぱーっと笑顔になる。

 

「わあ!やっぱり!もしかして、五月さんのご親族の方ですか?」

 

「五月ちゃん?確かに五月ちゃんは六海のお姉ちゃんだけど・・・君は・・・?」

 

五月の名を知っている女の子に戸惑いを見せる六海。女の子は元気いっぱいで挨拶をする。

 

「初めまして!上杉らいはです!」

 

♡♡♡♡♡♡

 

「ただいま」

 

フータローとの武将しりとりを終えて家に帰宅した。リビングにいたのは先に帰ってきていた五月と二乃だった。

 

「ああ、三玖。今日は遅かったですね」

 

「三玖、あんたあいつに追いかけまわされてたみたいだけど・・・何があったの?」

 

「何でもないよ」

 

私は二乃や五月に目もくれず、姉妹たちの部屋の階段を上がっていく。

 

「・・・なにあれ?」

 

「・・・さあ?」

 

二乃や五月が何やら怪訝そうにしてるけど、気にしてられない。一応確認だが・・・六海はいるだろうか。とりあえずノック。

 

コンコンッ

 

・・・返事がない。ノックをしたら必ず声が聞こえるはずなんだけど・・・まだ帰ってないようだ。

 

「ああ!!いた!三玖ちゃん!!」

 

何というグッドタイミングで帰ってきてくれたのだろうか。

 

「放課後のあれどういうこと⁉なんで六海に・・・」

 

「六海、お願いがあるんだけど・・・」

 

「な、何急に・・・?」

 

「六海の戦国黙示録全巻貸してほしいの。最新刊を含めて全部」

 

「ええ⁉まだ六海、最新刊読んでないのにー!・・・て、それより・・・」

 

「全部読んだら返すし事情も話すから」

 

「うぅ・・・わかったよぅ・・・」

 

六海は渋々ながら部屋に戻っていって戦国黙示録を探しに向かっている。あれは漫画だけど、大事な場面を中心に読めば、いい教材代わりになる。私にも・・・やれるかな・・・フータロー・・・。

 

♡♡♡♡♡♡

 

翌日の学校の放課後、私は今図書室に向かってる。確か家庭教師のない日はそこで勉強を教えてるって四葉から聞いた。図書室にいるのは・・・やっぱりフータローがいた。今いる生徒は・・・四葉だけか・・・。

 

「あ、でも。残り5人じゃなくて残り4人です」

 

「え?」

 

「ね?三玖」

 

四葉は私の存在に気付いたのか私に視線を向けてくる。フータローもそれに合わせてこっちに気付いた。

 

「!来てくれたのか!」

 

うれしそうな顔をしているフータローをよそに私は少し気になったことがあるから戦国関連の本を片っ端から取っていく。本の中に挟んである貸し出し履歴にはしっかりとフータローの名前がある・・・。やっぱり、本当のことだったんだ・・・。

 

「・・・フータローのせいで考えちゃった。ほんのちょっとだけ・・・私にもできるんじゃないかって・・・」

 

昨日六海に戦国黙示録を全巻借りたのもその気持ちが強かったせい。こんな気持ちにさせたフータローにはこう言ってやらないと・・・。

 

「責任、取ってよね」

 

「!・・・任せろ」

 

フータローは心強い笑みを浮かべて答えてくれた。すると四葉が耳打ちで私に話しかけてきた。

 

(み、三玖・・・もしかして・・・この前隠してた三玖の好きな人って、上杉さんじゃ・・・」

 

え・・・?私が・・・フータローのことを・・・?・・・・・・

 

「・・・ないない」

 

これだけはきっとありえない。そう・・・この気持ちはきっと気のせいに決まってる。

 

03「屋上の告白」

 

つづく




六つ子豆知識

『六つ子で1番頭がいいのは?』

六海「ねぇねぇ、六海たちの中で1番成績がいいのは誰だっけ?」

一花「三玖!」

三玖「六つ子の知力担当、いわば軍師」

四葉「軍師って何?」

三玖「軍師というのは戦国時代に戦場で知力を廻らし作戦を考えていた人たちで・・・」

一、四、六「めっちゃしゃべるー!!」

六つ子豆知識、今話分おわり

次回、二乃視点
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