六等分の花嫁   作:先導

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六等分の花嫁の今年の分のお話はこれで最後です。

今年はいろいろと大変な年になってしまいましたが・・・こうして無事、年を迎えられそうです。
来年は良い年になれるように、がんばっていきたいですね。そのために、やるべきことはきちんとやっていきます。小説を書き続けられるためにも。

これは余談なのですが、私の作品である六等分の花嫁とこの微笑ましい双子に幸運を組み合わせたらどうなるのか、というのを想像してみたのですが・・・どちらの世界においてもこのすば側の主要人物があれなのでカオスになりそうです・・・w

まぁ、余談は置いておいて・・・よいお年を!


シスターズウォー 2回戦

風太郎SIDE

 

修学旅行が始まるまで残りわずか・・・修学旅行に参加している連中はみんな準備を整えているところだろう。かくいう俺も準備をしている最中・・・なのだが・・・

 

「下着と靴下・・・歯ブラシは持っていくんだっけ?」

 

「・・・おいらいは、わざわざ新しいのを新調しなくてもいいだろ?今のままでもいい」

 

今のままでもいいといっているのになぜからいはが俺の下着やら歯ブラシやらを新しいのを新調したがって、こうして一緒に買い物に出かけている。

 

「えー?だってお兄ちゃんのパンツ、ビロビロだもん。クラスの人に笑われちゃうよ?」

 

「聞いた、今の?」くすくす

 

「おかしー」くすくす

 

「今絶賛笑われてますけど」

 

今の話を聞いていたのか、近くを通りかかった生徒に笑われた。聞いてんじゃねぇよ。

 

「せっかく家庭教師に復帰できたんだから、少しくらい自分のために使ってもバチは当たらないよ」

 

「そういうものなのか?」

 

「そういうものなの。あ、でも、五月さんたちへの誕生日プレゼントをケチってたら嫌われちゃうよ?」

 

「へぇ・・・あいつらもうすぐ誕生日なのか」

 

「え?」

 

俺の言葉にらいはは首を傾げている。俺、何か間違ったことでも言ったか?

 

「五月さんたちの誕生日は5月5日、もうとっくに過ぎてるけど」

 

「・・・・・・」

 

もう過ぎてんのかよ。この話の意味ねぇー・・・。だがしかし・・・ふーむ・・・俺の誕生日の時、あいつらはわざわざプレゼントを贈ってくれたけど・・・。

 

「・・・ま、別にやらなくてもいいか。つーかあいつらも俺の誕生日プレゼント遅れて渡してきたし・・・。いや、そもそもあっちから言わないってことはいらないってことも・・・」

 

「うわ~・・・それさすがに引くよ・・・」

 

俺が悩んでいると、呟きが聞こえてたのからいはが本気で引いてきた。解せぬ。

 

「プレゼントを頂いたらお返しする!!小学生でも知ってる常識だよ!!」

 

「うむむ・・・」

 

そこまで言われるとは・・・。やはり俺には常識がないのだろうか?でも先日ご褒美としてぬいぐるみあげたし・・・。あ、いや、あれは誕生日とは関係ないし・・・うーん・・・。・・・お、そうだ・・・ちょうど偶然にもご本人が来たみたいだし・・・聞いてみるか。

 

「・・・なぁ、やっぱなんかあげた方がいいかな?」

 

「ひゃあっ!!?」

 

俺が声をかけるとそいつは非常に驚いた声を上げた。

 

「あっ・・・誰かと思えば・・・」

 

「上杉さん!こんにちはー!」

 

「らいはちゃん、久しぶりー!」

 

俺が声をかけた人物というのは五月だ。四葉と六海もセットでここに来ている。

 

「五月さんと昨日メールしてたんだ。一緒に買い物しようって」

 

「ふーん」

 

どうやら偶然ではなく、らいはと約束してここに来ていたようだな。ま、そんなことはどうだっていいか。

 

「それより誕生日の・・・」

 

「あー!しー!しー!」

 

「むぐっ・・・」

 

俺が誕生日プレゼントにたいして何か聞こうとしたら途端にらいはが俺の口を封じてきた。

 

「もう、お兄ちゃん、頭いいんだからそれくらい考えられるでしょ?」

 

「「「?」」」

 

考えられるって・・・それがわからんから聞いたんだが・・・聞いちゃまずかったのか?やはり女心とはよくわからんな・・・。

 

「・・・やはりあなたも一緒でしたか・・・。そういうことなら一緒に買い物はできません」

 

「まぁ、そこはさすがにねー。らいはちゃん、一緒に行こ。風太郎君はそこで待ってて」

 

なぜ俺と一緒では買い物はできないのかわからんのだが。それよりも、誕生日プレゼントに関してだ。こいつらの買い物を観察してりゃ欲しいものは見えてくるかもな。ご褒美の時のリベンジといかせてもらおう!

 

「・・・・・・」

 

「ちょ・・・待っててって言ってるでしょ⁉なんでついてくるの⁉」

 

「どうせ同じものを買うんだ。別にいいだろ」

 

全く、何を嫌がっているのか。同じものが必要なら問題ないだろ。

 

「・・・ええ、そうです。同じものです・・・しかし、同じものであってもそれは殿方とは全く別物で・・・」

 

「え?何言って・・・」

 

「・・・下着!!」

 

「買いに来たの!!」

 

下着かよ。確かに男のものとは違うから全く別物だな・・・。

 

「・・・外で待ってまーす」

 

「もう・・・ほら行こ」

 

あれ?林間学校の時にもこんなことがあったような・・・。デジャヴ?まぁ・・・そんなことはいいか・・・。五月と六海がらいはと一緒に下着売り場の方へと向かっていった。で、今この場で残っているのは、俺と四葉だけ・・・。

 

「・・・おい、お前は下着買わなくてもいいのか?」

 

「あはは、私は後からでもいいので。それに私、物持ちの方がいいので」

 

「・・・まだお子様パンツなのか」

 

「はうあ!!?なぜそれを・・・!!?」

 

おっとこの情報は電話越しで聞こえた内容だったから秘密なんだった・・・。しかし、女子高生にもなってまだお子様パンツとは・・・。やはりまだガキだな。

 

「・・・まったく・・・模試を終えたばかりとはいえ、こんなことをしている場合かよ・・・。その後は入試判定だってあるってのによ・・・」

 

「ははは、まぁまぁ、いいではないですか」

 

・・・まぁ、せっかく試験を乗り越えたんだ。修学旅行で大いに羽目を外すのもいいだろう・・・。・・・そういえば・・・四葉はどこの大学に行くつもりなんだ?一花は女優一本で行くだろうし、五月は教師になるって言った手前、教員資格認定試験を受けられそうなとこを選ぶだろうし、六海だって漫画家になるといったからには美術関連の大学か専門学校に行くはずだ。二乃と三玖はどこに行くか聞いてないが・・・だいたい行くとこくらいは決めてるだろう。だがこの四葉だけはわからん。大学に行くなら自分の夢に繋げられる大学の方がいいが・・・そもそもこいつの夢ってなんだ?

 

「・・・四葉、お前将来なりたいものとかあるか?」

 

「えっ?なんですか?突然ですね・・・」

 

「どうなんだ?」

 

まぁ・・・こいつのことだ・・・だいたいの予想はつくけどな・・・。

 

「うーん・・・考えたことなかった・・・」

 

やはりか・・・予想通り過ぎて笑えん。・・・とはいえ、だ。こいつには他の姉妹にはないずば抜けた体力がある。とりあえずはその方面で探してみるか・・・。そうすればきっと適したものが見つかるはずだ。

 

「お待たせー」

 

「ごめんねー、待たせちゃったかな?」

 

「あ、ううん、全然大丈夫だよー」

 

俺が四葉のやりたいことについて考えていると、下着を買いに行っていた六海とらいはが戻ってきた・・・て、ん?五月がいないようだが・・・。

 

「あれ?五月は?」

 

「奥で採寸と試着してるよ」

 

「試着とかは六海たちがいるのにねー。変なの」

 

それは言えている。三玖だって言ってたじゃねぇか。こいつらはみんな同じ身体だって。

 

「だいたい採寸なんて、六つ子なんだから他の姉妹と同じサイズでいいだろ」

 

「あっ!六つ子ハラスメントですよ!!ムツハラ!!」

 

なんだよ六つ子ハラスメントって・・・聞いた事ねぇわ、そんなこと・・・。

 

「でも採寸は確かに不自然ですね・・・はっ!!?もしや五月・・・1人だけ抜け駆けしてるのでは・・・」

 

「え?六海・・・こんな大きいおっぱいいらないけど、抜け駆けされるのはそれはそれで腹立つんだけど・・・」

 

なんだ?こいつらの中でサイズが違う奴がいるのか?それが五月が該当してるのか?相変わらず六つ子はよくわからんな・・・。

 

「六つ子の皆さんも大変なんだね」

 

「そうなんだよねー。最近なんて特にさー・・・」

 

「?どうしたの?」

 

「あ、ううん、何でもないよ」

 

?なんだ?六海の奴、今一瞬俺の顔を見たが・・・俺の顔になんか変なものでもついてたか?

 

「・・・とにかく!林間学校では散々な結果で終わってしまったので・・・今度こそ!後悔のない修学旅行にしましょうね!」

 

四葉が満面の笑顔でそう言ってきた。林間学校では俺は風邪を引いて散々だったな・・・。ま、過ぎたことだし、今となってはそれ自体どうだっていいがな。

 

「修学旅行自体もどうでもいいがな。ま、体調管理だけは気を付けるさ。もうあんな目はごめんだからな」

 

「もー、本当は楽しみにしてるくせにー。家で何度もしおりを確認してるんだから」

 

「ら、らいは!!」

 

「あらあらー?素直じゃないねー。ねー、四葉ちゃん」

 

「ねー。ししし」

 

ら、らいはに俺の心情をバラされた!!四葉と六海に笑われるし・・・めっちゃ恥ずかしい!穴があったら入りたい気分だ!

 

「それに・・・写真の子に会えるかもしれないしね!」

 

写真の子?零奈のことか・・・。確かに零奈とは5年前の京都の修学旅行で初めて出会ったが・・・あれは単なる偶然だろ?

 

「・・・それはさすがにねぇだろ」

 

「あれ?京都じゃなかったっけ?お父さん、そう言ってたけど・・・」

 

「だとしてもあっちも旅行者だから・・・そもそもあっちも修学旅行とは限らないだろ」

 

・・・まぁ、と言っても・・・あいつもいくんだろうな・・・今回の修学旅行に・・・。

 

「???写真の子?」

 

「???写真の子って何ですか?」

 

あ、四葉と六海が蚊帳の外になっているな。そういえば・・・六海もあの写真を見てたが・・・見たのはガキだった俺だけで、零奈のことは見てなかったな。こいつの反応も当然だ。

 

「ほら見せてあげなよー、あの写真」

 

「・・・何でもねぇよ。写真ももうなくなっちまった」

 

「えー?なくなったの?」

 

当然だ。だって本人に取られたからな、その写真。

 

「・・・なーーんか怪しいねぇ・・・」

 

「確かに怪しすぎます!!何もないなら言えるはずです!!」

 

「え・・・あ・・・いや・・・」

 

「なぜ話せないのか私にはわかります!!!それは上杉さんには未練があるからです!!!さぁ、話してスッキリしちゃいましょう!!!」

 

よ、四葉の奴・・・かなりぐいぐいときてやがる。言ったってしょうがないと思うんだが・・・。だってあいつは・・・。・・・まぁ、ここまで言われたら・・・俺が折れるしかねぇか・・・。

 

「・・・京都で偶然会った女の子だ。・・・名前は零奈」

 

「・・・えっ・・・零奈って・・・」

 

「その名前ってマ・・・」

 

「はい、おしまい」

 

「「お、おしまい~~~!!??」

 

六海が何かを言いかけたところで俺はそこで話を終了させる。零奈についてはわかってたことはあったが、四葉と六海の反応を見て、それは確信になった。やはりな・・・。

 

「か、かなり気になるんですが・・・」

 

「そうだよ。もう少し詳しいことを教えてよー・・・」

 

「話すことはない」

 

四葉と六海が気になっているようだが、俺から話すことは本当に何もない。

 

「つまりお兄ちゃんの初恋の人だよね」

 

「は?」

 

「「は、初恋!!!???」」

 

らいはの奴、何言ってんだ?

 

「誰もそんなこと言ってないが・・・」

 

ぐぅ~・・・

 

ん?これは・・・らいはの腹の音か・・・。

 

「えへへ・・・食べ物の話してたらお腹すいちゃった」

 

「一言もしてないけど」

 

「じゃ、じゃあ私が何でも買ってあげちゃいますよ!上杉さんと六海は五月を待ってる係ですよ!」

 

「・・・はぁ・・・」

 

腹をすかせたらいはに四葉が真っ先に率先して食い物が売ってる店に向かっていく。で、残って・・・

 

「ちょっと風太郎君!!!どういうこと!!??初恋の人って!!!」

 

「ぐえ!!?六海、落ち着け!何でお前が怒ってんだ!!?」

 

「うるさい!!どこの誰なのその女の子!!絶対許せない!!」

 

こ、こいつ・・・俺の胸倉を掴んで取り乱してる・・・。なんでこいつが俺の初恋の相手にたいしてこんな怒ってるんだよ?というかそもそも、わいた感情は憧れってだけで初恋でもなんでもねーよ。

 

「お、落ち着け。確かにそいつに憧れはしたが初恋じゃねーよ」

 

「だって・・・らいはちゃんが初恋って・・・」

 

「六海よ、思い出してみろ。俺と初めて会った時のことを。あの時の俺は色恋にかまけてるような奴に見えるか?」

 

「見えない!」

 

「だろ?ありえねぇだろ」

 

六海がはっきり答えたのはちょっとムカついたが、零奈の件抜きでもそれはありえなかっただろうよ。・・・まあ、今では色恋に関してはバカにする気は起きないが。

 

「・・・本当に・・・その人とは何とも思ってないの?」

 

「・・・思ってることはあっても、初恋じゃねーよ。ほら、満足か?」

 

「・・・そっか・・・」

 

俺の答えを聞いたら六海が安心したかのような笑みを浮かべている。たく・・・本当に何なんだよ・・・。わけわかんねぇ・・・。

 

「・・・あ!いけない!五月ちゃんの分探してたら自分の分探すの忘れてた!!ごめん風太郎君、もうちょっと待ってて!四葉ちゃんたちが帰ってきたら伝えといて―!!」

 

「あ、おい・・・行っちまった・・・」

 

六海は慌だたしい様子でもう1回下着屋に向かっていった。たく・・・下着なんてなんでもいいだろうが・・・。

 

「はぁ・・・疲れた・・・」

 

俺はとりあえず気分を落ち着かせるために一旦ベンチに座る。・・・・・・・・・さて、この場にはらいはも六つ子の姉妹もいないな。

 

「・・・さすがに2回目は驚かねぇぞ・・・零奈」

 

俺が座ったベンチの隣には、去年の冬に出会ったあの写真の子・・・零奈がいた。服装も久しぶりに会った時のものと同じものだ。

 

「・・・なーんだ、残念」

 

全く・・・こいつはいつも唐突に現れるな・・・。京都の時も・・・姉妹喧嘩で俺が沈んでた時も・・・。

 

「修学旅行、京都らしいね。懐かしいなー」

 

「・・・もう俺とは会わないんじゃなかったのか?なぜまた俺の前に現れた?」

 

「・・・君に会いたくなっちゃった・・・なんて言ったらどうする?」

 

・・・はぁ・・・こいつは全く何を言ってんだか・・・。

 

「・・・こんなことしなくても、いつも毎日会ってるだろ?」

 

「え?・・・えっ?」

 

驚いている様子だが、俺はこいつに構わず、確信を突き付ける。

 

「零奈・・・なぜお前たちの母親の名を名乗った」

 

「・・・ははは、そこまでバレちゃってるんだ・・・」

 

こいつ自身が偽名なのは知っていたが、これが母親の名前だと知ったのは、やっぱりこいつらの爺さんの話が大きかったな。それで頭では理解したが・・・今回の四葉と六海の反応で確信に変わったな。

 

「あの時はとっさにね・・・。でも今日伝えたいことを君が言ってくれてよかった。信じてもらえなかったらどうしようかと思ったから・・・」

 

零奈はベンチから立ち、俺の前まで来てそこに立った。

 

「君の考えている通り、私は六つ子の1人の誰かだよ。君に私がわかるかな?」

 

・・・なんだ。そんなことのためにわざわざ俺に会いに来たのかよ。そんなもの・・・俺が言うことは1つだ。

 

「わからん!早く正体を教えろ!」

 

「諦め早っ!!」

 

いや、だって、わからないものはわからないんだからしょうがないだろ。

 

「そ、そんなド直球に聞くもんじゃないんじゃない?ほら・・・成績優秀なんだから考えてみてよ・・・」

 

「・・・俺は六つ子たちに振り回されてばかりだ。誰が誰だとか・・・誰のフリをした誰かだとか・・・もうそんなのはたくさんだ。楽しい修学旅行にケチ付けようとすんな。しっしっ」

 

俺は心からの本音を零奈に言ってやった。

 

「・・・き、気にならないの・・・?・・・私のこと・・・どうでもよくなったの・・・?」

 

「・・・お前には・・・」

 

俺が何かを言おうとした時、零奈は話を聞かずにそのまま人ごみの中へと入ってしまった。・・・ちょっとストレートすぎたか・・・。あいつには少し言いたかったことがあったが・・・まぁいい・・・また会った時にでも言うか・・・。

 

SIDEOUT

 

♡♡♡♡♡♡

 

『零奈の正体?』

 

下着屋で自分の分の下着を買った六海は店員に五月と間違えられ、五月の荷物を受け取って、その五月を探している。

 

「自分の荷物を置いてどこ行ったんだろう・・・?」

 

六海が五月を探していると、ちょうどそこに零奈が現れる。零奈を見た時、六海はちょっと驚いた顔をしている。

 

「あれ?それあの箱に入ってた服?なんでそれ着てるの?」

 

「そ、それは・・・」

 

「しっかし見れば見るほど、昔にそっくりだなぁ・・・なんで今になって?」

 

六海の疑問に零奈は答えづらそうにしている。六海はとりあえず五月のかばんを手渡す。

 

「まぁ、答えづらいなら深くは聞かないけどさ。風太郎君待ってるから先外に出てるよ?」

 

六海はそう言って風太郎の元へと戻っていく。零奈は試着室に入る。そして・・・零奈が帽子・・・そして鬘を外すと、赤い長い髪が下ろされる。

 

(・・・思ったようにいかない・・・しかし、楔は打ちました)

 

その姿は六つ子の五女、中野五月だった。つまり先ほど零奈として風太郎と話していたのは、五月ということになるのだ。

 

♡♡♡♡♡♡

 

一花SIDE

 

数日の時が流れて、今日はいよいよ修学旅行。私たちは京都行の駅前で新幹線が出るのを待っているよ。

 

「ふわぁ・・・いよいよ始まるね、修学旅行」

 

「おーい、五月ー。新幹線乗るよー」

 

「ひとまずフー君の班についていくわよ」

 

「二乃、そのフー君やめて」

 

「でもフータロー君は嫌がってたよ」

 

うーん・・・当初の予定とは全然違うなぁ・・・。班分けでもそうだけど・・・中々うまくいかないなぁ・・・。でも・・・この修学旅行こそが・・・フータロー君と・・・

 

「上杉君、清水寺いきましょうよ。私たちの班と一緒に!」

 

「は?」

 

「「「「「!」」」」」

 

え・・・?五月ちゃん・・・?

 

「いや・・・今回は班ごとに行動だろ?」

 

「まぁ、そう言わずに」

 

「いやルールを・・・」

 

(京都での思い出は大切なはずじゃなかったのですか?あなたなら・・・気づいてくれると信じています)

 

「えっ・・・」

 

「なんで五月が・・・?」

 

(い・・・五月までどうしちゃったのー!!?)

 

・・・まさか五月ちゃんがあんな積極的に行動するとはね・・・。でも・・・誰が来ようと関係ない・・・。これは遊びなんかじゃない・・・。これは・・・戦いなのだから・・・。

 

♡♡♡♡♡♡

 

発車された新幹線は私たちを乗せて京都へ向かって走っている。周りはどこに行こうかっていう話をしているよ。そんな中私たちはそんな話はなく、トランプでやれる遊びであるポーカーをやっているよ。

 

「はい、フルハウス」

 

「負けた~・・・」

 

「ぐぬぬ・・・」

 

「もう少しでロイヤルストレートフラッシュなのにぃ~・・・」

 

ふふん、今日の私はなんだかついてる気がするよ~。幸運の女神様が微笑んでると言ってもいいかも。

 

「今日の一花ちゃん運いいなー」

 

「もう1回!もう1回勝負よ!」

 

「いつでも受けて立つよー」

 

今の私には幸運の女神様が味方してるんだし、何度勝負を挑まれても負ける気はしないなー。

 

「!三玖、三玖。終わったよ」

 

「んあ・・・。あ、ツーペア」

 

「遅いし弱い!」

 

ちょっと蚊帳の外みたいになってきている三玖は本当に眠そうにしている。・・・ていうより、さっき思いっきり寝てたよね。

 

(眠そうだね。今朝早起きしてどこか行ってたみたいだけど・・・)

 

(うん・・・バイト先に無理言って朝から厨房貸してもらってた)

 

(えっ・・・じゃあ・・・)

 

(うん。今日食べてもらっていよいよ・・・)

 

(ずっと今日のために頑張ってきたんだもんね!最後まで応援するよ!)

 

(冷めてもおいしいんだけどね・・・)

 

んー?なーんか三玖と四葉がこそこそと話してるなぁ。何を話してるのか知らないけど・・・なーんか面白くないのはなんでだろう・・・。

 

「・・・あ、そうだ。次勝った人は何でも命令できる・・・ってルールはどうかな?」

 

「ふーん・・・なんでも、ね。いいじゃない」

 

「いいの?その条件なら六海勝っちゃうかもよ?」

 

「いいでしょう。受けて立ちましょう」

 

「・・・負けない」

 

私が思いついたルールにみんなはめらめらとやる気を出してくれた。

 

(・・・このバチバチ・・・トランプだけの盛り上がりだよね!!?)

 

自分が言い出したこの勝負・・・負けるわけにはいかなくなったね。大丈夫・・・私には幸運の女神様が付いているのだからね。

 

♡♡♡♡♡♡

 

長い時間をかけて新幹線は目的地である京都に着いたよ。今は駅前で先生たちによるミーティングの時間。

 

「大きい荷物はこちらでホテルに送っておく。貴重品だけ持っていくように。諸注意は以上だ。では解散」

 

やっとミーティングは終わりかー。短いようで長いんだよねー。

 

カシャン

 

「!」

 

「?二乃、どうかしましたか?」

 

「え?ううん、多分の気のせいだわ」

 

ええっと、フータロー君は・・・と・・・あ、あそこで4人でどこ行くか話をしてる。ここからじゃ聞こえないなぁ・・・。

 

「風太郎君はどこに行くんだろうね?」

 

「みんな、行きたいところはある?」

 

「それはやっぱり旅といえば買い物よ。古~いお寺よりお洒落なお店の方が楽しいわ」

 

「それは別に最後でもいいよー。それよりも見映えがあるお寺の頂上とかいいんじゃない?」

 

「わかってないなー。せっかくの京都だよ?ならではのおいしいものを食べさせたいよ」

 

「私もその意見に賛同ですが・・・今はもう少しこの駅内であの日のことを・・・いえ、散策してもいいと思います」

 

うーん・・・みんな行きたいとこバラバラ・・・でもみんなフータロー君を中心に考えているというのは私でもわかるよ。みんな素直に合流しようとしないのが何よりの証拠だからね。

 

「五月、急にどうしちゃったの?」

 

「私はただ・・・」

 

「あ、フータロー君の班が出発したよ」

 

「ついていくわよ」

 

「どこ行くんだろ・・・」

 

フータロー君の班が移動を開始したのを見計らって、私たちはフータロー君たちにはばれないようにしながらついていく。どこに行くんだろ?

 

♡♡♡♡♡♡

 

・・・えーっと・・・フータロー君たちがたどり着いた場所は・・・神社だね。4人はここでお祈りしてるね。

 

「・・・・・・」

 

「・・・なんだここ・・・」

 

「なんちゅーか、地味やな」

 

「学問の神様が祀られている神社さ。前田君、坂本君、君たちの成績は見るに堪えないのだから深ーく祈りたまえ」

 

「んだとコラァ!!」

 

「よーし、お前こっちこいや。売られた喧嘩は買うたるで」

 

「お前らうるせえー!!」

 

・・・うーん・・・隠れて見てても思うんだけど・・・絵面的にもこの光景・・・

 

「・・・なんか・・・地味ね・・・」

 

「こらこら」

 

思ったことを二乃が直球に発言してきた。こういうのは思ってても口にしないのが常識だよ?

 

「あ、移動したよ。確か隣にも神社があったからそこじゃない?」

 

「行きましょう」

 

お祈りを済ませたフータロー君たちが移動したから私たちも後からついていく。

 

「・・・自由昼食は今日しかないのに・・・やっぱり班行動が最大の難関・・・」

 

「大丈夫!きっと2人きりになれるチャンスはあるはずだよ!」

 

・・・・・・さっきからあの2人・・・なーんか怪しいなぁ・・・。

 

♡♡♡♡♡♡

 

フータロー君たちが鳥居を通っていったから私たちもその鳥居を通っているけど・・・社がずーっと続いてる本当にすごい景色だね。

 

「わぁ!これずっと鳥居なの⁉」

 

「絶景だねー」

 

「すごい・・・」

 

「写真では見ていましたが・・・やはり実物は壮観ですね」

 

「映えるわー」

 

「今日はこの景色を書こうかー」

 

この光景をすごいと思ってるのは他の姉妹も同じだね。

 

「ほら、記念写真撮るわよ。並んで並んで。ほら、ピースも忘れずにね」

 

この光景を残すために二乃が写真を撮ってくれた。隣には他の妹たちが並んでカメラに向かってピースをしてる。もちろん、私もね。

 

「なんだか姉妹だけなのも貴重だねー」

 

「あれ?6人揃っての写真ってなかったっけ?」

 

「花火大会の時は写真撮ってなかった?」

 

「それこそ小学生の頃の修学旅行以来ですよ」

 

「じゃあ今度は全員で撮りましょうか」

 

「・・・フータローはもう上にいるのかな?」

 

おっと、写真撮影で華を咲かせるのもいいけど、フータロー君のことを忘れちゃいけなかったね。うーん、やっぱりいないね。

 

「なかなか見えないわね」

 

「男の子は足速いから」

 

「そうだね。体力はないけど」

 

「よーし!私たちもがんばろー!」

 

早いとこフータロー君と合流するため、私たちは記念撮影は後にしてそのまま先へと進んでいくよ。

 

・・・そして、十数分後・・・

 

「はぁ・・・はぁ・・・け、結構・・・長いわね・・・」

 

「うぇ・・・気持ち悪くなってきちゃった・・・」

 

「ほらほら、がんばって」

 

「足が痛くなってきました・・・」

 

「みんな遅ーい!」

 

思っていた以上に距離が長いからみんなの顔色に疲れが見え始めてきたよ。実をいうと私もちょっと疲れてきちゃったかな。その中でも元気なのがへばっている三玖を支えながら先に進んでる四葉だけ。

 

「はぁ・・・はぁ・・・四葉ちゃんはへばってない・・・いったいあの無尽蔵な体力はどこから湧いてるのー・・・?」

 

「全く・・・あの子は気楽なものね・・・羨ましい限りだわ」

 

「ははは・・・あれが四葉のいいとこだよ」

 

「・・・まぁ、そうね。どこかの腹黒い自称お姉さんとは大違いだわ」

 

「!」

 

皮肉といえる発言をした二乃は警戒したような目でこっちを見ている。

 

「どうせ今日も悪巧みを企んでるんでしょ?」

 

「・・・ははは・・・しないよ・・・そんなこと」

 

「・・・どうかしらね」

 

やっぱり二乃には警戒されてる・・・か・・・。まぁ仕方ないとは思うけどね。宣戦布告した手前、行動には気を付けた方がいい・・・かな。私も、できる限りは穏便に済ませたいし。でも、万が一の時があったらその時は躊躇はしないよ。

 

(・・・二乃ちゃん、一花ちゃんはああ言ってるけど、あれ絶対何か企んでるよ)

 

(でしょうね。注意深く一花を見ておきましょう)

 

・・・まあでも、六海も怪しんでるし・・・今は大人しくした方がいいかな。

 

♡♡♡♡♡♡

 

鳥居をようやく超えて、お店が並んでる四ツ辻まで辿り着いたんだけど・・・ここで問題発生。

 

「道が2つあるね」

 

そう、山頂へと続く道のりが2つある。つまり、フータロー君と合流できる確率は2分の1ということになるんだよね。ここで正解を選ばないと大幅の時間ロスになっちゃうんだよねー。

 

「んー・・・どっちも山頂に続いてるみたいだよ」

 

「風太郎君ならどっちの道に行くと思う?」

 

「私に聞かないでよ。普通に考えれば正規ルートでしょ?」

 

二乃も同じ考えか・・・。人が多いところを見れば多分右が正規ルート・・・多分フータロー君がそこに行く可能性は高いと思う。

 

「みんな、もうお昼ですし、あそこのお店でお食事をとりましょう!」

 

「さんせーい!足疲れちゃったよー」

 

ああ、そう言えばもうお昼か・・・。確かにお腹すいたね。鳥居で結構疲れてきちゃったし、ちょっとくらい休憩しても・・・

 

「!待って・・・お昼は・・・」

 

私たちが賛成しかけた時、三玖がストップをかけてきた。

 

「何よ?他に食べたいものでもあるの?」

 

「・・・・・・」

 

「三玖ちゃん?黙ってたらわからないよ?」

 

「え、ええっとね・・・」

 

・・・よく見たら三玖の手元には何かの紙袋がある・・・。大事そうに抱えてるけど・・・あれの中身は何?それに、四葉もやたらと三玖を気にしてるし・・・ますます怪し・・・

 

「あ!そうだ!!この先の道なんだけど・・・二手に分かれようよ!!」

 

「「「「「え?」」」」」

 

「私と三玖と五月が右のルート、一花と二乃と六海が左のルートを進むの!そうすれば、上杉さんと入違わずにすむよ!」

 

いや・・・まぁ・・・確かにその方法でいけばフータロー君と入違わずにすむけど・・・それは片方側だけでしょ?そんなのに納得できる私じゃない。納得できないのは二乃と六海も同じみたいで私と一緒に反対異議を出す。

 

「ちょっと待ちなさい。何言ってんのよ」

 

「そんな勝手に決められちゃ困るんだけど・・・」

 

「そうだよ!だいたい四葉ちゃんに何の権利があって・・・」

 

「・・・何でも命令できる権利!!私の言うことは絶対だよ!!」

 

「「「うっ・・・」」」

 

そ・・・そこでポーカーの勝者権利を使うなんて・・・!それを使われたら引き下がるしかないじゃん・・・。くぅ・・・私がポーカーに勝っていればその権利は私がもらってたはずなのに・・・。・・・ああ、そうだよ、電車でのポーカーは負けちゃったよ。幸運の女神様が私を見放したんだよ。神様は本当に残酷なことをするよね。しかしこの流れ的には・・・かなりまずいかも・・・。

 

♡♡♡♡♡♡

 

結局四葉の出した案には逆らえず、昼食にありつけないまま、私と二乃、六海は左のルートの道のりを歩いている。可能性としてはかなり低いと思うんだけどなー・・・ここも可能性0ってわけでもないし・・・。

 

「一花が余計なことを提案したせいで変なことになっちゃったじゃない」

 

「いや、二乃ちゃん思いっきり提案乗ってたじゃん。六海も乗っちゃったけど・・・」

 

「ははは・・・今はそんな話をしてる場合でもないんじゃないかな?」

 

確かにあの時私が何でも言うことを聞く、なんて提案を出さなければ、こんなことにならなかったかもだけどね。反省はしてる。でもそれよりもどうするべきかを考えるべきだと思うな。

 

「人の流れ的にも多分あっちが正規ルートだと思うわ」

 

「もしも先に合流されたらどうしよう・・・」

 

そう、1番の問題としているのはそこ・・・どうすれば・・・

 

「・・・うぅ・・・ちょっとトイレに行きたくなってきちゃった・・・」

 

「え?ちょっと・・・こんな時に・・・」

 

私が悩んでいると六海がトイレに行きたがってるね。・・・トイレ?・・・お手洗いならこの2人を足止めできるかも・・・。確かちょうど先に行けば・・・。

 

「あ、お手洗いがあったよ」

 

やっぱりあった。地図を確認しておいて正解だったよ。

 

「た、助かった~。ある意味ではこのルートで正解だったかも」

 

「この先にはないのよねー。アタシも行っておこうかしら」

 

二乃と六海はトイレへと向かっていった。・・・よし、2人がトイレに行った今がチャンス。2人の姿が見えなくなったところで、私は・・・2人を置いて先の道へと進んでいく。

 

地図を見た限りでは、この左ルートの方が山頂まで短かった。四葉だけなら負けてたかもしれないけど・・・四葉には三玖と五月ちゃんがいる。あの3人の中で特に体力が低いのは三玖・・・三玖を考慮すれば、私の方が早く辿り着く!

 

・・・でも、今フータロー君に会って、私は何をすればいいの?そこを考えてなかった。それに、フータロー君の他にも前田君に坂本君、武田君もいる・・・。・・・けど、それでも今の三玖の動きがすごく怪しい・・・。四葉の手も借りてる様子だったし・・・きっと修学旅行でアクションを起こすつもりだ。

 

・・・できることならやりたくなかった。けど、またやるしかない。一度ついた嘘はもう取り消すことは出来ない。なら私のやるべきことはただ1つ・・・三玖を止めるだけ。そのために用意したんだ・・・この三玖のなりきりセットを。

 

自分の恋の成就のために私は・・・噓つきを演じ続ける!!

 

♡♡♡♡♡♡

 

『あと少し』

 

一方その頃、右ルートを進んでいる三玖、四葉、五月はもうだいぶ奥まで進んでいる。それこそ、このまま進めば頂上にたどり着くまでに。

 

「もうお昼なのに・・・お腹が空きました・・・」

 

「ごめんね、五月、あと少しだから頑張って!」

 

そんな中で五月は昼食をありつけなかったために腹を空かせているし、三玖も三玖で元の体力がないため、疲れている表情をしている。

 

「三玖、大丈夫?」

 

「うん・・・大丈夫・・・あと少し・・・あと少しだから・・・」

 

それでも三玖は何とか風太郎と合流すべく、がんばっている。

 

(この日のためにずっと頑張ってきたんだもん!思いは絶対叶うよ!)

 

(・・・うん・・・ありがとう・・・四葉・・・)

 

三玖と四葉は五月には聞こえないようにそう耳打ちをしている。だが・・・三玖のそんなひたむきな思いを・・・たった1人の人物によって、それを崩されることになるとは・・・この時はまだ、知る由もなかった。

 

♡♡♡♡♡♡

 

『やられた!!』

 

ちょうどそのころ、用をすませた二乃と六海はお手洗いから出て、一花と合流しようとする。

 

「ふぅ・・・スッキリしたぁ。ちょっとだけすっとしたらお腹空いてきちゃったよー」

 

「ちょうどお昼時だし仕方ないわ。・・・そういえば・・・フー君たちはお昼ご飯はどうするつもりだったのかしら?」

 

「そのフー君呼びやめてって何度言ったら・・・あれ?」

 

「・・・あれ?一花は?」

 

外に出てみたら、一花がいなかった。それにたいして、二乃と六海はふつふつと嫌な予感がこみ上げてきた。

 

「・・・二乃ちゃん・・・これって・・・」

 

「・・・やっぱりそう思うわよね?あの女狐・・・!」

 

「「やられた!!」」

 

自分たちがトイレに行っている間に一花が風太郎の元に急いでいるとすぐに理解できた二乃と六海はしてやられたような気分がこみ上げた。

 

「そんな時間は経ってないから今ならまだ一花ちゃんを止められるかも!」

 

「ええ。急ぎましょう」

 

一花が何かをやらかす前に二乃と六海はすぐさま一花を止めるために急いで先へと進んでいくのであった。

 

♡♡♡♡♡♡

 

はぁ・・・はぁ・・・着替えも走りながらだったし、ちょっとは手間取って少しだけ時間かかったかもだけど・・・やっと頂上まで辿り着いた・・・。今の私は三玖・・・変装もバッチリ・・・。後は・・・フータロー君がいるかどうか・・・。

 

「・・・誰も・・・いない・・・」

 

辺りを見回してみたけど・・・この場には他の生徒はもちろん、フータロー君もいなかった・・・。左ルートにすれ違わなかった・・・ということは・・・やっぱりフータロー君はまだ右ルートの途中・・・!

 

「急がなきゃ!これだけ走ったんだから三玖たちはまだ・・・」

 

・・・と、そう思っていた私はきっと、浅はかだったと思う・・・。

 

「・・・え・・・」

 

だって・・・急ごうと思って右ルートの方へと向かっていった先で、先に頂上へとたどり着いたのは・・・

 

「・・・い、一花・・・?」

 

右ルートを選んでいた五月ちゃんと四葉・・・四葉に背負われている三玖だったから・・・。

 

「一花・・・なんで・・・私の変装してるの・・・?」

 

なんで・・・は、こっちのセリフだよ・・・。なんで・・・三玖たちが先にこの頂上まで辿り着くの?フータロー君とすれ違わなかったの?なんで?なんでなの?

 

「・・・?一花・・・?何か・・・理由でもあるの・・・?」

 

「それに二乃と六海は一緒ではなかったのですか?」

 

この状況は・・・まずい・・・!どう足掻いても言い逃れができそうにない・・・!本当に・・・どうなって・・・

 

「・・・一花」

 

この状況をどうにか打開できないか考えていると、四葉が私に声をかけた。

 

「いったいどうしたの?どうしてこんなことを?」

 

四葉の問いかけに、私は何も答えることができない・・・。いや・・・言えるわけがない。真鍋さんが言っていたやりたいことをやれ・・・そのやりたいことが、姉妹の恋路を邪魔をすることだなんて・・・最低なことを・・・。

 

「よ、四葉・・・」

 

「今の一花は明らかに三玖の邪魔をしているよ」

 

「・・・邪魔?」

 

「邪魔って・・・何の・・・?」

 

追いつめられていると、3人の後ろから、この場に居合わせてはいけない人物が来た。

 

「それは・・・」

 

待って四葉・・・今はその口を開いちゃダメ!!

 

「四葉、待っ・・・」

 

「三玖から上杉さんへの告白だよ!!」

 

「よし!1番乗り!」

 

この場で1番居合わせてはいけない人物・・・それは当然ながらフータロー君のことだ。私はとっさに身に着けていた変装用の三玖の鬘とヘッドフォンを隠す。

 

「・・・は?今・・・何て言った・・・?」

 

最悪だ・・・。これはフータロー君には1番聞かせられない言葉だったのに・・・。本当に・・・最悪だよ・・・。

 

42「シスターズウォー 2回戦」

 

つづく




おまけ

ifシスターズウォー~仲良し姉妹!~

スマホに映ってる人物のお互いの顔が入れ替わるというアプリを入れ、さっそく試してみる六つ子。まずは三玖と一花の組み合わせ。

一花「ぷ・・・あはは!」

四葉「このアプリすごいね!」

六海「本当に顔が入れ替わってるよ!」

五月「私もやりたいです!」

・・・顔、変わってる?まったく同じ顔なんだけど・・・。まぁ、次・・・五月と二乃の組み合わせ。

二乃「うわ、この組み合わせやばい!」

三玖「これは・・・違和感ありすぎ・・・」

五月「あはは、お腹痛いです~」

・・・やっぱりどれも同じ顔なんだと思うけど・・・。・・・次、四葉と六海の組み合わせ。六海はメガネを外した状態で。

三玖「あれ・・・?」

四葉「なかなか顔認識してくれないね」

いや・・・髪型も同じ、顔も同じでどう認識すると?・・・あ、2人とも笑った顔になった。

六海「ぷっー!!突然入れ替わらないで!あはははは!」

一花「あはははは!もうやめてー!」

・・・やっぱり全部同じで本当に入れわかってるのかさえ疑わしい・・・。

ifシスターズウォー~仲良し姉妹!~  終わり

次回、六海視点

デート回(?)にて、2番目でデートをするのは誰がいい?

  • 一花
  • 二乃
  • 三玖
  • 六海

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