六等分の花嫁   作:先導

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遅れながら、明けましておめでとうございます。

筆を書くスピードがちょっと落ちてしまいましたが、ついにごとよめの二期が始まったので、これを機に書くスピードを取り戻せたらなぁと思います。

そういえば今年にごとよめのゲームが出ますね。それを見て六海ちゃんの水着はどんなんがいいかなぁってぶっちゃけ悩んでいます。何か水着でいい案がありましたら、リクエストでなければ感想、メッセージ、挿入絵などでどんどん教えてください。プール回などの回で参考にしたいと思っていますので。

長くなりましたが、この六等分の花嫁を暖かく見守っていただき、ありがとうございます。今年もよろしくお願いします。




シスターズウォー 3回戦

六海と二乃ちゃんがお手洗いに行っている間に一花ちゃんがいなくなったことから、絶対に何かしらのハプニングを起こすと思って急いでお山の頂上を目指していく。まずいよ・・・今の一花ちゃんは何をしでかすかわからない・・・早く止めないと・・・!

 

「はぁ・・・やっと頂上だわ・・・」

 

結構距離が短かったからそんなに体力が減ることなく、頂上にたどり着いた・・・

 

「三玖!待ってください!どこへ行くのですか⁉」

 

え?さっき六海たちが通っていった道に入ってったのは・・・三玖ちゃん⁉そして五月ちゃんは三玖ちゃんを追いかけてったけど・・・。何事かと思って前を見てみると・・・現状を把握した。今目にしている視界の先には、四葉ちゃんと風太郎君・・・いなくなってた一花ちゃんがいた。そして・・・一花ちゃんの手には・・・三玖ちゃんの変装セットが・・・。

 

「一花ちゃん・・・まさか・・・やったの・・・?」

 

「・・・・・・」

 

何かしらのハプニングを起こすだろうとは思ってたけど・・・それがまさか・・・三玖ちゃんの頑張りを無下にするような行動だったなんて・・・想像もしたくなかったよ。前はあんなに三玖ちゃんを応援してたはずなのに・・・

 

「・・・ねぇ、こんなことまでする必要ってあったの?どうして・・・」

 

「あんた・・・いい加減にしなさいよ」

 

六海が一花ちゃんに問いかけようとした時、その前に二乃ちゃんが一花ちゃんの胸倉を掴みにかかってきた。その顔はかなり怒ってた。

 

「あの子泣かせて・・・それで満足?」

 

「に、二乃ちゃん!やめて!」

 

六海はそんな二乃ちゃんを止める。ここでもし手をあげたりしたらなんか大事になっちゃうから。

 

「二乃、今のは私が・・・」

 

「四葉、いいから・・・。結果はどうであれ・・・私がやらかしたことには違いないよ」

 

四葉ちゃんは何か弁明を言おうとした時、一花ちゃんが自分のやったことを認めたような発言をした。

 

「あんた・・・どこまで・・・」

 

「・・・二乃にだけは言われたくないなぁ」

 

「!」

 

「温泉で二乃が言ってたじゃん。他人を蹴落としてでも叶えたいって。私と二乃の何が違うの?教えてよ」

 

確かに二乃ちゃんは温泉でそんなことを言ってた。六海もその時に聞いたから知ってる。でも違う・・・違うんだよ・・・それは一花ちゃんが思ってるのとは違う。

 

「・・・ええ、確かにそう言ったわ。他の誰にも譲るつもりはない。でも、私たち姉妹6人の絆だって・・・同じくらい大切だわ」

 

そう言っている二乃ちゃんの目にはうっすらと涙がこぼれてた。

 

「たとえあんたが選ばれる日が来たとしても・・・アタシは・・・祝福したかった・・・!」

 

「・・・っ」

 

そう・・・これは二乃ちゃんだからこそ言える言葉・・・六海たち以上に姉妹を大切にしている二乃ちゃんだからこその・・・重くても・・・優しい、言葉。一花ちゃんだって、それがわからないはずがない。

 

「うぅ・・・もう一歩も歩けねぇ・・・」

 

「全く、下のお店でお昼ご飯食べすぎだよ」

 

「ん?上杉、どうしたんや?」

 

「いや・・・俺にも何が何だか・・・」

 

一花ちゃんと二乃ちゃんの成り行きを見守ってると、武田君と前田君、坂本君が来た。それだけじゃない・・・他の人も集まりだした。

 

「・・・おい、お前ら、一旦落ち着け」

 

「!うるさい!今あんたが来ると話がややこしくなる!すぐに三玖を追いかけなさい!!」

 

「え・・・」

 

「早く!!」

 

「・・・わかったよ」

 

事態を収めに来た風太郎君だけど、逆に二乃ちゃんに怒られて、三玖ちゃん探しの同意をした。

 

「お前ら、悪いな。先行ってるぞ」

 

「ああ・・・」

 

「わ、私も捜します!」

 

風太郎君と四葉ちゃんは三玖ちゃんを探しにすぐにお山から下山していく。

 

「ま、待って、六海も・・・」

 

ガサッ

 

?六海も三玖ちゃんを探そうと思ったら足元に何か引っかかった。何かと思って見てみたら、何かが入ってた紙袋だった。・・・て、これ・・・三玖ちゃんがずっと抱えてたものじゃん。・・・?なんだろう?この袋の中からほんのりといい香りがしてきた。これは・・・パンの匂い?・・・もしかして、三玖ちゃんは・・・。・・・ううん!そんなことはどうでもいい!六海も三玖ちゃんを捜さないと!六海は紙袋を六海の荷物の中に入れてすぐに三玖ちゃんを探しにお山を下りた。

 

♡♡♡♡♡♡

 

お山を下りて京都の街の中、六海たちはこの中で三玖ちゃんを探し回ってる。お山を下りたはずだから絶対この道を通ったはずなんだけど・・・。そ、そうだ。確か五月ちゃんが先に三玖ちゃんを追いかけてたはず!もしかしたら一緒にいるかも・・・。そう思って六海はスマホを取り出して五月ちゃんに電話をかける。・・・あ、出た!

 

「もしもし、五月ちゃん!三玖ちゃんは?三玖ちゃんは一緒⁉」

 

≪お、落ち着いてください、六海!一緒ですよ。今三玖と一緒にバスに乗ってます。ただ・・・≫

 

「・・・やっぱり、落ち込んじゃってる?」

 

≪・・・はい。何を聞いても、答えてくれなくて・・・≫

 

やっぱりそっか・・・。何があったのかは知らないけど・・・きっとショックを受ける出来事だったんに違いない・・・。三玖ちゃんの性格を考えると、そうなるのもしょうがないか・・・。

 

「・・・五月ちゃん、三玖ちゃんの傍にいてあげて。きっと三玖ちゃん、自信なくしちゃってるから。六海たちもすぐにそっちに行くから」

 

≪わかりました≫

 

とりあえず三玖ちゃんは五月ちゃんに任せて・・・このことを風太郎君と四葉ちゃんにも教えないと。

 

「四葉ちゃん、風太郎君!五月ちゃんと電話繋がったよ!今三玖ちゃんと一緒にバスに乗ってるって!」

 

「・・・そうか。じゃあ俺たちもバスに乗るぞ」

 

「うん。それから・・・四葉ちゃん。どうしてこうなったのか、一から説明お願いできる?」

 

「う、うん・・・」

 

六海たちはバスに乗って、これまでの経緯を四葉ちゃんの口から聞くことになった。

 

♡♡♡♡♡♡

 

四葉ちゃんの話は大体理解できた。つまり三玖ちゃんは風太郎君に自分の作ったパンを食べてもらおうといろいろと準備してたみたい。だからいろいろ挙動がおかしかったのか・・・班決めの時も・・・今日の昼食に関しても・・・。でも、その頑張りを・・・一花ちゃんが先に頂上に来たから、それを壊した。そして、四葉ちゃんが言った言葉が、風太郎君が来たタイミングで言っちゃって、とどめをさしたってことを。

 

「・・・あの・・・上杉さん・・・頂上で私の言った事・・・聞こえてましたよね・・・?」

 

「・・・聞こえてねーよ」

 

「あ!その反応!絶対聞こえてた!!目が泳いでるもん!!」

 

風太郎君の目がなんか泳いでるから絶対四葉ちゃんの言った事聞こえてるよ!!六海が同じ立場だったら絶対そうなってるもん!

 

「うるせーな。聞こえてないもんは聞こえてない。それで納得しろ」

 

「いまいち納得できない・・・」

 

絶対聞こえてるはずなのになぁ・・・。て、気にしてたら話は進まないか・・・。

 

「・・・とはいえ、私の不用意な発言で三玖を傷つけてしまったのは事実です・・・。ずっと・・・あんなに一生懸命頑張ってたのに・・・」

 

「それは違うよ四葉ちゃん。それは六海のせいだよ。一花ちゃんをちょっと目を離した隙に・・・。何かやるって知ってたはずなのに・・・」

 

今回の件は誰のせいでもない・・・一花ちゃんが何か行動をするとわかっておきながら、おトイレを優先して一花ちゃんを見張らなかった六海が悪いの。

 

「・・・たく・・・後先考えずあんなことを言いやがって・・・もっと周りを見てから発言しろ」

 

「やっぱり聞こえてるじゃないですか・・・」

 

「・・・・・・まぁ、知ってたがな」

 

「「え?」」

 

知ってた?知ってたって・・・何を?

 

「知ってたって・・・」

 

「え?何が知ってたの?」

 

「・・・だから・・・その・・・ほら、あれだよあれ・・・」

 

「あれじゃわかんないってー」

 

「・・・その・・・ほら・・・み、三玖が・・・俺に・・・好意を抱いてくれてたことをだ・・・///」

 

・・・・・・・・・え?今、なんて?風太郎君が・・・三玖ちゃんの思いに・・・気づいてた!!??

 

「・・・え?嘘?聞き間違いじゃないよね?もう1回・・・」

 

「やめろーーー!!もう1回は言わねぇぞ!!」

 

「だって・・・鈍感上杉さんが・・・信じられません・・・」

 

「・・・まぁ、いろいろあったからな」

 

・・・本当に気づいてたんだ・・・。普段は鈍感なくせに・・・六海の思いをちっとも気づいてないくせに・・・未だに信じられない・・・。

 

「・・・だからあの三玖から応援と言われた時は頭が混乱した。あの三玖はあいつじゃなかった・・・やっぱり間違ってなかったんだな・・・」

 

「「??」」

 

「・・・いや、何でもない。気にするな」

 

???風太郎君はいったい何のことを言っていたの?気にするなって言われても気になるんだけど・・・。

 

「とにかく今回のことはお前らが気にすることじゃない。特に四葉、お前は人に気遣いすぎだ。ハッキリ言って度が過ぎている」

 

「あー・・・確かに。去年の陸上部の件もそうだけど・・・」

 

「は、ははは」

 

四葉ちゃんは誰にたいしても・・・というか、その優しさがちょっと限度を超えてるような気がするよ。変な人に騙されないか心配だよ。

 

「それはいいんです。上杉さんには、落第した私にみんながついてきた話をしましたよね?」

 

「え?そうなの?」

 

「ああ」

 

「あれは、私がみんなを不幸に巻き込んじゃったんです。簡単に取り戻せるものじゃありません」

 

「四葉ちゃん・・・」

 

四葉ちゃん・・・まだ、黒薔薇でのことを引きずって・・・そんなの・・・六海たちがみんなで話し合って決めたことだから、四葉ちゃんのせいじゃないのに・・・。それに六海は、全然不幸だとも思ってもいないのに・・・。

 

「六海だけじゃなく・・・姉妹のみんなが私より幸せになるのは当然なんです」

 

そんなことない・・・と言いたかったけど・・・四葉ちゃんの気持ちは痛いほどにわかる・・・。四葉ちゃんほどじゃないにせよ、六海だって、凶鳥だった時、いっぱい迷惑をかけた。その時の後悔は計り知れないよ・・・。六海たちにとっては不幸じゃなくても、四葉ちゃんはそうでもない・・・。だからその気持ちはわかるし・・・何か言う勇気もない・・・何も言えない・・・。

 

「そんなもんかね」

 

「この旅行も・・・みんなに楽しんでほしかったのに・・・」

 

いったい何が正しくて、何が間違っているんだろうね・・・。六海だって、自分のことで必死で・・・お姉ちゃんたちの気持ち、考えてあげられなかった・・・。お姉ちゃんたちの幸せって・・・いったい何なんだろう・・・?

 

「・・・ねぇ、風太郎君」

 

「なんだ?」

 

「誰もが平等に、幸せになる方法って、ないのかな?」

 

「あるぞ」

 

そうだよね・・・そんな都合よくなんて・・・て、え!!?

 

「あるの!!?」

 

「ああ。人と比較せず、個人ごとに幸せと感じられる・・・もしそんなことができたのならそれは、さっきのお前の質問の答えになるだろう」

 

「で、ですよね!それじゃあ・・・」

 

「・・・だが、現実的には・・・誰かの幸せによって別の誰かが不幸になるなんて珍しくもなんともない話だ。競い、奪い合い・・・そうやって争いの中で勝ち取って得る幸せってのもあるだろうよ」

 

・・・やっぱ・・・そうだよね・・・。現実的にはそんな甘いことだらけじゃない・・・。わかってたよ・・・そんな答えが返ってくることくらい・・・。

 

「・・・そんなこと言ったら、私にできることなんて・・・」

 

「何もない。お人好しは大いに結構だ。だが限度があるだ。おこがましいんじゃないか?全てを得ようなんてな」

 

「・・・・・・」

 

「何かを選ぶ時は何かを選ばない時だ。いつかは選んで、決めなきゃいけない日がくる。いつかは、な」

 

何かを選ぶ時は何かを選ばない・・・いつかは選んで決めなきゃいけない・・・か・・・。六海にも、そう言う何かを選ばないといけない時って、来るのかな・・・。

 

「・・・そろそろつく。降りて三玖を追いかけるぞ」

 

「はい」

 

「うん」

 

六海たちはバスから降りて三玖ちゃんを追いかけようと走った・・・けど・・・体力がなかったから六海も風太郎君もバテて休憩を繰り返して・・・結局日中では合流することができなかったよ・・・。・・・もうちょっと体力つければよかったかな・・・。

 

♡♡♡♡♡♡

 

夜になって、今日六海たちが泊まることになるホテルで、みんなで晩御飯をとっているよ。どれもおいしそうな料理で普通なら胸が躍る・・・んだけど、三玖ちゃんが気がかりで、とてもそんな気分にはなれなかった。一花ちゃんも三玖ちゃんも集まらなかったし・・・心配だなぁ・・・。

 

「みんな、聞いて」

 

すると二乃ちゃんが真剣みな顔で話を切り出してきた。

 

「盗撮犯に追われているわ」

 

「「え?」」

 

盗撮犯って・・・こそこそと隠れて女の子の写真を撮ったりするあの盗撮犯?

 

「京都駅にいた時からずっと感じてたの。間違いないわ。修学旅行生がターゲットにされるって前にニュースで見たもの」

 

あ、そういえば・・・スマホのウェブページでもそんなことが書いてたっけ・・・。気持ち悪いなぁ・・・そんなのがいるなんてやだやだ・・・。

 

「だとしても、なぜ二乃を撮るのです?」

 

「ど、どういう意味よ!!」

 

五月ちゃん、さすがにその発言は二乃ちゃんに失礼だと思うよ。二乃ちゃんだってかわい・・・

 

カシャンッ

 

!今、写真の音が聞こえて・・・

 

「!!やっぱり!!」

 

まさか本当に盗撮犯が・・・?怖いなぁ・・・。六海と二乃ちゃんはカメラの音の方が鳴った方を見てみると・・・

 

「ごちそうだねー」

 

「インスタあげよ」

 

「・・・・・・」

 

な、なんだ・・・クラスの子がただご飯の写真を撮ってただけかぁ・・・ビックリしたぁ・・・。

 

「それより三玖と一花は・・・」

 

「結局日中は追いつけなかったけど・・・ホテルに帰ってきているんだよね?」

 

「ええ。2人とも歩き疲れてしまったようで自室で休んでいます」

 

そうなんだ・・・。ただ・・・2人が自室に一緒にいるとは思えないんだよね・・・。あんなことがあった後だもん。2人きりは気まずいはずだし・・・。

 

「三玖ちゃん、大丈夫かな・・・。今もまだ自室にいるはずなんでしょ?」

 

「やっぱり私、見てくるよ!」

 

「待ちなさい。もうすぐ食べ終わるから、一緒に行くわよ」

 

「二乃・・・」

 

「あ、私はもう食べ終わってます!」

 

「五月ちゃん・・・」

 

こんな時でも五月ちゃんは平常運転というかなんというか・・・。とにかく、ご飯を食べ終えて、六海たちは三玖ちゃんの様子を見に自室へと戻っていくよ。

 

「・・・・・・」

 

「おう、上杉。俺酢の物苦手やねん。食ってくれ」

 

「おや上杉君、どうかしたかな?それから、トマトも苦手なんだが食べてくれるかい?」

 

「・・・いや、何でもねぇ。それよりもあいつ、前田はどうした?」

 

「あいつなら便所に行っとるけど・・・」

 

「長いトイレだね」

 

「じゃあ俺もトイレ行っとくか・・・」

 

「ということは僕もだね」

 

「なんでやねん」

 

「ついてくんな」

 

♡♡♡♡♡♡

 

三玖ちゃんの様子を見に六海たちの部屋まで来たんだけど・・・どうも三玖ちゃんが中の鍵をかけちゃったから六海たちは中に入れず部屋の前までいるよ。

 

「三玖ちゃーん、いるんでしょー?鍵開けてよー」

 

「・・・・・・」

 

・・・声をかけても反応なし・・・よっぽどショックだったのかな・・・。

 

「反応ありませんね・・・」

 

「電話も無視と・・・一応アタシたちの部屋でもあるんだけど・・・」

 

困ったなぁ・・・これじゃあ三玖ちゃんに近づくこともままならないよ・・・。後、このままじゃ六海たちも部屋に入れないよ・・・。

 

「三玖、ごめん!私のせいで!でも修学旅行は2日あるんだよ。これから私に取り返させてほしいんだ」

 

「・・・・・・」

 

「四葉・・・」

 

・・・四葉ちゃんでも反応なし・・・どうしよう・・・もう本当に先生呼んで部屋を開けてもらうしか・・・

 

カシャン

 

「「「「!」」」」

 

・・・え?今のって・・・カメラの音・・・?まさか・・・

 

「・・・い、いや、ま、まさかね、はは・・・」

 

「は、はは・・・二乃が変なことを言うから私まで幻聴が聞こえてきました・・・」

 

「そ、そうよね・・・幻聴よね・・・いくら何でもホテルの中にまで・・・」

 

そう・・・今のは幻聴・・・幻聴・・・疲れてカメラの音が聞こえただけ・・・!そんな後ろにすぐに盗撮犯がいるわけ・・・

 

カシャン

 

「「「「・・・きゃあああああああああああああ!!!???」」」」

 

で・・・出たああああああああああ!!!本物の盗撮犯だああああああああああああ!!!

 

♡♡♡♡♡♡

 

六海たちは盗撮犯から逃げるようにホテル内をぐるぐると走り回ったと思う。その際に先生に怒られちゃった記憶があったけど、それどころじゃなかったから通り過ぎちゃったよ・・・。はぁ・・・怖かったぁ・・・。

 

「ふぅ~・・・ここまで逃げれば大丈夫・・・」

 

「今のはいったい・・・」

 

・・・あ、そういえば・・・盗撮犯はあそこに置いてきちゃったけど・・・三玖ちゃんは大丈夫かな・・・?・・・い、いや、大丈夫だよね・・・?鍵かけてたし・・・でも心配・・・もう1回電話をかけよう。お願い三玖ちゃん・・・電話に出て・・・

 

≪六海、今の声って・・・≫

 

あ、出た~・・・。よかったぁ~・・・電話に出たってことは無事だったんだ・・・。・・・は!そうだ、今なら三玖ちゃんに声をかけるチャンス・・・

 

「あのね、三玖ちゃん・・・」

 

「六海、ちょっと貸しなさい」

 

「あ、二乃ちゃん⁉」

 

六海が話をしようと思ってたら二乃ちゃんにスマホ取られた!

 

「やっと出たわね、三玖。あんた、明日どうするつもり?話したい事があるんだけど」

 

二乃ちゃん・・・三玖ちゃんに何か伝えたい事でもあるのかな・・・。普段は喧嘩とかよくする二乃ちゃんと三玖ちゃんだけど・・・こういう時だからこそ・・・話せることがあるのかな・・・。六海も、三玖ちゃんのために何かしてあげたい・・・けど・・・何をすればいいんだろう・・・?三玖ちゃんのためになるもの・・・か・・・。

 

♡♡♡♡♡♡

 

修学旅行2日目、三玖ちゃんや一花ちゃんのことが気がかりだけど・・・今は気分転換!修学旅行を楽しまないと!それに、三玖ちゃんには多分二乃ちゃんがいるだろうしね。そういうわけだから、六海は今日は真鍋さんと一緒に京都の観光スポットを見て回っているよ。

 

「いいの?姉妹と一緒じゃなくて、私と回るって」

 

「ああ、うん、いいのいいの!あっちもあっちで楽しんでるだろうし、それに、3年生になってから真鍋さんと一緒にいる時間も減っちゃったからね!その埋め合わせ!」

 

「ふーん・・・まぁいいけど」

 

せっかくの修学旅行だもんね。たまには姉妹だけじゃなくて、2年でできた友達と一緒に回りたいもんね。

 

「で、次どこ回るのよ?やっぱお寺とか?」

 

「うん、そうだね。京都と言えば、やっぱり清水寺のてっぺん!これは外せないよ」

 

「・・・そう」

 

小学生の時の修学旅行で見た時のあの景色はそう簡単には忘れられないからね!もっとも初日は観光どころじゃなかったけどね。

 

「あ、ちょっと待ってちょうだい。孤児院のみんなのお土産を買っておかないと」

 

「お土産?それ後でもいいんじゃない?」

 

「うちに住んでる子らが何人いると思ってるのよ?お店一か所だけじゃちっとも足りないわ」

 

「あー、そっか。10人以上はいたもんね」

 

「まず子どもたちの分は全員確保しないといけないわ・・・!最悪の場合、院長や同学年の子らの分は省かないと・・・!」

 

「無難にお菓子でいいと思うけどなー・・・」

 

真鍋さんってたまにケチくさいことを言うからたまに傷なんだよねー。子どもたちのことを思う気持ちはわかるんだけどさ。

 

「あんたも買って行けば?時間は一応有限なんだから」

 

「んー・・・そうしよっかな」

 

明日の最終日でも問題ないんだけど・・・せっかくだからなんか買っていこうかな。このお店では・・・お守りが売ってるんだ・・・。あ、勉学成就のお守り、ここで売ってたんだ。せっかくだし、お姉ちゃんたちのために、別のお守りでも買ってみようかな。

 

「んー・・・どれにしよっかなー・・・」

 

「これなんかいいんじゃないかしら?健康祈願のお守り。これからも元気でいられますようにーってさ」

 

「健康祈願かー」

 

んー、確かに今後も元気でいられるにこしたことはないかな。あ、いや、でも・・・身体は健康そのものだし・・・どっちかっていうと、三玖ちゃんが立ち直ったりできそうなお守りを・・・

 

「・・・てい!」

 

「いた!」

 

い、いきなり真鍋さんにデコピンされた!なんで!!?

 

「な、何⁉」

 

「カラ元気なのバレバレなのよ、まったく・・・普段ならいいって言うのに、らしくないわね・・・」

 

あ・・・今の六海の気持ち・・・気づいてたんだ・・・さすが真鍋さん・・・人のことは良く見るなぁ・・・。さすが孤児院のリーダーさん。

 

「・・・なんかあったの?私でよければ相談に乗るわよ」

 

「・・・じゃあ・・・相談に乗ってもらっていい?」

 

「何を今さら。水くさいわよ」

 

「実は・・・」

 

お土産は一旦後にしてお寺のてっぺんに向かいながら六海は、昨日起きたことを全部真鍋さんに話した。真鍋さんは口を挟むことなく、真剣に聞いてくれた。

 

♡♡♡♡♡♡

 

「・・・そう。そんな事があったのね・・・」

 

「うん・・・」

 

事情を全部話終えた頃合いには、六海たちはお寺のてっぺんまでたどり着いた。こんな時でも絶景の光景が、心が踊りつつも、逆に姉妹全員一緒じゃないから、逆に寂しさを感じるよ。

 

「・・・だったらごめんなさい。多分それ、間接的に私のせいになると思う」

 

「・・・どういうこと?」

 

真鍋さんの言っている意味が理解できない。間接的に真鍋さんのせいになるって・・・いったいどういう意味?

 

「春休みでの温泉旅行、覚えてるかしら」

 

「うん。もちろん、覚えてるよ」

 

忘れるわけがないよ。あの温泉旅行のおかげで、六海はもう我慢しないって決めたから。やりたいことはやるって決めたから。

 

「その旅行の2日目の夜、私、一花に言ったのよ・・・やりたいことは我慢せず、やりたいことはやれって・・・」

 

!旅行が終わって以来、一花ちゃんが様変わりした理由がようやく理解できた。真鍋さんの影響が出てたんだ・・・。

 

「あの子、気持ち的にだいぶ参ってたみたいだったから、ほんの少しだけ背中を押す程度だったのよ。でもそれがまさか・・・そんな事態になってたとは思わなかったわ・・・」

 

真鍋さんの言葉から申し訳なさが伝わってきた。そしてすぐに六海に向かって頭を下げてきた。

 

「本当にごめんなさい。こんなことになったのは、私の責任だわ」

 

「ちょ・・・謝らないで!真鍋さんは何も悪くないって!だから気にしないで!ね?」

 

「でも、結果的に私が言った事のせいで・・・」

 

「大丈夫だって!それに、多分一花ちゃんの気持ちに従っての行動だから、温泉旅行で誰が声をかけても同じだったと思うし。だから気にしなくてもいいんだって!だから頭をあげて」

 

「・・・なんか、逆に励まされているみたいで、さらに申し訳ないわね・・・」

 

はは、本当だ。真鍋さんからすれば、励まそうとしてるつもりが、その逆の立場になっちゃてるね。でも、とりあえずは頭をあげてくれてよかったよ。

 

「・・・はぁ・・・でもまさか・・・一花が・・・。私はそんなつもりで言ったわけじゃなかったのに・・・」

 

「本当に、どうしてこうなっちゃったんだろう・・・。せっかくの修学旅行だったのに・・・」

 

起きてしまったことのことを考えても仕方ないのはわかってるつもりなんだけど・・・どうしても考えてしまうんだ。もっと他にやり方はなかったのか。違うやり方でなら、みんな傷つかずに済んだのにって・・・。はぁ・・・頭が痛くなってきちゃう・・・。

 

「・・・ねぇ、真鍋さん」

 

「何?」

 

「真鍋さんだったら、この状況、どう動こうとする?」

 

「・・・またずいぶんと難しい質問が来たわね。私だったら・・・そうねぇ・・・」

 

は・・・ついうっかり思っていることを口に出してしまった。でも真鍋さんは六海の問いかけに真剣に悩んで答えを探しているね。

 

「・・・これは私・・・というより、孤児院基準になっちゃうけど、それでも構わないかしら?」

 

「う、うん」

 

「私だったら落ち込んでいる子・・・あんたたちで言うところの三玖のやりたいこと、叶えたいことを叶えさせてあげること、かしらね」

 

「三玖ちゃんの・・・やりたいこと・・・」

 

三玖ちゃんの望みと言えば・・・絶対に風太郎君と一緒にこの修学旅行を回ること・・・だよね・・・。でも、それは一花ちゃんも・・・二乃ちゃん・・・六海だって望んでることだよ。

 

「そりゃもちろん他の子達だってその子と同じ事を考えているかもしれない。けどね、不思議なことに落ち込んでいる子のために自ずと考えて、動いていくものなのよ。割と自然とね。私はそんな子供たちの光景を何度も見て来た。私自身もそうだったわ。その子のために、動いてきたりしたわ。自分の本分を置いておいて、ね」

 

「そういうものなのかな?」

 

「あんたもいずれ、わかるわよ」

 

自分の本分・・・というか、願い?かな?それを置いて、落ち込んでる子のために、願いを叶える?難しいことだなぁ・・・。絶対そんなことになるとは思わないんだけど・・・。その願いが同じならなおさらだと思うし。それに・・・昨日のこともあったから、今の一花ちゃん、今日は何をするかわかったものじゃないし・・・。

 

「じゃあもし、もしもだよ?その願いを他の子が邪魔して来たりしたら・・・その時はどうするの?」

 

「誰かが自分の願いを優先して、落ち込んでる子をさらに傷つけることを恐れての発言かしら?それは」

 

「うん・・・」

 

だって、絶対にないとは言い切れないもの・・・。

 

「・・・人間関係ってのは割と面倒でね、紡いできた絆ってのはそう簡単には切れることはないのよ。それが家族であるなら余計にね。その邪魔をしてきた子だって、本当はその子を傷つけたくないって内心では思っているはずよ。だったら私はそれを信じる、それだけよ」

 

「信じる・・・」

 

「ま、あくまでも孤児院基準だけどね。それ以外となると難しいけれど」

 

信じる・・・か・・・。今の六海は果たして、お姉ちゃんたちを信じられてるのかな・・・?最近では風太郎君のことを考えすぎて、お姉ちゃんたちにたいして疑心暗鬼になってるから、信じられる自信がないよ・・・。それで三玖ちゃんが元気になる保証もないし、一花ちゃんもいまいち信用できない・・・二乃ちゃんにだって負けたくない・・・唯一信じられるのが四葉ちゃんと五月ちゃんだけ・・・。そんな六海が三玖ちゃんの願いを叶えたって・・・

 

「・・・ふん!」

 

ポコッ

 

「いた!」

 

ま、また真鍋さんに叩かれた!考え事してるのに!

 

「あんたは少し考えすぎなのよ。もっと楽になりなさいな」

 

「真鍋さん・・・」

 

「それに、あんたらは六つ子でしょ?普通の家族よりも絆が固いはずよ?姉妹を信じてあげられないでどうするのよ?」

 

「!」

 

六つ子・・・そうか・・・そうだよ・・・六海たちは六つ子、普通の姉妹とは違う。そりゃ普通に喧嘩したり、いがみ合ったりもするけど・・・それでも、六海たち姉妹の絆は、何よりも固い。そして、その6人の絆は、風太郎君と同じくらいに大切。ああ、そんな単純なことを忘れかけてたなんて、自分を引っ叩いてやりたいくらいだよ。

 

「・・・なんか、吹っ切れた、みたいな顔ね」

 

「全然そんなことないけど・・・気持ち的には楽にはなったよ。ありがとうね、真鍋さん」

 

「私は相談に乗っただけ、何もしてないわ」

 

ううん、そんなことない。こんなにいい気持になったのは、他ならない真鍋さんのおかげ。感謝しかないよ。

 

「・・・うん、決めた」

 

「?」

 

「六海に何ができるのかは、まだわからないけど・・・それでも六海は、お姉ちゃんたちを信じるよ。もう疑ったりもしない。例え悪い結果になったとしても、きっと何とかなる。そう、信じることに決めたよ」

 

「そう、それでこそ私の知る六海よ」

 

六海の言葉を聞いて、真鍋さんは微笑みを見せてくれた。風太郎君はまだ諦めたわけじゃないけど・・・それでも六海は、姉妹で公平でありたい。そのためにも、三玖ちゃんが笑っていられるように何か考えないとね。

 

「・・・あら?雲行きが怪しい・・・これは一雨来そうね」

 

「え⁉️ウソ⁉️」

 

ウソでしょ⁉️今日雨降らないって天気予報で言ってなかったっけ⁉️ていうかもうこれ、どう足掻いても雨で濡れちゃうじゃん!

 

「参ったわね・・・折り畳みも持ってないし・・・」

 

「と、とりあえずなるべく濡れないように急いで戻ろうよ!」

 

「そうね、そうしましょう」

 

六海たちはできる限り濡れないように急いでお寺から出てホテルに戻る。けど、その途中でやっぱり降って来ちゃって、六海たちはびしょびしょだよー・・・。こんな時に雨が降って来るなんて・・・なんか不吉だな・・・。

 

♡♡♡♡♡♡

 

『嘘をついた反動』

 

時間は少し遡り、修学旅行の1日目の夜、盗撮犯のカメラを見て、二乃たちが出した悲鳴は風太郎の耳にも聞こえていた。

 

「なんだ今の悲鳴⁉」

 

「何かあったの⁉」

 

様子を見に行こうとしたところで、同じく悲鳴を聞きつけた一花と偶然鉢合わせる。

 

「・・・あ、フータロー君・・・いいところで会ったね」

 

「!一花、お前・・・」

 

「ねぇ、明日は時間ある?話したい事があるんだけど」

 

「・・・三玖のことか?」

 

「うん。三玖がね、話したい事があるってさ。だから三玖の話を聞いてあげてよ」

 

一花にそう言われたことによって、風太郎は翌日三玖を探すために清水寺の頂上にまでやってきた。だがそこにいたのは四葉と五月だけ。他の姉妹は2年の頃の友人と見て回り、三玖は体調不良とのこと。そこでなぜか五月とツーショット写真を撮ることになったりしていた。そして現在・・・

 

「お、おい・・・どこへ連れていく気だ」

 

「いいから、こっち来て」

 

風太郎はただいま絶賛1人の女子高生に連れられている。

 

「急にどうしたっていうんだ・・・三玖」

 

風太郎を連れ出しているのは、部屋で休んでいたはずの三玖であった。ただ・・・この三玖は三玖であって三玖ではない。その正体は、昨日話を切り出してきた本人、一花である。つまりこれは、一花が三玖に変装しているのだ。

 

(三玖がフータロー君が好きだと知られたままじゃ私の嘘に矛盾ができてしまう。もうこうなったら、使える手段は何でも使う・・・私にはもう、これしか選択肢はない。この戦いに・・・勝つためにも!!)

 

昨日あんなことがあったにもかかわらず、まだ凝りていない様子の一花。それだけ一花も必死なのだ。風太郎の視線を自分に向けるために。そのためにも一花は、苦しいながらも、嘘をつき続ける。

 

「・・・!ここは・・・」

 

変装した一花が連れてきた場所は、辺りに自然が広がっている1本道の渡り道だ。この道のりは、風太郎にとって、6年前のいい思い出の1つだ。

 

「ここ、来たことあるよね?」

 

「ああ・・・小学生の頃に1回な」

 

「小学生の頃?」

 

風太郎は6年前の修学旅行の思い出・・・零奈との思い出を振り返る。

 

「あの日のことを忘れたことは1度もない。俺はあの日・・・あの子・・・零奈に振り回されるがまま、辺りを散策した。俺を必要と言ってくれた彼女との旅は、俺にとっていい思い出だ。気が付けば日が落ち、夜となっていたんだ」

 

「・・・それで、その後はどうしたの?」

 

「学校の先生に迎えに来てくれることになった。零奈が泊まっていた旅館の空き部屋で待たせてもらっていた。担任にはこっぴどく叱られたがな。だが、楽しかった」

 

風太郎の昔話を聞いて、一花は口元に笑みを浮かべていた。

 

「その子は・・・」

 

「もういいだろ」

 

「え?」

 

一花が口を開こうとした時、その前に風太郎が先に口を開いた。

 

「お前に何か意図があるんじゃないかと思って話しただけだ。だがわからん。もう面倒くさくなってきた」

 

風太郎は一花に面と向かって言い放った。

 

「お前の芝居に付き合ってやるのもここまでだ、三玖・・・いや、一花」

 

「・・・え・・・?」

 

風太郎に自身の正体を言い当てられて、かなりの焦りが生じ始める一花。

 

「えっ・・・ちょ・・・なんで急に・・・」

 

「ただの勘」

 

「えええ!!?」

 

一花が驚いている間にも、風太郎はだんだんと一花へと迫っていく。

 

「これまでの状況を考えるとな、お前の可能性が1番高い。怪しいところだらけだ」

 

「ち、違うから!!ハズレ!!私は一花じゃない!!残念でした!!」

 

「その焦りは、正解を言っているようなものだ。それに・・・これ以上、お前らのミニコーナーに付き合う義理は、俺にはない」

 

壁際まで一花を追いつめ、そして、動きづらくするように壁ドンをする風太郎。そしてそのまま、一花の変装道具を外す。

 

「ほらな、正解だ」

 

「・・・・・・」

 

風太郎が変装道具を外したその瞬間、空の雨雲はぽつぽつと飴を振り出し、次第には大雨になっていった。

 

「タイミング的に考えて、先日の学校で会った三玖もお前で間違いないな?なぜ俺にあんな嘘をついた?」

 

「あ、あれは私じゃ・・・」

 

「嘘でまた惑わすのはなしだからな」

 

どんなに一花が何かを言おうとしても、もう嘘で訂正できるような話ではなくなってきている。雨に打たれている状況中、短い沈黙の後、一花は口を開いた。

 

「・・・さっきの話さ、フータロー君はもう、気づいてるんじゃないかな?6年前のその子が、私たちの6人の中の誰かだって・・・」

 

「・・・ああ、知っている」

 

「・・・私だよ」

 

「!」

 

「私・・・私だよ・・・私たち、6年前に会ってるんだよ・・・」

 

思い切った一花の告白に風太郎はあまり動揺している様子はない。沈黙を続けるだけであった。

 

「嘘じゃないよ・・・お願い、信じて・・・」

 

「・・・・・・」

 

「おーい、そこの2人!見学は中止!ホテルに戻るぞ!!」

 

遠くから教師の声が聞こえてきた。ホテルに戻る前に風太郎は一花に確認のためにこう問いかける。

 

「・・・6年前、俺とここで買ったお守りを覚えているか?」

 

「え?お守り・・・?」

 

風太郎の問いかけに、一花は一瞬の戸惑いを見せる。それもそのはず、お守り事態に記憶はあるが、買った、というところは身に覚えがないからだ。

 

「う、うん!今でも持ってるよ。忘れるはずがないよ・・・」

 

それでもそれを察せられないように、そのように言葉を紡いだ。

 

「・・・嘘、なんだな」

 

だがそれも空しく、風太郎に見破られてしまい、思惑をバッサリと切り捨てられた。

 

「悪い・・・今はお前を信じることができない。風邪ひく前に帰るぞ」

 

風太郎は一花に目をくれる様子もなく、ホテルへの道のりを歩く。1人残った一花は大雨の中で、泣いた。

 

6年前に風太郎にあったという一花の言葉は・・・半分は嘘であり、半分は正解なのだ。つまり、話の半分は一花が関わってるのは間違いない。ただ・・・学校の廊下でついた嘘があまりにも大きすぎたのだ。その反動が、ここで返って来たのかもしれない・・・。

 

♡♡♡♡♡♡

 

ようやくホテルに戻ってこれた~・・・。あー、もー、制服も下着もメガネももうびしょしょ~・・・。今日は晴れだったはずなのに・・・ついてないなー・・・。他の生徒たちもみんなびしょびしょの状態で戻ってきた。

 

「ひとまず着替えて各班部屋で晴れるまで待機だ」

 

「え~、そんな~・・・」

 

「せっかく京都に来たのに~・・・最悪~・・・」

 

本当だよ。せっかくの京都なのに雨で観光中止だなんて・・・幸い、明日は晴れだからいいけどさー。

 

「じゃあ、私は松井たちのとこに戻るから、またね」

 

「うん、またー」

 

とりあえず六海は真鍋さんと別れて、六海たちの部屋へと戻るよ。三玖ちゃんはともかく、他のお姉ちゃんは濡れてないかな?そう考えていると、一花ちゃんと出くわした。

 

「あ、一花ちゃん・・・」

 

「あ・・・」

 

一花ちゃんは六海とは比べ物にならないくらいに雨で濡れまくっているのが見ただけでわかった。それに、目を見てみたら・・・なんかちょっとだけ目が腫れてる・・・さっきまで泣いてたっていうのがわかる。・・・何があったかは、聞かないであげよう。それよりも・・・

 

「一花ちゃん、お部屋に戻ろう。濡れたままだと、風邪ひいちゃうよ」

 

「・・・うん」

 

六海は一花ちゃんを連れて、六海たちの部屋へ向かっていく。一花ちゃんの体、雨で濡れきっていて冷たい・・・だいぶ雨に打たれてたんだ・・・。早くシャワーを浴びさせてあげないと。

 

「予報は晴れだったよなー。絶対雨男雨女がいるな?許さねぇぞコラ」

 

「上杉君、どこにいたんだい?」

 

「・・・まぁ、ちょっと、な」

 

「ははは、さては迷子だね」

 

「ええ年こいてそれはないやろ。ちゅーか、明日のコース選択、どないすんねんな」

 

「そうだな・・・。・・・やっぱEにしようぜ」

 

「・・・・・・」

 

向こうの方で風太郎君たちがなんか話してるけど、そんなこと気にしてる余裕はこっちにはない。今は姉妹の方が大事。みんな濡れてないといいんだけど・・・。

 

43「シスターズウォー 3回戦」

 

つづく




おまけ

今さらながらの紹介

魔法少女マジカルナナカ

漫画家MIHOが作者の大人気魔法少女漫画。六海のお気に入りの漫画ナンバー1に君臨している。ピース、ストライクなどの続編を用いて、7年間の連載が続いており、今でも人気が誇っている。
その人気によってグッズ化したり、映画化にまで発展するようにもなった。ちなみに、アニメのナナカ役として出演している声優も、六海の1番のお気にいりの役者であり、彼女が出演するイベントには必ずと言っていいほどに参加している。

今さらながらの紹介  おわり

次回、三玖視点

デート回(?)にて、2番目でデートをするのは誰がいい?

  • 一花
  • 二乃
  • 三玖
  • 六海
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