1つ、更新を1年以上も待たせてしまったこと。
2つ、オリジナル話のネタがなかなか思いつかず、ひとまず話を学園祭の話を進めること。
3つ、書けなかったオリジナル話を諦めたわけではないため、∞のような形でいずれ第3・5章で投稿すること。
4つ、3・5章の投稿は未定であること。
5つ、せっかくいただいた感想を返信できなかったこと。
以上、私の力不足でこれらのご迷惑をかけてしまったことをここに謝罪させていただきます。本当に申し訳ございませんでした!!
四葉SIDE
「うちのクラスは何をするんだろーねー?」
夏休みが明けて学校が始まって早々、学校中が賑わいを見せています。というのも、なんと!10月13日から15日に旭高校の学園祭、日の出祭りが始まるのです!だからみんな、学園祭に向けて準備で大忙しです!
「放課後なのに賑わってるねー」
「まだまだ先なのに気合入ってるわね」
「うん。だけど去年は転入してすぐだったから準備に参加できるのも嬉しい」
「うんうん。特に、これが最後の学園祭だしねー」
「そうねー・・・」
三玖の言いたいことはわかります。実は去年の学園祭ではこの学校に転入してすぐだったので、楽しむどころか参加もできなかったのです。本当に悔しく思います。
「・・・あーあ・・・これで大学の入試判定さえなければ心から楽しめるのに・・・」
「うわっ、急に現実的なことを言いだしたよ・・・」
「あ、そっか。一学期のやつ、もうすぐ返ってくるんだったね・・・」
いやー、あの時は六海のスランプ問題があって結構大変だったんですよねー。うーん・・・今回いい結果だといいんですけどねー・・・。もし悪かったりしたら上杉さんにいろいろ言われちゃうかもしれません。
「二乃ちゃんは大学に行くことにしたんだね」
「そーねー。一応はそれが無難だと思うし。それに・・・もしかしたら、フー君と同じとこ行けるかもしれないし♡」
「「それはないね」」
「どういう意味よ!」
あはは・・・三玖も六海も結構バッサリと切り捨てちゃってる・・・。二乃、どんまい。
「・・・あーあ・・・学園祭が終わったらもう受験まっしぐらなのね・・・」
・・・受験・・・かぁ・・・。二乃と五月は大学進学、三玖はお料理の専門学校・・・六海は絵の専門学校・・・みんな進む進路が決まってる。一花にいたってはもうすでに女優だから進む道が決まってる。・・・私のやりたいことって、なんなんだろうなー・・・。
「はいはい!現実的な話は終わり!今は学園祭のことを考えよう!」
しんみりしていた私たちに空気を六海が変えてくれました。うん・・・そうだよね。受験も大事だけど、今は学園祭!そっちに集中しなくちゃ!うん!集中集中!
「・・・っていうか、そもそも私たちのクラス、何するんだろ?」
「まずはそこなんだよねー」
そうなんですよねー・・・。他のみんなはやることが決まって準備を始めてるんですけど、私たちのクラスはまだやることが決まってなくて準備を進めようにも進められない状況なんですよねー。早く出し物を決めないと・・・。
「あ!ここにいたのか中野・・・」
「「「「?」」」」
「・・・の四女!ちょっと職員室まで来てくれ!」
「私ですか?」
先生が私に用?いったい何の用なのでしょうか?とりあえずまずは用件を聞くために職員室に行かなきゃ!私は二乃たちといったん別れて先生と一緒に職員室へ向かいました。
♡♡♡♡♡♡
私が先生に呼ばれた理由はやはり学園祭のことでした。うちのクラスの出し物が決まっていないので、私たち学級長中心でいろいろ決めてほしいとのことです。高校生活最後の学園祭ですからね。悔いのないように、目一杯頑張らなきゃ!
「失礼しました」
「あ、五月」
「四葉」
私が職員室から出た同じタイミングで反対側の扉から五月が出てきました。そういえば五月、別の先生方と何か話してたなぁ。
「職員室で先生と何話してたの?」
「今日の授業でわからない箇所があったので質問に・・・」
「そっか」
なるほど・・・さすがは五月。勉強頑張ってるなぁ。私も見習わないと!
「四葉こそ何を?」
「私は学園祭のこと!学級長中心でいろいろ決めてくれってさ」
「そういえばうちのクラスはまだ未定でしたね。あれ?学級長といえば上杉君も・・・」
あ、そうそう、出し物の話し合いについては『学級長2人で』とのことでしたのできっと上杉さんにも話が回るはずです。ただ・・・
「あー・・・上杉さんはこういうお祭りはどうなんだろうね・・・」
二乃が言っていたように、学園祭が終われば受験シーズンまっしぐらです。きっと上杉さんは受験に向けて今猛勉強していることでしょう。そんな上杉さんの時間を奪うのはちょっと申し訳ないですよ。だから私の方でささっと決めちゃった方がいいかなー、なーんて思っちゃいます。・・・それに・・・・・・いや、さすがにそれはないでしょう。
「とにかく3年生の出し物は屋台をやるって習わしがあるんだって。ひとまずクラスのみんなに意見を聞いて回ってみるよ」
「そうですね。それがいいですよ」
「何がいいんだろ・・・。から揚げにフランクフルト・・・じゃがバターもいいよねー。それからお祭りらしくチョコバナナや焼きそばも・・・」
上げれば上げるほどおいしそうな屋台の名物が目に浮かんでくるようです。あぁ・・・想像したらよだれが・・・
「すみません。この話はまた今度にしましょう。もうすぐ塾のお手伝いの時間なので」
「え?もうそんな時間?」
「失礼します」
「・・・・・・」
五月は軽くお辞儀をしてから行っちゃった・・・。
「・・・うーん、おっかしいなぁ・・・五月は食いつくと思ったのに・・・」
言うまでもなく五月は食いしん坊なので絶対この話に乗ると思ってたのですが・・・どういうわけか関心を持ってくれませんでした。・・・今はお腹いっぱいだとか?・・・なーんてね。さ、早いところ教室に戻ってみんなの意見を聞いてこよっと。
♡♡♡♡♡♡
ひとまず自分たちの教室に戻ってきたのですが・・・最初の賑わいが嘘かのように静かでした。みんな帰っちゃった?誰か1人でもいないかなと思って扉の窓を覗いてみました。そこには1人で勉強している上杉さんがいました。
『四葉は四葉の本当にやりたいことを見つけな』
・・・なんで今になって一花の言ってたことが思い浮かぶんだろう?それに・・・
ドクンッ、ドクンッ、ドクンッ・・・
・・・変だなぁ。何でこんなにも胸がどきどきしちゃってるんだろう・・・?なんで・・・
「!なんだ、四葉か」
「ドキィ!!」
う、上杉さん!!?な、なぜ!!?私、膝を屈んでたので見えないはずなのに・・・あ!!まさか!またこのリボンが目立っちゃってる!!?
「は、はい・・・お取込み中すみません・・・」
「俺になんか用か?」
「え、えっと・・・」
確かに先生は『学級長2人で決めておくように』と言っていました。まだ話していないのならちゃんと言うべきなのですが・・・いざとなると・・・やっぱり言い出しにくいです・・・。
「用件があるなら早く言え。今は少しでも時間を無駄にはできない」
・・・やっぱり・・・予想通りの回答が出てきました。うん・・・やっぱり上杉さんの時間を邪魔しちゃ悪いよ。
ドクンッ、ドクンッ・・・
「・・・上杉さんに用なんてありませんよーだ!」
「はぁ⁉」
「お邪魔しましたー!」
「あ、お、おい!」
私はこの場から去るように教室から出ていきました。やっぱり・・・なんか変だよ・・・。
「・・・なんなんだ、あいつ・・・」
♡♡♡♡♡♡
教室を出て外に出た・・・のはいいのですけれど・・・
ドクンッ、ドクンッ、ドクンッ・・・
「・・・変だよ・・・今まで普通に話せてたのに・・・」
胸の高鳴りが全然収まってくれない・・・。本当に、なんで今になって・・・。私、どうしたんだろう・・・?こんな気持ち・・・ありえない・・・。だって・・・区切りをつけて終わらせたはずなんだ。それなのに・・・
「おい、どうしたんだよ」
「ぬわあ!!!???」
もやもやした気持ちを抱えていると、後ろから上杉さんに声をかけられました。び、びっくりしたぁ・・・。
「う、上杉さん!なんですか!」
「お前こそ、今日様子がおかしいぞ。屋台のこと、話し合わなくてもいいのか?」
「え・・・?」
や、屋台・・・?
「先生から聞いてないのかよ?お前も学級長だろ。俺とお前で出し物決めるんだとよ」
正直に言えば・・・意外でした。勉強に集中したいであろう上杉さんが自分から学園祭の話をしてくるなんて・・・。でも・・・私的にやっぱり申し訳なさが・・・。それに・・・
「で、でも・・・さっき時間は無駄にはできないって・・・」
「ん?・・・あー・・・そういうことか・・・」
上杉さんは納得したといった様子で頭をかいています。
「だからこそだ」
「え?」
「高校生活最後の学校行事だ。無駄にする気なんかないぞ。やるからには徹底的に楽しむと決めた!」
徹底的に・・・楽しむ・・・。
「ついてこい!去年の屋台のデータを聞き込みに行くぞ!」
上杉さんからはこれまでにない以上にかなり張り切っています。こんなにも積極的な上杉さんは初めてかも・・・。
「時間は有限だ。悠長にしてたらいくらあっても足りない。だからお前が必要だ」
「上杉さん・・・」
「頼りにしてるぞ」
上杉さんが・・・こんな私を・・・頼って・・・。
「・・・はい!任せてください!」
そうだ・・・今はこの気持ちは関係ない。高校最後の学校行事である学園祭を悔いの残らないものにしたい!そのためにもやることは全部徹底的にやってやるぞー!おー!
♡♡♡♡♡♡
次の日の放課後、私たちは本格的な準備を始めるために教室に集まっています。私は昨日みんなに去年の屋台で何が好きなのかを聞いて回り、その中で人気だった屋台を黒板に書いています。聞き込みの結果、屋台ランキングはこんな感じになりました。
1位たこ焼き
2位チョコバナナ
3位焼き鳥
4位フランクフルト
5位チュロス
6位たこせんべい
「ということで、これが去年人気だった屋台メニューです。もちろんこれ以外にもやりたいことがある人は随時教えてください」
「あたしはたこ焼きに一票」
ランキング1位のたこ焼きに真っ先に一票を入れたのは二乃でした。
「こういうのは奇をてらわない方がいいのよ。それに、あんたがそのリストを調べてくれたんでしょ?」
「はいはーい!六海もたこ焼きに一票!やっぱりお祭りにたこ焼きは外せないでしょ!」
「たこ焼きならバイトで磨いた俺の腕を見せてやるぜ!」
「うん。楽しそうだよね」
「おっしゃ!大阪本場のたこ焼きっちゅうもんを食わせちゃる!」
二乃に次いで、六海に前田さん、武田さん、坂本さんと次々とたこ焼きに一票を入れてきました。とりあえず、上がった票は1つずつ書いてっと・・・
「他にやりたいものはあるかー?」
「たい焼きやりたい!」
「タピオカ!」
もちろんランキングに乗っていないものも上がったのでそれも書き足しておかないと・・・
「・・・三玖、何かやりたいものあるか?」
「え?う~ん・・・」
私が票や候補を書いていると、上杉さんが三玖に話を振ってきました。話を振られた三玖は少し驚きましたが、考える素振りを見せました。あの様子だと、何かやりたい様子ですね。三玖は何をやりたいんだろう・・・?
「・・・・・・ぱ・・・パンケーキ・・・」
パンケーキ?えーっと・・・去年のデータには載ってあったかな?そう思ってリストを広げて見てみると、パンケーキの屋台はどこにも載ってませんでした。
「えーっと、去年までのデータにはないものですね」
「だがありかもしれないな。ナイスアイディアだ、三玖」
「私もいいと思ってたー」
「絶対かわいいよ」
「三玖ちゃん、ありがとう!」
「・・・///」
たこ焼きをやると渋っていたみんなは三玖の提案に大絶賛しています。あ、三玖ちょっと照れてる。でもなんだかうれしそう。
キーンコーンカーンコーン
あ、ここでチャイム・・・時間切れですね。
「じゃあ今日はこれまで。後日また話し合おう」
いっぱい案がありましたけど、ある程度の候補は絞れたし、何事もなければ明日とかに決まりそうですね。
「とりあえず、候補は絞れたな」
「ですね!」
「中野さん!」
私が上杉さんと話してた時、クラスの何人かが私に話しかけてきました。
「俺たち、バンドやってるんだけど・・・このライブステージって、俺たちでも参加できるのかな?」
「もちろんです!でもそうなると練習場所も欲しいですよね。吹奏楽部の人たちにも掛け合ってみますね!」
「マジ⁉サンキュー」
「親戚に招待状を送りたいんだけど・・・」
「ご用意してます!足りなかったらまた言ってくださいね!」
「被服部でこんな出し物するんだ。お客さん来るかなぁ・・・」
「わー、素敵ですね!所定場所ならポスター貼れるのでぜひお手伝いさせてください!」
ふー、みんなの要望を応えるのは結構大変ですね。でも、やるからには全力でやらないと、楽しめないですよね!
♡♡♡♡♡♡
『三玖も作るの?』
様々な生徒の要望を四葉が対応している姿を遠くで見つめている二乃、三玖、六海、風太郎の4人。
「四葉大人気」
「なぜ俺のところには誰も来ない」
「人望」
「フーちゃん人望なさすぎだしね」
「やめて。心が痛むから」
誰も自分に頼ってくれず、三玖と六海の辛辣な言葉にちょっと傷ついた風太郎。
「それにしても屋台ね。何を作るにしても腕が鳴るわ」
「うん。腕が鳴る」
二乃に次いで発言した三玖の言葉に一瞬シンと静かになった。僅かな沈黙を破ったのは六海だ。
「ちょ、ちょっと待って!え?まさか・・・三玖ちゃん、調理係やる気なの!!?」
「そうだよ?」
「ちょ、シャレになってないわよそれ!外からお客さんも来るのよ⁉下手したら周辺住民同時食中毒になるわよ!!?」
「めちゃくちゃ失礼。私だって上達してるもん」
失礼な発言をする二乃に三玖は頬を膨らませてぷんすかした表情になる。
「それに、二乃もいる」
「!」
「なら安心」
三玖からの信頼に文句を言っていた二乃はちょっと照れたような表情を見せた。
「も、もちろんよ!私と一緒に作れば万が一にも失敗はありえないわ!」
「わー、頼もしいー。これなら全部任せても大丈夫そうだね」
「あんたはもっと頑張りなさいよ」
二乃に丸投げしようとする六海に二乃は呆れた表情を見せる。
「ふー、お待たせー」
姉妹の微笑ましい会話が繰り広げられていると、四葉が戻ってきた。
♡♡♡♡♡♡
ふー・・・みんなの要望を聞くのも結構大変だったなー。帰ったらしっかりとプランを考えなきゃ・・・。
「四葉、お疲れ様」
「あんたちょっと働きすぎじゃない?」
「えへへ」
「大丈夫?ジュース買ってこようか?」
「ありがとー。でも大丈夫だよ」
確かにやることが多くて大変だけど・・・それ以上にやりがいを感じて楽しくなっています。何せ・・・
「最後のイベント・・・ですもんね!一ミリも悔いの残らない学園祭にしましょう!」
「・・・・・・」
あ、上杉さん、照れを隠すために前髪をいじってる。こういう時は素直じゃないですねー。
「じゃあ帰りましょう!」
「バイトまで時間あるわね」
「それなら駅前のファミレスに行こう」
「おー、いいね!行こう行こう!せっかくだから五月ちゃんを・・・て、そういえば五月ちゃんは?」
「もうお仕事行ったよ」
「フータローは今日どっちのバイト?」
「残念、今日はあたしとよ」
「むむむ・・・」
「いいなぁ、2人とも。六海んとこにも来てほしいけど、フーちゃん絵下手くそすぎだしなぁ・・・」
「上杉さん、早く行かないと置いてっちゃいますよー!」
私たちは他愛ない話をしながらファミレスまで向かうのでした。学園祭、楽しみだなー。
SIDEOUT
♡♡♡♡♡♡
『ここが正念場』
その日の夜、風太郎は一花の元までやってきて、彼女の勉強を見ながら今日の出来事を話す。
「という感じに、学園祭に向けて絶好調だ」
「あー・・・フータロー君さ・・・私が心配するのも変な話だけど・・・大学入試の方は大丈夫?」
「・・・あー・・・実は今日志望校への判定が返ってきてな・・・」
風太郎は今日渡された入試判定書を取り出してわざとらしさ全開の反応を見せる。
「や、やめろ!見るなよ!これだけは絶対に見られたくない!」
「あー、はいはい、よかったのね。心配するだけ損か・・・」
だが風太郎の露骨な反応に一花は苦笑いを浮かべる。毎日勉強して成果を出してる風太郎には無駄な心配だからだ。
「・・・なんだ、面白みがないな。つまらん」
「言っておくけど、そんな芸当ができるのは元々勉強ができるフータロー君だけだからね」
ちなみに、風太郎の志望大学の判定は言うまでもなくAである。茶番は置いておいて、一花は話を戻す。
「みんなをちゃんとよろしくね。ここが正念場だよ」
「心配ないさ。勉強も学園祭も、きっとうまくいく。見てな一花。最高の学園祭にしてやるぜ」
風太郎は心配はいらないと言わんばかりにそう宣言した。姉妹各々で、何かしらの問題を抱えているとも知らずに。
♡♡♡♡♡♡
二乃SIDE
あれから数日が経って、うちのクラスでやる出し物はたこ焼きかパンケーキ、そのどっちかが最終候補に残った・・・わけなんだけど・・・ちょっと問題が発生したわ。
「パンケーキでいいじゃん!このままじゃ屋台のメニュー決まらないよ!」
「たこ焼きだって!決まんねーのはお前ら女子が頑固なせいだ!」
「いい加減諦めなさい男子!」
「去年のデータ見ただろ!」
まぁ・・・見ての通り男子はたこ焼き、女子はパンケーキをやるって言って揉め事を起こして騒ぎを大きくしてるのよね。まぁ・・・それだけならまだマシな方よ。質が悪いのが・・・
「ふわっふわなパンケーキ食べたことない?みんな大好きだよ!三玖ちゃんもなんか言ってあげて!」
「え・・・えっと・・・その・・・」
「たこ焼きが嫌いな日本人なんて存在しねーよ!ですよね!二乃さん!」
「ま、まぁ・・・」
あたしがたこ焼きを一票入れたから男子側に、三玖はパンケーキを提案した本人だから女子側の派閥に巻き込まれたことなのよね・・・。まったく・・・面倒なことになったわね・・・。
「あれ⁉二乃ちゃんパンケーキ好きって言ったじゃん!なんでそっちの味方するの?」
「えっ?噓ですよね、二乃さん?」
・・・あー・・・もう!これじゃあいつまでたってもらちが明かない!!イライラする!!
バンッ!!
「あーもう!!仕方がないでしょ!!たこ焼きはあたしが最初に提案したんだもの!!だったら最後まで責任持つわよ!!それと、食べるのと作るのでは話が別だから!!そのふわっふわのスフレパンケーキ、あたしだってたまに失敗するんだからね!!」
このままだと堂々巡りになってしまうのはわかり切ってる!だったらもう言ってやるしかないじゃない!
「これ以上の話し合いは時間の無駄よ!!こうなったら2つともやるしかないわ!!」
♡♡♡♡♡♡
『相談できない心情』
男子と女子の揉めあいは収まったはいいものの、問題が解決したわけではなかった。何せ男子と女子とで別れたおかげで入った票が半々になってしまって決めるに決められない状況となっているのだ。ちなみに、学級長は中立の立場であるために票を入れることはできない。
「ちっ・・・今日も平行線になっちまったか・・・。そろそろ決めないとやばいな・・・」
「あ、あの・・・上杉君・・・ちょっといいですか?」
票が平行線になってしまっている状況下に危機感を覚える風太郎に五月が声をかけてきた。
「ん?どうした?」
「えっと・・・」
五月は相談事がしたい様子のようだが、中々持ち込むことができず・・・
「・・・学園祭、頑張りましょう」
結局誤魔化して相談することができなかった。相談できないでいる五月の手には、1枚の用紙が握られており、五月はそれを隠すように手を後ろに組んだ。
「当然だ」
「でもまさかメニュー決めでここまで揉めるとは思いませんでしたけどね・・・」
「ああ。だが学級長としてできることはしていこう」
「ねぇねぇフーちゃん。ちょっといい?」
風太郎が四葉と話していると、今度は六海が話しかけてきた。
「ん?今度は六海か。どうした?」
「実は招・・・」
六海は風太郎に相談しようとした時、ひょっこりと顔を出す四葉、そして隣にいる五月を見て、踏みとどまる。
「えと・・・ううん、やっぱり何でもない。ごめんね?」
「なんだ?遠慮しなくてもいいんだぞ?」
「別に大したことじゃないんだ。だから大丈夫」
「そうか?」
六海は招待状の用紙を持っていたが、それを握りしめて3人には見えないようにくしゃくしゃにしたのだった。
♡♡♡♡♡♡
今日の屋台の話し合いが終わった後、あたしと三玖は外に出て、今回起こったことについての話をしているわ。
「お互い面倒くさいことになったわね・・・。あんたも後悔してるでしょ?」
「うん・・・まさかあんなことでクラスが二分するなんて思わなかった・・・。言わなきゃよかった・・・」
「そうよ。なんでパンケーキなんて言い出したのよ」
確かにパンケーキはかわいいし女子ウケも抜群なんでしょうけど、パンケーキを作るのってなかなか難しいし、あの子たちにも言ったけどあたしだってたまに失敗するスイーツよ。そんな難しいものに挑戦するより、まだ簡単なたこ焼きをやってた方が失敗することもほぼないわ。
「・・・フータローのお母さんがよくパンを作ってくれたんだって。それでうちのこと思い出してみたら・・・」
「それでパンケーキね」
三玖がパンケーキをやってみたいって理由は何となくわかったわ。確かに昔食べたものの中で真っ先に思いつくのがパンケーキだし、やってみたいって気持ちはわからなくはないわ。
「・・・まぁ、そうよね。あれこそふわっふわだったわ。でもあれは一朝一夕で作れるものじゃないわ。あたしが言うんだから間違いないわ」
「作ったことあるんだ。パンケーキ」
「あたしの初めて挑戦した料理だわ」
「そうなの?」
初めてパンケーキを作った日のことは今でも覚えてるわ。うまく作ることができなくて、苦い思いをしたことも含めて。だからわかるのよ。パンケーキを作るのがどれほど難しいのかが。
「どうしてもあの味が恋しくて昔パパにお願いしたことがあるのよ。パンケーキのお店に連れてってほしいってね。頑なに聞き入れてもらえなかったけどね」
「それでよく自分で作ろうって思ったね」
「・・・・・・・・・まぁ・・・ね」
もちろん、パンケーキを作ろうって思ったきっかけはあったけど・・・そんな話すようなことでもないからそれは置いておくわ。
「とにかくそういうことだからパンケーキはお勧めできないわ。まだたこ焼きの方がイージーよ。屋台ならなおさらね」
「だからってあんな直球に言わなくてもいいんじゃ・・・」
まぁそれが普通の反応よね。でも、それはあたしの性に合わなすぎるし、何より・・・
「嫌なのよ。陰でコソコソすんのは」
陰でコソコソと何かするのは卑怯だと思ってるし、そんなことすればパパと同じになると思う。そんなのは嫌よ。
「まぁでももしかしたら恨まれちゃったかもしれないわねー。嫌味の1つや2つ、言われるかも」
あたしの頭に浮かんでくるのは、たこ焼きをやるのをかなり渋っていたあの女子3人組だわ。やっぱ言い過ぎたかしらねー。
「そしたら二乃は・・・」
「もちろんその時は遠慮なんてしないわ!受けて立ってやる!むしろあっちから来てくれた方がスッキリするわ!」
コソコソするよりは断然マシだし、あっちがその気なら全力で打ち負かしてやるわ!
「!噂をすれば・・・ね」
あの子たちの話をしていると、ちょうど向こうからあの女子3人組がやって来たわ。ふん、何を考えてるのかは知らないけど・・・来るなら来なさい。論破して返り討ちに・・・
「二乃、三玖」
「!」
リーダーの女子が何か言おうとした時、フー君が間に入って話しかけてきたわ。
「なんだ、一緒だったか」
あ、あの子たち、フー君が話に入ってきた途端にどっか行っちゃったわ。・・・なんだが拍子抜けって感じ。
「フータロー、どうしたの?」
「いや、それならいいんだ。まぁ・・・今は忙しくて大変だが、せっかくの学園祭だ。準備も本番も楽しんでいこうぜ」
フー君はそれだけを言い残してどっか行ってしまったわ。フー君ってば、いったい何の用だったのかしら・・・?
「・・・・・・なんなのよ・・・もう・・・」
「・・・あ、私、フータローに用があるんだった。先に帰ってて」
「え?」
三玖はフー君を追いかけて行っちゃったわ・・・。・・・一緒に帰る子がいなくなっちゃったわ・・・。なんか1人で帰るのも嫌だし、誰か一緒に帰ってくれそうな人いないかしら・・・?
♡♡♡♡♡♡
一緒に帰ってくれそうな人が誰かいないかなと思ってあたしは1回教室に戻ろうと思った時、偶然五月と六海と会ったわ。
「あれ?二乃ちゃんだ」
「二乃も今帰りですか?」
「そうね。一緒に帰る人を探してるところよ」
「そうでしたか。それならすみません。私はこれから塾に直接向かいますので」
「六海も今日はバイトなんだ。今日中に仕上げておきたい箇所があってね」
「あっそ」
五月が真面目なのは今に始まったことでもないえど、六海も結構真面目なところはあるのよね。ま、それが2人のいいところではあるけれど。
「・・・あの・・・二乃、六海・・・」
「んー?」
「何?」
「・・・2人は・・・入試判定どうでしたか・・・?」
入試判定?なんでそんなのを知りたがるのかしら・・・?
「えっとー、六海はー、Cだったー。スランプがあった割には、かなり上々な方だと自負してるよ」
「あたしも思ったほど悪くなかったわ。確か・・・Bだったかしらね。受けるとこ選んでるか・・・」
「うううう・・・」
!!?え、な、何⁉五月ってばどうしたのよそんな恨めしそうな声を出して・・・。
「うううううううううううううう・・・」
「えっ、何⁉どうしたっていうのよ⁉」
「い、五月ちゃん・・・?」
「どうしましょう・・・二乃・・・六海・・・。全力で取り組んでいるはずなのに・・・見てください!!この結果です!!もうお先真っ暗です!!」
五月が取り出したのは返ってきた入試判定の結果用紙だったわ。そこに書かれた五月の結果は・・・D・・・六海より下の結果だったわ。
「所詮私のやってることはお母さんの真似事!!学校の先生なんて夢のまた夢だったんですーーー!!」
「お、落ち着きなさい!!」
「そ、そうだよ!ここじゃめっちゃ目立つし!」
とにかくあたしたちはすごく取り乱してる五月を落ち着かせるためにどこかのベンチへと移動することにしたわ。
♡♡♡♡♡♡
ベンチに座ってからもいろいろと喚いてたけど、ようやく落ち付いてきたようね。
「取り乱してすみません・・・」
「とりあえずジュース買ってきたけど・・・」
「ありがとうございます・・・」
「二乃ちゃんも」
「気が利くわね。ありがと」
飲み物を買いに行ってた六海から飲み物を受け取って、ようやく本題に入れる。入試判定がDって・・・確かに教師を目指す人としては絶望的な結果よね・・・。
「で、このこと、フー君には相談したの?」
「・・・いえ・・・。お忙しそうでしたし・・・何より・・・申し訳なくて・・・」
「あ、教室でフーちゃんと話してたのそれだったんだ」
「はい・・・結局話せませんでしたけど・・・」
「そうなんだ・・・。それで、先生はなんて言ってたの?」
「一度親と相談した方がいいと・・・。でも、そんなこと・・・」
パパに相談・・・ねぇ・・・。
「してくれる親でもないか」
「い、いえ!そういう意味ではなく・・・お父さんに心配をかけたくないんです・・・」
は?心配?あの人が?
「は?心配?あの人いつ・・・」
「私たちがここまで成長できたのはお父さんのおかげ・・・私もそう思えるようになってきました・・・」
「五月ちゃん・・・」
「お母さんのお墓参りの時、花が添えられていたの、覚えてるでしょ?あれは間違いなくお父さんが備えたものです。確かに直接何かをしてもらったことは少ないですが・・・きっと私たちのこと、ずっとに気かけてくれてたんだと思います」
あの人が・・・あたしたちを・・・?今まで邪魔してきたくせに?
「そんなわけ・・・」
「フーちゃんもダメ、パパもダメって・・・どうすんの?八方塞がりじゃん」
「相談できる人がいないわけでもありません。ひとまず下田さん・・・熟でお世話になってる先生に相談してみるつもりです」
「そっか。ならいいんだ」
「それに、近日『有名な講師』の方による特別教室が開かれるらしいのです」
「何それ、怪しいわ」
「ふふ、二乃と六海も来ますか?」
「結構よ」
「六海も遠慮しとくよ」
相談したおかげか、五月はちょっとだけ元気になったみたいね。これ以上残る理由もないし、あたしたちは途中まで一緒に帰ることにしたわ。・・・あの人が・・・ね・・・。
♡♡♡♡♡♡
それから数日が経って、学園祭の準備は滞えりなく順調って感じよ。・・・うちのクラスを除いて。
「むむむ・・・今回も進展なし・・・って、あれ?二乃ー、上杉さんどこ?」
「さっき教室を出たわよ。こっち」
準備するにしても屋台を決めないことには特にやることもないから、とりあえず四葉をフー君のところに案内することにしたわ。
「・・・あ、そうだ。この前言われた招待状用意してるけど・・・」
あー・・・あれね・・・。
「・・・やっぱやめとくわ」
「え?いいの?どうして?」
「パパを呼ぼうなんて・・・一時の気の迷いだわ」
学園祭に誰かを招待することができるって聞いた時に・・・まぁ・・・一応パパも呼んでみようかなーなんて考えて招待状を用意してもらうよう頼んだけど・・・冷静に考えてみれば、時間の無駄でしかないって気づいたわ。
「私はいいと思うけどなー・・・」
「どうせ来るわけがないわ。家にだってほとんど姿を見せずに・・・いっつも陰でコソコソしてるに違いないわ」
「ははは・・・手厳しいね、二乃は・・・」
あたし程度で手厳しいなら、この世の中全部が手厳しいわよ。むしろ全然言い足りないくらいよ。
「でもね・・・」
「あ、ちょっと待って」
階段を降りようとした時、見知った顔がそこにいたわ。それはあたしに文句があるであろう女子3人組だわ。
「あたしを睨んでた女子だわ。面倒ごとになる前にここは避けていきましょう」
「え?でも・・・」
ここであたしがあの子たちと顔を合わせたら何かといちゃもんをつけに来るに決まってるわ。ならほとぼりが冷めるまで距離を置いた方が安全だわ。
「お前らの言いたいことはよくわかった」
!この声は・・・フー君⁉気になって少し覗いてみると、やっぱりフー君がいた。何でフー君があの子たちと?もしかして・・・あたしたちが揉めてたとこを見たとか?
「えーっと・・・要約するとこうか?女子なのに男子側に肩を持つのはおかしい。あんなの媚びを売って男子の誰かを狙ってるに違いないと」
「そ・・・そうだよ・・・。もしその相手が祐輔だったら・・・二乃ちゃんが相手なんて・・・私に勝ち目なんてないよ・・・」
あーあ、やっぱそうかー・・・。どうせそんなことだろうとは思ってたけど。まったく・・・勘違いするにもほどがあるでしょ。祐輔・・・が誰かは知らないけど、あたしはそんな奴眼中にないっての。
「・・・ハッキリ言おう。それはお前の勘違いだ」
あたしを睨んでた女子の意見にフー君はハッキリと言い切ったわ。
「え・・・?ど、どうして・・・?」
「二乃の意中の相手はたこ焼き派にいない。それだけはわかってる。心配するようなことは何もないから安心してくれ」
フー君の言ってることは全部当たってる。けどそれであの子が納得するとは到底思えないわ。
「信じられないよ!なんで上杉君にそんなことわかるの⁉」
「・・・学級長は中立の立場のためどちらにも投票をしてないんだ」
「はぁ?何それ!意味わかんない!この話と関係ないじゃん!」
「それが関係あるんだよ・・・」
・・・て・・・ちょっと待って・・・フー君・・・いったい何を言うつもり⁉
「二乃は俺をすっ・・・好きだからな」
「「「!!????」」」
は・・・はああああああああああああああ!!!???
「だから二乃とは喧嘩せず、仲良くやってくれ」
ちょ・・・ちょっと・・・いくら何でもドストレートすぎでしょ!!思わず身を乗り出しそうになったわよ・・・。・・・まぁ・・・フー君にそう言ってもらえるのは嬉しいけれどね。
「う・・・上杉君・・・」
「なんだ?」
「・・・そういう妄想はやめよう?」
「・・・・・・」
そりゃそうよ・・・あたしはフー君のことをよく知ってるからいいけれど、他のクラスの子に言ったって今みたいに一蹴されるのがオチよ。
「その設定は二乃ちゃんがあまりにもかわいそうだよ・・・」
「ち、違う!二乃は本当に・・・」
「うんうん、いい子紹介してあげるからさ・・・」
「だからー!!」
何やってるんだか本当に・・・。
「二乃」
「・・・・・・」
「陰でコソコソも悪くないと思うよ。きっと何か理由があるんだよ」
理由・・・か・・・。そういえば・・・あたしが料理を始めたきっかけは・・・あの出来事がきっかけだったわね。あのパンケーキの味が忘れられなくて・・・パパに専門のお店に連れて行ってほしいって頼んだ。でも何度頼んでも、連れて行ってはくれなかった。けど・・・諦めて家に帰ってきてみれば、テーブルにはスフレパンケーキのレシピ本にその材料が置かれていた。それで思った・・・連れて行ってもらえないのなら自分で作ってしまえばいいって。もちろん最初は失敗続きだったけれど・・・やっていくうちに、料理するのが楽しくて・・・。・・・今にして思えば・・・あの時のパンケーキの材料は・・・パパが用意してくれたものだったのかもしれないわね。全部・・・あたしのために・・・。
「・・・四葉。招待状の文面は一緒に考えて」
招待状を出したところで来てくれないのかもしれない・・・。けど・・・ほんの少しでも可能性があるのなら・・・あたしはそれに賭けてみたい。それがあたしたちをここまで育ててくれたパパへの・・・恩返しだから。
♡♡♡♡♡♡
『その後』
一応は女子3人組の二乃に対する誤解を解くことができた。もちろん、風太郎の発言は妄想の類であると思われたままであるが。
「生が出るわね、妄想男子」
「・・・嫌味を言いに来たのか性悪女・・・」
ちょっと疲れ気味の風太郎ににやにやした表情を浮かべる真鍋が声をかけてきた。
「あれは後先考えないで発言するあんたが悪い。自業自得よ」
「・・・つーか見てたんなら誤解を解くの手伝ってくれよ・・・」
「手伝うって何を?私には何のことかわかんないわね」
風太郎の反応を面白がってる真鍋はわざとらしくすっとぼける。
「こいつ・・・!」
「そんな顔しないでちょうだい。せっかく朗報を持ってきたのに」
「朗報?」
「今から私とデートよ。ほら、泣いて喜びなさい」
「・・・・・・は?」
真鍋のデート発言に風太郎は本当に意味がわからんと呆けた表情になる。当然ながら真鍋には風太郎に対して恋愛感情は抱いていない。そんな彼女からの誘い。果たして、真鍋の真意とは・・・?
一方その頃、六海はバイト先への道のりを歩きながら、スマホを操作して電話をかけている。電話の相手は一花である
「あ、もしもし一花ちゃん?今休憩入ったところ?忙しいところごめんねー?・・・うん。ちょっと相談したいことがあってさ・・・。うん・・・バイトが終わったら直でそっち行くから・・・」
電話をしている六海の左手には、くしゃくしゃにしたものとは別の、まったく新しい招待状があった。
次回、風太郎視点