その後、彼はその惑星の住人である人間に成り済まして隠居生活を送っていた。
そんな中、ベリアルはレイオニクスと同化し、悪のウルトラマンとなった姿で彼の前にやって来る。
「随分、様変わりしたね?」
「お前もな」
二人は言葉短く、そう呟くと近くの屋台へと向かう。
ベリアルが入ると亭主が驚いたが、常連である彼の友だと説明するとおっかなびっくりしながら店の奥へと引っ込んで行く。
二人は酒を煽りながら、互いの話をした。
ベリアルはレイオニクスと同化して悪のウルトラマンとなり、光の国へ復讐する事を。
彼は此処の住人になって汗水流して働いていた時の事を。
二人は互いの言葉に耳を傾け、別の道を歩んでいるのだと改めて、自覚する。
否、力が正義と信じるベリアルと話し合いで解決しようとする彼では最初から別の道を歩んでいたろう。
ベリアルはダメ元で彼に尋ねた。
「なあ、同じ追放されたよしみだ。
俺と一緒に光の国へ復讐する気はないか?」
「申し訳ないけど、俺にはもう赤の戦士とか光の国とか関係無いよ。
それに本当に何もないのどかなこの惑星が気に入ってるんだ。此処から出る気がそもそも無い」
「この惑星をぶっ壊してもか?」
その言葉に彼は眉を寄せる。
「幾ら、君でもそれは赦せないな」
「なら、どうする?俺と戦うか?」
「君の目的は俺だろう?ーーなら、俺がいなくなれば、済む話しだ」
「臆病者め。また逃げる気か?」
「いや、俺の命をやるよ」
「……なに?」
ベリアルは酒を飲む手を止めると彼を見る。
「どうせ、老い先短い身だ。今更、惜しい命じゃないさ」
「……酒が不味くなる。笑えない冗談はやめろ」
ベリアルはそう言うと酒を煽る。
「お前はいつだって、そうだ。
何故、悪人とも話し合えば解ると思っている?解る訳ねえだろ?
破壊に快楽を覚えちまった奴の事や悪行を積む事でしか自分の事を証明出来ない奴の気持ちがよう?
なのに、何故、そんなに掴めも出来ない理想を持ち続けられる?」
「簡単さ。それが俺だからだよ。
甘さも貫き通せば、信念さ」
「それは信念じゃねえよ。ただの馬鹿だ。
俺が罪人なら、お前は大馬鹿野郎だ」
「言ったろう。それが俺だからさ」
二人は互いに笑うと再び酒を交わす。
「昔のよしみだ。この銀河には手を出さねえ。
そもそも、こんな辺境の惑星に拠点を構えても仕方ないからな」
「そうか。助かるよ」
「だが、光の国にいるお前の家族は皆殺しだ。
どうだ?今の暮らしとかつての両親、どちらを取る?」
「俺に家族はいないよ」
「……あん?初耳だぞ?」
「エンペラー星人に殺されたんだ」
「ちょっと待て!?ーーて事は何か!?
お前はあの時、親を殺されても説得し続けていたってのか!?」
意外な言葉に流石のベリアルも椅子から立ち上がる。
「何故だ!?何故、そこまで!?」
「それが俺の親の願いだったからだ。
何度、裏切られても信じる事を忘れるなとな?」
「馬鹿だ!テメエも含めて馬鹿ばかりだ!」
ベリアルはそう叫ぶと脱力する。
「お前みたいな甘い男はこの惑星でのたれ死ね」
「端なっから、そのつもりさ」
彼はベリアルにそう告げると店を後にするベリアルを見送った。
「あばよ、ダチ公」
ベリアルはそれだけ言うとその惑星から去り、光の国へ復讐をしに向かう。
これはウルトラ戦士にならず、エンペラー星人に平和を叫び続けた者の忘れ去られた話である。
ーー平和は歩いては来ない。
お互い、歩み寄る事しかないのだ。