キラッとプリ☆チャン -Duelist Memories-   作:パインの缶詰め

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TVアニメ「キラッとプリ☆チャン」&「遊戯王VRAINS」と少しだけ似たちょっと違う二つの世界が混ざり合った世界観となります。
ミラクルキラッツやメルティックスター、Playmaker等原作のキャラクターが名前だけ登場する予定です。


第1話 始まる世界、繋がる世界

 七月某日、都心から少し離れた所にある私立咲天雷徒(サテライト)高校に一学期終了のチャイムが鳴り響く。生徒たちはこれから始まる夏休みに様々な思いを馳せながら学校を後にする。

 そして誰よりも早い夏休み気分の少女が足早に教室を去ろうとしていた。

 

「おっ! クミお疲れー! ウチらこの後一学期お疲れ様ってことでスイパラ行こうと思ってんだけどクミも一緒にどう?」

 クラスメイトの呼びかけに少女はピンクのサイドテールを揺らしながら振り返り一瞬足を止める。

「あ! カオリちゃん、アカリちゃん! すっごく嬉しいお誘いなんだけど……ごめん! 私このあと……」

「あーわかったわかったカードの大会ね。いいよいいよ行ってきな。あとで写真だけ送って羨まがらしてやるから」

 カオリと呼ばれた少女は少女の言葉の先がわかっていたかのように遮り、呆れ半分の返答をする。

「本当にごめん! 隣町のショップでデュエル大会があるの!」

「クミちゃんは〜本当にデュエルが大好きなんだね〜!」

 アカリと呼ばれた少女もふわふわとした雰囲気を漂わせながら返事をする。

「優勝してこいよー!」

「がんばってね〜!」

「うん! そっちもスイパラ楽しんできてねー!」

 二人に手を振りながらその場から走り去る少女。

 駐輪場の裏に隠しているスケートボードを回収し、華麗に乗りこなしながら校門を飛び出す。

「コラァ! 藤松! スケボー通学はやめろと去年から言ってるだろーが!」

「バイバーイ先生! また二学期ねー!」

 スケボーを咎めてくる先生の怒声などどこ吹く風といった笑顔で手を振り学校を後にする少女。

 彼女の名前は藤松クミ。これは彼女と彼女を取り巻く日常と非日常の物語である。

 

 

「ふいー! 店長! 間に合った!?」

「受付終了五分前だよー」

「はいはい! 藤松クミ! エントリーします! これ参加料五百円!」

 クミが勢いよく駆け込んだのはカフェとカードショップが一つになったような空間、カードゲームカフェ「Cellar」

 中では社会人なのかどうか怪しいアロハシャツの中年男や大学をサボってやってきているであろう青年たちといった様々な人種で賑わっていた。無論、クミも同類である。

「おっ! クミちゃん来たねー! 今日は猛者ばっかりだからねー、クミちゃんは初戦敗退濃厚かな?」

 アロハシャツの男が笑いながらクミに話しかける。

「相変わらず私のことを甘く見てるようねアロハさん! 残念ながらデッキ調整はバッチリ! 今日こそ優勝は私のものよ!」

「前回も同じこと言ってたよね」

「うぐっ……前回は前回! 今日は今日! アロハさんにだって負けないんだから!」

「ははは、ま、お互い頑張ろう」

「えぇ!」

「はーいエントリー終了ー、参加者は前に集まってー」

 店長の呼びかけに店内に居た数人がワラワラとフィールドがセッティングされたテーブルの前に集まる。

「はーい、今日の優勝賞品はなんとー、こちらの超レアカード《真紅眼の黒竜》でーす!」

「おおおおお!」

 豪華な景品を前にして歓声が上がる。

「それじゃー第一試合はー、クミちゃんとじゅうルシファーじゅう……? 君ねー」

「それは(じゅう)じゃなくて(ダガー)だ! †ルシファー†様だ! それにそこは読まなくていい! ルシファーでいいよ! ルシファーで!」

「変わった名前ね、よろしく」

「いやいや本名なわけないだろ……っておいおい! 最初の相手は女かよ! ま、肩慣らしにはちょうどいいか!」

 真夏に黒いロングコートを着たルシファーと名乗る男がヘラヘラと悪態をつく。

「なっ! 失礼ね!」

「しかもさっきの会話が聞こえたんだけどよ! お前あんま強くないみたいだな! こりゃ地元の大会でベスト4のこの†ルシファー†様の初戦突破は確実だな!」

 ルシファーはケラケラと笑いながらクミを挑発してくる。

「言ってなさい! あとで泣いても知らないから!」

「じゃあ始めるよー」

 クミとルシファーは席に着き互いにデッキのシャッフルを行う。

「積み込みしてもいいぜ?」

「冗談! そんなんで勝っても面白くないから!」

「いいかい? それじゃあデュエル開始ー!」

 店長の合図と共に戦いの火蓋が切って落とされた。

 

「俺の先攻! 俺は手札から自身の効果で《ハック・ワーム》を二体召喚! さらに二体のモンスターをリリースしアドバンス召喚! 出でよ《クラッキング・ドラゴン》! カードを一枚伏せてターンエンドだ!」

「一ターン目から攻撃力3000……! なかなかやるわね!」

「ビビったんならサレンダーしてもいいぜ!」

「笑わせないで! 私のターン! ドロー!」

 勢いよくカードをドローするクミ、ドローカードを確認すると同時に脳内で展開を考えて行く。

「守備力は0……ならこれね! 私は手札から《おジャマ・ブルー》を召喚!」

「……ブッハハハハハ! 攻撃力0を攻撃表示!? こいつはとんだエンターテイナーだな!」

「笑ってられるのも今のうちよ! 私は手札から《テラ・フォーミング》を発動! デッキから《おジャマ・カントリー》を手札に加えて発動!」

「そんなカードで何が出来る……って攻守反転で俺の《クラッキング・ドラゴン》の攻撃力が0にぃ!?」

「行くわよ! 私は《おジャマ・ブルー》で《クラッキング・ドラゴン》に攻撃!」

「ひええ〜! 俺のモンスターがぁ! ……なんてな! 速攻魔法《サイクロン》発動! 《おジャマ・カントリー》を破壊! これで攻撃力は元通りだ! 迎え撃て《クラッキング・ドラゴン》!」

「くぅ!」  クミLP4000⇨1000

「ひゃっははは! 粋がってた割に大したことねえな! こりゃ次のターンで終わりだな!」

「私はブルーの効果でおジャマカードを二枚手札に加えるわ……《おジャマ・レッド》と《おジャマパーティ》を手札に!」

「そんな雑魚カードを何枚増やしたところで俺には勝てねえよ!」

「私はカードを三枚伏せてターンエンド……」

「アロハさん……このデュエルどう思う?」

試合を観戦していた青年がアロハに問いかける。

「現状だけ見ればルシファーくんの圧倒的優勢……まあ僕はクミちゃんが勝つと思うけどね」

「俺様のターン! ドロー!」

「あなたのスタンバイフェイズ! 私は《おジャマパーティ》を発動し効果発動! デッキから《おジャマジック》を手札に加えて捨てる! そして墓地に送られた《おジャマジック》の効果発動! デッキからおジャマ三兄弟を手札に加える!」

「ごちゃごちゃと雑魚モンスターを増やしたところで無駄なあがきだぁ! 俺は《ブラッド・ヴォルス》を召喚! バトルだ! 焼き尽くせ《クラッキング・ドラゴン》!」

「カウンター罠《攻撃の無力化》発動! あなたのモンスターの攻撃を無効にし、バトルフェイズを終了させる!」

「ちっ! 大人しくやられておけばいいものを……ターンエンドだ!」

「私のターン! ドロー!」

クミはドローしたカードを確認し小さな笑みを浮かべる。

「おそらくこのターンでクミちゃんが勝つよ」

「えっ?」

アロハの言葉に観戦していた青年は困惑の表情を浮かべる。

「私は手札から《おジャマ・レッド》を召喚! 効果により手札からおジャマ三兄弟を特殊召喚!」

「雑魚モンスターを並べたところで何が出来る!」

「これを受けてもまだそんな口が聞けるかしら? 魔法カード《おジャマ・デルタハリケーン!!》あなたのフィールドのカードをすべて破壊する! 吹き飛ばしなさい! おジャマたち!」

「何いいい!? だが攻撃力は0! 俺のライフは削れねえ!」

「罠発動! 《メタバース》! その効果でデッキから《おジャマ・カントリー》を発動! 攻守反転効果は再び適用されるわ!」

「な……な……!」

「攻守反転し、おジャマたちの攻撃力は1000! バトルよ! 行きなさい! おジャマ総攻撃!」

「ちくしょおおおおおおお!!!」 ルシファーLP4000⇨0

「はーい、クミちゃんの勝ちー! じゃあルシファーくん、これ参加賞ね」

「今回はまぐれだ! 覚えてろよ!」

 黒いコートを翻しながら店を飛び出すルシファー。

「まぐれでも勝ちは勝ち! またいつかデュエルしようねー!」

「やったねクミちゃん」

「アロハさん! どうよ! 私の愛するおジャマたちの底力!」

「ハハ、あれはなかなか手強いね。注意しなきゃ」

「でしょ!」

 笑顔でVサインをするクミ。

「じゃあ次の試合するよー。アロハさんとー……」

 その後大会はつつがなく進み、それなりに盛り上がりを見せながら終了した。

 

「結局アロハさんの優勝かー……」

「2回戦でアロハさんと当たったのが運の尽きだったね」

「クミちゃんの手札が事故ってなかったら結果は変わってたかもね」

「気休めはよして! 私もまだまだだなぁ」

 あの後、クミは2回戦でアロハと当たり手も足も出ず敗北し、アロハは順調に勝ち進み優勝を勝ち取っていた。

「そういえばクミちゃんって女の子のデュエル友達はいないの? おじさん達に混ざってやるのは退屈じゃない?」

「ううん! 楽しいよ! でも女の子のデュエル仲間が欲しいのも本音……学校の友達はデュエリストじゃないしなかなかいないんだよねー」

「だったら最近話題のアレで探してみたらいいんじゃないかな? なんだっけあのプ……プ……?」

「プリ☆チャンだよー」

 二人の話をカウンター越しに聞いていた店長が声をかける。

「そうそう! プリ☆チャン! そこで配信とかして仲間集めしてみたらいいじゃん!」

「プリ☆チャンねぇ……カオリちゃんが休み時間によく見てるけど自分がやってみようなんて考えたこともなかったなぁ……」

「ほらアイドルのライブ配信なんかもやってるしクミちゃん可愛いからきっと人気出るよ!」

「セクハラで訴えるわよアロハさん……それはそれとしていい案かもね」

「クミちゃんの学校の近くにある『プリズムストーン』ってお店で始められるらしいよー」

「結構手軽に始められちゃうのね! いいわ! 伝説のデュエリストプリチャンアイドル藤松クミのサーガを始めようじゃないの!」

 デュエリストプリチャンアイドル藤松クミ、彼女の物語が今動き出そうとしていた。

 

 

 

次回 第2話「アロマなデュアル ・イズム(前編)」

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