是非ともよろしくお願いします!
エリウッドに、キアランに隣接する領地に口添えをお願いして5日目の朝に
エリウッドは戻ってきた。
その表情は明るく、やり遂げた顔であったことから、誰もが
成功を確信した。
「キアランに隣接する5つの領地、
ラウス、トスカナ、カートレー、タニア、サンタルスの全領主に
キアランへの干渉はしないと確認した
でも、もう少し遅かったら危なかったかもしれないね」
エリウッドはキアランからの使者が各領地に来ていたことを明かす。
「本当にありがとう・・・なんとお礼を言ったら・・・」
「僕がやったのは、どちらにも肩入れしないということだ
つまり、僕も力を貸すことは出来ない」
『そこまで、してくれたら十分だよ
後は、俺たちがリンを送り届けるだけのこと
全力を尽くしてね』
「何としてでも、おじいさまに会ってみせるわ
力ずくでも、それしか方法が無いんだから!」
リンに躊躇いは無かった。
祖父に会うには、立ちはだかるラングレンの手先を突破するしかない。
時間を掛けていられない以上、力ずくで突破して無理矢理祖父に会うしかない。
「なら、僕も君たちの勝利を願っているよ
君たちの友人として・・・」
『ありがとう・・・この借りは必ず返すから
困ったことがあったら何でも言ってくれ』
「じゃあ、何かあったらユーリを頼らせてもらおうかな」
エリウッドは穏和な笑みを浮かべた。
「僕も、そろそろ行かせてもらうよ
あまり、みんなに心配掛けるわけにもいかないからね」
フェレの公子である、エリウッドが供も付けずに長期間外に出ているのは
あまりよろしくない。
連絡しているわけでも無かったため、出来るだけ早く戻ろうとした。
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「さぁ、いきましょう!」
5日間待ち続けて、ようやく開かれた道。
リンが先を急ぎたくなる気持ちもわかった。
「霧が出そうだね・・・・本来なら進行を遅らせたいところなんだけど・・・」
視界が悪くなれば、敵に不意を突かれることもある。
そんな中で、敵の領地内を進行すれば、リスクも高い。
『それでも、遅らせるわけにはいかないだろう?』
ここまで、予想以上に日程を遅らせている、
リンの心の内を考えるなら、これ以上は遅らせることは出来ない。
「ええ、少しでも城に近づきたい
進路はどうすればいいの?」
「とりあえず、南なのですが・・・
後顧の憂いを絶つためにもイーグラー将軍の館を抑えておきたいです」
「そうだね・・・イーグラー将軍を無視して先に進むことも出来るけど・・
そうすれば、キアラン城に着いたときに背後を攻められるだろう・・
あまり、自分たちから攻めたくは無いけど・・・ね」
『仕方無いだろう?
俺たちは善人になりたい訳じゃない・・・
ただ、リンを祖父に会わせ・・・・誰だ!!?』
ユーリが山の方に顔を向ける。
そこには、重装甲を着けた巨体の人物が居た。
「ほう、良く気づいた
ただの雑兵では無いようだ・・」
その人物はこちらに敵意を向けながらも、見定めるかのような目で
こちらを見る。
「げ・・・!?」
「あなたは!?」
セインとケントが重装甲の男性を見て、驚いた顔をする。
『知ってるのか!?』
ユーリはリンを後ろに隠した状態で、目を逸らさぬように問う。
この男性相手に隙を見せれば、その一瞬でやられかねない。
それくらい、この男性は強い・・・
「元キアラン騎士隊隊長をつとめられていた方です」
「だけど、今は引退して、畑を耕してるんじゃなかったのかよ!?」
「わし自身もそのつもりだった・・
しかしな、そういうわけにもいかなくなったんでな
公女リンディスを語る不届き者を討つべしとラングレン殿
より命が下った」
ラングレンの命で動いている・・・
その一言に、ユーリを含め更に警戒を強くする。
いつでも、剣を抜けるようにして対する。
「ワレス殿まで、我らを疑うのですか!?」
「リンディスを名乗る娘を、わしの前に出せ」
『リンをどうしようと?』
「返答如何によってはここで討つ」
『つまり、やっぱり敵という認識で良いわけだ』
ユーリは鞘から剣を抜き、ワレスに向ける。
『こんなとこで、止まるわけには行かないんだよ
そこを通してもらう』
ワレスが槍を構えると同時にユーリが斬りかかろうとする。
「ちょっと待ってユーリ!」
その斬りかかろうとするユーリを止め、リンが前に出る。
「私よ!私がリンディスよ!」
「ほう」
構えた槍を下げ、リンを見るワレス。
その目はリンを見定めるような目だった。
「信じてくれないなら、それでも良い」
「・・・・ふむ
綺麗な目をしておるな」
「え?」
ワレスは手に持つ槍を仕舞い、リンに向き直る。
あれだけ、こちらを威圧するように向けていた敵意が消えていた。
『・・・・・』
ユーリも敵意が消えたのを確認して、剣を仕舞い、
いつでも、臨戦できる状態で、リンの後ろに下がった。
「わしは三十年騎士として生き、1つ学んだことがある。
こんな澄んだ瞳を持つ人間に悪人はいない」
ふははははは、とワレスは一頻り笑うと、リンに向け騎士の礼を取る。
「わしも、お前達と戦わせてもらうぞ
正当なる君主に仇なす輩を許してはおけん」
そう言って、ワレスはイーグラーの城の方へ向かっていった。
『なんつうか、かなり、衝撃的な人だな』
人柄も、強さも衝撃的だった
でも、戦わなくて良かったとユーリは思った。
戦っていれば、ユーリも無傷で勝てたとは思えない。
「いい人みたいね・・・」
「はい、尊敬出来る人です」
『戦わなくて助かったよ
腕一本は確実だと思って挑むとこだったよ・・・』
ユーリは心から安堵の息を吐いていた。
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ユーリ達のいるところからイーグラーの館にたどり着く道は南の橋を通る道と
遠回りになるが山を北側に迂回して、平野を通る道の二択がある。
「どうするのマーク?」
「本来であれば、最短ルートの北を通るのがベストなんだけど・・・
ここって、霧が良く出る地域だったよね?」
マークが、ここの地理に詳しいだろう2人に声をかける。
「ええ、この感じからしてもうすぐ霧が濃くなるかと・・・」
それを聞き、マークは考える。
南に全力を注ぎ、北側からの挟み撃ちに警戒しつつ攻め込みたい・・・
というのが本音だった。
だが、この地域では霧が出るため前方に集中して戦いつつ後ろも
警戒するなんて真似は難しい。
北側にも人を配置して防ぐのが無難か・・・
「霧のこともある・・・二手に分けよう
北側にセイン、ケント、ラスの騎馬部隊で抑えてもらえる?
後は誰かの馬にマシューを乗せていって」
マシューは霧の中でも目が利く。
「後の人で一気にイーグラーの館を抑えよう」
「ふはははは、なら、わしを先頭に行かせてもらおう」
豪快に笑いながら、名乗り出る。
『俺も一緒に行こう』
最近、あまり前線に立たせてもらえないユーリも名乗り出る。
「したら2人にお願いします」
『霧が出そうだ、時間が惜しい
早く行こう』
ユーリはワレスを伴って、南の橋へ向かった。
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『すごいな、ワレスさん』
「何を言う、ユーリ殿もその若さでなかなかやるではないか?」
南の橋を越え、ユーリはイーグラーに仕えるキアラン兵と戦っていた。
かつて騎士団の騎士長を勤めたワレスと最近前線に立たせてもらえず若干ストレスが
溜まり気味のユーリ。
2人は破竹の勢いで敵を倒していった。
『そろそろ、霧が出てきましたね』
「ふむ、だが、不意を突かれようとも
わしの鉄壁を破れる者はおらんからな
ユーリ殿こそ大丈夫であるか?」
『ある程度は、気配でわかるんで大丈夫です』
「ユーリ!」
後方より、リン達がやってくる。
「霧が深くなってきてる・・・だからみんなで一緒に動きましょ」
その意見にユーリは賛成だった。
確かにユーリも気配で見知った人物か、敵かは判断がつく自信はある。
だが、そんなに意識を集中させなくて良いという面では楽で良い。
また、味方の状況が的確にわかるため、危険も少しは下がるだろう。
『おっけ、ところでワレスさん、あとどれくらいで?』
もちろん、聞いているのはイーグラーの館までの距離。
既に、橋を越えて東に進み、幾分か経つ。
そろそろ見えてきても良い頃だとユーリは思った。
「うむ、ここを南に進めばすぐイーグラーの館よ
今は霧が深く見えないがな・・・」
ワレスの指す方向に進んで、すぐに城が見えた。
しかし、門にこれほどまで進んでも、敵の影は見えない。
そして、一行はイーグラー将軍と相対した。
「来たか・・・・・」
『あんた・・・将軍ならなぜ、これほどまでに兵がいない?』
ユーリは疑問に思ったことを率直に聞く。
初めは罠かと考えた。
だが、進めど進めど敵の気配はしなかった。
「敵に語る必要などあるまい」
イーグラーの目には決意の表れが見え、語ろうとは見えない。
『リン、俺にやらせてくれ』
「ユーリ?」
『みんなで攻め立てるのは好きじゃないから・・・それに』
ユーリは相手から違和感を感じていた。
「ユーリ・・・わかった、お願い」
「不甲斐ない真似を見せれば、わしが変わるからな」
リン、ワレスともに下がり、ユーリはイーグラーに剣を向ける。
「行くぞ!」
イーグラーは騎馬に乗るパラディン。
騎馬の突進を避けつつ、攻撃するのはユーリには辛い。
『でも、騎馬は自由に動けない』
突進してきたイーグラーをユーリは横に避け、曲がる瞬間を狙って飛びかかる。
イーグラーはそれを、槍で迎え撃とうと槍を構える。
ユーリも防がれることを前提に、受け身を取る体制で斬りかかる。
ザシュッ!
『・・・何で・・・?』
「理由が・・・必要か・・・?
キアランの・・・正当な・・・」
イーグラーはユーリの剣を避けることも、防ぐこともしなかった。
ユーリの剣はイーグラーを深く切り裂き、イーグラーに致命傷を与えた。
『あんた、本当は・・』
「キアランを・・・た・・・のむ・・・」
それがイーグラーの最後の言葉となった。
これで、イーグラーの館を突破したことになる。
本来なら喜ぶことなのだろうが、誰1人喜べはしなかった。
特に、直接斬ったユーリにとっては気分の良いものでは無かった。
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『なぁ、イーグラーってどんな人だったんだ?』
イーグラーの館を抑え、一行は少しでも早くキアラン城へ着きたいと
休憩もそこそこに出発した。
そんななか、ユーリは自分が斬ったイーグラーのことを聞きたかった
彼は、リンが偽物では無いとわかっていただろう。
「私とセインの初めて所属された部隊の隊長で・・恩師でした」
「あの人、最後・・・」
リンはユーリに問いかけるように視線を向ける。
『間違いない・・・あの人はわざと斬られたよ
多分、俺らのことわかってたんじゃないかな・・・』
「多分、弱みでも握られたんじゃないかな
兵士にも戦うことは強制してなかったと思う」
兵士が少なかった理由・・・
それを、マークはイーグラーが戦うことを強制しなかったからだと予測した。
それでも、戦う兵士がいたのはイーグラーの人望が故だろう。
『ラングレン・・・!』
「次が最後の戦いだ・・
その怒りは直接ぶつけよう
『あぁ!』
長かった祖父までの道。
それも、次の戦いですべてが決まるところまで来た。
ここまで、来たら、全力で突破するだけ。
一行はそれぞれの思いを抱きながら、歩みを進めた。
駆け抜けてるwhiterainっです・・・
リン編終了まで後1章・・
頑張っていくのでこれからも応援よろしくお願いします。