カアラの案内のもと、ユーリ達は山を下っていく。
この下っている道すがらユーリは心を落ち着かせていた。
『俺のせいなのか・・・・・』
これで、もし要らぬ被害が生まれたら?
そう考えるのがユーリの心を乱していた。
ほっておけばいつか被害が生まれてたのだからこれで殲滅できたならそれで良しとは考えられなかった。
自分の我が儘で起こした戦いで無関係な人を巻き込むのか・・・
『(考えるな!!・・・・今は敵を叩くことだけを考えろ)』
「ユーリ、そろそろ着くと思うが・・・
一応、覚悟はしておいた方が良い」
『あぁ・・・・・・』
山を下りきり、嫌なにおいが漂ってきている。
「木が焼けるにおいだ・・・」
『くそっ!! やっぱりか!』
ユーリは再び、1人駆け出す。
ここまで来れば、道がわからなくなることも無い。
『あいつら!!』
目に飛び込んできた光景は予想していた・・・いや、当たって欲しくなかった光景だった。
焼かれている家屋、無慈悲な凶刃に倒れた村人、それを行っている外道の姿。
『俺は・・・・やっぱり冷静でなんかいられない!!
俺のせいでこれ以上被害を増やしてたまるかよ!!』
せめて、いま生きている村人だけでも助けてみせる。
ユーリのその思いに応えるように背中の剣は呼応する。
『俺の尻ぬぐいの為の戦いに力を貸してくれるのか?
ありがとな・・・』
ユーリは銀の剣を戻して背中にある’相棒’に手を伸ばす。
これなら、負けない・・・
これ以上、犠牲者は増やさない。
『この魔法剣なら!』
ユーリは手近な相手にフィンブルの魔法を発動させる。
そして、それに目を取られているうちに接近して一気に仕留めに行く。
手を休めることなく、目に入った敵に刃を向けて
今のユーリは狂戦士と化していた。
体中を血に染めながら、鬼気迫る表情で剣を振るっていた。
『次はお前らだ!!』
「ユーリ、暴走してるな・・・」
遅れてきたカアラとワレスは今のユーリを見てそう感じた。
周りを見えているようで見えていない。
ただ、目に入った敵を斬るだけで動いている。
そして、それがユーリの危うさ、弱点にも見えた。
「ユーリは敵を斬ることしか目に入っていない
我々は出来うる限りの村人を救出しよう」
「あぁ、今のユーリなら間違えて巻き込みそうにも思えるしな」
カアラとワレスの2人は村人の救出を優先して動き始めた。
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何人斬っただろう?
何人魔法の犠牲にしただろう?
それだけの数の山賊をユーリは殺した。
逃げる相手を追いつめ、向かってくるなら容赦もなく斬り捨てた。
途中からどっちが悪人か分からなくなる光景だった。
そして、斬る相手がいなくなり、音が静まった頃、ユーリは剣を仕舞った。
衣服は血に染まり、一見ユーリの怪我が凄いようにも見えた。
ユーリらしくない、荒い戦いだっただろう。
「ユーリ」
『カアラか・・・』
「生きていた村人は避難させた・・・ただお前は」
『近づかない方が良いだろう?
村人から見れば、俺もただの狂気的な殺人者だろうからな・・
それに・・・・・申し訳なくて近づけねぇよ』
ユーリは言葉を早く繰り出した。
これには、ユーリの心情が現れていた。
ユーリ自身も自分の今回の行動には嫌悪があったこともあり、落ち着いた心を
今でも取り戻せないのだろう。
自分は村人を放置して、ただ敵を非常に殺していただけ・・・
「とりあえず、その服を・・・」
『俺は向こうで服をどうにかしてくる・・・
悪いけど・・・・・後は・・頼むわ』
「わかった」
ユーリは逃げるように足早にその場を去った。
近くの水場に着き、ユーリは服を着替え、身につけていた服を洗いに入っていた。
『これだけ付くとさすがに取れないか・・・』
洗っていた服に早々に見切りを付けたユーリは近くに岩に腰を掛けた。
『何で、今回お前は力を貸してくれたんだ?
いつもなら、なかなか手伝ってくれないのに』
勿論、腰から外した剣は答えてくれない。
『この間のリンの時と言い、気まぐれなのか・・・
まぁ、考えてもわからないか・・・・これからどうするかなぁ?』
形は違えど当初の目的は達した。
これからは自分の旅を始める訳だが・・・何か手がかりがあるわけでは無い。
『リキアにでも戻るか? この地にはあまり居たくなくなった
だが、ベルンに行くのも悪くない・・・・
ベルンだな・・勘だけど・・・』
現実逃避に近い行動だが、これこそが旅人の特権
1カ所に留まる必要が無いと言うこと。
「ユーリ殿」
『ワレスさん、カアラも』
気付けば2人揃ってこちらに近づいてきていた。
「我らのすることは粗方終わった
これからのことを話しておこうかと思ってな」
「私はユーリに付いていくから関係無いがな」
『俺は・・・ベルンの方に行こうと思います
元々、サカにはリキアを通ってきましたし・・道筋にはベルンに』
これも強ち嘘ではない。
ただ、そこに現実逃避のことを話していないだけ。
そこまで、気にしていることを隠したいお年頃なのである。
『ワレスさんはどうするんですか?』
「ワシはこのままサカのに残ろう
ユーリ殿とは旅またベルンに入れば会えるかもしれんのう」
『したら、ここでお別れになるんですね』
「ぬはは、ユーリ殿と共に戦えたこと嬉しく思うぞ」
『あはは・・・最後に迷惑掛けちゃいましたけどね』
「若い頃はあれくらいの方が良いだろう
無茶して、失敗して、成長するのだ。
確かに犠牲になってしまった者もおる。じゃが、それで腐ってはいかん
それにあれはワシらにも責任はあろう・・相手の行動は完全に読めん
元々、この村もいつか狙われていたかもしれん」
「今回は、犠牲もユーリが手早く殲滅したおかげで少なく抑えられただろう
今後の被害ももう無いと考えれば、そこまで深く考え込まなくても良いのではないか?
死んだ者達には悪いとは思うが・・・・・な」
『そう考えられたら良いんだけど
俺は、上手く割り切れないな』
「ユーリのそういうところ、美点にもなるが
いざという時の弱点にもなるぞ?」
弱点・・・ユーリも自分で周りが見えなくなるのは欠点だとは考えていた。
だが、いざ他人から指摘されるとやはり堪える。
『いや、わかってはいるんだ・・・
この旅の中で、少しでもメンタルが強くなるようにするさ』
そんな簡単にいくものでも無い気はするが・・・これが弱点となるなら解消しておかないと今後のためにも
「次にユーリ殿に会う時を楽しみにさせてもらいますぞ」
そう言うと、ワレスはいつも通りの高らかな笑い声を上げ、また旅に戻った。
『というか、俺サカから旅立つのに着いてきて良いのか?』
カアラは先ほどユーリに着いていくと言った。
しかし、カアラの兄らしき人物の目撃情報があったのはこのサカの地。
だが、ユーリは今ベルンの方面に行こうとしている。
「ん? あぁ、別に構わん
あれから全く目撃情報も無い・・・ならまた情報を探して旅をするだけだ」
居なくなった兄を捜して・・
その事実にユーリ自身が思い当たる節があるため、少し複雑な顔となる。
『それじゃあ、ベルンを目指しますかね・・・
その途中で兄の情報見つかると良いな』
「全くだ」
2人はワレスの行った方向とは逆の方向に向かった。
このベルンを目指した選択がユーリへ手がかりを与えることになるのはまだ誰も知らなかった
今月は出張で帰れず・・・・
構成は練れても、PCに打ち込めず・・・・
今月はさらに遅くなりそうです。
次はまた間話が入ります!
カアラさんの天然さに注目して書こうかと・・・
そして、その構成を練ると
あれ?なんかカアラさんの方がヒロインしてね?と思い悩む