Fate/GRAND Zi-Order   作:アナザーコゴエンベエ

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花道オンパレード!2013

 

 

 

「は? いまなんて?」

 

『―――ソウゴさんたちが、あの空の星を破壊しに行くと言って宇宙に向かいました!』

 

 空から雲霞の如く降り注ぐメガヘクスの大群。

 そんな世界の終わり染みた光景の中で、オルガマリーは間の抜けた声を出す。

 

 マシュからの繰り返し声が届くと同時、聖城から飛び立つ影が見えた。

 フォーゼアーマーとそれに掴まる鎧武。

 それは一直線に、空に向かって翔け上がっていく。

 叫びたい気持ちをぐっとこらえ、彼女は状況を検めようとする。

 

「あれを壊すってそんな、どうやって……!」

 

 確かにどうにかしなければならないものだ。

 間違いなく敵で、歴史どころか惑星単位を滅ぼそうとしている敵。

 だが、星一つまるまるなんてどうやって―――

 

『敵性……惑星の主砲を破壊して、自壊させると』

 

「主砲―――」

 

 一応、目的はあるらしい。

 確かに一度、そうとしか見えないものが顔を出した。

 だがすぐに星の外殻を閉じるように、奥にしまわれている。

 

 敵の惑星に取り付き、壁に穴を開けながらそこまで?

 どう考えたって不可能だろう。そこは敵の本拠地。

 この地上へ差し向けられている以上の戦力による、拠点防衛があるはずだ。

 

 ただ、逆転の手段と見定めたそれ。

 それが正解しているのだとしたら。それが逆境を覆す一手になるのなら。

 こちらがやらなけれなならないのは、支援だ。何か出来るかを考えなければ―――

 いや、ここで一体でも敵を引き付けることこそ最大の支援か。

 

 ―――そんな彼女たちの会話を聞きながら。

 アーラシュが放つ一射が、メガヘクスを一機撃墜する。

 彼が飛び立っていく鎧武を見てから、その後にメガヘクス本星を見上げた。

 そうして小さく笑い、彼は軽く肩を回す。

 

「―――さて、恩返しの機会だな。死にかけじゃなきゃまず外さんだろうが……」

 

 目算で2200―――いや、もうちょっとあるか。

 だが、2300までは届くまい。一応は、()()()()

 

 地球に接近して真っ先に、聖城に突き刺した金属ユニット。

 あれを叩き込むためだろうか、随分と近づいていたらしい。

 わざわざゲートを開き続けていることから考えると、もしかしたら星から離れたメガヘクスたちとの通信には距離限界があるのかもしれない。実際は分からないが、とにかく好都合だ。

 

「もう少し距離を稼ぎたいな……悪い! 俺はここ離れるぞ!

 紘汰やソウゴたちの援護は任せとけ! その代わり、こっちは任せた!」

 

「え?」

 

 そう言って、驚くオルガマリーたちの反応を待たずに走り出す。

 だが一気に駆け抜けようとした彼の横に、少年王が並ぶ。

 

「―――ブケファラス」

 

 自分の霊核を削り尽くすほどに雷を出し切ったアレキサンダー。

 そんな状態でなお、メガヘクスとの戦闘に参加している彼。

 その彼の声を受けて、英霊馬が身を翻した。同時に飛び降りる少年王。

 ブケファラスがアーラシュと並走するように走る。

 

「お、乗せてくれるのか?」

 

「高度が下がっているとはいえ、あの神殿に飛び乗るのは骨だろう?」

 

 そう言って肩を竦め、アレキサンダーは単身で戦場に戻る。

 アーラシュが戦線を外れる穴埋めは簡単ではない。

 他のものたちの消耗は更に加速する。

 だがそれでも、現状を逆転するためには必要な負荷に違いない。

 

「アーラシュ殿の穴を埋められる、とは口が裂けても言えぬが……うむ。

 ―――死力を尽くし、一秒でも長く時間は稼ぐとも。

 このまま負けて帰ったら、さぞ長い説教を食らうことになりそうだしな!」

 

 藤太の矢がメガヘクスを一機墜落させる。

 その墜落した機体を圧し潰すように、ブーディカの戦車が落ちてきた。

 盛大に潰され、そのまま機能停止するメガヘクス。

 

「あたしの戦車で送れればいいんだけど……ね!」

 

 恐らく、それではメガヘクスに撃墜される。

 一切速度を緩めず、最初から最後まで最高速で送り届けられるのは―――

 ブケファラスの、その脚だけだ。

 

「はは、悪いな。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 そう言って彼が英霊馬に乗り込むと、ブケファラスは全力での疾走を開始した。

 視界を埋め尽くすメガヘクスの合間を擦り抜けて。

 向かう先は―――大神殿・“光輝の大複合神殿(ラムセウム・テンティリス)”。

 

 走る、走る、走る、走る――――跳ぶ。

 

 全力疾走からの跳躍。

 それは無数の敵を追い抜いて、アーラシュを上空まで一気に運んだ。

 

「悪い!」

 

 その上で、ブケファラスを足場に跳び上がる。

 踏み台にされた彼は鼻を鳴らしながら、地上に向かって落ちていく。

 代わりに彼は、沈黙し続ける空中神殿に手をかけられた。

 

 すぐさま上り、聖罰が開けた大穴を覗き込む。

 恐らくこれが玉座の間にまで繋がっているはずだ。

 一秒と待たず、即座に体をそこへと投げ入れて落下する。

 

 ―――そうして、それなりの距離を落ちた先。

 ズタズタに引き裂かれた玉座の間を見た。

 

「王様! 生きて、るよな。宝具が残ってるんだもんな!」

 

 到着すると同時に即座に声を上げる。

 数秒置いて、広間の端から声がした。

 

「…………騒がしいな、アーチャー。

 神殿で眠りについていたファラオを起こした罪は重いぞ」

 

 玉座から離れた位置で、立ったまま気絶していたのだろう。

 オジマンディアスが目を覚まし、ゆっくりと動き出す。

 彼の足元にはニトクリスが倒れていた。

 

 この神殿の対粛清防御を撃ち抜く一撃だ。

 その攻撃を受けた瞬間は、さぞや修羅場だったことだろう。

 だがそれを労っている時間もない。

 

「おう、悪い。今から行くから裁きは後にしてくれ」

 

「―――――」

 

 オジマンディアスがちらりと彼を見て。

 しかし何も言葉にせず、玉座の方へと歩き出した。

 辿り着いた彼は、そのままどかりと腰掛ける。

 

「ちょっと外を見てもらえればわかるが、とんでもないことになってる。

 で、ちょっと星を落としに行くのを手伝ってくれ」

 

「なに……?」

 

 彼の意識に呼応し、神殿周囲の探査が始まる。

 外の状況はまるで分からない。

 どんな状況か分かっても、どうしてそうなったのかが分からない。

 

 だが敵が増えたこと、そして星を落としに行くという言葉。

 その意味は、確かに理解できた。

 そこで開かれるアーラシュの口、その言葉。

 

「ちと距離が足りない。足場、貸してくれ」

 

「――――ふ、ふはは! ふははははははははははははッ!!

 ははははははははは! ふはっ、ふははははははははははははは―――ッ!!!」

 

 目の前にたつ東方の大英雄。

 それを前に、太陽王は凄まじい勢いで笑い声を噴き出した。

 まるで噴水のように噴き出すそれに、アーラシュは苦笑を返す。

 

「貴様、アーチャー! 事もあろうに貴様!

 余の墓標たるこの大神殿を足蹴にし、星を割るというか!

 無礼千万も甚だしい! その無礼、この特異点一笑ったわ! 故に許す! 特に許す!

 光輝たる余を笑わせた報酬である、その光栄に泣き咽ぶがいい!!」

 

 玉座の上でファラオが力を発する。

 彼が所有している聖杯の力が全て、大神殿に注がれていく。

 一度はカルデアとの戦闘で奪われたが、エジプト領の維持のため彼の手に戻したものだ。

 

「ニトクリス! 貴様、いつまで寝ているつもりだ!!

 全魔力を“光輝の大複合神殿(ラムセウス・テンティリス)”の推力に回せ! これより、どこぞのものとも知れん惑星に、太陽たる余が裁きを下す!!」

 

「ふぁ、ふぁい!? ぜんまりょく……全魔力を……?」

 

 気を失っていたニトクリスがファラオの言葉に飛び起きて―――

 そしてふらりと頭を揺らした。

 

「じゃあ俺は外で待機してるからな。任せたぜ、王様」

 

 そう言って、アーラシュが入るのに使った大穴から外を目指す。

 アーチャーが姿を消したのを見届け、オジマンディアスが再び叫んだ。

 

「―――全魔力を推力に回せ! 三度目はないぞ!」

 

「……! ―――!?!? は、はい! ファラオ・オジマンディアス!

 全魔力を推力に集中! 機動大神殿、目標は……?」

 

 ようやく正気を取り戻したニトクリスが跳び上がる。

 即座に大神殿のオペレートを再開する女王。

 全推力をもってどこへ行くのか、その目標をオジマンディアスが高らかに叫んだ。

 

「太陽たる余の輝きを遮る天蓋―――!

 目標は敵の惑星、あのガラクタの塊だ―――!!」

 

 復旧し、全魔力が空に舞い上がるための推力に変わる。

 それは今まで張っていた全防御の解除も意味するものだ。

 だが守りを展開していては、推力が足りない。

 元々の推力と、聖杯によるバックアップ。両方足して、それでギリギリだ。

 

 この巨大建造物が出しているとは思えない速度。

 音速を優に超えるほどの爆発的な超加速。

 それが一気に、大神殿を宇宙に迫らせる。

 

 メガヘクスの反応がある前に、そうして舞い上がる大神殿の外。

 そこに足をかけて、弓を構えるのはアーラシュ・カマンガー。

 

 きっと彼だけがこの時代に来ていても、これだけの民は救えなかったろう。

 彼は敵は討ち果たせるし、狩りをすれば少しくらいの食料はどうにでもなる。

 けど、数千の民の食料となったら無理がある。

 

 そんな逆境を、当たり前みたいな顔をして覆してくれた。

 無辜の民を救うために力を尽くしてくれた。

 それだけで、彼が矢に命を乗せて放つには十分な恩だ。

 

 彼らが救ってくれた命に報いることは、その弓で守る事。

 その弓で無辜なる命を守るため、彼は生まれてきたのだから。

 

「うっし! じゃあ―――俺は俺のやれることを、だな!」

 

 矢を番える。

 アーラシュ・カマンガー、その生涯最期の一矢を此処に。

 

「―――陽のいと聖なる主よ。あらゆる叡智、尊厳、力をあたえたもう輝きの主よ。

 我が心を、我が考えを、我が成しうることをご照覧あれ」

 

 ぐんぐんと機械の惑星(ホシ)が迫ってくる。

 距離は十分なほど詰められる。

 

 彼はもはや半死人。最大射程を撃ち抜けるほどの体力がない。

 けれどこうして少し距離を詰めてくれれば―――どうにかしてみせよう。

 彼は頑強なるもの、勇者アーラシュ・カマンガー。

 

「さあ、月と星を創りしものよ。

 我が行い、我が最後、我が成しうる聖なる献身(スプンタ・アールマティ)を見よ」

 

 矢を引き絞る。彼の最大射程は約2500Km。

 国の争いを終わらせるために、「国境」を定めた一射。

 それ即ち―――()()()()()()()()()()()()()

 

「この渾身の一射を放ちし後に―――

 我が強靭の五体、即座に()()()()であろう!」

 

 人の身に余る大偉業と引き換えに、彼はこの一撃で絶命する。

 だがその事実に微笑みさえして、その腕は矢を引き絞った。

 立ち上る圧倒的な魔力の奔流。

 

 その弓から放たれた矢は、もはや戻ることは二度となく―――

 その弓を握っている者さえも、弓に新たな矢を番えることはない。

 

 ―――光を曳く一射は、まるで流星の如く。

 

「――――“流星一条(ステラ)”!!」

 

 

 

 

 嵐の槍が背後を襲う。無数の触手が巻き込まれ、千切れ飛ぶ。

 兜を捨てた獅子王が、その槍の暴威を全てアナザー鎧武に向ける。

 致命傷には届かない。届くはずもない。

 だがその抵抗に意識が沸騰する。

 

「邪魔だ―――!」

 

 バロンと纏めて、獅子王を弾き返す。

 再び展開する無数の蔦。

 それで邪魔者どもを串刺しにしようとするアナザー鎧武。

 

〈ビヨンドザタイム! フルメタルブレーク!!〉

 

 その彼の腕に、フューチャリングキカイが撃ち出した巨大フックが絡みついた。

 捕まえたと見るや、キカイショルダーがフックと繋がる鎖を巻き戻す。

 強制的に白ウォズに引き寄せられていくアナザー鎧武の体。

 

「グッ……!」

 

「ハァッ――――!!」

 

 振り抜かれるライダーウォズの拳。

 胴体に突き刺さる一撃。

 その直撃に、引き寄せられた時以上の速度で吹き飛ばされ―――

 

「セイィイイ―――ッ!!」

 

「―――――!」

 

 グロンバリャムとロンゴミニアドが、同時に叩き付けられる。

 全身の蔦をばらばらにされながら更に吹き飛ばされるアナザー鎧武。

 彼は床に落ち、思い切り転がって、やがて止まった。

 

「おのれ、おのれ―――! グッ、ギ、ガ……!

 破壊、ハ、ギィイイ……!!」

 

 破壊衝動を制御しながら、何とか立ち上がる。

 その彼の頭上、本星に繋がるゲートの中で―――流星が、輝いた。

 

「な、に……っ!? 馬鹿な……!?」

 

 その光を感じ、咄嗟に見上げた先。

 こちらから引き揚げさせ、本星付近に展開していたメガヘクスたち。

 そのほぼ全てが消し飛んでいた。

 

 それだけではない。

 機械惑星メガヘクスの外殻。最も硬い星の防壁。

 真っ先に閉じたはずのそれが、完全に破壊されていた。

 

「何が……! メガヘクス本星! 外殻の修復を最優先!

 他の何をおいても、まず先に外殻を塞げ―――!!」

 

「―――所詮、貴様は敗北者。

 自身の敗北を省みることなく、己の力が絶対と固執した憐れな亡者だ。

 お前からは、敗北の未来を覆す強さなど感じない!」

 

 言葉と共に、ロード・バロンが一歩を踏み出した。

 メガヘクスの思考回路が、その敵の言葉に反応を示す。

 

 アナザー鎧武の力が全てその相手に向けられる。

 無数の触手、腕の刃、放たれる光弾。

 それが全て、彼を灰に変えるために行使された。

 

「それは貴様だァアアアアア――――ッ!!」

 

 その攻撃を全て受け、体を穿たれ、片腕がもがれ。

 バロンは致命的な損傷を負って、機能を低下させていく。

 彼の手にしていた直剣、グロンバリャムも。

 握っていた彼の腕とともに、遥か後方へと吹き飛ばされた。

 

 そんな状況で、残った片腕で拳を握り。

 彼は、全力でもってそれを相手の顔面へと振り抜いてみせる。

 

「―――だから、貴様は負ける。俺と同じように。

 奴らの目指した未来に――――!!」

 

 蒼い光を帯びた顔面が砕ける。

 即座に修復が開始されるアナザー鎧武、メガヘクスの頭部。

 そうして受けた損傷。仇敵からの嘲笑。

 

 ―――それがまた、メガヘクスの思考にノイズを走らせる。

 

 ―――破壊、破壊、破壊、破壊。

 メガヘクスに仇なす存在の破壊を最優先。

 星の修復など後からで事足りる。全エネルギーを主砲に集中。

 

 止められない。

 砲撃のためのエネルギーラインは、完全に確立した。

 既にメガヘクスの全性能は主砲発射へと集中しきっている。

 チャージが完了するまであと十数分。中断はできない。

 もうできるのは、いつ撃つかを決めることだけだ。

 

「……ギ、ガ、隔壁開く必要なし―――!

 隔壁を閉じたまま、メガヘクスの隔壁ごと砲撃せよ……!!

 我らに近づくものは、全て消し飛ばせェッ―――!!」

 

 

 

 

 アーラシュ・カマンガーが砕け散る。星の外壁が崩れ落ちる。

 彼のアーチャーは見事、星の外側を割ってみせた。

 その光景を前にして、彼を運ぶという役割を果たした大神殿は―――

 

 敵惑星に向かうジオウたちを追い抜いて、宇宙を翔けた。

 彼らを完全に脅威と見做したメガヘクス軍団が殺到。

 大神殿を破壊するために、取り付こうとしてくる。

 

 全エネルギーを推力に回していることに変わりはない。

 取り付かれれば、やがて破壊されるだろう。

 

 そんな中、玉座に座る王が小さく息を吐く。

 

「―――は。その矢、中々だったが……足らんな、まるで足らん。

 致し方ない。星を砕くとはどういうことか、余が自ら教示するしかあるまい。

 我が大神殿の後ろで見ている、()()()()()()()

 

「――――は!」

 

 大神殿は宇宙(ソラ)を繋ぐゲートの奥にある、敵星を目掛けて飛ぶ。

 

 目指すはアーラシュが切り拓いた場所。

 修復されるような様子もなく、大穴が開いたままの星の外殻。

 その奥にはまだシェルターが幾層にも展開されていた。

 

 ―――とはいえ、外殻に比べれば随分と柔らかいことだろう。

 叩き付ける。この大神殿をそのまま。

 そうして、貫いた先に―――まあ、誰かが勝手に辿り着くことだろう。

 

「―――ファラオ・オジマンディアス。どうかお暇を頂きたく……」

 

「許す、やれ」

 

 太陽の王に暇を頂き、天空の女神が杖を振るう。

 

 ―――“冥鏡宝典(アンプゥ・ネブ・タ・ジェセル)”。

 ニトクリスの鏡が、高速飛行を続ける大神殿の前に展開される。暗黒のみを映す冥界の鏡は壁となり、自身をミサイルの如く変えて突撃してくるメガヘクスたちへの防壁となった。

 

 絶え間なく訪れる激突。

 千や万ではきかない、機械の砲弾の嵐、破壊の雨。

 それに対し、杖を握りながらニトクリスが耐え凌ぐ。

 

 ―――大神殿が敵に届くまでの数分、彼女は無言でただ耐えた。

 

 ファラオの前で悲鳴を上げる無様を堪えたのではない。

 そうして悲鳴を上げるための体力すら、彼女は惜しんだのだ。

 役目を果たすために、彼女は死力を尽くしてみせた。

 

 ―――神殿が届くまで、残り十秒。

 

 宇宙を翔け抜けた先。

 その距離まで近づいた時、玉座にかけたファラオが口を開いた。

 

「―――ここに呼んでから、それなりに余に対する不敬を重ねた貴様だったが。

 この一件を遂げたことにより、それらは不問とする。

 よくぞ余の道を拓いた、古き天空の女王―――ファラオ・ニトクリス」

 

「―――――」

 

 鏡が罅割れる。

 それは彼女の霊核が罅割れたということ。

 彼女は力を尽くして耐え忍び、大神殿が敵に届く一秒前までそこにあり。

 

「もったいなき、御言葉……!」

 

 ―――最後の最後まで、彼女らしい様子だった。

 

 隔壁に突き刺さるピラミッドの先端。

 それは次々とメガヘクスの隔壁を粉砕し、奥へ向かって突き進んでいく。

 一人残された玉座の間で、太陽王が静かに笑う。

 

「……さて。このまま貫ける、などと」

 

 ―――全推力をもってしても、隔壁を全て撃ち抜くこと敵わず。

 大神殿は、半数近くの防壁を粉砕したところで、その侵攻を止めた。

 後方から数え切れないメガヘクスが雪崩れ込んでくる。

 敵である大神殿、オジマンディアスを破壊するために。

 

「―――そんなつまらん幕切れではなく、助かった。

 貴様らに見せるのは、余の墓標の偉大さだけではない。

 その光輝を浴びる栄誉もくれてやるつもりだったのだからな―――」

 

 オジマンディアスが玉座を立つ。

 その手に浮かび上がるのは、聖杯。

 

 推進力に回していた全ての魔力。

 それをまったく別のものへと注ぎ込んでいく。

 新たな魔力の消費先。それはすぐさま臨界に達し、暴走にも似た状態へと陥った。

 

「全魔力をデンデラ大電球に送電!!

 これより全方位に向け、我が威光の投射を開始する!!

 異星からの来訪者よ、我が業を見よ―――!

 これぞ我が無限の光輝、太陽たる余の前に平服するがいい――――!!」

 

 ―――大神殿が光輝を放つ。

 その内部にあるデンデラ大電球。

 それが太陽そのものとなり、大神殿ごと灼熱に呑み込んでいく。

 

「たかが惑星たる貴様の腹の内に、恒星たる余を招いた不遜を嘆くがいい!

 いざ輝け、“光輝の大複合神殿(ラムセウム・テンティリス)”―――――!!!」

 

 ―――地獄が生まれる。

 メガヘクスの只中に、太陽という名の地獄が。

 如何に神王オジマンディアスの宝具とはいえ、それは支えきれない。

 顕現させた太陽の威力に、大神殿自体が焼け落ちる。

 太陽が顕れたるのは、ほんの数秒のことでしかなかった。

 

 だが、たったそれだけで十分。

 惑星メガヘクスに太陽が開けた穴は、確かに。

 ―――彼らが目指す、深奥へと続いていた。

 

 太陽に巻き込まれ数万か、数億か。メガヘクスの大軍は消滅した。

 すぐさま増産が再開される。主砲装填業務で余ったリソースで。

 当然、(ソラ)を満たすほどの数が一瞬で出てくるわけではない。

 

 復旧が成される前に、その中に。

 鎧武が掴まったフォーゼアーマーが飛び込んでいく。

 どこからもサイレンが轟き、彼らを優先して排除するための兵器が顔を出す。

 だがその数は明らかに少ない。

 

 速攻で突破するために加速する。

 その中で、虚空で揺らめいている水晶体が目に入った。

 

「あれは―――! ごめん、神様! あれ拾って!」

 

 ジオウの両手はブースターモジュール。

 途中であれを拾う事は叶わない。

 言いながら、軌道を修正してそれと重なるように飛行する。

 

「おおっ、これぇ―――っ!?」

 

 その中で、宙に浮いていた水晶体を鎧武がキャッチする。

 オジマンディアスが自身の中に取り込み、太陽に巻き込まれても砕けぬようにと。

 そうして残していってくれた聖杯だ。

 

「ありがと、神様!」

 

「おうよ!」

 

 そうして最短距離を外れた代償に、残った兵器が前を阻む。

 蔓延る機械兵器の壁を前にして―――

 

「―――回るよ、神様!」

 

「回る? 回るって?」

 

〈フィニッシュタイム! フォーゼ!〉

〈リミット! タイムブレーク!!〉

 

 フォーゼアーマーが回転を開始した。

 竜巻となって、立ちはだかる防衛システム・メガヘクスたちを貫通する。

 目指すべき場所は一点。臨界直前の、主砲のみ―――

 

「宇宙ロケットきりもみクラッシャ―――――ッ!!」

 

「う、ぉおおおお―――っ、よっしゃ俺もぉおおおお―――――っ!!」

 

〈オレンジスカッシュ!〉

 

 片手でフォーゼアーマーの足に掴まりながら、もう片手が剣を伸ばす。

 スライスしたオレンジのような刀、大橙丸。

 竜巻にオレンジの果汁が混ざり、更に勢いと威力が加速する。

 フルーツジュースを作るミキサーが如く回転し続ける彼ら。

 

 それが敵の防衛網に正面から穴を開け―――突破。

 正面に、青白く、強く発光し続ける砲台を見た。

 

「王様!」

 

「神様!」

 

 回転しながら足を振り抜くジオウ。

 彼から離れた鎧武が、そのまま砲台へと突っ込んでいく。

 それを追う前に、全身を覆うフォーゼアーマーを分離。

 背後に向かって打ち上げる。

 

 後ろから追ってきていた無数のメガヘクスたちの中に突っ込んでいく白いロケット。それに直撃したメガヘクスの一体が押し返され、連鎖するように後続のメガヘクスたちもバランスを崩して押し返されていく。

 

〈アーマータイム! ドライブ!〉

 

 そうして新たなアーマーを纏う。

 真紅のボディを身に纏い、一度だけ壁を蹴った。

 壁を擦るタイヤの音、そこで―――フルスロットルで加速する。

 

〈オレンジスパーキング!!〉

〈ヒッサツ! タイムブレーク!!〉

 

 鎧武が。ドライブアーマーを纏ったジオウが。

 足に纏った全力をこめた一撃を、主砲でもっとも光の強い場所。

 明らかにエネルギーが蓄積されている致命的な部分へ。

 その一撃を、同時に叩き込む。

 

「ハァアアアアアアッ―――――!!!」

 

「セイハァアアアアッ―――――!!!」

 

 直撃。直後に、爆発。

 ―――星を砕くだけのエネルギーがその場で暴発する。

 それに呑み込まれた二人が、白光の中に呑み込まれ―――

 

 

 

 

「―――――」

 

 いつか見たような、白い変な空間に立っていた。

 ソウゴはその周囲を見回して、神様の姿を見つける。

 金色の髪をした、白衣の男。

 彼の全身には時々ノイズが走り、今にも消滅しそうなほど弱々しい。

 

「神様」

 

「俺たちは選んだ。俺たちの運命を。色んなことがあって、それぞれみんな選んだ道も違って。やり方を違えた奴らから、俺は俺が望んだ未来を勝ち取って……こうして、ここに辿り着いた」

 

 神様がソウゴの許に歩み寄ってくる。

 彼がゆっくりと掲げた掌に紺とオレンジのウォッチが生まれた。

 

「俺が勝ち取った未来に後ろから続いてくれる奴らが、また新しい未来を創る。

 だから俺は今、こうしてまた運命を選ぶ―――」

 

 差し出されるウォッチ。

 少し逡巡して、しかしソウゴはそれを手に取った。

 ノイズは加速する。鎧武の歴史が消えていく。

 

「―――きっと、目指してる方向は俺もお前も同じだ。

 さって! 後は任せたぜ、王様!」

 

 ウォッチを受け取ったソウゴの手を、その上から握るように。

 強く手を握りしめて、彼はにっかりと盛大な笑い顔を浮かべた。

 それと同時に彼と、この空間。両方が消失していき―――

 

 

 

 

「――――ば、かな……メガヘクスが……!」

 

 アナザー鎧武の目の前で、星が崩れ落ちていく。

 中枢である本星を失った影響で、全てのメガヘクスが停止する。

 アナザーライダーと化し、半ば独立した個体を一体だけを残し。

 

 ―――同じく、ロード・バロンが停止する。

 それもまたメガヘクスの被造物であったものであるが故に。

 彼はメガヘクスの消失とともに、動力を失った。

 

 宇宙の彼方で崩れる機械惑星。

 内側からの爆発的なエネルギーにより、自壊する鉄の星。

 その残骸が飛散するのを見ながら―――しかし。

 

「だ、が……! 空間を繋ぐゲートは未だ閉じていない……!

 メガヘクスは沈黙したが、その破片までもが全て塵となったわけではない!

 惑星の中心部により起こった爆発は、星の外殻を外側へと()()()()()!!」

 

 惑星メガヘクスという大質量。確かにそれは破壊された。

 超エネルギーを集約していた主砲の爆発に連動した、星の動力の破壊。

 ―――惑星の中心部で発生した、大爆発によってだ。

 

 だがその爆発が起きたことは、メガヘクスの消滅には繋がらない。

 中心部で発生した爆発は、メガヘクスを砕いた。

 砕けた星の外殻は、砕けながらもばら撒かれたのだ。爆破の勢いで。

 微塵に砕けたものもある、だが巨大な質量を維持したまま剥がれたものもある。

 

 惑星の一部、その破片。

 吹き飛ばされてくるそれが、一つでもこの星に落ちれば―――

 

「惑星メガヘクスは沈黙した! だが、まだ私がいる!

 大いなるシステム・メガヘクスの一部である私が!

 メガヘクスであった我らの一部で地球を滅ぼし、そこから我らメガヘクスを再生する!

 私が、この惑星を新たなメガヘクスに造り替える!!」

 

 そのために、まずは破壊のために降り注げと。

 アナザー鎧武が天を仰ぎ、流星の如く迫りくるメガヘクスの破片を見上げた。空にかかる光帯のせいで多少焼き切られるだろうが、それでもこのサイズが燃え尽きるはずはない。

 その上破片は一つや二つではない。防ぐ方法など、ありはしない―――

 

 ―――そんな彼の横で、光の柱が立ち昇る。

 

「――――なに? これ、は」

 

 聖槍を凌駕するエネルギー反応。

 驚愕を示しながら、そちらに振り向く。

 

 そこにいたのは、やはり獅子王だ。

 それも当然だろう。

 彼女以外に、この場であれだけのエネルギーを発揮できる存在はいない。

 おかしなことは、それが獅子王であることではない。

 

 彼女の手の中にあるのは、聖槍ではなく聖剣。

 獅子王は両手でその剣を握りしめ、瞑目し、静かに構えていた。

 観測されるエネルギーは留まることを知らず上がり続ける。聖槍のもの以上に。

 この位置からでも、地球に落ちてくるメガヘクスの外殻を消し飛ばせるほどに。

 

「―――是は、世界を救う戦いである」

 

 放たれれば、メガヘクスの再生に遅延が生じる。

 この惑星をメガヘクスに造り替えるための前提が頓挫する。

 それを理解したアナザー鎧武が、瞬時にそちらへ走り出した。

 

 狙いが逸れるだけで充分。

 如何に獅子王とはいえ、アナザー鎧武の突撃を完全に無視する事など不可能。

 そうしてあれらがこの星に落ちるまで時間稼ぎをするだけでいい―――

 

 だから、彼らも勝利条件は同じ。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 漆黒の鎧が、アナザー鎧武の前に出る。

 ぽかりと大穴を開けた胸。

 とっくに致命傷のそんな身で、彼はその行動をやり遂げた。

 

「――――邪魔だ……ッ!」

 

「ぐッ、ぬぅ……ッ!」

 

 アグラヴェインがその怪物に組み付く。

 無数の触手が彼に穴を開け、だが彼はその王の敵を離すことはない。

 

 是は。人が生きるために、真実に挑んだ戦いであった。

 是は。人道を示し、邪悪を打ち倒すための戦いであった。

 

「こ、の……ッ!」

 

「やれ――――サー・ガウェインッ!!!」

 

 地上に太陽が咲く。

 彼は半身を失い、力はまるで残っていない。

 だがそれでも、それでも、今まで無様を晒して生き延びたのは何のためか。

 

 この状況でありながら、ここまで肩を貸して導いてくれた少女。

 最後の最後の場面に居合わせることを譲ってくれた、モードレッド。

 そして。今まさに、彼と背中を合わせながら盾をアンカー替わりにすることで、彼が聖剣の衝撃を支え切れるように助力してくれる―――盾の騎士。

 

「―――どうぞ、サー・ガウェイン!」

 

 この一時のみ。彼らは円卓として。

 この惑星を終わらせようとする、悪しき心のものと。

 世界を救う勇者たちと共に、誇り高き戦場に身を投じる。

 

 ―――彼は。さぞ、歯を食い縛ったことだろう。

 そのまま舌を噛み切らんほどに。

 

 だがアグラヴェインはそれを選んだ。

 私情を語れば、世界など知ったことではないはずだ。

 けれど、王がそれを選んだ―――選んでしまったのなら。

 彼は、ただ頭を垂れて従うだけだ。

 

 王に迷惑をかける、とあんな顔で言われては彼は逆らえない。

 思うところは全部飲み干して、彼はその命を使い果たしてでも成し遂げる。

 敬愛する王より下された、最後の王命を。

 

「―――この剣は太陽の映し身。

 我らが王に背負わせた負債を、僅かでも軽くするための円卓の灯火―――!

 “転輪する(エクスカリバー)――――勝利の剣(ガラティーン)”!!!」

 

 それは太陽と呼ぶには余りに小さな灯り。

 灼熱の業火とはいかない、日向の光。

 それでも放たれた光は狙い過たずアグラヴェインとアナザー鎧武を呑み込んだ。

 反動を抑えるために、ガウェインが背中を預けたマシュが盾を地面に突き立てる。

 

 漆黒の騎士は消滅する。

 全力には程遠いとはいえ、太陽の聖剣。

 致命傷を負った体で、耐え切るような真似は叶わなかった。

 

 その一撃を撃ち放った太陽の騎士もまた、消滅する。

 全てを振り絞った一撃。その結末は分かり切っていた。

 

 だが、アナザー鎧武には多少のダメージだけ。

 メガヘクスが失われた以上、彼という躯体を再生産はできない。

 しかし再生するまでもなく、その体には大した傷さえもなかった。

 アナザー鎧武という鎧を纏ったメガヘクスはそれ単体でほぼ不死身。

 

 彼らの命を捨てた一撃は当たれど、しかし届きはせず―――

 けれど、それで十分だった。

 

 星の女神である彼女でさえ、敵が星そのものとなれば格上だ。

 だからこそ、彼女はその言葉を謳い上げる。

 

「是は、己より強大な者との戦いである―――!」

 

 そうして、獅子王が聖剣を振り被った。

 星により生み出されたその聖剣は、星の外敵にとって最も力を発揮するもの。

 地上全てを蹂躙する機械惑星に対し―――星の聖剣は、絶対的な力を行使する。

 

「“約束された(エクス)―――――勝利の剣(カリバー)”!!!」

 

 ―――振り抜かれる聖なる剣。

 アナザー鎧武が止めようとするのは、間に合わない。

 

 天へと翔け上がる極光。加速した魔力が形成する光の斬撃。

 それは戦場全てから臨める、地上で輝く星の光。

 誰もがその光の柱が立ったことを知り、誰もがその光の柱を仰ぎ―――

 誰もが、勝利を直感した。

 

 光に呑まれ、崩れていくメガヘクスの残骸。

 メガヘクス本星の宙域と繋いでいたゲートも、同じく崩れていく。

 空にかかる光帯に匹敵する一閃は、メガヘクスの足掻きを粉砕した。

 

 空から消えるメガヘクスの残滓。

 太陽を空に上げていた“不夜”の持ち主も最早いない。

 この地に、地球から見える星のかかる夜空が帰ってくる。

 

「―――ありえん。ありえん、ありえんありえん……!

 我らはメガヘクス……この宇宙でもっとも優れた、完全なる知性!

 同じ星のもの同士で争うような下等な知性が、我らを超えるなど―――!」

 

「じゃあ、あんたの完全さが足りなかったんじゃない?」

 

 白い光とともに、ジオウがその地上へと帰還する。

 彼はすぐさま歩き出し、最後のメガヘクスに歩み寄っていく。

 その手には新たなウォッチが握られていた。

 

「何だと……! 貴様、我らメガヘクスを―――!」

 

「あんたは完全じゃないし、俺たちだって誰も完全じゃない。

 俺たちはそれを分かって、足りない部分を補うために手を取り合うんだ」

 

 キン、と。光を放ち終えた聖剣の切っ先が床に立つ。

 それを所持する王は、ただ無言のまま瞑目する。

 

「けど、あんたの言う調和はただの支配だ。それじゃ何にも補えない。

 あんたは、あんたのまま広がり続けただけ。もし本当に、今まであんたが色々な人たちと調和してきてたんだったら……あんたは本当に、もっと完全な存在になってたかもね」

 

「不完全ン……!? 我らメガヘクスは、完全なる存在――――!!

 貴様ら下等な知性体と同じレベルで語るなァッ――――!!!」

 

 メガヘクス、アナザー鎧武の全身から蔦が伸びる。

 それは槍の如き鋭さでジオウへと殺到し―――

 

「―――こっからは、任されたよ。神様!」

 

〈鎧武!〉

 

 ライドウォッチが起動する。

 それと同時、ジオウの上に展開される巨大な鎧武の頭。

 そんな巨大な塊が落ちてきて、蔦を全部圧し潰す。

 

 地面に落ちて跳ね返ったそれが、再び舞い上がる。

 ジクウドライバーを回転させ、それを纏うために身構えるジオウ。

 今度はその鎧武の頭が、彼の頭上に落ちてきた。

 

〈ライダータイム! 仮面ライダージオウ!〉

〈アーマータイム!〉

 

 頭に被さり、果実の皮が剥けるように展開していく鎧武。

 オレンジの果実の切り身のような鎧が、各所に装備されていく。

 

〈ソイヤッ!〉

 

 肩にはロックシードを思わせるショルダー。

 その肩の横から垂れる、オレンジの皮が垂れているように見える刀の鞘。

 更に背中から伸びる二本のサブアーム。

 それぞれに取り付けられた剣、計四本もの大橙丸Z。

 

〈鎧武!〉

 

 両肩から垂れる刀の鞘。

 ダイダイスリーブから、左右の手が大橙丸Zを抜き放つ。

 双刀を構えながら、腰を落とすジオウ。

 

 そうして変わった彼に対し、更なる追撃が殺到した。

 蔦の触手、光線、あらゆる火力がジオウへと集中する。

 

 それらを二刀の大橙丸Zで悉く切り払い、足を床に思い切り叩き付けるジオウ。

 刀捌きに乗って舞う、雨の如く降りしきるオレンジの果汁。

 周囲に舞い散る橙色で風景を飾り立て、ソウゴは大見得を切ってみせた。

 

「花道でぇ―――! オンパレェドだぁ――――ッ!!」

 

 

 




 
ステラ!デンデラ!カリバー!
あとなんか足んねえよなあ…? ままええわ。

ゾンビ姉に対してはミッチを出すと特効が取れるでしょう。
ビーストなんてファブリーズでちょちょいのちょいよ。
 

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