Fate/GRAND Zi-Order   作:アナザーコゴエンベエ

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飛翔!空舞う翼!1903

 

 

 

「お?」

 

 炬燵の中に入っていた武蔵が、小さく頭を持ち上げた。

 隣の部屋に気配あり、だ。

 どうやら遂にジャベルという男が起きたらしい。

 

「どうかされましたかな、武蔵殿」

 

「あいつが起きたみたいね」

 

 言われて何のことか、と首を傾げた御成。

 が、すぐに隣にいるジャベルのことだと理解した。

 

 懐に収めてある眼魔スペリオルの眼魂を確かめ、安心したように息を吐く。

 そんな彼の様子を見て、苦笑する武蔵。

 

「別に変身されたって大したことないわよ。

 あいつ、今まで何も食べてないんでしょう?」

 

「おっと、そうでしたな。では、すぐにお粥でも拵えましょうか」

 

 そう言って立ち上がり、ばたばたと台所に向かっていく。

 それでいいのかと思うが、まあ坊主ならそれでいいのかと見送る。

 仕方ないので状況は自分が説明しておくか、と。

 

 炬燵の誘惑を切り伏せて、本当に仕方なしに立ち上がる。

 

「うーん。快適すぎてこの世界から追い出された後のこと、考えたくないなー」

 

 本当に本当に、仕方なく炬燵から出て。

 かなり堕落している自分を自覚しつつ、からりと笑った。

 

 壁にかけておいた刀を引っ掴み―――まあ無手でも負ける気はしないが。

 さっさと襖を開けて、その奥で寝ている顔を見る。

 

「ご機嫌いかが?」

 

「……貴様、は……私は、どこに……」

 

 返ってくる掠れた声。

 長い事眠っていたのだ、そうもなろう。

 

「タケルの家よ、ここ。

 あんたはあの後ずっと気絶してたから、こうして寝床を提供してくれたのよ」

 

 意識が朦朧としているジャベルに対し、そう声をかける。

 すると彼はゆっくりと額に手を当ててみせた。

 

「気絶……? ぐっ……!?

 そうか、私は……あの力に……! あれは、一体……?」

 

 ウルティマに対し干渉し、ジャベルを乗っ取った力。

 凄まじい力が湧き上がる代わりに、意識も何もかも奪われた。

 そんな事象に強く顔を顰める彼に対し、武蔵が片目を瞑る。

 

「ま、とりあえず寝てなさいな。

 あんたがこれからどうするにしろ、傷が癒えるまでは面倒みてくれるそうよ?」

 

「馬鹿な……私は眼魔の戦士、そんな施しは……!」

 

 力を籠め、起き上がろうとするジャベル。

 その額に突きつけられ、彼を布団に押し返す鞘に納めたままの武蔵の刀。

 ぼふり、と枕の上に頭を落として、彼が震えながら動きを止めた

 

「そろそろ本当に死ぬから大人しくしときなさい。

 武士は食わねど何とやら、ってのにも限度があるでしょうに」

 

「……っ、何故敵である私を助ける……!」

 

「別に私が助けたわけじゃないけど……でもまあ。

 あなたを助けた人たちは、すこぶる善人だったということでしょう」

 

 そう言ってからからと笑う武蔵。

 彼女は別に彼を殺そうとも思わないが、救おうと思わない。

 全てはこの寺の住まう人間の意思なのだ。

 

 丁度そこに、御成がお粥を乗せた膳を持ってきた。

 つい直前に武蔵が倒したジャベルの上半身を起こす彼。

 

「ささ、まずは食事を摂られるがよろしい。

 食事は活力の源。腹が減っては戦はできぬとも申します」

 

「……貴様もだ。何故、敵である私を……」

 

 さっぱり分からぬ、と顔を歪めるジャベル。

 そんな彼に対して御成もまた、微妙に表情を沈ませた。

 

「―――正直、思うところは色々ありますが。ですが、救える命は救うのが坊主の心意気。

 先代の御遺志を継いだ未来の住職の支えとなるのが、住職代理の務めなれば。

 ささ、どうぞどうぞ」

 

 言いながら匙で掬った粥をジャベルに渡す。

 

 ……食欲という生態を満たさなければ、力がでないのは分かってる。

 ここから何をするにしろ、それは達成しなければいけない。

 

 大帝アデルから下された命はアランの捕縛、もしくは抹殺。そのためにはアランのみならず、今こうして彼に食事を提供している連中とも、戦闘する必要があるということだ。

 

 ―――ならばなおさら。

 食事を摂らないという選択肢は、ない。

 

「……後悔することになるぞ」

 

 ここで自分を救うということは、敵を救うことなのだと。

 そう示すために言葉を吐く。

 

「見殺しにしても、拙僧たちは後悔することになります。

 ならばそこはもう、仕方ありませんな」

 

 仕方なさそうに首を軽く横に振る御成。

 

 ―――その彼から力ない手で匙を奪い、食事を開始する。

 ジャベルとて太古の昔には食事をしていた。

 眼魔世界で生まれたアランとは違い、間違いなくそれは生活の一部だったのだ。

 が、既にそんなものの記憶は既に残っていない。

 記憶に残しておくほどのものではなかった。

 

 ―――なのに。

 

「……なんだ、これは」

 

 それを口に入れて、呆然とする。

 初めて感じたのか、或いはようやく思い出したのか。

 判然としないままのその感覚で、頭がくらくらする。

 

「お口に会いませんでしたかな?

 もしやアラン殿のようにたこ焼きの方が……?」

 

 声を無視して、そのまま重い腕で粥を掻き込む。

 それを見て安心したのか、御成もそれ以上特に何をいう事もなかった。

 

 

 

 

「しっかし、彼氏はいつもその服だねぇ」

 

 呆れ返るような声。

 それを聞き、たこ焼きを頬張りながらそちらへ振り返るアラン。

 彼が見たのは、自分を見ながら呆れ顔を浮かべるフミ婆の姿だった。

 

 その声が指摘しているのは、アランの服装のことに違いあるまい。

 

「……これが私の正装だ。何の問題がある」

 

「軍人さんみたいなカッコしたいのはいいけどね。

 ボロボロになったままの服じゃあ、むしろカッコ悪いと思うけどねぇ」

 

 ―――戦いの中で地面に這いつくばり、切られた場所もある服だ。

 確かにこれでは威厳も何もあるまいとは思う。

 が、新たな服を手に入れる手段もない彼には、これが一張羅だ。

 

 微かに眉を上げたアランは、僅かに視線を逸らす。

 

「おや、じゃあ私に預けて見るかい? ちゃーんときっちり直してあげるけど?」

 

 そんな話を聞いていて。

 ダ・ヴィンチちゃんが反対側に備えた屋台で声を上げる。

 

 このような立場に身をやつしても、アランには何と無しに分かる。

 彼女の狙いは自身の服だろう。

 眼魔世界で縫製された服の情報を得たいと思っているだけだ。

 その情報が使える使えないはさておき、情報があるに越したことないという考え。

 

「断る。貴様に私の服を預ける理由がない」

 

「そりゃ残念」

 

 さほど残念でもなさそうに、ダ・ヴィンチちゃんは肩を竦めた。

 

「しかし眼魔世界の支配者の息子がその格好では、大帝の品格まで疑われると思うけどね」

 

「そういう言い方はどうかと……」

 

 購入したドリンクを受け取りながら、そう言って笑う黒ウォズ。

 彼にそれを渡したマシュが、その物言いに微妙な顔をする。

 

 案の定、言われたアランは黒ウォズを睨みつけた。

 

「貴様に我ら眼魔の何が分かる?」

 

「さあ? ただ、私が口にしたのは一般論さ。世界の王の側近としてのね」

 

 そう言って彼はストローを口にする。

 その態度にアランが腰を上げようとして―――

 

「ほらほら、あんたも喧嘩しない」

 

 フミ婆が黒ウォズの空いた手に、たこ焼きを1パック乗せた。

 一瞬だけきょとんとした彼が肩を竦め、代金を屋台の方へと置く。

 

「うん? あんたは彼氏と違ってちゃんと金持ってるんだね」

 

「彼と一緒にしないでもらいたいな」

 

 少し驚いたような顔を見せるフミ婆。

 心外だと言わんばかりの黒ウォズが、軽く手を振った。

 

「彼氏はヒモだかんねぇ」

 

 そんな彼の背中をぽんぽん叩き、そう言って笑うフミ婆。

 彼女が焼きに戻るのを見届けてから、黒ウォズもまた動き出す。

 

 そのまま隣のベンチへと腰掛けると、たこ焼きの箱を開封して食べ始めたのだ。

 彼の様子を見て、珍しいものを見たと目を見開くダ・ヴィンチちゃんとマシュ。

 

「おや珍しい。そうやって食べてくなんて」

 

「……君たちが飲食店を開いたせいで、ずっとそういう匂いが側にあってね。

 私だってたまにはそういう気分にもなるさ」

 

 たこ焼きを食べ始めた黒ウォズを見て目を細め。

 その後、アランが視線を隣にいたカノンへと向けた。

 

「カノン、私がヒモとはどういうことだ?」

 

「えっ!? えっと……」

 

 困ったように視線を彷徨わせるカノン。

 中空をふらふらと迷った彼女の視線が、マシュに向く。

 自分に目を向けられて、言葉を選び始めるマシュ。

 

「ええと、経済的に女性に依存している男性、ということなので。

 アランさんがカノンさんに養われている、という意味になるかと」

 

「……そうか」

 

 何となく居心地の悪さを感じつつ、彼はたこ焼きを口に放る。

 

 ―――たこ焼きの味は何一つ変化していない筈。

 だというのに、この居心地の悪さのせいで不味くなったようにさえ思う。

 どういう仕組みなのか、アランにはさっぱり分からなかった。

 

「なんだい、そんなつまんなそうな顔して。

 美味しいと思ったら笑うもんだよ、彼氏」

 

「……お前たちの会話を聞いていたら美味しいと思わなくなってきた」

 

 それでも食べる手は止めない。

 そんな彼に、フミ婆はおかしそうに膝を叩く。

 

「ははは、そりゃ悪かったね」

 

 拗ねるように眉を顰めるアランと、笑うフミ婆。

 彼らを見て苦笑していたマシュ。

 

 ―――そんな彼女をぼんやりと眺めるカノン。

 先日聞いた話、当て嵌まるような人間がそんなに多くいるとは思えなくて。

 見られていることに気づいた彼女が、カノンに振り返る。

 つい顔を背けてしまって、マシュは不思議そうに首を傾げた。

 

「―――――」

 

 カノンのその様子を見たダ・ヴィンチちゃんが僅かに目を細め―――

 しかし何事もなかったかのように、ドリンクの補充作業に戻った。

 

「しかし。君はいつまでそうしているんだい?

 眼魔世界に父を助けに行く気がある、と聞いていたんだがね」

 

 食べ終えたたこ焼きのパッケージをすぐ近くのゴミ箱に捨て。

 フミ婆の屋台の前に積まれた新たなパックを手に取り。

 釣銭無しの代金をきっちりその隣に置き、彼はまた椅子に座ってそう言った。

 

「まいど」

 

「食べるねぇ」

 

「そういう気分の時もあるさ」

 

 再びたこ焼きを食べ始めた黒ウォズ。

 たこ焼きを口に運んでいる彼を睨みながら、アランも食べ続ける。

 

「無論、そのつもりだ。だが失敗はできない。

 兄上の動向を掴むために、あちらの動きを待ってからこちらも動く。

 恐らく兄上は、こちらの世界ではイゴールを動かすはず。

 それが確認できしだい、私があちらに向かうつもりだ」

 

 空になった箱の上で串を彷徨わせるアラン。

 はっとした様子のカノンが、フミ婆の屋台から新しいたこ焼きを取った。

 もちろんちゃんと代金は置いておく。

 

「まいど」

 

「どうぞ、アラン様」

 

「…………ああ」

 

 黒ウォズに対抗するようにまた食べ始めるアラン。

 なぜか対抗されている方は、小さく肩を竦めた。

 

「なるほど。それならそれでいいのだがね」

 

 空になったたこ焼きのパックを捨て、再度新しいのを購入。

 

「まいど」

 

 特に何があるというわけではないのに、アランが対抗するように食べ進める。

 よく分からないが、まだ食べる気満々の彼。

 その姿を見て、カノンもまたアランに追加のたこ焼きを供給した。

 

「まいど」

 

「あの……」

 

 どういう流れか、そんな状況。

 それを傍から見ていたマシュが、申し訳なさそうに声を上げた。

 

 何ということももないと食べ続ける黒ウォズ。

 そしてそろそろ顔色が変わり始めたアラン。

 彼らを見て首を横に倒しているカノン。

 

「アランさんはそれでもう15皿目になると思うのですが……大丈夫、なのでしょうか」

 

 アランがうぐ、と声を詰まらせた。

 そこでいい加減食べる手を止めて、体を震わせる。

 

 ぱちくりと一度瞬きしたカノン。

 彼女が積み上げられた空の容器とアランで視線を行き来させて。

 高く積まれたそれにやっと気づいたように、慌てて立ち上がった。

 

「の、飲み物ください!」

 

「まいどありー」

 

 ソフトドリンクをお買い上げ。

 ささっと準備したダ・ヴィンチちゃんがそれを手際よく提供してみせる。

 受け取ったカノンが、すぐさまそれをアランに渡した。

 

「大丈夫ですか、アラン様?」

 

「……腹が空けば力が出ない。食べ過ぎれば腹が痛くなる……なんて面倒な……!」

 

 口の中を流し込み、その後は腹を押さえて座り込む彼。

 そうなった彼の姿を見て、フミ婆が声を上げてまた笑う。

 

「あっはっは! 生きてりゃそんなもんさ。

 彼氏はまだ若いけど、私みたいに年を食えばもっと面倒になっていくよ?」

 

 自分の腰を叩いて見せながら、そう口にするフミ婆。

 そんな彼女の物言いが気に障ったのか。

 アランはドリンクを一気に飲み干してから立ち上がった。

 

「私が若い……? ふん、肉体はともかく私の活動時間はお前などより遥かに……」

 

「彼氏がいくら若作りしてたって75歳は越えないだろう?」

 

 彼はどこからどう見ても20歳前後の青年でしかない。

 だが彼女の物言いに対して、彼は鼻を鳴らして反論した。

 

「はっ……その程度か。私は優に倍以上は生きている」

 

「ふふふ、相変わらず面白いこと言うねえ」

 

 そんな反論をあっさりと受け流し、フミ婆はベンチに座る。

 

「でもまあ、どこかにそんな人もいるのかもねぇ。

 この年になって、まさか宇宙人なんか見ることになるとは思ってなかったよ。

 ま、そんなもん見たところで、私の生活はなぁんも変わりゃしないんだけどさ」

 

 けらけらと笑いながら、そう言って空を見上げる彼女。

 また一つたこ焼きを空にして、黒ウォズが軽く笑う。

 

「そうなってくるともしかしたら。

 今までもどこかで、地球に忍び込んだ宇宙人に会っているのかもしれないね?」

 

「ははは、そりゃ夢のある話だ。

 襲ってくる奴がいるなら、この星に溶け込んでる奴もいるのかもねぇ」

 

 そうして空を見上げていた彼女が、何かに気づいたようにふと首を傾げる。

 

「どうしたの、フミ婆」

 

「……ありゃおかしいねえ、また何かあるのかもしれない。

 今日はもう店じまいかな?」

 

 そう言って空を指差すフミ婆。

 彼女が差したその先で、空が少しずつ赤く染まり始めていた。

 まだ昼間だというのに少しずつ、空を染めていく赤い霧。

 

 その赤さを見て、カノンが呆然と呟いた。

 

「眼魔の空……?」

 

「―――イゴールか……!」

 

 恐らくデスガリアンの計画ではない。

 眼魔側の何らかの作戦だろう。

 だとするならば、実行部隊としてこちらにはイゴールがいるはず。

 

 まだ痛む腹を押さえつつ立ち上がるアラン。

 

 ―――そんな彼の背後。

 黒ウォズが突然、座っていた椅子を倒すくらい勢いよく立ち上がる。

 彼は今までにないほど焦りながら、苦渋に歯を食い縛っていた。

 

 

 

 

「デミアプロジェクトは順調に進行中。

 デスガリアンとかいう連中はいい隠れ蓑になりますね」

 

 ―――眼魔がこちらの世界で前線基地に選択した場所。

 それが新進のIT企業、『ディープ・コネクト』。

 この企業の社員全てに眼魔眼魂を憑依させ、既にこの場は完全に眼魔のものだ。

 

 ディープ・コネクトはネットワークの革新を謳う企業。

 それを利用するためにこうして支配している眼魔。

 

 本来ならそのズレで、この会社の活動の変化に粗が出る所だろう。

 当然出てくる、この会社少し変わった? という疑問。

 それにデスガリアンの破壊活動のせい、という言い訳が立つのだ。

 

 奴らが起こした災害時の情報共有を更に円滑にするためのネットワーク。

 そうやって主張するだけで、デミアプロジェクトは表向き人道支援になる。

 

 ―――もっとも。

 より進化した存在である眼魔が人類を支援する、という意味では。

 元からデミアプロジェクトは人道支援と言ってもいいだろうが。

 

 悠々と支配した会社の通路を歩きながら、イゴールは窓から空を見上げる。

 

「とはいえ、一切動かないでは逆に疑われるでしょう。

 私の実験も兼ねて、しっかりと務めを果たすのですよ。飛行機眼魔」

 

 

 

 

「―――妙なものを散布している?」

 

「はい。どうやら下等生物の神経系に作用し、衰弱死させる毒のようですが」

 

 玉座にあるジニスに対し、ナリアはそう言った。

 確かにモニターに映った地球の空では、何かが赤い霧を散布していた。

 その光景を見ていたクバルが小さく手を叩く。

 

「まるで殺虫剤のようだ。

 このまま見ていれば、のたうち回る下等生物が見れるかもしれませんね」

 

「はっ、まるでブラッドゲームだな。俺は自分の手で潰してこそだと思うが。

 見たところ、あの目玉を浮かべてる連中の仕業か?」

 

 アザルドの問いを受け、ナリアが画面を操作した。

 モニターに映る光景が切り替わり、赤い霧を散布している下手人が映る。

 

 プロペラ機のような形状の、赤茶けた胴体。

 そんな怪人が二人、空を縦横無尽に舞いながら霧を放出していた。

 

「そのようですね。

 このまま二、三日も撒いていれば、周辺の生物はまず助からないでしょう」

 

 解析した赤い霧のデータを浮かべながら、ナリアはジニスを見る。

 この場の王は己の顎に指を添え、何か悩むように小さく唸っていた。

 

 そのデータを眺めていたクバルが、憐れむような声色で呟く。

 

「しかし……この程度の大気の変質で息絶えるとは。

 なんと脆弱な生命体でしょうか」

 

「―――けれど、その脆弱な命たちの中から我々のゲームをクリアする戦士が生まれた」

 

 彼の声に反応を示したのは、ジニス。

 少し驚いたように振り返るクバルと、胡乱げな様子でオーナーを見上げるアザルド。

 クバルはどう返せばいいか思いつかず、とりあえず頷いた。

 

「……それは、確かに」

 

 反応に困っているクバルを見て、ジニスが楽しそうに微笑む。

 

「ふふふ……きっと、二日も三日も散布などされないだろう?

 我らのブラッドゲームをああも阻む、素敵な玩具たちがあの星にはいるのだから」

 

「ハッ―――それどころか、もう数分で終わるんじゃねえか?」

 

 テーブルにのしかかりながら、アザルドが頬杖をつく。

 彼が見上げているモニターの中で、状況が一気に変わり始めていた。

 

 ―――空を切り裂く赤い翼。

 その双翼が二機のプロペラ機に向かって迫っていく。

 

 モニターの中に広がる光景を見たジニスが、黄金の瞳を微かに細めた。

 

「……さて。私たちも負けていられないな。ナリア、あれを」

 

「は―――ザワールドを出撃させます」

 

「ザワールド……?」

 

 ジニスの命を受け、退室していくナリア。

 そのザワールドとやらの準備をしにいったのは分かる。

 だがそんな名前のデスガリアンや兵器など、クバルには聞き覚えがなかった。

 わざわざジニスが出すということは、ギフト以上の兵器なのだろうが―――

 

「―――私の研究成果。新しい玩具さ」

 

 困惑しているクバルの前。

 モニターを眺めながら、ジニスは手にしたグラスを小さく揺らした。

 

 

 

 

「ブルンブルルン! 兄貴! 二人来たぞ! 俺はあっちの赤いのをやる!」

 

「バルルン! ブラザー! どっちも赤いぞ!」

 

 飛行機眼魔―――その兄弟が並んで飛行しながら、追従してくる者を見る。

 彼らがイゴールより与えられた使命。

 それはこの世界の大気を、眼魔世界のものと同じく改造する粒子を散布すること。

 

 未だにその計画は始まったばかり。

 こんなところで躓くわけにはいかないのだ。

 

「バルン! ブラザー! 私があの翼のある奴を倒す!」

 

「ブルン! 兄貴! どっちも翼があるぞ!」

 

 どっちがどっちを相手にするか。

 飛行しながらでは、その意思疎通がイマイチ上手く行かずに迷走する。

 そうしている間にも、彼らの背後から二つの赤い翼が来襲した。

 

〈ファイナルフォームタイム! オ・オ・オ・オーズ!〉

〈アーァアァアーッ!!〉

 

 インディケーターには『オーズ・タジャドル』と。

 ディケイドアーマーの胴体以外は赤い鎧に身を包み、飛行するジオウ。

 彼がその手にジカンギレードを現し、ライドウォッチを装填。

 目の前で飛ぶ飛行機眼魔たちへと照準した。

 

〈スレスレシューティング!〉

 

 飛行機眼魔たちが僅かに機首を横へ。

 放たれた弾丸は僅かに離れた二機の間を通り、命中せずに過ぎ去っていく。

 

「ブルブル! そんな適当な攻撃が当たるわけが!」

 

「バルバル! このまま二人纏めて空中戦で―――」

 

 背後からの攻撃を躱した二機が再び合流。

 そのまま集団戦で敵の撃墜にかかろうとする飛行機の兄。

 だがその意思に反して、彼の軌道が急カーブを描いた。

 

「ブルン!? 兄貴、どこへ!?」

 

「なんだ、コントロールが……バルバルン!?」

 

 ―――空中に浮かぶ“曲がれ”の標識。

 彼の意思を無視して、兄の飛行ルートだけがそれに歪められる。

 

 それを追うために一度減速する弟。

 だがその瞬間に、得物を狙う鷲の嘴が彼を切り裂いた。

 

「イーグライザー!」

 

「ぬがっ……!? ぐぉおおおッ!」

 

 空中で交錯し、火花を散らす。

 そのまま落下しそうになる体を何とか立て直す飛行機弟。

 一撃を与えて過ぎ去っていき、すぐさまUターンするジュウオウイーグル。

 彼に対して手を銃のように構え、機関銃の如く光弾を斉射する。

 

 翼を広げ、畳み、縦横無尽に軌道を変えながらの飛行。

 光の弾幕の中を、一つとして掠めることすらせず潜り抜けてくる狩人。

 そうして至近距離まで詰められた瞬間、再びイーグライザーが唸る。

 

 鞭の如く伸長する刀身が、飛行機弟を縛り付けた。

 腕ごと巻き付けられ、反撃のために銃撃する事すら出来なくなる。

 抜け出そうと足掻いても、むしろ刃が体を削っていくだけ。

 

「ブルン! ええい、よくも……!?」

 

 自身を捕らえた赤い鷲が更に高く舞いながら、思い切り剣を引く。

 飛行機弟を回転させつつ、削っていくイーグライザー。

 欠けていくボディを感じつつ、しかし飛行機弟は解放される瞬間を待つ。

 刃から腕が解放された瞬間、即座に銃撃を行うために。

 

 だがそんな回転させられながら反撃の機会を待つ彼の頭上で。

 ジュウオウイーグルが己のマスクに手をかけた。

 

「本能……覚醒ッ!!」

 

 口元から引き剥がすように、思い切り振り上げる腕。

 マスクがイーグルからゴリラに変わると同時、膨れ上がる筋肉。

 振り上げるのは、剛力を宿した丸太の如き両腕。

 

 回転し切ったイーグライザーが飛行機弟から離れて、そのまま落ちていく。

 ジュウオウゴリラに向けられる銃口。飛行機弟に振るわれる剛腕。

 連射された銃弾ごと殴り抜く、ゴリラの圧倒的なパワー。

 上から殴り飛ばされた飛行機が、勢いよく地面に向けて射出された。

 

「ブルルン!? ブルン、ブルル……!?」

 

「みんな! 任せた!!」

 

 刻まれ、殴り飛ばされた飛行機弟が目掛けて飛ぶ地上。

 正にその場所に、四色の獣が待ち構えていた。

 その場で振り上げられている、四本爪の獣の手。

 

「任せて!」

 

〈ジュウオウスラッシュ!〉

 

 剣形態のジュウオウバスターが放つ、獣の爪撃。

 四人のそれが一つとなって、吹き飛ばされてくる飛行機眼魔を迎撃する。

 地面に激突する前に引き裂かれ、千切れ飛ぶプロペラ機。

 

 砕かれながら、飛行機弟が断末魔を上げた。

 

「ブルルン!? 申し訳ありませんイゴール様ぁッ!!」

 

 眼下で爆散する弟の眼魔眼魂。

 それを見下ろしながら、飛行機兄が唸り声を上げた。

 

「ぬぅッ! まさかこれほどとは!」

 

 ようやくコントロールを取り戻し、体勢を立て直す飛行機兄。

 その彼の元へと、赤い翼が殺到する。

 

 ギレードを放り投げ、空けた手に現れるのはライドヘイセイバー。

 その切っ先が飛行機兄を向き、煌めいた。

 迫りくるジオウの姿を認め、彼は体を揺らしながら両腕を前に突き出す。

 同時に機体後部から放たれるミサイルの群れ。

 

「やらせはせん! バルン! バルルン!」

 

 無数の誘導弾がジオウを追い、追撃を仕掛けてくる。

 微かに首を傾いだ彼は飛行機兄へ迫ることを中断。

 ミサイルを振り切るように上空へと舞い上がり―――

 

「バルン! 逃がさん!」

 

 更にミサイルが追加された。

 周囲を囲いこむように、大量の攻撃がジオウを目掛けてくる。

 そうしてミサイルの檻に囚われた彼は、

 

〈フィニッシュタイム! ヘイ! 龍騎!〉

 

 ヘイセイバーへとディケイドウォッチを装填。

 そのままセレクターを回し、その刀身に炎を纏わせる。

 

〈龍騎! スクランブルタイムブレーク!!〉

 

 虚空に振り抜いた刃が炎を放つ。

 その炎は大きく伸び、全長6メートル程度の炎の龍を模った。

 放たれた無双龍はジオウの周囲で渦を巻き、炎の壁を作り出す。

 

「バルン!?」

 

 ミサイルが炎の壁に激突し、ジオウに届く前に爆散した。

 弾幕の全てが連鎖するように一気に爆発していく。

 広がっていく爆炎。視界を完全に遮るほどに撒き散らされる煙。

 

 煙に覆われて見えなくなったジオウ。

 飛行機兄はすぐさま次弾を装填して、その煙が晴れるのを待つ。

 今の風ならば、視界が確保できる程度に煙幕が薄くなるまで二秒とかからない。

 そうなった瞬間、再度斉射するべく構える彼。

 

「バルン! そこだ!」

 

 ―――薄くなり始める煙。

 すぐにジオウの影を発見して、全弾を一斉に発射する。

 

 そこに見えるジオウの姿。

 それは煙の中でくるくると回転しながら、体勢を変えている様子の影。

 やがて煙が完全に晴れて、彼の姿がよく見えた。

 

 身を捻る回転の果てに足を飛行機兄へと向け。

 背中から展開した三対六枚の赤い翼を大きく広げ。

 膝から下をまるで鳥の足のような鉤爪に変化させ。

 

 ―――そして、その背後に。

 口内に炎を渦巻かせる無双龍を背負って。

 

〈オ・オ・オ・オーズ! ファイナルアタックタイムブレーク!!〉

 

「セイ……ッ!」

 

 ドライバーに戻したディケイドウォッチのスターターを起動。

 共にセットされたオーズウォッチのエネルギーが最大に解放される。

 ジオウが燃え上がると同時に、無双龍が炎を吐き出した。

 

 ―――背中に激突した炎が、炎上する鳥獣を砲弾の如く撃ち出す。

 

 正面のミサイルが炎の衝撃で粉砕される。

 弧を描きながら側面から迫っていたミサイルは、まるでその速度を追いきれない。

 

「――――速、」

 

「ヤァアアアア――――ッ!!」

 

 コンドルの鉤爪が正面から飛行機兄に組み付いた。

 メキメキと圧壊していく眼魔の体。

 この高度から地上までを一秒とかけず落下し切る超速の蹴撃。

 

 鳥獣の足に絞められ、砕かれる眼魔のボディ。

 眼魂もまた粉砕されて散っていく。

 

「バルルン……! 大帝閣下に栄光あれぇ―――!」

 

 爆発炎上する飛行機兄を蹴り抜いて、ディケイドアーマーが着地する。

 地面を削りながらの強引な着陸。

 彼はそのまま未だに炎に燃える翼を振るって、折り畳むように消失させた。

 

 

 

 

「祝え! 全ライダーの力を受け継ぎ、時空を超え過去と未来をしろしめす時の王者!

 その名も仮面ライダージオウ・ディケイドアーマーオーズフォーム!!

 また一つ、我が魔王の手にした力が更なる増大を見せた瞬間である―――!」

 

「なんだい、急に。どうかしたかい?」

 

 『逢魔降臨暦』を開きつつ、たこ焼きを持った手で黒ウォズが空を示す。

 そんな彼を不思議そうに見上げるフミ婆。

 既に焼き上がったものは出しつつも、とりあえず今日は店じまいの準備をしている。

 

 マシュはそちらの手伝いをしつつ、困ったように首を傾げた。

 

「えっと。よくある事なので気にしないでいただければ」

 

「変わった子たちが多いねぇ」

 

 アランと黒ウォズを交互に見ながら、そうやって鷹揚に頷くフミ婆。

 一括りにされたアランが眉を上げ、そちらから顔を逸らした。

 

「……さて、私たちも今日は店じまいかな。マシュ、悪いけどいいかな?

 こっちはいいから、あの赤い空気を採取してきてくれと向こうに伝えてきて欲しい。

 ソウゴくんと大和くんがいれば簡単だろうしね」

 

 言いながら、店の中から何かの容器を取り出すダ・ヴィンチちゃん。

 マシュは片付けを切り上げ、それを受け取った。

 

「了解しました。

 マシュ・キリエライト、採取用容器を現場へと届けます」

 

 すぐさま行動に移り、走っていくマシュ。

 

「ほら、アランくんはフミさんの屋台の片づけを手伝いたまえ。

 あの赤い空気が風に流されてどうなるか分からないし手早くね」

 

 言いつつ、車に備えてある通信機を起動。

 カルデアの方へと繋ぐ。

 

「というわけだ、ロマニ。

 気象条件を考慮して、あの赤い空気がどう伸びるか計算できるかい?」

 

『出来なくはないけれど。どうする気だい、というか。

 どういった影響が出るものなのか分かるのかい?』

 

「何となくはね。まあ、あの少量では大した影響はなさそうだけど」

 

 僅かに首を傾げつつ、向こうで指示を飛ばし始めるロマニ。

 まあ採取さえ済ませてしまえば、ダ・ヴィンチちゃん本人がやることもないだろう。

 恐らく月村アカリに任せれば解決できるはずだ。

 

 自分ほどではないが、科学の分野では彼女もまた天才の領域にいる者。

 もちろん、自分ほどではないが。

 

「……なぜ貴様が眼魔の大気が与える影響を理解している」

 

「そりゃ少しは情報持ってるからね」

 

 アランの追求を適当に躱し、彼女は小さく肩を竦めた。

 

 

 

 

『というわけで、今からそっちにマシュが行く。

 悪いけど少し待機していてもらえるかな?』

 

「分かった。ここで待ってればいいんだね」

 

 ロマニからの通信を受けたソウゴが、頭上の赤い空を見上げる。

 変身は解かない方がいいという事で、その姿はジオウのままだ。

 彼の後ろで同じくジュウオウジャーのままの皆が声を上げる。

 

「デスガリアンでもねえのにデスガリアンみたいな事しやがって。

 その眼魔って連中もデスガリアンみてえなもんじゃねえか!」

 

「まだあの赤い空がどんな影響を出すかは分かっていないだろう」

 

「でもただ赤くしたいだけ、なんてことあるわけないでしょ」

 

 苛立たしげに拳を打ち合わせるレオ。

 タスクがそんな彼を窘めようとしても、セラはすぐに反論した。

 あの赤い空は何か生物に悪いものだ、と。

 

 動物としての彼らの本能が、完全にあれを危険なものだと理解している。

 

「でも、マシュちゃんはこっちに来て大丈夫なのかな?」

 

「いや、あいつは生身に見えてもとんでもねえパワーだからな。

 大丈夫、ってことだろ。な?」

 

 こっちに来るというマシュを心配するアム。

 そんな彼女の言葉にそう言って、レオはジオウの肩を叩いた。

 

「うん。マシュと……立香にも効かないんじゃないかな、こういうの」

 

「そうなんだ。立香ちゃんも何か特別な力あるのかな?」

 

「どういう理屈かはよく分かんないみたいだけどね」

 

 ほー、と分かったのか分からないのかよく分からない声を上げるレオ。

 そんなことを話していた彼ら。

 

 ―――その中のジューマンたちが、一斉に振り向いた。

 釣られてその視線を追いかけるジュウオウイーグルとジオウ。

 

「―――ご歓談のところ失礼いたします」

 

「ナリア!」

 

 姿を見せたのは、緑色のスライムを纏った女性型怪人。

 ジニスの意思の代行者たるナリアだった。

 

「どういうことだ? お前が出てくるような状況ではないが。

 それとも、眼魔をコンティニューでもさせにきたのか?」

 

「ふふふ……それもまた面白そうな趣向ではあります。

 ですが、此度の用件はそのようなことではありません。

 私は本日、あなた方に我々の新たなプレイヤーを紹介しに来たのです」

 

「プレイヤー……?」

 

 デスガリアンはその活動をゲームと称する。

 ブラッドゲームの管理側、いわばゲームマスターであるジニス、ナリア。

 参加者の中で陣営のトップであるチームリーダー、アザルドとクバル。

 その下の者として、あらゆる怪人たちをプレイヤーと呼ぶ。

 

 つまりプレイヤーと呼ばれる者は、本来アザルドとクバルの部下。

 それをわざわざナリアが連れてくる理由がない。

 

「疑問はごもっとも。彼は通常のプレイヤーではなく、特別な存在。

 いわばエクストラプレイヤーと呼ぶべき存在なのですから」

 

 ナリアの隣にジャラジャラとコインが降ってくる。

 それが人間サイズにまで積み上がって、その中から一つの人影を出現させた。

 

「なに……!?」

 

 ―――その体には、三色の色が並んでいた。

 右半身は金色。胸と下半身は黒。左半身は銀色。

 それだけではなく、胴体にはそれぞれ動物の顔が描かれている。

 金には鰐。黒には犀。銀には狼。

 

 ―――それはまるで、ジュウオウジャーのような。

 

「これこそがジニス様の研究成果……

 ジュウオウイーグルがそうしたように、ジューマンパワーを人間に宿らせた存在。

 違うのは、彼が一匹の人間に三匹のジューマンの力を集めたものだという事」

 

「ジューマンの力を、人間に……!?」

 

 ジューマンパワーとはつまり、生命力のことだ。

 それを注げば、ラリーがそうだったように命が削られる。

 そして、デスガリアンがジューマンの命に配慮するはずもなく―――

 

「つまり……ジューマンを三人殺したってことか!?」

 

「ええ、それが何か?」

 

 今更ながら何の悪びれもなく、そう言い切るナリア。

 歯を食い縛っていたライオンが、それに反応して一気に飛び出した。

 繰り出される獲物を狩る獅子の跳躍。

 

「レオ!」

 

「野性解放―――ッ!」

 

「――――では、紹介いたしましょう。

 ブラッドゲームのエクストラプレイヤー、その名も……」

 

 雷撃と共に獅子の爪が振るわれる。

 だがナリアを目掛けて迸った彼の前に、その戦士は立ちはだかった。

 獅子が放つ裂帛の咆哮、それをさして気にもせず。

 

 ジュウオウライオンが首を掴まれ、そのまま地面に叩き伏せられる。

 抵抗する間もなく、そのまま蹴り飛ばされて転がるレオ。

 

「ぐッ……! かは……っ!?」

 

「―――ザワールド。それが俺の名だ」

 

 釣り竿型の武装、ザガンロッドを肩に乗せ―――

 彼は犀の角の生えた黒いマスクを揺らす。

 

「確かめてやるよ、お前たちのレベルをな」

 

 叩き伏せたライオン。

 そして身構えるイーグル、シャーク、エレファント、タイガー。

 更にジオウという六人の敵を前に、彼は楽しげに声を弾ませた。

 

 

 




 
デミヤプロジェクト進行中。
やがて全てがボブになる。
 

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