Fate/GRAND Zi-Order 作:アナザーコゴエンベエ
疾走するバングレイ。
高速で奔るその姿を追うのは、ジュウオウホエール。
腰から広がる赤いマントを風に揺らし、彼は狩人を追撃した。
「チッ……!」
足を止め、バリブレイドの切っ先を躍らせる。
迫りくる大和に対して振るわれるその刃を―――
「フ――――ッ!」
「なに……ッ!?」
ジュウオウホエールが足を振り上げると共に、腕を振り下ろす。
横薙ぎに振るわれた剣の腹を、肘と膝で彼は挟み込んで止めた。
一瞬、驚愕に揺れたバングレイの目。
だがそれが次の瞬間、凶悪に歪み光を放つ。
腹の砲口へと光を収束させ、目の前のジュウオウホエールに向ける。
対して、ホエールは左腕を包む大砲を突き出した。
―――両者が同時に発砲する。
共に放った光弾は、どちらにとっても至近距離にある位置で衝突。
僅かな拮抗もなく、バングレイの弾丸が粉砕された。
「――――!?」
ホエールチェンジガンの咆哮に、バングレイが呑み込まれる。
その威力に押し流され、吹き飛んでいく青い体。
大和の元に残される、腕と足で挟んだバリブレイド。
彼はそれを掴み取ると、そのまま投げ捨て砲口を向ける。
直後に吐き出された砲弾が剣を撃ち砕き、粉微塵にしてばら撒いた。
岩壁に激突し、ようやく止まるバングレイの体。
そんな体を必死に起こしながら、彼はその黄金の目で敵を睨み据える。
「どいつもこいつも……! 繋がりの力でパワーアップってか?
ふざけやがって……! 下等生物どもが調子に乗ってんじゃねぇ―――ッ!!」
「調子に乗ってんのはテメェの方だろ!」
ホエールを睨むバングレイの頭上から、雷光の爪が降り注ぐ。
すぐさまフックを跳ね上げそれに対応し―――大地が震え、足場が崩れる。
体勢を崩した彼にそのまま、雷を纏う爪が直撃した。
「僕たちの力はこの星に生きる命の力だ!
お前が下等生物と呼んだ命が、生きるために発揮した全身全霊の!」
「命をいたぶって愉しんでるあんたには、一生分からない!」
飛来する鮫の回転刃。
胴体に激突したシャークに体を削られ、火花を散らす。
だがそれを耐え切りながら、バングレイは右腕を伸ばした。
自身に触れた彼女の頭を掴み、能力を発動するために。
〈アタックライド! ブラスト!〉
しかしその手が振れる前に、不規則な軌道を描いて光弾が殺到する。
ジュウオウシャークを避けて、バングレイのみを撃ち抜く弾丸。
それに怯んだ彼の前で、セラは跳ね返るように離脱した。
「私たちまで繋がってきてくれた、命の連鎖!
それは全部が奇跡みたいなもので……!」
跳ね返るセラの下を潜り、タイガーが疾駆する。
走る軌道を氷結させながら、彼女は凍気の爪でバングレイを襲撃。
地面ごと、その足を凍り付かせてみせた。
「だからこそ! 俺たちは喪われた人たちの命を背負って!
前を見て今を生き抜いてみせるんだ――――!!」
バングレイが氷に覆われながら、それを砕こうと体を揺らす。
だがそれが達成される前に、地面と岩壁ごと吹き飛ばすザワールドが放つ衝撃波。
薙ぎ払われる鰐の尾、振り抜かれる狼の爪。
その衝撃波に呑み込まれ、氷片と瓦礫諸共に転がるバングレイの体。
「こ、の……! 俺の獲物にすぎねぇ分際で……ッ!
バリバリイラつくんだよ、テメェらみてぇな連中は――――ッ!!」
地面をフックで殴りつけながら起き上がるバングレイ。
彼の前でジュウオウジャーが並び、そして大和が一歩前に出た。
そして左腕に装着された大砲のグリップを掴み取る。
「終わりだ、バングレイ――――ッ!!」
「いい加減、テメェの存在を俺のせいにされるのもうんざりだ。
さっさと終わらせてやるぜ、シルバ!」
「戦隊粒子反応、増大……! 早急に消去・抹殺する!」
シルバがバイバスターを上げ、その銃口から光線を放つ。
対し、仕方なさげに白ウォズが前に出た。
踏み出した黄金のアーマーに着弾する破壊光線。
灼熱しながらもライダーウォズはドライバーに手を伸ばし―――
そのハンドルを一度開き、思い切り叩き付けた。
〈ビヨンドザタイム! フルメタルブレーク!!〉
「旗艦を借りるよ、皇帝陛下!」
「いい加減にしろっていま言っただろ」
光線の雨の中、フューチャリングキカイが腕を掲げた。
放たれる波動は機械を支配する力。
ギフトと撃ち合うギガントホース―――その砲塔のコントロールが一部奪われる。
彼方で、ギフトに向いていた砲が向きを変えた。
照準は当然、ハンター・シルバ。
「流石に完全には奪えないか。だが――――!」
無人操作でありながら、完全には奪えない。
が、火砲の一部でも十分すぎるほどの威力なのはよく知っている。
白ウォズの意思に従い、放たれる閃光。
着弾し、撒き上がる爆炎。
しかしその戦艦からの爆撃にさえ、なお耐え抜くシルバ。
彼は全身を赤く染めながらもその場に踏み止まり―――
「ハカセ!」
「オッケー、ジョー!」
ジョーがゴーカイガンを投げ、ハカセがゴーカイサーベルを投げる。
それぞれ掴み取り、彼らは武器を交換した。
二刀流のブルー、二丁拳銃のグリーン。
そしてそれと同じように、イエローとピンクが武器を投げ合う。
「アイム!」
「どうぞ、ルカさん!」
シルバーがゴーカイスピアをガンモードへ変形させた。
そのままレッドの隣へ移動し、自身のレンジャーキーを召喚。
六人がそれぞれ武器を引っ提げて、横に並んだ。
ジオウがディケイドウォッチをドライバーから外す。
そのまま、手にしたヘイセイバーのウォッチスロットに装填。
更にセレクターを回して、刀身に光を纏わせる。
〈フィニッシュタイム! ヘイ! ディケイド!〉
剣を構えながら腰を落とすジオウ。
ソウゴとマーベラスが一瞬だけ視線を交差させ、すぐにシルバに向き直った。
サーベルにゴーカイジャーのキーを。
ガンにゴレンジャーのキーを。
二つの力を解放したゴーカイレッドが、一歩前に踏み出した。
〈ファイナルウェーブ!!〉
「ゴォオオオオカイッ! スーパーノヴァ―――ッ!!」
真っ先にトリガーを引き、シルバーが銀色の光を放つ。
続けて、二丁拳銃を手にしたグリーンとピンク。
彼らがそれぞれの色の光弾を両手の銃から放ち、それと重ねる。
更に続けて二刀流に構えたブルーとイエロー。
彼らがその剣で描く剣閃が、衝撃となって光弾を後ろから押し込む。
そうして。
彼らに続き、ゴーカイレッドが大きく踏み込んだ。
ゴーカイガンから放つ赤い弾丸。
ゴーカイサーベルから放つ赤い閃光。
その二つを重ねた赤い衝撃が迸る。
「ゴーカイスクランブル!!」
〈ディケイド! スクランブルタイムブレーク!!〉
「ハァアアアア――――ッ!!」
赤い衝撃と同時に放たれ、重なるのはマゼンタの斬撃。
二つの威力が重なり、混じり合い。
先に放たれていた船員たちの攻撃に後ろから激突し、大きく加速させた。
炎を振り払い、踏み越えるシルバ。
彼に戦隊とライダーが力を合わせたスクランブルが殺到する。
「――――戦隊・ライダー、両粒子反応増大……!」
咄嗟に両腕を目の前で交差させ、防御姿勢を取るシルバ。
正面から激突する虹色の極光。
その衝撃に踏み止まり切れず、銀色の体が宙に浮いた。
―――それでもなお、未だに健在を示すように彼は反撃を試みる。
シルバは吹き飛ばされながら、しかし上空で光線銃を放つ。
光の雨を塞き止めて、そこで耐え切れず崩れるフューチャリングキカイ。
「流石に、限界のようだ……!」
纏うキカイの鎧を解除し、そのまま地面に手をつくライダーウォズ。
そんな背中を見ながら、舌打ちするマーベラス。
「ったく、しぶてぇ野郎だ……!」
地面に落ちて転がりながら、それでも止まる気配のないシルバ。
彼が落ちたのは丁度、バングレイと同じ場所。
そこではバングレイに向けて、ジュウオウホエールが左腕の大砲を向けていた。
だがシルバの見せる頑丈さは、それさえも耐え切りかねない。
ならば、と。
「船長、これ!」
「あん?」
ソウゴがマーベラスに投げる、ライドウォッチ。
それを受け取った彼はその顔を確かめ、小さく笑った。
「仕方ねえ、また借りるとするか。オーズの大いなる力をな」
ゴーカイレッドの指がベゼルを回し、スターターを押す。
〈オーズ!〉
彼がウォッチを押した瞬間、六人のゴーカイジャーの目の前に浮かぶ光。
それはオーズの姿を象ったレンジャーキーに相違なかった。
出てきた灰色のそれを引っ掴み、鎧が声を上げる。
「おおぉ! 久しぶりですね、オーズキー!」
「喜んでる場合か」
青のコンボのキーを掴み、ジョーはモバイレーツを取り出す。
同じように変わる準備をしている仲間を見て、鎧もすぐさまセルラーを手にした。
「はっ……ド派手に行くぜ! ゴーカイチェンジ!!」
〈仮面ライダー! オーズ!〉
戦隊のものと同じく、鍵になったそれでモバイレーツを開く。
展開されるジョリーロジャーに合わせ、ゴーカイジャーは姿を変えた。
〈タージャードルー!〉
ゴーカイレッドが赤い鳥系のコンボ。
タカ、クジャク、コンドルのライダー、タジャドルへ。
〈シャ・シャ・シャウタ! シャ・シャ・シャウタ!〉
ゴーカイブルーが青い水棲系のコンボ。
シャチ、ウナギ、タコのライダー、シャウタへ。
〈ラタ・ラタ・ラトラーター!〉
ゴーカイイエローが黄色い猫系のコンボ。
ライオン、トラ、チーターのライダー、ラトラーターへ。
〈ガータガタキリバ! ガタキリバ!〉
ゴーカイグリーンが緑の昆虫系コンボ。
クワガタ、カマキリ、バッタのライダー、ガタキリバへ。
〈プ・ト・ティラーノ・ザウルース!〉
ゴーカイピンクが紫色の恐竜系コンボ。
プテラ、トリケラ、ティラノのライダー、プトティラへ。
〈サゴーゾ! サゴーゾ!〉
ゴーカイシルバーが灰色の重量系コンボ。
サイ、ゴリラ、ゾウのライダー、サゴーゾへ。
タジャドルが腕を掲げながら一歩踏み出す。
続くように動き出す四人。
シャウタ、ラトラーター、ガタキリバ、プトティラが前に出る。
「ゴーカイガレオンバスター!」
光と共に目の前に現れるのは、ガレオン船を模した巨大な大砲。
その持ち手を引っ掴み、マーベラスがレバーを引く。
それにより上部にあるレンジャーキーの差し込み口、ゴーカイシリンダーが展開。
横に回っていた四人が、それぞれのシリンダーにオーズキーを差し込む。
「オーズキー、セット!」
メンバーが揃えて差した後、マーベラスがタジャドルキーを取る。
差し込むのは、持ち手のすぐ上にあるメインのシリンダー。
キーを差し、回すことで既に差し込んだ四つのキーが立ち上がった。
〈タジャドルチャージ!〉
五つあるゴーカイシリンダーからオーズの力が膨れ上がる。
サゴーゾがその大砲を構えるタジャドルの背を支え。
そして残る四人が同じように、サゴーゾ越しにマーベラスの肩を支えた。
「おー、ライダーになった」
六人揃った仮面ライダーオーズ。
そんな姿を眺めながら、ジオウがヘイセイバーを放る。
ジュウへと変えたジカンギレードを手に、彼はドライバーに手をかけた。
〈フィニッシュタイム! ディケイド!〉
「……ところで、結局スーパー戦隊と仮面ライダーってどんな関係なの?」
「―――さて、僕には興味ないね。僕は僕のお宝を求めて戦うだけ……
だから、僕にとっては戦隊もライダーも違いはないのさ」
ディケイドの力を銃口に集わせながら、視線を横に向ける。
その場に立っていたのはディエンド。
彼はホルダーからカードを引き抜き、ドライバーに滑り込ませる。
展開されていくカードを円を描くよう並べて作ったリング。
〈ファイナルアタックライド!〉
マゼンタとシアンのカードを並ぶ中、二つの銃口で光が臨界。
トリガーが引かれる瞬間を待ち侘びる。
海東の答えにふぅん、と小さく鼻を鳴らし。
「じゃあ俺にとっても関係ないかな。
なんであれ、どんな世界であれ。俺は―――世界を救う王様になるから!」
ジュウオウホエールの腕が、大砲のグリップを幾度も動かす。
ポンプアップされるジューマンパワー。
大王者の資格に応え、周囲の大地から地球のエネルギーが溢れ出す。
それを砲身に蓄えながら、大和は腰を落とす。
彼の背を支えるように、ジュウオウジャーの面々がその肩に手を添えた。
「お前が何をしようと、俺たちは負けない!」
放出される光。
地球の力を集結した極光が、ジュウオウホエールの腕から放たれる。
全く同時に、同じ戦場で光の渦が放たれた。
メダルと重なりながら、ガレオン船状のエネルギー体が。
カードが作るリングを潜り抜け、マゼンタの光が。
同じくカードのリングを潜る、シアンの光が。
全てバングレイと、その場に押し込まれたシルバ目掛けて殺到した。
〈ジュウオウファイナル!!〉
〈派手にングオーズ!!〉
〈アタック! タイムブレーク!!〉
〈ディ・ディ・ディ・ディエンド!!〉
あらゆる光が重なり、二人を目掛けて迫りくる。
その光の圧倒的な規模。
一目で、それが自身を容易に消し飛ばすものだと理解する。
「こんなところで、やられて堪るかよ……ッ!」
だからこそ。
バングレイはすぐさま隣にいたシルバの肩に手をかけた。
思い切りその体を押し飛ばし、自身の前へと投げ込む。
「戦隊……! ライダー……! 共に、粒子反応MAX……!
これ以上の測定は不可能……! ぬぉおおおおおお――――ッ!!」
押し出されたシルバが、その攻撃を前にバイバスターを突き出す。
放たれる無数の破壊光線は、迫りくる最強の一撃を前に蒸発していく。
最後の最後までその抵抗を貫き通し―――
直撃を受け止める。
銀色の四肢が、四条の光を束ねた全てを押し流す波濤を塞き止める。
―――光の奔流に逆らえたのは、たったの一瞬。
すぐに彼は光に呑まれ、体が崩れ出す。
「消滅するのは、また……! 私の粒子反応だというのか―――!?」
全身各部が炎を噴き上げ、そのまま光となって崩れていく。
ボロボロと粒子に還っていくハンター・シルバ。
攻撃を終え、消えていく強敵の奥。
そこにシルバを盾にしたバングレイの姿を探す。
だが、その姿は見当たらない。
シルバの消滅の背後で、彼を壁にしていたバングレイの姿が消えていた。
探そうと動き出す。
直後、先程までバングレイの居た大地が内側から炸裂する。
『―――どいつも、こいつも! バリウザってぇ!
力を合わせて大逆転、ってかぁ? いいぜ、なら見せてやるよ―――!
戦隊とライダーの敵って奴らが、力を合わせたバリヤベぇ力って奴をよ!!』
―――地面に叩き付けられた勢いで、そのまま穿孔していたクライス要塞。
その巨大な体が、地面をぶち抜き飛び出していく。
動き出した片割れに連動し、ギガントホースが動き出す。
もはや今まで撃ち合いしていたギフトにさえ注意を向けない。
全身から煙を噴き、アラートを出すギフトカスタム。
その操縦席の中で、ナリアが口惜しげに各所を操作した。
『……ッ、あの巨獣を手に入れるまで退くわけには!』
ギフトカスタムが、火花を散らしながら立て直す。
その頭部が向けられる先は、砂浜に乗り上げたキューブホエール。
飛び上がるクライス要塞。
そしてそれを追い、舞い上がるギガントホース。
それを見上げながら、大和が口を開く。
「……あとは俺たちに任せてください! 行こう、みんな!」
「ああ!」
走り出すジュウオウジャーたち。
一度倒され、分離したキューブアニマルたちもまた立ち上がる。
彼らの背中を見送り、ゴーカイレッドが肩を竦めた。
そんな彼の隣で、ゴーカイバックルに手をかけるゴーカイシルバー。
呼び出したタイムファイヤーのキーを、ゴーカイセルラーにセットして掲げる。
「こうなったら俺たちも行きましょう!
時を超えて出でよ! タイムレンジャーの大いなる力!!
豪ォオオオオ獣ゥドリルッ!!」
―――しん、と。何の反応も示さないセルラー。
タイムレンジャーの力で、31世紀から現れるはずの豪獣ドリル。
その機体はゴーカイシルバーに呼ばれたにも関わらず、訪れない。
「あれ? あれ、押すとこ間違えた? ……では改めて。
時を超えて出でよ! ジュウレンジャー! タイムレンジャー! アバレンジャー!
三つのスーパー戦隊の大いなる力! 豪ォオオオオオオオッ獣ドリルッ!!」
やり直したとところでやはり反応は変わらない。
何がおかしいのか、と。ゴーカイセルラー回して引っ繰り返して。
遂には、タイムファイヤーのレンジャーキーを磨き始める。
そんな鎧を横目で見て、鼻を鳴らすマーベラス。
彼はシルバーの肩を掴むと、強引にその頭をキューブホエールに向けさせた。
「こっから先、わざわざ俺たちが手を出す必要はねえ。
黙って見てろ、お前の大好きなスーパー戦隊のひよっこが羽ばたくとこをな」
「……マーベラスさん! マーベラスさんが、後輩を見守る先輩みたいなことを!
ええ、見ましょう! 俺たちの後輩! 40番目のスーパー戦隊!
動物戦隊ジュウオウジャーの皆さんの雄姿を!!」
そのままレッドの肩に腕を回して、一緒に見上げる格好を強制するシルバー。
マーベラスはすぐそれをめんどくさそうに引っ叩いて振り解いた。
『行こう、キューブホエール! 動物変形!』
〈ホエール!〉
チェンジガンのグリップを二度引き、トリガーを引く。
その途端、キューブホエールが飛翔した。
キューブホエールの背中から、吹き出す潮のような形状のユニットが分離。
更に尾ビレが真ん中から二分割され、脚部へと変形する。
その巨体は地面に立ち、胴体から腕部を展開すると同時、頭部をせり出した。
吹き出す潮のようなユニット―――カイオースピア。
その巨大な槍を手にした赤い巨体が、ギフトカスタムに立ち塞がる。
〈ドデカイオー!〉
『完成! ドデカイオー!!』
全身各部から異音を発しながらも、ギフトカスタムは止まらない。
目の前に現れた目的の相手に、そのボディを向ける。
コックピットにあるナリアは、操縦桿に縋り付き強く握り込む。
『ジニス様のため……! そいつを渡しなさい―――!』
『断る! キューブホエールは……俺たちと共に戦う、仲間だ!!』
残っていたギフトカスタムの火器が全て起動した。
展開されるミサイル発射管。
それらに火が入れられ、発射までのカウントが開始される。
負った損傷により、スパークする機体。
漏れ出た雷撃が周囲に走り、ギフト自身さえも灼いていく。
そんな光景を前にして、ドデカイオーはカイオースピアを持ち上げた。
『――――ッ!』
全てのミサイル、パイルが射出される。
同時に、10億ボルトの放電が周囲を蹂躙していく。
その最中、カイオースピアの穂先に集う地球のエネルギー。
コックピットの大和が大王者の資格を一度閉じて―――再び展開する。
『ドデカイオーシャンスプラッシュ――――ッ!!』
錨に似た形状のエネルギー弾が、連続して吐き出される。
ミサイルを撃墜し、杭を折り砕き、電撃を吹き飛ばし。
放たれた砲撃はギフトカスタムまで届く。
既に損傷していたとはいえ、その装甲を容易に粉砕していく攻撃。
瞬く間に原型を失っていくギフトの巨体。
『くぁ……っ!? ここで、退くわけには……ッ!』
『―――もういいよ、ナリア。戻っておいで』
コックピット内でさえ、火花を噴き散らす状況。
そんな中で耳に届いた声に、ナリアが肩を震わせる。
ジニスの指示を達成できないことを恐れ、彼女はすぐに声を上げた。
『っ……!? ですが、ジニス様!』
『その戦場で発揮されたキューブホエールのデータは、十分に集まった。
君は確かに役目を果たしてくれたよ。
ギフトのメモリーカードを抜いて、私の許に帰っておいで』
『―――――はい』
ジニスの言葉に従い、彼女はコックピットからギフトのメモリーを抜き出す。
その姿は、すぐさま光のコインに包まれサジタリアークへと帰還した。
爆散するギフトカスタム。
大量の残骸を散らしながら崩れていく捕獲兵器。
それを前にして、槍を下ろすドデカイオー。
『は! んな雑魚と遊んでないでこっちに付き合ってくれよ!』
その頭上高く、クライス要塞とギガントホースが合体していく。
戦車を牽く二頭仕立ての馬が足に変形。
ギガントホースが下半身を構成するマシンに
クライス要塞の内側から溢れ出す青い光が、表面装甲を吹き飛ばす。
昆虫然としていた外見から、骸骨の怪物染みた外見に変わる要塞。
―――その名もビッグマシン。
大ショッカーと大ザンギャックが手を結び、造り出そうとした決戦兵器。
ドデカイオーの7,8倍はあろうかという巨体が着陸する。
クライス要塞だったものの顔が大きく口を開き、その中に青白い光を蓄えていく。
一瞬の静止の直後、放出される破壊の息吹。
大地と海を吹き散らす光波。
カイオースピアを地面に突き立てて、ドデカイオーがその衝撃に耐え抜く。
―――そうして耐えていた赤い体を、ビッグマシンの平手が殴打した。
大人と子供どころではないサイズ差。
そんな状態に張り飛ばされ、ドデカイオーが海中に叩き落とされる。
『ヒャハハハハハハ! 宗旨替えもありかもなァ!
繋がりの力? 力を合わせて一緒に戦う? いいねェ、ありかもしれねえな!
見ろよ、この力を! どっかの悪党が力を合わせて造ったんだってよ!!』
ビッグマシンの拳が地面を叩き、大地を砕いた。
衝撃で割れた地面に流れ込んでくる海水。
眼下に並んだ小高い丘が、ビッグマシンの威力で次々と崩壊していく。
『―――お前は、誰かと力を合わせてなんかいない……!』
『あぁ?』
荒れ狂う波の中、ドデカイオーが立ち上がる。
その中にいるジュウオウホエールが、操縦桿となる大王者の資格を強く握った。
『力を合わせるっていうことは、その相手と……!
誰かと本気で向き合うことだ! 自分以外の誰かと共に生きるっていうことだ!
誰かを利用し、誰もを踏み躙り、誰からでも奪い取り―――!
今のお前が、一体誰と力を合わせているっていうんだ!!』
『逆に教えてやるよ! テメェらの生き方はなァ! 群れる、っていうんだよォ―――ッ!
弱くて一人じゃ何も出来ねぇ雑魚どもが集まって……!
何か出来るフリをしてるだけの生き方でしかねえのさァッ!!』
ビッグマシンが動く。大上段から振り下ろされる腕。
腕だけでドデカイオーに匹敵するほどの質量。
全力で振り下ろされるそれを、大和は槍を盾にして防いでみせた。
が、そのまま吹き飛ばされ、まるでボールのように海面を跳ねるドデカイオー。
超巨大な体を揺り動かし、ビッグマシンがそれを追う。
『―――そうよ! 私たちは、群れの中で生きる!
みんなそうやって生きてきて……私たちはそんな生き方を明日に繋ぐためにここにいる!!』
そうしようと動き出したビッグマシンの顔面。
そこにワイルドトウサイキングが飛来する。
突き立てられるビッグキングソード。
だがその一撃に微動だにせず、首の動きだけでトウサイキングは弾かれた。
地面に撃墜され、瓦礫と波飛沫を立てる巨神。
倒れながらもその巨体が左腕を上げ、ビッグワイルドキャノンを持ち上げる。
『ああ、そうだ! 俺は一人じゃ何もできない!
それどころか、誰かと一緒にいても何もできない自分が大嫌いだ!!』
連続して放たれるワイルドキャノン。
放たれた弾丸は全て直撃し―――しかし、ビッグマシンに傷一つ与えず霧散した。
『操だけじゃない―――僕たちは欠点ばかりだ!
一人じゃ生きられないのに、譲れない自分の縄張りがあったりする!』
『だからせめて……! 心を繋いで、縄張りを共有できるようになった仲間と!
群れを作って、力を合わせて――――共に戦う! 一緒に生きる!!』
起き上がろうとしたトウサイキングを踏み付けるビッグマシンの脚部。
全身を軋ませて、キューブアニマルたちが悲鳴を上げた。
キューブとステアリングを強く握り、ジュウオウジャーたちがそれに堪える。
『雑魚は雑魚らしく肩寄せあって震えてますぅ、ってかァ!?
だったらテメェらの群れごと、バリッと皆殺しにしてやるよォッ!!』
『テメェなんかに出来るわけねぇだろ……!
俺たちは……地球のパワーと! ご先祖様の想いを! 託されてここにいるんだ!!』
トウサイキングを踏み付ける足に、ドデカイオーが激突する。
僅かにビッグマシンが揺らいだ瞬間、トウサイキングは体を捩じり抜く。
熱を帯びてきた大王者の資格を強く握り、大和はバングレイを見上げた。
『バングレイ……! お前に見せてやる―――!
縄張りを守るために力を合わせる、俺たちっていう群れの力を!!』
その瞬間、空中に巨大な四角いリングが出現した。
それはビッグマシンを思い切り殴り、僅かに後ろに押し込む。
『なに……!?』
『みんなで行くぞ!!』
ジュウオウキューブが全て分離し、ドデカイオーもまたキューブホエールに戻る。
そのジュウオウキューブたちが目指すのは、空中に出現したリング。
『動物全合体!!』
〈イーグル! シャーク! ライオン! エレファント! タイガー! ゴリラ! クロコダイル! ウルフ! ライノス! ホエール! キリン! モグラ! クマ! コウモリ!〉
〈オーオー! オォオール!!〉
カイオースピアを分離し、最後にリングに飛び込んだホエール。
その尾が左右に突き出すように割れ、奥から胸部になる部分が出現する。
更に胴体から左右のヒレが外れ、宙に舞う。
〈1! 2! 3! 4!〉
イーグル、シャーク、ライオン、エレファントのキューブが積み重なる。
それを固定するように上から貫く、ホエールのヒレ。
〈5! 6! 7! 8!〉
タイガー、ゴリラ、クロコダイル、ウルフのキューブが積み重なる。
同じく、それを固定するように貫くホエールのヒレ。
〈9! 10!〉
ライノスが後部の車両ユニットをパージ。
胸部へと変形したホエールの背面から突っ込み、接続される。
積み上がったキューブは足。
上から降りてくるホエールの胴体が、足の上へ重なった。
最初に割れたホエールの尾が稼働。
肩と腕を露出させ、腕になる部分にキリン、モグラ、クマ、コウモリが装備される。
右腕の先で展開されるキリンバズーカ。左腕の先にはモグラドリル。
首から下の状態が整った胴体に、頭部が形成されていく。
現れた顔を覆うのは、カイオースピアの一部が分離した波濤の兜。
槍本体を大砲とし、右肩に積載した大巨神。
その巨体が身構えることで、彼らの全てを乗せた守護神の合体は完了した。
〈ワイルドトウサイドデカキング!!〉
『完成!! ワイルドトウサイドデカキング――――!!!』
―――巨大とはいえ、それでもビッグマシンの4分の1もない程度。
そんな小さな巨人を前に、バングレイは喉を鳴らした。
『ハハハハハハハ!
それがどうしたってぇ? そんなちっぽけなもんで、一体何が出来るってんだ!
クク……! テメェらが力を合わせたその群れで守りてぇ縄張りも!
俺がこいつでズタズタに引き裂いて、消し去ってやるよォッ!!』
ビッグマシンが口を開く。溢れ出すのは、青と白の光の螺旋。
最大出力だろう稼働で、胴体が放つ光を臨界させて燃え上がらせる。
ちっぽけな巨神に照準を合わせ、放たれる光の氾濫。
海ごと津波で押し流すような威力でもって、その破壊は地上に齎された。
―――その光の中心にあって、ワイルドトウサイドデカキングが足を踏み出す。
『―――――あぁん?』
光の津波を掻き分けて、ドデカキングはなお歩む。
迫りくる光を歩みだけで左右に割って、悠然と前に進む絶対的王者。
バングレイが更に出力を上げさせる。
発光が更に強くなり、ビッグマシンの火力が加速した。
それでもなお、ドデカキングは止まらない。
『馬鹿な……! 何が……ッ!?』
『言った筈だぜ……! ここには、地球のパワーがあるってな!!』
レオがキューブを握り、その力を籠める。
両腕を振るうドデカキングのパワーで、光の氾濫が消し飛ぶ。
咄嗟に振るわれるビッグマシンの腕。
ドデカキング自体とそう変わらぬだろう、圧倒的質量の塊のスイング。
―――それを正面から受け止めて、大巨神は踏み止まった。
『んだと!?』
『そして、ケタスさんの想いが息づいてる―――!
地球とジューランドは、一つの世界だったって!!』
セラがキューブに手をかけ、思い切り回した。
ドデカキングが受け止めていた腕を掴み取る。
そのままの勢いで、数百メートルの巨体であるビッグマシンを投げ飛ばす。
背中から地面へと、強かに叩き付けられるビッグマシン。
『―――私たちの縄張りをズタズタに引き裂く?
残念だけど、あなたには出来っこないから!』
アムがキューブに手を置き、回す。
相手の腕を手放し、ドデカキングが全身から地球のエネルギーを放出する。
全てのキューブの力が胸の前に集束し、虹色の光線を解き放った。
『ジュウオウドデカショット――――ッ!!』
光線が直撃し、弩級の機体が宙を舞う。
地面を粉砕しながら墜落したビッグマシンの中で、バングレイは操縦桿にしがみついた。
『馬鹿な……! どういうこった――――ッ!
こいつは、戦隊だのライダーだのを全部ぶち殺すための存在だろうが!
だっていうのに何で、奴らの群れ一つぶっ潰せねえ!!!』
彼の拳がコンソールを殴り付ける。
それに反応したビッグマシンが、全身からレーザーを放った。
『そんな分かり切ったことさえ、お前には分からない!!
僕たちの群れは――――ひとつじゃない!!』
タスクが声を上げ、キューブを握る。
降り注ぐ光線を浴びながら、大巨神はその腕を大きく振り回した。
空中で薙ぎ払われ、そのまま弾け飛んで消えていく光の雨。
『俺たちの縄張りは、この
そして……この縄張りを守るために戦っているのは、俺たちだけじゃない!!』
操がステアリングを握り、大きく舵を切った。
強く一歩を踏み込んだドデカキングが跳ぶ。
狂ったように咆哮するビッグマシンの顔に激突する、ドデカキングの腕。
ビッグマシンからのレーザー放出が止まる。
『守りたいものを守るのに、スーパー戦隊も仮面ライダーも関係ない!!
今までこの星を守り抜いてくれた人たちと! これから守るために戦う人たち!
その想いと願いの全てが―――俺たちの生きる、俺たちの群れだ!!
お前が無理矢理手に入れただけのそんな力に、負けるわけがないんだよ!!』
ワイルドトウサイドデカキングの足元から、より強く力が迸る。
キューブとなってせり上がってくる地球のパワー。
それがドデカキングの機体を、どんどんと押し上げていく。
『これで終わりだ―――! バングレイ――――ッ!!』
地球のパワーがジュウオウキューブの似姿を創造する。
エネルギー体で形成されたキューブアニマルたちが、その場で無数に飛び立った。
『ジュウオウドデカダイナマイトストリーム!!!』
そうして放たれたキューブたちが、全てビッグマシンに降り注ぐ。
―――数にして100。
一撃一撃が確実にビッグマシンの各部にダメージを与え、砕いていく。
頭部が、腕が、足が。各部の負荷が限界を超え、脱落を始める。
バングレイの再生体である機体であるが故、残骸も残さず光と還り始めた。
光に消え始めたコックピットの中で、バングレイが己の顔を手で覆う。
『馬鹿な……! この俺が……ッ!? 獲物どもにやられるなんぞ――――ッ!?!?』
―――限界を超え、消え失せるビッグマシン。
コックピットだった場所に投げ出されるバングレイの体。
そこに、ジュウオウキューブの群れが殺到した。
『グォオオオオオオオオ―――――ッ!?!?!?』
光の獣たちに呑み込まれ、バングレイの断末魔が轟く。
その場で大きく炎の華を咲かせ、彼だったものが墜ちていく。
炎と光が天に還っていくのを見送りながら。
ワイルドトウサイドデカキングが地上に舞い降り、その胸を大きく張った。
ドデカイオーシャンスプラッシュ←この技名好き