Fate/GRAND Zi-Order 作:アナザーコゴエンベエ
火花を散らす刃金。
正面から突撃してくる赤い閃光に、迎え撃つ陽光が軽く息を吐く。
「流石にこの状況で全力ではぶつかれませんよ、モードレッド。
確かにリベンジは許しましたが―――」
「うるせえ!」
雷光が降り注ぐように、大上段から奔るクラレント。
跳ねるガラティーンの切っ先。
刃が交錯し、耳を劈く金属音が破裂した。
そんな光景を眺めながら、どうしたものかと溜め息一つ。
ハサンは他の面子を見回して、もう一度溜め息を一つ。
クー・フーリンも、ネロも、面白がってその光景を眺めるだけだ。
「いいんですかなぁ、これ」
「ま、大丈夫だろ。多分」
「やはり無双の英傑たちが競い合う、というのは見ているだけでも心が躍る! 機会があれば、そういった催しも開催したいところであったが……国庫が常に火の車のカルデアでは、流石に難しかった。うむ、それはそれとしてせっかくの戦いだ! 見るだけでも楽しまねば損と言うもの!」
うきうきと心を奮わせつつ、二人の騎士の激突を見ているネロ。
弾かれるモードレッド。
腰を低く構えたガウェインは不動。舌打ちしつつ、再度赤雷が加速した。
無駄に魔力を使うやり方に呆れつつ、ガウェインが今度こそ押し込まれる。
声援を上げるネロ。
その背後で壁に寄り掛かるクー・フーリンの傍に、ハサンが寄った。
「ところで、ソウゴ殿は大丈夫そうですかな」
「さぁてな。ま、途中で折れるならそれはそれで一つの生き方だろ。
別にそれだって悪いもんじゃねえが―――ただまあ、どうにかなるんじゃねえか?
頭でどうこう考えてる内はどうにもならねえだろうが、動きだせばどうにかするだろうさ」
どうしてその道を選んだのか。
それを悩んでいるうちは、足が竦んで動けない。
―――けれど。
どうやってその道を成し遂げるか。
悩み事がそれに変わったならば、後は野となれ山となれだ、
言いながら彼が槍を取り出し、ハサンを見る。
付き合え、ということなのだろう。
そういう手合いではないのだが、と無言の抗議は黙殺される。
「……さて、流石にここは追いかけっこが出来るほど広くはありませんが」
「かもな」
溜め息を重ねて、仕方なさげに踏み出すハサン。
流石に全力で心臓を取りに来る、という事はあるまい。
ないと思いたいが、いいのを一発貰うくらいは覚悟するしかないかもしれない。
ダ・ヴィンチちゃんが指を止める。
キーボードを叩いていたそれを、彼女は自分の額に持って行く。
そのまま軽く眉間を叩く指先。
「……ふむ。ただレイシフトで移動、とはいかないようだ。
どうやら、最終特異点に限っては徒歩で侵入する必要があるらしい」
「徒歩? 徒歩って……それはつまり?」
まさかカルデアから出発して、そのまま遠足するわけではないだろう。
他の資料の閲覧を一時とりやめて。
オルガマリーは下の席に見えるダ・ヴィンチちゃんに目を向けた。
「最終特異点と我らカルデアは、共に時間の外を漂流する船。
固定された時間に存在するわけではない以上、行くべき時間が指定できない。
こちらが錨を降ろす場所が見つけられない。
なので、レイシフトによる移動はできないわけだ」
「……なるほどね。
つまり、カルデアでまず最終特異点に激突して、そのまま海賊ばりに乗り込めと」
ではどうやって座標固定の錨を下ろすのか、と。
それを理解して、オルガマリーが疲れたように肩を落とした。
「そうそう。外から観測できない以上は、実在する部分を指定するしかない。そしてカルデアと最終特異点が激突すれば、その接触面だけはカルデアの現在時間から逆算して指定できる。
まずは本拠地ごと激突し、その接触面にレイシフトし、全力で突き進んで魔術王を打倒して、全力で走って帰還する。電撃戦にもほどがあるけれど、そういうことだ」
「ダ・ヴィンチさん、シバからの観測データを回します」
横から流れてくる追加データ。
それを受け取り、いつの間にかかけていた眼鏡のブリッジを押し上げて。
彼女は瞬く間にその情報へと目を通していく。
「はいはーい……しかしなんともまぁ、カルデアスが極小にした地球のモデルケースなら、あの特異点は極小にした宇宙のモデルケースだね。
もっとも、カルデアスが地球の未来を投影するための双眼鏡なら、あれは発生したばかりの宇宙を観察するための顕微鏡みたいな感じがするけど」
「宇宙……それほどの広大さ、という意味?」
「いや。天体の一つさえない、ただこことは別の宇宙の概念さ。
そして宇宙と言っても、それは言うなれば単細胞生物みたいな存在。空間ではなく、宇宙を一個の生命として見立てたもの。だからカルデアスと似たようなもの、というわけだ。
……うん、よし。だからこそ、生命としての機能は存在する」
シバの観測データを閲覧し、軽く計算を済ませ。
その上で彼女はこれは意義のある情報だ、と。
小さく頷いて、更なる作業を続行する。
「宇宙ではなく、宇宙を模した一個の生命に過ぎない。
だから弱点がある、ということ?」
「そ。宇宙は幾ら中にある天体を壊そうが意味はない。いや、それに意味が無い事はないかもしれないが、意義はとても薄いだろう。
けれど。あの特異点の宇宙は一つの細胞、一つの生命機関だ。壊せば壊した分だけ不調になるし、性能や寿命が低下していく」
だからこそ、攻撃する意味があるのだと。
「魔力の集約する心臓部。魔術王の玉座。
ここはいま隔壁に覆われていて、そのままでは侵入できない。
だからまず、周囲への破壊活動から始めなくてはならない。
魔術王の打倒の前に、中央部付近に対して大きなダメージを与える必要がある」
ダ・ヴィンチがキーボードへと指を走らせる。
マップとして構成された、最終特異点の全体図。
まるで蠢く木の根のような、一つの命。
周囲を囲む七つの拠点らしきものと、その中心に聳える魔術王の城。
そして拠点らしき部分から中央へと流れ込む、魔力の動線。
「七つ、ね。まずはこれを破壊する必要があるってこと。
―――敵は、恐らく魔神でしょうね」
「ああ。私たちは最速でそれらを巡り攻略し、魔術王の玉座に辿り着かねばならない。
……うん。では、ギリギリまで情報を詰めていこう。
少しでも我々の勝率を上げるために、ね」
彼女の言葉に応え、管制室で声が上がる。
残り時間が刻一刻と擦り減っていくなか、彼らは全力でその作業に取り組んだ。
「―――以上が、今回の作戦になります。
カルデアが最終特異点に接岸した後、全マスター及び全サーヴァントがレイシフトにより上陸。電撃的に七つの重要拠点を破壊して、魔術王の玉座へと侵入。その場で敵を撃破したのちに、全員が上陸地点へと帰還次第レイシフトにてカルデアへと回収。最終特異点の消滅を確認した時点で、この作戦を終了……それを以て、グランドオーダーの完遂とします」
作戦開始、20分前。
このカルデアに現存する全ての人間、サーヴァント。
それらが管制室に集合し、顔を突き合わせていた。
そうしてオルガマリーの口から語られた、確定した情報。
全てを聞いた上で、立香が疑問の声を上げる。
「……ちなみに、カルデアがどれくらい保つのかっていうのは?」
「そうだね。まあ、接岸したカルデアが圧し潰されるまで、4時間……
いや、余裕を見て作戦時間は3時間と言ったところかな」
なんて短い。人類存亡を懸けるにしては、瞬きみたいに短い時間。
それでも、今更文句を言ったところで始まらない。
作戦が始まったら休む暇もなく最後まで走り抜けるしかない。
だったら、今のうちにやらなければならないのは走る道を決めることだ。
「移動時間はタイムマジーンで極力縮めるとして……」
サーヴァントはまだしも、マスター組の走る速さは現実的だ。
そこを無視するには、タイムマジーンしかない。
もう少し時間があれば、何か用意できたかもしれないが―――
タイムマジーンがあるだけ、まだ有情か。
ツクヨミから目を向けられたソウゴが、一度頷いた。
メソポタミアで一度大破したが、何とか修理は完了している。
しっかり飛べるし戦える。
「ううむ……しかし、それだけの時間しかないのであれば、七つの場所でそれぞれ決戦などしている暇はなかろう。その後に本命が控えていることだし……」
「―――とはいえ、相手は恐らく魔神だろう? 戦力を分散して簡単に倒せる相手ではない。
確実に一つずつ落とさねば、そもそも本命まで届くまい」
映し出されたマップを見上げながら、ネロが眉を顰めた。
移動を最短まで縮めたとして、七つの場所で決戦などやっていられない。
言いたい事は分かるが、と。アタランテもまた眉を顰める。
ガウェインが軽く腕を上げ、特異点の形状をなぞるように指を動かす。
「……中央の城を円で囲うように、拠点が配置されているのです。
戦力分散は悪手と言いたいところですが、二手に分かれるしかないかと」
消極的ながら、提案された戦力分散。
だがまあそれしかあるまい、と。アレキサンダーも同意を示す。
「互いに半円を描くように両側から攻略か。
なら、マジーンの無い組に機動力を持つ宝具―――女王ブーディカを配置するべきかな」
少年王の提案に、異議はなしとブーディカが首肯。
それを見つつ、二世が戦力の配分を口に出した。
「では火力を補うためにマスターとツクヨミ。もう片方はレディ・アニムスフィアとソウゴで組むべきか。幸いにもタイムマジーンはソウゴと共に運用すれば、足としてだけではなく、火力としても考慮できる事だしな。
拠点はマジーン移動組が四つ、戦車移動組が三つ。それぞれ潰せるように―――」
彼の言葉にピクリと眉を上げ、モードレッドが口を挟む。
「あん? おい、そっちは三だろ。四つ潰すのはこっちに回せよ。
長いこと此処で待機だったせいで錆び付いてんだ。
あのクソ野郎のそっ首叩き落とす前に、あの肉壁どもで錆落としさせろよ」
「そもそもそこに関して、わざわざ予め決めておく必要あるわけ?
どーせ拠点は全部潰さなきゃ道は開けないんでしょ?
だったら、やれる方が多く潰せばいいだけでしょうに。
あ、必要ならこっちで五つでも六つでも潰してさしあげるので、もしもの時はご安心を」
割り込み、何故か挑発するようにオルタが鼻で笑う。
まあ当然のようにヒートアップするモードレッド。
「はーん、言うじゃねえか。いいぜ、だったらどっちが拠点を多く落とすか競うか?
いや、その前にここでどっちの首が先に落ちるか試してみてもいいぜ?
先に抜けよ、黒い方。初撃は譲って―――」
そこで、溜息混じりにブーディカが彼女の頭に手を添えた。
「はいはい、モードレッド。そんな風にしてないで、ちゃんと落ち着いて」
彼女でもそれは振り解く事が出来ないのか。
言葉を止めたまま、歯軋りするような、しないような。
そんな中途半端な状態で停止するモードレッド。
それを見て、ジャンヌがぽんと手を打った。
「……そうですよ、オルタ。落ち着いてください。
何か気に入らないことがあったなら、お姉ちゃんが聞きましょう。
はい、どうぞ!」
「……何について張り合ってんのよ、アンタは。
ないわよ、少なくともアンタに対して持ちかける相談なんて何一つ」
「ええー、そんなー」
お姉ちゃん、ショック。お母さんじゃなきゃダメなんでしょうか。
そう言って態度に示すジャンヌに対し、黒い方は舌打ち一つ。
「……もしや」
清姫は思った。
もしかしてこの聖女、自分にとって最大のキャラ被り要員なのでは?
彼女はマスターの嫁なるもの。そしてジャンヌは姉なるもの。
しかもそれに加え、自分がマスターへ迫る行為を力任せに潰しに来る。
なんということだろう。
最大の敵は他でもなく、ここにいた。
そして更にこう思った。
押しの強さで負けるわけにはいかない、と。
というか、だ。
嫁になろうと猛烈アタックすること。
姉になろうとして激烈アタックすること。
後者の方が実は倒錯していないだろうか?
バーサーカーである彼女に負けぬ狂気。
それに対抗心を燃やしつつ。
蛇のようにするりするりと、清姫の体が立香に寄っていく。
擦り寄ってきた清姫に不思議そうにしつつ。
しかしいつも通りか、と。立香はそのままにして、マップを見上げた。
「最初の一つは全員でやって、その後二手に分かれて三つずつとかは?」
「まあ! 流石はマスター、それが一番角の立たないやり方かと!」
清姫が立香の提案に対し、竜の角の生えた頭を軽く揺する。
「ふむ。確かにそれが真っ当な手段ではあるが……話を先に進める前に、一つ。
まず前提からして改めて確認したい、ダ・ヴィンチ。玉座への道を開くためには、あくまでも、拠点を攻略すればいいだけ、と考えていいわけだね?」
フィンからの問いに、ダ・ヴィンチちゃんが鷹揚に頷いた。
「ああ、そうなるね。魔神はあくまで防衛のために駆り出される機構。
拠点としての機能を肩代わりする、とか。拠点自体を修復する、と言ったような機能は持っていないはずだ。それが出来るものがいるとすれば、魔術王本人だけだろう」
「なるほど。では、拠点攻略するのに必ずしも魔神を倒す必要はないと」
彼の言葉の意味を理解して、ハサンもまた小さく頷いた。
「でしたら、私の動きにも意味が出せましょう。
拠点に迫るだけで魔神の意識を引き付けられるなら、動き甲斐もある」
「んで、引き付けたところで、拠点狙いでぶっ壊すと。
やれやれ、つくづくアタシの船がないのが惜しいね。言ってもしょうがないけどさ」
つくづく困ったものだ、と。
船を失った船長が残念そうに肩を竦める。
「……そうね。そうでもしなければ、時間が足りないでしょう。
ただ、その方法を取る場合、全ての魔神が―――」
魔神を倒さずに魔術王への玉座を目指す、というからには。
その選択肢には、別の問題が発生する。
そう言葉にしようとしたオルガマリーを遮り、ダビデが口を開いた。
「―――では、これは提案なんだけれど。
拠点を破壊し、ソロモンの玉座へと道を開いた後の話だ」
「提案?」
首を傾げるマスター、ソウゴに対して。
ダビデはいつも通りに、胡散臭く見えるような微笑みでもって答える。
「魔神を打倒せず、道を開いた場合。
当然だけど、魔神は僕たちに追撃を仕掛けようとするだろう?
そうなった場合、僕らは城への進入路の前で追撃阻止に動くべきだと思う」
―――彼の言葉に、一度何かを追想するように。
僅かばかり片目を瞑って止まったクー・フーリンが、すぐに動き出す。
そうして真っ先にやる事は、ダビデへの問いかけ。
「お前の言う僕ら、っての。そりゃマシュの嬢ちゃん以外のサーヴァント全員……って受け取っていいんだよな?」
「もちろん、そういう意味で言ったのさ。
あそこから先に踏み込むべきは、今を生きている人間。
前特異点の冥界攻略じゃないが、これは
自分が口にする言葉に一切の疑いの余地なく。
ダビデはそう断言して、一通りその場を見渡した。
それに最も早く答えるのは、クー・フーリン。
呆れたように、しかし納得したように。
彼は肩を竦めながら、同意を示す。
「――――ま、そうだな。それが道理ってもんだろう。
手が足りねえのも事実だし、そうするって事でどうだ?」
「……それであの魔術王に対して戦力足らなかったらどうすんのよ?」
微妙に納得いかぬ、と。オルタが口を尖らせた。
対し、二世は目を細めて彼女の心配に答えを投げる。
「恐らくそうは変わらんよ。推測の域だが、魔術王は冠位魔術師としてサーヴァントに対する絶対的優位を持っている。厳密にどういった能力かはまだ分からんが、通常のサーヴァントである以上、完全無力化される規模の何かを有しているだろう。ロンドンで起きた事を見る限りな」
「んだよ、イカサマか……チッ、仕方ねえ。おい、マスター。
オレの代わりにアイツの首を取るの任せたぜ」
モードレッドがツクヨミに対して、魔術王ソロモンの首を取ってこいと。
まるで当たり前のように、彼女はそう要求する。
肩を怒らせて、腰に手を当てて、そんな事してたまるかとツクヨミは即座に拒否。
「取らないわよ、そんなの」
「あんだよ、じゃあソウゴ。お前がやってこいよ」
「それさ、モードレッドって魔術王の首取ったらどうするつもりなの?
牛若丸みたいにカルデアの入口に吊るしたり?」
「するわけねえだろ馬鹿か!?」
首を何に使うのだ、という疑問に対して怒鳴り返す。
じゃあ何のために? という視線。
んなもん物理的に欲しいから落とすわけじゃない、と彼女の表情が語り返す。
そのやり取りを嘲笑い。
オルタが口元を押さえ忍び笑いを漏らしつつ、モードレッドに視線を向けた。
「うっわ、それは流石に引くわ。野蛮人」
「汝が建ててカーミラが馴染んでいた悪趣味な城を思い出したらどうだ」
まるで勝ち誇るようにしている竜の魔女。
お前の城はそれより酷いものだったろう、と。
緑の狩人は呆れるように、溜息ひとつ。
そこで手を叩き、清姫がいつかの戦場を思い返す。
「ああ。こうして思い返してみれば、懐かしいものですね監獄城。
そういえば、確かに。あれの内装はカーミラではなくあなたの趣味だったのですか?」
「――――――!」
首を傾げる蛇娘を前に、口を噤む。
当然だ。だって質問したのは精度ほぼ100%の嘘発見器。
どんな返答をしたって、彼女にとって不利になるだろうから。
その様子で余程のものだと理解したのか。
モードレッドこそが、にやにやと表情を崩した。
「はぁーん、そりゃそっちのお国は行儀のいい奴多いもんな。
そんでもって頭のイカれた奴も多い。
うちにもいるぜ、ろくでもない奴が一人。なあ、マシュ?」
「え、あ、はい……確かにランスロット卿はかなりアレな方ですが。
いえ、もちろん評価点もある人なのです。
それ以上にアレな行動が目立つ、アレな方なだけで……」
マシュから語られるランスロット評。
困ったようにブーディカが苦笑するが、何とも言えず。
「憐れな……」
場にいない湖の騎士の扱いに沈痛な顔を浮かべ、太陽の騎士が瞑目する。
だがまあ、自業自得な面も多々あるので可哀想とは思わないが。
そうしてがやがやと騒がしくなり始めた場。
そこでオルガマリーが時計を見て、進んだ分針を見て、一度目を瞑り。
軽く、しかし音が響くようにしっかりと手を叩いた。
「―――おおよその方針は決まったわね。
最初は拠点の破壊を最優先。カルデアの接岸点にもよるけど、まずは一番近い拠点を全軍をもって撃破。その後二手に分かれて足を止めずに拠点を回り、破壊と同時に次の目標へ。
全ての目標を破壊し、玉座の間までの道が開かれた時点で、城の前で全員が合流。サーヴァントは全員そこで防衛に当たり、わたしたちは―――魔術王を攻略する。
もちろん、その後に確かにカルデアへと帰還する事まで含めてこの作戦のうちです」
「……うん。では、みんな。コフィンの中で待機してくれ。
カルデアはこのまま最終特異点……終局特異点・ソロモンへと直進。
そこに乗り上げた時点で、レイシフトを実証する」
オルガマリーがコフィンに向かうために降りていく。
代わりにそこにロマニが昇り、指令という業務を引き継いだ。
準備を進め、やがて完了するのを見届けて。
彼はその席について、最後の号令を口にする。
「―――では、最後のオーダーを始めよう。
レイシフトプログラム、実行直前の状態のまま待機。
レオナルド、特異点の時空間を捕捉すると同時にアンカーを打設。
そのタイミングで、レイシフトをスタートする」
「任せたまえよ。一秒すら無駄にせず、確実にみんな送り届けてあげよう」
最後のレイシフトの準備を終えて。
一分後に迫った最終決戦の幕開けに、誰もが体を引きつらせながら。
しかし、それでも前を向いて。
―――彼は最後に確かめるように、手袋に包まれた両手の指を一度だけ絡ませた。
『アンサモンプログラム スタート。
霊子変換を開始 します。
レイシフト開始まで あと3、2、1……全行程
最終グランドオーダー 実行を 開始 します』
見るに堪えない殺戮が見える。
聞くに堪えない雑音が聞こえる。
過去と未来を見渡す千里眼が、あらゆる真実を浮き彫りにする。
醜い、醜い、醜い、醜い、醜い、醜い、醜い、醜い、醜い、醜い、醜い、醜い、醜い、醜い、醜い、醜い、醜い、醜い、醜い、醜い、醜い、醜い、醜い、醜い、醜い、醜い、醜い、醜い、醜い、醜い、醜い、醜い、醜い、醜い、醜い、醜い、醜い、醜い、醜い、醜い、醜い、醜い、醜い、醜い、醜い、醜い、醜い、醜い、醜い、醜い、醜い、醜い、醜い、醜い、醜い、醜い、醜い、醜い、醜い、醜い、醜い、醜い、醜い、醜い、醜い、醜い、醜い、醜い、醜い、醜い、醜い、醜い、
不快極まる事実を見せつけられる。
醜悪極まる生態を記憶付けられる。
何故、こんなものを見続けなくてならない。
何故、こんなものを見過ごさなくてはならない。
この劣悪な環境、状況。
それを許せないと言うのなら、解決しようと考えるのは当然の帰結だ。
だが、どうやって。
既に生まれた命がそこに在る限り、この間違いは正されない。
一度汚濁に塗れたものは、完全に取り除かなければ意味がない。
新しい容器の中に汚れを持ち込まないためには、全てを処分する以外の道はない。
―――だから、やり直すのだ。
歴史からでも、生態系からでも、大陸からでも、時間からでも、他の何からでもなく。
完全なる無から始め、一からこの
汚れるはずもない、無菌の惑星が必要だ。
徹底管理された、無垢なる惑星が必要だ。
その為には、それを創るためには、多くの資源が必要だ。
惑星を新星させるなら、それに見合うだけの膨大な薪が必要だ。
例えるならば、そう―――
一回きり、惑星を燃やした程度の熱ではまるで足りない。
惑星を一からすべて、丸々造り替えるのだ。
たった一度、惑星一つ分を灼く程度の熱量では、足りるはずもない。
だから、時間を刻んだ。
すべての時間を燃やし、過去に遡りながらその都度、その時間ごとの熱量を回収した。
遡ること、およそ3000年分。
現行の人類が無駄にし続けた、この惑星が持っていた最大熱量。
それをすべて回収し―――束ね、制御した時こそ。
我が偉業は達成される。
我らが地に撒いた
我らの憤りをここに書す。
後に続く
神殿を築き上げよ。
光帯を重ね上げよ。
人理を滅ぼすには全ての資源が必要だ。
人理を忘れるには全ての時間が必要だ。
―――終局の特異点への道を
そこに、
ふりかえり。
二章。
二章はとても思い出深いです。
書いてる途中に台風で数日停電したからな。
ドライブアーマー出す時に。
台風こわ。
何でかランスロットがいて、何故かダレイオスがいないんだ。
確か…バーサーカーがいっぱいいたな。じゃあ多分ランスロットもいたはず!
あれ、確認したらいなかった…
まあいいや…ブーディカに連鎖して出てきたことにしよう…
(書き終わった後確認して)あれ、ダレイオスは?
六章で活躍させたので許して下さい。センセンシャル!
その六章でも敵に置いたままにした結果、ランスロットが特異点三ヵ所で敵として出てくる存在に。ライバルかな?
アナザーライダーの出し方、動かし方は毎回変えたいと考えました。
そう言った考えが顕著なのが、二章の正体不明のアナザードライブ。四章の味方側にいるアナザーダブル。辺りだと思います。
ネロが時々記憶がどうこう、みたいな話が挟まったりしています。
が、あれは六章のメガヘクスに使う気だった要素なので完全に浮きました。
メガヘクスはフルスロットル中で、鎧武とドライブのMOVIE大戦パートで撃破された敵。
なのでドライブの歴史が消え鎧武の歴史だけ残っている場合、メガヘクスは自分が既に負けた事を知らないという矛盾が発生してどうのこうの、という話をやるつもりだったのです。
鎧武が存在し、2014年以降の地球が現存している以上、メガヘクスは打倒されていなければならない。だがメガヘクスはドライブの力があって撃破できたもの。鎧武はいて、ドライブがいない状態ではそこに問題が出てしまう。なのでドライブはウォッチにされても消え切らず、特異点が解消されても歴史に組み込み切れず、微妙に浮いてしまっている状態になっていた、という状態を示していたのが、あのネロのよく分からん記憶状況だったわけです。
が、キカイを出すことにして立ち消えになったのでネロの記憶も完全に浮きました。
今なんでああなっているかは自分にもわかりません。
公式でネロに何かイベントあったら何かアイデア捻りだして回収するかもしれない。
できないかもしれない。
アナザードライブに選択したのは、ブーディカ。
モチーフはロイミュード001、フリーズ。
与えられた屈辱に憤る、迸る感情の嵐。
決着は、彼女自身から託された心。
与えてくれた親子の情が進ませてくれた、マシュ・キリエライトの踏み出す一歩。
少女が心に灯した、まだほんの小さな火。
それを灯火としてエンジンにくべて、疾走した正義の魂。