Fate/GRAND Zi-Order 作:アナザーコゴエンベエ
―――時間神殿が崩壊を加速させる。
ゲーティアが己を維持できないのであれば、それも当然の話だ。
ソロモン王の遺骸と紐付いたこの空間は、再び微睡みへと沈んでいく。
魔神王であったものが崩れていく。
その中から現れる、ソロモン王の遺骸。
ゲーティアが依り代にしていた、かつての王の残骸。
その白い髪を黄金に染める、ゲーティアの残滓。
完全に停止した魔神王。
そんな彼に歩み寄り、ロマニ・アーキマンが膝を落とした。
「―――キミの旅の終わりに、何かを見いだせたかい?」
そうして歩み寄ってきた男を見上げながら、ゲーティアが眉を顰める。
体は既に動かない。ああ、もう終わりなのだろう。
既に七十二の魔神たちはどのようなカタチであれ、この宙域から離脱した。
自己崩壊するか、再び雌伏の時を重ねるか。あるいはただ観るという役割に還るか。
……まあ、どれでもいい。
ゲーティアである彼とは、違うものになったというだけだろう。
「――――――…………いや、別に、何も。
ここで終わっては、何の意味も、何の価値も、あったものでは、ないな」
ゲーティアの物言いに少し面食らって、苦笑するロマニ。
いま自分にできる意趣返しなどこの程度が限度だろう。
ソロモン王の遺骸がそのまま目を瞑ろうとして、しかし。
目の前にいるロマニを見て、小さく鼻を鳴らした。
「……遺物は置いていけ。それは、此処で眠らせるべきものだ」
神に委ねていた命運を天に返上するまでもなく。
己らの足で運命を切り拓いていく。
そう言って前に歩み続けるからには、もう要らぬものだろうと。
彼の言葉に頷いて、ロマニ・アーキマンが指輪を外した。
最後の指輪が、ゲーティアの砕けた手に乗せられる。
とはいえ、もはや彼の腕はそれを握るためにすら動かない。
当たり前の話だ。
その力が残っているならば、彼はまだ立ち上がっていた。
指輪などより、果たすべき目的を果たすために。
―――などと、思ったところで無駄か。
事実として、いま動くことができないのだから。
「……ふん。どうせ、私には、もう、遣えまいが……」
苦虫を噛み潰したような、渋い顔。
その顔はそんな表情が作れるものだったのか、と。
ロマニはたまらず笑い声をこぼす。
そんな苛立ちばかりを与える男を睨み、彼は舌打ちした。
「―――ちっ、……もう、語るべき言葉など、ありは、しない。
私の願いを踏みにじり、いつまで足を止めている。
……生きるがいい、ソロモンであったもの。
意味のない、価値のない、何も残らぬ巡礼に、心を砕いて、果てるまで」
「ああ、そうだね。互いにそんなものに憧れてしまったのだからしょうがない。
……おつかれさま、ソロモンの影だったもの。
キミが積み上げた苦しみは、確かにボクたちの心に何かを遺した。
そこに意味や価値を見出すかどうかは、観た者それぞれに委ねればいい」
そんな自分に向けられるものなど、自分にとって価値はない。
そう嘲笑うように鼻で笑い、彼はそこで沈黙した。
終わったのだ。彼の旅路は、此処で。
精緻な計算の末、多くのものを積み上げてきたというのに。
最後の最後で、あまりに失態続きの業務だった。
失敗するべくして、失敗した。であるならば、仕方ない。
完璧なものを求め、しかし彼は完璧ではないから失敗した。
それならば道理に適っている。
人間に造られた魔術式―――人理補正式ゲーティア。
この身が完璧を求めるなど、人間が完璧を求めるのと変わらなかったという話だ。
そんなこと、最初から分かって無ければいけなかったのに。
分かっていれば、最初から無駄な事をせずに済んだのに。
―――例えそうだと知っていたとして。
あるいは。もしかしたら。この身は、同じくこの道を選んだのだろうか……?
「――――――……」
そうして沈黙したゲーティア。
その顔を見て瞑目し、一瞬だけロマニは微笑んで。
踵を返して彼に背を向け、ロマニが歩き出す。
そこでは、マシュが膝をついて息を荒げていた。
状態を診察しているオルガマリー。
ゲーティアとロマニの間で視線を動かしながら、彼女は戻ってくる男を睨む。
「ロマニ、マシュを治療した方法は? 今の状況を簡潔に」
「―――治療ではなく、蘇生だったんだ。今のマシュの状態を言い表すなら……そうだね、
彼女からの問いかけに難しい表情で、そう返すロマニ。
フォウ? と小さく鳴きながら首を傾げる小動物には、目を向けない。
彼はこの旅路の光景に、彼女の運命という対価を払っていった。
それで満足しているのだろうから、口を出すことではないのだろう。
「……そしてそれをどのように、という事だけど。それは、残念ながらボクに話せることじゃない。山のように積み上げた隠し事をやっと崩した後でこれは、本当に申し訳ないけれど。ボクに話せる事じゃないんだ。いや、ボクは話してはいけない事だと思っている、かな」
彼の言葉にオルガマリーが眉を顰める。
正直、一魔術師としては最早話の規模が大きくなりすぎて何も掴めていない。
話されても理解が及ぶかは怪しいところなのは事実なのだが。
「どうしても話せない、ってわけ?」
「―――そう、だね。うん、きっと……この世界の中を満たす人の想いが……美しい感情と、醜い感情の比率が、まるっとひっくり返るくらいの奇蹟があれば、ちゃんと話してあげる事が出来る日が来るのかもしれない」
そう言って苦笑するロマニ。
つまり話す気はない、と。そう受け取って、オルガマリーが眉間に皺を寄せた。
「ドクターがマシュを治した、ってわけじゃないの?」
コダマウォッチとタカウォッチを肩に乗せながら、マシュの手を握る立香。
そちらからの疑問に対して、ロマニは首を横に振る。
「いいや、違う。ソロモン王にすらそんな力はない。当然ながらただの人間でしかないボクにだって、そんな事はできない。何をどうしようとね。
―――ただ、あえて言うのなら。これこそが、キミたちが此処まで積み上げてきた奇蹟の価値の清算、という奴だったんだろう」
そう言って微笑む彼。
彼がまず蘇生、と。そう語った事実を以て、ソウゴは僅かに肩を揺らした。
新しい命と、そう繰り返し言葉にしながら彷徨っていた怪物を思い出し。
―――しかし、ジオウⅡは顔をその位置から動かすことはしなかった。
思い至った獣に、顔を向ける事はしない。
そんな彼の態度に苦笑して。
ロマニは、そのまま言葉を続けた。
「安心していい。今のマシュの状態は、蘇生されたが故にデミ・サーヴァントとしての性能を失おうとしている、というだけだから。ボク―――ソロモンと同じような事だね。ギャラハッドの霊基を封印し、人間に戻るだけだよ」
「……とにかく、大丈夫ってこと?」
生きている人間にサーヴァントの霊核など不要なものだ。
彼女が確かな生命として取り戻された以上、邪魔でしかないものだ。
英霊の魂など、人間の肉体に入れていては毒にしかならない。
もっともそう調整されたマシュの肉体と、とうに自我を放棄しているギャラハッドの霊基。
これらがただちに問題を起こす、というような事は在り得ないだろうが。
それでも、放置していい問題ではないだろう。
「うん。ただなるべく早く、レオナルドに診せた方がいい。
彼女のダメージは蘇生した事より、恐らくその直後に宝具を使用した事が原因だ。
できるだけ早く、霊基の封印措置をするべき状況だと言える」
「……このソロモンの特異点がどうなるかは?」
立香が停止したゲーティアに視線を向ける。
既に停止したそれは瞑目し、こちらに意識を向ける事もしない。
―――こちらとて、こうなったからには本来そうするべきだ。
彼は立ちはだかった。
こちらは乗り越えた。
ただ、それだけの終わりだったのだから。
人の世における生存とは、そういうものなのだ。
そう示した戦いだったのだから。
「―――もう、ゲーティアは終わる。彼が巣にしていたソロモンの遺体も。
だから、もう大丈夫だよ。
カルデアが圧し潰される前に、こちらの空間が崩壊する。後は、脱出するだけだ」
「……常磐、マシュを抱えなさい! 帰還するわよ!」
頷いて、マシュの体と円卓の盾を抱え上げるジオウⅡ。
「すみ、ません……ソウゴさんも、」
「大丈夫。マシュが守ってくれた分、無事で済んでるから」
それでも、ゲーティアと正面からぶつかり合ったのだ。
相当な損傷が刻まれたジオウⅡに、困った顔を浮かべるマシュ。
そんな事は気にもせず、彼はすぐに歩き出す。
抱えられた少女が、僅かに首を動かした。
その視線が見つめるのは、既に停止した救済の歩み。
正しいのか。間違っているのか。
そんな事は関係なしに、確かにここまできた一つの
それに続きながら、立香が確かな声で言葉を紡ぐ。
もはや停止した、彼女たちが乗り越えて置き去りにするものにも届くように。
「生きよう、行けるとこまで。
だって、そうしたいって思ったのは私たちの方なんだから」
―――……人間たちが走り出し、玉座にはただ朽ち果てた骸が残る。
笑い飛ばすほどの余力は、もうなかった。
それでも、引き攣るような笑みを無理矢理に浮かべる。
そうしていなければ、最後の最後に負けを受け入れそうだった。
負けたのはいい。負けたのは認めざるを得ない。
けれど、それを受け入れるのは耐え難い。
負けたという事実に対する感情。
それだけは、受け入れ難きものとして、最後まで肚の中で煮え滾らせなければ。
動かなかったはずの指が、少しずつ動き出す。
掌に残された最後の指輪を、弱々しく、しかし強く握り締めた。
「……意味もなく、価値もなく、成果もなく――――
だが、そんな歩みでも、最後に、足を止めてみれば……存外、悪くは――――
……いいや、認めるものかよ。我々は、せめて、最後に、この意識が、消え、果てるまで……絶対に、我が眼が視た、夢を、諦めなど、する、もの―――か――――」
負けて満足して逝くなど、御免被る。
抱えていくなら、敗北して志半ばで願いを打ち砕かれる痛みだ。
それでも。
ただ観ているだけの苦しみよりは、随分と―――
『みんな!』
崩壊する神殿から飛び出した彼らの前に、タイムマジーンが降り立つ。
ところどころ損傷こそあるが、飛行には問題がないようだ。
エアバイク形態で着陸したそれが、ハッチを開く。
すぐさま乗り込んでくるメンバーを見て、ツクヨミが眉根を寄せる。
「……? なんでドクターまでここに?」
「あー、うん。まあそれは色々あって」
「後で説明するわ、今はとにかく帰還を最優先して!」
どう説明したものか、と眉間に指を当てるロマニ。
だがそんな事は後だというオルガマリーの言葉の頷き、ツクヨミがハッチを閉じる。
それに待ったをかけようと、立香が声を上げた。
「でも、その前にみんなを……!」
『―――サーヴァントの皆は既に退去したよ。魔力を使い果たしてね。
ここで勝利したからにはオレたちももう必要もないだろう、だそうだ』
だが、その言葉を遮ってダ・ヴィンチちゃんが答えを投げてくる。
彼らこそは
今を生きるものの援けになるため、現世に浮かび上がった影法師。
だからこそ、此処で執着などするものがいるはずもなかった。
人間を活かすため。魔神を阻むため。
その全霊を懸けて目的を果たし、勝利を得て還っていった。
「……そっか」
だというならば、悲しむ事ではないのだろう。
彼らによって送り出され、彼女たちは未来へと辿り着いた。
このまま先へと、進み続ける。
俯いている暇もなく、顔を上げて前を向く。
『一応、霊基グラフは保存している。だから、またいつか会えるかもね。特異点ではなく通常の時間軸に繋がった状況で、サーヴァントの記憶が引き継げるかは……
いや、そんな話は後でゆっくりとでいいか。空間の決壊が更に加速している。急いでレイシフト範囲内に帰還してくれ』
そんな表情にダ・ヴィンチちゃんは苦笑する。
ジオウⅡがマシュを下ろして壁に寄り掛からせ、変身を解除。
そうしてダ・ヴィンチちゃんの言葉に乗って、黒ウォズに振り返った。
「黒ウォズが連れて行ってくれてもいいんだけど?」
「流石にこの大所帯ではね。
我が魔王の頼みとはいえ、自分たちで帰った方がいいだろう」
いたずらげに向けられたソウゴの言葉。
それに肩を竦めて、黒ウォズはそう返す。
どうやら今回はすぐに消えるつもりもないらしい。
飛行を始めたマジーンの中で、同乗している彼も珍しく大人しくしていた。
そんな彼にだよねぇ、という表情で肩を竦め返すソウゴ。
「そういうこと言うと思った、今回はいいけどさ。
マシュは大丈夫?」
「……はい、大分、楽になってきました……
ドクターの言う通り、宝具を使用した過負荷、だったのかと……」
壁に背を預け、胸に手を当てて、ほうと息を吐くマシュ。
そんな彼女を横で支えつつ、立香が微笑む。
そこでふと、彼女が思い出したようにロマニの方を見る。
「そういえば、ドクターってレイシフトしてきたんじゃないんだよね?
レイシフトで帰れるの?」
「あ」
ロマニが黒ウォズの方を見る。
見られた彼は興味なさげに『逢魔降臨暦』を開き、眺めていた。
「ええと、もちろん往復コースだった、って事でいいんだよね?」
「―――さて。どうだろうね」
突然帰還の術を奪われたロマニが焦り、慌てふためく。
いくらソロモンであったからと言って、今はただの人間だ。
千里眼も魔術回路も一切棄てて、人間になったのだから。
見捨てられてしまえば、本気で帰る手段がない。
いや、絶対にないとは言わないが、その時は人間ロマニ・アーキマンではなくなるだろう。
そんなやり取りに溜め息ひとつ、ソウゴが黒ウォズをたしなめた。
「黒ウォズは俺の臣下なんだからさ。そうやって俺の民をいじめちゃダメだよ?」
「我が魔王の仰せのままに……
という事だ。感謝するといい、ロマニ・アーキマン」
「ああ、うん……意気揚々と乗り込んだ結果、脱出不能になって消滅する。
そんな結果にならなくて本当に良かったよ……」
「そうね。言っとくけど、帰ったら全部キリキリ吐いてもらうわよ?
アンタがこれまでどれだけの事を黙ってたか、全部ね」
そんな底冷えするオルガマリーの声。
そちらから目を逸らしつつ、彼は誤魔化すように微笑んだ。
もちろん、睨みが更に増すだけだ。
その一連のやりとりに溜め息を吐きつつ、ツクヨミがモニターを見上げる。
「……そろそろ着くわよ。えっと」
『カルデア外壁部に到着したら着陸して、君たちはタイムマジーンから降りてくれればいい。
君たちとマジーンは別個で回収するからね』
「はい」
ツクヨミがマジーンを操作し、着陸態勢に入る。
状況は恙なく進んでいく。
もう彼らが先に進むものを邪魔するものはいない。
もう彼らが先に進むことを手伝ってくれるものはいない。
その現在に一抹の寂しさを覚えながら。
彼らは今まで通りに前に進むため、彼らの時代へと帰還した。
「私たちもある程度、神殿内の情報は得ていましたから……
ほら、Dr.ロマニってアレだったわけじゃないですか。アレ」
「驚きでした。まさかドクターがアレだったなんて……」
「なんかもうこうなってくると、カルデアの中に他にもアレの人がいたりするかも?
みたいに思えてきますね……隣に座っている同僚が実は! みたいな」
戻るや否や、作業から解放された職員たちがそう言ってロマニに詰め寄った。
緊張感で張り詰め過ぎて、頭のネジがいくつか飛んでいるのだろう。
徹夜で正念場を突破したその気持ちは分かるしなぁ、と。
それを笑いながら見逃すダ・ヴィンチちゃん。
「人を珍獣みたいに言わないでほしいな!?」
「……珍獣より珍しい人間でしょうね。
バレたら見世物じゃなくてホルマリン漬けでしょうけど」
「所長はそういう事しない魔術師だって信じてますよ。
―――ええ、ほんと。信じてますから」
コフィンから脱してきたオルガマリーが、別口で帰還していたロマニを睨む。
「――――幾らで売れるかしら。
元ソロモンの人間なんて、それだけでカルデアの負債を帳消しに出来るかも」
「ははは。ボクの体をどういじくり回したって、ソロモンの能力は出てきませんよ。
だから色々黙っていたのは、返済をバイトで手伝うくらいで許して欲しいなぁ」
足しになるものか、と。彼女は腰に手を当てて、長く息を吐き落とす。
後から続いてコフィンから出てくるメンバーの方を見つつ。
彼女は改めて、ロマニとダ・ヴィンチちゃんに向けて確認した。
「本当に実は他にも英霊がいました、なんて言ってこないでしょうね?」
「カルデアの英霊召喚例は正しく三件だけだよ。ソロモン、ギャラハッド、レオナルド・ダ・ヴィンチ。いくらあのマリスビリーだって、他に英霊を紛れ込ませる余裕なんかないさ。
それにボクはともかく、そんなものがいたらダ・ヴィンチちゃんが見逃さないだろう?」
ロマニの言葉に、オルガマリーがダ・ヴィンチちゃんに視線を向けた。
彼女は笑いつつそれに頷いて、ロマニの言葉を肯定する。
「ならいいけどね……」
「―――外界との通信、復帰しました!
オルガマリー所長、魔術協会から現状の説明を求めると……!」
―――ゲーティアは打ち倒され、時間神殿は崩落し、光帯は霧散した。
彼が承認した人理焼却は、この時を以て破却された。
だが、それまでに必要とした時間はなくならない。
今この時が、2015年にまで遡るわけではない。
結果として、人理焼却中は全ての知生体と文明が停止していた事になる。
1年以上の時、何も活動せず、何も消費せず、何も進行しなかった。
そんな異常事態が、今になって再稼働を始めたのだ。
カルデアの外は混乱の渦となっているだろう。
だからこそ、オルガマリーはそこで踏み出して。
「あー、あー、聞こえるかい? やあ、私の名はレオナルド・ダ・ヴィンチ。人類史上最高の天才にして、今はカルデアに呼ばれたキャスターのサーヴァント。
はっはっは、生前はろくに関わりもしなかった協会に、サーヴァントになって今更関わるなんて、これは面白い事もあるものだね」
彼女はさっさとその通信を自分に回し、勝手に受け答えを始めていた。
「ちょ……!」
「我らが所長はいま、最終特異点を攻略したばかりでお疲れでね。とりあえず私が状況説明だけでもしてしまおうかとね。
うん? ああ、そりゃもう、うちの所長は敵サーヴァントたちを千切っては投げ、千切っては投げ、神霊さえも蹴散らして快刀乱麻の活躍だったとも」
そんな馬鹿な事を言い出した馬鹿に、怒鳴りつけようとして。
―――それしかないのだ、と思い至る。
藤丸立香、常磐ソウゴ。ツクヨミは事情が複雑すぎてともかく。とにかくこの二人を魔術協会からの介入から守るためには、オルガマリーの名を前面に出して行くしかないのだ
「なに? 次代のアニムスフィアにはマスターとレイシフトの適性がなかった?
なんだそんなこと、君が今話している私を誰だと思っているんだい? 私がその気になれば、そんなもの幾らでも後付けできるさ。特にうちのマスターはその魔術師としての性能は一級品だからね。ちょちょいのちょいだったさ。
そんな事はまあいいとして、とりあえず一から説明するけれどいいかい?」
ダ・ヴィンチちゃんが話しながら、彼女たちを追い払うように手を振った。
それに気付いた職員の一人が走り寄ってきて、管制室の外へと彼女たちを誘導する。
「マシュは特にそうだし、あなたたちは先に医務室へ。
先にドクターに診察を受けてから。ダ・ヴィンチ女史の工房でお待ちください。
話が終わったら彼女にはそっちに回ってもらいますので」
「―――ええ、そうね。悪いけど、そうしましょう」
頭を掻きまわして、苛立ちを鎮めるように。
そうして彼女が落ち着くのを眺めて待ちながら、皆で目を見合わせる。
そんな態度を取られている事に眉間に皺を寄せるオルガマリー。
深呼吸を一度、それから彼女が一歩を踏み出して―――
何となく、と言った風に職員が一人声を上げる。
もちろん、ダ・ヴィンチちゃんの方を邪魔しない程度にトーンを落としつつだが。
「あ、そういえば外部カメラが復帰したんで見てみたんですけど。
今日、完全に吹雪が止まってるんですよね。
せっかくだから、医務室に行く前に外に出てみたらどうですかね」
「外? そんなもの見て―――」
そう言い返そうとしたオルガマリー。
彼女がハッとして、黙り込む。
「吹雪? ……人理凍結?」
「今度は氷?」
「そんなわけないでしょ……」
ボケている立香とソウゴに、ツクヨミが溜め息ひとつ。
そうしている間に、マシュが立香の手を取った。
「マシュ?」
「その……すみません、先輩。
本来ならすぐにメディカルチェックを、と薦めなければいけない立場なのですが」
「――――うん」
戸惑うような彼女の言葉を、立香は微笑みながら待ち受ける。
マシュは言い淀むように、しかし確かに彼女が抱いたやりたい事を口にした。
「わたしの……わたしの生きている時代の空を、見てみたいです。
吹雪にも光帯にも鎖されていない―――突き抜けるような、わたしたちが取り戻せた空を」
「フォウフォウフォーウ!」
いつの間にかマシュの肩の上にいたフォウが騒ぎ立てる。
自分も行く、とばかりに鳴く彼にマシュが苦笑した。
確かに今までの旅の中で、幾らでも空を見上げてきた。
でもそれは―――光帯が遮っていた、という以上に。
その空は、かつてそこにあった空。あるいは異世界の空だったのだ。
もちろん、それも大切な思い出で、なくてはならないものだったけれど。
―――けど。
いま外に、マシュが今まで一度も見たことのない、自分の時代の空がある。
そう言われてしまったら。
「―――じゃあ、一緒に行こうか。ううん、みんなで行こうか」
立香が彼女の手を握り返した。
そのまま歩き出しつつ二人揃ってが振り返る。
そんな彼女たちの視線を受けて、溜め息をひとつ。
オルガマリーもまた二人に続くように、歩き出した。
「…………」
立香の言葉を聞いて、僅かに眉尻を下げるツクヨミ。
それは彼女が踏み出すのを戸惑っているように見えて。
そんな彼女に、ソウゴが普通に声をかけた。
「ツクヨミ、行こうよ」
「え、ええ……」
別に拒否するつもりではない、と。
ぎこちなく彼女は笑って、後に続くように歩き出す。
そんなツクヨミの背中に、ソウゴは声をかけ続ける。
「大丈夫だよ。ツクヨミだって、ここで生きてる。
最後に俺を倒すか、そうじゃない何かを終わらせて、未来に帰るんだとしても……
今は、ここで一緒に生きてる」
「――――――」
だから、神殿に乗り込むのを真っ先に諦めたのだろう、と。
あそこは今を生きるものが踏み込むべき場所だからこそ、迷っている自分は行けなかった。
未来から見れば過去の現在。
そう言った想いは、それこそウルクでみんなで味わったが―――その中でも、自分だけは更に異物だったのだ、と。その想いが、彼女にあそこで真っ先に足を止めさせた。
気にすることじゃない、とソウゴはただそう言った。
言うだけで、終わらせた。
きっと最後は自分の想いでないと越えられない問題だと、知っているから。
「……そう、ね。いきましょう。
自分の足を自分の意志で動かして歩かないと……そんな風に思えなくなるから」
「さて。その一緒に生きている中には、私も含まれているのかな?」
「黒ウォズがそうしたいなら、そうでしょ?」
「……では、お言葉に甘えて」
当たり前じゃん、とそう言って笑うソウゴに肩を竦める黒ウォズ。
そうやって歩き出す彼らを見て。
ロマニが眩しいものを観るように目を細めて、しかし彼もまたすぐに歩き出す。
そうして揃って歩き出した彼らの中で、黒ウォズが一度足を止めた。
「かくして」
脇に抱えていた『逢魔降臨暦』を開き、彼が後ろを振り返る。
どこへ向けてその言葉を送っているのか。
そんな事を気にする素振りもなく、彼は滔々と謳うように王者の覇業を讃える。
「我が魔王が直面した人類史の危機、人理焼却は防がれた。
戦いは無論まだ続くが、何の問題もないだろう。何故ならば常磐ソウゴこそが過去と未来をしろしめす時の王者、オーマジオウである事には何も変わりがないのだから。
彼が取り戻した覇道を阻めるものなど、どこにもいないだろう――――」
パタリ、と。『逢魔降臨暦』を閉じ、彼もまた歩き出す。
前を行く者たちを追うように、カルデアの通路を歩いていく。
外に広がる、彼らの旅路が取り戻した空を見上げるために。
元の姿を取り戻した2017年の街並み。
時間が飛んだ混乱がじわじわと染み出し始めた世界。
そんな光景をふらりと通り過ぎ。
一人の男がどこかの街の、どこかの路地裏に踏み入った。
翻すのは紫衣の裾。
スウォルツは周囲の状況などに目もくれない。
ただ喧噪から離れるように、建物の合間を奥へ奥へと進んでいく。
そうして随分と歩いてみた後、不意に。
彼は足を止めて、光の届かぬ街の暗闇に視線を向けた。
「そちらから接触してくるとは、思っていなかったが」
「取引をしたいと思ってな。
オレじゃあ用意できないものを、お前なら用意できる。
だったら利用しない手はないだろう?」
暗闇の中から声がする。
やれやれと言わんばかりの、気怠るげな声。
そんな態度に目を細め、スウォルツは鼻を鳴らした。
「取引? 貴様が俺に有用な何かを提供できる、というのか?」
「そうだな……この世界の真相を提供する、ってのはどうだ?」
笑い声を交えながら、そう言ってみせる相手。
スウォルツが胡乱げに眉を顰める。
そのまま呆れるように肩を竦め、彼はそちらから視線を外した。
「貴様が語れる真相とやらに、どれだけの信憑性がある。
ましてそんなものを聞いた所で、俺の目的の役に立つわけでもない。話にならんな。
それで終わりか? 仮面ライダー……」
じゃり、と。ブーツが地面を踏み締める音がする。
暗闇の中で動き出したものが、スウォルツに向け歩き出していた。
そんな相手の正体など、とっくに理解している。
この相手に向けるべき名前は―――
「エボル」
「惜しい! 正解はブラッドスターク」
パチン、と指を弾きながら楽しそうな声。
―――名乗りながら、その存在は暗闇の中から踏み出してくる。
現れるワインレッドの装甲は、コブラを思わせる造形。顔面を覆うエメラルドグリーンのクリアゴーグルに指を這わせながら、彼はおかしげに笑ってみせた。
「もうちょっとで、お前の言う姿を取り戻せる所だったんだが。
ま、今さら愚痴ってもしょうがねえよな」
「…………」
惚けたような声でぼやく相手。
それを無視し、無言のまま歩き去ろうとするスウォルツ。
足を止める様子もない彼に対して、ブラッドスタークは大仰に溜め息をひとつ。
壁に背中を預けつつ、呆れた風に肩を竦めた。
「ったく。はいはい、分かったよ。前金として一個情報をくれてやる。
それでどうか判断してみりゃいい」
彼の物言いに対して、スウォルツが足を止めた。
そもそもなぜこの時代の街に、この存在がいるのかも分からない。
その情報が得られるだけでも価値がある。
スウォルツが足を止めたのを見て、愉快げに笑うスターク。
「……そうだな。まずはひとつ、オレのいた世界を、仮に
お前のよく知る世界を、
そんでもう一つ、まったくの異世界……
まず彼が行ったのは、前提条件の確認。
この世界は並行などという言葉では片付けられない。
世界基盤の時点から、まったくの異なる世界。
彼らの世界が交わることなど本来なく、近づくことすらありえない。
だというのに、今こうして世界はこうなっている。
だが、そういう事もあるかもしれない。
時の王者とは、それほどの―――
「なあ、
「なに?」
何を訊かれたのか分からず、訊き返す。
そうなるだろうな、とスタークが肩を竦めた。
「いや、お前たちはB世界が世界融合の中心だと思ってるんだろう?
まあオレだって何も知らなきゃそう思ったかもしれないが。そうそう、オレも逃げ込んだパンドラボックスの中から見たんだよ、あの仮面ライダーの王様。おお、怖い怖い」
誰も彼も、事情をある程度知っている連中はB世界に視線を向けるばかり。
あの王者は一体何をやったんだ? とばかりに首を傾げている。
だが一部始終を見ていた彼は知っている。
強いて言うなら見守っていて、多少は助力したのかもしれない。
だが、基本的にあれは蚊帳の外にいたのだ。
「B世界とC世界がまず混ざり。そして時が進むにつれ、連なる他の仮面ライダーの世界を呑み込んでいく。A世界もその一環として巻き込まれた。どうしてそうなったかが分からないのが不思議ではあるが、きっとそうなんだろう。
お前たちはそうやって考えてたんじゃないか?」
「――――まさか」
そうやって考えている連中に、正解は見えない。
だって答えがあるのはジオウ世界じゃない。
ビルド世界と、Fate世界だ。
「……まず混ざったのはA世界とC世界なんだな、これが。
その後に、B世界にAC世界が取り込まれた」
その後の別のライダー世界の編纂は他の連中の計画通りなのだろう。
だが、スタート地点はそちらにすら割れていない。
どうしてこうなったのか分からないのに、それを放置して進めざるを得ない。
そちらの計画の黒幕は、さぞ気持ちの悪い思いをしていることだろう。
「だが、何故……?」
顎に手を当てて、悩み込むスウォルツ。
そんな彼に肩を竦めて、スタークが親指を立ててある場所を指し示す。
視線で追ってみれば、そこに落ちているのは壊れた壁掛の時計だった。
「時計……時間?」
「西暦2017年末。何が起きるか知ってるか?」
「…………何が、とは?」
発生する出来事なら幾つか把握している。
だが、その内の何の事だという返答。
それに対して、スタークは決まっているとばかりに答えを出した。
「
丁度その年の年末、太陽系惑星のコズミックエナジーが最大まで高まるんだよ。
って言えばわかるか?」
「―――――」
スウォルツの顔が、酷く歪んだ。
その現象を必要としたのが、一人の科学者だと理解しているから。
彼が感じたものを理解して、同意するようにスタークが深々と頷いて見せた。
「まさかだと思うだろ? だが、それが答えなのさ。
A世界とC世界を繋がっちまったのは、それが原因ってわけだ。
当然、そうなればA世界とC世界は激突する。待っているのは正面衝突だ、どかーん、とな。
オレは咄嗟にパンドラボックスに逃げ込んだよ。その時―――」
「オーマジオウが介入した、か?」
それくらいしか、今世界が無事である理由がない。
スウォルツの問いかけに肩を竦めて返す。
まあ、その辺りの詳細まで説明する義理もないのだから、別にどうでもいい話だ。
「………………本来の時間の流れ、と言えばいいか? ま、オレはパンドラボックスの中で時空の狭間を彷徨いながら、何とか拾い集めたちょっとした情報しか持ってないんだが。
正しい時流においてエニグマの動力は、ネビュラバグスターと、天ノ川学園高校という吹き溜まりに生じた過去最大級のコズミックエナジー。
世界のルールが違うC世界でそれと同等のエネルギーなんて、得られるはずがなかった。どうやらC世界は時間が経つごとに、そういう神秘の力を手放していく性質だったみたいだからな」
だから、本来ならばこんな現象はありえなかった。
並行世界以上に隔たれた、異世界と言うべき世界の融合など起こるはずがなかった。
だが、それを覆す現象がその瞬間に起こってしまったのだ。
「―――それが、2017年末じゃなければな」
現代に進むにつれ、薄れていく神秘の力の世界。
だがそれは、遥か過去には尋常ではない神秘の力で世界が満たされていたという事だ。
「奴はその時、C世界で築き上げたエニグマの中にいた。
A世界にあるエニグマと、弱く儚い繋がりであっても、それは確かに繋がっていた。
それを理由に存在を保証されたそこは、残念な事に真っ白に塗り潰されなかった。
そんで、だ。奴がこれからどうなるんだと考えている内に、還ってきちまったんだよなァ。
この世界に、
まったくもって、酷い冗談だ。
どれだけの偶然が積み重ねればそうなるというのか。
その空における神の輝きは、コズミックエナジーの代わりをこなしてしまった。
神の細胞たるテオス・クリロノミアが、バグスターの代わりになってしまった。
―――『エニグマ』稼働条件が、満たされてしまった。
「本来得られるはずもなかったエネルギーとの遭遇に、奴は狂喜乱舞した。いや、まあ、現場を見てたわけじゃないが、多分な?
コズミックエナジーを使用する事を想定したシステムを、奴は死に物狂いで神代の真エーテルで稼働するように切り替えた。その結果が、これだ」
そう言ってスタークは大仰に腕を広げる。
いま、この世界。それの原因は、全てそこにあるのだと。
「A世界のエニグマと、C世界のエニグマ。
二つの並行世界合体装置が完全に駆動して、その目的を果たしちまった。
本来はぶつかり合って対消滅するはずだったところだが……
そこはまあ、お前の言う通りに王様がどうにかしたのかもな?」
そうではないと知っているが、そう言いつつ。
彼はやれやれと言わんばかりに首を横に振ってみせる。
「パンドラボックスが手元にあって助かったよ。
そうでなきゃ、オレも世界の融合再編に巻き込まれてただろうからな。
宇宙人がどういう風に処理されるか分かったもんじゃない」
時空の融合、再編。
それが発生しても、彼の抱えたパンドラボックスはそのままだった。
だからこそ彼は即座に体を捨て、その中へと飛び込んだ。
賭けではあったが、何とかなったからこうしていられるわけだ。
「結果としてオレは、次元融合の衝撃で融合地点……2017年末から2年ちょい昔に吹っ飛ばされたってわけ。仮面ライダーパラドクス、だったか? あいつも世界間移動したら到着時間が2年ずれたって言うし、その辺りはよくある程度の誤差なのかね」
その辺りは分からん、と話を投げるスターク。
彼はそこまで語り尽くした上で、改めてスウォルツに向き直った。
「とりあえずはそんなとこだ。オレは過去に吹き飛ばされた結果、いま此処にいるわけだが……
―――さて。前金にしては結構払ったと思うんだが、どうだ?」
「――――ふ、ははははは! ふははははははははははは!!」
最初から見るべき世界が違った。いまこの時代には、まだ答えが生まれていない。
その結論は、スウォルツが多くの者たちを出し抜けるだけの情報になり得た。
ウォズたちでさえこの事実は知らないのだろう。
オーマジオウが腰を上げるような事もない。ならば―――
「……っく、ああ。随分と面白い話を聞かせてもらった。
いいだろう、貴様が支払ったものと吊り合う程度のものならくれてやる」
スウォルツがブラッドスタークに向き直る。
ギンガのウォッチ、などと言われても拒否するだろう。
だが、どうせそんなものなど求めてこない。
「取引成立だ。貴様は俺に、何を求める」
「―――ああ、そうだな。
丁度いい感じの……オレが
その要求に面食らい、しかしスウォルツが笑みを深くした。
彼が取り出すのは、一つのアナザーウォッチ。
「……ふん、いいだろう。とっておきの王を作ってやる。
誰かに利用されるに相応しい、最高の
「そりゃどうも」
ついてこい、と言うのか。スウォルツが踵を返して、歩き出す。
そんなせっかちな彼の態度に呆れる風に手で顔を覆い。
そうしながら、彼は少しだけ面倒そうに言葉をこぼした。
「ただオレ、王様嫌いなんだよなァ」
今あれがどうなっているかは分からない。
出来ることならこの事案に巻き込まれ、時空の狭間で圧し潰されてれば嬉しいのだが。
だがとにかく、彼がやらねばいけないのはハザードレベルの高い肉体の育成だ。
ブラッドスターク程度のままでは、おちおち散歩もできない危険な世界なのだから。
ありがたい事に1年後には、育成のための箱庭が造り易い状況が待っている。
そう考えれば、スカイウォールでの分断から始めた前回よりは楽だろう。
まったく、ベルナージュにはしてやられたものだと。
そうぼやきながら、彼はスウォルツを追うように歩き出した。
二つの影が闇の中に消えていく。
2017年を無事に迎えた世界。
ほんの1年に満たない時間の先に、また訪れる破滅を知る者たち。
彼らは誰にも知られる事なく、その世界から消え去った。
勝ったッ!第1部完!
もうちょっとだけ続くんじゃよ。
まさか本当に完走するとは思ってなかったっていうか。
なんというか感慨深いものがあります。
これ完結表示にして続きは別作品枠にしようかな…
完結表示には憧れるが、ただそれはそれで管理が面倒な気もする。
とりあえず一区切りついたのでモンハン行ってきます。
・Fate世界の最上魁星
何かが間違ってエグゼイド世界ではなくFate世界に発生したもう一人の最上魁星。
彼はビルド世界の最上魁星と僅かながらも同期し、エニグマを製造した。が、それを動かすためのエネルギーをその世界で確保できるはずもなく―――異聞帯の降臨と共に還ってきた神代の空からエネルギーを確保し、作戦を決行した。
この世界はまずビルド世界とFate世界が融合し、その衝撃でどちらの世界も崩壊しようとしたところに、2018年が迫っている=ジオウ世界とビルド世界の融合が迫っている、という状況を利用してジオウ世界を突っ込ませて、世界を融合する基点としての性能を持つジオウ世界を中心に強引にバランスを取り、融合・安定させたものである。スウォルツはそれをオーマジオウの仕業と見たが、その最悪の状況を何とか覆して滅亡から遠ざけたのは天才物理学者の機転である。が、それを知っているスタークは特に言及することはなかった。