統帥絹代さん   作:B・R

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本性を現したな、低文才作者!
今日ここでこれ以上の無様を晒す前にエタってしまえ!(土下座)
今回、駆け足かつ低文章力のお目汚しです。日に日に文章力が落ちるってまじだったんだ()


下・ヨセ砕撃ヲナーアリログ聖

戦いは終盤に突入している。

一進一退の攻防以外に、勝利への道は無い。

互いに互いの同胞を討ち、奮起してまた砲撃を開始する。

 

これこそが、戦車道。

 

 

「福田、指揮ご苦労。西原もよく頑張ってくれた」

「西隊長! 敵車輌、残りはフラッグ車のチャーチルとマチルダ二輌であります!」

「マチルダは我々だけでも撃破出来ますが、チャーチルの装甲は抜きにくく⋯⋯申し訳ございません」

「いや、ここまでやってくれたんだ。何ひとつとして恥じることはないさ」

 

 

私が合流した時には、残存戦力は福田車と西原車だけであった。しかし、私が合流したことで、戦況は五分。否、我々の圧倒的優勢であると言えよう。

西原は、いつもの特二式内火艇(カミ)からチハへの唐突な移動だというのによくここまで頑張ってくれた。

福田も、いきなり九五式軽戦車から私のチハに乗り換えてもらった挙句、副隊長の責務すら負わせてしまった。しかし結果として、予想以上の戦果を挙げてくれたのだ。誇らしい。

 

だが、彼女達だけじゃない。

 

ここまで、我々の勝利の為に貢献してくれた同胞達が、今、猛烈に愛おしく誇らしいのだ。

 

 

 

「西さん、分かってはいたけれど、貴女、やはりお強いですのね」

「ええ。我が同胞(知波単の血肉)は精強ですから」

「少し、羨ましいですわ。⋯⋯でも、私にだって背負うものがありますの」

 

 

 

声が聞こえる距離。声は大きくなくとも、エンジン音に掻き消されずに、私の耳にすんなりと入ってくる。

あの聖グロリアーナ女学院戦車道部隊を率いる隊長、ダージリンにそう言ってもらえるとは、こちらとしても光栄だ。

 

 

 

「先輩からこの座を受け継ぎ、私なりの方法で聖グロリアーナ女学院に貢献してきたつもり。でも、私は、私ひとりでは到底ここまで辿り着けなかったと理解している」

「⋯⋯」

「犠牲なくして勝利なし。でも、犠牲にするのはいつだって大切な仲間達。なら、どうして私達隊長が彼女達を犠牲に出来るのか知っていて?」

 

 

 

ああ、分かっている。

それは、私自身、理解しなくてはならないと断言する。隊長であるのなら、尚更に。

 

 

 

「⋯⋯愚問ね。さあ、決着を付けましょう」

「はい、そうですね。私達の戦いに美辞麗句も哲学的言葉の類も必要無いでしょう」

 

 

そう、要はこれだけに集約する。

 

 

「「―――私達は、負けない(・・・・)。今はただ、これだけの想いを胸に戦うのみ」」

 

 

獰猛な笑みが交錯する。

戦車が動き出す。

更地と化しつつある村落を、決戦の地にせんと駆け出す。

 

 

「福田、西原、マチルダを任せる! 旗車は私が討つ!」

「了解であります!」

「了解致しました!」

 

 

この戦いに勝つ。今はただそれだけだ。

 

 

 

「⋯⋯! 砲撃!」

「⋯⋯回避ッ!! 当たれば終わるぞ! だが、当てれば終わる! 倒すまで気を緩めるな!」

 

 

チトを操縦する同胞達を鼓舞する。

確かに、当たり所が良くなければチハでは撃破は出来なかった。しかし、チトなら当てれば勝てる。しかし、それは至近距離であるが故に相手も同じ。直撃を食らえば、チトとて一溜りもない。

 

 

「⋯⋯ッ」

「ぐっ!」

 

 

砲弾が砲塔に掠り、振動が伝わる。今にも振り出されそうだ。

だが、車内に戻るつもりはない。

この切迫した状況下で、私が目となり耳とならなければ雌雄は容易く決する。

 

ちらりともうひとつの戦いを見れば、西原が撃破され、福田がマチルダを一輌撃破したようだ。

なかなかどうして、ここまで福田がやってくれるとは思っていなかった。先も、あの戦力差でありながら、ダージリンの戦術の尽くを潰していたようである。

⋯⋯彼女は、強くなった。彼女ならばあるいは。そう思う。

 

だが、今は目の前の強敵。

砲弾が残り少ない。そろそろ、決めるしかない。

 

 

 

「⋯⋯!」

「⋯⋯チト、抜刀!!」

 

 

軍刀を抜き放ち、狙いを指示する。

抜刀。それは、一撃で決める合図。然るべき時まで狙いを定め続けること。

その間もチャーチルからの砲撃は続く。時には真横に着弾して土煙を上げ、時には側面を掠って車体を大きく揺さぶる。

 

 

「まだ、まだまだ」

 

 

勝負は一撃で決まる。

一撃で決める。それが、この戦いの真髄。

チャーチルの履帯が民家の跡地に乗り上げる。

 

⋯⋯今だ。この瞬間しか、有り得ない。

 

 

 

「⋯⋯―――突撃ッ!!」

 

 

 

急速前進した四式中戦車の質量が、チャーチルへと突撃する。

至近距離であっても、チハでなく、チトの質量ならばチャーチルの堅牢さをも揺るがす武器となる。

 

チャーチルの車体がチトの進行方向に傾く。

 

 

 

「これで、終わりだッ!!」

 

 

五式七糎半戦車砲が、チャーチルの砲塔へ火を噴いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

『知波単学園大本営発表

大戦果、抜山蓋世の如く、聖グロリアーナ女学院撃破。

本日執行の第六十三回戦車道全国大会第三回戦に於いて、我らが知波単学園戦車道科は聖グロリアーナ女学院戦車道科と戦い、その全てを打ち破り勝利した。本日の夕餉には全生徒、肉じゃがと選択甘味二品を付ける為、英気を養うこと。

また、第六十三回戦車道全国大会決勝戦には、全校で応援に出向く旨を告知す。』

 

 

 

 

 

 

 

列車に揺られ、手に持った仕立ての良い箱を眺める。

中には一目で上級と分かるティーセットが入っている。

 

 

「⋯⋯ティーセットなんて、もらってもうちじゃ使わないよなぁ」

「そうでありますか?」

「私は飲まないことはないけど⋯⋯うちの校風、質素倹約だからな。紅茶って、なんか違くないか?」

「⋯⋯西隊長は、もっとおめかしをしたら良いと思うのでありますが⋯⋯」

 

 

おめかし、なぁ。そういう話とは無縁に生きてきたし、これから先、嫁ぐとしてもまだまだ先の話になりそうだ。

それに⋯⋯。

 

 

「彼女達が一人前の大和撫子になるまでは、私もまだまだ現役で戦車道選手だよ」

「⋯⋯そうでありますなぁ」

「もう少し、女性らしいお淑やかさを持ってほしいものだなぁ」

 

 

ひしめき合うようにして眠る同胞達の姿に苦笑を零し合う。

まあ、今日はみんなよく頑張ってくれたんだ。これくらい、大目に見てやるべきだろう。

そうして、車窓から夕暮れの自然を眺めていると、向こうの車両からこちらへ向かってくる辻先輩の姿が見えた。

 

 

「ここ、座っても良いか?」

「ええ、どうぞ」

 

 

辻先輩は、福田の隣に座ると、眼鏡の位置を正して私を見据える。凛とした眼が、私を射抜くようだった。

 

 

「⋯⋯今回の戦い、流石の采配だった」

「⋯⋯はい」

「そして、これはただの苦言だ。聞き流してくれて構わない」

「⋯⋯」

「今日、お前は熱くなりすぎていた。あの、ダージリンとの熱戦に白熱したのは分かる。だが、勝利を確実のものにする方法はあったはずだ」

 

 

彼女の言いたいことは分かる。

今回の私の戦い方には、欠片も戦略性が見られなかったと、そう言いたいのだろう。

実際、TOG IIが出てきてからは、戦術などかなぐり捨てた勝ちを拾いに行く戦いだった。

 

 

「⋯⋯熱い隊長は良い。如何なる時でも、その背に縋りたくなる。その背に意志を託したくなる」

「⋯⋯」

「だが、今一度考えて欲しい。お前は、それで良いのか?」

 

 

⋯⋯それで良いのか、なぁ。

辻先輩は、私自身の戦車道について語っているらしい。こんな雰囲気だが、彼女は彼女なりに私の行く末を案じてくれているのだろう。

 

だから、答えはひとつしかない。

 

 

「この同胞達との戦いこそが、自分の戦車道です。こればかりは考え直しませんし、正しさのひとつであると断言します」

「⋯⋯たとえ、それが破滅の可能性を孕んでいるとしても?」

「はい。覚悟は、隊長になった時から出来ています」

 

 

たとえ、次の試合、西住さんと戦い、この身が果てても。そうして知波単学園敗北の責を私がすべて負うことになったとしても。

私は、それ以外の未来はなかったと笑って受け入れるだろう。

 

私は、嘘は吐けない。それがたとえ、自分に対してであったとしても、だ。

 

 

「⋯⋯ふっ、そうか。なら、良い。私がお節介を焼くまでもなく、お前は良い隊長みたいだ」

「辻先輩⋯⋯」

西隊長(・・・)、次も頼んだ」

「⋯⋯はい⋯⋯!」

 

 

辻先輩を見送って、また車窓の外、遠くにそびえる山々に目を移す。

 

 

次で最後だ。

そして次に待つのは、プラウダを破り我々の前に立ち塞がった大洗女子学園。西住みほ。

 

負ける負けないじゃない。負けられない、いやこれも違う。そうだ。

 

 

 

 

―――私は、負けたくない(・・・・・・)

この同胞達と共に、西住さん率いる大洗女子学園に、勝ちたいんだ。絶対に。

 

 

 

宵の空、浮かび上がる星々が、やけにぎらついて見えた。

きっと、私は彼女達を前にしたら今まで以上に己を抑えられない。だが、彼女達と戦うならば、私もどこまでもこの血に身を委ねる必要がある。

その決意は、今出来た。

 

 

「待っていろ、西住さん。私達の戦車道で、貴女の戦車道を超克する⋯⋯!」

 

 

ああ、待ち遠しい。貴女達との戦いに、焦がれる。

 

 

この西絹代の血が、大統帥の血が騒いで仕方がない!

 




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