生徒会長の義弟はお姉様!? 作:完全無欠のお姉様
快晴の空、桜が空を舞う。
行事を終え、教室が女の子の黄色い声で包まれる。
誰かに見られてるという微妙な感覚があった。
身だしなみをチェックする。
背中まで伸ばされた黒曜石のような艶やかな黒い髪。
薄化粧のひかれた
白を基調とし所々に黒と赤の線が入っている女の子憧れの服。
その服を盛り上げる乳房。
フリルがあしらわれたスカートから覗く白い足。
そしてそれを包むニーハイソックス。
乱れることなくしっかりと制服を着たその姿はどこからどう見ても女の子。
隣の席の子と目が合う。
はちみつ色の髪と
花の咲いたような顔で見ている。
微笑むとその子は白い肌を紅潮させて目を逸らした。
先ほどの視線の子なのだろう。
新しい環境で緊張してるかもしれない。
見たところ北欧の子だろう。
私もここでは友達というのも少ないのでこの子とは友達になりたいと思う。
正直言うと楽しみではあるのだ。
でも私の心は曇っている。
だって私はこんな姿ではあるが
そんな私がいるのは、IS学園。
つまり私は男の子なのに女の子しかいない学校に入学している。
ISを扱えるのは女性しかいないとされているはずなのに………
いや、私以外にももうひとりだけ男の子がいた。
女の子の黄色い声の原因の男の子だ。
今は下を向いているが、彼の顔は整っている。
私みたいな方向ではなく男の子としてなので私からすると少し複雑な感情ではあるのだが………
あ、上を向いた。
キョロキョロと周りを見渡し偶然目が合ったので微笑み返す。
彼は顔を紅潮させ直ぐに目を逸らす。
あ、また下を向いてしまった。
そんな恥ずかしがり屋の彼の名は
今となっては姓は違うが弟である。
家での事はしっかりしているが、それ以外は少しうっかりしているのだ。
今回のこの学校の入学も彼のうっかりミスが原因だと彼の姉から聞いている。
私がこの格好をするきっかけを作った人ではあるが、直接的な原因ではない。
それに彼は私の身内でもあるから責めたくはない。
姓が違っても大事な弟なのだ。
すべてはあの悪魔三人が悪いのだ………
青い悪魔と黒い悪魔そして赤い悪魔が悪いのだ。
でも私は三人に恩があるし、それに大切な人なので嫌いにはなれない。
それに身内だしってのもある。
妹と一緒にちょっとした仕返しはするかもしれないけど………
思わずため息をつく。
どうして私がこんなことに………
発端は3週間前の悪魔三人の発言から始まる………
フライパンを温める。ベーコンを1枚1枚フライ剥がしフライパンの上に並べる。
パチパチという音を奏で、少し縮む、ひっくり返すと桜色の中にほのかに茶色が混ざっている。
そして2枚目、3枚目とひっくり返していく。
ベーコンが全て焼きあがり皿に移し終える頃には姉が降りてきていた。
「おはようございます、お姉ちゃん」
「…………おはよう、イチカちゃん」
どうやらまだ眠そうなので暖かい飲み物を淹れる。
香ばしくもほのかにチョコレートのような甘い匂いが湯気とともに漂ってくる。
「お姉ちゃん朝の珈琲です、どうぞ」
「あら、ありがとう。」
トースターにパンをセットする。
中火にしてから水分を少し取った卵を投入する。
黄色を中心に透明な丸ができる。
卵を入れて数秒で火から濡れタオルの上にフライパンを移動させ黄色目掛けて一つまみ塩を落とす。
残った塩を白身に擦り落とすと弱火にした火の上にフライパンを乗せる。
数分たち黄色が温まるとお皿に移す。
うん、今日もいい出来
私が作っているのはパンと彩りのサラダに目玉焼きと焼いたベーコン。シンプルな料理であり朝食の定番料理である。
目玉焼きに黒胡椒を少し削ってからベーコンの乗っているお皿に移し、姉が座っている席に置く。
チンという音が鳴り、小麦色のパンが飛び出す
ちょうどパンも焼きあがったので皿にのせ置く。
「イチカちゃんはいいお嫁さんになりそうね」
いつもの様子でお姉ちゃんが僕に言った。
「お姉ちゃん、僕は男の子ですよ………」
「お兄ちゃんは私たちのお嫁さんだから誰にもあげない」
起きてきた妹が言った。
「だから僕は男の子です…………」
「簪ちゃん、何か忘れてないかな?」
忘れているもの………
姉はもちろんだがお父さんやお母さんにも言われている事だ。それに気がついた妹が少し赤面する。
「あ………お姉ちゃん、お兄ちゃんおはよう」
その言葉に満足し、姉と僕は笑顔になる。
「おはよう、簪ちゃん」
「おはようございます、簪ちゃん」
朝の挨拶を終え、私たちやお父さん、お母さんの分を作り終える。
最初にお箸を並べる。テーブルにパンと目玉焼きと焼いたベーコン、そしてサラダを並べる。
お父さんとお母さんがまだ降りてきていない。
「お父さんをお母さんを起こしてきますね」
「うん、おねがい」
お父さんは夜遅くまで仕事をしていたのでまだ寝ているだろう。
お母さんも一緒に起きていたので二人とも夜遅くまで起きていたということになる。
「お父さん、朝ですよ。起きてください。」
父に声をかける。
「おはよう、イチカ」
直ぐに起きてくれた
「お母さん、朝ですよ。起きてください。」
「おはようございます、イチカさん」
「おはようございます、お父さん、お母さん」
二人ともすぐに起きたので3人でダイニングルームに行く。
どうやら二人は先に食べずに待っていてくれたらしい。
二人もおはようと言葉を交わし、テーブルに着く。
『いただきます』
食前の挨拶だ。
食事中は食事に関係しない話しはしてはいけない。更識家のルールである。
お父さんが醤油を付けるのでお父さんに醤油を渡す。
「お父さん、お醤油どうぞ」
「イチカ、ありがとう」
ちょうどいいタイミングだったみたいだ。
そして私たちは黙々とご飯を食べる。
目玉焼きを箸で割ると中から黄身が滝のように溢れてくる。
小麦色のパンにバターを乗せる。照明を反射し光り輝く。
かぶりつくとサクッっと音が鳴る。中はふわふわしている。
食べ終え食後の挨拶をする。
『ごちそうさまでした』
ご飯を食べ終えたら自由に話をしていい時間となる。
「あ、イチカちゃんと簪ちゃん。お昼の予定空けといてね。二人に関係する大事な話を客間でするから」
お姉ちゃんが言う。大事な話、今話題の男性操縦者関係の話であろう。
「はい」
「うん」
そして雑談を交わし各々の用事をする。
食器を洗い、掃除や洗濯等の家事をする。家事を終えると勉強の時間だ。
これからは高等学校に通うことになるので予習、復習は忘れないで行う。
気がつけばお昼に近い時間帯になっていた
そろそろ時間なので客間に向かう、その途中で簪ちゃんと合流する。
客間の前に着いたのでノックをする。
コンコン コンコン
「どうぞ」
入室の許可が出たので入る。
そこには男性が1人、女性が3人いた
男性は総理大臣、そして女性3人は私のよく知っている人だ。
1人は勿論だが姉である更識楯無。
もう1人は黒のレディーススーツを着こなした私の
最後の1人は不思議の国のアリス風の服を着ている世間一般では
まず先に総理大臣である男性が話す。
「君が更識一夏君で間違いないね?」
「はい」
私の返答を聞き総理は狐に包まれたような顔をする。
「ふむ、幾つか質問があるのだが………」
そしてなんとも言えない表情をしながら言った。
「失礼だが君は男性で合っているのかね?」
まさかの質問が直球で飛んできた。
まぁ、この容姿では疑問に思うだろうけど。
「こんななりではありますがれっきとした男性ですよ」
「つまりは本当は君が世界初の男性操縦者というわけになるのだね………」
まさかの情報を知られていた。
それを知っているのは
その二人のほうを見る。
片方は申し訳なさそうな顔をしている。
もう片方は目を逸らし知らないふりをしている。
後者を呆れた目で見る。
「はい、それを知っているのは二人のみのはずなんですけどね………」
総理は苦笑いしつつさらに質問を重ねる
「今、世界中で報道されている男性操縦者の事は知っているかね?」
僕の弟の事の質問だった。
「織斑春秋君の事ですね」
「ああ、その春秋君だが4月からIS学園に通ってもらうこととなる」
前例の無い男性操縦者だ。
自然にそうなるだろう、データの調査そして彼の保護でそういうことになるとは思っていた。
もしかしたら私も同じ名目で入学させられるのだろう。
「君も男性操縦者になるので同じ学園に通ってもらうという訳だが………」
総理が言葉に詰まった。
「………更識一夏君、君にはIS学園に女子生徒として通ってもらう」
「えっ………?」
思わず声が出た。
IS学園に通うまでは分かる。
ISというものを起動させてしまったからには織斑春秋という前例がない人を男子生徒として入学させるしかないのだ。
なので男子生徒としてならまだ分かる。
でもそれに
「総理。今、僕の気のせいでなければですが女子生徒として通ってもらうって言いませんでしたか?」
「ああ、女性に変装して女子生徒の
聞き間違いではなかったし、偽名まで決まっていた。
「身辺調査されても大丈夫なんですか?」
「イチカちゃん、私たち更識と日本政府が手を回してるのよ?」
実質私の詰みであった。
「すまない一夏………実は私も一夏を教え子にしてみたいって思って乗ったんだ………」
千冬姉からとんでもない言葉が聞こえた。
「織斑先生もですか………実は私も一夏ちゃんと簪ちゃんと一緒に学園生活してみたかったんですよ」
姉はいつもの調子だった。
「もしバレても束さんが何とかするから安心して行ってきなよ!!」
束さんもいつも通りだった。
「3人で一緒に学園生活送りたい………ダメ…?」
滅多に我儘を言わない簪からの貴重な我儘だ。
僕には断る術がなくなってしまった。
「はぁ………はい、やりますよ…」
そして千冬姉から教科書そして制服を貰い、束さんからは専用機を作成するという約束を。
総理からは日本代表候補性の立場を。
最後に連絡先を交換して別れた。
自室に戻り貰った教科書を開く。
歴史関係は今までの予習でしていたこととあまり変化はなかった。
やっぱりISの専門用語が僕を苦しめていた。
専門用語を覚えるために教科書の用語をまとめていると姉が入ってきた。
「イチカちゃん入学してからのために女の子のお勉強してもらうわよ!」
女子生徒として入るのだから当然であろうことだった。
姉の部屋に場所を移り、部屋に入るなり姉は化粧台の前に私を座らせた。
「お肌のお手入れはいつもしているから………お化粧の勉強ね!」
メイク道具を出し僕に化粧を施していく姉。
下地、ファンデーション、アイライナー、マスカラ………
その手際は慣れているので早い。
姉のアドバイスを聞く。
そして化粧を施し終えると僕に鏡を見させた。
そこには物語に出てくるようなお姫様がいた。
「やっぱりイチカちゃんはかわいいからメイクの甲斐があるわね」
お化粧は女の子の使える魔法、その言葉が出てきた。
「お化粧以外にも言葉遣いや歩き方、礼儀作法も学んでもらうからね!」
姉のその一言をきっかけに僕のオンナノコの勉強が始まった。
時々何故か束さんと姉が二人で意気投合し私主催の撮影会を開催していたが………
その時に束さんの親友に姉も追加され正しく混ぜるな危険な光景になり、嬉しさ半分恐ろしさ半分であったが………
かと思えば付けたら本物との違いが一切わからないパッドとそれ専用の接着剤そしてリムーバーを開発していたり………
あの特訓から3週間を迎えた。
雲一つない空を白い傘を差しながら歩く、陽気が心地いい。
前も後ろも女の子の黄色い声が響いている。
桜の舞う道を3人で歩く。
入学式の日でも生徒会長の座を奪おうと姉に対しての襲撃が後を絶たない。
そして私と簪ちゃんは挨拶してくる人が絶たなかった。
黄色い声が一際大きくなる。校門前に織斑先生がいた。
「おはようございます、織斑先生」
「おはよう、更識千夏」
左には生徒会長兼姉の更識先輩。
「おはようございます、織斑先生」
「おはよう、更識楯無」
右には同級生兼妹の簪ちゃん。
「……おはようございます、織斑先生」
「おはよう、更識簪」
このIS学園に
主人公(更識千夏)をお姉様と呼ばせたいキャラは?
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