それが難しい。
話しかけてきた男は名乗る。
「俺は佐藤和真。カズマでいい。君は?」
「私はChara。好きに呼べばいい。」
「なぁ、唐突で悪いんだが…、仲間になってくれないか?1人だろ?」
ん?本当に唐突だな。某少年漫画の麦わら帽子みたいなことを言い出したぞ。
カズマとやらは、小さくガッツポーズして「1度やって見たかった」とでも言いたげな顔だ。
正直そのドヤ顔みたいな表情が心の底からムカつく。
まぁ、カズマの言う通り1人だ。
たしか何人かで組むのが普通らしい。
といっても私は1人でも困らないし、
誰かとはあまり組みたくない。
「返答は…Noと言いたいんだが…」
そこまで言いかけるとカズマが急に必死になって言う。
「頼む!うちには継続的に戦えるような奴が1人も居ないんだ!上級職ばかりなのに、戦える奴が全く居ない!頼む!」
ここまで必死になられると逆にキモイ。
これは仲間になるまで鬱陶しく付き纏うタイプだな。
「わ、分かったよ…。とりあえずお仲間のとこに案内してくれないか?」
嫌だったら、そっと帰ればいい。
嫌なところに長居する理由はないし、
食事にも寝泊まりにも困らない。
「ほ、本当か!よーし!じゃあ案内しよう!」
すげー張り切ってんな。
連れてかれたのは大きな家。
館とか豪邸とかイメージ的にはそんな言い方が正しいんじゃないかな。
中に入り、カズマはみんなを呼び寄せる。
まず最初に来たのは眼帯を付けた魔法使い。
そして騎士っぽいやつ。
そして最後に……。
「なんなのカズマー。話があるって…」
「仲間を連れてきたんだ。心強い奴をだ!」
「へー、どんなや…つ……。」
そいつは私を見てフリーズする。
それは恐怖からか、それとも驚きからか。
私も驚いた。
まさか、こんなに早く「女神アクア」に会えるなんてな。
「おー、誰かと思えば、「アクア様」じゃないか。」
そんなふうにいつものようにニッコリと笑ってみせる。
「カズマぁぁぁぁ!こいつはダメよ!ダメェェ!」
カズマはどういうことかと聞いてきたので、説明をした。
ここに至るまでの苦労と、アクアの失態を。
カズマは同情するように肩をポンと叩き言う。
「そっかー、お前もそんなのかー。うんうん。」
どうやらカズマも苦労してる模様。
「カズマカズマ!この人目が赤いようですが、紅魔族ですか?」
眼帯の少女がそんなふうに聞く。
「違うな。その紅魔族とやらではない。」
次に騎士のようなものが聞く。
「ちなみに実力はどれくらいだ?ジョブは?」
「一応アサシン。レベルは10ってとこだ。」
苦労の賜物だな。腹は立つが。
「とりあえず皆自己紹介するか。俺はしたけどな。」
とりあえず自分から始める。
「私はCharaだ。好きなものはチョコレートとナイフ。嫌いなものはニンゲンだ。」
そして次に眼帯の少女。
「我が名はめぐみん!紅魔族随一の魔法の使い手にして爆裂魔法を操る者……!」
決まったとでも言いたげな顔をしつつも、カッコつけたような顔をする。
あぁ…そういうタイプの奴か。
「ところでその眼帯はなんだ?本気を出すとそこが光ったりとかするのか?」
槍は持ってないけどな。
「あ、いえ、これは飾りです。でもその着眼点は悪くないです!あなたとはいい友達になれそうですね、ふふふ…」
飾りかよ。
少しだけ期待した私が馬鹿だった。
次に騎士っぽい奴だ。
「私はダクネスだ。クルセイダーをやっている。」
あぁ、今度はマトモそうだ。
「ところでCharaといったか、君は私の求めていた人間な気がするんだ!」
ハァハァとして、口角が上がっている。
若干ヨダレがたれそうな感じだ。
しかも顔が近い。
「寄るな、キモイ」
とりあえず鼻あたりを強めにパンチし、遠ざけておく。
するとダクネスは納得したように言う。
「その意気だ!」
何がだよ。
ここまでずっとカズマは渋い顔というか、哀れみの顔というか、悲しそうな顔というか、なんとも言えない顔をしている。
そして最後に女神。
「知ってると思うけど一応やるわ。
私はアクア。女神アクア。アークプリーストよ。」
ここまでの印象としては、カズマの悩みが少しだけ分かった気がする。
私を必死で仲間にしたがる訳だ。
いつものようにステータスとスキルを見てみる。
いつの間にかスキルまで見れるようになってたのは驚きだ。
少なくともカズマは弱いが役に立つ。
めぐみんは使い所によるな。1発で終わるから、使い所を考えないとダメなやつ。
使えなくはないからまだ良いだろう。
ダクネスは盾だ。
だが、相手にされないようだから本当に役に立たない気がする。
まぁ、場合によるな。
強大な何かの足止めと盾くらいは行けるだろう。
アクアは…はっきり言ってクズかもしれない。
アークプリーストとしてはまだ使える。
でも宴会芸スキルを取ってるやつなんか頼りにしたくない。
…カズマが哀れになってきたので入ることにした。
「はぁ…、いいぞ、入ってやる。なんかカズマが可哀想になってきたし。」
そう言うとカズマが喜ぶ。
「ありがとう!本当にありがとう!これで少しは楽になる!」
こうして波乱万丈な日常は幕を開ける。
正直今の気持ちとしてはその幕を閉じたい気分だ。
カズマのストレスが少し少なくなると良いなって。
Charaも大概な気がするけど、このメンツと並べると常識枠になる不思議。