星屑ストレージ   作:藍沢 七星

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始まりのスターライト

ハローハロー

聞こえますか?

ハローハロー

届いてますか?

 

毎日のように送ったはずの言葉が、君のトコロに届いていると

毎時間のように確認したメールは、悲しいブルーを表示する。

こんなに近くにいるのに

こんなに遠くにいるようで

こんなに離れていても

こんなもので繋がっているんだ。

 

それはとても心強いようで……

それはとても心細かった。

 

 

一節

 

「カシオペヤ座って知ってる?」

 

 神崎 夕は授業中、前に座る私に声を掛けた。

 背中から聞こえた声に、かるく顔を向けた。担任の大重にバレてしまわないように、そっと目だけを夕へと向けた。

 

「どうしたの?いきなり」

 

 社会科の授業は、教材そっちのけに担任の趣味話で盛り上がっていた。この担任、トリビアにかけては右に出るものは居ないと言わんばかりだった。

 しかし、そんなくだらない話に飽きが回ったのか、私の後ろに座っている夕はこれまた関係ない話を持ちかけてきた。

 

「カシオペア座じゃないの?」

 

 私は夕の言葉にちいさく返事をした。横目で見る夕は、少し自慢気な顔をして続けた。

 

「正式には”カシオペヤ座”なんだよ。篠崎はまだまだだなぁ。」

「夕……それは外国語の発音上、どちらでも読める言葉なのよ?」

 

 私、篠崎 香穂子は中途半端な知識を振り回す夕に、毎日振り回されていた。夕の言葉は信憑性に欠ける。だけど、今話している大重先生のトリビアよりは全然楽しかった。

 

「他にもあるの?ヤとアが違うも――」

 

 夕が興味津々に前に乗り出したところでタイミング悪くチャイムが鳴った。

 

「もうこんな時間か。よし、みんな終わりだ。今日話した部分の三割は来月のテストで出すからな。」

 

 その三割すらも覚えていないだろう皆は、1人の声に千々に立ち上がり一礼をした。

 

「あー、お昼だねー。どこで食べようか?」

 

 夕は、先ほどの話などもう覚えてなどいない。

 

興味<昼食

 

 なのだろう。

 

 

 

 屋上

 普通では入ることすら許されない場所だった。

 だが、この学校に限っては”禁止”はされている。しかし、屋上への扉は鍵など掛かっていない。

 だからといって、誰かがいるというわけでもない。

 錆びたフェンスが並ぶ屋上にはなにもない。たったふたりぼっちのセカイで、小さな箱を広げ談笑を始めた。

 

「――てなことがあったわけでさー」

 

 夕の言葉に相槌を合わす。

 弁当箱の中身が一向に減らない夕とは対象的に、私の中身はすでになくなっていた。

 

「早く食べないと休憩終わっちゃうよ?次、体育だし。」

「そうだっけ。……あっ」

 

 夕は、何かを思い出したかのように声をもらした。

 ゆっくりと私を見つめ直し「体操服忘れた。」と言いながら、大好物のタコさんウィンナーを落とした。

 

 

 

 

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