ブレイクブレイド 〜メイド・イン・アメリカ〜   作:主(ぬし)

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後編です。


後編

 三日後。

 

 若く淡麗なその青年は、切り立った広い崖の上から、背後からの朝焼けに染まりゆくクリシュナを見渡していた。小国クリシュナの朝は、工業がそれほど発展していないが故に空気は澄み、爽やかだ。愛機エルテーミス・エレティコスのコックピットに乗っているとその視点はさらに高く、清浄な大気のおかげで薄ぼんやりとした首都の輪郭まで視界に入れられそうだ。だが、首都を挟んで反対側、あの朝日が昇る東の空の下では、アテネス軍選り抜きの猛者たちが今か今かと攻撃の鬨の声を待っている。

 

「ゼス将軍」

 

 呼びかけに応じ、エレティコスを操って機体ごと背後を振り返れば、アテネス軍屈指の精鋭が駆る最新鋭機エルテーミス総勢300機という大軍勢が己の背後に軍用犬のようにぴったりと控えていた。エルテーミスは跳躍力が非常に優れ、小国の防壁程度はらくらくと飛び越えることができる。それが300機、高位魔動士とセットでここに揃っている。クリシュナのゴゥレム保有数、そしてその質を遥かに上回る、過剰とも言える戦力だ。しかし、これはライガットとそのアンダーゴゥレムの存在を警戒して故である。ゼスのかつての友は、それくらいに脅威なのだ。

 

「やはり、様子がおかしいのではありませんか。無抵抗にすぎる」

 

 ゴゥレム同士のすれ違いざま、副官を任せたイオ大佐が疑問を投げかけてきた。その眉根は歪み、明らかに混乱している様子だ。ゼスは優秀な副官の疑念に同意するように重々しく頷きを返した。彼自身も、この静けさを不気味に思い始めていた。主力300機を正面北口から、精鋭中の精鋭で編成された別働隊50機を密かにクリシュナ国東南の険しい山地から時間差で攻めさせてクリシュナ軍を混乱させる作戦だったが、今は逆の立場になっていた。彼らは混乱し、相手の意図を探りかねていた。クリシュナへ繋がる街道には幾つもの関所があり、本来、そこには小規模の駐屯地が設営されているはずだった。3日前までの偵察では、たしかにそこにゴゥレムなり兵士なりが駐在していた。進軍の途中、そこで抵抗を受けるなり、少しでもアテネスの進軍速度を妨げようと伏兵が出現するなりという事態が必ず発生するはずだった。しかし、実際は、クリシュナ正面に至る道はこの崖まで一直線に無人だった。一機のゴゥレムどころか兵士も、関所の職員もいない。まるで、「こっちだ、こっちだ、早く来い」と誘われているように、ゼスたちはここまで到達できてしまった。

 

「ホズル───クリシュナ9世王に行った降伏の呼びかけについて、応じた様子はあるか?」

「ありません。降伏を呼びかける放送は相も変わらず無視されています。それどころか、国境付近にはクリシュナのゴゥレムの姿も認めらません。完全に無人です。まるで明け渡さんばかりで、奇妙です」

 

 偵察を終えてやってきた下士官の報告に、ゼスもイオも耳を疑って顔を見合わせた。降伏もしないが抵抗もしないとは、理にかなっていない。本来なら、クリシュナは廃棄場に眠っているゴゥレムすらもを叩き起こして頭数を揃えて主力に対抗せねばならないはずだ。そうでもしないと戦えないのは自明の理だ。だからこそ、そうして全軍がゼス率いる主力の相手に躍起になっている最中に別働隊が強襲し、首都を制圧するという想定だった。これであれば、戦争は早く集結する。それがゼスの考えだった。だが、何かがおかしい。ゼスの背筋を言語化できない怖気が這い上がってきた。

 その怖気の答えの一端は、遥か東南方向から聞こえてきた爆発音と、必死の形相で走り寄ってきた別の下士官によってもたらされた。

 

「別働隊より緊急連絡! 谷間でクリシュナ軍の伏兵と接敵! 伏兵の将はバルド将軍! その数、およそ200! 敵は高方に陣取り、地形的に極めて不利! 完全に囲まれているようです!」

「なんだとぉッ!?」

 

 イオが目を剥いて動揺した。ゼスもまた、表面は冷静を装いながら、その胃の腑はひっくり返るほどの驚愕に襲われて戦慄いていた。別働隊の動きを見破られていた。険しい山道を踏破するために特別なチューンアップが施されたエルテーミスは迷彩色に塗装されており、主力よりずっと前から進軍を始めてゆっくりとクリシュナまで迫っていた。上空からでも見ない限り発見されるはずはなく、この世界には空を飛べる者などいない。発見される可能性はまずなかった。

 

「ゼス様、200機というのは、クリシュナの保有するゴゥレム全機です!こんなこと、ありえるのでしょうか!?」

 

 しかも、その戦力規模は伏兵とは到底呼べない。クリシュナ全軍がその別働隊に対応しているというではないか。如何に別働隊が最新鋭で相手が旧式といえど、4倍の戦力差には勝ち目がない。抵抗はしばし続くだろうが、地形を考えれば極めて不利で、最終的な全滅は免れない。しかし、敵主力を無視して別働隊のみを攻撃するなど、常識外だ。もはやゼスたち主力はクリシュナ正面口の目と鼻の先にいて、国境の低い防壁などエルテーミスの性能の前にはなんの障害にもならない。今から引き返してきても、到底アテネス主力の進軍を妨げるには間に合わない。そんなものは愚策も愚策だ。勇名なバルド将軍ともあろう者がそんな失策を取るなど、ありえない。この前提が成り立つのは、こちらの主力に対抗できる存在がいる場合のみ───。

 

 

『俺はここにいるぜ、ゼス』

 

 

 エレティコスがその運動性能を示すかのように風を切って振り返った。それに続いてイオの機体、そして全軍が雁首を揃えて向きを一致させる。いつの間に、どこから現れたのだろう。眩しい朝焼けを背に、“将軍殺し”───クリシュナ側の機体名ではデルフィングが、ぽつんと崖の先に佇立していた。だが、そのダメージは凄まじい。右腕は根本から砕け、無い。左足は膝下から下が折れて、添え木のようなものでかろうじて支えている。胴体には幾つもの穴が空き、頭部は顔面の半分が抉れている。立っているだけで精一杯、といった惨状に、ゼスは悲しみすら覚えた。過去との決別のためにライガットとの復讐の一騎打ちを思い描いていた彼は、もはやそれが叶わないことを知り、そして昔の親友の浅はかな考えを看破したつもりになって、呆れの微笑すら浮かべた。

 

「ライガット。まさか、たった一機で俺たちと戦うつもりじゃないな?」

『いいや。たった一機(・・・・・)で、戦うつもりさ』

 

 機械的に増幅されたそのセリフに、イオは「なにを生意気な」と猛った。それに対し、ゼスは違和感を覚えて鼻頭に皺を寄せた。なんだ、この余裕は。ふんぞり返るような勝ち誇った態度は、なんだ。まるでライガットらしくない。違和感を解消させるためにゼスはエレティコスを前進させ、ライガットを追い詰める。今のライガットの機体は一歩動くだけで100の奇跡を必要とする。そんなものに負けるはずがない。

 

「ライガット、お前が時間稼ぎをしていることはわかっている。別働隊を倒したクリシュナ全軍が戻ってくるのを待っているんだろう。しかし、そうはいかない。別働隊は精鋭中の精鋭で、兵士装備ともに最新鋭かつ重武装だ。クリシュナ総兵力でかかってもそう簡単には駆逐できない。今もまだ戦闘は続いているだろう。ようやく戦闘を終わらせても、クリシュナの端から端まで旧式のゴゥレムでここまで駆けつけるのに何時間かかるか。半日は掛かるだろう。それまで、どう時間稼ぎをするつもりだ? 思い出話に花を咲かせるつもりか?」

 

 「そうだ、尻尾を巻いて帰っちまいな」。アテネス兵の嘲笑がちらほらと聞こえてきた。彼らにとっても、目下の脅威はアンダーゴーレムの戦力とバルド将軍の計略であり、それらが敵対しないと理解した今、この戦争は一昼夜で片がつくと考えていた。ゼスもそれに同調したい思いだった。そうして、胸中にふつふつとわだかまっていく不安を吹き散らし、一刻も早く安心を得たい思いだった。その期待は、アンダーゴゥレムの細部が見えるほどに接近してしまったせいで、跡形もなく破壊された。

 

「な───」

 

 無人、だった。肩口からバッサリと切断された破孔からコックピットが覗いているが、そこには搭乗者の影の形もなかった。慌てて降りて逃げ出した素振りはなかった。それを見逃すようなゼスではない。そもそも、そのコックピットは埃と土に塗れ、誰かが搭乗していた気配もなかった。その証拠にゼスが剣先で小突いてもデルフィングはピクリとも動かず、彫像のように微振動するだけだ。しかし、その頭部からはそこにライガットがいるかのように機械的な音声が発せられる。

 

『言い忘れてたぜ、ゼス。俺はな、新しいゴゥレム(・・・・・・・)に乗り換えたんだ。そっちは伝令機(スピーカー)代わりでしかない』

新しいゴゥレム(・・・・・・・)、だと?」

『ああ、そうだ。おニューだよ』

 

 不意に、怖気の正体を垣間見た気がした。ライガットのこれほどの余裕、すでに勝っているかのような口調、クリシュナ軍の、まるですでにアテネス(・・・・・・・)主力など存在していない(・・・・・・・・・・・)とでも言うかのような態度……。それらが一本の線に繋がり、ある答え(・・)を導き出そうとする。認めたくない、最悪の答えに。張り詰めていくゼスの緊張をイオは敏感に察知し、その心理の揺れは彼を介して全軍に染み渡っていった。全軍がわけも分からず浮き足立っていく。何かが、おかしい。何かが、来る(・・)

 

『なあ、ゼス。新しい機体にはな、古代世界の色んな情報が残ってたんだ。そっちの言語は俺たちが使っているのとほとんど似てて、簡単に翻訳できた。教えてやろうか?』

「ああ……聞こうじゃないか」

 

 応じながら、ゼスは全周囲に対して最大限の警戒を行った。剣とプレスガンをそれぞれの手に持ち、即座に対応できるようにエレティコスの腰をぐっと落とす。新しい機体の性能がデルフィングに匹敵するとしても、今の自分とエレティコスなら十分戦える。不意打ちなどに引っかかるものか。

 

「……?」

 

 はたと、視界に入った地面の石ころがコロコロと転がっていることに気付いた。それも同一方向ではなく、四方八方バラバラに。そこでようやく大地が振動していることを察した。エレティコスの全天式コックピットのガラスまでもがビリビリと戦慄いている。単なる地震ではない。地面ではなく大気そのものが振動しているのだ。こんな現象は初めての経験だった。ゴゴゴと地響きが音を立て、岩や木々を左右に激しく揺らす。天変地異の前触れのような現象に、さしもの精鋭たちも怖気づく。アテネス軍兵士たちの高まる不安をよそに、ライガットの異様に平然とした声が響く。この現象にちっとも驚かず、むしろ何もかも超越したような落ち着いた声音が、ゼスの不安を煽り立てる。

 

『なんで古代世界が滅んだのか? それはけっこうどうでもいい理由だった。くだらないことさ。これは捨てておこう。知りたくもないだろうしな。教えてやりたいのは、古代世界にあった国家(・・)のことだ』

「国家、だと?」

『そうさ。お前の目の前にある、そのゴゥレム───デルフィングって俺たちが呼んでたヤツさ───それを造ったのはな、“ニッポン”って国らしいぜ。変な名前だよな。発音が難しいぜ。この国の言語は俺たちとは違うんだ。でもよ、この変な名前の国、古代世界では上から3番目に強い国だったんだぜ。そりゃあ、ゴゥレムも強いに決まってるよな』

「3番目……?」

 

 ゼスの脳裏に、今までデルフィングから味わわせられてきた屈辱の記憶が蘇った。部下を討たれ、戦友を討たれ、己も討たれた。ゼスだけではない。アテネス軍は今日まで、雑兵から将軍に至るまで、デルフィングを前にして数え切れないほどの敗北を喫してきたのだ。デルフィングをここまで追いつめられたのは、アテネス軍の100を超えるゴゥレムとその搭乗者の人命、それらに比肩する時間と戦費を費やし、多大なる犠牲を積み重ねた結果であった。軍団一つを丸ごと犠牲にしてようやく追い詰めたと言って過言ではない。それほどの強敵を生み出した国家が、実は世界で3番目(・・・・・・)だったというではないか。

 げに恐ろしきは古代世界の技術力か、とほんの一瞬だけ感心し、そして当然の疑問に行き着いた。行き着いて、恐怖した。ライガットの言わんとしていることを理解できてしまって、顎がわなわなと震えた。これで世界で3番目(・・・・・・)というのなら……それなら……まさか……。

 

『だよなあ。そうだよなあ、ゼス。あれで世界で3番目(・・・・・・)だっていうのなら───世界で1番強い国(・・・・・・・・)が創ったゴゥレム(・・・・・・・)ってのは、どのくらい強いんだろうなあ。……興味は、ないか?』

 

 地響きが極限まで高まってきた。ゴゴゴゴゴ、と火山が爆発しているような重低音が腹の底をビリビリと打ち据え、鼓膜を破城槌のように叩く。もはやゴゥレムを直立させていることすら難しくなり、何機ものエルテーミスが華奢なショックアブソーバーを自壊させて崩れ落ちる。「落ち着け」と諌めるイオの声すら掻き消すその轟音は、崖の下から発せられていた。しかし、ただ発せられているのではない。崖からもっとも近い場所にいるゼスにはよく聞き取れた。音の発生源は、移動(・・)していた。崖の下からまっすぐに、ゼスの眼前に向かってゆっくりと登って来ている。そしてそれは、すぐそこまで迫ってきているのだ。ゼスの心情を滲ませるかのように、エレティコスが怖気づいて2歩3歩と後ずさる。『これ(・・)を造った国の名前だけどな』。デルフィングのスピーカーがくつくつと陰気に笑った。

 

アメリカ合衆国(・・・・・・・)、っていうそうだぜ』

 

 ドン、とひときわ激しい爆音が閃き、崖から何かが飛び出した。目が醒めるほどに強烈な紅が、その巨体に似合わぬ俊敏さと速度であっという間に視界の上方に外れた。かろうじて動体視力が追いついたゼスが真紅の何かを視野に収めようとするも、嵐のような風圧がエレティコスを叩きつけてそれどころではなくなった。プレスガンがマニピュレータからむりやり吹き飛ばされる。一瞬で音速を突破した何かが発生させた空間余波(ソニックブーム)によって、コックピットのガラスに幾つものヒビが走った。思わず近くにあったデルフィングに捕まって辛うじて転倒を防ぐ。バランスを失いそうになる愛機の手綱を必死に繰りながら、ゼスは驚愕のあまり吐き気を覚えて喉奥を胃液で焼いた。

 まさか、そんなはずはない。この世に、そんなゴゥレムなど、存在するはずが、

 

「ゼス様───ッッッ!!!!」

 

 反応できたのは奇跡だった。再現しろと言っても出来まい。ふっと覆いかぶさるように上空から降り注いだ巨大な影を視認してからでは回避できなかっただろう。その0.5秒前にイオの警鐘がなければ無理だったし、極限までアドレナリンに溢れていたゼスの脳が全てをスローモーションのように知覚していなければできない芸当だった。脳が司令を発するより先に手足が動いた。エレティコスの脚部ピストンを壊れるのも顧みず全開にしてその場から飛び退る。ゆっくりと後方に流れていくゼスの視界で、デルフィングが巨大な脚(・・・・)に押し潰されていった。かつてアテネスの宿敵とさえ思われていたアンダーゴゥレムが、プレス機に掛けられたかのように平面と化していく。あれほど頑強だった装甲が、信じられないほど強い骨格が、憎々しい顔つきが、金属片となりさがり、油が飛び散り、火を噴き、燃えて、地面に埋める勢いでグシャグシャに叩き潰されていく。代わりにそこに現れたのは、まるで悪鬼のような恐るべきゴゥレムの顔───。

 エレティコスの背中が激しく接地とすると同時にスローモーションの世界は止まった。噛みそうになった舌から血の味がする。喉奥からは胃液の苦味が逆流してきて、それらが混ざった口腔内はおぞましい味覚に満ちる。それでも、マシだった。ゲロを食べるくらい、なんだというんだ。眼前の光景を直視するよりは、よっぽど、マシだ───。

 

 ゼスの視野には入り切らなかった。あまりに巨大すぎて、頭と()の両端が、完全に視野の外だった。背部に装備された、本体と同じ真紅に染め上げられた飛行パックが轟々と高熱の炎を吐き出し、その背後の景色が蜃気楼のように歪む。そこに見えていたクリシュナ国の様相は蜃気楼の帳に隠れて見えなくなった。それは暗に伝えていた。眼の前のゴゥレムを倒さなければクリシュナには手が届かない、ということを。そして、それが絶対的に不可能(・・・・・・・)だということを。

 ゼスは唖然として首を仰いだ。視界いっぱいを満たす血のような真紅色に圧倒された。エレティコスの全高は12メイルだが、眼前のゴゥレムは20メイルはある。質量にすれば2倍なんてものではあるまい。まさしく巨人が全身鎧を着込んだような風体だ。そんな重量級でありながら、このゴゥレムは飛翔できるのだ。世界で唯一、これは空を飛べるゴゥレムに違いない。だから、別働隊の動きを簡単に見破れたのだ。

 

『俺は、ここにいるぜ、ゼス……』

「ライ、ガット……」

 

 ライガットの呻くような囁きに呼応するかのように、真紅のゴゥレムがグルルと喉を鳴らすように凶暴な動力音を発した。これだけの質量を空に浮かせるのだから、その動力炉は並々ならぬ出力を秘めているに違いない。デルフィングの燃える残骸を踏みしめ、その両肩はまるで生物であるかのように上下し、駆動に合わせて筋肉のように滑らかに盛り上がる背中は呼吸しているようにすら見える。鋭い爪をカチカチと音を立てて遊ばせ、カメラアイの内部でギョロギョロと蠢く眼球がこちらを睥睨する。明らかに、設計段階からデルフィングとは異なっている。もっと純粋な、自らに仇なす存在を徹底的に破壊たらしめんとする()を求めた、巨大かつ強大な国家と国民による狂気の産物だった。

 

「ぁ……ぅ……」

 

 さしものイオも脂汗にまみれて毛筋を動かすことすら出来ない。300機と300人の兵士たちは震えながら己の運命を呪った。一分前の自分たちの余裕綽々な態度を後悔した。なんとか自分だけでも生き残って家族の元へ帰りたい。彼らは必死に願うが、真紅のゴゥレムはそれすら許さなかった。

 

『ああ、そうだ。たった一機(・・・・・)で、戦うつもりさ。たった一機(・・・・・)で、十分だからだ。お前らは、どうなんだ?』

 

 今度は、ライガットが嘲笑う番だった。運命はひっくり返ったのだ。勝者と敗者は入れ替わったのだ。

 そうさせた機体の名は『ラスト・パトリオット』。千年前に世界を支配した超大国、メイド・イン・アメリカ製の戦略機動人型兵器である。




原作観てて、「ライガットが不利すぎひん?」と思ったので、書いてみました。
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