拙い小説ですが、どうぞよろしくお願い致します。
勇者達の邂逅
時代は新世紀300年の4月、桜満開の並木道を一人の少女が車椅子を押しながら歩いていた。
車椅子を押している少女の名は戸山香澄。猫の様な特徴的な髪型をしている。
その車椅子に座っている少女の名は山吹沙綾。艶やかなブロンドのポニーテールで青いリボンが結ばれている。彼女達はこの春から花咲川中学の2年生になる。
香澄「春だねー、今日はどんな事をしようかなー。」
沙綾「香澄はいっつも元気で羨ましい。あっそうだ今日からうちの部活に後輩が入ってくるみたいだよ。」
香澄「ホントに⁉︎放課後が楽しみだね。」
そんな他愛もない会話をしつつ二人は学校へと向かっていった。
放課後--
香澄「戸山香澄、さーやと共に勇者部にとーちゃくしました!!」
香澄が元気よく勇者部部室のドアを開けるとそこには二人の生徒が話していた。
一人は牛込ゆり--この花咲川中学勇者部の部長であり香澄と沙綾を勇者部へ誘った張本人である。
ゆり「あっ香澄ちゃんに沙綾ちゃん。ちょうど良かった、この子が今日から新しく勇者部の一員になりまーす。」
そう言ってゆりはもう一人の生徒をずいずいっと前へ出し、その子はもじもじとしながら自己紹介を始める。
りみ「あっ、あの、どうも初めまして。わ、私1年の牛込りみって言います。ど、どうぞ宜しくお願いします。」
香澄「わー初めまして、私、戸山香澄って言います。よろしくねーりみりん。」
りみ「り、りみりん⁉︎」
香澄「あー、りみりん変だったかなー。何となくりみりんって感じだったからそう呼んでみたんだけど嫌だった?」
りみ「ちゃ、ちゃう!あっ違う…嫌じゃないですよ。」
香澄「可愛いーー。確か関西弁って言うんだよね、さーや。」
沙綾「そうだね。西暦の時代にあった関西地方の言葉だったよね。あっ紹介が遅れたね、私は山吹沙綾。これから宜しくね。」
りみ「よ、宜しくお願いします。」
軽くお互いが自己紹介を済ませたところで香澄が呟く。
香澄「ん⁉︎りみりん確か苗字牛込って・・・。」
ゆり「そう、りみは私の妹だよ。成績優秀・容姿端麗・完全無欠、私の自慢の妹よ。」
りみ「そっ、それは言い過ぎだよお姉ちゃんーー!」
ゆり「さて、本日の活動も終わった事だしりみの入部祝いで何か食べに行きましょうか。」
ゆりが言い出すとすぐさま香澄が食いつく様に、
香澄「さんせーです!」
と言い、沙綾も続けて賛成する。
ゆり「じゃあ早速かめやへレッツゴー!」
かめや--
沙綾「ゆり先輩そのうどんで3杯目ですよ⁉︎」
沙綾が驚きながらゆりに尋ねると、
ゆり「何言ってるの、うどんは女子力を上げる食べ物だよ。」
と笑いながら答える。
ゆり「そうだ、時期が早いんだけど今年の文化祭についての相談なんだけど…。」
ゆりが3人に向けて話し出す。
りみ「お姉ちゃん、今から文化祭の事決めるの?」
沙綾「去年は準備が間に合わなくて何も出来なかったんだよ。」
りみが尋ね沙綾が答える。
暫く4人が考える中香澄が口を開く。
香澄「今年はバンドなんかやってみたいです。何かキラキラドキドキしそう。」
ゆり「キラキラドキドキって抽象的だなぁ…まぁでも斬新でもあるね。それで計画進めて行きましょうか。沙綾ちゃんとりみもそれで大丈夫?」
沙綾「頑張ってみます。」
りみ「大丈夫だよ、お姉ちゃん。」
ゆり「よーし、じゃあ今日はこれで解散。」
香澄は沙綾と、ゆりはりみとそれぞれ帰路に着く。
帰り道--
夕日が射す川沿いの道を牛込姉妹は歩いていた。
ゆり「りみ、夕飯は何を食べようか。」
りみ「お姉ちゃん、まだ食べるの⁉︎」
ゆり「うどんは別腹だよ(笑)。」
そんな他愛もない会話が続く中で、ふとゆりがりみに尋ねる。
ゆり「りみ、もしお姉ちゃんに隠し事があったらどうする?」
りみ「どうしたの?急に。そうだなー、付いて行くよ何があっても。だってお姉ちゃんは私の唯一の家族だもん。」
ゆり「そっか。ありがとう。やっぱりみは私の最高の妹だよ。」
りみ「何か今日のお姉ちゃん変だよー。」
2人は笑いながら家路に着いた。
牛込りみが勇者部に入ってから1ヶ月が経った頃、授業が始まる前山吹沙綾は昔を思い出していた。
沙綾(私は2年前からの記憶が無い。そんな中引っ越した先で香澄に出会えた事は本当に奇跡の様な事だった。)
ーーー
ーー
ー
1年前--
香澄「もしかして隣に引っ越して来た人?私の名前は戸山香澄。お隣さん同士これから宜しくね!」
沙綾「私は山吹沙綾。戸山さんこれから宜しくお願いします。」
香澄「香澄で良いよー。あと敬語も無しね!そうだ、この街を案内してあげるよ。」
ー
ーー
ーーー
香澄「……ーや。さーや。」
沙綾「あっ、何⁉︎香澄。」
香澄「さっきから上の空だったよ。何かあった?」
沙綾「ううん、何でも無いよ。ちょっと香澄と初めて会った時の事を思い出したの。」
香澄「そっかぁー。大体1年前だったよねー。」
沙綾「そうだね。あの時香澄が友達になってくれたのは本当に嬉しかったよ。」
香澄「それは私もだよ。だからこそさーやと一緒に勇者部で何か出来る事がとっても楽しい。誘ってくれたゆり先輩には感謝だね。」
沙綾「本当だね。あっそろそろ授業が始まるよ。」
クラスメイト「起立!礼!お祈り!」
ここに限った事ではないが四国の学校では授業の前に必ずお祈りをする。この四国以外の地域は未知のウイルスで壊滅してしまい。日本の八百万の神々が樹となり四国を囲む様に結界を張って四国の人々を守っていると教えられている。
その教えを説いているのが"大赦"と呼ばれている所だ。四国のありとあらゆる機関を運営している。この花咲川中学もその1つだ。
授業中、戸山香澄は考えていた。
香澄「うーん、バンドをやりたいとは言ったものの何から始めれば良いかなー。楽器は学校にあるから曲を作らなきゃなー。作詞とかどうやるんだろう。」
そんな事を考えている中当然スマホからけたたましくアラームが鳴り響いた。
香澄「わぁ⁉︎何なのこの音。こんな音設定してなかっ……」
ふと周りを見渡すとまるで時が止まったかの様--
いや、比喩では無く本当に時が止まっているのだ。他のクラスメイトは動かず、落ちる木の葉は空中で静止し音も聞こえない。
香澄「何なのこれ……。」
香澄が呆気に取られながら周りを見回すと香澄以外にも動いている人が。
沙綾「香澄、これって一体⁉︎」
沙綾だ。2人が驚きながらスマホをする見るとスマホには
--樹海化警報--
と書かれていた。
同じ頃、牛込りみもこのアラームや時が止まった事に驚きゆりの教室へと足を走らせた。
りみ「お姉ちゃん!何このアラーム。それに樹海化警報って。」
驚くりみを余所にゆりは落ち着きながら答えた。
ゆり「りみ、よく聞いて。私たちが"当たり"だった。」
突然周りの景色が変貌していく--
その景色はまるで木の根の様な、しかし根の色はカラフル。異質とも呼べる景色が広がっていた。
新世紀300年5月--
勇者部の日常は終わりを告げたのだった。