戸山香澄は勇者である   作:悠@ゆー

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勇者達の前に現れたのは3人目の香澄だった--

彼女は果たして敵か味方か--




3人目の香澄

 

 

勇者部部室--

 

中たえ「愛媛奪還第一戦、勇者部大勝利おめでとう!」

 

リサ「みんなお疲れ!ご飯を作って待ってたよ。」

 

香澄「やったぁー!もうお腹ペコペコだよ。」

 

みんなはリサ達の料理に舌鼓を打った。

 

リサ「じゃあみんな食べながらで良いから聞いて。まず、愛媛での初戦は私たちの勝利だよ。だけど、今後は愛媛への敵陣営へ攻撃を仕掛けつつ、香川の防衛もしていかなきゃならない。」

 

香川を守りつつ、愛媛を奪還していく。攻めと守りの両立、ここからが本当に難しくなっていくところである。

 

あこ「難しいほど燃えるよ!ご飯食べたら早速次へ攻め込もうよ!」

 

夏希「先陣はこの夏希にお任せを!」

 

リサ「落ち着いて、あこ。それに夏希も。攻撃を仕掛けるのは、神託が降りてからだよ。ひとまず、それまではしっかり休憩をとってね。」

 

燐子「…攻撃と防御の両立……。」

 

 

--

 

 

燐子は1人部室に残って、今後の為の作戦を呟きながら考えていた。

 

燐子「愛媛は土地が広いから…拠点との距離に問題が…。うーん、"カガミブネ"には山吹さんがいるから…。」

 

そこへ有咲が入ってくる。

 

有咲「何やってるんだ?1人で部室に残って。」

 

燐子「市ヶ谷さん。愛媛の土地を調べてたんです…。敵陣地を知る事は、戦いの役に立つと思ったので…。市ヶ谷さんこそどうしてここに…?」

 

有咲「ロードワークが終わって帰ろうとしたら、部室の窓に人の姿が見えたから。……そうか、じゃあ私も手伝うよ、愛媛の事を調べるの。」

 

燐子「でも、トレーニングが終わったばかりで疲れてませんか…?」

 

有咲「心配すんな。ロードワークなんて、準備運動みたいなものだから。」

 

燐子「凄いですね…。市ヶ谷さんの基礎体力の高さは、やっぱり抜きん出てますね。」

 

有咲「完成型勇者だからな。」

 

燐子「ふふっ…。前から思ってましたけど、市ヶ谷さんは"完成型"って言葉にこだわってますよね…。」

 

有咲「まあな…色々あったから、勇者になるまで。」

 

燐子「色々…ですか?」

 

有咲「この立場を……勇者を目指していたのは私1人じゃなかった。その人達の分まで背負ってるから。」

 

燐子「市ヶ谷さん…。」

 

有咲「さっ、この話はもう終わり!愛媛の地図と地形図はコレか?」

 

燐子「はい…!じゃあ、宜しくお願いします!」

 

2人は友情が深まりつつ、作戦を考えていくのだった。

 

 

---

 

 

翌日、沙綾宅にて--

 

香澄「さーやの部屋に来るのって、久しぶりな気がする!」

 

中沙綾「前に来た時からそんなに時間経ってないよ。」

 

香澄「でも、さーやの家に来るのも、こうしてさーやと2人だけで過ごすのも、久しぶりに感じるよ。」

 

中沙綾「そうだね。もしかして、前よりも色んな人が周りにいて、色んな事が起こったからかもね。」

 

香澄「バーテックスとの戦いとか?」

 

中沙綾「それもあるけど…勇者の人達が沢山いて、最近は毎日お祭り騒ぎみたいだからかな。」

 

香澄「ねぇ、さーや。四国を取り戻したら、色んな所に行ってみようよ!」

 

中沙綾「凄く楽しそう!私も色んな所を自分の足で歩いて回ってみたいし。」

 

香澄「早く四国を取り戻そうね!でも、無理はしないでよ。何かあったら、私がさーやを守るから。」

 

中沙綾「香澄……。」

 

中沙綾(いつも無理してるのは香澄の方だよ。私は…いつも香澄に守られてる。だから、今度は私が……。)

 

香澄「どうしたの、さーや?」

 

中沙綾「ううん。私だって、香澄に何かあったら……何も無くても守るから。」

 

香澄「ありがとう、さーや!お互いに守って守られて、だね。」

 

 

---

 

 

同時刻、牛込宅にて--

 

友希那「ゆりさん達やみんなには本当に感謝してるわ。最近紗夜が前よりも生き生きしてる気がするの。」

 

ゆり「それなら私だって友希那ちゃんに感謝しないと。有咲ちゃん、友希那ちゃんと鍛錬してる時楽しそうにやってるから。」

 

友希那「私も市ヶ谷さんと鍛錬するのは楽しいわ。全力で模擬戦が出来る相手は滅多にいないから。」

 

ゆり「ふふっ、2人はそういうところで似てるよね。」

 

そこへりみがやって来た。

 

りみ「友希那さん、お姉ちゃん、もう結構遅い時間だけど…友希那さん、泊まっていくんですか?」

 

友希那「ええ。今日はそうさせてもらうわ。」

 

りみ「ゆっくりしていってください。それじゃあ、お休みなさい。」

 

そう言って、りみは自分の部屋に戻っていった。

 

友希那「ゆりさんは本当に妹が大切なのね。」

 

ゆり「当然。たった1人の家族だから。さーて、リーダー同士の話し合いを続けましょうか。」

 

友希那「ええ、そうね。」

 

そして2人もゆりの自室へと戻り、夜中まで語り明かすのだった。

 

 

---

 

 

翌日、樹海--

 

勇者達は愛媛奪還の為、今日も戦っていく。だが、樹海には以前と同じ--

 

いや、それ以上に何者かの視線が強く感じられているようだった。

 

友希那(またね……視線と気配を感じる。バーテックスとは、違う何かの…。)

 

 

--

 

 

あこ「あーもう!前回より敵が多いししつこい!そりゃーーーっ!!」

 

有咲「2戦目だ、相手もこれ以上陣地を奪われまいとか思ってるん……だろっ!!」

 

出てくる敵は大して強くは無いものの、何故か敵は他の勇者を無視して沙綾を狙い続けていた。

 

薫「おかしい……沙綾ちゃんばかり狙われている。」

 

ゆり「っ!?」

 

香澄「私もそう思う。てやああっ!!さーやは私が守る!」

 

中沙綾「どうして私が…。」

 

燐子「もしかして々巫女だからではないでしょうか?私達の移動手段である"カガミブネ"の要である巫女がいなくなれば…戦略上、圧倒的に有利ですから。」

 

小沙綾「でも、何でそんな急に…まるで人間が考えた様な戦い方を…。」

 

 

その時、何者かの声が樹海に響き渡る--

 

 

?「それはね……私が命令してるからだよ。」

 

りみ「今の声って、香澄ちゃん…?って、ええ!?」

 

その場にいた全員が驚愕する。目の前にいたのは戸山香澄、高嶋香澄、2人の香澄と瓜二つの少女だったのだから。

 

紗夜「そんな……。」

 

?「ばぁーん。みんな、初めまして、だね。」

 

高嶋「3人目!?」

 

?「どうだろうね?」

 

美咲「また香澄が増えたって感じ!?でもなんか…。」

 

謎の少女は不敵な笑みを浮かべる。

 

美咲「ああいう笑みはねぇ…ヤバイ笑みなんだよねぇ。敵だからこそ笑ってるパターンあるよ、これ。」

 

?「じゃあ、後は宜しくねぇ。」

 

そう言い残し、謎の少女は何処かへ飛び去ってしまった。

 

蘭「ちょっと!結局誰だったの!?」

 

謎の少女の最後の言葉で、バーテックスの大群が再び攻めて来た。

 

ゆり「まずはこのバーテックスの大群を倒すのが先だよ!その後であの子を探しましょう!」

 

 

--

 

 

幸いバーテックスは大した強さも無く、勇者達はこれを殲滅し終える。

 

?「凄いねぇ。やっぱり簡単には無理か。」

 

再び謎の少女が勇者達の前に現れた。

 

有咲「さっきのバーテックスの群れ、アンタの指示に従ってるように見えた…。アンタ、一体何者だ?」

 

有咲の問いかけに対し、謎の少女は語り出す。

 

?「あっ、自己紹介がまだだったね。」

 

赤嶺「私の名前は……赤嶺香澄だよ。」

 

有咲「アカミネ…?アカミネって赤い山の嶺で赤嶺なのか!?」

 

有咲はその苗字に聞き覚えがあったのだ。

 

赤嶺「そうだよ。大赦ではそこそこ有名な家だよね。そこの赤嶺さん家の香澄だよ。」

 

中沙綾「香澄だけど…香澄じゃない。」

 

紗夜「似てるけど、高嶋さんでは無い…。」

 

香澄「こ、こんにちは。戸山香澄です。」

 

赤嶺「うん。…ある意味、私の後輩だね。宜しく…戸山ちゃん。」

 

香澄「後輩?」

 

赤嶺「私はさ…神世紀の序盤の時代から召喚されたから。」

 

続けて高嶋香澄も自己紹介をした。

 

赤嶺「高嶋さん…。あなたは先輩。あなたがいなければ私は…私達はいなかった。会えて嬉しいな。」

 

高嶋「えっ?そ、それってどういう事?子孫…とか?」

 

赤嶺「子孫じゃ無いよ。でも、同じ香澄。逆手を打って生まれたからね。そういう名前になるんだ。」

 

有咲「ちょっとこんがらがってきた…。分かるように説明しろよ。」

 

赤嶺「うーん…説明はあんまり得意じゃないんだよね。擬音が入りそうで…。」

 

小たえ「色んな時代の人が入り混じって、何だかややこしいね。」

 

夏希「おたえもややこしくしてる要素の1つだよ…。」

 

美咲「…ズバリ聞くけどさ、赤嶺さん家の香澄さん。あなた、味方か敵かどっち?」

 

ゆり「直球!?」

 

美咲「私分かっちゃうんだよ。攻撃を仕掛けて来ようとする意思みたいなのがさ。」

 

その問いかけに赤嶺香澄は驚く真実を口にする。

 

赤嶺「………敵だよ。私は造反神側の勇者だから。」

 

小沙綾「っ!?造反神も勇者を召喚出来るの!?」

 

赤嶺「出来るみたいだね。だって、造反神も元々は神樹の一部だったんだから。」

 

燐子「確かに…それはあり得ます。」

 

赤嶺「じゃ、自己紹介は終わり。戦闘、再開だよ。」

 

赤嶺が指を鳴らすと、三度バーテックスの大群が襲いかかってくる。

 

りみ「また来たよっ!」

 

ゆり「取り敢えず、今はこのバーテックスを倒して、あの子を追うわよ!」

 

 

--

 

 

友希那「くっ、今度は"防御特化型"に"爆発型"の大群ね…。」

 

燐子「"爆発型"は"防御特化型"を巻き込んで爆発してくるつもりです…!まずは"爆発型"から先に倒します!」

 

そう言って燐子、美咲、2人の沙綾、そして"七人御先"を憑依させた紗夜が"爆発型"を殲滅していく。

 

友希那「紗夜の"七人御先"なら爆発に巻き込まれても、すぐ復活するから問題なく倒せるわね。」

 

夏希「やっぱ、紗夜さん凄いや…。ゲームだったらあんな能力は完全にチートだよ。」

 

残りのメンバーは友希那、薫、有咲、2人の香澄を中心に"防御特化型"を1体づつ確実に殲滅していった。

 

 

--

 

 

友希那「赤嶺さん。愛媛に着いてからずっと視線を感じてたわ。あれはあなたなの?」

 

赤嶺「あ……英雄の花園様だ。…おっと、この時代のあなたはまだ湊友希那だったっけ。」

 

友希那「答えて。」

 

赤嶺「そうだよ。あなた達が香川を奪還したって聞いてね。私が行かなきゃって思ったから。」

 

紗夜「本当に敵なんですね…。」

 

赤嶺「そうだよ。私は造反神側の勇者。だから造反神の作ったバーテックスも操れる。」

 

燐子「造反神が暴れ回れば、神樹様がバラバラになって…四国が滅びるかもしれないんですよ…!?」

 

赤嶺「勿論知ってて味方してるよ。私の時代ならではの事情があってね。」

 

赤嶺は淡々と話し続ける。

 

赤嶺「今の説明だと難しいかな。えーと、私の時代の人なら造反神に協力する理由が分かると思う。逆に言うと、あなたたちは私の時代の人じゃないから、造反神に協力する理由を言ってもピンと来ないよ。」

 

ゆり「要するにほとんど問答無用って事?困ったね…バーテックスとなら戦えるんだけど……。」

 

勇者達はバーテックスとなら問答無用で戦う事が出来ていた。しかし、今度の相手は1人の少女--

 

1人の人間が相手になるという事である。

 

赤嶺「あれ?人間相手は不慣れかな?逆に私は対人戦の方が慣れてるんだよね。時代柄…。」

 

赤嶺から禍々しいオーラが漂ってくる。

 

赤嶺「まぁあれだよ。姿を出したのは宣戦布告と名乗りが目的だから、戦力が整うまで今は引くよ。最後のお土産は置いていくけどね。今度は"飛行型"多めに来てねー。」

 

そう言うと、空から大量の"飛行型"が飛んできた。

 

蘭「あんなに沢山……。」

 

赤嶺「それじゃあまたね。先輩に後輩--」

 

赤嶺「そして…あは、お姉様。」

 

そう言い残して赤嶺香澄は飛び去ってしまった。

 

高嶋「お、オネッ!?先輩と後輩が私と戸山ちゃんなら、誰に言ったんだろう…?」

 

薫(あの少女……私の方を向いて言っていた…?)

 

友希那「話してる場合じゃないわ。今はあの"飛行型"を掃討するわよ!」

 

夏希「頭がパンクしそうだけど、とにかくここは敵を倒せば良いんですよね?それなら任せろ!!」

 

有咲「そうだな!狼狽えるより、やる事やらないと!完成型の力を見せてやる!」

 

 

--

 

 

りみ「私が"飛行型"の動きを制限させます!その隙に皆さんは攻撃してください!」

 

そうりみが叫ぶと空中にワイヤーを網の様に張り巡らせて"飛行型"の動きを制限させる。

 

ゆり「りみが自分からこんな方法を考えるなんてね…。」

 

中沙綾「随分と頼もしくなりましたね。」

 

ゆり「そうだね。沢山の勇者と出会った事でりみの視界も広がったのかな。」

 

りみが動きを制限しているうちに、燐子、美咲、2人の沙綾が"飛行型"を狙い撃つ。

 

高嶋「よし、数が減ってきた!残りは私に任せて!!来い!"一目連"!!」

 

高嶋の隣に隻眼の精霊が現れ、憑依する。

 

香澄「風が……。」

 

すると樹海に風が巻き起こり、高嶋の手甲が強化されていく。

 

紗夜「高嶋さん…決めて下さい!」

 

あこ「行っけぇーーー、香澄ー!!」

 

高嶋「これでトドメ、タ・ツ・マ・キ勇者パーーーンチ!!!」

 

竜巻が"飛行型"を巻き込み残り全ての敵が光となり消えていった。

 

 

--

 

 

勇者達の戦う姿を遠くで赤嶺香澄は眺めていた。

 

赤嶺「さっすがバーテックスに対しては強いよねー。だけど同じ人間が相手だとどうなるかな?楽しみだよ……。」

 

 

 

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