彼女は果たして敵か味方か--
勇者部部室--
中たえ「愛媛奪還第一戦、勇者部大勝利おめでとう!」
リサ「みんなお疲れ!ご飯を作って待ってたよ。」
香澄「やったぁー!もうお腹ペコペコだよ。」
みんなはリサ達の料理に舌鼓を打った。
リサ「じゃあみんな食べながらで良いから聞いて。まず、愛媛での初戦は私たちの勝利だよ。だけど、今後は愛媛への敵陣営へ攻撃を仕掛けつつ、香川の防衛もしていかなきゃならない。」
香川を守りつつ、愛媛を奪還していく。攻めと守りの両立、ここからが本当に難しくなっていくところである。
あこ「難しいほど燃えるよ!ご飯食べたら早速次へ攻め込もうよ!」
夏希「先陣はこの夏希にお任せを!」
リサ「落ち着いて、あこ。それに夏希も。攻撃を仕掛けるのは、神託が降りてからだよ。ひとまず、それまではしっかり休憩をとってね。」
燐子「…攻撃と防御の両立……。」
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燐子は1人部室に残って、今後の為の作戦を呟きながら考えていた。
燐子「愛媛は土地が広いから…拠点との距離に問題が…。うーん、"カガミブネ"には山吹さんがいるから…。」
そこへ有咲が入ってくる。
有咲「何やってるんだ?1人で部室に残って。」
燐子「市ヶ谷さん。愛媛の土地を調べてたんです…。敵陣地を知る事は、戦いの役に立つと思ったので…。市ヶ谷さんこそどうしてここに…?」
有咲「ロードワークが終わって帰ろうとしたら、部室の窓に人の姿が見えたから。……そうか、じゃあ私も手伝うよ、愛媛の事を調べるの。」
燐子「でも、トレーニングが終わったばかりで疲れてませんか…?」
有咲「心配すんな。ロードワークなんて、準備運動みたいなものだから。」
燐子「凄いですね…。市ヶ谷さんの基礎体力の高さは、やっぱり抜きん出てますね。」
有咲「完成型勇者だからな。」
燐子「ふふっ…。前から思ってましたけど、市ヶ谷さんは"完成型"って言葉にこだわってますよね…。」
有咲「まあな…色々あったから、勇者になるまで。」
燐子「色々…ですか?」
有咲「この立場を……勇者を目指していたのは私1人じゃなかった。その人達の分まで背負ってるから。」
燐子「市ヶ谷さん…。」
有咲「さっ、この話はもう終わり!愛媛の地図と地形図はコレか?」
燐子「はい…!じゃあ、宜しくお願いします!」
2人は友情が深まりつつ、作戦を考えていくのだった。
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翌日、沙綾宅にて--
香澄「さーやの部屋に来るのって、久しぶりな気がする!」
中沙綾「前に来た時からそんなに時間経ってないよ。」
香澄「でも、さーやの家に来るのも、こうしてさーやと2人だけで過ごすのも、久しぶりに感じるよ。」
中沙綾「そうだね。もしかして、前よりも色んな人が周りにいて、色んな事が起こったからかもね。」
香澄「バーテックスとの戦いとか?」
中沙綾「それもあるけど…勇者の人達が沢山いて、最近は毎日お祭り騒ぎみたいだからかな。」
香澄「ねぇ、さーや。四国を取り戻したら、色んな所に行ってみようよ!」
中沙綾「凄く楽しそう!私も色んな所を自分の足で歩いて回ってみたいし。」
香澄「早く四国を取り戻そうね!でも、無理はしないでよ。何かあったら、私がさーやを守るから。」
中沙綾「香澄……。」
中沙綾(いつも無理してるのは香澄の方だよ。私は…いつも香澄に守られてる。だから、今度は私が……。)
香澄「どうしたの、さーや?」
中沙綾「ううん。私だって、香澄に何かあったら……何も無くても守るから。」
香澄「ありがとう、さーや!お互いに守って守られて、だね。」
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同時刻、牛込宅にて--
友希那「ゆりさん達やみんなには本当に感謝してるわ。最近紗夜が前よりも生き生きしてる気がするの。」
ゆり「それなら私だって友希那ちゃんに感謝しないと。有咲ちゃん、友希那ちゃんと鍛錬してる時楽しそうにやってるから。」
友希那「私も市ヶ谷さんと鍛錬するのは楽しいわ。全力で模擬戦が出来る相手は滅多にいないから。」
ゆり「ふふっ、2人はそういうところで似てるよね。」
そこへりみがやって来た。
りみ「友希那さん、お姉ちゃん、もう結構遅い時間だけど…友希那さん、泊まっていくんですか?」
友希那「ええ。今日はそうさせてもらうわ。」
りみ「ゆっくりしていってください。それじゃあ、お休みなさい。」
そう言って、りみは自分の部屋に戻っていった。
友希那「ゆりさんは本当に妹が大切なのね。」
ゆり「当然。たった1人の家族だから。さーて、リーダー同士の話し合いを続けましょうか。」
友希那「ええ、そうね。」
そして2人もゆりの自室へと戻り、夜中まで語り明かすのだった。
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翌日、樹海--
勇者達は愛媛奪還の為、今日も戦っていく。だが、樹海には以前と同じ--
いや、それ以上に何者かの視線が強く感じられているようだった。
友希那(またね……視線と気配を感じる。バーテックスとは、違う何かの…。)
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あこ「あーもう!前回より敵が多いししつこい!そりゃーーーっ!!」
有咲「2戦目だ、相手もこれ以上陣地を奪われまいとか思ってるん……だろっ!!」
出てくる敵は大して強くは無いものの、何故か敵は他の勇者を無視して沙綾を狙い続けていた。
薫「おかしい……沙綾ちゃんばかり狙われている。」
ゆり「っ!?」
香澄「私もそう思う。てやああっ!!さーやは私が守る!」
中沙綾「どうして私が…。」
燐子「もしかして々巫女だからではないでしょうか?私達の移動手段である"カガミブネ"の要である巫女がいなくなれば…戦略上、圧倒的に有利ですから。」
小沙綾「でも、何でそんな急に…まるで人間が考えた様な戦い方を…。」
その時、何者かの声が樹海に響き渡る--
?「それはね……私が命令してるからだよ。」
りみ「今の声って、香澄ちゃん…?って、ええ!?」
その場にいた全員が驚愕する。目の前にいたのは戸山香澄、高嶋香澄、2人の香澄と瓜二つの少女だったのだから。
紗夜「そんな……。」
?「ばぁーん。みんな、初めまして、だね。」
高嶋「3人目!?」
?「どうだろうね?」
美咲「また香澄が増えたって感じ!?でもなんか…。」
謎の少女は不敵な笑みを浮かべる。
美咲「ああいう笑みはねぇ…ヤバイ笑みなんだよねぇ。敵だからこそ笑ってるパターンあるよ、これ。」
?「じゃあ、後は宜しくねぇ。」
そう言い残し、謎の少女は何処かへ飛び去ってしまった。
蘭「ちょっと!結局誰だったの!?」
謎の少女の最後の言葉で、バーテックスの大群が再び攻めて来た。
ゆり「まずはこのバーテックスの大群を倒すのが先だよ!その後であの子を探しましょう!」
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幸いバーテックスは大した強さも無く、勇者達はこれを殲滅し終える。
?「凄いねぇ。やっぱり簡単には無理か。」
再び謎の少女が勇者達の前に現れた。
有咲「さっきのバーテックスの群れ、アンタの指示に従ってるように見えた…。アンタ、一体何者だ?」
有咲の問いかけに対し、謎の少女は語り出す。
?「あっ、自己紹介がまだだったね。」
赤嶺「私の名前は……赤嶺香澄だよ。」
有咲「アカミネ…?アカミネって赤い山の嶺で赤嶺なのか!?」
有咲はその苗字に聞き覚えがあったのだ。
赤嶺「そうだよ。大赦ではそこそこ有名な家だよね。そこの赤嶺さん家の香澄だよ。」
中沙綾「香澄だけど…香澄じゃない。」
紗夜「似てるけど、高嶋さんでは無い…。」
香澄「こ、こんにちは。戸山香澄です。」
赤嶺「うん。…ある意味、私の後輩だね。宜しく…戸山ちゃん。」
香澄「後輩?」
赤嶺「私はさ…神世紀の序盤の時代から召喚されたから。」
続けて高嶋香澄も自己紹介をした。
赤嶺「高嶋さん…。あなたは先輩。あなたがいなければ私は…私達はいなかった。会えて嬉しいな。」
高嶋「えっ?そ、それってどういう事?子孫…とか?」
赤嶺「子孫じゃ無いよ。でも、同じ香澄。逆手を打って生まれたからね。そういう名前になるんだ。」
有咲「ちょっとこんがらがってきた…。分かるように説明しろよ。」
赤嶺「うーん…説明はあんまり得意じゃないんだよね。擬音が入りそうで…。」
小たえ「色んな時代の人が入り混じって、何だかややこしいね。」
夏希「おたえもややこしくしてる要素の1つだよ…。」
美咲「…ズバリ聞くけどさ、赤嶺さん家の香澄さん。あなた、味方か敵かどっち?」
ゆり「直球!?」
美咲「私分かっちゃうんだよ。攻撃を仕掛けて来ようとする意思みたいなのがさ。」
その問いかけに赤嶺香澄は驚く真実を口にする。
赤嶺「………敵だよ。私は造反神側の勇者だから。」
小沙綾「っ!?造反神も勇者を召喚出来るの!?」
赤嶺「出来るみたいだね。だって、造反神も元々は神樹の一部だったんだから。」
燐子「確かに…それはあり得ます。」
赤嶺「じゃ、自己紹介は終わり。戦闘、再開だよ。」
赤嶺が指を鳴らすと、三度バーテックスの大群が襲いかかってくる。
りみ「また来たよっ!」
ゆり「取り敢えず、今はこのバーテックスを倒して、あの子を追うわよ!」
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友希那「くっ、今度は"防御特化型"に"爆発型"の大群ね…。」
燐子「"爆発型"は"防御特化型"を巻き込んで爆発してくるつもりです…!まずは"爆発型"から先に倒します!」
そう言って燐子、美咲、2人の沙綾、そして"七人御先"を憑依させた紗夜が"爆発型"を殲滅していく。
友希那「紗夜の"七人御先"なら爆発に巻き込まれても、すぐ復活するから問題なく倒せるわね。」
夏希「やっぱ、紗夜さん凄いや…。ゲームだったらあんな能力は完全にチートだよ。」
残りのメンバーは友希那、薫、有咲、2人の香澄を中心に"防御特化型"を1体づつ確実に殲滅していった。
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友希那「赤嶺さん。愛媛に着いてからずっと視線を感じてたわ。あれはあなたなの?」
赤嶺「あ……英雄の花園様だ。…おっと、この時代のあなたはまだ湊友希那だったっけ。」
友希那「答えて。」
赤嶺「そうだよ。あなた達が香川を奪還したって聞いてね。私が行かなきゃって思ったから。」
紗夜「本当に敵なんですね…。」
赤嶺「そうだよ。私は造反神側の勇者。だから造反神の作ったバーテックスも操れる。」
燐子「造反神が暴れ回れば、神樹様がバラバラになって…四国が滅びるかもしれないんですよ…!?」
赤嶺「勿論知ってて味方してるよ。私の時代ならではの事情があってね。」
赤嶺は淡々と話し続ける。
赤嶺「今の説明だと難しいかな。えーと、私の時代の人なら造反神に協力する理由が分かると思う。逆に言うと、あなたたちは私の時代の人じゃないから、造反神に協力する理由を言ってもピンと来ないよ。」
ゆり「要するにほとんど問答無用って事?困ったね…バーテックスとなら戦えるんだけど……。」
勇者達はバーテックスとなら問答無用で戦う事が出来ていた。しかし、今度の相手は1人の少女--
1人の人間が相手になるという事である。
赤嶺「あれ?人間相手は不慣れかな?逆に私は対人戦の方が慣れてるんだよね。時代柄…。」
赤嶺から禍々しいオーラが漂ってくる。
赤嶺「まぁあれだよ。姿を出したのは宣戦布告と名乗りが目的だから、戦力が整うまで今は引くよ。最後のお土産は置いていくけどね。今度は"飛行型"多めに来てねー。」
そう言うと、空から大量の"飛行型"が飛んできた。
蘭「あんなに沢山……。」
赤嶺「それじゃあまたね。先輩に後輩--」
赤嶺「そして…あは、お姉様。」
そう言い残して赤嶺香澄は飛び去ってしまった。
高嶋「お、オネッ!?先輩と後輩が私と戸山ちゃんなら、誰に言ったんだろう…?」
薫(あの少女……私の方を向いて言っていた…?)
友希那「話してる場合じゃないわ。今はあの"飛行型"を掃討するわよ!」
夏希「頭がパンクしそうだけど、とにかくここは敵を倒せば良いんですよね?それなら任せろ!!」
有咲「そうだな!狼狽えるより、やる事やらないと!完成型の力を見せてやる!」
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りみ「私が"飛行型"の動きを制限させます!その隙に皆さんは攻撃してください!」
そうりみが叫ぶと空中にワイヤーを網の様に張り巡らせて"飛行型"の動きを制限させる。
ゆり「りみが自分からこんな方法を考えるなんてね…。」
中沙綾「随分と頼もしくなりましたね。」
ゆり「そうだね。沢山の勇者と出会った事でりみの視界も広がったのかな。」
りみが動きを制限しているうちに、燐子、美咲、2人の沙綾が"飛行型"を狙い撃つ。
高嶋「よし、数が減ってきた!残りは私に任せて!!来い!"一目連"!!」
高嶋の隣に隻眼の精霊が現れ、憑依する。
香澄「風が……。」
すると樹海に風が巻き起こり、高嶋の手甲が強化されていく。
紗夜「高嶋さん…決めて下さい!」
あこ「行っけぇーーー、香澄ー!!」
高嶋「これでトドメ、タ・ツ・マ・キ勇者パーーーンチ!!!」
竜巻が"飛行型"を巻き込み残り全ての敵が光となり消えていった。
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勇者達の戦う姿を遠くで赤嶺香澄は眺めていた。
赤嶺「さっすがバーテックスに対しては強いよねー。だけど同じ人間が相手だとどうなるかな?楽しみだよ……。」