戸山香澄は勇者である   作:悠@ゆー

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高嶋香澄が"あの力"を解放。

神を人間が超えていく事。それは喜ばしい事でもあり、一歩間違えれば怒りを買う事に繋がりますよね。




神の上を行く決意

 

 

いよいよ愛媛奪還最終決戦が迫る中、勇者達は各々のスキルアップの為に浜辺で鍛錬をしていた。

 

友希那「遂に愛媛を解放する戦い…この戦いに勝利すれば、四国の約半分を取り戻した事になるわ。」

 

ゆり「それに合わせて、私達は訓練の量を増やしていくよ。」

 

小沙綾「という訳で今日は全員で合同訓練です。」

 

香澄「よし、やるぞー!赤嶺ちゃんがまた強くなってる可能性あるしね。」

 

高嶋「そうだね!私、鍛錬好きだから今燃えてるよーー!!やっ!はっ!とう!!」

 

紗夜「高嶋さんに続きます。敵を一体でも多く刈ってみせます。勇者として。」

 

普段あまり燃える事が無い紗夜も、戦いに向けて張り切っていた。

 

有咲「りみ。訓練は大変だろうけど、着いてこいよ。」

 

りみ「う、うん。有咲ちゃん!」

 

美咲「市ヶ谷さんはホント、りみの面倒を見るのが好きだね。私もお手伝いしますよ。」

 

りみ「美咲ちゃんも宜しくね。」

 

みんなが鍛錬を開始する中、既にたえと薫は模擬戦を行なっていた。

 

中たえ「薫さんの動きは鋭くて、良い訓練になるよ。」

 

薫「たえちゃんこそ。その予測出来ない槍捌き、受けてるだけで自分が磨かれてくのが分かるよ。」

 

小たえ「愛媛解放戦って事は相手相当の気合を入れてくるよね?」

 

燐子「そうだね……何かしら勝ち筋を考えてくると思う……。対応出来る様にしておかないと……。」

 

こちらでは戦闘訓練では無く、戦う為の戦略を考えているところであった。中でも、この戦いで一番気合が入っているのはあこだ。

 

あこ「みんな、大張り切りだ。待ってて、もうすぐ完全解放するから。」

 

その時、

 

リサ・モカ・中沙綾「「「っ!?」」」

 

リサ「これは………。」

 

モカ「神託だ……。」

 

中沙綾「そんな……これって………。」

 

3人は訓練を一旦中断して、みんなを集める。

 

 

--

 

 

香澄「どうしたの、さーや?何かあった。」

 

中沙綾「うん、たった今神託が来たんだよ。」

 

友希那「神託!?」

 

リサ「そう。今愛媛で"超大型"を超えるバーテックス………しかも2体が成長中だって。」

 

モカ「完成予測は1ヶ月後。そのバーテックスは愛媛を襲撃した後、香川に向かってくるみたい。」

 

決戦で投入される最大規模のバーテックス……勇者達はどうやって対応していくかを考えていく。

 

燐子「決戦に投入されるバーテックス……ですね。問題は…これの対応ですか…。」

 

リサ「今のところそれしか神託は降りてないよ。だから、出撃じゃなくて迎撃が望ましいと思う。」

 

神託で言われた事以外を行うのはリスクが大きい--

 

リサがいつも口を酸っぱくして言っている事だ。

 

あこ「でもそうすると、愛媛が危ないよ。超大型を超えるのが2体も通るんだから。」

 

 

あこは反対だった--

 

リサ「神託を考えると、堅守するのが一番だよ。」

 

守りに徹すれば愛媛に被害が出てしまう--

 

中たえ「難しい問題だね。これは結構根が深いと思うよ。」

 

勇者達でも意見が真っ二つに分かれる中、あこが口を開くのだった。

 

あこ「あこ、ちょっと凄い事言っていい?ビックリするかもしれないけど……。」

 

ゆり「良いよ、どんどん言って。その為の会議なんだから。」

 

あこ「神樹様って、四国を結界で囲って守護してくれてるよね?でも、逆の言い方をすれば他の地域のみんなを守ってはくれなかった。」

 

蘭「一部の地域で例外はあるけど、そういう言い方も出来るね。」

 

友希那「でもそれは、四国が頑張れる……守れる範囲のギリギリの所だったんじゃないかしら?」

 

あこ「あこもそれは分かるよ。つまりはね、今回も同じケースだと思うんだよ。神樹様の神託が無い限り、守りに徹する……それはあこ達が勝てるんだろうけどさ。でも、多分愛媛が痛めつけられる。勝つ為の犠牲として。」

 

リサ「………確かにそうだね。」

 

あこ「何度も言うけど、神樹様は限界まで頑張ってて、出来る範囲で人類を生かそうとしてくれている……。だから神樹様を責めてはいないんだ。寧ろその逆なんだよ、神様が無理な範囲は……。」

 

高嶋「……私達が、人間が頑張れば良いって事だよね?」

 

神託に従っていれば、勇者達が勝つ事は出来るだろう。だけど、その勝利には愛媛が犠牲になってしまう。あこは、本当の勝利を目指すのならばこちらから攻め込むべきだと主張した。

 

あこ「それだよ。神託が出てない時に攻め込む危なさは勿論分かってる。前にも話し合ったし。でも、前と今じゃ状況が違うよ!今は沢山の土地を取り返して、戦力もここまで充実してる。仕掛けてみても良いんじゃないかってあこは思うよ!!」

 

力強い言葉であこはみんなに主張する。

 

友希那「……成る程ね。」

 

小沙綾「神樹様の神託の上を行く行動を取る……。私達人類が。そういう事ですね、あこさん?」

 

あこ「それそれ!そういう事!」

 

あこの主張にたえも賛同する。

 

中たえ「実は私もあこの意見には賛成なんだよね。神託は本当に大事っていうのは分かるんだけど、それに甘えすぎるのも良くないというか。」

 

薫「そうだね…私も賛成だよ。すまない…リサ達は頑張って神託を受け取ってくれているというのに……。」

 

リサ「…いや、みんなの勇者としての想いは尊重すべきだよ。友希那もあこの意見に賛成でしょ?」

 

友希那「ええ。あこも言うようになったわね。」

 

美咲「……とは言っても、ここの愛媛は実際の愛媛じゃない訳だし?神樹の中の世界な訳だし?最重要拠点の堅守が重要で、神託通りに動くのが無難だと思うけど。」

 

あこ「……でも、それでも、だよ。」

 

あこの目は堅い決意に満ちた目をしていた。

 

美咲「……理屈じゃない、ハートなんだね。分かった!やりますか!」

 

香澄「美咲ちゃんもどんどん勇者部に馴染んできたね!」

 

ゆり「じゃあ、ここは成長中のバーテックスに攻撃を仕掛けるって事で決まりだね。」

 

ゆりの言葉にみんなが頷いた。

 

リサ「でも、これだけは約束して。危なくなったら撤退する勇気も持ってね。」

 

友希那「心配をかけるわ、リサ。ありがとう。」

 

こうして勇者達は"超大型"を超えるバーテックスが眠る敵地へと向かっていったのだった。

 

 

---

 

 

樹海--

 

りみ「あ、あれが…あれが成長中の…うわわわ、大きすぎる様な……。」

 

勇者達は"超大型"を超えるバーテックスの元へと辿り着く。

 

香澄「思ってたより、ずっと大きい…。わっ!何か動いてるよ!」

 

小沙綾「成長中だから、更に進化しようとしてるのかも……。」

 

この時点で、大きさはざっと"超大型"の2倍は軽く超えている。

 

ゆり「警戒は続けながらも、攻撃を仕掛けましょう!」

 

高嶋「前にも同じ事を言ったかもしれないけど、これだけ勇者が揃ってるんだから大丈夫だよ。」

 

有咲「完成型勇者もいるしな。特訓の成果見せてやる!」

 

あこ「みんなで呼吸を合わせていくよ!せーの!!」

 

あこの合図でみんなが一斉に攻撃を開始する。が、何者かによって攻撃がカットされてしまった。

 

あこ「何だ!?」

 

赤嶺「ちょっと待ってよ。今攻めてくるなんて酷いな。完成するまで待っててくれないと。」

 

攻撃をカットしたのは赤嶺だった。

 

友希那「やはり来たわね。邪魔をしないでもらおうかしら?」

 

赤嶺「今どうしてもやるっていうなら……それはそれで。行くよ、みんな!!」

 

赤嶺の声を合図に、擬似バーテックス、そして"超超大型"バーテックスが襲いかかってくる。

 

薫「っ!気をつけるんだ!!何か撃ってくる!」

 

"超超大型"バーテックスから巨大なミサイルが発射される。

 

あこ「こんなもの!あこが受け止めーーる!!!」

 

直後にあこが前に立ち、旋刃盤を構えてミサイルを受け止めた。

 

あこ「うぎぎぎぎぎぎぎ……っっっ!!」

 

ミサイルの勢いであこは後ろに後ずさるが、あこは巨大なミサイルを明後日の方向へと弾き返した。

 

燐子「あこちゃん……!」

 

赤嶺「"超超大型"の攻撃を受け止めるなんて。やたらと気合いが入ってる人がいるね。」

 

あこ「はぁ、はぁ。あこが言い出した事だもん。これくらいは…やらないと!さぁみんな、行けーーーー!!!」

 

あこの掛け声と共に、他のみんなが飛び出して行く。

 

夏希「あこさんばっかに良い格好はさせないよ!」

 

赤嶺「こっちも突撃!!」

 

 

--

 

 

みんなが擬似バーテックスと戦う中、あこと燐子、高嶋が"超超大型"の元へと辿り着いていた。

 

あこ「りんりん!香澄!攻撃はあこが防ぐ!だから2人は攻撃に専念して!」

 

高嶋「分かった、あこちゃん!来い!"一目連"!!」

 

 

燐子「頑張るね……。お願い!"雪女郎"!」

 

 

2人は精霊を憑依させ、燐子は遠距離から、高嶋は近距離から"超超大型"を攻め立てる。だが、いくら攻撃を当てても"超超大型"はビクともせず、再びミサイルを撃ってくる。

 

あこ「2人とも、下がって!!こんのぉーー!」

 

だがあこも負けじとミサイルを受けきり、戦況は拮抗していた。

 

あこ「はぁ、はぁ………。ど、どんなもんだい。」

 

燐子(あこちゃんの体力は確実に減っていってる……。かといって、こちらにも決め手が無い……。)

 

その時、2人の前に高嶋が立った。

 

高嶋「あこちゃん。守ってくれてありがとう。でも、次で終わらせるよ。」

 

あこ「香澄……。」

 

そう言って高嶋は"一目連"の憑依を解いた。

 

燐子「高嶋さん……何を……。」

 

高嶋(なるべくならこの力は使いたく無かったけど……仲間がピンチなんだもん。躊躇ってる場合じゃ無いよね……。)

 

高嶋は胸に手を当てて、"超超大型"へと走り出し、叫ぶ。

 

 

 

 

高嶋「来い!!"酒呑童子"!!!」

 

高嶋が叫んだ瞬間、大気が震え出す。

 

友希那「な、何!?」

 

香澄「これは……高嶋ちゃん?」

 

離れて擬似バーテックスと戦っている他の勇者も大気の震えに気がつく。そして震えが治ると、高嶋の両手の天の逆手は鬼の手の様な手甲へと変わり、頭には角が現れる。

 

燐子「高嶋さんに……こんな力が……。」

 

あこ「カッコいい……。」

 

赤嶺「あれが、"香澄の力"………。さすがは香澄の源流だね。」

 

高嶋「うおおおおおおおおっっっ!!!」

 

高嶋は力に身を任せ、渾身の正拳突きを"超超大型"へと打ち込む。刹那、"超超大型"は轟音を立てながら崩れ去っていくのだった--

 

 

赤嶺「……嘘でしょ!?たった一撃でこの威力…。」

 

高嶋「はぁ……はぁ………。見たか!私達の力!!」

 

高嶋は満身創痍で"酒呑童子"の憑依を解いた。例えリスクは無くとも、その身に襲いかかる疲労感は想像を絶するものだった。

 

赤嶺「くっ、こんな危険地帯に来るなんて…完全に読みが外れたよ。堅守するかと思ってた。」

 

そう言い残し、赤嶺は去って行ってしまう。それと同時に、もう一体の"超超大型"が樹海の奥へと移動している。

 

中沙綾「"超超大型"が移動を……。追ってこれ以上踏み込むのは…勇気じゃないね。」

 

薫「そうだね……。勇気と無謀は違うよ。」

 

有咲「この敵地の中、成長中の一体を倒せただけでも充分だ。」

 

香澄「そうだね。2体が同時にで動けば、何処かに被害が出てたかもしらないけど、残り一体だったらそっちに集中すれば良いもんね!」

 

あこ「成功して、良かった……よ。さすがみんなだね……。これで…良いんだ…よ。」

 

高嶋「あはは……さすがの私も……ちょっと無茶…し過ぎちゃった…かな。」

 

あこは攻撃を受け続けた事による疲労から、高嶋は"酒呑童子"を使った事による疲労からか、2人は気絶してしまった。

 

燐子「あこちゃん!高嶋さん!」

 

 

---

 

 

花咲川病院、あこの病室--

 

夏希「大分具合は良さそうで良かったです。最初倒れた時はびっくりしましたよ。」

 

あこ「まさか倒れちゃうなんて…。格好悪い所見せちゃったよ……。」

 

燐子「そんな事無い……あこちゃん凄く格好良かったよ。」

 

あこ「そ、そうかな?」

 

夏希「そうですよ。あんなに凄い攻撃を受け止めるなんてさすがです!」

 

リサ「犠牲は出したく無いって考えは素敵だよ。だけど……自分自身もしっかり無事じゃないとダメだからね。」

 

あこ「……うん。心配かけてごめんね。あこはすぐ復帰出来るけど、香澄は……?」

 

リサ「香澄も憑依による疲労が溜まっただけで問題は無いよ。だけど、次の戦いに参加する事は出来ないかな。」

 

あこ「………分かった。みんなで香澄の分も頑張ろうね。」

 

燐子「そうだね……。」

 

 

--

 

 

同時刻、高嶋の病室--

 

高嶋「あはは……心配かけてごめんね…。」

 

紗夜「全くですよ。一時は本当に心配したんですから。」

 

高嶋「ごめんね。」

 

紗夜「……無事で良かったです。」

 

高嶋「次の戦いは出れないけど、リサちゃん達と応援してるからね。」

 

紗夜「もちろんです。今はゆっくり休んで今後に備えてください。」

 

あこと高嶋、2人の活躍により"超超大型"バーテックスの片割れを倒す事に成功した勇者部。愛媛を巡る攻防は最後の段階へと進む--

 

 

 

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