戸山香澄は勇者である   作:悠@ゆー

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次回からは徳島へと進んでいき、遂にあの子がやってきます。

この世界の事や赤嶺の真意も見えてくると思います。




浄化の儀

 

 

勇者部部室--

 

高嶋「みんなこの前の戦いはお疲れ様。高嶋香澄、本日より復帰であります。」

 

紗夜「おかえりなさい、高嶋さん。」

 

あこ「さぁ、次は徳島だね。この調子でサクッと取り戻しちゃおう!」

 

美咲「………。」

 

1人浮かない顔の美咲に香澄が声をかける。

 

香澄「どうしたの、美咲ちゃん?」

 

美咲「っえ!?何でもないよ。元気元気。」

 

美咲は空元気に香澄に返事をした。

 

リサ「みんな、徳島に行く前にまだやる事が残ってるんだ。」

 

リサは次の県に行く前に行う最後の儀式、浄化の儀の説明を始めた。

 

香澄「ジョウカノギ?」

 

夏希「なんだか嫌な予感がしてきたよ…。」

 

リサ「じゃあ、これからみんなに愛媛各地で、浄化の儀を行ってもらうね。正確に言えばその護衛だけど。」

 

小たえ「浄化の儀は危険ですか?」

 

リサ「大丈夫。簡単に言えば愛媛に敵が侵入しにくいようにする、おまじないだよ。」

 

ゆり「それはありがたいね。領地が広がったって事は守る所も多くなったって事だし。」

 

リサ「神樹様の力が大きく戻った事によって可能となったんだ。」

 

燐子「守りを固めてから、心置きなく徳島へ…という訳ですね…。賛成です…。」

 

友希那「私達が有利な状況になったのだから、盤石なものにしておきたいわね。」

 

リサ「私達巫女が愛媛で儀式を行っていくから、みんなは護衛をお願いね。」

 

夏希「そういう事なら任せて下さい!難しい条件をこなしていく役目かと思いました。」

 

香澄「でも巫女さんは大変だね、やる事が多くて。」

 

モカ「まあねー。でもやれる事があるのは嬉しいよ。」

 

リサ「じゃあ早速行こうか。善は急げって言うしね。」

 

そうして勇者と巫女は愛媛各地へと出発するのだった。

 

 

---

 

 

愛媛沿岸--

 

モカ「じゃあこの地点に入ってこられないように警備をお願いねー。」

 

蘭「了解。結構防衛範囲が広いね。大きく拡散して備えましょう。」

 

ゆり「敵が来たら食い止めてる間にみんなすぐ集まってね。単独行動はせずにペアで動く事。」

 

ここでたえがある提案をしてきた。

 

中たえ「徳島に行く演習も兼ねて、なるべく普段あまり組まない人と組みましょう。連携のさらなる強化だよ。」

 

中沙綾「まぁ一理あるね。」

 

友希那「さらなる一致団結の為には、良い試みだと思うわ。それじゃあ夏希、私と一緒に行きましょう。」

 

夏希「風雲児様のご指名が来てしまった!これは張り切らないと!」

 

紗夜「このペアを組む感じはあまり好きになれないわね…。」

 

 

--

 

 

紗夜「2人1組でペアを組む…ですか。でもここで迷って高嶋さんに心配をかけては駄目ね…。」

 

薫「たえちゃん、私と組もうか。」

 

小たえ「勿論です薫先輩。宜しくお願いします。」

 

みんなが次々とペアを組んでいる中、紗夜は1歩を中々踏み出せずにいた。

 

紗夜「上級生として、私も自ら行かないと…。」

 

そうして紗夜は沙綾の元へと歩みより、

 

紗夜「あの…や、山吹さん。私と…いいかしら。」

 

小沙綾「っ!は、はい!宜しくお願いします!すみません、予期せぬ不慣れな事態になると何だか少し緊張してしまって。」

 

紗夜「…そうですか。良いんです…そんなものですから。一緒にやりましょう。」

 

小沙綾「はい、紗夜さん。」

 

思わず紗夜から笑みがこぼれるのだった。

 

夏希「おっ、おたえは薫さんで沙綾は紗夜さんか。」

 

友希那「やっぱり友達が気になるのかしら?」

 

夏希「あっ、すいません。ついよそ見を。」

 

友希那「今は大丈夫よ。でもまだ夏希は私を風雲児と呼んでくれるのね。」

 

夏希「えっ?何を言ってるんですか友希那さんってば。」

 

友希那「リサの盛った話もメッキがはがれてきたでしょう?私はそこまで大人物じゃないわ。」

 

夏希「いやいやいや、メッキもなにも友希那さんは真なる勇者です。風雲児ですって。勇者でありリーダーの一角です。もらったサインは飾ってありますし!」

 

友希那「そう…。お手本にならなければね。」

 

そこへ敵が浄化の儀の邪魔をしに向かってくる。

 

夏希「敵が来たぁ!海野夏希行きます!!」

 

夏希は元気よく敵に向かって飛び出して行った。

 

友希那(…ゆりさんや美竹さんに比べて、自分はリーダー的にどうなのかと思う時もあったけれど…。)

 

友希那「あの真っ直ぐな夏希がそこまで言ってくれるなら自信も湧き上がってくるわね。……行くわよ!!」

 

友希那も夏希に続いて飛び出して行った。

 

 

---

 

 

愛媛神社前--

 

リサ「今回はここを浄化していこうか。みんな、もう一度防衛お願いね。」

 

中たえ「じゃあまたさっきのペアで。高嶋さん行きましょう。」

 

高嶋「うん。宜しくねたえちゃん。」

 

ゆり「こういう時は随分と張り切るなぁ。行こうか、燐子ちゃん。」

 

燐子「はいっ…。なんなんだろう、この自然さ…。」

 

小沙綾「……。」

 

紗夜「どうかしましたか、山吹さん。」

 

小沙綾「すみません。紗夜さんについ見惚れてしまって。」

 

沙綾の言葉で紗夜の顔が赤くなる。

 

紗夜「なっ……。」

 

小沙綾「私も紗夜さんみたいになれるでしょうか…。」

 

紗夜「山吹さんこそ成長したら綺麗になりますよ。良い見本がいるじゃないですか。」

 

小沙綾「…そうですね。自分自身…なんですよね。なんだか複雑な気分で。」

 

紗夜「人は大抵自分を直視するのが好きではないと思います。ですからその感情は自然ですよ。」

 

小沙綾「でもおたえは嬉々としてて…。」

 

紗夜「花園さんと比べては駄目ですよ。」

 

小沙綾「は、はい。分かってはいますが、つい…。比べるというか自分が力不足なんじゃないかって…。」

 

その言葉を聞いた紗夜は何だか自分と似たようなものを持っていると直感する。

 

紗夜「…山吹さんは真面目な分、思ったより気苦労が多そうですね。……私がどこまで出来るか分からないけれど、宇田川さんと海野さんの様な関係と言うとオーバーかもしれませんが、何か悩みや困った事があれば、聞くぐらいは出来ますよ。」

 

小沙綾「あ、ありがとうございます。嬉しいです、紗夜さん。」

 

そこに敵襲のアラームが鳴り響く。

 

小沙綾「敵が来ました、紗夜さん!!」

 

紗夜「行きましょう、山吹さん。」

 

紗夜と沙綾はお互いを見合い、笑って走り出した。

 

 

---

 

 

愛媛海岸--

 

リサ「最後にここを浄化すれば、全部完了だよ。」

 

あこ「ようし、あこがしっかり守るよ!!りみ、あこに続いてよ!!」

 

りみ「うん!…なんだろう、この自然についていける感じ。」

 

香澄「さぁ、美咲ちゃん。もうひと踏ん張りだよ。」

 

美咲「オッケー。もうひと頑張りオッケー。……ここでの勇者の役目も終わりが近いんだね。そしたらまたあの寒い大地かぁ…。考えるだけで凍えてくるよ。」

 

香澄「敵もただ黙ってはいないだろうし、まだまだ御役目は終わらないと思うよ。」

 

美咲「そうだね。頑張らないとね。」

 

すると突然香澄は美咲の手をギュッと握った。

 

美咲「どうしたの戸山さん。私の手なんか握って。」

 

香澄「…時々、これからこうして握るね。美咲ちゃんの手を。」

 

美咲「そ、それはまたどうして?」

 

香澄が答えようとしたその時、三度敵襲のアラームが響き渡る。

 

香澄「っ!敵が来た!ようし行くぞ!!!」

 

香澄は行ってしまう。

 

美咲「…どうしたんだろ一体。あんなに強く握られたら手が熱くて……。」

 

そして美咲は気付くのだった。香澄の行動の意味に。

 

美咲「………あっ、そっか。私が寒くないように…か。そんな事されると惚れちゃうから、止めてほしいなぁ……そうしてみんなが優しくしてくれる程に……ここを離れたくなくなっちゃうよ。」

 

だが、美咲は気持ちを切り替え香澄の援護へと向かって行く。

 

美咲「っと、とにかく今は援護しないと!!投槍いくよ!!」

 

美咲が向かった後、何者かが木陰から現れる--

 

 

 

 

赤嶺「…良い事を聞いちゃったかも。最大の泣き所が分かったよ。精神攻撃の方向性を間違えてたね。…これもこちら側の御役目だから……。」

 

そう言い残し、赤嶺は嵐の様に立ち去って行ってしまった。

 

 

---

 

 

寄宿舎、友希那の部屋--

 

浄化の儀が全て終了し、ひと息付いていた友希那の所にリサがやって来る。

 

友希那「いよいよ次は徳島ね…。」

 

リサ「……。」

 

リサは友希那の問いかけに答えなかった。

 

友希那「どうしたの、リサ?考え事かしら?それとも今日はさすがに疲れた?」

 

リサ「疲れたから、友希那といるんだよ。」

 

リサは今の心境を友希那に吐露した。

 

リサ「覚えてる?丸亀城奪還戦の時、私はくどいぐらいにみんなに言ったよね、繰り返すけど神樹様が指定したタイミング以外で敵地に行く事は勧められない、危ないって。」

 

友希那「ええ。それであの時は、敵地へ偵察に行く事が中止になったわ。」

 

リサ「でも今回は、犠牲を出さない為に神託が出てない危ない敵地にあえて行った。そして強大な敵に勝った。凄い事だよ。」

 

友希那「それだけみんなが強くなったという事でしょう。もう神様に守られてばかりの私達では無い、生意気かと思われるでしょうけど。そういう所を見せていく気概も必要だと思うわ。」

 

リサ「うん。私自身もかなり驚かされる事だったよ。神様を敬う気持ちは変わらないけどね。」

 

友希那「……私達の目的は日常を取り戻す事よ。神様の手を煩わせる事無く、また普通に暮らせる世界に戻れるなら…それが一番よ。」

 

リサ「そうだね。日常に戻る為にも、神樹様に時々は私達の気概も見せていこう。人は頑張って歩いて行けるってね。」

 

友希那「それを神の体の中で言ってるのだから本当に図々しいのだけれどね…。これ、怒られないかしら?」

 

リサ「あははっ!これくらいなら大丈夫だよ。神の力に頼らずに人が人として歩んで行く事を目指す。これが当たり前の事なんだから。神への敬意を忘れなければ、神がその選択を怒る事は無いよ…。」

 

その瞬間、リサが何かに気が付く。

 

リサ「怒る………。」

 

友希那「どうしたの、リサ?」

 

リサ「怒る…!?もしかして案外それが天の神が怒った原因じゃないかな!?」

 

友希那「どういう事?」

 

リサ「人が人ならざる力を手に入れようとした為に…逆鱗に触れたんじゃ……。」

 

友希那「だから攻撃を仕掛けてきたって事?」

 

リサ「考え過ぎかな。でもそれも、造反神を鎮めれば答えが見えてくるはずだよ。」

 

友希那「そうね…。赤嶺香澄からも色々と聞けるでしょう。」

 

一抹の不安が残りつつも、勇者達は次の土地、徳島へと進んでいくのだった。

 

 

 

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