戸山香澄は勇者である   作:悠@ゆー

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終盤戦前半となります。

異世界で過ごしてきた思い出を胸に、勇者達の激闘が始まります。




信じる心の強さ〈前編〉

 

 

赤嶺有するバーテックスの大群による5ヶ所同時攻撃に対抗する為、部隊を5つに分けて立ち向かう勇者部。間も無くその戦いが始まろうとしていた--

 

 

---

 

 

愛媛--

 

ここを守るのは蘭・薫・美咲の3人による地方組。

 

美咲「ここが私達の受け持ちだね。冷静に考えると…3人って割と少ない人数だよね。」

 

薫「だが…私達ならば3人で何とかなる筈だよ、美咲。」

 

モカ「蘭、美咲ちん、薫さん、大変だと思うけど頑張って。」

 

蘭「任せといて。さぁ敵が来るよ。北海道と沖縄、長野の力を見せてあげるよ!」

 

薫「力を合わせてここを死守する。…今まで通りだ。花により儚く散れ!」

 

周りが樹海へと変貌していく--

 

 

---

 

 

樹海--

 

やって来るは数多の擬似バーテックスに"飛行型"と"防御特化型"の群れ。

 

蘭「美咲、薫さん。擬似バーテックスの大群は私が引き受けるよ!」

 

美咲「分かった。じゃあ私は"飛行型"を潰すとしますか。」

 

薫「じゃあ私は残った奴を引き受けよう!」

 

3人は散り散りになり戦いに突入する。

 

 

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薫サイド--

 

薫「…確かに最初に戦った頃より強く、そして硬くなっているね。」

 

薫はヌンチャクを巧みに使って"防御特化型"に攻撃するもダメージは少ししか入らない。

 

薫「なら遠慮なく行くよ…"水虎"!!」

 

薫は"水虎"を憑依させ、ヌンチャクに虎の爪を模したオーラを宿らせる。

 

薫「…これでどうだい。」

 

薫の攻撃は急所を確実に捉えていたが、"防御特化型"はまだ倒れずに薫を攻撃し続ける。

 

薫「はぁ……これは儚くなりそうだ。」

 

 

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美咲サイド--

 

打って変わって美咲は順調に投槍を駆使して"飛行型"を殲滅していく。

 

美咲「倒すのはそんなに難しくないけど、それにしても数が多いよ。」

 

"飛行型"は倒しても倒しても彼方から飛んでくる。美咲は"飛行型"を潰しながら薫の方をチラッと確認する。

 

美咲「薫さんの所はそんなに敵が多くないね。……仕方ない。薫さんに早く敵を倒してもらってこっちに来てもらうか。」

 

そして美咲は叫んだ。

 

美咲「薫さん!」

 

薫「何だい、美咲!」

 

美咲「今から私の精霊を薫さんに憑依させるから、そっちを手っ取り早く倒してこっちに来てください!」

 

薫は少し考え、美咲の提案を承諾する。

 

薫「…分かったよ。美咲を信じよう!」

 

美咲「よし、出番だよ"コシンプ"!」

 

美咲は相棒である"コシンプ"を呼び出す。

 

美咲「"コシンプ"薫さんに力を貸してあげて。」

 

"コシンプ"は頷き薫の元へと消えていった。

 

美咲「さぁ、私は薫さんが来るまで頑張るとしますかね!」

 

 

--

 

 

薫サイド--

 

尚も戦っている薫の元に"コシンプ"が現れる。

 

薫「君が美咲の精霊だね。少しの間力を借りるよ。」

 

"コシンプ"は再び頷き、薫へと憑依する。

 

薫「くっ……いくらリスクが無いとは言え、精霊を2体憑依させるのは少し堪えるね……。」

 

"コシンプ"の力は他者の能力の強化。自分に使う事は出来ないが、他人に憑依させて力を上げる事が出来るのである。薫は呼吸を整え、再び"防御特化型"へと攻撃を仕掛ける。

 

薫「………沈めっ!!!」

 

薫はヌンチャクを振り下ろす。"防御特化型"の外装が砕け、効いているのか唸り声をあげた。

 

薫「これで終わりだよ!……暖流蒼打!!」

 

ヌンチャクの連撃が炸裂し、"防御特化型"が爆散する。

 

薫「ふぅ……さて、美咲の元へと向かわないとね…。」

 

薫は憑依を解き、休む事なく美咲の元へと走り出した。

 

 

--

 

 

蘭サイド--

 

蘭「1人で戦うならこっちの独壇場だよ!」

 

蘭は"覚"を呼び出し、憑依させる。

 

蘭「解るよ……お前達の事が手に取る様にね!」

 

蘭は鞭を振るわせ擬似バーテックスを薙ぎ払っていく。死角から来る攻撃も後ろを振り返る事無く蘭は避けていく。

 

蘭「私に不意打ちは効かないって。」

 

蘭、そして美咲と合流した薫達は順調に敵の数を減らしていくのだった--

 

 

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蘭「何とか一通りは片付いたね。更に来るだろうけど何とかなりそうだよ。2人のお陰です。」

 

美咲「信頼出来る仲間のありがたさだよ……ここで楽を覚えたら戻った時に大変だと思うけどさ……。」

 

ここで美咲は"その先の事"を口にした。

 

美咲「大真面目な話、1人で守ってきたみんなとしてはそろそろ考えていかない?」

 

薫「……戻った後の事だね?」

 

美咲「そう。私は援軍の来ない籠城戦を1人で戦うなんてどうしようもない現実に帰りたく無いんだよね。戻るにしても、打開策を見つけていきたい。」

 

薫「だがそれは造反神を鎮めてからみんなで考えていくという話じゃなかったかい?」

 

美咲「神様は気まぐれだからなぁ。守るだけ守って強制解散になったらどうするの?つまり私は全部解決したら色々と話し合いや試しが出来る保証が欲しい。これでも勇者だからね。真っ先にやる事はキチンとやるよ。そこは駄々捏ねないよ。でも、同時に人間だから…。色々と足掻きたいんだよ。こんな奇跡実際味わったら……。」

 

薫「そうか……美咲は色々と考えているんだね。」

 

美咲「関心されるとはね…。相変わらず天然だよ薫さんは。まぁそういう所が好きなんだけどね。」

 

蘭「解決した後の事を考える時期……。気持ちを打ち明けてくれてありがとう、美咲。」

 

美咲「私達ソロ防衛組は団結して声を上げていこうよ。」

 

話の途中で再び敵がやって来る。

 

美咲「っと!ここでまた敵ですか……空気読めないね。」

 

薫「何にしても防衛してからだ。怪我をしては意味がない。集中して行くよ!」

 

蘭・美咲「「了解!!」」

 

 

---

 

 

場所は変わって徳島--

 

徳島には西暦組が配置されていた。

 

リサ「蘭達は順調に防衛してるようだよ。流石だね。」

 

友希那「私達もここを守り抜くわよ。……こうして西暦組だけでの御役目は久しぶりね。」

 

高嶋「いつも通りやって行けば大丈夫。絶対出来るよ!」

 

あこ「しかもあこ達も成長してるんだから!もちろん紗夜さんもね。」

 

紗夜「調子に乗って怪我しない事です。白金さんは会議の疲れは取れましたか?」

 

燐子「はい、高嶋さんがマッサージをしてくれて…良く眠れました…。」

 

紗夜「それは良かったです。」

 

友希那「っ!樹海化が始まるわ。みんな備えて!」

 

リサ「友希那!」

 

友希那「必ず戻るわ、みんなでね。」

 

消える寸前に友希那はリサの手を握った。

 

 

---

 

 

樹海--

 

徳島に攻め込んで来たのは"新型"と"爆発型""防御特化型"の群れ。

 

燐子「私とあこちゃんは"防御特化型"を相手します……。」

 

あこ「行こう!あこ達に任せて!」

 

紗夜「なら私は"爆発型"を引き受けます。接近戦が主体の高嶋さんと湊さんでは不向きですから。」

 

友希那「分かったわ。じゃあ私と香澄は"新型"ね。」

 

高嶋「紗夜ちゃん、気をつけてね…。」

 

紗夜「ええ、私は絶対帰ってきます。」

 

 

---

 

 

あこ、燐子サイド--

 

燐子「外装が硬い相手なら策はある…。あこちゃん。私の"雪女郎"の冷気と…あこちゃんの"輪入道"の熱気ならどんなに硬くても効果はあるはずだよ……。」

 

あこ「さすがりんりん!よーし、行くよ"輪入道"!」

 

燐子「来て"雪女郎"…!」

 

2人は精霊を憑依させる。

 

燐子「まずは私の冷気で動きを止めるよ…!」

 

燐子は広範囲に冷気を放ち、"防御特化型"の動きを止めつつ外装を冷やしていく。

 

燐子「あこちゃん…お願い…!」

 

あこ「これでもくらえぇぇぇぇっ!!!」

 

間髪入れずにあこが燐子の合図で灼熱の熱波を浴びせる。氷が溶けて再び"防御特化型"が動き出すも、すぐさま燐子が冷やし固める。何度か同じ事を繰り返し、外装にヒビが入ったのを見た燐子はすかさずあこに指示を出す。

 

燐子「いくよ…あこちゃん!最大出力……!」

 

あこ「"獄炎と極寒の葬送曲(エターナルフォース・レクイエム)"」

 

燐子の冷気を纏った矢とあこの炎を纏った旋刃盤が組み合わさり、"防御特化型"を粉々に砕いていく。

 

あこ「ふぅ…やったね、りんりん!」

 

燐子「私達の勝ちだよ…!」

 

2人はハイタッチを交わすのだった。

 

 

--

 

 

友希那・高嶋サイド--

 

友希那「さすがにここまで来ると"新型"も侮れない強さになってるわね。」

 

高嶋「大丈夫!勇者は根性だってみんな言ってたし!」

 

友希那「そうね……。こんな時こそ根性よねっ!!」

 

2人は互いに背中を預けながら"新型"と白兵戦をしていく。

 

友希那「精霊ばかりを頼ってはいられない……。行くわよ、一投飛翔閃!!」

 

友希那は生大刀を横に薙ぎ、真空波を飛ばし"新型"を切り裂いていく。

 

高嶋「うわぁーっ!友希那ちゃんさすが!!私も負けてられないよー!!勇者マシンガンパーーーンチ!!!」

 

高嶋は目にも止まらぬパンチの応酬を繰り出し"新型"を吹き飛ばす。

 

友希那「やるじゃない、香澄。」

 

高嶋「友希那ちゃんもね!」

 

 

--

 

 

紗夜サイド--

 

紗夜「何故でしょう……今は不思議とこころが落ち着いています。ここに来て色々な体験をしてきたからでしょうか……。」

 

紗夜は大葉刈を持ち"七人御先"を憑依させる。

 

紗夜「私を凄いと言ってくれる人達…私を尊敬してくれる人が達…そして私と友達になってくれた人達……。その人達の為にも負ける訳には行きません!!」

 

7人の紗夜は一斉に飛び出していく。

 

紗夜「「「鏖殺してあげます!!」」」

 

本体さえ無事なら幾らでも蘇る分身。紗夜はそれを駆使して"爆発型"を安全に攻撃して爆発させていく。分身が爆発に巻き込まれるも、本体は無傷の為また分身が出てくる。"爆発型"は紗夜にとって最も相性が良い相手なのである。攻撃すれば勝手に爆発する相手に対し、こちらは不死身の軍団。最早勝利は見えていた--

 

 

--

 

 

あらかたの敵を倒し、友希那達は一度合流する。

 

燐子「安心は出来ません…敵の第2波がまもなく来ます……。大軍です…。」

 

友希那「ここは勇者の数が多い分、敵の数も多いという訳ね。上等だわ!」

 

紗夜「常に気を張ってましたが、突出する様子は無さそうですね。心配が1つ減ります。」

 

友希那「紗夜…心配してくれるのね。」

 

紗夜「……当たり前です。」

 

あこ「あっ、噂の敵が来たよー!」

 

高嶋「ガンガン行くよー!」

 

 

---

 

 

香川--

 

ここには小学生組が配置されている。

 

小沙綾「ここが私達の受け持ちだね。御役目を果たそう。」

 

夏希「みなさんはサクッと倒すだろうから、こっちも負けてられないな!」

 

小沙綾「夏希は本当に先輩達に可愛がってもらってるよね。私も良くしてもらってるけど。」

 

小たえ「夏希みたいな後輩がいたら私だって可愛がるよ。」

 

夏希「そろそろ元の世界に戻らないといけないけど、先輩達とバイバイは寂しいよね。」

 

小たえ「ゆり先輩やりみ先輩とは、また会えるけど、西暦の人達とは無理だもんね。うぅ〜ご先祖様…リサ先輩…。」

 

小沙綾「おたえ、友希那さんとリサさんの間に入って両手を繋いで買い物に行くのが好きだったもんね。」

 

小たえ「もう1人の私ともサヨナラかぁ。」

 

小沙綾「私ももう1人の私と別れるのは寂しいよ。複雑な思いもあったけどね。」

 

夏希(…これに対しては突っ込んだら負けだ……。)

 

夏希「って、敵が来るよ!!迎撃準備だ!」

 

 

---

 

 

樹海--

 

 

小沙綾「っ!あれは……!?」

 

沙綾達の前に現れたのはこの世界特有のバーテックスでは無く、"蠍型"、"射手型"、"蟹型"のバーテックスだった。

 

小たえ「あの時は手も足も出なかった……。」

 

たえと沙綾は息を飲んだ。夏希の為にイネスに変わる場所を探してた際、誤って結界を抜けてしまい出くわしたのがあの3体だった。途中夏希の助けがあったものの追い詰められ、中学生の沙綾とたえが来なかったらどうなっていたか分からなかった。

 

夏希「怖気付くな!!勇者システムは最新のものになってるし、精霊だっている!そして何より私達は強くなったんだから!!」

 

小沙綾「……そうだ……そうだね、夏希!」

 

小たえ「今までの私達じゃないってところ見せてあげよう!」

 

夏希「行くぞおぉぉぉぉっ!!!」

 

 

--

 

 

小たえ「沙綾は"蠍型"の牽制、夏希は"蟹型"に向かって!!"射手型"の針は私が全部防ぐから夏希は前だけ見てね!!」

 

小沙綾「了解!!」

 

夏希「任せとけ!!力を貸してくれ、"鈴鹿御前"!!」

 

小たえ「2人を守る力を貸して、"鉄鼠"!!」

 

2人は精霊を憑依させる。

 

夏希「どりゃぁぁぁぁぁっ!!!」

 

夏希は3本の斧で"蟹型"目掛けて突っ込むが、それを阻もうと"射手型"が針を飛ばし、"蠍型"が針を伸ばしてくる。

 

小沙綾「夏希にはっ!!」

 

沙綾が矢を放ち"蠍型"の針を弾き方向を晒し、

 

小たえ「指一本触れさせない!!」

 

たえが"射手型"の前に立ちはだかり槍を盾の形に変化させ針を弾き返した。2人が援護してくれる隙に夏希は"蟹型"の反射板を1枚づつ破壊していく。

 

夏希「これさえ無ければ、お前たちのコンビネーション技は使えないだろ!!」

 

小沙綾「行って、夏希!!」

 

小たえ「かっとばせーー!!」

 

2人の声援を背に受けて夏希は叫ぶ。

 

夏希「うおおおおおっ!私達の魂を見せてやるよーー!!双乱舞至頂斬!!!」

 

手始めに要である"蟹型"を潰す3人。そして次に夏希はたえの元に走り出し2人で"射手型"へと立ち向かっていく。"蠍型"が尻尾を伸ばし追いかけようとするも、沙綾がそれを阻む。

 

小沙綾「あなたの相手は私よ!2人の邪魔はさせない!!」

 

夏希は"鈴鹿御前"の力で作り出した斧と、片方の斧を"射手型"の発射口目掛けて飛ばし塞いだ。

 

夏希「行け、おたえ!!」

 

小たえ「うん、行っちゃうよー!!くらえ、八百麗槍刃!!」

 

たえの槍が"射手型"を貫き、爆散させた。

 

小たえ「最後はっ!!」

 

夏希「お前だぁ!!」

 

夏希は針攻撃を躱しながら"蠍型"の懐に入り、尻尾の関節部分を切り落とす。

 

夏希「お前の倒し方は千聖さんから聞いたよ!!こうしちゃえばあんたも怖くない!」

 

千聖達防人は現世の壁の外にて、この方法で"蠍型"の無力化に成功している。そしてたえがダメージを蓄積させていき、

 

小たえ「最後のトドメ、沙綾お願い!」

 

小沙綾「分かった、行くよ"刑部狸"!」

 

沙綾も以前は上手く出来なかった憑依を使いこなし、"刑部狸"を自らに憑依させ、弓を引き絞る。弓矢の周りに花びらが出現し、その花びらが1枚づつ光り輝く。そして、全ての花びらが光り輝き、沙綾は引き絞った矢を放つ。

 

小沙綾「正鵠穿通矢!!行っけぇーー!!」

 

光り輝く矢が手負いの"蠍型"を貫き、光となって消えていった。

 

 

--

 

 

小沙綾「はぁ、はぁ、はぁ……2人ともありがとう。怪我は無い?」

 

夏希「はぁはぁ…こっちは大丈夫。沙綾は平気?」

 

小たえ「やっぱり夏希は沙綾と一緒だと身体がより動いてるよね。」

 

夏希「イエーーイ、ハイターーッチ!!」

 

小たえ「イエーーイ!!」

 

夏希「沙綾もイエーーイ!!」

 

小沙綾「イエーーイ!おたえも、イエーーイ!」

 

小たえ「沙綾もノリ良くなったよ。イエーーイ!!」

 

3人はそれぞれハイタッチを交わし、再びやって来る敵へと準備を開始する。

 

夏希「さぁ、敵のおかわりが来たよ。リーダー号令!」

 

小たえ「よーし、2人とも頑張ろう!!私達なら出来るよ!」

 

夏希「もち!!」

 

小沙綾「うん!!」

 

 

 

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