戸山香澄は勇者である   作:悠@ゆー

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勇者部の記憶の物語が始まります--


これは第8章までの幕間の物語--




第7章〜石紡ぎの章〜
神樹の記憶〜勇者部の歓迎会〜


 

 

勇者達は御役目を完了し、神樹が作り出した空間から去って行った--

 

 

 

今この勇者部部室には全員の集合写真以外には何も残っていない空間となっている--

 

 

そこに突如シャボン玉の様なものが沢山現れ、部室を漂っていた。そのシャボン玉の様なもの1つ1つに勇者部みんなの姿が映っている。

 

 

 

これは彼女達が御役目を果たすまでに、この世界で育んできた友情や想い出の記憶--

 

 

 

神樹に意志というものが存在するかは分からない--

 

 

 

そのシャボンの1つが弾け、部室が光に包まれる--

 

 

 

これより先語られるのは、彼女達が確かにここに存在していた証である--

 

 

---

 

 

勇者部部室--

 

りみ「お姉ちゃん、逃げたインコの捜索依頼が来てるよ。」

 

中沙綾「メールで落ち葉掃きの依頼も来てます。」

 

有咲「勇者が落ち葉掃き……はぁー。」

 

花咲川中学勇者部の6人が、今井リサの声に導かれこの世界に来てから数日が経過した--

 

 

が、ここでの生活は元の世界と全く変わら無い生活であり、時折ここが異世界だという事を忘れてしまう程であった。

 

ゆり「変わらないいつもの日常…。これで良いのかなー?」

 

リサ「それで良いんだよ。その方が、精神力を削らないでリラックスして戦えるからさ。」

 

香澄「リサさんは大丈夫ですか?友達と離れ離れになって…寂しくないですか?」

 

香澄の質問にリサは笑顔で言い放つ。

 

リサ「大丈夫だよ。そのうち会えるって信じてるからさ。」

 

りみ「リサさんにも大切な人がいるんですね。」

 

リサ「勿論いるよ。今は側にいないけど…心はちゃんと繋がってるから。」

 

中たえ「素敵な事言いますね。」

 

香澄「そうだ!」

 

香澄が何か思いついた様だ。

 

香澄「ゆり先輩、リサさんの歓迎会をしませんか?」

 

ゆり「それ良いね!色々あったからすっかり忘れてたよ。勇者部に入ったからには、しっかり歓迎しないとね。」

 

中たえ「歓迎歓迎〜!大歓迎〜!」

 

リサ「そんな、良いよ気にしなくても。」

 

リサは気持ちだけ受け取っておくと言わんばかりに首を横にふるが、

 

香澄「勇者部の事も、色々と知って欲しいし、パーティしましょう!」

 

中たえ「私もしてもらいましたから、リサさんもやりましょう。これは勇者部加入の儀式なんです。」

 

リサ「わ…分かったよ…。」

 

みんなに圧されリサはパーティに参加する事となった。

 

リサ「あぁ…たえに言われたら断れないよ…。」

 

有咲「何でです?」

 

リサ「中身はまるで違うけど、雰囲気が思い出させるんだよね…。」

 

有咲「そ、そうですか…。香澄、準備するなら手伝うぞ。」

 

香澄「イェーイ!!」

 

香澄と有咲は準備に取り掛かった。

 

中沙綾「……その気持ち、分かります。」

 

リサ「えっ?」

 

中沙綾「私だったら……きっと耐えられないだろうから…。」

 

リサ「……ありがとう、沙綾。その言葉が私の心の支えだよ。」

 

 

--

 

 

それから数十分が経過し、歓迎会が始まる。

 

ゆり「それじゃあみんな、グラスを持って。今井リサちゃんの入部を祝して、乾杯!」

 

全員「「「かんぱーい!!」」」

 

中たえ「パーティだー!」

 

有咲「けど、巫女なのに勇者部って何か変な感じだな。」

 

リサ「それもそうだよねぇ。なにぶん、今は名無し草の身だから。」

 

ゆり「細かい事は気にしない気にしない。」

 

りみ「そもそも巫女さんは何をするんですか?」

 

香澄「あっ、それ私も聞きたいです!」

 

花咲川勇者部に巫女の役割をしている人はいない。強いて言うなら沙綾が巫女の素養があるくらいである。

 

リサ「特にこれと言って話す事は…。神樹様の声を聞くくらいだよ。」

 

りみ「神樹様ってどんな声なんですか!?」

 

その話にりみが食いつく。

 

リサ「音声として聞こえる訳じゃなく、意識が伝達されるんだよ。」

 

有咲「テレパシーってやつ?」

 

リサ「それが一番近いかな。」

 

ゆり「なるほどねぇー。それって例えば、不摂生とかしてたら怒られるの?」

 

リサ「えっ!?ど、どうだろー……。」

 

有咲「神樹様が食べ過ぎ注意とか早く起きろとか言うわけないだろ!?」

 

りみ「お姉ちゃん、神樹様はお母さんじゃないよ?」

 

ゆりは2人からまじめに突っ込まれた。

 

香澄「お菓子どうぞ。」

 

中沙綾「パンもあります。」

 

リサ「ありがとう。沙綾のパン、大好物になりそうだよ。」

 

中沙綾「リサさんの大切な人も気に入ってくれますかね?」

 

リサ「うん…。うん、きっと気にいる筈だよ!」

 

 

--

 

 

歓迎会も中盤に差し掛かる中、たえがリサに話す。

 

中たえ「リサさん、隠し芸はありますか?」

 

リサ「隠し芸!?わ、私が…!?」

 

驚くリサにたえは諭す様に淡々と話し続ける。

 

中たえ「勇者部に新人が入るときは必ずやらないといけないんです。」

 

リサ「そ、そうだったんだ…。」

 

ゆり「たえちゃん…サラッと嘘言ってるし、リサちゃん、コロっと騙されてるよ。」

 

リサ「困ったなぁ……。私は写真撮る事しか芸が無いからなぁ。」

 

香澄「じゃあ、みんなで写真を撮りませんか?」

 

リサ「それで良かったら。じゃあ、みんな並んで並んで。」

 

香澄達は部室の黒板の前に並んだ。

 

リサ「じゃあ撮るよー。はい、チーズ。」

 

ゆり「リサちゃん入ってないよ!」

 

 

--

 

 

リサ「みんなも、特技や隠し芸持ってるの?」

 

香澄「実は……私達バンドを組んでるんですよ!」

 

リサ「バンドかぁ……凄いね!」

 

ゆり「せっかくだから見せてあげましょうか、私達の音楽を。」

 

リサ「見せて見せて!!」

 

香澄達は音楽室へと移動し、楽器の準備をする。

 

香澄「あーあー。私達…。」

 

全員「「「Glitter*Partyですっ!!」」」

 

香澄「今日はリサさんの為に軽く演奏しますので、楽しんでいってください!」

 

香澄達は新しく勇者部の一員となったリサの為に演奏を始める。

 

香澄「それでは聞いてください、"Happy Happy Party"!!」

 

 

 

〜♬

 

 

 

音楽室に軽やかなメロディが響き渡り、香澄の優しい声がリサを包み込む--

 

 

香澄達が演奏している間もリサは曲を聴きながら、写真を沢山撮っていたのだった。

 

 

--

 

 

香澄「どうもありがとうございました!!」

 

演奏が終わった香澄達に、リサの拍手が響く。

 

リサ「凄い……凄かったよ!!優しい音楽だった。みんなの人柄が音楽に乗ってるみたいだったよ!」

 

リサは興奮が止まらなかった。

 

ゆり「それは良かったよ!それじゃあ歓迎会の最後に、もう一回みんなで写真を撮ろうか。今度はタイマーでね!」

 

リサ「そうだね!!」

 

リサはカメラをテーブルに置いてタイマーをセットする。

 

香澄「リサさんとっても良い笑顔だな。音楽ってやっぱり凄いよ。」

 

リサ「3,2,1…はい、チーズ!!」

 

全員の輝かしい笑顔の写真がカメラに収められる。

 

ゆり「改めて…勇者部にようこそ、リサちゃん!!」

 

リサ「……うん、みんなこれから宜しくね!」

 

リサ(友希那……今は会えないけど、いつか必ずここで会えるって私は信じてるから。)

 

今ここに異世界から7人目の部員が入り、勇者部は御役目を果たす為戦って行く--

 

 


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