ここから先はこんな感じの話を続けていこうかと思っていますので宜しくお願いいたします。
勇者部部室--
勇者部に神樹館小学校6年の沙綾、たえ、そして夏希が加わり部室も賑やかになった頃、中学生の沙綾が3人に尋ねた。
中沙綾「3人とも、もうここでの生活には慣れた?」
小沙綾「はい、なんとか。」
小たえ「日当たり良好ポイントも見つけたよ。」
夏希「でもやっぱりイネスが近くに無いのは痛いですね…。醤油豆ジェラートが恋しいです。」
小沙綾「夏希、そればっかりは仕方ないよ。きっとその内住めば都だって思えて来るよ。」
夏希「うん、いや、イネス以外は完璧だよ?後は家の弟は元気にしてるかなーとか。」
小たえ「向こうに戻っても数時間しか経ってないらしいから大丈夫だよ。」
夏希「こっちの数日が無効じゃ数年経ってた…とかじゃなくて良かったよ。」
中たえ「確かそういうのって何て言うんだっけ?」
有咲「ウラシマ効果だ。」
中たえ「さすが有咲。」
穏やかな団欒の時間が続いていく。まるでこの世界に脅威は無いかの様に。
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ゆり「あの子達、明るく振舞ってるけど、やっぱり元いた時代が恋しいんじゃないかな?」
勇者とは言えど、彼女たちはまだ小学生。ましていきなりこんな異世界に飛ばされたのだ。ホームシックになっていてもおかしくない。
りみ「私もそう思う!特に夏希ちゃんは弟の事が心配そう…。」
リサ「ここは年長のみんなが、大人っぽく振舞って元気づけてみたらどう?」
香澄「良いですね。私達で3人を元気にしてあげられるなら!」
中沙綾「香澄。」
香澄「ん?どうしたのさーや。」
中沙綾「その役目、私達に任せてもらえないかな。」
中たえ「任せて任せてー。」
中学生の沙綾とたえが買って出たのだった。
ゆり「確かに自分自身ならどんな気持ちなのか分かるもんね。」
有咲「的外れな事言って混乱させるのもアレだしな。」
香澄「分かった。さーや!おたえ!頑張ってね!」
りみ「必要になったら、私達も手伝うね。」
中沙綾「ありがとう、みんな…。行こう、おたえ!」
香澄達は沙綾とたえを送り出した。
小学生組「「「思いっ切り聞こえてるんだけどなぁ……。」」」
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小学生組3人に今の会話が聞こえていたとは露知らず、お互いが自分自身に話しかける。
中沙綾「ん、ゴホン。沙綾ちゃん。今もしかしなくてもパン食べたいよね?」
小沙綾「え?いえ、今は特に…。」
中沙綾「あれ!?」
中たえ「もう一人の私。日当たり良好ポイントって言ったらやっぱりあそこだよね…ごにょごにょ。」
たえは耳元で囁く。
小たえ「違うよ、たえ先輩。私が見つけたのはね…ごにょごにょ。」
中たえ「そんな絶好のスポットが!?知らなかった…。」
2人とも出だしから見事に会話が噛み合わない。
有咲「……本当に本人同士なのか?」
香澄「あ、あははっ…。さすがさーや達だね。」
ゆり「かつての勇者も一筋縄では行かないって事だね。」
2人は気を取り直し、話しかける相手をチェンジして再び挑む。
中沙綾「たえちゃん、オッちゃんとはどう?」
小たえ「え?あー、こっちに来てからは構う暇が無くて…。」
中沙綾「実は、私もオッちゃんみたいなものが欲しいなって思ってきてね。」
小たえ「ええ!?そうなんですか!」
中沙綾「良かったら、私にもオッちゃんを触らせてくれないかな。」
小たえ「うんうん、喜んでどうぞ!」
因みにオッちゃんとは、たえがいつも大事にしているウサギ型の枕の事である。
ゆり「なんか上手い感じに進んで行ってる。たえちゃんも負けてられないぞ。」
中たえ「沙綾、ちょっと疲れてない?」
小沙綾「え?あ、実は…少しだけ。」
中たえ「やっぱり。そういう時は、寝るのが1番だよ。良く眠れてスッキリ起きれる場所教えてあげる。」
小沙綾「あ、ありがとうございます!」
今度はさっきと打って変わってスムーズに事が運んでいた。
りみ「さすがおたえちゃんだよ。」
そんな沙綾とたえの事を夏希は少し離れた所で見ていた。
夏希「なんか2人とも、大きくなっても相変わらずなんですね。」
夏希の言葉に沙綾とたえが気付き、夏希の方へ振り返った。
夏希「ど、どうしたの2人とも…私の顔をジッと見つめて…。」
中沙綾「夏希……夏希がいるよ…。」
中たえ「そうだった。夏希も元気づけてあげないと。」
2人は夏希の元へ駆け寄った。
夏希「ええ!?だ、大丈夫ですよ私は。」
中沙綾「そんな事ないよ!本当は夏希、寂しがり屋なの知ってるから!」
夏希「いい!?ちょ、ちょっと沙綾さん!?」
中たえ「そうだよ。夏希は強い人だから、我慢してる事も沢山あるよね。」
夏希「た、たえさんまで!」
有咲「なんだか面白い展開になってきたぞ。夏希が珍しくタジタジだ。」
香澄「さーや、夏希ちゃんには特に思う所があるみたいだから…。」
中沙綾「夏希、今度みんなで色んな事して遊ぼう。夏希と一緒にしたい事、山ほどあるんだから。」
中たえ「あっ、私も私も!」
夏希「い、いや、遊ぶのは大賛成だけど、そればっかりもしていられないんじゃ……。」
グイグイ来る沙綾とたえに、さすがの夏希もしどろもどろになっていた。
中沙綾「何言ってるの!?ここでの時間だって、きっと無限じゃないよ。出来る限り遊ばないと!」
夏希「ひぃ!は、はい!」
中たえ「寝るのも大事だよ。今度みんなで日向ぼっこしながらお昼寝しよう。」
小たえ「やったね!良かったね、夏希。」
夏希「え、あっ………うん。」
リサ「沙綾ったら………ここでの大目的をすっかり忘れちゃってるよ…。」
ゆり「ごめんね……。今はちょっと錯乱してるだけだから。」
中沙綾「とはいえ、まだ解放されてない場所も沢山あるから……取り合えず夏希、パン食べる?」
夏希「あ、ハイ。いただきます。」
中沙綾「ふふ。いっぱい食べて。沢山あるから。」
夏希「もぐもぐ……あっ、甘さ控えめで、美味しい。」
中沙綾「ホント!?もっと食べていいよ。」
沙綾は夏希に次々とパンを渡していく。
夏希「もぐもぐ……もぐもぐ………。」
夏希は黙々と沙綾のパンを食べ続けている。
中沙綾「あっ、上げ過ぎちゃうと喉に詰まっちゃうね………ぐす…。」
そんな沙綾の瞳から一筋の涙が零れ落ちる。
有咲「なんか沙綾が泣き出したぞ…。」
ゆり「もう心ゆくまで沙綾ちゃんの好きにさせてあげようか。」
夏希が真実に気付いたのかは分からない--
が、夏希は今この瞬間がとても幸せだったという事は確かだろう。再会があれば、別れは必ずやって来る。だけど、今はただ幸せなひと時を噛みしめる沙綾とたえなのであった--