戸山香澄は勇者である   作:悠@ゆー

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西暦と諏訪の幕間です。

自分は何も出来ず、ただみんなが無事な事を祈るだけって言うのは辛いものがありますね。




神樹の記憶〜2人の香澄と巫女の役目〜

 

 

西暦の風雲児こと、湊友希那達西暦の勇者が勇者部に加わってから少し経った頃--

 

 

勇者部部室--

 

友希那達西暦組は戸山香澄と高嶋香澄のそっくり度合いに驚きを隠せていなかった。

 

友希那「それにしても…見れば見る程似ているわね……。」

 

香澄・高嶋「「え?」」

 

燐子「凄いです…!友希那さんの声に反応するタイミングまで同じです……。」

 

あこ「ホント不思議だよね。双子って見まごうくらい似てるのに別人なんだもんね。」

 

ゆり「たえちゃんが友希那ちゃんの子孫って言われるより、よっぽどしっくりくるよね。」

 

中たえ「そうかも。でも、私には小学生の私がいるよ。」

 

ゆり「それはどっちもたえちゃんだから…。」

 

りみ「でも、世界には自分とそっくりな人が3人いるって聞いた事あるよ。」

 

りみが言っているのはドッペルゲンガーの事である。

 

中沙綾「香澄が3人……。」

 

沙綾はそれを想像してつい顔がにやけてしまう。

 

香澄「どうしたの、さーや?」

 

高嶋「何か面白い事でもあった?」

 

2人の香澄が両端から沙綾にくっつく。

 

中沙綾「こ、これは……。」

 

有咲「あっ、沙綾がフリーズした。」

 

紗夜「……。」

 

その姿を見て、紗夜は何だか複雑な感情を抱く。

 

 

--

 

 

紗夜「……あれはどうにかならないのでしょうか。」

 

2人の香澄は未だに沙綾にくっついている。

 

有咲「無理だな。まっ、放っておけばそのうち飽きるんじゃねーかな。」

 

紗夜「そう…ですか。」

 

りみ「あ、あの…何だかごめんなさい。」

 

友希那「気にする事は無いわ。香澄も楽しそうにしてるもの。」

 

りみ「そう…ですか?」

 

友希那「ええ。」

 

紗夜「……気にしない訳、無いじゃないですか……。」

 

紗夜の複雑な感情はどんどん募っていく。

 

リサ「ホント素直じゃないんだから、紗夜は。」

 

紗夜「今井さん!?……聞いていたんですか?」

 

リサ「うん。」

 

紗夜「盗み聞きなんて、趣味が悪いですよ。」

 

リサ「そうだね。でももし声が聞こえなくても、そんな顔してたらすぐ分かっちゃうよ。」

 

紗夜「っ!?」

 

リサには紗夜が思っている事は全部お見通しだった。

 

リサ「紗夜。沙綾みたいにとは言わないけどさ…。」

 

紗夜「…なら言わないでください。私は…。」

 

すると突然紗夜の視界が真っ暗になる。

 

?「目隠しをしてるのはどーっちだ?」

 

紗夜(これは……外せません!)

 

紗夜は少し考え、答えを言った。

 

紗夜「この手は………高嶋さんですね?」

 

すぐに視界が元に戻る。

 

高嶋「正解!!」

 

友希那「……さすがは紗夜ね。」

 

あこ「あこは、りんりんだったら当てる自信あるよ。」

 

燐子「うん…私も、あこちゃんなら当てられると思う…。」

 

香澄「紗夜さん凄いよ!!」

 

中沙綾「次は私の番だよ!」

 

沙綾も負けずと勝負を挑む。

 

香澄「良いよ!手加減しないよ、さーや!」

 

当たってご満悦な紗夜に友希那が尋ねる。

 

友希那「紗夜、どうして香澄だと分かったのかしら?」

 

紗夜「それは………。」

 

その時、

 

中沙綾「分かった。この手は香澄だね。」

 

香澄「凄い!!正解だよ、さーや!」

 

紗夜「高嶋さんは高嶋さんですから……。どれだけ似ていても別人です…。」

 

友希那「親友を見間違う筈が無い……成る程ね。納得だわ。」

 

例えこの先2人が香澄を見間違う事は無いだろう。大切な人同士、互いに互いを思い合っているのだから--

 

 

---

 

 

時は少し流れて、諏訪組が合流した頃--

 

 

勇者部部室--

 

蘭「どうも……って、リサさんとりみだけ?」

 

蘭とモカが部室に顔を出すも、部室に人気はそれ程無かった。

 

蘭「他の人達はどうしたんですか?」

 

リサ「勇者部の活動中だよ。」

 

モカ「勇者部って……確かりみとかがやってる部活だっけ?」

 

りみ「うん。困ってる人を助ける部活だよ。」

 

蘭「困ってる人か……なんか良いね。私にも出来る事ってあるかな?」

 

蘭はやる気だった。

 

モカ「蘭……?」

 

りみ「えっと、多分あると思うけど、お姉ちゃんに聞いてもらった方が……。」

 

蘭「ゆりさんだね。」

 

りみ「お姉ちゃんは、校庭にいると思うよ。」

 

蘭「ありがと、りみ。行ってみるよ。」

 

そう言って蘭はモカを残して部室を出た。

 

モカ「……蘭らしいなぁ。」

 

リサ「モカは一緒に行かなくて良かったの?」

 

モカ「私が行っても何も出来ないと思うからー。」

 

そう言ってモカも部室を出ようとするが、

 

りみ「あ、あの!モカちゃん。この後、何か予定あるかな?」

 

モカ「んー。考えてなかったよ。」

 

りみ「だったら……少し、お話ししよう?」

 

珍しくりみが自分から提案してきたのだった。

 

モカ「私と?」

 

りみ「うん。きっと蘭ちゃんもここに戻って来ると思うから。」

 

モカ「だったらそれまでは良いよー。」

 

こうしてリサを含め3人の談話が始まる。

 

 

--

 

 

モカ「何の話するー?」

 

りみ「じゃあ、蘭ちゃんについてとかどうかな?」

 

モカ「蘭?」

 

りみ「うん。蘭ちゃんって、格好良いよね。リーダーシップがあって。……って、まだそんなに一緒にいないから、かなり想像が入ってるかもだけど。」

 

モカ「ううん、間違ってないよ。蘭は、本当に凄いから。」

 

モカはそんなりみの想像を肯定する。

 

モカ「……諏訪ではね、みんなのリーダーだったから。蘭がいたからみんなが頑張れた。」

 

りみ「みんな?あれ、勇者は蘭ちゃんだけだよね?」

 

モカ「諏訪のみんな……私を含めたね。」

 

りみ「諏訪の……!凄いね、蘭ちゃんは。私だったら絶対に無理だよ。あ、でも、お姉ちゃんだったら……。」

 

リサ「そうだね。多分だけど、立派なリーダーだったと思うよ。それは蘭とは違ったと思うけど、ゆりさんなりのやり方で、精一杯。」

 

りみ「私もそう思います!とっても頼りになるお姉ちゃんだから!」

 

 

--

 

 

リサ「じゃあ、次は友希那だね!」

 

リサが目を輝かせて友希那の話を始める。

 

リサ「友希那は格好良いだけじゃなく、可愛い一面もあるんだから。困った顔で私に相談してきたりとかね。」

 

モカ「湊さんにそんな一面があるとは…。」

 

リサ「でも、普段の友希那はみんなのイメージ通りだと思うよ。いつも先陣を切ってバーテックスと戦ってたから。」

 

りみ「それはお姉ちゃんも同じです。私達の前に立ってくれてましたから。」

 

モカ「蘭も頑張ってたよ。私は何も出来なかったけどね。私は……なんで呼ばれたのかな?蘭と違って戦えないのに…。」

 

思わずモカの気持ちが溢れてしまう。

 

モカ「ここには沢山勇者がいて……戦える人達がいっぱいいて……。」

 

リサ「………。」

 

モカ「蘭と一緒にいられるのは嬉しいけど、私が呼ばれた意味ってあるのかな?」

 

リサ「見てるだけは………辛いよね。分かるよ。私もモカと同じ巫女だからさ。」

 

モカ「あっ、リサさんを悪く言うつもりは……。」

 

リサ「大丈夫大丈夫、ちゃんと分かってるから。」

 

モカ「……ありがとうございます、リサさん。」

 

りみ「あっ……あの!」

 

2人の会話を聞いていたりみが突然モカの手を取って話し出す。

 

りみ「私も同じなんだ。お姉ちゃんがいないと何も出来ないって思ってた。」

 

モカ「……うん。」

 

りみ「だけど、それは違うんだよ……。諦めて、下を向いてちゃダメなんだよ!お姉ちゃんに頼ってもらえるような、そんな私に変わっていかないと!」

 

りみが熱くモカに語りかける。

 

りみ「私も頑張ってる途中だけど、モカちゃんも一緒に頑張ろ?」

 

モカ「頼ってもらう……?私が…蘭に?」

 

りみ「うん!」

 

モカ「そんなの、無理だよ…。」

 

悲観的なモカにりみは諦めず話し続ける。

 

りみ「無理じゃないよ!頑張ってれば、きっとなれるよ!……絶対になれるから!」

 

モカ「……りみって結構強引な所あるね。」

 

モカは思わず笑ってしまう。

 

りみ「強引だとしても、絶対だよ!」

 

モカ「なら…少し頑張ってみようかな。まずは畑の知識からかな。」

 

りみ「畑……モカちゃんも、農業やるの?」

 

モカ「うーん………私がやりたいのは……宅配屋さんかな。まだ蘭には言ってないけどね。」

 

リサ「……相手がどう思ってるかは、本人には伝わりにくいものだね。どんなに強い人だって、1人じゃ寂しい。それはきっと、蘭だって……。」

 

モカ「リサさん……。」

 

リサ「諏訪を背負うという重圧に負けなかったのは、モカが側にいたからだと思うよ。」

 

 

 

どんなに強い人でも、1人では何も出来ない--

 

 

 

どんな時代だってそう。仲間がいるから強くなれる--

 

 

 

3人は今日、改めてその事を実感するのだった。

 

 

 

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