新たな人との共通点があるのは、集結ものの醍醐味と言っても過言ではないですよね。
ある日の勇者部部室--
美咲「はぁ……。」
美咲のテンションは下がっていた。
有咲「今日はやけにテンション低い人が多いな。今度は美咲か?」
美咲「そりゃ、憂鬱にもなるよ。」
あこ「どうしたの?悩みならあこが聞くよ?」
美咲「……私達って、ここ最近ずっとバーテックスと戦ってるでしょ?」
あこ「うん。」
美咲「多分、明日もバーテックスと戦闘。」
あこ「うんうん。」
美咲「明後日も、明々後日もバーテックスと戦闘。」
あこ「うんうんうん。」
美咲「毎日毎日、同じ事の繰り返しで……私、生きてる気がしないよーーー!!」
ここ最近のバーテックスとの戦闘の連続で、美咲のイライラはMAXとなっていた。
美咲「ほんっとアイツら、倒しても倒しても次から次へと!もう害虫と一緒だよね!」
あこ「確かに言えてるよ。でもバーテックスって、別に虫とかじゃないよね?」
薫「虫である可能性は、ゼロじゃないよ。沖縄にも奇蟲というものがいるんだが……。」
ゆり「絶対に検索したくない名前だよ…。」
香澄「私、最初バーテックスは魚みたいだなって思いました。」
中沙綾「確かに空中を泳いでるみたいに見えるよね。」
ゆり「本当に魚だったら、例えバーテックスと言えども捌いて食べちゃうのに。」
紗夜「あんなものを食べるなんて正気では無いですよ。」
小沙綾「あの……。」
だが沙綾は知っていた。バーテックスを口に含んでいた正気では無い人の事を--
小沙綾「実は、正気では無い人がいるんです……。」
沙綾の目線にいた人物は--
夏希「へへ……どうも。」
夏希だった。
一同「「「ええーーーーーっ!?」」」
夏希「あ、でも実際は食べた訳じゃなくて、飲んだだけです。」
ゆり「の、飲んだって……何を!?」
夏希「えっと………"水瓶型"の、体液、的な?」
夏希は初めての御役目で"水瓶型"の水球に閉じ込められた際、脱出する為にその水を全部飲み干したのだ。
有咲「食べたのと、そう変わんねーじゃん!」
美咲「味は!?どうだったの!?」
美咲は嬉々として夏希に尋ねる。
夏希「何んて言うか……サイダーの様な、ウーロン茶の様な。多分喉がカラカラだったらまた飲めますよ。」
蘭「畑仕事のお供には良いかも…。」
モカ「感覚が麻痺してるよ、らーん。」
有咲「でも今は元気って事なら、案外食べても人体に影響は無いって事か?」
美咲「これは、調べてみる価値ありかも。」
友希那「そうね。せっかく大きいのだから、ただ消滅させるのは勿体ないかもね。」
リサ「あらら……友希那までそんな事言い出すなんてね。」
中沙綾「少なからず味があるのなら、調味料次第で何とかなるかもしれないですね。」
リサ「沙綾まで……。あはは……。」
香澄「さーやの言う通りだよ!塩とか胡椒とか……。あ、麺つゆで成せば大抵何とかなるよ!!」
部室内はカオスと化していた--
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美咲「バーテックス3分クッキング〜!」
あこ「テレレッテッテッテッテ♪テレレッテッテッテッテ♪」
そして何故か突然始まったクッキングショー。
美咲「まずは食べられそうなバーテックスを生け捕りにします。」
香澄「魚っぽいのが良いね!」
美咲「それの腹を裂き、ハラワタを取り出して3枚に下ろします。後は炭火で焼くだけ!」
中たえ「塩を振るのを忘れずにね。」
ゆり「もうそれ、バーテックスじゃなくてただの魚だよ……。」
薫「魚か……何だか食べたくなってきたよ。グルクンの唐揚げが懐かしいね。」
友希那「それは何なのかしら?」
薫「沖縄の県魚なんだ。手頃な大きさなんだが、中々すばしっこくてね……。」
中たえ「あー、私もどうせならすばしっこいのが食べたいな。」
有咲「すばしっこいのって言えば……確か"双子型"がそうじゃなかったか?」
中たえ「確かにアレなら知能も高そうだし、食べたら私の知能も上がるかも。」
ゆり「アレはさすがにグロテスク過ぎるよ……。」
ゆりは調理された"双子型"を想像してしまった自分を情けなく思ってしまう。
美咲「でも、本当にバーテックスに知能があったら、いつかは喋る個体なんかが出てくるかもね。」
香澄「叫び声をあげるのはいるけど……もしそうなったら…喋る事が出来たら、今まで通り倒せるのかな?」
中沙綾「もしバーテックスと意思疎通出来たら、倒すか迷っちゃうって事?」
香澄「うん……バーテックスにも何か事情があるのかも。そしたら、戦えるかな…。」
中沙綾「何か香澄らしい考え方だよね。」
美咲「実際に何を喋ってくるかによるよね。」
中たえ「"ヘイヘイ、君たちかわいーねー!"とか?」
紗夜「それなら躊躇無く殺れますね。」
中たえ「"ち、違う!そんなつもりじゃないんだ!"」
紗夜「じゃあどんなつもりなんですか!?」
中たえ「"まぁ待って!話せば分かる!"」
紗夜「問答無用です!」
高嶋「わー!たえちゃん、もうその位で終わり終わりー!!」
堪らず高嶋がたえを止めに入った。
ゆり「でも、実際のところ私達の戦術に対応してきたり、巫女を狙ったりしてきてるよね。」
美咲「その内、私達の好みに合わせてくるかも。」
紗夜「…私達の好みに……?」
中沙綾「それって………。」
美咲のこの一言が更にトリガーを引く--
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妄想の樹海--
バーテックス香澄「ヘイヘーイ、さーや!」
バーテックス高嶋「紗夜ちゃん、果たして私を倒せるかな!?」
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中沙綾「……ふふっ。」
紗夜「さすがに無いですね。」
--事は無かった。
香澄・高嶋「「……?」」
何気無い日常の、何気無い一幕--
たまには戦いを忘れて、こんなひと時も良いのだろう。
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次の日、勇者部部室--
香澄「美咲ちゃん、美咲ちゃん!」
今日も元気な香澄は美咲に声をかける。
美咲「んー?どうしたの、戸山さん。」
香澄「さーやがパン作って来てくれたんだ。だから、一緒に食べようよ!」
りみ「沙綾ちゃんのパン、凄く美味しいんだよ。」
美咲「なら、折角だしご相伴に預かろうかな。」
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またとある日--
夏希「美咲さん。聞きたい事があるんですけど、良いですか?」
美咲「ん?良いよ。」
小たえ「ほら沙綾、良いって。」
小沙綾「あの…北海道の事を詳しく教えてもらっても良いですか?」
美咲「オッケー。じゃあパンでも食べながら北海道の話しようか。」
小沙綾「はい!是非お願いします。」
美咲「北海道と言えば五稜郭だよね--」
そんな美咲の様子を離れた所で友希那達が見ていた。
友希那「奥沢さんも大分馴染んできたようね。」
蘭「ここのみんなは気さくに話しかけられ人が多いですからね。」
紗夜「大変そうですね…。」
リサ「でも、仲良くなる事は良い事だよ。ね、有咲。」
有咲「……………。」
リサの問いかけに答えず、有咲は何処か上の空だった。
リサ「有咲?」
有咲「そ、そうだな…仲が悪くて戦う時に連携が取れなくなったりしたら、困るよな。」
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廊下--
美咲「ふぅ……今日も色んな人に話しかけられたな。人気者は大変だよ。」
美咲(悪い人達じゃない事は分かってるんだけどね…。自分の部屋にいても結構な頻度で突撃されるし…。)
美咲「ちょっと……1人になりたいなぁ。」
と、そんな事を思っていた時--
有咲「美咲。」
有咲が美咲に声をかける。
美咲「!?…誰かと思ったら市ヶ谷さんか。どうしたの?」
有咲「ちょっと付き合ってもらえる?」
美咲「別に良い…けど。」
有咲に連れられ美咲はとある所に行く事となる--
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市ヶ谷宅--
美咲「えーっと、市ヶ谷さんの家っぽい所に招待されたみたいだけど、どういう事?」
有咲「さっき言ってただろ、1人になりたいって。」
美咲「あー、やっぱり聞いてたんだね。」
有咲「気持ち、ちょっと分かるから。」
美咲「え?」
有咲「香澄達って距離感近いっつーか、御構い無しにグイグイ来るだろ?最初は私も困惑したよ…。でも、悪い奴らじゃ無いからさ。」
美咲「市ヶ谷さん…。」
有咲「……だから、美咲が良ければここ好きな時に使って良いぞ。これ……合鍵。」
そう言って、有咲は美咲に合鍵を手渡した。
美咲「あ、ありがとう…。」
有咲「じゃあ、戸締りとかガスには気を付けろよ。」
有咲は美咲を残して出て行こうとするが、
美咲「待って待って!」
有咲「…何?」
美咲「何…じゃなくて、何処行くの?」
有咲「何処って…ランニングだけど。」
美咲「いきなり他人の家で1人とか、居心地悪いと言うか、さすがに落ち着かないんだけど……。」
有咲「うっ……それもそうだな。」
美咲「大体、合鍵なんて貰っちゃって本当に良いの?」
有咲「良くなきゃ渡さないだろ。」
美咲「ふーん……市ヶ谷さんは私を信用してくれるんだ。」
有咲「まあ…な。って言うか、私は自分の人を見る目を信用してるんだよ。」
美咲「あはは、それはどっちでも良いかな。でも、ありがとう。有り難く使わせてもらう事にするよ。」
有咲「………素直じゃねーんだから。」
美咲「してもらってばかりじゃ悪いし、市ヶ谷さんには今度何かご馳走するよ。」
有咲「あはは!そりゃ嬉しーや。」
美咲「そう言うと思った。まあ、楽しみにしててよ。」
異世界で起こる、新たな人と人との繋がり--
有咲はそれに関しては、異世界に来て良かったと思うのだった--